こんにちわ!今週の火曜コラム担当は、行政書士 濱田です。



前回の遺留分に引き続き今回も続・遺留分っといった感じでお話致します。

その前に簡単におさらいです。


遺留分とは、

【お亡くなりになった方が有していた財産の承継を相続人に一定割合保障する制度です。】


っと前回ご案内致しました。

さらに、ちょっぴり補足もします。

一定割合ってどれくらい?

遺留分の一定割合は、相続人が


配偶者や子の場合2分の1

父母等の直系尊属の場合3分の1

(民法1028条)


です。兄弟姉妹に遺留分はありません。零です。


胎児も生きて生まれれば請求できます。子の代襲相続人も請求できます。 


   

この遺留分を請求するの(遺留分減殺請求)は誰に行えばいいのでしょうか?


(遺留分侵害されたので、減殺請求をしたい!方の視点からお話します。 が、当然、他の相続人から遺留分減殺請求された! っといったケースもあります。後者はまた別の機会にお話しできればと思います。)

侵害の基になる、贈与なり遺贈があるわけですが、これは原則、遺贈→贈与の順で減殺請求を行います。 贈与は後から行ったものから、順次請求します。 

時間で考えると 


例) 遺贈(亡くなった事による贈与)であげた建物→亡くなる半年前にあげた土地→遺留分侵害を知ってあげた金銭


建物→土地→金銭 の受取人の順番です。


この遺留分を請求するの(遺留分減殺請求)は何時までにどの様にに行えばいいのでしょうか?


相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈のあった事を知った時から1年相続開始時から10年以内に、内容証明郵便等、意思表示の到達、その年月日が確定できる方法で請求します。


遺留分減殺請求は、形成権㊟ ですから、必ずしも裁判上の請求は必要なく、いったんその意思表示がされれば、法律上当然に減殺の効力が発生するとされています。

また、必ずしも請求段階で、減殺の対象・範囲を具体的に特定しなければならないわけではありません。


㊟=権利者の単独の意思表示によって、法律効果が生じる

 「減殺請求しますよ」と相手に伝えることで、減殺請求できます。


*実際の遺留分減殺請求は、専門家へのご相談を強くお勧めします。 


遺留分算定の基礎となる財産評価は複雑ですし、取引相場のない株式をどうするか?債権をチャラにしている時は?(贈与以外の無償処分) 贈与物に第三者の抵当権が設定されていたら? 等々ケースに応じて複雑な問題が潜在している事も十分あり得ます。 お気軽に絆の会にご相談下さい!


では、今回はこの辺りで失礼いたします。

最後までご覧いただきありがとうございます。いよいよ冬将軍の到来ですかね~

最近は、朝・夜と冷えます。お体ご自愛ください。


今日の担当は、不動産鑑定士の塚田です。



11月1日に、国税庁から、東日本大震災の被害を受けた土地等の評価についての通達が公表されました。

この通達は、指定地域内の土地等について、相続、遺贈、または贈与を受けた場合の、相続税・贈与税の申告時の評価について定めたものです。


震災により被害を受けた人は、相続税の減免措置が受けられる、ということを新井山先生の回(震災と相続税減免措置 )で書かれていましたが、今回の通達は、土地等の評価が減額されるというものです。


今回、国税庁のHPにはたくさんの通達が出ていますが、東日本大震災に係る「調整率表」 を見ていただくのが一番わかりやすいと思います。

東日本大震災に係る「調整率」は、震災特例法に規定する「指定地域」内の土地等の評価について、もともとの路線価や固定資産税倍率方式による評価(以下、路線価評価といいます)に乗じる割合であり、
平成23年3月11日以後に相続等・贈与により取得した土地等はもちろんのこと、平成23年3月10日以前に相続等・贈与により取得した土地等でも、平成23年3月11日以後に相続税の申告期限が到来する方に適用があります。

(「指定地域」は青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の各県全域と、埼玉県加須市(一部)、久喜市、新潟県十日町市、津南町、長野県栄村です。)


これによると、

福島第一原発事故に伴う、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域は評価額0。

津波による被害が大きかった地域(建物が流されるなどした地域)は、調整率0.2~0.3(路線価評価の70~80%減)。

その他、浸水の被害を受けたり、液状化の被害を受けた地域、地割れやインフラの被害、原発事故による放射能被害、風評被害などを考慮されて、調整率が定められています。例えば、液状化の被害を受けた地域ですと最大40%(茨城県鹿嶋市、千葉県浦安市など)の減額がされているようです。

また、震災により土地等が海面下に没した場合(その状態が一時的なものである場合を除く。)には、その土地等の価額は評価しない、とされており、評価額0となります。

ちなみに、同様の措置は、阪神淡路大震災のときにもありましたが、このときは、最大25%の減額でしたので、今回の地震による地価への影響の大きさがわかりますね。



なお、今回の措置は、相続税・贈与税の申告の為の評価とはいえ、震災後に不動産取引が止まっている地域も多いことから、今後の土地取引の指標になる可能性が有ります。

軽減があった地域は、相続税は安くなりますが、価値が下がったものと見られてしまい、土地取引に悪い影響が有りそうです。

土地の価値が下がるとその土地を担保に銀行がお金を貸さなくなりますから、経済活動に悪い影響が出ます。

本来、復興の為に経済活動を活発にしなければならない地域であるにもかかわらず、お金が回らないおそれが有ります。

こうした地域については、地価を上げるような政策が必要なのだと思います。

こんにちは、今回の担当は行政書士の植松です。
*****
今回は相続に関連するお金の話です。
さて、相続が発生する誰かが亡くなった「お葬式」が必要、となりますね。

このお葬式ですが、かなりのお金がかかります。
2010年に日本消費者協会が調査した発表によると、
平均の葬儀費用は1,998,861円だそうです!

この中には、葬儀費用一式、寺院の費用、飲食接待費用などが含まれていますが、
世話役や運転手への心づけ、遺体運送費などの費用などはまた別途発生します。
もちろん、香典による収入は期待できるとしても、この平均は全国で72万円ほどだそうですので、
大部分を自己負担しなくてはなりません。
かなりの額になるので大変ですね!

この費用をどうするか。
日常生活に使うお金を回すわけにはいきませんから、
被相続人の銀行口座から必要な金額を下ろして、これを充てようかと考えるのが普通だと思います。
しかし、相続が発生したことを銀行が把握すれば、
銀行は被相続人名義の預金口座を封鎖して、容易に引き出せません。
この場合の手続きはまた別に機会に解説しますが、引き出せない以上はまず費用の負担が発生します。

では、葬式費用を負担すべきなのが誰なのでしょう?
相続人全員? 喪主? 施主? 同居の遺族?
法定相続人であれば葬式費用も負担すべき?
それとも、被相続人の遺産でまかなうのか、遺族が出し合って負担するのか。。。
これについて、民法等の法律では何も定めていません
民法上で関連する規定を強いて探すと、
葬式費用は寺院や葬祭業者などは他の債権者に優先して債務者の財産から支払いを受ける先取特権が認められていることくらいであって(309条)、葬式費用を誰が負担すべきか定めた法律の規定はありません。

では、だれが葬式費用を負担するのかというと、
その地域の慣習や亡くなった人との関係で喪主を決めて、話し合いによって負担割合を決めるのが現実です。
具体的には、葬式費用はまず香典で賄い、不足分は相続財産の中から支払っていくことになります。

つまり、葬祭費用は相続債務ではありません
したがって、遺産分割協議などにおいても葬式費用は他の相続人に負担を求めるものではないのです。

過去に、東京地方裁判所で、葬祭費用は実質的な葬式主宰者が負担すべきであり、相続人が当然に負担すべきものではないという判決がありました(昭61.1.28)。

〈判旨〉
「葬式を行う者が常に相続人であるとして、他の者が相続人を排除して行った葬式についても、
相続人であるという理由のみで、葬式費用は、当然に、相続人が負担すべきであると解することばできない。
こうしてみると、葬式費用は、特段の事情がない限り、葬式を実施した者が負担するのが相当である。
そして、葬式を実施した者とは、葬式を主宰した者、すなわち、一般的には、喪主を指すというべきであるが、
単に、遺族等の意向を受けて、喪主の席に座っただけの形式的なそれではなく、
自己の責任と計算において、葬式を準備し、手配等して挙行した実質的な葬式主宰者を指すというのが自然であり、
一般の社会観念にも合致するというべきである。
したがって、喪主が形式的なものにすぎない場合は、実質的な葬式主宰者が自己の債務として、
葬式費用を負担するというべきである。
右の理は、相続財産の多寡及び相続財産の承継の有無によって左右されるものではない(一部略)」。


いずれにせよ、巨額な葬式費用をどうするか、
こうしたことで「争族」にならないように、日ごろから意思の疎通が重要だと思います。

*****

11月に入りました。
日中は気温が高くなり暖かいものの、朝晩は冬が近づいていることを実感します。
体調を崩しやすい時期ですので、十分にご自愛くださいね!
ではまたお会いしましょう。
こんにちは、弁護士の白木麗弥です。

皆さんは既に遺言書を作成したことはありますか?
私は…お客様の遺言書を作成したことはありますが、自分の物はまだ作成したことはありません。
でも、きっと自分が、〇〇は××さんに残したいという気持ちが出てきたときには、のちのトラブルを防ぐために書いておきたいなと思っています。

さて、遺言書でAさんは自分の不動産を同居している三女のBさんに遺そうと遺言書を認めました。
Aさんはやがて、亡くなり、遺言書が明らかになりました。

さて、これだけで不動産はBさん名義に自動的になるのか?
法務局は自分で調べて職権で名義変更をしてくれません。まあ、当然といえば当然ですが。
Aさんの最後の意思を実現する人、それが、遺言執行者というわけです。

~遺言執行者とは~

遺言執行者とは遺言内容を実行してくれる人です。当然ですが、遺言者の書いた遺言書の内容を実現するときには、遺言者はもうこの世にはいません。ですので、遺言内容を実現するのに誰かの手を借りなければならないときに出てくるのが遺言執行者というわけです。
遺言執行者は遺言書そのもので指定することも出来ます。その職務内容や報酬についても遺言書で指定することが可能です。
とはいえ、遺言執行者は遺言に拘束されるわけではなく、遺言執行者を委託された人が受諾することによりその拘束力を持つことになります。

~遺言執行者の要否~

遺言に残された事項によって、遺言執行者が必要な場合といないときには相続人によって執行できるものがあります。ちなみに、遺言執行者が必要な場合に、遺言書に遺言執行者が指定していない場合も遺言書は無効にはなりません。このときには家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めればよいのです。

(1)必要な場合は、身分上に関する遺言事項のうち、認知と推定相続人の廃除及びその取消です。
(2)任意的な場合(遺言執行者がいなければ相続人でも可能な場合)
   ① 法定相続分を超える相続分の指定
   ② 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言
   ③ 遺贈、財団法人設立のための寄附行為、信託の設定
   ④ 祭祀主宰者の指定、生命保険金受取人の指定、変更
 
ただ、(2)のような場合でも遺言執行者を選任することは珍しいことではありません。
相続人間で争いが起こる可能性がある場合、相続人による執行自体がトラブルの原因になりかねないこともあるからです。気を付けなければならないのは、このような(2)の事項でも遺言執行者が選任されているのであれば、相続人は遺言執行者の遺言執行を妨げてはいけないということです。
   
~遺言執行者はプロでなければいけないの?~

私どもが遺言作成を行う場合、遺言執行者も引き受けることは珍しくはありません。
遺言執行者が有資格者でなければならないという文言はありません。しかし、遺言執行者が特定の相続人と緊密な関係にある場合に解任された裁判例があるなど、中立な第三者の立場を予定していること、
登記申請や場合によっては訴訟提起などを執行上行う必要があるケースもあることから、一般的には有資格者を選任するのが現実的です。



今週の担当は司法書士の木藤です。

$あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ


相続登記と言えば、もちろん相続したご本人(相続人)が申請するのが原則です。しかし、例外的に利害関係人である第三者が申請する場合もあります。代表的な例が、債権者代位による相続登記です。

_________________________

<事例>

・山田太郎は、安心銀行に住宅ローンとして融資を受けていた。

・安心銀行は上記債権の担保として山田太郎の自宅に抵当権を設定していた。

・山田太郎が信用不安に陥ったため、この度、安心銀行は競売申立を裁判所にすることにした。

・申立の前に、山田太郎が死亡した。山田太郎の自宅には未だ相続登記が入っていない。

_________________________

安心銀行が裁判所に競売を申立ますと、裁判所は嘱託により山田太郎の自宅に「差押」の登記を入れます。これにより、第三者が登記簿を見た時にこのような推測が可能です。

「この不動産は競売開始決定がおりているのだな」

「この不動産の売買契約をしても、競売による売却がされると落札者の方に不動産の所有権が移るので、まずは安心銀行に競売申立を取り下げてもらう必要があるな」

などなど。

しかし、ここで1つ問題があります。時系列から考えますと、

①山田太郎の死亡(相続発生)

②競売申立


の流れですので、甲区の登記も時系列どおりに表現するなら、

①山田太郎から相続人への相続登記

②差押登記



となるはずです。
しかし、この様な局面において相続人自らが相続登記を入れることは稀です。

そこで、民法第423条(※)の債権者代位権の行使により安心銀行が代位者として相続登記を申請することが出来ます。


具体的な流れは下記のとおりです。

①安心銀行は、競売申立に必要な書類、及び、山田太郎の相続登記に必要な書類を収集する。

②安心銀行は、裁判所に競売申立をし、裁判所から「競売申立受理証明書」の交付を受ける。

③安心銀行は、山田太郎の相続登記に必要な書類と一緒に、上記「競売申立受理証明書」を添えて、法務局に相続登記を申請する。

④安心銀行は、相続登記完了後の登記事項証明書を裁判所に提出する。

⑤裁判所は、相続登記が完了していることを確認し、法務局に差押の嘱託登記をする。


なお、債権者から相続登記をする場合は遺言書又は遺産分割協議の有無が分かりかねるので「法定相続」で登記をします。戸籍謄本を収集しますと法定相続人が判明しますが、家庭裁判所に相続放棄をしている可能性もあるので、相続放棄の有無については事前に債権者から家庭裁判所に「照会」をするのが実務です。


債権者としては、信用不安に陥った債務者の自宅について、速やかに差押を入れたいところですが、事前に相続登記が必要となると戸籍謄本の収集の時間がどうしても必要です。。。緊急性を有する場合は、緊張感がある展開となりますね。


ところで、債権者代位により相続登記が入った後に、法定相続人が遺産分割協議をして、甲区の名義人と齟齬が生じた場合はどうなるのでしょうか?

また、相続登記をした場合、通常、登記識別情報(従前の権利証にあたるもの)が発行されますが、こちらは相続人の手元に届くのでしょうか?

このあたりはまた次回にご紹介したいと思います。



(※参考)
民法 第423条 
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

今週担当の税理士新井山です。今回は相続の話とは外れますが日本の寄付文化を高めるための国の政策を税金の観点からご紹介したいと思います。



寄附金控除の今年の税制改正

(1)国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等への義援金については、総所得金額等の80%を限度に寄附金控除(所得控除)ができます。

(2)被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する特定震災指定寄附金については、もし寄附の全額がその特定震災指定寄附金だったら、総所得金額等の80%を限度に寄附額の40%を寄附金控除(税額控除で所得税の25%を限度)とすることができます。

(3)日本赤十字社や中央共同募金会、国などに義援金として寄付する場合にも「ふるさと納税」扱いとなり、住民税の寄附金控除の額が手厚くなります。
 以上の寄附金控除には国税で2000円、住民税で5000円の足切りがあります。

(4)6月30日施行の平成23年度税制改正で特定寄附信託制度が創設されました。
非営利団体への計画的寄附を目的に金銭を信託した場合の寄附金控除と利子非課税の特例措置が設けられています。

寄附金控除に寄附促進効果があるのか
寄附金控除の制度創設や拡充が日本の寄附文化の醸成に貢献しているか、についての関西社会経済研究所調査報告があります。

●震災から約3ヵ月間の1人当たりの寄附支出額は9443円でした。寄附金を階級別にみると、最も割合で高いのは「2000円以上5000円未満」の19.0%で、「1万円以上2万円未満」は12.9%、10万円以上は1.3%でした。世帯所得が1千万円以上になると、1人当たり寄附支出額が急増し、また、寄附は件数でみると1万円未満の小口が71.1%と圧倒的ですが、寄附総額への貢献は大口が85%を占めています。

●寄附者のうち「寄附金控除」を震災寄附の誘因とした人は19.1%。つまり、80%以上の寄附者が、寄附金控除の有無に拘わらず寄付しています。

手厳しいまとめ
上記調査の「まとめ」によると、寄附金控除の拡充が寄附行動に及ぼした効果は小さく、不必要な政策であり、寄附金控除は高所得者層に対する寄付促進効果を持つものの、税収を減少させるマイナス面があるので、詳細に検証する必要がある、と手厳しい結論になっています。
しかし、もっと長い眼でみる必要もあるように思われます。

こんにちは!今週の絆コラム担当は、行政書士 濱田です。

なんと、早くも10月ですね! ビックリです。ついこの前まで、暑かったのに、ここ数日は肌寒いくらいですね。


今回は、遺言書作成時等、留意すべき制度について、少し書かせていただきます。

遺言や生前贈与で法定相続分と異なる定めをした場合、「遺留分」が問題になったりします。


遺留分ってなんだ?

お亡くなりになった方が有していた財産の承継を相続人に一定割合保障する制度です。

一定割合を遺言や生前贈与等で、侵害てしまった場合、遺留分が侵害された といった事になります。


例えば、「自宅含め全ての財産は長男A夫に相続させる!」といった遺言は、長女B子が納得しなければB子の遺留分を侵害しています。 

他にも、「全財産をあげる!」なんて贈与契約も残される家族の遺留分を侵害する恐れがあります。


もちろん、自己の財産であれば、自由に処分できるのが原則ですが、愛人に全部やる!なんてのは、皆が納得していない限りやめてください! と民法が定めてます。(民法1028条~)


判例の文言を借りて補足すると【私有財産制度のもとにおける被相続人の財産処分の自由及び取引の安全の要請と、一定の法定相続人の生活安定及び家族財産の公平な分配という相反する要請の調整を図ることにある】 といった感じです。


まとめると、法定相続人は最低限相続財産をもらう権利があります。これを遺留分といいます。


遺留分を請求できるのは誰

・直系尊属・配偶者・子 です。 兄弟姉妹は遺留分を有しません 

・胎児も生まれてきた時に子として請求できます。 

子の代襲相続人([祖父-父-子] 祖父の相続時父が死亡している場合、子が代襲相続人です)も請求できます。

・相続欠格者・排除された者・放棄した者は、請求できません。欠格・排除の場合代襲されます。


遺留分を侵害された上記の人が相続財産の受取人に対して、「私たちの暮らしに、贈与(遺言内容)が影響があります! 民法で定められた割合分を返してください!」

この請求を遺留分減殺請求と言います。


遺留分減殺請求は、相続開始前1年間にした贈与が対象になりますが、贈与契約当事者が遺留分を侵害することを知ってした贈与契約は、1年以上前の契約も対象になります。


時効に関しては、権利関係の早期の安定を図るため

減殺の請求は、遺留分権者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または、遺贈があったことを知った時から1年間これを行使しない時は、時効によって消滅する。 相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする と民法に定められています。

減殺請求を行う場合は、後で・・等と思っていると すぐに1年くらい経ってしまいそうですね。

(しつこいようですが、もう10月ですよ!?)


遺言書を自筆で作成される場合等、遺留分に関して注意が必要ですね!

せっかくの遺言が、揉め事に発展しては大変ですから。


今週は、この辺りで失礼致します。 次回も遺留分を考えればと思います。

ご覧頂き、ありがとうございました。 

季節の変わり目ですので、皆様、体調管理にお気を付け下さい。




おはようございます。


不動産鑑定士の塚田です。


不動産の時価は、路線価などによって簡単に求めることもできるのですが、収益物件がいくらで売れるかは、それとは別で、利回りが何%かによって違ってきます。
今回は、この利回りというものを具体的に見ていきましょう。


【設例】
2階建て、全10室の、1棟のアパートが1億円で売りに出ている場合を考えます。
現在、1室8万円(共益費込み)で賃貸していて、9室入居中、1室空いている状態です。


(1)満室時利回り



このアパート、満室になると、
1室8万円×10室×12ヶ月=960万円
が、1年間の収入(満室時年収)になります。
このアパートを1億円(10000万円)で買った場合、
960万円/10000万円=9.6%
これが、満室時利回りです。
不動産屋さんの広告に載っている利回りは、満室時利回りのことが多いです。


(2)現況利回り(現状利回り)


このアパートを現状のまま1年経過した場合、
1室8万円×9室×12ヶ月=864万円
が、1年間の年収になります。
このアパートを1億円(10000万円)で買った場合、
864万円/10000万円=8.64%
これが、現況利回りです。
どんなにいいアパートでも、就職や結婚・転勤などで退去することは必ずありますので、1年を通して満室にすることは難しいですから、空室を考慮した利回りのほうが、現実的と言えます。


(3)純利回り


(1)も(2)も、簡単に計算できるのはいいのですが、収入だけを見ていて、経費を考慮していません。 
投資金額に対して何%の収益(インカムゲイン)があるかを考えるときには、経費を控除した残りの利益(純収益ともいいます)を基準に考えるほうが正確です。
設例のアパートの経費が1年間で150万円かかったとします。
純収益は、現況利回り-経費ですから、
864万円-150万円=714万円
714万円÷10000万円=7.14%
これが純利回りです。
純収益のことをNOI(Net Operating Income)とも言いますので、NOI利回りとも言います。
J-REITでは、有価証券報告書などで、投資物件のNOIやNOI利回りが開示されています。


NOI利回りの計算上、経費になるものは、
管理費、水道光熱費(オーナー負担分)、公租公課(不動産にかかる固定資産税等)、保険料(火災保険、地震保険など)、修繕費、原状回復費(オーナー負担分)、その他賃貸事業に通常必要な費用です。
経費にならないものは、
減価償却費、ローン金利、資本的支出(資産の価値を高めたり、耐用年数を伸ばすような支出)、税金(所得にかかる所得税や住民税)などです。


ひとくちに利回りといっても、さまざまな意味がありますので、どの利回りのことを言っているのかは、そのつど判断する必要があります。
不動産を投資目的で所有する場合には、現実にいくらの利益があげられるかが問題になりますので、(3)の利回りが最も重要です。ただし、購入するときにそれを計算するのは大変です(税金等の経費については、売主さんから資料をもらわなければわかりませんので、NOI利回りは通常、すぐには計算できません)。


なお、このようにして計算されたNOI利回りが高ければ高いほどいいのか?というと、実はそうとも言えません。
これについてはまた後日説明したいと思います。

こんにちは、行政書士の植松和宏です。

あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ

相続が発生するといろいろな手続きが必要になります。「死亡診断書」や「埋葬許可証」など、あまり身近ではない書類の準備も必要でした。
(バックナンバーをご覧下さい)
ただし、こうした書類には提出の期日が定められています。それぞれいつまでに準備するのか知っておきましょう。


まず、被相続人の死亡(相続の開始)を基準にします。

<相続の開始から3日以内にすること> 
葬儀・法要

これは法的な規定があるわけではありません。
しかし、社会通念上あまりかけ離れたことはしない方がよいのは言うまでもありませんね。


<相続の開始から7日以内に提出すること>    
死亡届(死亡診断書)の提出 
火葬許可申請書(埋葬許可証)の提出

これらは法的な義務です。相続の開始から7日とはかなり短い期間ですが、これを済まさないと埋葬もできませんね。
このあたりの手続きは、病院や葬儀会社でもアドバイスをしてくれます。


<相続の開始から14日以内に提出すること>   
世帯主変更届
各種名義変更等

被相続人が世帯主である場合には、「世帯主変更届」の提出が必要になります。また、各種相続手続きに入る前に、遺言書があるかどうか確認も必要です。遺言書には公正証書遺言や自筆証書遺言などがありましたが、これらの存在が後から分かると遺産分割のやり直しなど、面倒なことになってしまいます。

こうした面倒を排除するためにも、
自筆証書遺言を書くときは弁護士や行政書士など法的専門家の知恵を活用してください。そして、法的専門家を遺言執行者に指定しておくと一層効果的です。
また、公証役場で公正証書遺言を作成すると、原本は20年間保管されます。そして、遺言者が生前に公正証書遺言を作成したことは知っていても、保管場所が分からない場合には、公証役場で公正証書遺言の検索・照会を依頼することも可能です。

相続の開始から14日が経過した頃には、戸籍・除籍・改製原戸籍等から、相続人を確定しておく必要があります。
もし、認知した子がいたら!
もし、生き別れになった兄弟がいたら!
ドラマみたいな状況がないとも限りません。

さらに、相続財産の調査もそろそろ開始したい時期です。相続財産には、プラスのものだけでなく、負債も含まれます。銀行などの金融機関の通帳、不動産登記簿、生命保険等の証書を確認して、財産目録の作成を始めましょう。
なお、不動産登記に関する必要書類などは、司法書士の木藤先生が書いていますので、バックナンバーをご覧下さい。


<相続の開始から3ヶ月以内に実施すること>       
相続放棄・限定承認の申述

遺産をどのようにするのか、そろそろ決定しなければなりません。負債が多ければ放棄もできますし、すべて承認してプラス財産もマイナス財産も引き受けることも可能です。
これは、これまでに各先生が述べていますので、今更ですね!



<相続の開始から4ヶ月以内に実施すること>      
準確定申告
 ・相続財産の確定・評価
 ・相続人の中に未成年者がいる場合に特別代理人選任
 ・遺産分割協議書の作成
 ・財産の名義変更

遺産分割協議については、必ずしも法定の時期はありません。しかし、四九日法要の前に遺産分割の協議を行うのは不謹慎だと思われてしまいます。
それどころか、遺産分割の話し合いの妨げになる可能性もあります。四九日法要が終了し、忌明けを迎えてから遺産分割の話合いを行うことがベターでしょう。

なお、相続不動産の価値が取得時と現在で大きく異なるようなら、不動産鑑定士の鑑定を受けておくのも紛争を未然に防ぐ有効な方法です。
産については、意外なものが価値を持っているかもしれません。 コレクションの陶器や絵画、古いだけの自動車や腕時計など、主観的な判断だけで済まさないようにしましょう。

<相続の開始から10ヶ月以内に実施>    
相続税の申告・納付

相続税は必ずしもすべての方が対象になるわけではありませんが、
税法改正により課税対象者が拡大する傾向にあります。トラブルを未然に防ぐためにも、税理士のアドバイスを聞いておくことをお勧めします。


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昨日までの東京は暑かったのですが、今日は台風の影響もありいきなり肌寒い気温になってしまいました。
寒暖の差が激しく体調を崩しやすい時期ですので、しっかり栄養を睡眠をとっておきましょう!

では、またお会いしましょう!
こんにちは、弁護士の白木麗弥です。

相続問題、本当はもめたくはありません。
しかし、これまでの一族の間の家族の歴史が良くも悪くも反映されるのが相続、と言っても過言ではないのです。そのため、不本意にも当事者同士では泥沼になってしまうことも。

そういった場合、以下の方法がとられます。

1 代理人を介して協議する
 弁護士同士で話し合いをする、ということはそれほど稀なケースでもありません。
 それほど法律上の争点が多くない場合は、単に感情的な側面を排除することで解決することもあります。

2 調停で解決を図る
 裁判所に調停を申し立てます。
 調停委員と裁判官(とはいえ、裁判官はポイントポイントで出てこられるような感じ)が間に入り、お互いの話し合いの折り合いを付けられる点を探ります。

3 訴訟で解決を図る
 裁判所に訴訟を提起します。
 話し合いをしないわけではありませんが、基本的には双方が自分の主張、立証を行い、これを吟味した裁判官が判決を出すということになります。

協議ではともかく、調停や訴訟であれば、やはり自分の言い分は書面でまとめて調停委員や裁判所に出すほうが、自分の言い分が正確に伝わるし、結果的には聞いてもらいやすくもなります。

ということで、書面にまとめるときのちょっとしたコツを。

自分で書面を書く場合

1 相手方の主張に反論したい時は、どの主張に反論したいかを明記する。
 裁判所も、調停委員も、「どこには争いがなく、どこは争っているのかな?」ということをとても大事にします。これは問題点を明確にすることが問題解決のスタートラインだからです。
 ですので、相手にたくさんの主張がある場合、どの主張について反論したいのかをきちんと書いておくとよいでしょう。できれば、相手方の書面の◯ページの~項と位置を記載するといいでしょう。

2 結論を書いてから、理由を明記する。
 最後に結論が書いてあると、場合によっては理由に埋もれてしまい、結局何が言いたいのか伝わりにくくなってしまいます。
 ですので、まずは結論を明記しましょう。

3 数字関係は明確に。
 遺産関係ですと金額など数字や計算が不可避です。
 きちんとどういう算定式のもとでその数字が出たのかをわかるようにしておきましょうね!

4 証拠をつけるときは書面と証拠を分けましょう!
 書面に自分の言いたいことと証拠が結びついているときは、「第◯号証にあるように~」と引用するとよいでしょう。

5 段落、項目分けをうまく使いましょう!
 どうしても書きたいことはたくさん出てきてしまうもの。
 でも、ちょっと待って。一度にたくさんメリハリなく書いてしまっては、裁判所や調停委員に伝えられません。
 項目ごとにタイトルを付けたり、段落分けをするなどして、読み易くする工夫をしましょう。


代理人を頼む場合

基本的には上に書いたようなことは、代理人の弁護士がついた場合は弁護士がやってくれるわけです。

ですので、頼んだ場合は、自分の思ってることが弁護士に伝わっているかなということを確認してみてください。
そして、わからないことはよく聞いてみましょう。

もしも、自分が考えている方向性と弁護士が考えている方向性が違う場合、自分の考えを確認した上で、どうして弁護士がその方向性がいいと思うのかを聞いてみてください。
それでもどうしても、弁護士の方向性よりも自分の考えに沿ってやってほしいと思うときは、弁護士に改めてその意思を伝えましょう。

ただ、弁護士が考える方向性は、第三者であり専門家であるからこそ出てくる答えであります。
せっかく頼んだわけですから、よく考えてみる価値があることの方が圧倒的に多いことをお忘れなく!