第1176回「伊福部昭の芸術シリーズ:Disc 7《幻》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日は定期的に取り上げている「伊福部昭の芸術」シリーズから第7弾となるDisc 7《幻》わんぱく王子の大蛇退治をみていきます。こちらに収録されているのはSF交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」と交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」の2曲が収録されています。本名徹次と日本フィルハーモニー交響楽団による演奏です。


〜伊福部昭の芸術シリーズ:Disc 7《幻》〜


「本名徹次指揮/日本フィルハーモニー交響楽団」

伊福部昭作曲:
SF交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」

交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」



 当盤に収録されている一曲目のSF交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」は以前当ブログでもSF交響ファンタジー第1番、第2番、第3番を取り上げた際一緒に収録されていたので取り上げている。二曲目の「わんぱく王子の大蛇退治」は今回はじめて聴くが、伊福部先生の映画音楽らしい独特なリズムなどを余すことなく聴くことができるようになっている。2曲ともに映画に関する曲となっているが、その世界観を存分に味わえる演奏と言えるだろう。


 伊福部昭:SF交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」、2003年録音

・・・平成ゴジラシリーズ第3作目となった「ゴジラVSキングギドラ」。タイムトラベルをしてゴジラ誕生の歴史やキングギドラとゴジラ因縁の闘いなどを楽しむことができる。また、本作で唯一キングギドラがメカキングギドラという形ではあるが、人間に操作されながらゴジラと闘っている。「ターミネーター」などのSF映画の影響も少なからず存在しているゴジラシリーズの中でも斬新なものとして知られている。今回の曲目は以下の通り。


1.前奏曲

2.ディノザウルス

3.ラゴス

4.エミー

5.キングギドラ

6.行進曲

7.ゴジラ


 演奏として他の伊福部作品が使われているものもあるが、日フィルによる安定感のある重心低めの演奏やダイナミック・レンジの幅広さがよりゴジラやキングギドラの壮大な姿を連想させるように聴こえるため、聴いているだけで思わず圧倒されてしまうような大迫力の演奏を楽しむことができる。また、6曲目の行進曲での歯切れの良いスネアドラムや弦楽器及び管楽器に引けを取らない形で演奏をしている打楽器の存在感も明確に感じることができる。


 伊福部昭:交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」、2003年録音

・・・1963年に公開した映画「わんぱく王子の大蛇退治」の音楽を組曲としてまとめた曲である。物語は日本神話にある天岩戸物語や素戔嗚尊の八岐大蛇退治などが題材とされている。そのためスサノオ、イザナミ、イザナギ、ツクヨミ、アマテラス、ワダツミなどが劇中では登場する。曲目は以下の通り。


1.前奏曲〜イザナミの昇天

2.スサノオの旅立ち〜火の国

3.アメノウズメの舞

4.イズモの国〜大蛇退治

5.終曲


 が今回組曲として取り上げられている。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」に似たフルートの旋律や他の伊福部作品との関連性が強いと言えるだろう。それもあって全体的な作りとしては映画音楽や劇伴音楽とは違いクラシック音楽としての面が非常に強いように聴いていて感じる。かつて「ドラゴンクエスト」ですぎやまこういち先生が数多くのクラシック音楽をBGMとして手がけたように、伊福部先生もアニメーション映画だった「わんぱく王子の大蛇退治」に込めたのかもしれない。各曲ごとにテンポの緩急が明確なものとなり、ダイナミクス変化もより大幅に行われている。ダイナミック・レンジが幅広くなっている点もこの曲をより楽しめる点となっている。神秘的な弦楽器と木管楽器の音色や響き、歌手の歌声など、短いながらに聴きどころは多く存在している。


 「伊福部昭の芸術」シリーズもいよいよ大詰めとなってきた。まだまだこれから聴いていくDiscは数多く存在するが、1枚1枚聴いていくだけでも非常に聴いていて楽しい演奏ばかりとなっている。ボックスの値段は正直言って高価格となっているが、それだけのお金を払ってでも得ることのできた情報は非常に多いと私は感じている。


https://tower.jp/item/3905788/伊福部昭の芸術-20周年記念BOX<初回限定盤>