助詞の話──場所を示す「に」と「で」〈5〉 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【34】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987967446&owner_id=5019671

mixi日記2024年08月21日から。

 下記の続き。
【助詞の話──場所を示す「に」と「で」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1210.html

 テーマトピは下記だな。
【「で」と「に」の違い】2024/08/07
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/13885519.html
===========引用開始
質問者:allotment質問日時:2024/08/07 13:35回答数:10件
雄一君は車の中に座っています。
雄一君は車の中で座っています。

この違いを教えてください。 
===========引用終了

 質問者はSF文法を支持したみたい。すごいなぁ。あれが理解できるんだ。あの考え方でほかの問題もわかるのね。アホらしい。
 当方のコメントを回収する。
━━━━━━━━━━━引用開始
No.6

回答者: 1311tobi 回答日時:2024/08/07 21:51
どちらも使えますが、「違い」を説明するのはけっこうメンドー。「に」も「で」もいろいろな働きがあります。
 辞書の全文は末尾に。

雄一君は車の中{ニ/デ}座っています。

 の{ニ/デ}の働きは、場所を表わすでいいだろう。
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時【ニ】間に合わせる」「紙上【ニ】発表する」
1 動作・作用の行われる場所・場面を表す。「家【デ】勉強する」「委員会【デ】可決する」「試験【デ】合格点を取る」

 問題は、
【ニ】しか使えない場合、
【デ】しか使えない場合、
【ニ】でも【デ】でもいい場合
 があること。

雄一君は車の中{ニ/デ}座っています。
 の場合は両方OKだろう。意味は↑の辞書を説明を見ればわかるとおり、同じようなもの。こういう場合にいろいろなことを書いて説明する人がいるが、たいていは単なる主観でしかない。
 もっとほかに考えるべきことがあるのでは。

雄一君は車の中{ニ/デ}座ります。
 これも両方OKだろうが、ニにはほんの少し異和感がなくはない。それは当方の主観だろう。
雄一君は車の中{ニ/デ△}います。
 これはデは不自然。なぜなのだろうか。

 詳しくは下記をご参照ください。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1210.html
【助詞の話──場所を示す「に」と「で」】

 長い話なので要点を絞る。
 おそらく、『goo類語辞書』の記述がわかりやすい。
https://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/17117/meaning/m1u/%e3%81%ab/

===========引用開始
【2】「で」は、動作・出来事の起こる場所を表わす。動作を表わす動詞には、ほとんどつくことができる。
【3】「に」は、ものの存在する場所を表わす。「に」と結びつく動詞は、「ある」「いる」「住む」「勤める」「座る」「立つ」「泊まる」「止まる」など。
【5】「で」は、「に」あるいは「を」とも組み合わせて用いることができる。この場合、「で」の方がより広い範囲の場所を表わす。「東京でホテルに泊まった」「高速道路で追い抜き車線を走った」
===========引用終了

 辞書がちょっと言葉足らずで、「で」のほうが用途は広いが、「ある」「いる」の場合はデはつきにくい。
 ↑の「雄一君は車の中デ△います。が不自然なのはそのせい。
 一方、「座る」なら{ニ/デ}の両方が使える。

 ↑の【5】のとおり、ニとデを組み合わせるなら、〈「で」の方がより広い範囲の場所を表わす〉のが原則。「雄一君は車の中デ助手席ニ座っています」になる。

 以下はちょっと余計な話。 
===========引用開始
 さすがに辞書はムチャなことは書かずに無難にまとめているけど、[対比表]の部分はいただけない。
「校庭ニ遊ぶ」って×? 古風だけど間違いではないだろ。せめて△にしてもらえないかな(後述)。
「椅子デ座る」って×? せめて△にしてもらえないかな。これが「公園のベンチ( )座る」だと相当微妙になる。椅子よりもベンチのほうが広いからだろうか。「喫煙席( )座る」だと「デ」もOKだろ。もっと広くなるから? 「芝生( )座る」だとどちらもアリだろうな。理由はわかりません。これが「寝転がる」「寝る」「横になる」あたりだと「デ」のほうが自然な気さえしてくる。理由はわかりません。
===========引用終了
━━━━━━━━━━━引用終了


https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%81%AB/#jn-166083
===========引用開始
に の解説
[格助]名詞、名詞に準じる語、動詞の連用形・連体形などに付く。
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時—間に合わせる」「紙上—発表する」

「熟田津 (にきたつ) —舟 (ふな) 乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」〈万・八〉

「二十一日、卯 (う) の時ばかり—船出 (い) だす」〈土佐〉
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭—池がある」「右—見えるのが国会議事堂です」

3 動作・作用の帰着点・方向を表す。「家—着く」「東—向かう」

「蟻のごとくに集まりて、東西—急ぎ、南北—走 (わし) る」〈徒然・七四〉

4 動作・作用・変化の結果を表す。「危篤—陥る」「水泡—帰する」

「青葉—なり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます」〈徒然・一九〉

5 動作・作用の目的を表す。「見舞い—行く」「迎え—行く」

「白馬 (あをうま) 見—とて里人は車清げにしたてて見—行く」〈枕・三〉

6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人—よくかみつく犬」「友人—伝える」

「人—若菜給ひける御歌」〈古今・春上・詞書〉

7 動作・作用の原因・理由・きっかけとなるものを示す。…のために。…によって。「あまりのうれしさ—泣き出す」「退職金をもとで—商売を始める」

「春の野に若菜摘まむと来 (こ) しものを散りかふ花—道はまどひぬ」〈古今・春下〉

8 動作・作用の行われ方、その状態のあり方を表す。「直角—交わる」「会わず—帰る」

「桐の木の花、紫—咲きたるはなほをかしきに」〈枕・三七〉

9 資格を表す。…として。「委員—君を推す」

「はじめより我はと思ひあがり給へる御方々、(桐壺ノ更衣ヲ)めざましきもの—おとしめそねみ給ふ」〈源・桐壺〉

10 受け身・使役の相手・対象を表す。「犬—かまれた」「巣箱を子供たち—作らせる」

「ありがたきもの、舅 (しうと) —ほめらるる婿」〈枕・七五〉

11 比較・割合の基準や、比較の対象を表す。「君—似ている」「一日—三回服用する」

「御袴着 (はかまぎ) のこと、一の宮の奉りし—劣らず」〈源・桐壺〉

12 (場所を示す用法から転じて、多く「には」の形で)敬意の対象を表す。「博士—は古稀 (こき) の祝いを迎えられた」「先生—はいかがお過ごしですか」

「うへ—も聞こしめして渡りおはしましたり」〈枕・九〉

13 (動詞・形容詞を重ねて)強意を表す。「騒ぎ—騒ぐ」

「風いたう吹き、海の面 (おもて) ただあし—あしうなるに」〈枕・三〇六〉

14 「思う」「聞く」「見る」「知る」などの動詞に付いて状態・内容を表す。

「この継母の有様をあたらしきもの—思ひて」〈源・帚木〉

15 比喩 (ひゆ) の意を表す。

「逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花 (しらゆふはな) —波立ち渡る」〈万・三二三八〉

[接助]活用語の連体形に付く。
1 あとの叙述の前置きとして続ける意を表す。…と。…ところ。「考えてみる—庶民のための政治は当分望めそうにない」「こともあろう—警官にけんかを売るとは」

「あやしがりて寄りて見る—、筒の中光りたり」〈竹取〉

2 理由・原因を表す。…ので。…だから。

「渡し守、はや舟に乗れ、日も暮れぬと言ふ—、乗りて渡らむとするに」〈伊勢・九〉

3 逆接の確定条件を表す。…けれども。…のに。…だが。

「日中の照りに乾いて、きょうは道が好かった—、小庭の苔はまだ濡れている」〈鴎外・蛇〉

「よろしうよみたりと思ふ歌を人のもとにやりたる—、返しせぬ」〈枕・二五〉
4 添加・並列を表す。…のに加えて。…の上にさらに。

「旅の空を思ひやるだにいとあはれなる—、人の心もいと頼もしげには見えずなむありける」〈かげろふ・上〉

[補説]接続助詞「に」は、用言の連体形に付く格助詞「に」から転じたもので、1は口語では多く「要するに」「こともあろうに」などの慣用的表現として用いられる。
[終助]
1 《上代語》活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。

「ひさかたの天路 (あまぢ) は遠しなほなほに家に帰りて業 (なり) をしまさ—」〈万・八〇一〉

2 《近世語》活用語の終止形に付く。軽く注意を促したり、とがめたりする意を表す。…のにな。…のだぜ。

「飯をたいたら、かゆになってしまうわな。米をたくといへばいい—」〈滑・膝栗毛・初〉

[並助]並列・列挙・添加・取り合わせを表す。「バター—チーズ—牛乳」「月—むら雲、花—嵐」
「有識 (いうそく) —公事 (くじ) のかた、人の鏡ならんこそいみじかるべけれ」〈徒然・一〉 
===========引用終了


https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%81%A7/#jn-148951
===========引用開始
で の解説
[格助]《格助詞「にて」の音変化》名詞、名詞的な語に付く。
1 動作・作用の行われる場所・場面を表す。「家—勉強する」「委員会—可決する」「試験—合格点を取る」

「やまきの館 (たち) —夜討ちに討ち候ひぬ」〈平家・五〉

2 動作・作用の行われる時を表す。「二〇歳—結婚する」

「十三—元服仕り候ふまでは」〈平家・七〉

3 動作・作用を行う主体となる組織・団体を表す。「政府側—検討中だ」「気象庁—光化学スモッグ警報を発令した」

4 期限・限度・基準を表す。「一日—仕上げる」「五つ—二〇〇円」

「三百騎ばかり—喚 (をめ) いて駆く」〈平家・七〉

5 動作・作用の行われる状態を表す。「みんな—研究する」「笑顔—あいさつする」


6 動作・作用の手段・方法・材料などを表す。…を使って。「電話—連絡する」「テレビ—知ったニュース」「紙—作った飛行機」

「この御馬—宇治河のまっさき渡し候ふべし」〈平家・九〉

7 動作・作用の原因・理由を表す。「受験勉強—暇がない」「君のおかげ—助かった」

「その御心—こそかかる御目にもあはせ給へ」〈平家・二〉

[接助]《7から。近世語》活用語の終止形に付く。原因・理由を表す。
「おれが居て、あちこちから算段してやる—通られるが」〈滑・浮世床・初〉
===========引用終了

 


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