天気の子　研究編７＜帆高が家出した背景考察＞

天気の子は、帆高が神津島（東京都）から家出して、東京（本州）に来る話です。

そこで、気になるのは、帆高が家出をした背景です。高校生がお金が少ないまま１人で船に乗って東京（本州）に行き、１人でやっていこうとするなんて、普通はなかなかありません。それだけに、帆高にそこまで決意させる何かがあったと気にかかるわけです。

ちなみに、新海監督は、この正式な理由は明らかにしていません。それを映画内で明らかにすると新海監督が意図した路線とズレてしまうからのようです。だから、理由を決めつけるわけではなく、このブログでは、映画から考察できることを書いていきます。こういう考えもあると思っていただければと思います。

家出の背景の考察１

まずは、帆高の島での姿や船で出発するシーンを思い起こしてみましょう。何しろ、家出をしてすぐですから。帆高の顔に注目してみると、顔が傷だらけです・・・。ケガをしてまだ間もない頃と判断できます。顔をここまで怪我をするというのは、普通ではありません。家出の理由は学校ではなく家庭のようですから、そうだとすると、親から殴られたと考えるのが一番あり得ることだと思います。家庭内で日常的に暴力を受けていたのか、何かをきっかけにたまたまこのとき親とけんかになったのか。個人的には１回あっただけでは家出にはならないと思いますので、普段から親とうまくいっておらず、それが今回殴られて、たまっていた想いが爆発して家出を決意したのだろうと思われます。

家出の背景の考察２

新宿の歌舞伎町で怪しい２人組に陽菜が連れていかれることを恐れた帆高は、強引に陽菜を連れ出し、逃げます。しかし、歌舞伎町のホテルの前で追いつかれ、殴られます。このシーンに、家出の背景が見受けられるようにも思えます。

男が帆高を殴るシーンで、帆高は気が高ぶってピストルを発砲します。帆高は後になって、代々木の廃ビルで陽菜に「おもちゃだと思った。」と言っています。とは言え、ＢＢ弾くらいは出るかもと思っていたのではないでしょうか。そして、このとき、帆高が発砲してしまったのは、男が自分に暴力を振るってきた場面であり、これは、父親からの暴力と男からの暴力が重なって気が高ぶり、発砲に至ったと考えられます。暴力を受けることに対して、帆高は人より意識が強かったのでしょう。

家出の背景の考察３

陽菜の家に帆高がいたとき、安井刑事と婦人警官の２人が来たシーンがあります。そこで、警察から「親御さんから捜索願が出ていてね・・・。」と陽菜が言われたとき、陰に隠れていた帆高が「え！？」とドキッとしたシーンがあります。

家出をしたら、そうなるのは当然のことなのに、帆高はずいぶん意外そうな表情をします。ここに家出の背景が垣間見えます。帆高にとって、親が捜索願を出すことは想像していなかったのではないでしょうか。つまり、自分が家出をしたところで、親はそこまで心配しないという、放任主義と言うか、ネグレクトと言うか、そういう保護者像が考えられます。だから、親が自分のことを心配して捜索願を出していたことに驚いたのではないでしょうか。

家出の背景の考察４

帆高が家庭で暴力を受けていたと思われる理由がもう１つあります。それは、確定ではないことなので不確か情報としてご了承ください。

実は、ブルーレイ版が発売されていますが、それが映画の映像を何シーンも作り直しているという情報が出回っています。その中の１つに、帆高の顔の怪我が増やされているというものがあります。わざわざ怪我を増やすということは、帆高が家出を決意するに至ったのには、映画よりもっと怪我をしていた方が妥当だと判断された可能性があります。ちょっと怪我したくらいでは家出しませんからね。家出の背景を明らかにしないという新海監督の考えがあるのに、わざわざ怪我を増やして家出の背景をより分かりやすくしていることに疑問があるのですが、明らかにはしないが分かりやすくはする、というのはありかもしれませんね。

以上のような理由が考えられます。

過去記事はこちら

「天気の子」ロケ地巡り＜池袋編＞