第1146回「伊福部昭の芸術シリーズ:Disc 1《譚》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃去る5月31日は伊福部昭の命日でした。そんな本日から定期的に取り上げていこうと考えているものこそ「伊福部昭の芸術」シリーズです。このシリーズの制作開始から20周年記念として2015年に発売されたBOXはSHM-CDの高音質盤となって少々お高い値段ながら発売されました。記念すべき第1回は「譚」という題名を持つ伊福部昭の初期管弦楽曲が収録されたDiscをみていきます。収録されているのは、「日本狂詩曲」、「土俗的三連画」、「交響譚詩」の3曲です。


〜伊福部昭の芸術 「譚」初期管弦楽:Disc 1〜


「広上淳一指揮/日本フィルハーモニー交響楽団」

伊福部昭作曲:
日本狂詩曲

土俗的三連画

交響譚詩



 「ゴジラ」などの日本が誇る特撮映画におけるほとんどの音楽を作曲した伊福部先生。誰もが一度は聴いたことがある曲ばかりである。約1年前には「Salida」から発売された「伊福部昭の純音楽」を聴いたが、今回の芸術シリーズを聴いていてそれらも聴きたくなったので合わせて聴き直している。やはり私の中で伊福部先生の音楽は子供の頃から慣れ親しんだ音楽ということもあってぴたりと当てはまるということなのだろう。


 伊福部昭:日本狂詩曲、1995年録音

・・・第1楽章「夜想曲」、第2楽章「祭り」からなる伊福部先生が最初に書いた管弦楽曲である。元々は3楽章形式になる予定ではあったが、最終的に2楽章となった。初期管弦楽曲の中でも特に演奏される頻度の高い曲で、今回演奏している広上さんと日フィルの演奏は非常に安定感のある演奏となっている。「緩→急」というシンプルではあるが、第1楽章の弦楽器を中心とした幻想でなおかつ独特な響きから第2楽章の活発でエネルギッシュな打楽器及び金管楽器のサウンドには衝撃を受けるだろう。同時に第2楽章では暴走しすぎるということもなく冷静さも保ちながらダイナミクスを変化させているため、より固さのある音楽となっている。そのため硬派な演奏のようにも思えるかもしれない。


 伊福部昭:土俗的三連画、1995年録音

・・・先ほどの「日本狂詩曲」に続いて作曲され、第1楽章「同郷の女達」、第2楽章「ティンベ」、第3楽章「パッカイ」からなる3楽章の管弦楽曲となっている。一部分ではあるが、後の「ゴジラ映画」で使われた音楽に似た旋律も見え隠れしているので聴いていて面白い。室内管弦楽編成のために作曲されていることもあって打楽器はティンパニのみだが、ピアノも含めて全体的に独特なリズムがある。それを各楽章ごとに聴いていると嫌なことも忘れてしまうかのような楽しい気持ちになる。緩やかな楽章ではより一層歌い上げる形をとられているが、ややテンポが早くなっても冷静さは忘れることなく細かいアンサンブルを感じることができる演奏となっている。


 伊福部昭:交響譚詩、1995年録音

・・・第一譚詩、第二譚詩の2つの楽章からなる曲で、第一譚詩はソナタ形式ではあるものの教会旋法などを用いているためよりキャッチーな楽章となっている。第二譚詩では先ほどの「日本狂詩曲」の第1楽章に使われた旋律が登場する。「急→緩」からなる曲ではあるが、より聴きごたえのある短めの交響曲という言葉が近いかもしれない。分厚いスケールのある弦楽器を土台として金管楽器や木管楽器がそれぞれの楽章に適した音色や響きで演奏をしているため演奏時間はそれほどない曲なのだが、より濃い内容を聴いていて感じることができる。骨太で重厚感溢れる低音にも注目して聴いていただきたい。


 まず今回は「伊福部昭の芸術」シリーズから「譚」をみてきたが、こんなにも面白いシリーズ及びBOXが発売されていたとは…もっと早くに気づいておけばよかったと若干の後悔があるものの、早く次のDiscを聴きたいという欲も同時に増してくる。値段は大分強めのものとなっているが、伊福部先生のファンならば一度は聴くべき代物であると私は考えた。さて、次回このシリーズを取り上げる時はDisc 2である「響」をみていく。


https://tower.jp/item/3905788/伊福部昭の芸術-20周年記念BOX<初回限定盤>