ドイツ連邦共和国の首都はベルリンで、日本から所要時間約12時間、16の自治権を持つ州によって構成されている国です。
世界有数の先進工業国で貿易大国でもあり、GDPの規模はヨーロッパではトップです。
また連邦議会でもキリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟の議席数が半数近くを占めるなど、宗教と政治が密接的な存在でもあります。
そんなドイツの文化や生活スタイルからお葬式事情を覗いてみましょう。

 

ドイツの歴史と概要

ドイツの大きな特徴はロンドンやパリのような1国大都市集中型ではないことです。
自由都市や小さな連邦国家の集まりだった中世からの歴史があり、個性的な文化を生み出してきました。
首都ベルリンのあるブランデンブルグ州は、1990年に東西ドイツの壁が取り除かれ激動の時代に終止符を打つ舞台となりました。
またゲーテやバッハが活躍したライブツッヒに高級磁器で有名なマイセンなどがあるザクセン州、ビールとソーセージが有名でロマンティック街道やノイシュヴァンシュタイン城など有名な観光地も多いバイエルン州、ローレライ伝説やライン川下りが楽しめるラインラント・ブファルツ州など全く違った様々な表情を持つ州が16あります。
各州は独自の憲法を持っており、住民の日常生活に直接かかわり合いを持っています。
中でも国の関与しない「文化高権」が特徴的で、表現の自由の一環として芸術や学問・研究・教育の自由を保障し各州が保護と助成を行っているため、非常にレベルの高い文化を感じることが出来ます。
ドイツが連邦共和国として16州の自治権を持つ地方分権性を採用したのは、ヒトラー政権時代の苦い過去を克服するためといわれます。
さらに戦前のヒトラー時代には、劇場も国営化されナチスの宣伝用に多く利用されました。
戦後においてドイツは東西に分断されましたが、西ドイツではその苦い過去を繰り返さないように、文化や教育は全て国の関与しない文化高権が確立されたのです。
1990年になりドイツが再統一になった際にも文化高権が採用され、現在に至っています。

ドイツの宗教事情

ドイツではカトリックとプロテスタントに属するドイツ人は人口のおよそ70パーセントであり、次いでユダヤ教やその他の宗教になっています。
しかしドイツの歴史には、宗教改革・戦争もあります。
1517年ルターの宗教改革により、プロテスタントとカトリックの領主や民衆の紛争は三十年戦争と呼ばれ1618年~48年まで続きます。
この戦争終結後、ドイツでは300余りの諸侯と帝国都市に対して、独立国家としての権限が与えられます。
これにより連邦国家と呼ばれる大小の国が乱立する状態になっていきます。
そのため近代的統一国家を着々と形成していくイギリスやフランスに大きく遅れを取ったと言われています。
ですが個性あふれる各州の独自権利によって多様な宗派を生み出しています。
1933年に始まったナチスによるユダヤ人迫害は、最初は宗教というより人種的差別から始まったものでした。
ユダヤ教の「燔祭・ホロコースト」を転じた言葉を使い、第二次世界大戦終結までに約600万人のユダヤ人を大量虐殺しました。
当時数千人までに減ったユダヤ人も、現在では約11万人まで増えています。
現在ドイツには国教会はありません。
基本法で保障された信教の自由・世界観に関する国家の中立性という立場があるからです。
このため最近ではイスラム教徒も増えております。
度重なる宗教に関する戦争の暗い歴史があるがゆえに連邦共和国となり、国教会を持たない信教の自由を定めるようになった、という経緯があるのです。

 

ドイツのお葬式

ドイツでは人が亡くなれば地元新聞に死亡通知の広告を出すことが多いようです。
内容は亡くなった日や葬儀の日程・場所・遺族の名前や住所などを掲載します。
亡くなった人が会社員であれば企業が死亡通知の広告を出すこともあります。
病院での遺体安置は24時間までで、遺族は36時間以内に葬儀社を決定するようになりますが、国内に4000以上の葬儀社があるため様々な葬儀スタイルで選択することが出来ます。
ただ病院に安置された後の遺体や火葬後の遺骨・遺灰を自宅に持ち帰ることは法律で禁止されています。
カトリックとプロテスタントのキリスト教が多いドイツでは、1963年にキリスト教徒に対して火葬が許可されるようになりましたが、近年までは土葬が一般的でした。
しかし最近では約70パーセントが火葬になっています。
この思想も旧西ドイツ・東ドイツにおいて違いがあり、西側の人々は土葬を希望する人が多いようです。
火葬は日本よりさらに高温な炉を使用するため、骨としては残らず灰になっています。
また特殊なカプセルに入っており中を開けることは出来ません。
20~30年の間に土に分解されてなくなる材質で作られているため、日本でも50忌を過ぎると土に返すと言われますが、環境先進国のドイツらしさが見て取れます。
教会やチャペルで葬儀が行われるため列席者は暗い色調の服装がよいですが、遺族以外は特に日本のような畏まった服装でなくても大丈夫です。
葬儀には花輪をもって行きお悔やみを表します。
香典の代わりにボランティア団体などへの寄付をお願いされることも多く、故人への香典を志にして皆に分配して欲しいという意向が聞かれます。
故人の棺の周りに花輪を捧げ、牧師さまのお話を聞き、讃美歌を歌います。
全てが終わるまでの時間が30分~40分です。
その間中、教会やチャペルでは鐘が鳴り響き死者への敬意と会葬者への弔意を表しています。
その後火葬・土葬が行われ、葬儀が滞りなく終了したらレストランやカフェへ移動してお茶が振舞われます。
コーヒーや紅茶・ジュースなどの飲み物にケーキやサンドウィッチなどの軽食が主で、皆で故人を偲びながら思い出話をします。
墓地は宗教ごとに独立した霊園があり、一般的にはキリスト教系の庭園墓地や教会に併設された墓地、森の中の墓地などが見られます。
火葬が増えてきたことに伴い納骨堂も増えているようです。
毎年11月初めには「アッラーゼーレン・万世節」というお盆のような行事があり、お墓参りをする人が多く見られます。
この行事が終わるとドイツは華やかなクリスマスシーズンへと突入します。

 

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