The Key of Midnight -9ページ目

本日のことですが・・・・・・・

当初参加予定でしたTRICK+TRAP7月例会ですが、今回は参加を見送ることにしました。申し訳ありません。

昨日までは何が何でも行くつもりだったのですが・・・・・・。さすがにそうも言ってられい状況になってきました。

楽しみにしていただけに、とても残念です。


今日定例に参加される方は、気をつけて行かれてください。

良い例会になるよう祈っています。

北川歩実 「長く冷たい眠り」

北川 歩実
長く冷たい眠り

人はなぜ、永遠の生命を求めるのか。交錯するさまざまな思惑。いくつもの事件がひとつに絡み合ったとき、意外な真実が浮かび上がる!?

本格推理の気鋭が放つ傑作短編集。表題作を含む全7編を収録。


 ◆ ◆ ◆


「冷凍睡眠」をテーマにした、連作ミステリ。

この単語を聞いて、咄嗟にハイバネーションという単語が頭に浮かんだのは僕だけではないはず。

とはいえ、本書で取り扱われている冷凍睡眠は、現代でも有り得そう、と思えてしまうもので、一つ一つの話が非常にリアルです。いや、冷凍睡眠がリアル、というよりも、一つ一つの話がリアル、と言ったほうが良いでしょうか。

連作を貫く仕掛けなどはありませんが、その分、どんでん返しで有名な北川作品らしく、一つ一つの短編に捻りが利いています。

「冷凍睡眠」というくくりの中で、それが決して制限になることがなく、どの作品にも巧く生かせているのは、サイエンス・ミステリの書き手である北川歩実ならでは。


どの話もそれなりに安定して質が高いのですが、個人的に一番驚いたのは「闇の中へ」。

読者の予想を綺麗に裏切る、衝撃的なラスト。

複雑な構図などは一切無く、非常にシンプルな一編ですが、意外性はこの短編集の中でもベストでしょう。

傑作です。


全編に共通する「冷凍睡眠」というテーマ。

しかしながら、このテーマは・・・・・・。

まさか、と読んでいる途中に思いはしたのですが。

それにも関わらず、それで一つ一つの作品を成立させている、というのは、相当凄いことだと思います。

冷凍睡眠、というテーマを、有る意味で書ききっている、と言える作品でしょう。

果たして、本書の登場人物たちの未来には何があるのか。


ミステリとしてもお薦めですが、それ以上に冷凍睡眠、というテーマに少しでも興味がある方は是非。

答えは決して描かれていませんが、確かに考えさせられる本でした。

お薦め。7点

西澤保彦 「瞬間移動死体」

西澤 保彦
瞬間移動死体

17時間の時差を超え死体は飛んだ!
自分の特殊能で妻殺しを計画。しかし、見知らぬ死体が目の前に。

妻に苛められることで愛を確認するヒモも同然の婿養子。何を言われても耐えられたが、どうしても許すことの出来ない一言を妻は口にしてしまう。愛は憎悪に変わり、男は自分のある能力を駆使した殺人計画を練る。だが、事態はまったく予期せぬ展開を!

時空の壁さえ軽々と越える西澤流ヘン本格ミステリ。

 ◆ ◆ ◆


読み残していた、西澤さんのSFシリーズ。

テーマはタイトルからもわかる通り「瞬間移動」。

コメディタッチの作品で、さくさく読めます。

いつも以上に能力に限定が加わっており、また、伏線もわかりやすく、普通に考えていけば犯人に関しては大体検討がつくでしょう。

しかし、全てを読みきることは困難。自分も大まかな真相はつかめましたが、細かいところでいくつか解けなかった部分も。

・・・・・・とはいえ、やはりミステリとしては弱い、という印象は拭えません。

それでも、読了後に満足感があるのは、ミステリを抜きにしても単純に面白い作品、だからでしょう。

西澤さんが書かれたコメディタッチの作品の中でも、特にこれは面白く読めました。

キャラクターも立っていますし・・・・・・。

オチも綺麗で、意外と印象に残る作品でした。

7点


それにしても、SFシリーズの新作はもう出ないのでしょうか・・・・・・。

ようやく終了

テスト中であるにも関わらずレポートを書かなければならなかったり、テスト自体壊滅的だったりと、色々大変なことが続きましたが・・・・・・。


これでようやく、忙しさからも解放されるはずです。

・・・・・・多分。


実質、5月ごろから多忙な日々が続いていたので、ようやくほっとできました。

とはいえ、夏休みはそう休んでもいられないわけですが・・・・・・。

とりあえずテストが帰ってくるまでは一休憩。


折角久々の記事なので、小説以外のお薦めを二つほど。


モノノ怪

アニメです。といってもまだ始まっていないのですが、この前まとめて再放送されていた、このシリーズの前作である「化猫」が素晴らしかったので。

「化猫」はとんでもない傑作です。まず映像が凄い! 余りの高クオリティに、1時間完全に画面に目がクギ付けでした。日本怪談をこのようにアニメーションにするとは。感嘆の声を上げずにはいられません。

シナリオも「完成されている」と言ってよいものであり、DVDを購入してでも見る価値がある一本であると思います。

まずは、新たなシリーズである「モノノ怪」を是非。「化猫」よりクオリティが劣っている、と言うことも無いそうですので・・・・・・。


時をかける少女

こっちもアニメ。

今度TVで放送されます。7月21日、もうそろそろですね。

最初観たときの感想はこちら 。DVDも勿論買いました。

絶対にお薦め。折角のTV放送、見逃せません。


・・・・・・って、両方アニメですが。

小説のほうも色々読んでいるのですが、感想はたまっていくばかり・・・・・・。

とりあえず数日中にいくつかアップします。

来週からテスト

宿題、レポート、テスト等の連続で、かなり切迫した状態です。

何故か加速的に忙しくなっていきます・・・・・・。

就寝時刻が2時を過ぎてきた頃から危ないとは思っていたのですが、

結局最近では、4時や5時を超えることも珍しくなくなってきました。

・・・・・・こんな生活に慣れてしまったらまずいだろうなあ、と思いつつも、

そうでもしないと切り抜けられないこの状況。


テストが終われば夏休みまで近いですが、

今までのように遊んでいる暇はほとんどないかもしれません。


特に生活が変わっているという自覚もないのですが、

気づけば忙しい、というのは不思議です。

これでも、大して勉強はしていないのですが・・・・・・。

さすがにそろそろ不安にもなってきますね・・・・・・。

万城目学 「鹿男あをによし」

万城目 学
鹿男あをによし

「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」

神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」は、失意のままに教授の勧めに従って奈良の女子校に赴任する。慣れない土地柄、生意気な女子高生、得体の知れない同僚、さらに鹿・・・・・。

そう、鹿がとんでもないことをしてくれたおかげで「おれ」の奈良ライフは気も狂わんばかりに波瀾に満ちた日々になってしまった!

「鴨川ホルモー」で衝撃デビューの超新星が放つ、渾身の書き下ろし長編小説。


 ◆ ◆ ◆


京都の「鴨川ホルモー 」に続いて、二作目の本書は”奈良”。

相変わらず奇妙なタイトルですが、内容自体の奇妙さも、鴨川ホルモーに並ぶもの。

ホルモーほどのインパクトはありませんが、スケールではこちらのほうが上。

一種のファンタジーですが、なぜか妙に現実とつながっている感覚があります。

先のホルモーに引き続き、対戦的な要素もあるのですが・・・・・・。

今回は、それだけがメインではなく、更に一捻り。

”それ”が何であるかは伏せておくとして・・・・・・。

一つだけいえるのは、相変わらず、とてつもなく面白い作品だということです。


少し大人しめになった分、構成などは「鴨川」以上に巧く、読ませる力は並ではありません。

先が気になって、読み進めずにはいられない――そんな本。

ただ面白いだけではなくて、予想外に(?)伏線も多く、ラストの展開には思わず唸ってしまいました。

歴史と絡めて語られる、壮大な背景は必見です。


何か面白い本はないか、と探している人にお薦めしたい一冊。

純粋に、物語の面白さを味わえます。8点

個人的には「鴨川ホルモー」より好みでした。

ぜひとも、このような方向性で書きつづけていって欲しいです。次の舞台は・・・・・・はたして?

法月綸太郎 「一の悲劇」

法月 綸太郎
一の悲劇

「あなたが私の息子を殺したのよ!」

山倉史郎は狂乱する冨沢路子の前に絶句した。それは悲劇的な誤認誘拐だった。犯人は山倉の子と誤って、同級生の路子の子を拉致したらしい。しかも身代金授受に山倉は失敗、少年は骸となって発見されたのだった。鬼畜の仕業は誰が、なぜ?

やがて浮かんだ男には鉄壁のアリバイがあった。

名探偵法月綸太郎と共にいたというのだ…。


 ◆ ◆ ◆



以前さかきさんにお薦めいただいて、買ったはいいもの長い間積んでいた作品ですが・・・・・・。

丁度法月作品を再度読み始めたので、この機会に、と読んでみたら。

予想以上に面白い本格ミステリでした。


”誤認誘拐”

そこから始まる一連の事件。

基本的には誘拐ものですが、それだけにとどまらないのがこの本の面白さ。

具体的に書いてしまうと面白みが減ってしまいかねないので、詳しくは書きませんが。

メインの事件となる前半部だけでなく、誤認誘拐の”犯人”と思われる男を突き止めてからのスピード感に溢れた展開は素晴らしいですね。

読んでいて全く退屈しません。気づけばラストまで読み進めています。


そして、このラストで明かされる真実も驚くべきもの。

犯人に関しては、前半で少し疑っていたのですが、途中から完全に容疑者から外してしまい、最後になるまで結局気づきませんでした。

伏線もしっかり張ってあって、よく出来ています。

確かに本書は”誘拐もの”の代表作として挙げられるべき作品でしょう。

最後まで父親の一人称のため、法月の心情ははっきりとはわかりませんが、隠された名探偵の苦悩がラストで透けて見えるのも良いですね。

法月の存在がこの事件にどういう影響をもたらしたのか、ということを考えると・・・・・・。

「頼子のために」といい本書といい、これはトラウマになりそうです・・・・・・。彼も一人の人間なのですし。


一つだけ難点があるとすれば、密室の必然性が薄い、ということでしょうか。これだけは、少し無理がある気がしましたが、それを差し引いても良作といって良い出来でしょう。8点


それにしても、法月シリーズがこんなに面白いとは。

これは絶対に他の作品も読まないといけませんね。

第七回「本格ミステリ大賞」発表記念座談会

一昨日の日曜日、第七回「本格ミステリ大賞」発表記念座談会 に参加してきました。


友人二人と出かけたのですが、神保町に着くと、予想もしていなかった大雨。・・・・・・道路が水溜り状態、なんて久々に見ました。

それも午後からは徐々にやんできたので助かりましたが。


さて、肝心の座談会の内容ですが。

・・・・・・メモを忘れてしまいました・・・・・・。

一応録音はしてあるのですが・・・・・・。既に各所で詳細なレポートをかかれている方がいらっしゃるので、今回はあまり多くは書きません。


とりあえず、心に残ったことは色々あるのですが、

やはり道尾さんの作品がらみの話が一番多かったような気がします。

その中でも、道尾さんが強調されていた”救い”の話には、とても共感できました。

曰く、「シャドウ」は”救い”を描いたが、”救い”=ハッピーエンドとは限らない、と。

これは色々な作品にいえると思いますが・・・・・・。

「人間を描くためのミステリ」などの話よりも、なぜかこれが一番、心に残りました。


また、法月さんのお話を聞くのは初めてだったのですが、

なぜか、5人の中で一番、達観しているように感じられました・・・・・・。

一言一言が落ち着いていながら、どこか寂しそう・・・・・・というか。

直前に法月作品を読んでいたからそう感じただけでしょうか。

サイン会の時に一言二言お話させていただいたのですが、そのときも静かに暗いことを仰っていました。

作中の法月ではありませんが、確かに”苦悩する名探偵”を想起してしまいました。

それでも・・・・・・格好良かったのですが。

道尾さんとは対照的な方だなあ、と感じました。


北村さん、綾辻さんは、以前お会いしたときと変わらず。本当に場慣れしているな、と。綾辻さんが道尾さんを強くプッシュしていたのが印象的でした。

巽さんは・・・・・・。綾辻さんが仰っていたように、まさに”学校の教員”といった雰囲気でした。


予想より短かったですが、焦点が絞ってあったためか、非常に密度の濃い座談会でした。これは是非、来年も参加したいですね。

関係者の皆様、ありがとうございました。



座談会終了後は、友人と別れて、

その後のお茶会に参加させていただいたのですが・・・・・・。

初めてお会いする方ばかりだったにも関わらず、色々なお話が出来て楽しかったです。どうもありがとうございました。

機会があれば是非またよろしくお願いします。


追記:

TRICK+TRAP7月例会 にも申し込んできました。

参加される方は、よろしくお願いします。

森見登美彦 「夜は短し歩けよ乙女」

森見 登美彦
夜は短し歩けよ乙女

私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。

「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。

「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」

…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。

天然キャラ女子に萌える男子の純情!

キュートで奇抜な恋愛小説in京都。


 ◆ ◆ ◆


「Sweet Blue Age 」で表題作を読んだときには、正直言って、大して面白いとは感じなかったのです。

文章のセンスについていけつ、ただひたすら困惑して読み終えただけでした。

実際、当時の感想を読み返しても、この作品には全く触れていません・・・・・・・。


そういったこともあってか、世間で面白いと評判になっているにも関わらず、長い間敬遠していたのですが・・・・・・。

友人の薦めで読んでみたら、これが面白い!

何故初読の際につまらないなどと感じてしまったのだろう? と、疑問に感じてしまうくらい。

これは・・・・・・。「少女七竈と七人の可愛そうな大人 」と全く同じパターンですね。

やはり読まず嫌いは良くないです。


表題作を単体で読んだときには、まさかこれが恋愛小説であるとは思いませんでしたが・・・・・・。

改めて読むと、これはもう、完璧に恋愛小説ですね。

最初は、独特な語り口調やファンタジー要素に「なんだこれ?」と戸惑うかもしれません。

それが気がつけば、ページを捲る手が止められないほど引き込まれています。


上手い感想が見つからないのですが、一言で言えば、読んでいて幸せになれる本だな、と。

それだけ心地よく、楽しいのです。

読み終わったあと、思わず「なむなむ」と呟いてみたくなること間違いなし。


これはもう、傑作としか言いようがないです。

舞台が京都、というところもいい。表紙も素晴らしい。文句の付け様がありません。

本当に素敵な恋愛小説でした。9点

この感覚は是非、読んで味わってみてください。

法月綸太郎 「頼子のために」

法月 綸太郎
頼子のために

「頼子が死んだ」。17歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶ──という手記を残していた。手記を読んだ名探偵法月綸太郎が、事件の真相解明にのりだすと、やがて驚愕の展開が!

精緻構成が冴える野心作。


 ◆ ◆ ◆


長い間積んでいたのですが、ようやく読めました。

一つの手記を元に真相を推理していく、シンプルなミステリですが、構成、真相ともに素晴らしいです。

これほどシンプルにネタを絞ってあるミステリは、最近ではあまり見ません。

勿論その分、完成度も高いです。


今から二十近く前に発表された作品名だけあって、さすがに今読むと真相の大半は予想がついてしまうのですが、それでもなお、心に残るものがあるのは、本書がミステリでありながら家族小説の側面も持っているからでしょうか。

ラストで明かされる真相は、確かに衝撃的ですが、酷く後味の悪いものです。

ラスト一行ではありませんが・・・・・・・。

早い段階で真相が読めたにも関わらず、さむけを覚えました。

恐ろしいのですが、それだけではなく物悲しさも感じます。


このテーマの作品は良く見かけますが、登場人物の心理も含めて、ここまでしっかり描き出しているものは少ないです。

上手い表現が見つからないのですが、いわゆる”ゲーム的”な話になっていないのが良いのかな、と。

ミステリとしての仕掛け以上のものがあるように思いました。


間違いなく、今でも読む価値のある作品です。

後期クイーン論などは一旦置いておいて・・・・・・・。

ミステリ、というよりも、普通の小説の感覚で読み始めるのが良いかな、と。

決して派手ではないのですが、心に残る本ではあるでしょう。

ミステリ読み始めの頃に出会いたかったなあ、と久々に感じた一冊でした。7点