首都マドリード、バロック建築など歴史的文化の高いスペインは、正式国名をエスパーニャ王国といいます。
イベリア半島の約80パーセントを占めている「スペイン」は、北はピレネー山脈を隔ててフランスと接し、南は地中海を挟んでアフリカ大陸と接しています。
古くから多くの民族が暮らし、侵略と盛衰を繰り返してきました。
さまざまな民族と文化が交錯するスペイン。
その文化によるお葬式の特徴やお葬式後の手続きなどをご紹介いたします。

 

ちなみに私はスペイン料理のアヒージョが大好きでっす。

 

スペインの宗教と歴史

711年タンジェのイスラム軍が海峡を渡ってスペインへの侵略を始め、瞬く間にイベリア半島を制圧すると、コルドバを中心にイベリア半島をアル・アンダールースと呼んでイスラム帝国が君臨します。
その時の宗教はもちろんイスラム教ですが、同じ聖典の民であるキリスト教徒に寛大で信仰も許されました。
1492年にスペイン王朝によってグラナダ王国崩壊になるまで約800年間、イスラム教とキリスト教の時代が続きます。
1469年にスペイン帝国が誕生しローマ教皇からカトリック両王の称号が贈られて以来、スペイン・カトリック教がスペイン国内での圧倒的多数となっており、祝日もキリスト教に関わるものが多く見られます。
スペインの宗教を語る上で外せないのは「トレド」です。
560年に西ゴート王国の首都となったトレドは、711年から約400年に渡ってイスラム教徒の支配下におかれました。
1492年にカトリック両王によって追放されるまで、ユダヤ人とともに多くのイスラム教徒が残っていたといい、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の3つの異なる文化が残る古都です。
スペイン・カトリックの総本山であるカテドラル(大聖堂)がある街としても知られています。
フェルナンド3世によって1226年に建設が始められ1493年に完成したスペイン・ゴシック様式の大聖堂は、トレドの中心にあり荘厳な建造物が遠くからでも分かります。
その後時代に応じて増改築され、芸術性の高さは各時代の建築家・芸術家によって維持されてきました。
本堂中央には、グラナダ戦争の場面が細かく彫られています。
スペインのどんな小さな村にもあるカテドラルは、スペイン建築の宝庫として観光名所にもなっていますが、スペイン人には欠かせない生活に密着した場所です。

スペインのお葬式事情

カトリックのキリスト教が約75パーセントを超えるスペインでは、死者は土葬されるのが一般的です。
ただ近年火葬を行う人が増えています。
服装も地味であれば何でも良いという場合も多く、参列する式・故人の仕事・家の環境によって変わってきます。
一昔前までは未亡人の服装は半年から一年は黒で喪に服すという習慣がありましたが、現在ではその習慣を守っているのはジプシーだけのようです。
葬儀コーディネーターにより遺体は「タナトリオ」と呼ばれる葬儀場に運ばれ、遺体は亡くなってから24~48時間以内に埋葬することが義務付けられています。
このタナトリオでは日本で言う通夜を行い、近親者が集まり故人とのお別れを行います。
翌日に場所を移すこともありますが、併設されている教会で行われることが多いです。
火葬を行うか土葬を行うか、生前に本人や家族が選択することも可能です。
自然死の場合は2年、伝染病などでの死亡は6年間最発掘することが禁じられています。
葬儀は牧師様のお話と讃美歌、献花などが行われますが、これが終わると食事をふるまい故人の生前の思い出を語り合います。
葬儀の途中で聖書の言葉を話す場面もあります。
キリスト教では死後は天国へ行って復活すると考えられており、特別な挨拶を皆が行わなくても不謹慎ではなく儀式の一つとして捉えられており、悲しみに明け暮れるわけでもありません。
年に一度11月1日にお盆のようなお墓参りをする習慣があり、街の至るところで造花の花束も売られるようになります。
 

 

スペインでは亡くなった人(被相続人)がスペイン居住者であった場合、8000ユーロ以上の相続・贈与を受けた場合は課税の対象となります。
このため死亡日から6ケ月以内に通常の確定申告をする必要があります。
この財産がスペイン国内にあるか国外にあるかは問われません。
税率は7.65~34パーセントまで幅広く、スペインに居住していない者が相続・贈与を受ける場合は、非居住者所得税が課税されます。
相続税は累進課税(課税標準が増えるほどより高い税率を課す課税方式のこと)で、相続・贈与資産額や相続人の年齢、被相続人との関係により税率が異なります。
被相続人が居住していたところで地方税として納税申告をする必要があり、非居住者の場合はマドリードが管轄となります。
被相続人の相続手続きには、亡くなった証明書や遺言書・生命保険・不動産・有価証券などの確認、遺言書が無い場合は相続人の確認、遺産分割協議書の作成などが必要になってきます。
これらを揃えてスペイン公証人の面前で遺産分割協議書への署名を行います。
その後スペイン税務署にて相続税の支払いを行い、相続した財産の名義変更を行うことで手続きが完了します。
また本人確認は必須であり、スペイン国民であれば国民登録番号があり、外国人であれば外国人登録番号が必要になってきます。
これをNIEといいますが、銀行口座の開設や不動産の売買、ローンの申請や車の購入や納税に至るまで番号で管理されています。
スペインでは生前に遺言書を残すことが一般的のようです。
これは、4親等まで法定相続権があるため遺産分割協議には多くのトラブルが発生する懸念から、遺言書を残すことが必要であると考えられるためです。
また17の自治州からなり、それぞれ独自の政府をもっているため地方税も違いがあります。

 

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