ジェネリックの都市伝説 | kyupinの日記 気が向けば更新

ジェネリックの都市伝説

ジェネリックは国は積極的に導入を進めているが、今のところ、アメリカのような浸透はしていない。なぜ国が推進するかといえば、日本の場合皆保険制度なので医療費削減に直結するからである。

基本的に、国は先発品もジェネリックも同等なものと思っているフシがある。

日本でいまひとつジェネリックが普及しないのは、日本人はこういうバッタ品のようなものが好きでないのと、なんだかんだ言って医師は公務員的な職種だからだと思う。コスト意識が低いのである。

僕はジェネリックの品質の低さは実際に経験したことがあるし、友人からもそんな話を聞いたことがある。伝聞したものではこれはあまりにもと思えるものがあり、ひょっとしたら都市伝説かもしれない。

今までに僕が実際に経験したことをいくつか挙げてみる。

①セレネースを処方していた25歳くらいの女性患者さんが大学病院から民間病院に転院した。その時、セレネースのジェネリックを処方されるようになったが、なぜか酷い口渇が出るようになった。あれはあまりにも酷いと言えた。口の中がベタベタになったからだ。そういうのを放置していると、やがて虫歯が酷くなると思われる。唾液の自浄作用が働かないからだ。(約20年前の話) 

②ドグマチールのジェネリックに変った後、かなり眠いと訴えるようになった。これは1名ではなく、数名いたので眠さの副作用が多く出るジェネリックなんだと思う。(これも20年前)

③抗てんかん薬でアレビアチンは、先発品でも錠剤と散剤では血中濃度の上がり方が違う。一般に例えば200mg処方しても散剤では血中濃度が錠剤ほどは上がらないのである。ジェネリックの場合、更に安定しておらず、実際に測ってみないと血中濃度がよくわからなかった。先発品からジェネリックに変更したらチェックする必要があるのである。ある患者さんはジェネリックに変更したとき、痙攣が起こり、気を失って農機具に腕を挟むという事件が起こった。それは酷い傷だった。たぶん生涯残るほどに。(これも20年前に実際に目撃)

④どうも先発品のレンドルミンよりジェネリックのグッドミンの方が副作用が少ないみたい。変な奇異反応(老人に対し)生じにくいのである。これはちょっと笑える話。(最近経験したこと)


これは友人の医師から聞いたことであるが、昔(20年前くらい)錠剤から何か変なものが出てきたと言うのだ。錠剤をみていたら、何か変な毛みたいなものが生えていた。割って調べてみると、釣り糸のような繊維が出てきたという。まあ不純物なのであろうが、こんなことが、実際にありうるのだろうか?と言う気もする。

ひょっとしたら、ジェネリックを貶めるような都市伝説なのかもしれない。

最近、リスパダールが発売されたが、これをすぐに導入した病院はまだ少ない。導入したいと思っている病院も、もう少し様子をみたいといったところであろう。うちの病院では今のところ導入する予定はない。理由は、僕が上に書いたような経験をしているからである。

ジェネリックは採用することに決めている病院はすぐに導入する。だから、あの病院はすぐに導入するだろうなというのはなんとなくわかる。あるヤンセンのMRさんに、○○病院はもう入ったでしょ?と聞いたら、「先生なぜわかるんですか?」と逆に聞かれた。

徹底的にジェネリックを採用すれば、病院全体ではすごく利益が上がるのである。これは包括病棟があることと、薬価差益がジェネリックの方が大きいことによる。

特に汎用される非定型抗精神病薬に安易にジェネリックを入れないことにしているのは、これらが、主に統合失調症の患者さんに処方されているからである。これらの薬物は他の内科薬などに比べ、脳に薬理作用を及ぼしていることと、若い人も服用し継続期間が長いということがある。

もしジェネリックの品質がやや低いならば、長期間服用した時、取り返しのつかないことになる可能性もあるからである。

個人的には、リスパダールのジェネリックでも、信頼できる製薬会社により発売されているものなら、ほぼ大丈夫のような気がしている。

僕がもっともよくわからないのは、クリニックで院外処方をしてもらっているのに、ジェネリックを処方されている人がいること。院外処方では基本的になんでも処方可能なので、先発品が希望できる上に、自立支援法により月あたりの支払額もそうは変らない。

謎過ぎることであった。

参考
ジェネリックの考え方
セロクエル口腔内崩壊錠
リーマス
デプロメールとルボックス
分類不能の発達障害
デパケンR(その2)
デパス