円周イメージは動きを難しくする | ゴルフ直線打法

円周イメージは動きを難しくする

ケン・ベンチュリーが、彼の著書「アメリカン・スイングのメカニズム」でミラー・バーバーのスイングを取り上げたことは既に紹介しました(「野中の一本杉」打法(08-02-24))。その中で、バーバーのスイングの特徴として、「全体に、バックスイングで、多くの“角度”をつくり、ダウンスイングでは、数多くの調整を必要とするのである」と書いています。

ベンチュリーはこの本の最初(15-17頁)で“角度”の問題を取り上げ、スイングの途中で調整する“角度”が少ないほど、ボールの前後18インチのゾーン(いわゆるインパクト・ゾーン)で、スクエアにしやすい(フェースを目標線に直角に保ちやすい)としています。バーバーのスイングは“角度”が多いので良くないと見ているようです。

スイングの途中の角度の調整とは、ヘッドの動きの方向転換をすることです。ヘッドを直線的に動かし続けることは不可能で、実際的には滑らかな円周状の動きで振るのが理想的ということになります。これからの変化が“角度”として捉えられているのではないでしょうか。

「スイング面」のイメージは、体の軸を中心に円周状に振られる滑らかなヘッドの動きが生みます。ヘッドの動きに角(かど)があると、滑らかな面のイメージにはなりません。ところが、円周状にヘッドを走らせるとヘッドの向きは刻々変わり、連続的に角度の調整が要求されます。しかも、ベンチュリーも言うように、インパクトではスクエアにする必要があります。

円周状のヘッドの走りを利用して安定に振るのは、実は極めて難しい動きなのです。人間の通常の動きの典型である歩行動作では、腕は前後の振り上げ振り下ろしだけで、体の周りに円周状に振る動きはありません。そこで、この歩行動作を基礎にスイングの動きを考えると、腕の上下の動きを基礎にする、「野中の一本杉」風の動きこそが自然だという見方に到達するのです。

両腕での振り上げ振り下ろしの動きは、剣道の竹刀を振るような上げ下げの動きになります。この動作を体の右側で実行すれば、頭の安定保持の仕組みが働きいて急激な方向転換の動きが現れ、いわゆる火事場の馬鹿力風のパワーの利用が可能になります。これが、体の右側で高く上げ、体の右側で振り抜く、「核心打法」の原型になります。

この場合の“角度”の発生、すなわち動きの方向転換の主なものは、「深いトップ」の方向転換と、右脇前に振り下ろされるヘッドが、両腕の伸びの動きと共に左への直線的な動きに入る時に現れます。この最後の方向転換は反射的な動きで実現し、意識的な方向転換は「深いトップ」の動きだけになります。

このように見ると、如何にも奇妙に思われる「野中の一本杉」風の動きが、“角度”の現れの回数を極限まで減少させるものであることが分かります。動きの仕組みさえ分かれば、この動きを利用して振ることは簡単です。円周イメージはスイングを難しくする、という見方もあるのです。