社労士のたまご  -17ページ目

人事評価の目的(2)

昨日までは、第一義の目的について触れてきました。


今回は、二番目の目的について考えてみます。


先にも述べたように、処遇目的です。一番目の目的に則して行われた人事評価の結果を、処遇に活用していきます。


処遇とは、ご存じの通り、賞与、昇給、昇級、昇格等をいいます。


こちらは、評価の要域というよりも、配分の領域に入ります。


一番目の目的による領域を人事評価、二番目の目的による領域を人事考課と定義する人もいます。


処遇は、限られた原資を従業員にどう配分していくかという、企業の人事政策が色濃く反映してきます。


全従業員を一律平等に遇するということは、公平性の観点からしてもありません。かといって、現場で実施された評価結果が、必ずしもそのまま直接処遇に反映されるとは限りません。


なぜならば、限られた原資を配分するという意味からも、絶対評価・絶対配分とするわけには、なかなかいかないからです。(全くできないと言っている訳ではありません)


多くの企業の場合、そこに、経営の意思が入ります。査定という言葉もこちらの領域に入るのかもしれませんが、正規分布を設定して配分を行っていくわけです。


例えば、Sは5%、Aは25%、Bは50%・・・などといった分布です。これも、それぞれの会社の人事政策によって違ってきます。


この分布に当てはめるということは、一定の序列づけを行うということです。本来的には、会社に対する貢献度に応じて、順番をつけていきます。つまり、貢献度の高い人とそうでない人との比較をすることになります。


このように、配分は人と人を比較するという相対比較で行われます。従って、一番目の目的の領域が絶対評価に対して、二番目の目的の領域は相対配分という関係になります。


ここまでが、二つの目的の説明です。


しかし、現場で動機づけや育成の論理に則って絶対的に評価をした結果から、相対的な配分を行うとなると、そこにジレンマが生じます。


また、そうであるが故に、幾多の厄介で悩ましい問題が横たわっています。


これについては、また次の機会に。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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人事評価の目的

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。


昨日までは、原則的な概論を記してきました。


次に各論に入ろうと考えましたが、人事評価の目的について、以前項目を挙げたきりで終わっていました。


今回は、人事評価の目的を掘り下げてみようと思います。


目的は大きく二つあります。


(1) 社員一人一人の特性を捉え、強み・弱みを把握することによって、指導・育成点を明確にし、能力開発と人材活用を図る。

(2) 社員が発揮した力に対し、公平で納得のいく処遇を行う。



前者の目的は、いわば動機づけの論理に立脚するものであり、後者の目的は、選別の論理に立脚するものです。


この二つの目的が存在するが故に、人事評価が厄介で悩ましいものになっているともいえます。


だた、第一義の目的は前者になります。後者は、結果として処遇目的に用いるということになります。


まずは、前者の目的を見ていきましょう。


これは、元来マネジメントの業務の一つであり、評価といったしくみがあろうとなかろうと、やらなければならない任務です。


それを円滑に実施するためのツールの一つとして、人事評価が存在すると考えればよいのではないでしょうか。


マネジメントの業務ということは、P‐D‐C‐Aの仕事を通じた部下育成のサイクルを回すということになります。


Pは期初の目標や期待値を明確にし、Dを経て、Cの評価を実施し、Aで育成・活用に繋げて、翌期のPに活かす、というサイクルをらせん状に大きくしていくわけです。


そのために必要なことが2つあります。


まず、Doの段階でしっかりと観察・注目をし、指導を行うこと。指導を行った後、公正に評価をすることです。まずは、指導ありきです。


次に、評価をした結果を、強み・弱みをきちんとフィードバックすることです。デジタルの数字や記号が独り歩きすることではなく、アナログの根拠でフィードバックする必要があります。


ここでの評価の基準は、個々人に設定された目標がベースになるため、本来は絶対評価の領域の筈です。


人と人を比較するのではなく、成果や結果について有意な差に着目することです。


ところが、現場に於いては、なかなかその通りには実践されません。


それは、2番目の目的がでんと控えているからです。それについては、また次回に。



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人事評価の基本原則(4)

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。


今回は、4番目の基本原則である、方法の原則について触れてみたいと思います。


方法の原則とは、ざっくりと官能的に決めていくのではなく、性格の違うものを区分して分析的に評価していくというものです。


具体的に言うと、次のような関係式になります。


成果・業績(結果) = 能力(原因) × 姿勢(媒介変数) ± α(環境)


左辺(結果)というのは、右辺(プロセス)である原因、媒介変数、環境で決まります。


車に例えてみましょう。


成果・業績はスピード、能力は搭載エンジン、姿勢はアクセルの踏み具合、環境は風の向き。


130㎞/hのスピードを出したとしても、一方は50馬力でフルスロットル、それも追い風であった、一方は、100馬力でアクセルはあまり踏み込まず、逆風であった、とすると中身が全然違ってくるわけです。


同じ結果を挙げたとしても、その中身をしっかりと見ていくことが重要です。


前者は、100馬力エンジンを折角有していても、宝の持ち腐れです。育成ニーズとしてはアクセルの踏み方に視点を置いて、もう少し高い目標を設定して育成していく必要があります。


後者は、育成ニーズはエンジンにあります。しかし、一気に目標を上げる訳にはいきません。仕事を通じて如何に馬力を向上させるか、に視点を置いて育成していく必要があります。


こうやってみると、本人の強み・弱みを浮き彫りにすることができますし、人事評価がマネジメントツールとして活きてきます。



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人事評価の基本原則(3)

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。


今回は、3番目の基本原則である、事実の原則について触れてみたいと思います。


あくまでも、事実に基づいて評価し、指導していかなければなりません。うわさ、伝聞に対しては裏付けを取る必要があります。


評価は、客観的な事実をベースにして、基準というフィルターを通して行います。


しかし、捉えた事実に、解釈を加えないまま、そのままフィルターにかけると、パターン化、教条的な評価になってしまいます。


上司と部下が評価をすり合わせた場合に、ズレが生じる原因は次の3つしかありません。


(1) 捉えた事実が違うか

(2) 基準の考え方が違うか

(3) 解釈の仕方が違うか


従って、事実+基準+解釈によって評価していくわけです。


その解釈をするためには、事実をしっかりと押さえる必要があります。


では、事実とは、どのように定義づけられるのでしょうか。


①どんな状況で、②どんな役割で、③どう考え、④どう行動し、⑤どういう結果を出したか


以上の5つが要件となります。


マネジメントとしては、メモを取る場合に、この5つの要件を意識してメモをすれば評価の精度も高くなります。


また、レビューする場合も、相互のズレの根拠も明確になることでしょう。


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人事評価の基本原則(2)

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。


昨日に引き続き、2番目の基本原則である、範囲の原則について触れてみたいと思います。どこまでを評価の対象とするか、ということです。


範囲の原則は、①プライベートは除く、②気質、体質、性格は除く、の2つがあります。


①プライベートは除く、については 


プライベートな場面は、評価の範囲には含まれない、という至極当たり前の原則です。


しかし、職務遂行場面とプライベートの場面の境界線で、なかなか悩ましい場面が出てきます。


ある生保でこんなことがありました。支社長杯のゴルフコンペの参加を対象に含めたいというのです。経営上層部が参加して、貴重なコミュニケーションの場が作れるという理由です。


プライベート寄りの話なのですが、結論はどちらでもいいことです。


大事なことは、事前に共通認識をしておくこと、これだけです。後から、抜き打ち、闇討ちにならないようにしておけば問題はありません。


②気質、体質、性格は除く、については


人間の成長の定説が、同心円で示されたりします。内側から、気質・体質、幼児性格、社会的行動、能力、のように示されます。


結論から言うと、気質・体質と幼児性格は対象としません。一方で、その外側の社会的行動、能力は対象とします。


気質・体質とは、親から譲り受けた血のようなもの。涙もろい、頑固、好奇心が強い、等の類のものです。これは、長期に亘って変化することは少ないものです。


幼児性格も、3~6歳ごろの環境によって形成される性格を言います。これも、大きく変化することは少ないものです。


こういった、不変のものは対象外とします。評価の範囲には含まれませんが、適正配置の場合には参考にされることはあります。


一方、社会的行動は、10歳頃から育まれる社会の一員としての行動です。責任感、協調性といった類のものが含まれます。これは、指導すれば変わります。


能力は、後天的な能力のことです。これは、啓発していけば、どんどん磨かれます。


このような可変的なものは、評価の対象とします。


では、次回は、事実の原則に触れていきます。



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