森見登美彦 「夜は短し歩けよ乙女」
- 森見 登美彦
- 夜は短し歩けよ乙女
私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。
「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。
「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」
…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。
天然キャラ女子に萌える男子の純情!
キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
◆ ◆ ◆
「Sweet Blue Age 」で表題作を読んだときには、正直言って、大して面白いとは感じなかったのです。
文章のセンスについていけつ、ただひたすら困惑して読み終えただけでした。
実際、当時の感想を読み返しても、この作品には全く触れていません・・・・・・・。
そういったこともあってか、世間で面白いと評判になっているにも関わらず、長い間敬遠していたのですが・・・・・・。
友人の薦めで読んでみたら、これが面白い!
何故初読の際につまらないなどと感じてしまったのだろう? と、疑問に感じてしまうくらい。
これは・・・・・・。「少女七竈と七人の可愛そうな大人 」と全く同じパターンですね。
やはり読まず嫌いは良くないです。
表題作を単体で読んだときには、まさかこれが恋愛小説であるとは思いませんでしたが・・・・・・。
改めて読むと、これはもう、完璧に恋愛小説ですね。
最初は、独特な語り口調やファンタジー要素に「なんだこれ?」と戸惑うかもしれません。
それが気がつけば、ページを捲る手が止められないほど引き込まれています。
上手い感想が見つからないのですが、一言で言えば、読んでいて幸せになれる本だな、と。
それだけ心地よく、楽しいのです。
読み終わったあと、思わず「なむなむ」と呟いてみたくなること間違いなし。
これはもう、傑作としか言いようがないです。
舞台が京都、というところもいい。表紙も素晴らしい。文句の付け様がありません。
本当に素敵な恋愛小説でした。9点。
この感覚は是非、読んで味わってみてください。