国土の殆どが山岳地帯の大自然に囲まれたスイス連邦は、永世中立国として多くの国際機関の本部が置かれています。
かつてドイツから始まった宗教改革では、スイスも例外なく争いが絶えませんでした。
1674年に永世中立の立場を起こし、その後紆余曲折しながら現在に至ります。
そんな宗教改革から生まれた現在のスイス。
宗教と文化の歴史から垣間見れるスイスの葬儀をご紹介いたします。

スイスの宗教と観光

スイスの首都ベルンは、街がまるごとユネスコ世界遺産に登録されており、中世のヨーロッパの美しい街並みが残されています。
この地を管理していた神聖ローマ帝国の皇帝フリードリッヒ2世が、この地の監督権をハプスブルグ家に譲渡したことで、1291年ウリ・シュヴィーツ・ウンターヴァルデンの3地域が永久同盟を結びスイスが誕生することとなります。
しかしその後もスイス国内ではさまざまな改革者によって、宗教改革運動が広まっていきます。
中でも16世紀のチューリッヒを拠点に活動したフルドリッヒ・ツヴィングリと、ジュネーブを拠点に活動したジャン・ガルヴァンが重要な役割を果たします。
カルヴァンによってプロテスタントがスイス国内各地に広められたといえます。
またカトリックも同様に宗教改革ではいくつかの地方を征服し、学校や教会を作って行きました。
カトリックからの強い圧力を受けつつプロテスタントを維持した地域もあります。
結局スイスが国家として確立されたのは、中央集権化とスイスの伝統的な地方自治を巧みに組み合わせた憲法が制定された1848年のことで、これによって連邦体制が確立され、さまざまな地域がまとまって共に発展していくようになります。
そして中立国となる地盤も出来上がっていきました。
宗教紛争によって武装中立を宣言し、これがスイスの永世中立の始まりとされています。
現在でも国民の約3分の2はカトリックとプロテスタントでありキリスト教が圧倒的に多く、次いでイスラム教やユダヤ教になっています。

 

スイスの相続

人が亡くなって気になるところは相続税の問題です。
連邦や州または市町村の所得税は、州の税務当局が納税者の暦年ごとに提出した所得税申告書をベースに査定を行い課税・徴収しますが、相続・贈与・夫婦財産権・民間または公共の財源からの補助金など、ある特定の種類の所得は非課税です。
相続税と贈与税は州間では調和されていないため、各州は自由に課税することが出来、両税法は各州で大きく異なっています。
例えばシュヴィーツ州を除く全ての州では一部の資金譲渡に関し相続税を課しており、原則として被相続人が居住者であった州または不動産の場合は、不動産所在地の州に課税権があります。
この場合殆どが累進税率(課税標準が増えるほど高い税率を課する課税方式のこと)で、原則として被相続人と相続人の関係または財産の額をベースに決まります。
全州で夫婦間の相続を非課税にしており、また多くの州では親子間の相続も非課税になっています。
現在は州の相続税および贈与税の代わりに連邦レベルで相続関連の贈与税に導入が検討されていますが、婚姻関係にある夫婦間の資産譲渡は非課税のまま据え置かれる予定です。
スイスは相続税がないといわれることもありますが、夫婦・親子間など日本でいう法定相続人の間では多くの州で非課税となっていることが大きな理由でしょう。
スイスは直接民主制という制度で、さまざまな内容を選挙で決めます。
遺産相続税についても例外ではなく、投票によって税金の額や課税・非課税を決めています。
 

スイスのお葬式

スイスの火葬場の数は約30ケ所で、日本の約1545ケ所と比べるとかなり少ないように感じますが、そもそも日本の九州ほどの面積なのです。
また約85パーセントが火葬されており、ヨーロッパでは高い火葬率といえます。
地域新聞の死亡広告欄に亡くなった事を載せる風習も残っています。
知人などの死には遺族に対してカードを送り、もっと親しい間柄であれば現金や花券を同封して送ります。
この際の現金は日本の香典に近いものですが、金額は10~30フラン程度、日本円で千円~三千円程度で十分です。
葬儀に参列する場合の服装も日本であれば皆喪服で出掛けますが、日本ほど服装に対するマナーも厳しくない為、暗い色の服装で参列していれば大丈夫です。
葬儀で牧師が故人を偲んで説教をし、讃美歌を歌い参列者で献花をしますが、約1時間で全ての儀式は終わりです。
スイスの火葬は遺灰になるため、生前に埋葬か火葬か選択出来ることも特徴です。
火葬の場合、遺骨は粉砕処理となるため、骨の形は残りません。
近年ではスピリチュアルな観点から、自然の中へ散骨する人も珍しくありません。
自然に帰りたいと願う故人の意思に沿うケースも少なくないようです。
樹木葬を希望する人では、生前から契約を結んで森林の中にある任意の木を指定し、その木の根元に穴を掘って遺灰を埋めるケースもあります。
この場合は企画する団体に依頼して事前に木を指定し、購入しておきます。
スイスの11月は死者を弔う月として、1日の諸聖人の日に始まり2日の万霊祭・死者の日、下旬の永遠の日曜日など、教会や墓地へのお参りも多く見られます。
特別な墓石飾りや赤いガラスに入ったロウソクなどで、死者の霊をお迎えします。
死者と向き合う11月が過ぎるとクリスマスシーズン到来で、キリストの誕生を祝うため1年でもっともにぎやかな季節がやってきます。

 

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