昨日掲載のヘレンベルガー・ホーフハウスメッセの続き:ジャン・ブッシャーJean Buscherのワイン群の中にもう一つ印象的なワインがありました。


講師の雑記 ニーベルンゲンキュヴェ ヴァイサー&グラウアー・ブルグンダー 2003 Nibelungen Cuvee Weiser & Grauer BURGUNDERで樽醗酵、樽熟成されたしっかりしたコクを持ちバランスの良い中辛口です。



ピノ・ブラン種とピノ・グリ種のブレンドです。このワイナリーが在る町、ベヒトハイムBechtheimが属するヴォルムスWorms地域では、これらピノ種は伝統的なもので、ドイツではブルグンダーBurgunderと言われています。

ドイツのニーベルンゲン伝説によれば、5世紀頃、ヴォルムスがブルグントBurgund国の首都でグンターGuntherという王様が居ました。ブッシャー氏は、このはっきりしたミネラル感を持った力強く印象的なワインは、もし当時存在していたら、グンター王はじめとするブルグンド人たちをも魅了したであろうと言っていました。それでニーベルンゲンキュヴェと名付けたのでしょう。


50年も前、1960年にバイロイト音楽祭に行ってワーグナーの楽劇「ニーベルンゲンの指輪Der Ring des Nibelungen」の「ジークフリートSiegfried」を観て、当時は物語の内容も良く知らず、4時間にも及ぶ観劇に(観客席は硬い木製の椅子)辟易としたのを思い出しました。でも、公園の小高い丘の上にある1876年完成の木造の劇場、古風な衣装を着た観客たちが丘を歩いて登ってくる光景、劇場の内部の歴史を感じさせる雰囲気などに感激したのも懐かしい思い出です。改めてこの伝説の知識を仕入れようと、「ジークフリート伝説、ワーグナー「指環」の源流」石川栄佐著、講談社学術文庫を買ってきて読んでいます。まだ好奇心が衰えていないことに自己満足しています。







320日にヘレンベルガー・ホーフのハウスメッセに行った帰りに友人夫妻と4人で、友人の案内で大阪の靭本町にあるイタリアレストラン「オピューム」で昼食をとりました。


講師の雑記 私は 初めて行った店でしたが、応対が丁寧で、イタリアのソムリエプロフェショニスタの資格を持つ石垣亜也子さんの詳しいワインの説明と、美味しい料理内容にしては安い値段、落ち着いた歴史を感じさせる趣ある部屋の雰囲気の中で大変気持ち良く食事をしました。何時か紹介したい店です。


食後は、ハウスメッセから飲み続いているワインでほろ酔い気分で、暖かい日差しの下、靭公園を散歩して早咲きの桜を見つけました。友人がその写真を送ってくれましたので掲載します。やはり春は良いな、夫婦同士で付き合える友人関係は良いなと改めて感じた一日でした。

ヘレンベルガー・ホーフのハウスメッセに行ってきました。50種類以上の無料試飲ができ、朝早くから大勢の人が来ていました。


講師の雑記 会場奥の一角に、ヴァイン・グート・ブッシャーWeingut Jean Buscher10種類のワインが並んでいて、試飲している皆さんから「美味しい!」と感嘆の声が上がっていました。 ワイナリー当主のジャン・ミヒャエル・ブッシャーJean Michael Buscher夫妻が居られたのでお話ししながらテイスティングしました。フルーティさを目指してワイン造りをしているとのことで、柔らかなバランスの良い飲みやすい味わいで、思わず「美味しい!」という言葉がでるのも頷けます。


10種類の中でドルンフェルダー種の二つのワインが印象的でした。


12003 ドルンフェルダー トロッケン QbA 辛口

(12.6%ALC.、 残糖3.9 g/l、酸3.8 g/)


22008 ドルンフェルダー トロッケン QbA 中辛口

(11.4%ALC、残糖30.6 g/l)


講師の雑記 講師の雑記


二つのワインとも大変柔らかで、1の辛口でもかすかに甘みを感じさせ、フルーティで楽しく飲めるワインでした。ドルンフェルダー種ワインに対する先入観が変わりました。ドルンフェルダー種は渋みが少ないので、初めに少し高温で色を出した後、低温で醗酵を続けてフルーティに仕上げたそうです。上手な作りをしているなと感じさせます。


ところで、このワインのラベルの絵について質問してみました。

このワイナリーは、ラインヘッセンの南東端ヴォルムスWormsの少し北にあるベヒトハイムBechtheimにあります。この町に1000年も前から在る教会に天使の群像の絵があって、現当主の祖父がその絵をモチーフにしてワイナリーに壁画を描かせたものをラベルにしたそうです。このラベルの絵が一時アメリカで、幼児の裸の絵だということでクレームになったそうです。なんだかムートン・ロートシルトの1993年のラベルにバルテュスBalthusの描いた少女の裸体画がアメリカでクレームがついて、アメリカではその年のラベルは絵が無かったという話を思い出しました。2006年からラベルの絵が縮小されましたが、以前の方が趣があったのにと思います。デザイン的には新しいラベルの方が現代的なのでしょうか。


なお、2006929日付講師の雑記でこのワイナリーの甘口赤ワイン「眠り姫」を紹介していますが、今回はこの赤ワイン「眠り姫」に加えてムスカテラー種とゲヴュルツトラミネル種のブレンドの甘口白ワインの「眠り姫」が出品されていました。赤、白ともドイツで大変人気が出ているそうです。ブッシャー氏は、しきりに日本語で「ネ・ム・リ・ヒ・メ」と言って印象付けていました。





前回紹介した日本リカー輸入のイル・ピーノ・ディ・ビセルノに関して、さらに、このワインを調べていきますと、色々なサイトによってこの生産者名がテヌータ・ディ・ビセルノTenuta di Bisernoとかカンポ・ディ・サッソCampo di Sassoとか書かれていますので、日本リカーにこの二つの関係を聞いてみました。次の様な親切な回答を貰いました。



≪ワイナリー設立時、この地方の名前「カンポ・ディ・サッソ」に因んでワインナリー名を「カンポ・ディ・サッソ」とした。2009年に、ワイナリー名が「テヌータ・ディ・ビセルノ」に変更されたが、日本では「カンポ・ディ・サッソ」の名前が市場で確立しているので、現在も「カンポ・ディ・サッソ」を使用している。≫




日本リカーhttp://www.nlwine.com/  のイタリアワイン試飲会に行ってきました。時間が無くてあまりゆっくりできませんでしたが、気になったワインをご紹介します。

講師の雑記 (1)
 アルテマージ・ブリュトAltemasi Brut 2003 

トレンチーノ-アルト・アディジェ地方のDOC Trentoでシャルドネ100%、カヴィットCavit社のトラディショナル法によるミレジメ・スプマンテ・クラッシコです。



細かい持続する泡、複雑な香り、バランスの良さで申し分ないスプマンテで希望小売価格2,800円は注目です。同じDOC トレントではフェッラーリFerrariが有名ですが、畑が隣り合っていると聞くとこのワインの安値感が増します。




講師の雑記 (2)
 イル・ビーノ・ディ・ビセルノIl Pino di Biserno 2005 IGT Toscana

フィレンツェの老舗ワイナリー、アンティーリAntinori侯爵家の当主ピエロPieroとオルネライアOrnerraiaで有名になった弟のロドヴィコLodovicoが共同して、コンサルタントワインメーカーのミッシェル・ロランMichel Rollandをコンサルタントにして設立したテヌータ・ディ・ビセルノTenuta di Bisernoのワインです。ワイナリーは、トスカーナの西海岸北部マレンマUpper Maremma地区内、ボルゲリBorgheriの少し北ビッボーナBibbonaにあります。



2005年物はカベルネ・フラン35%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、メルロ20%、プティ・ヴェルド15%。複雑味とバランスの良さで非常に印象的で、希望小売価格9,000円は納得できました。初ヴィンテージが2004年だそうで、これからが楽しみなワインです。樹齢が2001年植樹と若いので、毎年ロドヴィコが品種ごと、収穫ごとに仕込んだワインを官能検査して自分のイメージの味わいになるようブレンドをしているそうです。



ところで、ピエロとロドヴィコ兄弟は仲が悪いという噂でしたが、仲直りしてこのワイナリーを共同設立したそうです。



ラベルの絵には、2頭のいのしし(馬みたいに見えますが、トスカーナのことでもあり猪だそうです)Pino(松かさ)を持っていますが、この2頭が兄弟を表しているそうです。松かさにリボンか絡まっていて“In Tempore Uniti”と書かれています。「一緒になる時が来た」ということでしょうか。将来とも兄弟仲良くやってもらいたいものです。




(3)ブレッグ・アンフォラBreg Anfora 2003 IGT

フリウーリ・ヴェネツィア・ジューリア地方のグラヴネルGravnerのワインです。品種はソーヴィニヨン47%、ピノ・グリージョ26%、シャルドネ20%、リースリング・イタリコ7%。グルジア産アンフォラ壺で醗酵させた自然志向の珍しいワインです。薄いとは言えない黄色でコクがあり、ニコラ・ジョリーNicolas JolyClos de la Culee de Serrantをなんとなく思い出させる風味でした。希望小売価格が11,800円と聞くとちょっと引いてしまいますが、古代のワイン造りの原点を志向したようなワインなので好奇心の旺盛な方は経験してみる価値はありそうです。



ところで、このワインに使われているリースリング・イタリコRiesling Italicoは、ドイツで有名なリースリングとは全く違った品種で中央ヨーロッパで使われているWelschrieslingのことです。イタリアで、リースリング・イタリコと区別する時はドイツの有名なリースリングをリースリング・レナーノRiesling Renanoと呼んでいます。

















シャンパーニュ委員会日本事務所公式サイトhttp://www.champagne.jp/  でシャンパーニュの甘辛度表示規定が2009714日に変更されていることを遅ればせながら知りましたので、ご紹介します。



≪この規定は、EU圏内で製造される全てのVMQPRD( Vin mousseux de qualité produit dans une région determine=地域指定優良ヴァン・ムスー) クラスの生産地特定発泡性ワインに適用される。



Extra brut 0~6 g/l 

Brut    12 g/l未満 (改訂前15 g/l以内)

Extra dry 12~17 g/l  (改訂前 12~20 g/l)

Sec    17~32 g/l  (改訂前 17~35 g/l)

Demi-sec 32~50 g/l  (改訂前 33~50 g/l)

Doux    50 g/l以上



残留糖度が3g/l未満、もしくは加糖していない場合、次のように記すことがある。

Brut NaturePas DoséDosage Zero

(Brut ZeroBrut SauvageUltra Brutという言葉はこの規定に存在しないので、これらの用語が使われる場合、Brut NaturePas DoséDosage Zeroという言葉をラベルに加える。)



上記規定では、1リットル中 プラス・マイナス3g/lの許容範囲が認められている。

例えば、残糖15g/lのシャンパーニュであればBrutと名乗ることもできる。≫



甘辛度規定の各数字を覚えるのが少し楽になった感じですが、しばらくは新旧両方の数字を覚えておかなければならないので大変ですね。






シャンパーニュのプルミエ・クリュPremier Cruの規定に関し、2009年度ソムリエ協会教本163頁では「100%に査定されたコミューンの畑で収穫されたぶどうから造られたワインは、グラン・クリュと表記し、99%90%に査定されたコミューンの畑から造られたワインは、プルミエ・クリュ(Premier Cru)の表示ができる。」とあり、166頁には、「Grand Cru:格付けCru100%の畑のぶどうだけで造ったシャンパーニュ。Premier Cru:格付けCru90%以上のぶどうだけで造ったシャンパーニュ。」と解説されています。プルミエ・クリューの説明に両者矛盾があります。即ち、Cru100%の畑のぶどうはPremier Cruには含められないのか、含められるのかという疑問です。



前者の説明は、2009年度版に追加記述されたものです。プルミエ・クリュに関しては、過去にも一度90%99%と教本に解説されたことがあり、これを正解として出題されました。その後、90%~100%と教本の解説が変わり、これをもとに出題されたこともあります。



一体どちらが正しいのか判断が付きかねますので、シャンパーニュのエペルネEpernayにあるシャンパーニュ委員会Comite Interprofessionnel du Vin de Champagne (CIVC)に直接e‐メールで聞いてみました。折り返し下記の返事を貰いました。



「プルミエ・クリュはCru90%以上の畑のぶどうで造ったシャンパーニュである。Cru100%の畑のぶどうも用いることができる。Cru100%の畑のぶどうだけで造ればグラン・クリュとラベルに記載できる。」上記教本の解説の後者の説明の通りでした。


ソムリエ協会の今年度の教本が数カ月以内に出来上がる筈ですので、上記矛盾の記述が改訂されることを期待します。







オーストラリアワインを専門に輸入展開しているファームストン株式会社http://www.farmstone.com/  の掲題テーマの試飲会に行ってきました。

60種類の試飲をしましたが、さすがにオーストラリアワインを良く知っていると感じさせるコストパーフォーマンスの高いワインが多く揃っていました。


講師の雑記 アンケートの質問に従って上位
3位を選んでみました。僅差でその他のワインも続きます。

第1位 グレッツアーGlaetzerのアナペレンナAnaperenna2007右写真;バロッサ・ヴァレーのエベネザーEbenezer畑のシラーズ(樹齢85)75%、カベルネ・ソーヴィニヨン(樹齢25)25%、樽熟成15ヶ月。参考小売価格7,200円と展示品の中でも高価ですが、これぞバロッサ・ヴァレーの洗練されたシラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンといえる抜群のバランスの高品質のワインでした。試飲会でシラーズを飲み続けると大抵は疲れてくるのですが、今回はバランスの良い故かすべて楽しめるワインでした。中でもアナペレンナが格別でした。高価なのも納得できます。 


2位 プランタジェネットPlantagenetのオムラ・カベルネ/メルロOmrah Cabernet/Merlot 2007;西オーストラリア州産でカベルネ・ソーヴィニヨン80%、メルロ20%20ヶ月樽熟成。参考小売価格2,200円、バランス良く高いコストパーフォーマンス。プランタジェネットのワインは、以前にも試飲して感銘を受けましたが(20081031日付講師の雑記参照)、今回もこの他にソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンなども出品されていて、いずれも甲乙付けがたいコストパーフォーマンスの高いワイン群でした。プランタジェネット王家の紋章の一部をラベルにしているのも語れるワインです。


3位 マックヘンリー・ホーネンMcHenry Hohnenのスリーアミゴス・ホワイトThree Amigos White 2006Three Amigos(3人の友人)という名前は、マルサンヌ43%、シャルドネ38%、ルーサンヌ19%3品種を使っている故だそうです。樽熟成9ヶ月。西オーストラリア州マーガレット・リヴァー地区。参考小売価格3,700円。バランスの良い複雑性に好感が持てました。





講師の雑記

3月6日から22日まで開催されるKOBEミュージックウォーク2010の開催記念コンサートに行ってきました。

開催場所は、元町の神戸栄光教会。演奏者は、2月に大阪心斎橋のカフェ・ド・ラ・ペでも聴いたことのあるピアニスト池宮正信氏でした。2月の会と大体同じ様な曲目演奏と心温まるトークでしたが、221日付け雑記に書いた通り、やはり「うれしい、楽しい、ありがとう」の全員での唱和は新鮮でした。


KOBEミュージックウォーク実行委員会によれば、ハーバーランドを含めて商店街の近辺でクラシックやポップスの街角コンサートなどのイヴェントが催されます。「光と花と音楽と」をテーマに、神戸震災15年目に街のさらなる活性化を目指した催しです。


主催者のwebsite http://kobe-mw.jp/index.html に詳細が書かれています。


池宮氏のコンサートの後、三宮のJR線より北側にあるレストランに入りましたが、店の人はこの催しを知りませんでした。Websiteのイヴェントマップにあるように、三宮―元町を結ぶJR線南側の商店街中心でまだ局部的なもののようですが、将来街全体の催しに発展することを期待します。


期間中に一度、音楽に包まれたおしゃれな街を散策してみたいと思います。









講師の雑記 京都文化博物館で開催されている掲題の展覧会に行ってきました。

古代カルタゴについては、30年以上前にチュニスに業務出張したときにカルタゴの遺跡を訪ねて感銘を受けたのと、海洋民族として地中海交易の覇者となり、ポエニ戦役で敗戦後ローマの属国となっても繁栄を続けたこの国のユニークな歴史に興味を持っていました。


何かワインにまつわるものがあるか期待してゆっくり見てきました。ローマ展といっても、古代ローマ人がポエニ戦争で勝ってカルタゴの都市を壊滅した跡にローマ人が再び建設した都市の遺跡の展示です。

全体的には色々面白いことが分かりましたが、ワインに関することに絞りますと、


(1) スペインのシェリー産地のカディス県にはBC1100年にはフェニキヤ人によってブドウ栽培が伝えられたとありますが、その後BC500年からはカルタゴがカディスを植民地にしていた。さらにその後BC200年ローマ支配に移る。

(2)カルタゴは、ローマ帝政時代には、帝国随一の穀物庫で良質の小麦、オリーブ、上等のワインを産していたと解説されていました。

(3)その割には、展示物にぶどうやワインのモティーフのものがありませんでした。浴室のモザイクの床は素晴らしものでしたが、描かれているモティーフにもありませんでした。強いて言えば、ワイン用にも使われていたかも知れない小型のアンフォラの壺が2点ほど展示されていましたが、ワインの記述はありませんでした。ギリシャや古代ローマの遺物にはこれらのモティーフのものが多いのに何故だろうと疑問に思いました。

たまたま展示品になかったのか、それとも何か理由があるのか興味を惹きます。

(4)会場のショップに、チュニジアワインが3種類ほど売っているだけでした。


講師の雑記 元日本銀行京都支店だった京都文化博物館 http://www.bunpaku.or.jp/  には、特別展のほか収蔵フィルムの映像ホールがあるなど新発見がありました。