今回は石刀神社(いわとじんじゃ)。所在地:一宮市浅井町黒岩石刀塚271
訪問日:2009年12月12日
536句は次の通りである。
たびたびの冬の嵐に見舞われし (桐山芳夫)
前回取り上げた大野神社で、木曽川沿いの近辺に神社が多数存在すると記した。その一つが石刀神社(いわとじんじゃ)である。木曽川の堤防の直下に鎮座している。一宮市には石刀神社を名乗る神社がもう一社ある。
537句は次の通りである。
蜜柑食い急勾配の坂上がる (桐山芳夫)
参道はなく、木曽川の堤防を下りた道を探す。急勾配の石段があって、そこを上がっていくと、石刀神社の鳥居が見つかる。その鳥居をくぐると、石刀神社の境内である。つまり、当社は木曽川の堤防沿いに鎮座している。
538句は次の通りである。
天照らす岩戸籠もりの常闇に (桐山芳夫)
石刀神社の石刀とは天の岩屋の戸のことで、日本神話の天照大御神が素戔嗚尊の乱暴に怒り、岩戸に籠もって天地が常闇になったという、知る人ぞ知る有名な神話。冬至のことと言われている。
539句は次の通りである。
祭神に合掌真冬の神話かな (桐山芳夫)
当社の祭神は、八倉比売神(やくらひめのかみ)であって、天照大神の別名と言われている。同神を祭神とする神社として、徳島市に八倉比売神社(やくらひめじんじゃ)というのがあって、私は知らなかったが、天照大神と知ってうやうやしく合掌した。
540句は次の通りである。
ご神体は黒岩なるや見当たらぬ (桐山芳夫)
拝殿の奥に祭神を納める本殿らしきものが見当たらない。後日、出合った人に聞くと、ここのご神体は黒い巨岩で、それを納める社殿はないという。黒い巨岩?、なるほど巨岩が神体では石刀神社にぴったりである。
(2022年4月2日)