今回は兵庫県姫路市坊勢島(ぼうぜしま)である。前回、家島を訪問した時のことを記した。が、日付的には順序は逆だったかも知れない。家島有人4島は家島、男鹿島、坊勢島、西島である。無人島を含めると、大小40島あってすべて家島諸島という。なので、家島は他島から本島と呼ばれている。ところが私が最初に訪れたのは坊勢島である。私は有人4島を、それぞれ別と思い込んでいた。が、最初に訪れたのが坊勢島だった(平成20年9月11日)。家島は翌日。そこで、本島はここだと思っていたかも知れない。
第225句は次の通りである。
炎天下バイクに乳児母走る (桐山芳夫)
私が島に渡って最初に驚いたのが、若い母親たちの多いことだった。まだ炎天下の残る島をバイクで走り回っていた。中にはかごに乳児をのっけて。全体的に離島はお年寄りが多い。そんな中にあって、本島は若者が多いのに驚く。男衆は漁に出ているのかあるいは姫路の方に働きに行っているのか、若い母親が多い。とりわけバイクの前に乳児をを乗っけて走り回る姿にはびっくり。
第226句は次の通りである。
暑いなか活気あふれる島の人 (桐山芳夫)
前記したように坊勢島は若い母親が多い。北方に幼稚園、小学校、さらに中学校もあって、そこへの行き帰りが多いのだろう。にぎやかで活気あふれる空気がみなぎっている。乳児をおぶって学校に向かう。中学校では生徒たちのにぎやかな歓声が沸き上がる。
第227句は次の通りである。
急坂を汗かき登る小学生 (桐山芳夫)
中学校の横の急な坂を登っていくと小学校があって、びっくり。普通に考えると小学校が下にあって、上は中学校でよさそう。きっと、敷地の関係からこうした構造になっているのだろう。小学校と中学校が逆になって建てられているのは珍しいと思った。
第228句は次の通りである。
日差し受け海に家島横たわる (桐山芳夫)
坊勢島の高台に上がると、北方に家島が長々と横たわっているのが見える。まるで巨大な鯨が海に浮かんでいるように・・・。なるほど家島諸島の母島はあの島なのだなと合点できる。
第229句は次の通りである。
橋渡り弁天様に手を合わす (桐山芳夫)
坊勢島には恵美酒神社や海神社(弁天様)が祀られている。両社とも坊勢島の属島に鎮座する。弁天様には朱塗りの橋が架けられ、属島全体が境内になっている。漁業全体の繁栄と航海の安全を願ってのことに相違ない。
(2021年2月27日)