Q&A3511 2人目希望で質問 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q チョコレート嚢胞あり
 

1人目

30歳採卵①、移植① SEET+3AB 陰性
  採卵②、移植② SEET+BL2 陰性
  採卵③ 4BB、3AB、BL1、BL1、5G3(Day2)、5G3(Day2)
  移植③ SEET+4BB 陰性
  CD138陽性(2個)→ビブラマイシン内服
31歳リュープリン2周期投与
  移植④ ST+3AB 陽性(BT10 hCG:167.9、E2:340、P4:6.4)→出産

2人目
 子宮鏡検査:慢性子宮内膜炎なし、ポリープあり→切除
 バセドウ病(チウラジール1錠/日 内服中→TSH:1.01)
33歳リュープリン2周期投与
  5G3(Day2)、5G3(Day2)追加培養→4AA、3BB(収縮したまま凍結できず)
  移植⑤ ST+4AA 陽性(BT10 hCG:164.3、E2:207、P4:5.37)→心拍確認後流産(詳細下記)
エストラーナテープ3枚/2日 プレマリン2錠/日 ウトロゲスタン4錠/日 デュファストン3錠/日
BT18 5w2d E2:282、P4:5.43、hCG:3353.0
BT29 6w6d E2:533、P4:8.26 心拍(-)プレマリン終了
BT32 7w2d 心拍(+)
BT42 8w5d E2:514、P4:10.05 心拍(-)
絨毛膜検査はしておらず、不育検査(抗リン脂質抗体検査、凝固第12因子、プロテインS・C、サイロイドテスト、抗TPO抗体、NK細胞活性)をしたところ凝固第12因子:45、NK細胞活性:51でした。次回移植からアスピリンとイントラリポスを投与する予定です。
残り BL1×2個(Day2 2G3/IVF、5G3/ICSI)


①判定日P4値が低いです。保険の都合上次回からウトロゲスタン3回/日に減量となりますが、今までのように、着床したら黄体補充で問題ないと思われますか。今までは移植時にホルモン値採血したことはないです。
②ST法も次回から行えないのですが、特にエビデンスはないのでしょうか。
③BL1を移植する場合BT4、BT5どちらでの移植が良いでしょうか(くっ付いて取れなくなるかもしれないので前日融解はしないと言われています)。
④1人目は2年前に帝王切開で出産しています。松林先生なら残りの胚をどのように(2個同時移植や順番等)移植されますか。残りの胚での妊娠はやはり難しいでしょうか。
⑤流産時の移植後から下痢様便と四肢に蕁麻疹が出たのですが、子宮のNK細胞活性の影響が全身または局所に現れることはありますか。

 

A 

①移植日も判定日もP4値は5.0 ng/mL以上あれば大丈夫です(4.0 ng/mLあれば良いとのデータもあります→2015.9.4「☆黄体ホルモン濃度はいくつあれば良い?」の記事を参照してください)。
②ST法のエビデンスは明らかではありませんが、本来なら妊娠した時と同じ方法で行いたいところです(自費診療になります)。
③胚盤胞は通常BT5で移植します。胚がくっ付いて取れなくなることはまずありませんので、できれば前日融解して欲しいです(おそらく現在のクリニックではできないと思います)。
④BL1の胚の細胞密度がどの程度なのかによって、方針や今後の見通しが変わります(BL1、BL2はABCをつけないルールになっていますが、もしABCをつけるとしたらどれになるのかが重要です)。
⑤子宮のNK細胞活性の影響が全身または局所に現れることはありません。移植した胚に対する反応だと思います。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。