2018年度「COP24」の開幕にて | Just One of Those Things

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科学オタクの主婦が危機感から一人でこねまくっております、危機管理シリーズ。地球温暖化対策の報道のデータ版です。
 
前回は、国連版の「温室ガス30年に25%減必要 パリ協定目標達成で分析~排出量が過去最多「今の対策では増加続く」」から、アメリカ版の「温暖化で屋外就労が困難に…労働への影響 米政府報告書~山火事~トランプ大統領「信じない」」、世界版の「世界の平均気温 今年は観測史上4番目の高さに~猛暑が原因で失われた労働時間 世界で1530億時間」、国内版の「地球温暖化の被害軽減へ 「気候変動適応計画」を閣議決定~温室効果ガス排出量 4年連続減るも減少幅」を取り上げ終えました。
 

今回は、「2018年度「COP24」の序章編」に続く、開幕編です。

 

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COP24開幕 米の「パリ協定」脱退表明で交渉難航か
2018年12月3日 6時10分

地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP24」が開幕しました。ことしは2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組み、「パリ協定」に実効性を持たせるためのルールを作ることができるのかが最大の焦点です。しかし途上国からは、協定からの脱退を表明したアメリカなどの影響で、ルールの採択に向けた機運がそがれているとの声もあり、2週間にわたる交渉は早くも難航が予想されています。
 
「COP24」は2日、ポーランドのカトヴィツェで開幕し、議長を務めるポーランドのクルティカ環境副大臣は「パリ協定という目標は3年前に定まったが、どのように実行に移すかが問われている」と述べて、これまで実務者レベルで進めてきた議論を加速させるよう各国に呼びかけました。
 
また、EU=ヨーロッパ連合の代表は記者会見で「実現には政治的な意思と決断力が不可欠だ」と述べて、各国が立場の違いを超えて歩み寄る必要があるという考えを示しました。
 
一方、南太平洋の島国の1つ、ツバルの代表はNHKの取材に対し、「パリ協定が採択された3年前に比べると、温暖化対策に向けた世界の機運は低下している」と述べて、去年6月に協定からの脱退を表明したアメリカのトランプ政権の影響などで、ルールの採択に向けた機運がそがれていると指摘するなど、途上国を中心に交渉の難航を予想する声が早くも上がっています。
 
会議では3日、国連のグテーレス事務総長をはじめ、各国の首脳が演説する予定で、パリ協定に基づいて温暖化対策を加速させることが不可欠だという認識が、どこまで共有されているかに注目が集まっています。
 
■国連総会議長「パリ協定継続に各国は努力を」
 
COP24に国連総会を代表して参加したマリア・フェルナンダ・エスピノサ議長は、NHKの取材に対し「パリ協定が採択されて3年が経過した。各国が同じルールの基で対策を進めるときだ」と述べて、この会議でパリ協定のルールが採択され、世界全体の温室効果ガスの排出削減が進むことに期待を示しました。
 
一方、温暖化対策に向けた機運が低下しているとの声が出ていることについて、「パリ協定という画期的な成果を継続させるためには、各国はより努力しなければならない」と述べて、各国が危機感を共有し、協調して対策に取り組む必要があるという認識を示しました。
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想定されていた通り、難航な開幕となりました。

 

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温暖化対策への機運低下と途上国が懸念「パリ協定 維持を」
2018年12月4日 6時41分 NHK

ポーランドで開かれている地球温暖化対策の会議「COP24」で国連のグテーレス事務総長が演説し、2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」への信頼を維持するために、世界が結束する必要があると訴えました。
 
COP24で各国はパリ協定の実施に必要なルールの採択を目指しています。
 
3日の会合には議長国のポーランドや、オーストリア、ナイジェリアなど20か国余りの首脳も参加しました。
 
国連のグテーレス事務総長が演説し、今回の会議について「3年前にパリ協定が採択されて以降、最も重要な会議だ」と述べました。
 
そのうえで「パリ協定への信頼を維持するために、3年前と同じ機運で交渉に臨まなければならない」と指摘し、世界が再び結束する必要があると訴えました。
 
またナイジェリアのブハリ大統領は「ともに協力して気候変動の問題に立ち向かっていこう」と呼びかけました。
 
これらの発言の背景には、途上国から、温暖化対策の強化に向けた世界の機運が低下しているとの見方が出ていることがあるとみられます。
 
モロッコのラバハエネルギー相はNHKの取材に対し「ドイツや中国など主要国から、かつてあった決意を感じられない」と話していました。
 
世界各地で異常気象が相次ぎ、対策の強化が待ったなしの状況の中、今月14日までの会期中に各国が機運を盛り上げ、ルールを決められるか注目されます。
 
■シュワルツェネッガー氏 自治体トップも招いて議論を
 
COP24の3日の会合には、ハリウッド俳優でアメリカ カリフォルニア州の知事を務めたアーノルド・シュワルツェネッガー氏も参加しました。
 
アメリカではトランプ政権がパリ協定から脱退する方針を表明していますが、シュワルツェネッガー氏は「アメリカの自治体はパリ協定を支持している」と述べ、自治体は温暖化対策を進めていると強調しました。
 
そのうえで、次回以降のCOPでは地方自治体のトップも招いて対策の強化に向けた議論を行うよう求めました。
 
そして最後に「もし実現すれば、また来るよ」とみずからが出演した大ヒット映画のセリフを引用すると、各国の代表からは笑い声が上がるとともに大きな拍手が送られていました。
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アーノルド・シュワルツェネッガーさん、心強いですね。

 

ぜひ実現してほしいものです。

 

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COP24 大気中のCO2削減対策の強化必要と指摘
2018年12月5日 5時25分 NHK

地球温暖化対策の会議「COP24」で、国連の専門機関は「大気中の温室効果ガスを回収するなどしなければ、世界の平均気温の上昇は抑えられない」と指摘し、温室効果ガスの排出量を減らすだけではなく、植林などすでに大気中にある二酸化炭素を減らす対策を強化する必要があると指摘しました。
 
ポーランドで開かれているCOP24は3日目を迎え、国連の専門機関で、世界の科学者などでつくるIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」が温暖化の現状について各国に報告しました。
 
この中で、IPCCの議長は「大気中の温室効果ガスを回収するなどしなければ、世界の平均気温の上昇は抑えられない」と指摘して、2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を減らすとともに、植林のほか大気中の二酸化炭素を人工的に回収するなどの対策を強化する必要があると指摘しました。
 
報告を受けて、国連の気候変動枠組条約のエスピノサ事務局長は「私たちに残された時間は少なく、行動を起こさなければその影響は計り知れない」と述べて、今回の会議で「パリ協定」を確実に実行に移すためのルール作りだけでなく、各国の削減目標の将来的な引き上げに向けた議論を進めることの重要性を強調しました。
 
■各国の反応は
 
IPCCの報告について、ニュージーランドの交渉官は「パリ協定を実行に移さなければいけない、各国がもっと野心的に行動しなければいけない、という思いを強くした」と話していました。
 
またモルディブの交渉官は「温室効果ガスの削減目標を引き上げるなど、野心的な取り組みを今すぐに始めるべきだ」と話していました。
 
また、日本の高柳大輔交渉官は「温暖化対策について科学的な知見を踏まえて考えることは重要で、しっかりと報告の中身を分析したい」と話していました。
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ここから捏ねます。

 

≪温室効果ガスを回収≫

 

二酸化炭素を回収して燃料にする「夢のリサイクルシステム」

【カナダの企業「Carbon Engineering」が、空気をフィルタリングすることで二酸化炭素濃度を削減することができる新しいシステムを開発した。
加えて、純度の高い炭素を抽出し、水素とかけあわせることで「炭化水素」をつくることができる。】

 

イタリアで大気から二酸化炭素を回収する工場が開設

(2018年10月10日)

【スイスのベンチャー企業「クライムワークス」は、大気中の二酸化炭素を回収することによって、世界的な温暖化によって生じるさまざまな問題の削減に取り組む。最近、クライムワークス社はイタリアに3番目の工場を開設した。
この工場は毎年、地球の大気から150トンの二酸化炭素を回収し、多くの経済分野で必要とされるメタンガスに変える予定。クライムワークスの工場では、国際宇宙ステーションや潜水艦などで使用されているのと同様の技術が利用されている。】

(参考:CO2回収技術、初の産業化 スイス企業、商業プラント稼働へ (2016.3.9 05:00)

 

二酸化炭素分離回収設備について 佐賀市[佐賀県]

【佐賀市清掃工場(ごみ焼却施設)では、ごみを焼却した際の排ガスから二酸化炭素(CO2)のみを分離回収する設備を設置しています。この取組は、日本初のごみ焼却施設におけるCCUプラントです。】

 

≪二酸化炭素を回収・貯留≫

 

二酸化炭素貯留 - Wikipedia

こちらに回収技術を含め、全体的な説明がなされてあります。

 

CO2回収・貯留(CCS) - 環境技術解説|環境展望台

国立環境研究所より。CCSについての技術解説が行われています。

 

二酸化炭素地中貯留技術研究組合 / 研究テーマ

CSSは多く研究され存在しますが、ただ回収・貯留するだけでなく、研究テーマにあるような課題をもって行われています。

 

研究内容 | RITE CO2貯留研究グループ

CSSは数多く研究され、たくさんあるのですが、ただ回収・貯留するだけでなく、上記のような研究も行われています。

 

温暖化の対策 Q7 二酸化炭素を回収・貯留する技術とは? | 国立環境研究所 地球環境研究センター

ここで、わかりやすく説明されています。調べられた方はわかると思いますが(まさにこの通り!と思われるでしょう)、現状はこんな状態です。

 

≪CCSについて≫

 

CO2地中貯留プロジェクト:CO2地中貯留の概要

二酸化炭素地中貯留技術研究開発より。上記に、CO2地中貯留の概要がわかりやすく示されています。

 

三菱重工│地球とともに歩む│CO2(二酸化炭素)回収CO2(二酸化炭素)回収装置

日本でのCCSは研究機関や大学が多いのですが、JAXAのロケットエンジンで縁が深い三菱重工さんも取り掛かられています。

 

CCS(CO2回収・貯留) | JAPEX 石油資源開発株式会社

石油企業も参加されています。

 

東京工業大学 工学院 機械系 平井・笹部研究室

大学での研究の一例として・・・。

 

CO2地中貯留 ≪ Ito lab. 伊藤研究室

こちらの大学では、問題点も挙げられています。

 

エネルギー管理:CO2の地中貯留を高効率に、大量貯留条件を判別する解析手法を開発 (1/2) 2016年04月12日 11時00分

【九州大学と米国ノートルダム大学の研究グループは、効率的にCO2を貯留できる貯留層の条件を明らかにする手法を開発したと発表した。大気中へのCO2排出を大幅に削減し、地球温暖化の防止策として期待されるCO2地中貯留の効率化や、安全性などに貢献できるという。】

参考:CO2地中貯留による CO2の削減・温暖化防止へ前進! ~安全で効率的な CO2地中貯留を可能にする技術の開発~(PDF)

 

CCSテクニカルワークショップ2019-大規模CO2地中貯留技術の事業化を見据えたリスク評価について

来年、ワークショップが開かれます。

 

≪CSSの危機管理について≫

 

CO2の地下貯留、万一漏れ出たら 実験で検証 :日本経済新聞(2015/3/14 7:00)

【陸上から計約4トンのCO2を海底下に送り込んで放出し、約1年間にわたり周辺のCO2濃度などを測った。自動測定に加えて、ダイバーによる観察や測定も試みた。
実験中は海底からCO2の気泡が上昇するのが見え、音響センサーでその流れを定量的にとらえられた。CO2が水中に溶けることで生じる酸性度の変化は場所によるばらつきが目立った。水中のCO2濃度は放出場所の真上付近の海底近くでのみ増えた。
測定データは潮の満ち引きなどによって変化する。自然変動と漏出したCO2の切り分けの難しさが浮き彫りになった。生態系への影響は漏出場所の近くで一部の微生物が減ったが、3週間以内に元の状態に戻った。
実際の漏出量はもっと多くなって、影響も増す可能性があるが、範囲は限られるだろうとしている。】

【RITEも地層の特徴やCO2貯留量のデータを入れ、断層が動いた場合にCO2がどのように上昇するか、および海中でどう広がるかを再現するモデルを作っている。環境省と経産省は日本のCCS適地調査を進めており、計算モデルは候補地の検討にも役立つ。
日本の計算モデルへの国際的な評価は高く、英米などの研究機関も注目する。プリマス海洋研のジェリー・ブラックフォード海洋システムモデル担当は計算と実験の両方を活用し、CO2の測定と影響評価に関する各国共通の「物差し」を作るよう提案する。】

 

CO2地下貯留、北九州で地質調査 日本CCS調査、九州初 :日本経済新聞(2010/3/26付)

2010年ごろの話ですが、ただCSSが造られているのではなく、事前調査が入ります。

【地球環境産業技術研究機構(RITE)の調査によると、北九州市の小倉沖から長崎県の五島灘にかけての海底地下にはCO2貯留に向く地層が広がり、全体で16億トンを貯留できる可能性があるという。日本全体でのCO2排出量は08年度で約12億8600万トン。
日本CCS調査は「北九州市での地質調査により、北部九州の沿岸全体のCO2貯留の可能性を調査する」という。同社は福島県いわき沖、北海道苫小牧沖でもCO2地下貯留に向けた地質調査を続けている。
経済産業省は各地の地質調査の結果を踏まえて、CO2地下貯留の実証実験を実施する予定。北九州市には製鉄所や火力発電所、化学工場が集中しているほか、石炭火力発電からCO2を回収するJパワーの実証プラントもあり、実証試験の有力候補地となっている。】

 

産総研:CO2地中貯留がもたらす地下微生物生態系への影響を解明 -CO2地中貯留技術の実現に新たな一歩-(2013/06/13)

当然、環境アセスメントも執り行わなければなりませんね。


二酸化炭素貯留は地震を引き起こす?

これは、地質や断層、プレートなどの環境によって、地震の有り無しがあるかと思います。地震が起こっているのは一部の地域だけで、他の所では同じ現象が報告されていません。

 

≪ネイチャーの姉妹誌より≫

 

マングローブでの大きな炭素貯蔵

Nature Geoscience
2011年4月4日
 

長期の気象制御のための炭素貯蔵

Nature Geoscience
2010年6月28日
 

古代マヤ文明による森林伐採が土壌炭素の貯蔵に影響を及ぼした

Nature Geoscience
2018年8月21日
昔は広範囲の焼畑で滅んだと言われていましたが、森林伐採からも来ていたようです。

 

【気候科学】管理された二酸化炭素貯留層によって気候変動を緩和できるかもしれない

Nature Communications
2018年6月13日
 

【惑星科学】火星の大気中の二酸化炭素は岩石に吸収されていた

Nature Communications
2013年10月23日
 

【惑星科学】火星の大気中の二酸化炭素は岩石に吸収されていた

Nature Communications
2013年10月23日
 

【地球科学】二酸化炭素を使って環境にやさしい水圧破砕法を実現する

Nature Communications
2016年6月22日
 

≪おまけ≫

 

ジェームス・ハンセン: なぜ気候変動について叫ばなければならなかったか 

8/6(月) 11:55配信もの。Yahooで取り上げられていました。

 

気候科学の第一人者のジェームス・ハンセンが、彼自身がどのように地球温暖化の科学や議論に関わってきたか話をします。この話のなかで温暖化が起こっている膨大な証拠を見せ、なぜこの証拠から彼が将来を非常に危惧しているのかを示します。 ( translated by Akinori Oyama , reviewed by Yuki Nakamura )

動画撮影日:2012/2/29(水) 0:00
 
この動画は必見です。動画にデータが等が示されてあり、わかりやすく報告されています。
 
当時、ネイチャーでも学者さんと共に奮闘していました。オールFだった報道がネイチャーで取り上げられていたのも、この動画で説明されているような背景があります。
 
リンクが切れるかもしれないので、以下に翻訳を貼り付けます。
 
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翻訳
 
私はホワイトハウスの前で 抗議して逮捕されました 中西部出身で 控え目な科学者の私が こうせざるを得ないような 何を知っていたのでしょうか? では もしみなさんが私と同じことを 知っていたらどうしたでしょうか? まずは私がどんな経緯でそんなことをすることになったのかをお話しします 恵まれたことに 私が育った時代は 借地で農業を営んでいる家の子供でも 州立大学に通うのが 難しくない時代でした
 
幸運にも アイオワ州立大学に通うと ジェームズ・ヴァン・アレン教授のもとで勉強できました アメリカ最初の衛星の 装置を作った人物です ヴァン・アレン教授は 金星では 強力なマイクロ波が放出されていると 教えてくれました この放出が意味するのは 金星に電離圏があるということか? それとも非常に熱い星なのか? この疑問の答えは ソビエト連邦のベネラ宇宙船の確認で 金星が非常に熱い星だと分かりました 華氏900度という高温です 金星が高温を維持しているのは 厚い二酸化炭素で覆われた大気層によるものです
 
恵まれたことに 私は NASA 職員になり 金星への 試験探査の提案に成功しました 探査船の装置がこちらの 金星のベールの画像を撮って 金星は硫酸の霧で 包まれていることが分かりました この装置の組み立てを待つ間に 私はこの地球の 温室効果の算出にも 関わるようになりました NASA は地球の大気の構成が 変化していることに気が付いたからです 結果として 私は 金星試験探査の主任研究員の 職を退きました 目の前で変わっていく惑星の方に より関心があり 重要だからです 地球の様々な変化は人類全体に影響するものです
 
温室効果は1世紀以上にもわたり 十分に理解されています 1850年代に 英国の物理学者ジョン・チンダルは 研究室内で赤外線放射を 測定する方法を確立しました 赤外線放射は熱を意味します 彼は二酸化炭素のような気体が熱を吸収することを示し この吸収が地球の表面を温める布団のように 作用していると示しました
 
私は他の科学者とも共同研究して 地球気候変動の観察結果を分析しました そして1981年には サイエンス誌に研究論文を発表しました その結論は 過去1世紀で 気温が摂氏 0.4 度上昇した という現象が 増加した二酸化炭素量 が起こすと想定される温室効果の 計算値と一致するという結論でした 結論では地球は1980年代に恐らく気温上昇を迎えて 20世紀末には この気温上昇が 天気の変動が確率的誤差を 超えるだろうとしていました これに加えて 私たちの論文は 21世紀には 気候帯の変動が発生し 北米やアジアでは干ばつが― 頻発する地域ができて 氷床が浸食されて 海水面が上昇して 皆が挑戦した伝説の"北西航路"が開けると伝えていました 論文で報告した影響は全て もうすでに現実になったか もしくは進行中です
 
この論文はニューヨークタイムズに1面で取り上げられました そして― 1980年代に 環境の状況について 議会で証言することになりました 証言では 私は地球温暖化によって 地球の水分が循環するときの両極の現象の激しさを よりに顕著にすると伝えました 一方では気温上昇の直接的影響で 熱波と干ばつが発生し 他方では より高い温度の大気が 水蒸気を蓄積して より強い潜在エネルギーを持つため 降雨がより強烈な ものになると伝えました より強力な嵐が起こり より深刻な洪水を引き起こします 地球温暖化の騒動は 私の時間を 非常に多く取るものになって 科学に費やす時間を減らされました 私の証言を変えてしまった ホワイトハウスに抗議した為でもありました このため 私自身は科学に専念して 他の人たちに 社会へ報告していく活動を任せようと決めました
 
それから15年たった頃 地球温暖化の証拠はより強力なものとなりました 1981年の論文で私たちが指摘した多くの点は 事実となっていました 私は 大統領直轄の気候変動タスクフォースに対して 2回ほど話す機会に恵まれました しかし エネルギー政策は化石燃料資源を 発見することに力を注ぎ続けました その頃には 私には2人の孫ができました ソフィーとコナーという孫です 将来この孫たちに「祖父は地球に 起こっていることが分かってたのに みんなにきちんと伝えなかった」 と言われないように決断しました そして エネルギー政策による適切な対応ができていないと 公の場で批判し主張していくことに決めました
 
2004年にアイオワ州立大学と 2005年の米国地球物理学連合で 講演しました このためホワイトハウスは 私がNASA本部の事前承認を得ずに 講演したりメディアと話すことを 禁止させるように NASA 本部に要求してきました これらの禁止事項をニューヨークタイムズに 知らせると NASA はこの検閲を終了する状況に追い込まれました しかし それ以外の影響もありました 私はNASA のミッションステートメントの 最初の1文を発表に入れるようにしてました 「私たちの母なる惑星を理解し守るため」という1文で 私の講演に正当性を加えてました すぐに このミッションステートメントは 削除されて 二度と使われることはありませんでした
 
その後数年で 私はますます エネルギー政策を 変更する緊急性を伝えることに 引きこまれるようになりました 同時に気候変動の物理的側面を研究していました 物理面から得られた最も重要な結論をお話しします まずは 地球のエネルギーの均衡について 次に 地球の気候変動の歴史についてお話しします
 
二酸化炭素を大気に加えるのは ベッドにもう一枚布団をかけるようなものです この状態では 地球の熱が宇宙に放射される量が縮小します この状態は エネルギーが均衡しなくなった状態です 入ってくるエネルギーの方が多くて 放射が追いついていません これは地球が十分に高温になって 太陽からのエネルギー吸収量と 同じ量を放出するようになるまで続きます つまり 鍵となっている数量は 地球のエネルギー不均衡の量ということです 放出されるよりも多いエネルギーが 入ってきているのか? もしそうなら 今後気温上昇するものが蓄積されています 温室効果ガスを一切追加しなくてもその状態になる ということです
不均衡について最後の点です 私たちは地球のエネルギー不均衡を正確に測ることができます 地球の熱を貯蔵する箇所の 熱含有量を測ることによって分かります 最も巨大な貯蔵池 つまり海は計測されてませんでした 3000機のアルゴフロートを世界の海に 配置してから計測され始めました このフロート計測から分かったのは 海の浅い上部では 非常に高い率で温度が上昇していました 深海部では上部よりは緩やかに上昇していました そして エネルギーは合わさって この惑星のあちこちの氷を溶かす量となっていました 陸でも 数十メートルの地下の 温度が上昇しています
 
この不均衡を総計すると 1平米あたり 10 分の6ワットになります それほど多く聞こえないかもしれませんが 全世界分となると おびただしい電力量になります これは全人類が利用している電力量 よりも20倍も大きいものなのです これは1日あたり40万個の 広島型原子爆弾を爆発させたエネルギー量に相当します 1年では365日分になります これだけのエネルギー量を 地球は毎日蓄積しているのです もし 気候を安定させるとしたら 現在の不均衡の状態は 二酸化炭素濃度が 391 ppm から350 ppm へと 減らされなければならないことを 意味しています これはエネルギーの均衡を取り戻し 将来の気温上昇を 防ぐために必要な変化です
 
気候変動否定派は 太陽が気候変動の主な要因だと主張します しかし 測定されたエネルギーの不均衡は 太陽光が最も極少だった時のものでした つまり地球に到達する太陽エネルギーが最も少なかった時です それでも 入ってくるエネルギーよりも放射される方が多いのです これが示すのは気候に対して太陽の変動が及ぼした影響よりも 化石燃料を燃やして増加した温室効果ガスの上昇による― 影響が大幅に上回るということです
 
地球の気候変動の歴史を考えてみましょう この表は 地球全体の温度曲線と 大気中二酸化炭素濃度曲線と海面曲線で 海や南極圏の氷のボーリングサンプルと 海の堆積物や雪片から割り出しました これらはこれまで80万年かけて序々に積み重なって 2マイルの厚さの氷床を 地球に形成しました 見て分かるように 温度と二酸化炭素と海面に 高い相関性があります 詳しく見ると 温度の変動が起こった時は 必ず数世紀遅れで 二酸化炭素の変動が起こっています 気候変動否定派はこの事実を使って 大衆を混乱させ誤って導こうとします 「見てください 温度変動が二酸化炭素変動を起こしました 逆ではありません」と言うでしょう しかしこの遅れは 私たちが予測している結果と完全に一致するものです
 
地球公転軌道の小さな変化が 100万年もの年月の間に起こり 地球上に降り注ぐ― 太陽光の当たる面積を 変えたのです 高い緯度になった地域では 夏には太陽光がより多く当たり 氷床が解けるのです 縮小していく氷床が この惑星を暗くしたことで 地球はより多くの太陽光を吸収し 温度が上昇しました 温度がより高くなった海は コカコーラのように二酸化炭素を放出しました さらに増加した二酸化炭素が温度をより上昇させました 気候変動は非常に弱い力によって 始まったにもかかわらず 二酸化炭素 メタン 氷床の反応には 地球の温度変化を増幅して再度取り込む作用があり 古代の数ある気候変動の 振幅を大きくしたのです
 
ここで重要な点は この拡大して再度取り込む 増幅作用は現代でも発生するのです 物理法則は変わりませんから 地球の温度上昇が起こると 私たちが大気に放出する過剰部分の二酸化炭素が原因となって 永久凍土や海を温めることで 氷が解けて 二酸化炭素やメタンが放出されるのです この取り込んで増幅される状況がどれほど早く起こり始めるのか 私たちは正確には分からないですが 温暖化を止めない限り 確実に この増幅される状況が起こります この増幅が 既に始まっているという証拠があります GRACE観測衛星が測定した 精密な測定結果によれば グリーンランドと南極は両方とも多量に 氷を失っていて 700キロ立方メートルが毎年失われています 9年前に観測が始まって以来 これまでずっと 喪失率は加速しています メタンも同じように 永久凍土から放出され始めています
 
どの程度の海面上昇が おこるのでしょうか? 前回二酸化炭素が390ppm だったときには 現在の海面と比較して 海面は15 メーター(50 フィート) 高い位置でした 今みなさんが座っているところは 水没してしまっているでしょう 多くの予測では 今世紀中には海面が最低でも― 1メートル上昇すると言っています 私はもっと上昇すると考えます このまま化石燃料を燃やし続けると 今世紀 もしくはその少し未来には おそらく 5メートル(18フィート)も上昇するでしょう
 
ここで重要な点は このままでは近いうちに人類が制御できないような― 増幅プロセスが始まってしまうということです 氷床は数世紀に渡って解け続けるでしょうし 海岸線はもう定まらなくなります 経済的な影響は考えても考え切れないほどです ニューオーリンズで起こったような荒廃が 世界中の何百もの箇所で起こります 気候変動を否定し続ければ 多くの種が絶滅していくような もっと非難される出来事が起こります 気候変動に関する政府間パネルは このまま化石燃料を使い続ければ 今世紀末までに 全生命種のうち20から50パーセントが 絶滅すると予測しています オオカバマダラ蝶は この絶滅種の種のひとつになるでしょう
 
地球温暖化は既に人々にも影響を及ぼしています テキサス オクラホマ メキシコなどで― 去年発生した熱波や干ばつがあります その前年にはモスクワで 2003年にはヨーロッパで― 起こった全ての例外的な異常は 通常の天候から3シグマもかけ離れたものです 50年前に このような異常気象は 陸面積の0.2か0.3パーセントほどの 割合しか占めていませんでした 最近の異常は 地球温暖化のせいで 異常気象が10パーセントを占め この変化は25から50倍の増加です このことから 私たちはかなりの信頼度を持って テキサスやモスクワの熱波は 通常のものでないと言えます そうです 地球温暖化が引き起こしたものです 重大な影響としては 地球温暖化が続けば この国そして世界の穀倉地帯に影響が出ます アメリカ中西部や大草原地帯の穀倉地帯が かなり厳しい干ばつの多発地帯となってしまい 1930年代の― ダストボール砂塵嵐の比ではありません このまま地球温暖化を続ければ たったの 20から30年でそうなってしまいます
 
私が過去30年間で溜めてきた休暇を 全て使い尽くしながら 10ヶ国で講演をし 逮捕されてまで どんどんどんどん引きこまれながら この危機を伝えようとするようになったのでしょうか? 孫がもっと多くの力をくれて助けてくれました 孫のジェイクは非常に 積極的で熱意にあふれた子です 2才半にして この子は 彼の2才と少しの妹を 守ることができると考えています こんな若い子たちに 制御がきかなくなってしまった 地球の天候システムを 残したら不道徳です
 
気候変動の悲劇的なことは 私たちが 単純で誠実な方法で この問題を解決できることだからです それは化石燃料を使用する企業に対して炭素費を課し その額を段階的に引き挙げて 集めたお金を 合法的な居住者の人数で割って その居住者に電子送金で 毎月振り込むようにするのです また政府には1円も流れないようにします ほとんどの人は 価格転嫁の上昇分を支払う額よりも 多い配当金額を受け取るでしょう この費用と配当金によって 経済と技術革新が 促進されて 何百万人もの 雇用を生むでしょう これは 私たちが迅速に クリーンエネルギーを使う将来へ向かうために 欠かすことができない要件です
 
何人かの一流の経済学者も この提案を一緒に書いてくれました 米国共和党系環境保護組織のジム・ディペソは こう書いています 「透明性があり市場原則に基づいている 大きな政府に導くものではないし エネルギー政策を個人個人の選択にゆだねられる 実現可能性のある保守的な気候変動への計画のようだ」
 
しかし現実には 上昇する炭素費を課すことで 化石燃料そのものに 社会的な真のコストを負担するように 払わせるような仕組にするのではなく 私たちの各国政府は大衆に 化石燃料を助成することを強いていて 毎年世界中で4000から5000億ドルを 投じています これが利用可能な全ての化石燃料の抽出を促進しています 山頂の採掘に始まり 長壁式採掘 水圧破砕 タールサンド シェール油 北海深海油田などの抽出を推進しています 現在の方向性を続けてしまうと 私たちは 加速的に崩壊が始まる閾値を超えてしまい 氷床が溶解して 将来の世代が制御できない状態にしてしまうことを確実に引き起こします 生命種の多くの部分が 絶滅にひんすることになります 干ばつや洪水がより激しさを増して 世界の食糧供給に重大な影響を及ぼすことで 大規模な飢餓や 経済的な減速を引き起こします 地球に激突する方向へ 巨大な隕石が迫ってくることを想像してください
 
私たちが現在直面しているのは まったくこれと同じことなのです しかし 私たちはためらっていて 隕石を避ける為の 行動を何もおこしていません 待てば待つほど 回避するのは困難になり 支払う代償が大きくなります もし2005年にはじめていれば 地球全体のエネルギー均衡を取り戻し 今世紀の気候変動を安定させるのに 毎年3パーセントの排出削減のみですんでいました もし来年始めれば 毎年6パーセントの排出削減です もし10年後に始めたら 毎年15パーセントの排出削減が必要で これは極めて困難で高い代償で おそらくは実現不可能でしょう しかし 私たちは始めようともしていません
 
さぁ 皆さんは私を警鐘を鳴らすように駆り立てた 私の知っていることを知りました 明らかに これまではこのことを理解してもらえていません 科学は明らかに教えてくれています 私を助けてください より効率的に この解決策を見つけ出し より効率的に 現在のこの状況が 重大な意味をもった緊急な課題だと 伝える手助けをしてください 子や孫に対して果たす責任があります
 
ありがとうございました
 
(拍手)
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以上。
 
長文になりましたので、この辺で終わるとします。
 
「COP24」は進み次第、続編を取り上げます。
 
 
※多忙につき、相変わらずブログでの対応が遅れていますことを、心からお詫び申し上げます。
 
 

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