今回は爾波神社(にわじんじゃ)。一宮市丹羽宮浦1410
訪問日:2009年12月18日

     571句は次の通りである。
      公園に足踏み入れし冬の球        (桐山芳夫)
 第一鳥居をくぐったとたん少年たちがキャッチボールに興じていた。広場みたいになっていて、私は一瞬、神社ではなく、公園に足を踏み入れたかと思った。何台かの自転車が無造作に置かれてて、神社らしからぬ光景が目に飛び込んできた。

     572句は次の通りである。
      本殿は球の向こうに冬の空        (桐山芳夫)
 少年が投げた球の向こうに第二の鳥居が見える。本殿はきっとその先に鎮座ましますのだろう。いやいや、神聖な境内が恰好な遊び場になっている。しかし、それだけ境内が公園風になっていて、地元の人々には親しみやすい神社になっているようだ。

     573句は次の通りである。
     大野社と対をなすなり爾波の杜       (桐山芳夫)
 通常、神社の本殿は南面して鎮座する。ところが爾波神社は東面している。これには理由があって、豪族丹羽氏が治めていたとされる一帯の大野神社と爾波神社が対をなすように造作されたという。すなわち、東端の大野神社と対になるように東面して造作されたという。なお、大野神社については531句から535句に掲載してある。

     574句は次の通りである。
      とんぼ飛ぶ本殿に向かい手を合わす     (桐山芳夫)
 コンパクトな神社で、第二鳥居をくぐって目の前が本殿である。丹羽氏の氏祖を祀った神社で、その祭神は神八井耳命(かむやいみみのみこと)で、神武天皇の皇子の一人とされている。

     575句は次の通りである。
      不思議やの金比羅さんが境内に       (桐山芳夫)
 式内社調査によると、境内社は神明社、秋葉社、津島社、稲荷社の4社となっていて、不思議なことに金比羅社が見当たらない。私の記憶に間違いがなければ金比羅社はたしか仏教の神様。境内に自転車が無造作にあることといい、金比羅社があることといい、不思議と言えば不思議な神社である。

                  (2022年5月12日)