バングラディシュのお葬式事情
北にヒマラヤ山脈、南はベンガル湾を望み、インドにぐるりと囲まれた小さな国土ながら大自然の宝庫として旅行者を魅きつけてやまないバングラデシュ。それではこれから、バングラデシュのお葬式をご紹介します。バングラデシュ独特の文化・風習は?バングラデシュの首都ダッカは、1977年の日航機ハイジャク事件の舞台として、多くの日本人の記憶に残っている場所であるかも知れません。1971年にパキスタンから独立した比較的新しい国で、首都ダッカは現在、約1,000万人の人口をかかえる大都市となり、貧富の差が大きい街でもあります。企業経営者、政府官僚、政治家、軍人、商店主、リキシャ持ち主など の幅広い職業の人達、また物乞いの生活を送る最貧困層に属する人も見かけます。街は市内を走る自動車、バス、ミニバス、タクシー、 ベビータクシーやテムポゥ、リキシャなどで常に賑わっています。ベンガル語が公用語で、文字はデーヴァナーガリーに似たベンガル文字を用います。ベンガル語に加え、英語も官公庁や教育機関で使用されており、事実上英語が公用語です。しかしバングラデシュの識字率は50%と高くありません。住民はベンガル語を話すベンガル人がほとんどで、人口の98%を占めており、ほぼ単一民族であることがうかがえます。その他、ウルドゥー語を話す近隣のインド各地を出身とする非ベンガル人ムスリムが2%を占めます。バングラデシュの国旗は、赤が昇る太陽、緑が豊かな大地を表しており、日本の国の丸を参考に考えられたそうです。食文化としては、日本同様大量にとれる米を主食とし、ガンジス川流域や海岸、汽水域などで大量にとれる魚も重要な蛋白源となっています。文化活動では演劇や詩作もさかんであることから、気質として、他者との共存のための調和を重んじる日本人にとても似通っているといえそうです。バングラデシュ国内における宗教は?お葬式の基本的な考え方は?バングラデシュ国内の宗教と宗教徒の割合は、イスラム教徒89.7%、ヒンドゥ教徒9.2%、仏教徒0.7%、キリスト教徒0.3%と、9割がイスラム教徒で占められています(外務省HP 2011年国勢調査より出典)。他のイスラム教国と同様に、葬儀の典型はイスラム教に則ったものだと考えられます。バングラデシュはイスラム教徒が多数派ですが、ヒンドゥー教徒の人口割合もかなり高く、両者は平和的に共存しているといえます。またパハルプールの仏教寺院遺跡群に見られるように、以前仏教が大いに栄えていた時代があったため、現在でも一部の地域では、少数派でありながら仏教が深く根付いています。文化形成において、どの宗教を信仰しているかという点も重要ですが、それ以上に、バングラデシュでは同じベンガル民族であるという意識の方を重要視される傾向にあり、異宗教間・異文化間ともに両者はお互いに尊重し合っています。こうしたことにより、生まれてから死を迎えるまでの一生を通して、信仰する宗教とその経典の戒律を中心とした生活習慣や基盤が築かれていき、近年も家族・親戚と地域単位で葬儀が行われるのが主流です。イスラム教徒が大部分を占めているため、イスラム教のお葬式を行う家庭の数は多いのですが、ヒンドゥー教の習慣や祭礼が他の宗教の信者の間に今も多く残っています。ヒンドゥー教は祭礼や儀式の数が非常に多く、その中にはベンガルの文化に強く結びついたものもあることから、ベンガルの慣習として他宗教の信者にも定着して行われています。バングラデシュのお葬式は?それぞれの宗教によって少しずつ特徴があり、日本と同じように都市部と農村部の家庭でも執り行われ方が異なりますのでここでご紹介します。イスラム教のお葬式Janaja、Kulkhani、Chollisha Janajaはイスラム教徒の葬儀です。葬儀の4日後にKulkhaniという祭礼を行い、聖職者と親族、葬儀に列席し手伝ってくれた人全員を招待します。40日後にChollishaという儀式を行いますが、ここでも聖職者や近所の住民、親族、友人が招かれ、故人に祈りを捧げます。参列者に昼食や夕食が振る舞われるような盛大な場合もあれば、軽食が用意されるだけの簡素な場合もあります。ヒンドゥー教と仏教のお葬式ヒンドゥー教徒と仏教徒は、葬儀を Dahoまたは Anteshti-kriyaあるいは Shotkarと呼んでいます。ヒンドゥー教徒は死後13日目にSraddhoという祭礼を行います。葬儀の日から、故人の家族と近親者は精進料理を食べる習慣に従いますが、ここはなんとなく日本と似ていますね。仏教のお葬式の特徴Shongho-dan仏教徒の家で誰かが亡くなると死後数回行われる祭礼です。1回目は Shotkar(葬儀)の7日目に行い、2回目は半年後、最後は1年後に行います。また家族の命日には毎年 Shongho-danを行います。これは、仏教寺院に何かを寄付する儀式で、寄付は現金でも寺院で必要な品物でも納めるものはなんでもよいことになっています。バングラデシュの葬儀にかかる費用は?葬儀に参列するときの服装や香典は?バングラデシュでイベントの各種手配業を行っている人の関連情報によると、貸しホールのレンタル料は、都市部で1万~10万タカで、日本円に換算すると16,000円~160,000円となります。最も費用をかけるのは、Gaye Holud(結婚前の儀式)と結婚式で、葬儀にはあまり費用をかけない傾向にあります。祭壇や照明器具、お花を使った装飾に費用をかける傾向がみられますが、より安価で簡素に行うための選択肢もあります。貧富の差が激しいバングラデシュでは、農村部の場合、冠婚葬祭行事を新婦の自宅に屋外スペースがある場合は新婦の家で、そのような場所がないようであれば、人が集まりやすい地元の公共スペースで行われる場合が多いようです。他国のイスラムの葬儀と同じように、輪廻転生を信じるイスラム教のお葬式では、貸しホールに大勢の参列者が集まり、テーブルには沢山のお料理やカレーなどがふんだんに供され、故人の思い出話に花を咲かせながら賑やかなものとなります。イスラム教の葬儀にはお香典を渡す習慣はありません。どうしてもお金を持参したいのであれば普通の封筒に入れておけばよいでしょう。服装は決まっておらず派手派手しいものやキラキラしたものでなければ大丈夫と考えられています。形式的なことよりも参列したい気持ちのほうが大切です。※インターネットで集めた情報になりますので、事実と異なる場合があります。