それでは湯話に戻る。
2020年2月の駆け抜ける湯旅は長野県小谷村の最後の湯へ。
それではここまでの行程を並べる。
猫鼻の湯のオーナーさんが来るという時間を待つことができずに向かったのは、これまた昔より広く知られる宿だが今まで来れなかったところ。
温泉天国の小谷村を代表する宿、「小谷温泉 山田旅館」。
国道148号から県道114号に入り、10km弱。
降雪の少なかった冬だが、さすがにこの辺りは積雪がある。
この山田旅館の奥の宿は冬期閉鎖。
道も塞がれていた。
江戸時代からの建物がそのまま残り登録有形文化財にもなっている山田旅館。
増築を重ね、立寄りでは全貌をうかがい知ることができない。
到着したのは12時頃。
立寄り入浴ができるのは10時~15時と、チェックアウトからチェックインの合間ということになる。
湯治泊も受付けており、自炊室ももちろんある。
立寄り入浴できる浴槽は本館に限られており、各館内の観察は遠慮した。
こういう宿は本来泊まってみないといけないと思いつつ、とりあえず立寄った次第(^-^;
守る会のスタンプを集めていた頃にも何故か来ていなかったなぁと思ったり。
小谷温泉 山田旅館
着いたのはもうすぐ12時という頃合い。
経年の重みを静かに感じる入口。
守る会の提灯は無いけど、あったら邪魔だなと思ったことも事実。
受付へ行って立寄り入浴料500円を支払う。
立寄り可能時間は10時~15時。
本館の浴場のみ入浴可能となる。
浴場への途中には休憩所があった。
貴重品などはここのロッカーに預ける。
もう少し廊下を進み、浴場へ。
うわー、入口からしてたまらん
本館浴場は男女別の内湯のみ。
でも打たせ湯や寝湯はある。
最初の少しだけ独り占め。
撮りたいところの撮影が終わらぬ内に後客あり。
有名人気宿だから仕方ない。
それでは浴場内へ。
フワっと甘い香りが立ち込めている。
数名が入れる浴槽の奥には寝湯スペースと、湯口がそのまま打たせ湯になっている、よく知られた一画がある。
湯は完全かけ流しで使用されており、寝湯スペースからオーバーフローがある。
沈着・析出物がよい表情
洗い場の写真はちゃんと撮れなかった。
その中で、源泉が出ており、かけ湯のようになったところだけ。
全体的に赤茶色の沈着がいい感じ。
後程みていくメインの湯よりもこちらの方が炭酸のシュワ感をはっきり感じた。
さらにほろ苦味もあった。
温度を測ると。。。
36.6度と不感温度。
後程詳しく見るメイン源泉の元湯の温度はもっと高いので、これが同じ源泉かあるいは別源泉かは不明。
というのもこちらの宿、自然湧出の源泉を「元湯」と「新湯」の2本持っている。
もしかして新湯の方かと思ったが、未確認。
脱衣所に掲げてあったのは「元湯」の方のみ。
僅かに白黄色にささ濁った湯は、源泉名が「小谷温泉 元湯」。先述の「元湯」だ。
源泉温度44.5度、pH6.8のナトリウム-炭酸水素塩温泉。
すなわち純重曹泉となる。
成分総計は3.252g/kg。
ナトリウムイオンが672.4mg、炭酸水素イオンが1960mg。
他に目立つ数値だと、遊離二酸化炭素が411.3mgあたり。
なかなか潔いバランスの源泉だ
自然湧出で106リットル/分の湧出量があるとのこと。
浴槽での温度を測ってみると。。。
42.4度であり、源泉温度とさほど変わらないまま使用されている。
こちらの浴槽の湯口はコーナーに聳える打たせ湯である。
湯気でよく見えにくいと思うので、二分割で↓。
この泉質がもたらす析出物芸術が素晴らしい出来栄えだ
淡い金気臭っぽい香りがある。
炭酸の甘味と酸味、僅かなシュワ感もある。
淡い塩ダシ味がして、僅かにエグ味も感じた。
ここで温度を測ると。。。
43.8度であり、湧出地点からほとんど温度に変わりがない。
やはり打たせ湯をさせてもらった
なかなかうまく写真が撮れず何枚もトライ。
眉間にしわを寄せているが、もちろん極上の塩梅である
浴感としては泉質の通り、ツルスベ感がしっかりある。
自然湧出で奇跡に近い適温、しかもドバドバ投入で極上泉質。
やはり評判になっても当然の湯であった。
これは湯治泊をしてしっかり味わうべき湯であろうと思った。
小谷温泉 山田旅館
長野県北安曇郡小谷村中土18836
0261-85-1221
立寄り入浴料 500円
10時~15時
<源泉名:小谷温泉 元湯>
ナトリウム-炭酸水素塩温泉(低張性・中性・高温泉)
44.5度
pH6.8
成分総計 3.252g/kg
自然湧出
106リットル/分
微白黄色ささ濁り
クリーム茶色の析出物あり
淡い金気臭あり
炭酸の甘酸味、微シュワ感あり
微エグ味もあり
淡い塩ダシ味あり
ツルスベしっかり
完全かけ流し
かけ湯は無色透明
実測36.6度
より炭酸のシュワ感、ほろ苦味あり
2020年2月入湯
※数値はH26分析書より