「遠心力」の誤解 | ゴルフ直線打法

「遠心力」の誤解

Stack and Tilt打法でも登場した、腰を含む体の回転でクラブを振るという動作は、普通のゴルファーには極めて自然な動きに見えます。この見方を支えるのは、インパクトを「遠心力」で振るという考えです。

体の左回転に腕とクラブは遅れてついて来ます。そのまではインサイド・アウトにヘッドが放り出されるので、インパクトに向けてグリップを手もとに引き込み、ヘッドを加速して追い付かせます。しばしば、遠心力が働いて手と腕を目標方向に引く、と説明される動きですが、実は腕がクラブを引きつけ、求心力で方向転換させているのです。

Stack and Tilt打法のインパクトでも、両上腕は胸に引きつけられているという説明があります。これはインサイドから来る腕とクラブを、腰の回転に追い付かせるための動きです。この動きは、体の回転が生み出すエネルギーが、腕を通してクラブに伝わりボールを打つというイメージを生みます。ゴルファーに大いに好まれるイメージです。

ところが、このイメージでも、体の回転のエネルギーを全部腕の振りのエネルギーに転換すれば、体の回転は止まって腕が振られる筈です。体の回転が止まって腕が振られる状態でボールを打つと、クラブが体より先に振られて行くことになり、「腕がヘッドを後ろから押す」動きになります。

体が回転しながらボールを打つと、クラブを引く動きでインパクトすることになりますが、これが古い見方であることは、ジョニー・ミラーも指摘した通りです。腰の回転の動きでクラブを振ると考える人はこのことを忘れ、腰を勢いよく回せばボールが強く打てると思うのです。

地球との関係で見ると、脚腰の捻りの動きが生むエネルギーを、腕の振りの動きのエネルギーに転換することでゴルファーはボールを打っています。脚腰の動きが体を回すと、そのためにエネルギーが浪費されます。これを避けるには、体の回転を引き止めてクラブを振る動作が必要になります。

腰や体を回してボールを打つのではなく、体の回転の動きを止めて、脚腰の踏ん張りでボールを打つ必要があるのです。インパクトでは腕を振るためと、体の回転を止めるためのとの、二つの踏ん張りの動きを同時に実行する必要があることが分かります。何とも複雑な動きではありませんか。

実は、これまでの「核心打法」の動きの説明には、これらの動きが明確に登場しています。両足の「螺旋」の動きで脛を左回りに回す脚の踏ん張りと、尻の先端の緊張で背骨を正面向きに引き止める動きがそれです。これらの動きがインパクトのクライマックスを生み出しているのです。

このスイングでは、当然腕はボールを押して打つ動きになります。腕の動きだけを意識していては、この動きの構造は分かりません。腕を振ることが最終目的ですが、これを実現するには脚腰の微妙な動きが必要なのです。腕を振りたければ脚を見よ、何となく禅の世界でも覗いているような気がするではありませんか。その奥にある秘密については次回に。