『Just the beginning -20- TOUR 2017』 (1/5) | ラフラフ日記

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ayumi hamasaki Just the beginning 第3章
2018年1月5日(金) 大宮ソニックシティ 大ホール


一年の終わりがあゆのライブで、一年の始まりがエレカシのライブ――というのがここ数年私のルールみたいになっていたのだけど、今回あゆが年をまたぐツアーで、スケジュールを見たら、2018年最初のライブが 1月5日の大宮! これは、はじめて新年最初にあゆのライブか? そして、私が Just the beginning ツアーに行くのはこの日が最後。最初で最後、最後で最初のライブ。


※ この日、催し物は大ホールのみだったのですね。

Just the beginning ツアー。

第一章、第二章、第三章と観てきて、あゆの「トリックに気付いてくれた人ー!?」にはうまく応えられなかったけど、市原のときに書いた、第三章の「Bold & Delicious」からの本編後半のかっこ良さ。

力強い「progress」の前進から、命の象徴のような「FLOWER」、そして、第一章の冒頭「ourselves」に戻る。真っ赤な花の中心で歌う「FLOWER」、その花びらが一つ一つ散ってゆく、というより飛び立ってゆき、気付くと、テーブルと椅子が出てきていて、“最後の晩餐” を模した第一章の冒頭のシーンへと戻っている。そのすべての流れに鳥肌が立った。

戻る?
いやそれは、陽が沈み、また陽が昇るというのに近い。
あるいは、陽が沈むころ、どこかでは陽が昇るというような。
それは、ぞっとするようなうんざりするような残酷な現実でもあり、救いのある希望のようでもある。

“果てなく続いていくようで
 ちゃんと果てはあるこの道
 たった一度きりのね”
(ourselves)

原曲は、コーラスの間を電子音が暴れながら這うように縫うように駆け巡る、かなりぶっ飛んだアレンジなのだが、今回のライブではシンプルなバンド演奏で、暗闇の中からじわじわと楽曲の骨格が浮かび上がってくる。そこで改めてリズムの面白さ、派手な印象の曲だが実はとてもクールな表情を持っていることに気付き、その骨格のかっこ良さにぞくっとする。

全60公演、果てなく続いていくようなロングツアーは、そんな「ourselves」で幕を開け、再び「ourselves」へと帰ってくる。ちゃんと果てはあると最初から歌われていた。

始まりでもあり終わりでもある。
まるで本当に果てがないようだ。
そんな “人生” のようなツアー。

ここで、“最後の晩餐” を模したステージ、 “あゆマスク” を被ったダンサー達を連想したミュージックビデオを挙げたい。



今年フジロックにも出演する、ケンドリック・ラマーの「HUMBLE.」。

「最後の晩餐」は当然ながら、『マルコヴィッチの穴』みたいな、同じような顔の人がたくさん出てくるところも、第二章の「alterna」であゆが “あゆマスク” を被った人たちに囲まれて歌っていたのを思い出す。
このミュージックビデオは、『美女と野獣』のミュージックビデオも手がけたデイブ・マイヤーズが担当したという。そういえば、第一章の開演前に『美女と野獣』の音楽がかかっていたっけ。

その第二章で “あゆマスク” を被っていた人たちが、第三章で「FLOWER」の花びら一つ一つになっていたのかな、とふと思う。
花といえば、二曲目の「Moments」とも対になっているように思えるし、<いくつもの私>を歌う本編最後の曲「ourselves」は、一曲目「I am...」の対になっているようにも思える。

「A Song for ××」「Memorial address」「Last minute」と、中盤では、浜崎あゆみのパーソナルが爆発したような曲が歌われるが、Just the beginning ツアー全体でいうと、“最後の晩餐” など西欧的な世界がはじまって、“変化” を歌った二曲ではじまり “宗教的” な響きを宿しながらもそれを解放していく第二章、“和” であり “日本” に帰っていき、“個人” に帰っていく第三章。そして、「Bold & Delicious」からの後半――。

アリーナからホールへと会場が変わった第二章~第三章で特に思ったのだけど、浜崎あゆみの泥臭さ。このツアーを通して、浜崎あゆみは煌びやかな歌姫から泥臭い歌手へと変貌を遂げて行った。

“僕達はこの長い旅路の果てに何を想う”
(Voyage)

第一章の本編最後で歌われていた。しかし、既に冒頭一曲目でこうも歌われていた。

“だって最後に意味をもつものなんて 愛だけでしょう”
(ourselves)

それは手探りのようだったが、果てなく続いていくような “終わり” と “始まり” を繰り返す中で、第三章の本編最後に歌われる「ourselves」は、同じ曲でありながら違った響きを持っていただろうか。

そして本編が終了し、アンコール。

最後に歌われたのは、「Love song」。

【セットリスト】

01. I am...
02. Moments
03. A Song for ××
04. Shake It
05. STEP you
06. Memorial address
07. Last minute
08. Pieces of SEVEN (インスト)
09. Bold & Delicious
10. progress
11. FLOWER
12. ourselves

13. Feel the love~XOXO~Lelio~You & Me~AUDIENCE
18. Boys & Girls
19. Love song



このツアー中、小室哲哉が引退を表明した。

「Love song」は小室哲哉作曲だが、それ以降、予定にはなかったであろう、「Many Classic Moments」「A Song is born」「Ivy」「SEVEN DAYS WAR」などをあゆはセットリストに追加した。(いずれも小室哲哉作曲)

そしてその数日後、2018年のツアーが発表された。



Just the beginning ツアーのオープニングには、浜崎あゆみによる語りがあった。

「昔々あるところに、一人の女の子が
 煌びやかでおとぎ話のような場所を
 創り上げました。」

年齢も、性別も、肩書きも関係ない一瞬。
それは君であり、あの子であり、私である。

「その場所の名は――。」

そう言って Just the beginning ツアーははじまった。

今ならこう叫ぶのかも知れない。

その場所の名は――

POWER of MUSIC!!

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