第1156回「伊福部昭の芸術シリーズ:Disc 3《舞》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日は定期的に取り上げている「伊福部昭の芸術」シリーズからDisc 3《舞》舞踊音楽の世界をみていきます。演奏は変わらず広上淳一&日本フィルハーモニー交響楽団で、収録されてるのは舞踊音楽「サロメ」と「兵士の序楽」の2曲です。


〜伊福部昭の芸術:Disc 3《舞》舞踊音楽の世界〜


「広上淳一指揮/日本フィルハーモニー交響楽団」

伊福部昭作曲:
舞踊音楽「サロメ」

兵士の序楽



 1995年8月、9月録音。伊福部先生の音楽は一度聴くと頭の中に強く残るものが多い。この「伊福部昭の芸術」では主要な管弦楽曲はもちろんのこと、協奏曲や映画音楽なども収録されているので、ファンの方々には特に嬉しい曲ばかりと言えるだろう。今回はその中から録音も少なく貴重な曲の一つである「サロメ」と「兵士の序楽」の2曲を聴くことができるようになっている。


 伊福部昭:舞踊音楽「サロメ」

・・・「サロメ」という名前を聴くと多くの人々が想像するのはリヒャルト・シュトラウスによる楽劇「サロメ」かもしれない。今回の曲に関してもそれに関連はしている。貝谷バレエ団がバレエでリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」を使用しようとしたところ、著作権の問題で使用することができず伊福部先生に作曲を依頼し、貝谷バレエ団創立10周年記念として作曲されたのがこの曲である。このバレエ音楽が戦後初のオーケストラによるバレエ音楽とされている。今回演奏されている曲は以下の通り。


1.前奏曲

2.ヘロデ王宮殿内の広いテラス

3.サロメの召使、ユダヤ人、ナザレ人など

4.宴の間が騒がしくなる

5.ヘロデ王と王妃ヘロディアス、及び廷臣たちの登場 ヘロデ「サロメは何処だ?女王は何処だ?」

6.サロメ登場

7.ヘロデは、もうサロメから目線を外さない

8.ヘロデ、サロメ、ヘロディアスⅠ

9.ヘロデ、サロメ、ヘロディアスⅡ

10.私は、召使たちが香料とヴェールを持ってくるのを、そして、私のサンダルを脱がしてくれるのを、待っているのです

11. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第1の踊り

12. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第2の踊り

13. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第3の踊り

14. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第4の踊り

15. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第5の踊り

16. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第6の踊り

17. 「用意はできております、王様」サロメは、7枚のヴェールの踊りを踊る 第7の踊り

18.首斬役人、ナーマンは、水槽の中へ降りて行く

19.サロメは水槽にもたれ、聞き耳を立てる

20.水槽から首斬役人の、大きな黒い腕だけが出てくる。その腕は、ヨカナーンの首を差し上げている

21.サロメは、その首をつかむ。ヘロデはマントで顔を隠す。ヘロディアスは笑みを浮かべ、扇をくゆらせる。ナザレ人たちは跪き、祈りはじめる

22.ヘロデ「私は何も見たくない。私は誰にも見られたくない。松明を消せ。月を隠せ」

23.召使は松明を消す。星は消える。巨大な黒雲がよぎり、月を隠す。舞台は深い闇に覆われる。王は階段を上がりはじめる

24.一条の月の光がサロメに落ち、彼女を照らし出す

25.ヘロデ「その女を殺せ!」

26.兵士たちは突進し、その盾で、ヘロディアスの娘、ユダヤの王女、サロメを押し殺す



 演奏として、各曲で緩急の変化をより明確につけていることもあって全体的に聴きやすい演奏となっている。SHM-CDの高音質盤となったことも含めて細部までより聴き込むことができるようになっているのはもちろん、ダイナミクスやアーティキレーションなどが非常にわかりやすく作り込まれている。また、何より「ゴジラ」を含む日本が誇る特撮映画音楽を思い出すことができるような美しく、カッコいい旋律を聴くことができるというのも良い部分となっている。


 伊福部昭:兵士の序楽

・・・聴いているだけで、東宝特撮映画が頭によぎる曲である。陸軍の委嘱により作曲された曲となっている。戦後以降演奏されることのなかったこの曲が今回の録音の際久しぶりに演奏される形となった非常に貴重な演奏となっている。「宇宙大戦争」戦争シーンの音楽に似たモチーフなどなどクラシックファン、伊福部ファンのみならず特撮ファンの方々も楽しむことができること間違いないなしといったところとなっている。金管楽器と打楽器はやや固めのサウンドで作り込まれており、弦楽器と木管楽器に関しては柔軟性のある緩やかな演奏が特徴的となっている。


 「伊福部昭の芸術」シリーズは、聴けば聴くほどこれまで知っていた知識以上の情報量がどんどん押し寄せてくる。今回までに3枚のディスクを聴き終えているが、まだまだ「伊福部昭の芸術」シリーズは続いていくので今後も聴くのが楽しみで仕方ない。そして、次回取り上げる予定のDisc 4ではついに東宝特撮映画における映画音楽がメドレーとなった「SF交響ファンタジー」が収録されている。今後も「伊福部昭の芸術」からは目が離せなさそうだ。


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