兵庫県姫路市に家島という離島がある。そこに訪島したことはすっかり忘れていた。2008年(平成20年)9月12日のことである。沖縄本島は2002年に訪れていて、それなりに記憶している。なのに家島訪島のことはすっかり忘れていた。さりとて写真を見るとしっかりまぶたに焼き付いている。
第220句は次の通りである。
まだ真夏バイクで送られ家島社 (桐山芳夫)
離島を訪ねると真っ先に神社を訪ねる。家島の場合は島の北々東に位置する家島神社。愛知県日間賀島の10倍ほどある大きな島。そこに向かって歩いていて、通りすがりの島の人に道を尋ねたらバイクで送ってあげるという。道を尋ねただけなのに恐縮。
第221句は次の通りである。
島人の好意に甘え神社詣 (桐山芳夫)
家島に限らないが、離島の島人の好意には感謝するばかりである。好意はもとより、島人から得る貴重な情報は感謝してもしきれない。あそこを登っていくと家島湾が一望できますよ、といったことなど。
第222句は次の通りである。
汗かいて神武以来の古社詣ず (桐山芳夫)
初代神武天皇も立ち寄ったと伝えられる屈指の古社。その家島神社の参道は階段になっていて、170段ほど上がった所に本殿が築かれている。その山頂の木々の間から、男鹿島(たんかじま)が見えた。
第223句は次の通りである。
主人待ち岩になりたる亀まぶし (桐山芳夫)
航海に出た島人たちの安全を祈って、ひたすら待ち続ける大きな海亀。その亀に似た巨大な岩。家島の港に下り立った私たちを出迎えてくれたように待っていた岩。島人たちはどん亀さんと呼んでいる。岩が日差しを受けてまぶしい。
第224句は次の通りである。
湾内に漁船と半島日ざし受け (桐山芳夫)
どん亀さんの裏手を登っていくと、城山公園に行きつく。階段は急勾配になっていて、250段ほどある。そこから家島湾内を一望できる。私が行った時は、いくつかの漁船と島の岬が海に浮かんでいた。
(2021年2月24日)