団扇(うちわ)一本で動きを見る
「核心打法」のインパクトの動きの構造の話をする予定でしたが、驚くようなレッスンの実態をテレビで見て、インパクトのヘッドの動きの確認法の話に計画を変更しました。
ゴルフの先生が、腰を右に回してバック、左に回してヒットという動きを見せているのです。ここでの話題は、スライスやフックの対策でした。しかし腰を回して腕を振れば、普通の動きでは安定にまっすぐ打つことは難しいのです。
練習を重ねれば、軽業師のような動きでもボールが打てるようになるでしょうけれど、練習時間の限られる普通のゴルファーは、楽で確実な打ち方を求める筈です。そこでインパクトの腕の動きとヘッドの動きの様子を簡単に確認する方法を考えてみました。
団扇の柄を右手あるいは左手で握り、これを振ってインパクトの動きを見るという簡単なものです。まず楽に振れる右腕の振りで振ってみます。最初に腰を右に回し、左に回す動きで腕を振り、団扇の動きを見ます。インパクト点の辺りを振り抜く時の団扇の面の動きを見て下さい。インサイド・アウトに入って来て、アウトサイド・イン風に振られて行くのが見える筈です。
これに対して、右腕を体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ直線的に振り抜く、と意識して振ってみて下さい。団扇の面を左に向けたまま、体の前を左へ振り抜くのです。この意識で振ると、団扇の面が空気の抵抗を感じながら、体の前を左に向けて引き抜かれる筈です。スピードを上げてしっかり引き抜けば、この様子ははっきり分かります。
ここまで試したところで、今度は左手で団扇を握り右腕の場合と同じ動きの要領で振ってみます。まず腰の右への回転でバック、左への回転でヒットという動きです。右手の場合と同じような動きが見られる筈です。体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ直線的に振り抜く場合には、しっかり意識してインパクトを引き抜く必要がありますが、すぐに右手と同様に振り抜けるようになります。
これだけの簡単な動きの検証で、腰を回すスイングでボールを真っ直ぐ打つことの難しさが明瞭になります。インパクトの点の僅かな移動で外側にも内側にもボールが飛ぶ様子が見て取れます。これに比べると、体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ引き抜くという動きでは、かなりの区間を安定に引き抜くことができることが理解できます。
しかも、この真っ直ぐな引き抜きの動きを意識すると、自然に脚腰の踏ん張りで腕を引くようになります。「核心打法」の大きなパワー源の使い方が身に付くわけです。
これまで腰の回転で振る動きについて批判的な言葉を書き続けて来ました。これが誤解ではないかとの危惧の念もありましたが、この簡単な実験で、矢張り腰の回転で振る打法は普通のゴルファーには不利であると確信しました。試してみて下さい。
ゴルフの先生が、腰を右に回してバック、左に回してヒットという動きを見せているのです。ここでの話題は、スライスやフックの対策でした。しかし腰を回して腕を振れば、普通の動きでは安定にまっすぐ打つことは難しいのです。
練習を重ねれば、軽業師のような動きでもボールが打てるようになるでしょうけれど、練習時間の限られる普通のゴルファーは、楽で確実な打ち方を求める筈です。そこでインパクトの腕の動きとヘッドの動きの様子を簡単に確認する方法を考えてみました。
団扇の柄を右手あるいは左手で握り、これを振ってインパクトの動きを見るという簡単なものです。まず楽に振れる右腕の振りで振ってみます。最初に腰を右に回し、左に回す動きで腕を振り、団扇の動きを見ます。インパクト点の辺りを振り抜く時の団扇の面の動きを見て下さい。インサイド・アウトに入って来て、アウトサイド・イン風に振られて行くのが見える筈です。
これに対して、右腕を体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ直線的に振り抜く、と意識して振ってみて下さい。団扇の面を左に向けたまま、体の前を左へ振り抜くのです。この意識で振ると、団扇の面が空気の抵抗を感じながら、体の前を左に向けて引き抜かれる筈です。スピードを上げてしっかり引き抜けば、この様子ははっきり分かります。
ここまで試したところで、今度は左手で団扇を握り右腕の場合と同じ動きの要領で振ってみます。まず腰の右への回転でバック、左への回転でヒットという動きです。右手の場合と同じような動きが見られる筈です。体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ直線的に振り抜く場合には、しっかり意識してインパクトを引き抜く必要がありますが、すぐに右手と同様に振り抜けるようになります。
これだけの簡単な動きの検証で、腰を回すスイングでボールを真っ直ぐ打つことの難しさが明瞭になります。インパクトの点の僅かな移動で外側にも内側にもボールが飛ぶ様子が見て取れます。これに比べると、体の右側で振り上げ、振り下ろして左へ引き抜くという動きでは、かなりの区間を安定に引き抜くことができることが理解できます。
しかも、この真っ直ぐな引き抜きの動きを意識すると、自然に脚腰の踏ん張りで腕を引くようになります。「核心打法」の大きなパワー源の使い方が身に付くわけです。
これまで腰の回転で振る動きについて批判的な言葉を書き続けて来ました。これが誤解ではないかとの危惧の念もありましたが、この簡単な実験で、矢張り腰の回転で振る打法は普通のゴルファーには不利であると確信しました。試してみて下さい。
ヘッドを押す仕組みの働きを体感する
「腕がヘッドを後ろから押す」動きと言われても、馴染めないかもしれません。 Golf DigestのStack and Tiltの話の第二部では、ドライバーの打ち方の秘訣として、ドローを打つにはインパクトの間クラブのハンドル(握り:いわゆるグリップ)をヘッドの前に保て、と教えています。これはヘッドを「引いて」打てという教えです。そこで、ヘッドを押す動きを再確認します。
まず基本的な事実として、ヘッドを押して打つ動きは、右腕を強く使う動きであるということがあります。インパクトでは右肩の位置がボールの右にあることから、これは当然です。実際に右手でクラブを握ってボールを打とうとすれば、これはすぐ理解できます。
このことから、ヘッドを押して打つという動きが捉え難いのは、左腕の場合であることが分かります。そこで左手でクラブを握りヘッドで机の脚などを押してみます。これですぐ分かることは、左手の平でハンドル(クラブの柄)を上から押さえて握る伝統的な握り方では、手首が内側に折れて、腕がヘッドの先に出てしまうことです。
これまでのゴルフの世界を支配してきた左手の握り方は、ヘッドを引いて打つ動きを強制するのです。これに対抗するには、「秘伝:右手は引き左手は押す」(08-02-23)で試したように、ハンドルを左手の平ではなく、指の根元に近い部分で強く握ります。
この強い左手の握りで机の脚を押すと上腕が外側に回り、左肘が内側に引かれるようにして腕が固まり、グリップが強くヘッドを押します。そこで、右手も同じ要領で握り、立って両腕を体の前に水平に伸ばすと、シャフトが垂直に近く立ちます。ここからアドレスの構えに入り、両肘を伸ばせば両腕と両手が固まり、「マジック・グリップ」が出来上がります。
この構えでヘッドを机の脚に当てて押すと、自然に両脚腰が上体を右回りに押し返す形で踏ん張り、両腕が伸びて「右手は引き左手は押す」形になります。この時の腕とクラブの体勢は、細かな内容を無視すれば、Stack and Tiltの第二部で、ドライバーの駄目なインパクトを示す写真に似ています。このように、左手の握り方一つでスイングの動きの見方が反転することが分かります。
ここでの躓きの石は、このブログのインパクトの議論に「両脚腰が上体を右回りに押し返す形で踏ん張る」動きが登場することです。インパクトはボールを左方向に打つ動作ですから、インパクトでは上体は左に回る筈だと感じます。ところが実際の動きは、上体を右に回す動きの中で背骨が一瞬正面向きに引き止められて腕が伸び、次いで更に上体を右に回す動きで腕が左へ引かれるのです。
この動きは強力ですが、動きの構造は複雑です。これを次回に検討しましょう。これで、スイングのパワー発揮の仕組みが、より自然なイメージで捉えられるようになります。
まず基本的な事実として、ヘッドを押して打つ動きは、右腕を強く使う動きであるということがあります。インパクトでは右肩の位置がボールの右にあることから、これは当然です。実際に右手でクラブを握ってボールを打とうとすれば、これはすぐ理解できます。
このことから、ヘッドを押して打つという動きが捉え難いのは、左腕の場合であることが分かります。そこで左手でクラブを握りヘッドで机の脚などを押してみます。これですぐ分かることは、左手の平でハンドル(クラブの柄)を上から押さえて握る伝統的な握り方では、手首が内側に折れて、腕がヘッドの先に出てしまうことです。
これまでのゴルフの世界を支配してきた左手の握り方は、ヘッドを引いて打つ動きを強制するのです。これに対抗するには、「秘伝:右手は引き左手は押す」(08-02-23)で試したように、ハンドルを左手の平ではなく、指の根元に近い部分で強く握ります。
この強い左手の握りで机の脚を押すと上腕が外側に回り、左肘が内側に引かれるようにして腕が固まり、グリップが強くヘッドを押します。そこで、右手も同じ要領で握り、立って両腕を体の前に水平に伸ばすと、シャフトが垂直に近く立ちます。ここからアドレスの構えに入り、両肘を伸ばせば両腕と両手が固まり、「マジック・グリップ」が出来上がります。
この構えでヘッドを机の脚に当てて押すと、自然に両脚腰が上体を右回りに押し返す形で踏ん張り、両腕が伸びて「右手は引き左手は押す」形になります。この時の腕とクラブの体勢は、細かな内容を無視すれば、Stack and Tiltの第二部で、ドライバーの駄目なインパクトを示す写真に似ています。このように、左手の握り方一つでスイングの動きの見方が反転することが分かります。
ここでの躓きの石は、このブログのインパクトの議論に「両脚腰が上体を右回りに押し返す形で踏ん張る」動きが登場することです。インパクトはボールを左方向に打つ動作ですから、インパクトでは上体は左に回る筈だと感じます。ところが実際の動きは、上体を右に回す動きの中で背骨が一瞬正面向きに引き止められて腕が伸び、次いで更に上体を右に回す動きで腕が左へ引かれるのです。
この動きは強力ですが、動きの構造は複雑です。これを次回に検討しましょう。これで、スイングのパワー発揮の仕組みが、より自然なイメージで捉えられるようになります。
円周イメージは動きを難しくする
ケン・ベンチュリーが、彼の著書「アメリカン・スイングのメカニズム」でミラー・バーバーのスイングを取り上げたことは既に紹介しました(「野中の一本杉」打法(08-02-24))。その中で、バーバーのスイングの特徴として、「全体に、バックスイングで、多くの“角度”をつくり、ダウンスイングでは、数多くの調整を必要とするのである」と書いています。
ベンチュリーはこの本の最初(15-17頁)で“角度”の問題を取り上げ、スイングの途中で調整する“角度”が少ないほど、ボールの前後18インチのゾーン(いわゆるインパクト・ゾーン)で、スクエアにしやすい(フェースを目標線に直角に保ちやすい)としています。バーバーのスイングは“角度”が多いので良くないと見ているようです。
スイングの途中の角度の調整とは、ヘッドの動きの方向転換をすることです。ヘッドを直線的に動かし続けることは不可能で、実際的には滑らかな円周状の動きで振るのが理想的ということになります。これからの変化が“角度”として捉えられているのではないでしょうか。
「スイング面」のイメージは、体の軸を中心に円周状に振られる滑らかなヘッドの動きが生みます。ヘッドの動きに角(かど)があると、滑らかな面のイメージにはなりません。ところが、円周状にヘッドを走らせるとヘッドの向きは刻々変わり、連続的に角度の調整が要求されます。しかも、ベンチュリーも言うように、インパクトではスクエアにする必要があります。
円周状のヘッドの走りを利用して安定に振るのは、実は極めて難しい動きなのです。人間の通常の動きの典型である歩行動作では、腕は前後の振り上げ振り下ろしだけで、体の周りに円周状に振る動きはありません。そこで、この歩行動作を基礎にスイングの動きを考えると、腕の上下の動きを基礎にする、「野中の一本杉」風の動きこそが自然だという見方に到達するのです。
両腕での振り上げ振り下ろしの動きは、剣道の竹刀を振るような上げ下げの動きになります。この動作を体の右側で実行すれば、頭の安定保持の仕組みが働きいて急激な方向転換の動きが現れ、いわゆる火事場の馬鹿力風のパワーの利用が可能になります。これが、体の右側で高く上げ、体の右側で振り抜く、「核心打法」の原型になります。
この場合の“角度”の発生、すなわち動きの方向転換の主なものは、「深いトップ」の方向転換と、右脇前に振り下ろされるヘッドが、両腕の伸びの動きと共に左への直線的な動きに入る時に現れます。この最後の方向転換は反射的な動きで実現し、意識的な方向転換は「深いトップ」の動きだけになります。
このように見ると、如何にも奇妙に思われる「野中の一本杉」風の動きが、“角度”の現れの回数を極限まで減少させるものであることが分かります。動きの仕組みさえ分かれば、この動きを利用して振ることは簡単です。円周イメージはスイングを難しくする、という見方もあるのです。
ベンチュリーはこの本の最初(15-17頁)で“角度”の問題を取り上げ、スイングの途中で調整する“角度”が少ないほど、ボールの前後18インチのゾーン(いわゆるインパクト・ゾーン)で、スクエアにしやすい(フェースを目標線に直角に保ちやすい)としています。バーバーのスイングは“角度”が多いので良くないと見ているようです。
スイングの途中の角度の調整とは、ヘッドの動きの方向転換をすることです。ヘッドを直線的に動かし続けることは不可能で、実際的には滑らかな円周状の動きで振るのが理想的ということになります。これからの変化が“角度”として捉えられているのではないでしょうか。
「スイング面」のイメージは、体の軸を中心に円周状に振られる滑らかなヘッドの動きが生みます。ヘッドの動きに角(かど)があると、滑らかな面のイメージにはなりません。ところが、円周状にヘッドを走らせるとヘッドの向きは刻々変わり、連続的に角度の調整が要求されます。しかも、ベンチュリーも言うように、インパクトではスクエアにする必要があります。
円周状のヘッドの走りを利用して安定に振るのは、実は極めて難しい動きなのです。人間の通常の動きの典型である歩行動作では、腕は前後の振り上げ振り下ろしだけで、体の周りに円周状に振る動きはありません。そこで、この歩行動作を基礎にスイングの動きを考えると、腕の上下の動きを基礎にする、「野中の一本杉」風の動きこそが自然だという見方に到達するのです。
両腕での振り上げ振り下ろしの動きは、剣道の竹刀を振るような上げ下げの動きになります。この動作を体の右側で実行すれば、頭の安定保持の仕組みが働きいて急激な方向転換の動きが現れ、いわゆる火事場の馬鹿力風のパワーの利用が可能になります。これが、体の右側で高く上げ、体の右側で振り抜く、「核心打法」の原型になります。
この場合の“角度”の発生、すなわち動きの方向転換の主なものは、「深いトップ」の方向転換と、右脇前に振り下ろされるヘッドが、両腕の伸びの動きと共に左への直線的な動きに入る時に現れます。この最後の方向転換は反射的な動きで実現し、意識的な方向転換は「深いトップ」の動きだけになります。
このように見ると、如何にも奇妙に思われる「野中の一本杉」風の動きが、“角度”の現れの回数を極限まで減少させるものであることが分かります。動きの仕組みさえ分かれば、この動きを利用して振ることは簡単です。円周イメージはスイングを難しくする、という見方もあるのです。
手の強い動きは足の動きが作る
「核心打法」で現れる手の「螺旋」の動きが足の「螺旋」の動きに繋がることは既に見てあります(「秘伝:右手は引き左手は押す」(08-02-23))。しかしこの話だけでは、この手と足の動きの繋がりは「核心打法」の特殊な動きが生み出すと考えてしまいます。
ゴルファーにとってこれは危険なことです。クラブを振る動作は、地球と小地球(クラブ)を結ぶシステムの動きであることから、手の動きを足の動きで作る意識が常に必要なのです。
このことの影響を見るために、クラブを体の前で右に左に振る動きを考えてみます。実際に振るのではなく頭で考えるのです。頭で考えても動きの感覚は分からないでしょうから、立って右手でクラブを握る形を作り、この右手のグリップの動きを考えます。まず右手のグリップを右に引き、そこから左に引きます。
ここで足の動きと手の動きの繋がりを意識すれば、両足の踏ん張りでグリップを左へ引き戻す気になります。腰で引くと手に力が入らないからです。前回の逆秘伝の話では、さり気なく腰の動きでクラブを左に振るとして話を進めています。これで手の力強い動きを忘れた動きに入ってしまうのです。
このように考えると、インパクトに向けて腰の動きで入る理由がははっきりしなくなります。頭と背骨を正面に向けて固定する形で振るミラー・バーバーに対し、バイロン・ネルソンが「なぜ、まともなスイングを習わなかったか?」と質問したという話も奇妙に聞こえます。ネルソン自身が腰の動きでクラブを振っていたでけのことではないか、とも考えられるからです。
足の踏ん張りでクラブを左に振る動きを作ってみて下さい。何となく腰を回して振っていた人の場合には、世界を見る目が変わる筈です。その効果を、実際にチップ・ショットで試してみるのもよいでしょう。
ここまで来ると、我々のスイングの見方が、如何に根拠のない思い込みに支配されているのか明らかになります。腕を振って安定なショットを打つという目的意識を再確認し、体の動きの効果を検討すべきです。間違った道に踏み込むとと、いくら努力しても良い結果を安定して得ることは難しくなります。
そこで次回は、ゴルファーを苦難の道に誘い込む、元凶とも言うべきものの性格を明らかにすることを試みます。
ゴルファーにとってこれは危険なことです。クラブを振る動作は、地球と小地球(クラブ)を結ぶシステムの動きであることから、手の動きを足の動きで作る意識が常に必要なのです。
このことの影響を見るために、クラブを体の前で右に左に振る動きを考えてみます。実際に振るのではなく頭で考えるのです。頭で考えても動きの感覚は分からないでしょうから、立って右手でクラブを握る形を作り、この右手のグリップの動きを考えます。まず右手のグリップを右に引き、そこから左に引きます。
ここで足の動きと手の動きの繋がりを意識すれば、両足の踏ん張りでグリップを左へ引き戻す気になります。腰で引くと手に力が入らないからです。前回の逆秘伝の話では、さり気なく腰の動きでクラブを左に振るとして話を進めています。これで手の力強い動きを忘れた動きに入ってしまうのです。
このように考えると、インパクトに向けて腰の動きで入る理由がははっきりしなくなります。頭と背骨を正面に向けて固定する形で振るミラー・バーバーに対し、バイロン・ネルソンが「なぜ、まともなスイングを習わなかったか?」と質問したという話も奇妙に聞こえます。ネルソン自身が腰の動きでクラブを振っていたでけのことではないか、とも考えられるからです。
足の踏ん張りでクラブを左に振る動きを作ってみて下さい。何となく腰を回して振っていた人の場合には、世界を見る目が変わる筈です。その効果を、実際にチップ・ショットで試してみるのもよいでしょう。
ここまで来ると、我々のスイングの見方が、如何に根拠のない思い込みに支配されているのか明らかになります。腕を振って安定なショットを打つという目的意識を再確認し、体の動きの効果を検討すべきです。間違った道に踏み込むとと、いくら努力しても良い結果を安定して得ることは難しくなります。
そこで次回は、ゴルファーを苦難の道に誘い込む、元凶とも言うべきものの性格を明らかにすることを試みます。
逆秘伝「右手は押し左手は引く」?
この男は何でもひっくり返して見る、と言われたことがあります。そこで「右手は引き左手は押す」という秘伝(?)に対して、その反対に「右手は押し左手は引く」というグリップの動きを考えてみます。もちろんこれは「反魔法型」の動きの場合です。
当然左手は手の平の中央部分でハンドル(クラブの柄)を上から握る伝統的なグリップにします。この左手の親指を右手の後ろ三本の指で握ると、伝統的なグリップの動きができます。
この両手のグリップでアドレスの構えを作り、ここからヘッドを右に引く動きを作ると、左手の小指側が左に回ります。これはクラブを左手で引く動きです。もちろん右手は親指側が右に回ります。これはハンドルをヘッド方向に押す動きです。これはホーガンの「モダン・ゴルフ」のバック・ワグルの図の動きと一致し、まさしく「右手は押し左手は引く」形の動きになります。
クラブを握り、この動きでバックスイングをスタートすると、腕と肩の動きだけでヘッドが右水平の位置に上がります。これは多くの連続写真に見られる、典型的なテークバックの形と思われる体勢です。この位置から腰の動きでクラブを左水平の位置まで振ってみると、体の前で左グリップが右に、右グリップが左へと、左右のグリップの前後関係が入れ替わります。
実際にクラブを振ると、この動きでボールを打つことが分かります。この時も左手はハンドルを逆方向に引き、右手は順方向に押す動きになります。ボールの位置を適当に選べば、これで実際にボールが打てます。しかし、ボールの位置の選び方も、ボールの飛び方の制御も難しいことはすぐ分かります。多くの修練が要求されることが分かります。
これに対して「マジック・グリップ」でのバックはヘッドが急激に上がります。しかしボールを打つ動きでは右手の引きの動きで素早くヘッドを目標方向に回し、左手がヘッドを横から押す形になり、方向性の確保が簡単になります。これが秘伝「右手は引き左手は押す」の動きで、右手は軽やかに動き、左手は重々しく動くわけです。
「反魔法型」のインパクトの逆秘伝(?)の動きでは、強い右手が押すことになり、それでなくても弱い左手が働き難くなることが分かります。左手を強く使うつもりの左前腕回外の動きが、逆に右手の動きを強める形に引き込むわけで、直感的に実行する動きの内容は、期待する動きとは必ずしも一致しないことが分かります。
さて、今回の話は一見筋が通っているかのように見えますが、まだ見落としていることがあるのです。それは、さり気なく腰の動きでクラブを左に振ったことです。実はこの動きこそ全ての問題の根元なのです。手の力強い動きは脚の動きが作る、ということを忘れているのです。これに気がつくと動きの見方が変わります。これを次回に検討しましょう。まだまだ何かありそうです。
当然左手は手の平の中央部分でハンドル(クラブの柄)を上から握る伝統的なグリップにします。この左手の親指を右手の後ろ三本の指で握ると、伝統的なグリップの動きができます。
この両手のグリップでアドレスの構えを作り、ここからヘッドを右に引く動きを作ると、左手の小指側が左に回ります。これはクラブを左手で引く動きです。もちろん右手は親指側が右に回ります。これはハンドルをヘッド方向に押す動きです。これはホーガンの「モダン・ゴルフ」のバック・ワグルの図の動きと一致し、まさしく「右手は押し左手は引く」形の動きになります。
クラブを握り、この動きでバックスイングをスタートすると、腕と肩の動きだけでヘッドが右水平の位置に上がります。これは多くの連続写真に見られる、典型的なテークバックの形と思われる体勢です。この位置から腰の動きでクラブを左水平の位置まで振ってみると、体の前で左グリップが右に、右グリップが左へと、左右のグリップの前後関係が入れ替わります。
実際にクラブを振ると、この動きでボールを打つことが分かります。この時も左手はハンドルを逆方向に引き、右手は順方向に押す動きになります。ボールの位置を適当に選べば、これで実際にボールが打てます。しかし、ボールの位置の選び方も、ボールの飛び方の制御も難しいことはすぐ分かります。多くの修練が要求されることが分かります。
これに対して「マジック・グリップ」でのバックはヘッドが急激に上がります。しかしボールを打つ動きでは右手の引きの動きで素早くヘッドを目標方向に回し、左手がヘッドを横から押す形になり、方向性の確保が簡単になります。これが秘伝「右手は引き左手は押す」の動きで、右手は軽やかに動き、左手は重々しく動くわけです。
「反魔法型」のインパクトの逆秘伝(?)の動きでは、強い右手が押すことになり、それでなくても弱い左手が働き難くなることが分かります。左手を強く使うつもりの左前腕回外の動きが、逆に右手の動きを強める形に引き込むわけで、直感的に実行する動きの内容は、期待する動きとは必ずしも一致しないことが分かります。
さて、今回の話は一見筋が通っているかのように見えますが、まだ見落としていることがあるのです。それは、さり気なく腰の動きでクラブを左に振ったことです。実はこの動きこそ全ての問題の根元なのです。手の力強い動きは脚の動きが作る、ということを忘れているのです。これに気がつくと動きの見方が変わります。これを次回に検討しましょう。まだまだ何かありそうです。
「野中の一本杉」打法
「野中の一本杉」打法
野武士風の雰囲気のあるゴルファーと一緒にラウンドしたことがあります。この人は、ティー・グラウンドに立つと、クラブを両腕で高々とさし上げます。丁度、広い野原の中に一本すっくと伸びる、一本杉のような感覚です。これで猛烈に飛ばすのです。自分自身は左右の動きで振ることに集中していた頃で、これには度肝を抜かれる思いがしました。
最近の「核心打法」の動きの話の中に、右肘をフライング・エルボウかと思われるように上げる話が出ています(「「核心打法」は誰にも使える!」(07-12-06))。これはバックで右前腕を内側に回しながら、フライング・エルボウ風に肘が上がるまで、しっかり上げることを勧めるものです。この右腕の動きの重要性を考える中に、「野中の一本杉」のイメージが頭に浮かびました。
この高いトップからのダウンはどうなるのか。これが気になり手もとの資料を探ってみました。すると、同じような動きをする日本の山本嘉夫プロの話(杉山悟著 プロの極意 名手直伝 白馬出版 1987年 175-8頁)と、ミラー・バーバーの話(ケン・ベンチュリー著 金田武明訳 アメリカン・スイングのメカニズム ベースボール・マガジン社1985年56-9頁)が見つかりました。
ミラー・バーバーには、連続写真入りの詳しい説明がありますから、この資料で動きの内容を見ると、テークバックで右肘を後ろに突き出すと共に、両手首を内側に折りクラブフェースを閉じるという「魔法の動き」型のバックであることが分かります。更に、一貫して頭を動かさないとのことで、これは「核心打法」風の体の動きです。
右横から見るインパクトの動きも、「核心打法」風に両腕が脇から離れて伸びています。ダウンの動きの説明では、手首の返しが長打の理由とのことで、飛ばし屋だったと想像できます。このスイングは複雑で練習が必要との説明もあり、バイロン・ネルソンが「なぜ、まともなスイングを習わなかったか?」と聞くと、「ただ、できないんで」とのことだったと書かれています。
ミラー・バーバーはこのようなスイングでも百万ドル以上を稼いだといいますから、十分実用性のあるスイングだったのです。同じ本にアンディ・ビーンの話があり、横から握る形の左手のグリップで高く上げています。しかしダウンは急激な横移動型です。Golf Digestの動画で見られるジム・ヒューリックも、高いトップに入れますがダウンで腰を急激に左に移動しています。
バーバーのように、右前腕を内側に回しながら、フライング・エルボウ風に肘を上げるには、右上腕内旋の動きが必要で、右の肩と腕の「魔法の動き」を実行すれば、肘が体側に沿うことなく上に上がります。問題はダウンの動きで、これにより様々なスイングが生まれているわけです。しっかり高く上げる「核心打法」では、ダウンのキーワードは「体の右側で振り切る」です。簡単です。
一見つまらない今回の話が、実はスイングの真相を描き出す鍵になるのです。順を追って眺めて行きましょう。
野武士風の雰囲気のあるゴルファーと一緒にラウンドしたことがあります。この人は、ティー・グラウンドに立つと、クラブを両腕で高々とさし上げます。丁度、広い野原の中に一本すっくと伸びる、一本杉のような感覚です。これで猛烈に飛ばすのです。自分自身は左右の動きで振ることに集中していた頃で、これには度肝を抜かれる思いがしました。
最近の「核心打法」の動きの話の中に、右肘をフライング・エルボウかと思われるように上げる話が出ています(「「核心打法」は誰にも使える!」(07-12-06))。これはバックで右前腕を内側に回しながら、フライング・エルボウ風に肘が上がるまで、しっかり上げることを勧めるものです。この右腕の動きの重要性を考える中に、「野中の一本杉」のイメージが頭に浮かびました。
この高いトップからのダウンはどうなるのか。これが気になり手もとの資料を探ってみました。すると、同じような動きをする日本の山本嘉夫プロの話(杉山悟著 プロの極意 名手直伝 白馬出版 1987年 175-8頁)と、ミラー・バーバーの話(ケン・ベンチュリー著 金田武明訳 アメリカン・スイングのメカニズム ベースボール・マガジン社1985年56-9頁)が見つかりました。
ミラー・バーバーには、連続写真入りの詳しい説明がありますから、この資料で動きの内容を見ると、テークバックで右肘を後ろに突き出すと共に、両手首を内側に折りクラブフェースを閉じるという「魔法の動き」型のバックであることが分かります。更に、一貫して頭を動かさないとのことで、これは「核心打法」風の体の動きです。
右横から見るインパクトの動きも、「核心打法」風に両腕が脇から離れて伸びています。ダウンの動きの説明では、手首の返しが長打の理由とのことで、飛ばし屋だったと想像できます。このスイングは複雑で練習が必要との説明もあり、バイロン・ネルソンが「なぜ、まともなスイングを習わなかったか?」と聞くと、「ただ、できないんで」とのことだったと書かれています。
ミラー・バーバーはこのようなスイングでも百万ドル以上を稼いだといいますから、十分実用性のあるスイングだったのです。同じ本にアンディ・ビーンの話があり、横から握る形の左手のグリップで高く上げています。しかしダウンは急激な横移動型です。Golf Digestの動画で見られるジム・ヒューリックも、高いトップに入れますがダウンで腰を急激に左に移動しています。
バーバーのように、右前腕を内側に回しながら、フライング・エルボウ風に肘を上げるには、右上腕内旋の動きが必要で、右の肩と腕の「魔法の動き」を実行すれば、肘が体側に沿うことなく上に上がります。問題はダウンの動きで、これにより様々なスイングが生まれているわけです。しっかり高く上げる「核心打法」では、ダウンのキーワードは「体の右側で振り切る」です。簡単です。
一見つまらない今回の話が、実はスイングの真相を描き出す鍵になるのです。順を追って眺めて行きましょう。
秘伝:右手は引き左手は押す
前回の「腕を振りたければ脚を見よ」の話で、「腕がヘッドを後ろから押す」ように腕を振るには、脚腰の動きに注目する必要があることが分かりました。しかし、ここで更に問題があります。腕の動きでヘッドを押すには、腕をクラブに繋ぐ手の動きの問題があるのです。
グリップ(手の握り)は、漠然とハンドル(クラブの柄;いわゆるグリップ)を握っているわけではありません。ヘッドを押すためには、グリップは腕の動きをしっかりクラブに伝える必要があります。この場合、グリップには体中の動きの効果が集中するのです。
体の動きを地球に伝える足の掴みの重要性は、両脚の「螺旋」の動きとして明確に捉えられています。グリップの動きは、体の動きをもう一つの小地球であるクラブに伝える、両手の掴みの動きなのです。しかしその動きは両足の「螺旋」の動きほど明確に意識されていません。ヘッドを押す動きを実現するのは両手の「螺旋」の動きなのです。
この両手の「螺旋」の動きを検討してみます。これはこれまで漠然と手首のリスト・ターンの動きとして捉えられて来たものです。ところがこの動きには肩と腕の「魔法の動き」が関わっています。肩と腕の「魔法の動き」は、右上腕内旋と右前腕回内、左上腕外旋と左前腕回外の動きで出来上がっています。上腕の動きは肩の動き、前腕の動きは腕の動きなのです。
問題になるインパクトの腕の動きに注目すれば、「核心打法」の場合、グリップの動きには肩と腕の「魔法の動き」に加えて、両肘を伸ばす動きが働きます。この動きの場合に注目して、両手の「螺旋」の動きを確認することにします。
まず、左手の親指を右手の平で横から握り、「マジック・グリップ」の体勢を作ります。この状態で右肘を伸ばすと、左手の親指が手前に引かれます。確認して下さい。右手はハンドルを手前に引く動きに入るのです。これに対して左肘を伸ばすと、当然左手の親指は前に押し出されます。左手の親指をクラブのハンドルと考えれば、左手はハンドルを押す動きするのです。
左手の親指を右手の平で横から握って「マジック・グリップ」の体勢を作り、グリップを右脇前に押し出すように両肘を伸ばしてみて下さい。右手が引き、左手が押す形の手首の動きと共に、ハンドルを左に押す固い腕と手の動きが実現します。
この両手の動きを意識しながら、重くて固いクラブを「マジック・グリップ」で振ってみて下さい。難しい脚腰の動きを考えなくても、ヘッドが急激に左へ振り抜かれる筈です。ここで右手が押しの動きに入るとダフります。左手が引きの動きに入るとトップします。
「右手は引き左手は押す」両手の「螺旋」の動きと、体全体の動きとの繋がりは、あらためて体感的に確認することにします。次回は高いトップから振る「野中の一本杉」打法の話をします。
グリップ(手の握り)は、漠然とハンドル(クラブの柄;いわゆるグリップ)を握っているわけではありません。ヘッドを押すためには、グリップは腕の動きをしっかりクラブに伝える必要があります。この場合、グリップには体中の動きの効果が集中するのです。
体の動きを地球に伝える足の掴みの重要性は、両脚の「螺旋」の動きとして明確に捉えられています。グリップの動きは、体の動きをもう一つの小地球であるクラブに伝える、両手の掴みの動きなのです。しかしその動きは両足の「螺旋」の動きほど明確に意識されていません。ヘッドを押す動きを実現するのは両手の「螺旋」の動きなのです。
この両手の「螺旋」の動きを検討してみます。これはこれまで漠然と手首のリスト・ターンの動きとして捉えられて来たものです。ところがこの動きには肩と腕の「魔法の動き」が関わっています。肩と腕の「魔法の動き」は、右上腕内旋と右前腕回内、左上腕外旋と左前腕回外の動きで出来上がっています。上腕の動きは肩の動き、前腕の動きは腕の動きなのです。
問題になるインパクトの腕の動きに注目すれば、「核心打法」の場合、グリップの動きには肩と腕の「魔法の動き」に加えて、両肘を伸ばす動きが働きます。この動きの場合に注目して、両手の「螺旋」の動きを確認することにします。
まず、左手の親指を右手の平で横から握り、「マジック・グリップ」の体勢を作ります。この状態で右肘を伸ばすと、左手の親指が手前に引かれます。確認して下さい。右手はハンドルを手前に引く動きに入るのです。これに対して左肘を伸ばすと、当然左手の親指は前に押し出されます。左手の親指をクラブのハンドルと考えれば、左手はハンドルを押す動きするのです。
左手の親指を右手の平で横から握って「マジック・グリップ」の体勢を作り、グリップを右脇前に押し出すように両肘を伸ばしてみて下さい。右手が引き、左手が押す形の手首の動きと共に、ハンドルを左に押す固い腕と手の動きが実現します。
この両手の動きを意識しながら、重くて固いクラブを「マジック・グリップ」で振ってみて下さい。難しい脚腰の動きを考えなくても、ヘッドが急激に左へ振り抜かれる筈です。ここで右手が押しの動きに入るとダフります。左手が引きの動きに入るとトップします。
「右手は引き左手は押す」両手の「螺旋」の動きと、体全体の動きとの繋がりは、あらためて体感的に確認することにします。次回は高いトップから振る「野中の一本杉」打法の話をします。
「遠心力」の誤解
Stack and Tilt打法でも登場した、腰を含む体の回転でクラブを振るという動作は、普通のゴルファーには極めて自然な動きに見えます。この見方を支えるのは、インパクトを「遠心力」で振るという考えです。
体の左回転に腕とクラブは遅れてついて来ます。そのまではインサイド・アウトにヘッドが放り出されるので、インパクトに向けてグリップを手もとに引き込み、ヘッドを加速して追い付かせます。しばしば、遠心力が働いて手と腕を目標方向に引く、と説明される動きですが、実は腕がクラブを引きつけ、求心力で方向転換させているのです。
Stack and Tilt打法のインパクトでも、両上腕は胸に引きつけられているという説明があります。これはインサイドから来る腕とクラブを、腰の回転に追い付かせるための動きです。この動きは、体の回転が生み出すエネルギーが、腕を通してクラブに伝わりボールを打つというイメージを生みます。ゴルファーに大いに好まれるイメージです。
ところが、このイメージでも、体の回転のエネルギーを全部腕の振りのエネルギーに転換すれば、体の回転は止まって腕が振られる筈です。体の回転が止まって腕が振られる状態でボールを打つと、クラブが体より先に振られて行くことになり、「腕がヘッドを後ろから押す」動きになります。
体が回転しながらボールを打つと、クラブを引く動きでインパクトすることになりますが、これが古い見方であることは、ジョニー・ミラーも指摘した通りです。腰の回転の動きでクラブを振ると考える人はこのことを忘れ、腰を勢いよく回せばボールが強く打てると思うのです。
地球との関係で見ると、脚腰の捻りの動きが生むエネルギーを、腕の振りの動きのエネルギーに転換することでゴルファーはボールを打っています。脚腰の動きが体を回すと、そのためにエネルギーが浪費されます。これを避けるには、体の回転を引き止めてクラブを振る動作が必要になります。
腰や体を回してボールを打つのではなく、体の回転の動きを止めて、脚腰の踏ん張りでボールを打つ必要があるのです。インパクトでは腕を振るためと、体の回転を止めるためのとの、二つの踏ん張りの動きを同時に実行する必要があることが分かります。何とも複雑な動きではありませんか。
実は、これまでの「核心打法」の動きの説明には、これらの動きが明確に登場しています。両足の「螺旋」の動きで脛を左回りに回す脚の踏ん張りと、尻の先端の緊張で背骨を正面向きに引き止める動きがそれです。これらの動きがインパクトのクライマックスを生み出しているのです。
このスイングでは、当然腕はボールを押して打つ動きになります。腕の動きだけを意識していては、この動きの構造は分かりません。腕を振ることが最終目的ですが、これを実現するには脚腰の微妙な動きが必要なのです。腕を振りたければ脚を見よ、何となく禅の世界でも覗いているような気がするではありませんか。その奥にある秘密については次回に。
体の左回転に腕とクラブは遅れてついて来ます。そのまではインサイド・アウトにヘッドが放り出されるので、インパクトに向けてグリップを手もとに引き込み、ヘッドを加速して追い付かせます。しばしば、遠心力が働いて手と腕を目標方向に引く、と説明される動きですが、実は腕がクラブを引きつけ、求心力で方向転換させているのです。
Stack and Tilt打法のインパクトでも、両上腕は胸に引きつけられているという説明があります。これはインサイドから来る腕とクラブを、腰の回転に追い付かせるための動きです。この動きは、体の回転が生み出すエネルギーが、腕を通してクラブに伝わりボールを打つというイメージを生みます。ゴルファーに大いに好まれるイメージです。
ところが、このイメージでも、体の回転のエネルギーを全部腕の振りのエネルギーに転換すれば、体の回転は止まって腕が振られる筈です。体の回転が止まって腕が振られる状態でボールを打つと、クラブが体より先に振られて行くことになり、「腕がヘッドを後ろから押す」動きになります。
体が回転しながらボールを打つと、クラブを引く動きでインパクトすることになりますが、これが古い見方であることは、ジョニー・ミラーも指摘した通りです。腰の回転の動きでクラブを振ると考える人はこのことを忘れ、腰を勢いよく回せばボールが強く打てると思うのです。
地球との関係で見ると、脚腰の捻りの動きが生むエネルギーを、腕の振りの動きのエネルギーに転換することでゴルファーはボールを打っています。脚腰の動きが体を回すと、そのためにエネルギーが浪費されます。これを避けるには、体の回転を引き止めてクラブを振る動作が必要になります。
腰や体を回してボールを打つのではなく、体の回転の動きを止めて、脚腰の踏ん張りでボールを打つ必要があるのです。インパクトでは腕を振るためと、体の回転を止めるためのとの、二つの踏ん張りの動きを同時に実行する必要があることが分かります。何とも複雑な動きではありませんか。
実は、これまでの「核心打法」の動きの説明には、これらの動きが明確に登場しています。両足の「螺旋」の動きで脛を左回りに回す脚の踏ん張りと、尻の先端の緊張で背骨を正面向きに引き止める動きがそれです。これらの動きがインパクトのクライマックスを生み出しているのです。
このスイングでは、当然腕はボールを押して打つ動きになります。腕の動きだけを意識していては、この動きの構造は分かりません。腕を振ることが最終目的ですが、これを実現するには脚腰の微妙な動きが必要なのです。腕を振りたければ脚を見よ、何となく禅の世界でも覗いているような気がするではありませんか。その奥にある秘密については次回に。
Stack and Tilt打法の検討
前回に触れたStack and Tiltという打法を検討してみます。Stack and Tiltというのは、辞書で見当をつけると「積み上げて傾く」になります。ざっと説明を読むと、腰の上で肩を回し背骨を傾けるという感覚の動きです。肩も腕も固定したまま、左脚体重で体を巻き上げる特徴的なバックで、腕を巻き上げる動きと共に背中が左に傾きます。
この動きを試すと、左足は足先の力が右に移動して「回転」の動きなります。腰椎が左に引かれて右回りに回り、上体が大きく右に回ります。しかし胸椎は逆に左回りに回り、この動きで腕の右への動きが引き止められてグリップが右肩外側に上がります。
記事の第二部(http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt)には、ダウンの動きが詳しく書かれています。ここでは、腰を一気に左に移動する動きを重視し、インパクトで肩をスクエアに回すとしています。この動きはマクリーンのフラット・スポットを作る動きに似ています。しかし、肩をスクエアに回すという動きの仕組みは言葉だけでは分かりません。
ところが最初の記事には、ダウンの開始時には、左足で清涼飲料の缶を踏みつぶすイメージを持と書かれています。しかし、ここには左の足先で踏みつぶすのか、踵で踏みつぶすのかの説明がありません。第二部で腰の左移動を重視していますが、踵で押すとこの動きはできませんから、左足先で踏ん張る動きであることが分かります。足の「回転」の動きで振る打法ということになります。
第二部の記事の最後の部分では、ドライバーを打つ時の秘訣として、背中を反らせて腰が前に出れば、体は大きな回転のパワーを持つと書かれるなど、だんだん話が複雑になって来ます。ドライバーからウェッヂまで同じ動きで振る、「核心打法」に慣れた頭は疲れを感じます。
更に、基本的な秘訣の一つとして、トップで背骨は左に傾けよとしています。背骨を正面に向けて保つには、バックで背骨が右に傾く分を、トップで左に傾けるという基本的な見方が最初の記事で示されています。しかしこれは誤解です。腰椎を左に引く分だけ胸椎を右に引くことで、背骨の正面は保たれます。背骨が左に傾く動きでは、背骨の正面は右を向いている筈です。
最初の記事のトップの画像でも頭が右に回っています。左脚に体重を掛けるバックでは、右脚が伸びて左膝が右前に引き出されると書かれていますが、この両脚の動き作ってみると、確かに体の正面が右斜め前に向きます。これらを考慮して、足腰背骨の動きの構造からこの打法を簡明に記述すれば、左脚のバランス能力を使って「回転」で振る打法、すなわち「左脚回転打法」となります。
腕と肩を固め、体をねじり上げ巻き戻して振る動きは、腕の動きの不確実性が少なく、ショットの安定性に苦労していた人には福音となり得ます。しかし、体の回転で振るインパクトには、直線性とパワーに問題があります。マクリーンのフラット・スポットの打法でも同様で、「腕がヘッドを後ろから押す」動きができないのです。これは「遠心力」の誤解が生むもので、次回に議論します。
この動きを試すと、左足は足先の力が右に移動して「回転」の動きなります。腰椎が左に引かれて右回りに回り、上体が大きく右に回ります。しかし胸椎は逆に左回りに回り、この動きで腕の右への動きが引き止められてグリップが右肩外側に上がります。
記事の第二部(http://www.golfdigest.com/instruction/stackandtilt)には、ダウンの動きが詳しく書かれています。ここでは、腰を一気に左に移動する動きを重視し、インパクトで肩をスクエアに回すとしています。この動きはマクリーンのフラット・スポットを作る動きに似ています。しかし、肩をスクエアに回すという動きの仕組みは言葉だけでは分かりません。
ところが最初の記事には、ダウンの開始時には、左足で清涼飲料の缶を踏みつぶすイメージを持と書かれています。しかし、ここには左の足先で踏みつぶすのか、踵で踏みつぶすのかの説明がありません。第二部で腰の左移動を重視していますが、踵で押すとこの動きはできませんから、左足先で踏ん張る動きであることが分かります。足の「回転」の動きで振る打法ということになります。
第二部の記事の最後の部分では、ドライバーを打つ時の秘訣として、背中を反らせて腰が前に出れば、体は大きな回転のパワーを持つと書かれるなど、だんだん話が複雑になって来ます。ドライバーからウェッヂまで同じ動きで振る、「核心打法」に慣れた頭は疲れを感じます。
更に、基本的な秘訣の一つとして、トップで背骨は左に傾けよとしています。背骨を正面に向けて保つには、バックで背骨が右に傾く分を、トップで左に傾けるという基本的な見方が最初の記事で示されています。しかしこれは誤解です。腰椎を左に引く分だけ胸椎を右に引くことで、背骨の正面は保たれます。背骨が左に傾く動きでは、背骨の正面は右を向いている筈です。
最初の記事のトップの画像でも頭が右に回っています。左脚に体重を掛けるバックでは、右脚が伸びて左膝が右前に引き出されると書かれていますが、この両脚の動き作ってみると、確かに体の正面が右斜め前に向きます。これらを考慮して、足腰背骨の動きの構造からこの打法を簡明に記述すれば、左脚のバランス能力を使って「回転」で振る打法、すなわち「左脚回転打法」となります。
腕と肩を固め、体をねじり上げ巻き戻して振る動きは、腕の動きの不確実性が少なく、ショットの安定性に苦労していた人には福音となり得ます。しかし、体の回転で振るインパクトには、直線性とパワーに問題があります。マクリーンのフラット・スポットの打法でも同様で、「腕がヘッドを後ろから押す」動きができないのです。これは「遠心力」の誤解が生むもので、次回に議論します。
フラット・スポット
今回は、「ジェイコブスのスイング論」(08-02-17)で触れた、ジム・マクリーンの「フラット・スポット」(GOLF MAGAZINE April 1998 pp.46-53)の議論を検討することにします。雑誌の発行は、既にタイガー・ウッヅの活躍する時代で、この時期に著名なゴルフ教師マクリーンはインパクト圏でのヘッドの平坦な動きを議論しているのです。
この記事は、ドライバー・ショットに成功するための、平坦な軌道でボールを打つ動きの作り方です。その要点は、目標方向への体重の平行移動でダウンに入り、左腰を軸に旋回するというものです。多くの教師やゴルファーは、依然として一つの軸回りの回転を信じているが、これではスイング軌道が円周に近くなり、平坦な部分が限られると指摘しています。
これは、以前のスイング面論議に欠落していた視点で、さすがに優れた教師としての着眼です。ところが、これに続く説明で、正しくダウンスイングに入るには、目標に向けて体重を横移動させるとしています。腕が下りる時にこの動きが右肩の下がる動きを助ける、とも書かれています。腰を左に引いてみると、肩と腕に「反魔法型」の動きが現れ、右肩は下がります。こうしてマクリーンの動きの説明通りの動きが現れます。
ここで、インパクト圏でのヘッドの平坦な動きを示す典型として、モー・ノーマン、リー・トレビノ、フレッド・カプルスの写真が示されています。しかし、これらの写真のインパクトでは、右肩は引き止められて右腕が伸びているように見えます。マクリーンのインパクトを右横から撮った写真では、右肘に角度があり腕は伸びていないように見えます。
ダウンで腰を左に移動すると、ヘッドが遅れて右上腕には外側に回る外旋の動きが現れます。マクリーンの言うように、インパクトで上体の右への傾斜を保って左腰を軸に体を左に回すと、右前腕は内側に回りますが、上腕は外旋を続けて肘には曲がりが現れる筈で、右腕はこの時点では伸びないのです。このように考えると、マクリーンのインパクトの写真は自然なものに見えます。
しかし、この動きではインパクトで腕が伸びず、典型例の写真とは異なった腕の動きになる筈です。この辺りは、目で見る動きの解釈の不確からしさを示すように思われます。
インターネットで見られる最近のゴルフダイジェストの記事では、Stack and Tiltという打法が取り上げられています(下記)。この打法は、バックの体重移動を止め、ダウンは左脚の上で腰を回して振るというものです。依然としてスイングの議論は絶え間なく続いている様子です。
(http://www.golfdigest.com/instruction/2007/06/stackandtilt1_gd0706)
これらの議論は全体的な動きの形の話に止まり、基本的な動きの仕組みを明確にしていません。このため、ジョニー・ミラーが注目した「腕がヘッドを後ろから押す」仕組みが欠落しているのです。次回はStack and Tiltのその後の情報も取り込んで、この点を検討することにします。
この記事は、ドライバー・ショットに成功するための、平坦な軌道でボールを打つ動きの作り方です。その要点は、目標方向への体重の平行移動でダウンに入り、左腰を軸に旋回するというものです。多くの教師やゴルファーは、依然として一つの軸回りの回転を信じているが、これではスイング軌道が円周に近くなり、平坦な部分が限られると指摘しています。
これは、以前のスイング面論議に欠落していた視点で、さすがに優れた教師としての着眼です。ところが、これに続く説明で、正しくダウンスイングに入るには、目標に向けて体重を横移動させるとしています。腕が下りる時にこの動きが右肩の下がる動きを助ける、とも書かれています。腰を左に引いてみると、肩と腕に「反魔法型」の動きが現れ、右肩は下がります。こうしてマクリーンの動きの説明通りの動きが現れます。
ここで、インパクト圏でのヘッドの平坦な動きを示す典型として、モー・ノーマン、リー・トレビノ、フレッド・カプルスの写真が示されています。しかし、これらの写真のインパクトでは、右肩は引き止められて右腕が伸びているように見えます。マクリーンのインパクトを右横から撮った写真では、右肘に角度があり腕は伸びていないように見えます。
ダウンで腰を左に移動すると、ヘッドが遅れて右上腕には外側に回る外旋の動きが現れます。マクリーンの言うように、インパクトで上体の右への傾斜を保って左腰を軸に体を左に回すと、右前腕は内側に回りますが、上腕は外旋を続けて肘には曲がりが現れる筈で、右腕はこの時点では伸びないのです。このように考えると、マクリーンのインパクトの写真は自然なものに見えます。
しかし、この動きではインパクトで腕が伸びず、典型例の写真とは異なった腕の動きになる筈です。この辺りは、目で見る動きの解釈の不確からしさを示すように思われます。
インターネットで見られる最近のゴルフダイジェストの記事では、Stack and Tiltという打法が取り上げられています(下記)。この打法は、バックの体重移動を止め、ダウンは左脚の上で腰を回して振るというものです。依然としてスイングの議論は絶え間なく続いている様子です。
(http://www.golfdigest.com/instruction/2007/06/stackandtilt1_gd0706)
これらの議論は全体的な動きの形の話に止まり、基本的な動きの仕組みを明確にしていません。このため、ジョニー・ミラーが注目した「腕がヘッドを後ろから押す」仕組みが欠落しているのです。次回はStack and Tiltのその後の情報も取り込んで、この点を検討することにします。