今回は浅井神社(あさいじんじゃ)。所在地:一宮市浅井町東浅井北屋敷浦312番地
訪問日:2009年12月15日

     541句は次の通りである。
      寒椿珍しく式内文字ありて         (桐山芳夫)
 浅井神社の社碑に「式内 浅井神社」とある。つまり「この神社は式内社である」と宣言している。珍しい宣言である。「式外社」(しきげしゃ)とうたっている神社はあるが、堂々と「式内社」と社碑に掲げている神社は少ない。

     542句は次の通りである。
      古墳の上に鎮座す冬の神社かな    (桐山芳夫)
   浅井神社の社殿は古墳の上に造作されている。「古墳の上に」は「こふんのへに」と読む。古墳の上では動かしようがなく、まさに千年余前に記された式内社に相違ない。社碑の裏に「明治25年1月1日」と刻印されている。明治25年は1892年だからこの社碑自体が古いことになる。

     543句は次の通りである。
      境内に温故井ありし冬空に      (桐山芳夫)
   浅井神社は木曽川の支流が流れていたようで、その境内には、かって、澄んで清冽な水が出る井戸、温故井(おんこい)があったという。神社の南側にある浅井山公園には今でも「温故井池」があるという。

     544句は次の通りである。
      拝殿の横に巨きな寒椿        (桐山芳夫)
 拝殿の前にあって静かに合掌する。その主祭神は、水波売神(みづはのめのかみ)である。次々に日本の島々(国々)を生んでいったとされる伊奘諾尊・伊邪邦美尊。その伊邪邦美尊の尿から化生した女神とされる。拝殿の横に寒椿にしては巨きくて立派な巨木が空いっぱいに広がっていた。

     545句は次の通りである。
      どこまでも水の神様この宮は     (桐山芳夫)
 既述したように、かって、境内には澄んで清冽な水が出る温故井(おんこい)があったという。また、前記の水波売神の合祀神として、天照大神及び塩土翁(しおつちのおきな)の名が挙げられている。塩土神は海神なので、水の神様。当社は江戸時代に「八龍社」と称していたというが、これも水の神。

                  (2022年4月09日)