今回の担当は、司法書士の木藤です。

$あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ


先日、この様なご相談を頂きました。

「相続登記が未了の土地があるのですが、今回売却先が決まったので、相続登記をお願いします。」


よくあるケースです。
ちなみに土地の登記簿を見ると、未だ所有名義が曾祖父様のままでした。依頼主から見ますと3代前となります。

「曾祖父名義」

ここまで昔に話が遡るときは、少し留意が必要です。
相続発生時の法律は何か?

現状、被相続人の死亡により相続が発生しますが、こちらの手続については「民法」に規定されております。相続人が誰になるか、法定相続分はいくつかなどなど、民法に明文がございます。

しかし、現在の民法に規定されている「親族」「相続」の章はいつから始まったのでしょうか?

そうです、終戦後ですね。
それ以前は旧民法(いわゆる、明治民法)の規定に則って相続がされております。

家制度を柱として、戸主が家督を相続する「家督相続」や、それ以外の相続である「遺産相続」と言う現在の民法にはない区分けが存在します。(※1)

ちなみに正確に言いますと、昭和22年5月2日までに開始した相続は、旧民法による相続となります。

例えば、曾祖父名義のままの土地があります。

曾祖父が昭和22年5月2日よりも以前にお亡くなりになっている場合は、現民法ではなく、旧民法の規定に従います。曾祖父が戸主であり、当該土地が例えば実家である場合は、家督相続が発生していることになります(※2)

すると、登記必要書類も変わってきます。

例えば、お父さん、お母さん、子供の3人家族で、お父さんがお亡くなりなったケース。

現民法であれば、お母さんと子供が相続人になります。お父さんに他のお子さんがいないかを確認するために、お父さんの出生から死亡までの戸籍・除籍謄本等を全て集めます。

一方で、このお父さんが戦前にお亡くなりになって、戸主として子供が家督相続した場合はどうなるのでしょうか? この場合は家督相続した旨が記載されている除籍謄本のみを提出すればOKです。登記のために収集する証明書のボリュームもぐっと変わります。(※3)

相続発生時の法律の確認は重要です。
結論も変わりますし、登記必要書類も変わります。

ちなみに

「曾祖父名義」案件がたまたま複数ご相談が来ておりまして、そのうちの1件は沖縄県石垣市でした。


「沖縄県」


もう1つ留意です。
沖縄県の本土復帰は1972年です。

1945年(昭和20年)に終戦を迎え、本土では昭和22年5月2日を境に旧民法から新民法に適用が変わります。しかし、終戦を迎えても沖縄は引き続き、アメリカ施政権下にありまして、本土の法律が適用されません。つまり、本土では昭和22年5月2日を境に戸主制度や家督相続と別れを告げておりますが、沖縄では引き続き旧民法の規定が続いております。その後、琉球政府の立法院において改正を繰り返して、本土の新民法と平仄を合わせたのは、1955年です。

沖縄に関しましては、昭和30年頃まで家督相続がありますので要注意ですね。

と言うことで、もう一度本日のポイントです。

相続発生時の法律にご留意ください。


※1
家督相続とは、戸主という家のリーダーがいて、その「地位」と「財産」を承継する相続です。


※2
家督相続の開始原因は、戸主の死亡の他に、戸主が隠居した場合や、女戸主の入夫婚姻などもあります。

※3
昭和22年前後に戸主が亡くなった場合で、家督を相続すべきものがいた場合、又は、いなかった場合や、いない場合に特段、家督相続人を選ばないまま新民法が施行された場合等、具体的事例により結論が異なりますので、詳細は我々専門家等にご相談をされることをお勧めします。





こんにちわ! 更新が遅くなり申し訳ありません。 


なんと!今週も、行政書士・濱田が担当させて頂きます。 用語の解説をしないと、私の文は『?』っとなられる方もいらっしゃるのでは・・と不安になりムリ言って、私の2週連続コラムとさせて頂きました。(また濱田かぁ~ などと仰らず、今回も宜しくお付き合い下さい)




でわ、早速本題。


私の、担当で使用した用語で今回は、【遺贈】 と 【死因贈与】 この違いに付いてお話させて頂きます。




【遺贈】ってなんだ? 『はい。言書でする与です、略して遺贈です。(;^ω^A』


『 なんだ、なんだ まわりくどく遺贈とか言って。』 っとお思いのあなた! (私も同感です。) 言葉の意味を一つ一つ紐解いておかないと、再三申し上げてる通り、無用なトラブルへと発展しかねませんので、侮る事のない様にお願いしますね。 




例えば、亡くなった旦那さんのご両親と同居して、献身的に、ご両親を支え・子育てを頑張るA子さん 義父は常々『いつも、ありがとう。私に、もしもの時は、義母と孫の事を頼むよ、その代わりこの宅地・建物はお前に譲るから』  この様なケースで、遺贈が成立しているか?『いいえ、遺贈は成立しておりません。』


この様な場合、原則A子さんは、法定相続人ではありませんので、遺贈を行うのであれば、遺言書を作成しておかなければ、義父の意志には、遺贈の効力がありません。 自筆証書遺言であれ公正証書遺言であれ、遺言でする贈与なので、法的に有効な遺言書に義父の遺贈の意志が表示されている必要があります。 




少し、脱線しますが・・遺贈には包括遺贈・特定遺贈があります。民法上の効果の違いは勿論、税法上も適用される税が違ったりします。この辺りのお話、特に税金に関しては、詳しい専門家が、絆にはおりますので、後日期待しましょう~。(勝手にスミマセン・・)




さて、本線に戻して、義父の意志やA子さんの行為が、報われないのか? いえいえ。ここで、【死因贈与】が登場します。 死因贈与は死因贈与契約と申しまして、契約です。 遺贈が単独で(義父のみで)書面で行うのに対して、契約ですので、書面化されていなくても、A子さんへの口頭でのやり取りで成立するのです。


前回申し上げた、負担付死因贈与とは、義父の『義母と孫の事を頼むよ』この部分が、負担です。贈与の条件を負担と言います。




実際問題として、義父が亡くなってしまった場合など、A子さんだけで、この口頭の死因贈与契約が第三者に主張できるのか? っといった場合などを考えると契約書等、口頭のやりとりを証明するものが必要になってくるかと思います。(誤解のない様に念のため付記します。口頭での契約を推奨しておりません) 






負担の有無・包括遺贈なのか特定遺贈なのか?法定相続人が誰なのか?死因贈与が自宅ではなく農地等である場合など、対応は千差万別です!ご不明な点は、やはり、一度ご相談頂くのが、良いかと思います。




(最後にまとめ)


【遺贈=遺言での贈与 死因贈与=契約】 です。 ←コレが言いたいが為に長々とスミマセン。 


今回も、最後までお付き合いいただきましてありがとうございます!





おはようございます。 


絆ブログ今週は、行政書士・濱田 が担当させて頂きます。




はじめに、東日本大震災で被災された皆様へ、心よりお悔やみ・お見舞いを申し上げます。



また被災地の皆様の生活が一日も早く日常へ戻る事を心からお祈り致します。




被災された方は、自治体の発行する罹災証明の申請をお勧めいたします。 ご親戚・ご友人に遠隔地で避難生活をされてる方はいらっしゃいませんでしょうか?特に、ご高齢者の場合などで情報が、伝わっていない事を危惧致しております。




宮城県の罹災証明に関するページです




罹災証明は被災された事を証明するものです。 今後、国や自治体のサポート時に、必要になる方も、いらっしゃいますので、一度ご確認頂ければと思います。


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さて、今回も前回に引き続き、遺言書の撤回(取消)に付いて、お話させて頂きたいと思いますので、お付き合い下さい。




前回、


①【遺言は被相続人の最終意志の尊重を目的としていますので、理  由の如何を問わず自由に、作成した遺言書の全部または一部を撤回できます】 




②【表現の違いで、遺言書の内容が変わってきたりします。ご注意  下さい】




といったお話をさせて頂きました。




今回は、もう少し踏み込んで、①と②のお話をさせてください。


まず①ですが、例えば、尊重される最終意志である遺言書に、『以後、この遺言内容を撤回しない』といった文言を盛り込んだらどうなるのか? この『撤回したくない』意志は尊重されるのでしょうか?




残念ですが、これは出来ません。 民法1026条で、遺言の撤回権の放棄の禁止が定められています。


遺言を撤回しない定めや約束は、民法1026条によって効力を持ちません。




しかし、実際問題として、例えば [家業を継ぐご長男が、親の扶養を行う] この様な、お話し合いに基づいて、親御さんが、遺言書を作成した場合など、後々いつでも撤回されたのでは、ご長男が困る 等の不具合があったりもします。 この様な場合、負担付死因贈与や生前贈与などを模索することになるかと思いますが、これに付いては、また別の機会でお話出来ればと思います。 今回は、遺言の撤回権は放棄できない、この点を遺言書作成・撤回時ご留意頂ければと思います。




続いて、②ですが、『遺言の撤回を撤回する。』 反対の反対は賛成的なお話ですが、例えば、Aの遺言書をBの遺言書で撤回した後に、新たにCの遺言書でBの遺言書を撤回した場合、Aの遺言書の効力はどうなるのか?


Bの遺言書を撤回した事で、Aの遺言書が復活するのか? 




これは、復活しません。民法1025条 撤回された遺言の効力 で効力を回復しない と定められています。 ただし、復活を認めた判例もあり(最判平9・11・13) 私としては、撤回の撤回などは、極力避けて頂くか、私共の様な、専門家にご相談頂く事を、お勧めしますが、ご自身でされる場合などは、Cの遺言書に、平易な表現で、明確に、A及びBの遺言書の撤回の文言を入れて頂き、Cの遺言書を確実に保管されることをお勧めします。


作成時も同様ですが、撤回時も、ちょっとした表現が、相続⇒争族へと発展しかねませんので、ご注意下さい。 




遺言は、上手に使えば、大変便利な制度です。保険に加入して万が一に備えるのと同様、保険よりも、比較的安価に万が一に備えられる遺言書も上手に活用下さい。




では、今回はこの辺りで失礼致します。 最後まで、お付き合い下さいまして、ありがとうございました!











おはようございます。

今週の担当は、不動産鑑定士の塚田です。



東日本大震災で被災された皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復旧と復興を心からお祈りいたします。



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3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震では、東京近郊では大きな人的被害は無かったのですが(それでも亡くなられた方、怪我をされた方はいらっしゃいました)、東京湾岸の埋立地を中心に液状化現象が見られ、建物が傾いたり、水道管や下水道管が破損するなど大きな被害がありました。



これからは、不動産を選ぶときの基準が、従来の、利便性・快適性・収益性重視から、より安全性が重視されるようになるものと思われます。

今後、自分が所有している土地、これから買おうとしている土地の地盤の良し悪しが資産価値に影響するようになると思われます。



どんなに頑丈な建物を建てても、地盤が弱ければ、地震があったときに建物が傾いて危険なばかりか、せっかく買ったマイホームの資産価値が大きく下がってしまいます。修繕するためにも大きな費用がかかってしまいます。




さて、地盤の強弱は、地盤調査の会社に依頼して調べてもらうことが出来ます。

戸建住宅程度の大きさの場合、地盤調査は5万円程度で出来るようです(土地の規模や地域によって異なりますが)。

もし、地盤が硬い、頑丈と診断された場合には一安心です。


もし、地盤が弱いと診断された場合には、地盤改良(土にコンクリートのようなものを混ぜて硬くする)や、地下深いところの硬い地盤まで杭を打つ方法によって、安心して建物を建てることが出来ます。

どの方法を取るかは、軟弱地盤がどの深さまで続いているかにより異なります。費用は、一戸建ての土地の広さでも数十万円~数百万円かかります。




なお、マンションの場合は地盤調査がされ、地盤が弱い場所のマンションには地中深くまで杭が打たれていますので一戸建てと比べると安心できます。


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地盤の強弱は地盤調査をしてもらうのが正確ですが、買いたいと思った土地を全て地盤調査をしたのでは費用がかかってしまいます。

費用をかけずに、大体どうなのか、を調べる方法はあります。

「ここの地域は昔大名屋敷があったから地盤が硬い」とか、「ここの地域は昔畑だったから地盤が弱い」などと言われる事があるように、地盤の強弱には地域性がありますよね。

官公庁のHPを使えば、ある程度こうした地域性が推測できます。



内閣府HP 「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」

http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/


これを見ると、平野部は揺れやすく、山地は揺れにくいことがわかります。また、東日本のほうが揺れやすい場所が多いなど、地域性があることがわかります。



国土交通省 「KuniJiban(クニジバン)」

http://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/agree.html


国土交通省で過去に行われた地質・地盤調査をデータベース化したもの

HPが重いのと、見て理解するには専門的な知識が必要です



東京都土木技術支援・人材育成センター 「東京の地盤(Web版)」

http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html


実際に行われた地質・地盤調査のデータベース

こちらも、見て理解するには専門的な知識が必要です



株式会社ジオテック 「都道府県別 地形・地盤解説」

http://www.jiban.co.jp/jibankaisetu/todohuken/kenbetsu_jiban.htm


地盤調査・地質調査の会社のHP

地形・地盤についてわかりやすく解説されています。首都圏は市町村別に解説があります。



このほか、それぞれの地元の図書館などで、地盤の解説書などもあります。

なお、こうした地盤のデータによって、地盤が硬いと思われる地域でも、場所によっては地盤の弱い場所もありますので、やはり、専門家に調べてもらうのが正確です。



地震災害のほか、洪水や、土砂災害も気になると思います。

これらの危険のある地域については、国土交通省のハザードマップが便利です。

http://disapotal.gsi.go.jp/




皆さん、こんにちは!

火曜の定例コラム、今週の担当は行政書士の植松和宏です。

前回のブログ担当から約1ヶ月が経ちましたが、その間に戦後最大といわれる大災害が発生しました。

この東日本を襲った大災害で亡くなられた方と被災された皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

地震発生時、私は静岡にある大学で授業の最中でした。

鉄筋コンクリートの校舎が大きく揺れ、尋常じゃない地震であることは想像しましたが、

地震発生から2週間以上が経過し、被害の大きさは予想を絶するものでありました。

先週のブログで、私たちのメンバーである白木弁護士が述べていますが、

復旧復興のために私たちkizunaではできるだけのことをしていこうと考えております。

少しずつでも今できることを着実に進めていきましょう。

***********************

さて、私が前回ブログを担当した際には、

遺言書の中でも一番簡単な自筆証書遺言について説明しました。

忘れている方は、215日のコメントを見てくださいね。

実筆証書遺言のメリットをおさらいしておくと、


どのような紙に書いてもOK!

どのような筆記具を使用してもOK!

遺言書を書いた日付(確定日付)が明確なっていればOK!

すべて実筆で書き押印があればOK!

というものでした。


だから、遺言を書いた後で、遺産を受け取ることになる人(相続人)と不仲になった場合には、

すぐに書き換えることができるなどと状況に応じてすぐに対応できるというメリットがありましたね。

ただし、問題点として。

せっかく書いた遺言書が紛失してしまったらどうなるのでしょう。

せっかく書いた遺言書が、書き換えられてしまい、

当人の意思とはまったく異なる遺産分配になってしまったらどうなるのでしょう。

まったく問題のない遺言書を書き、すべての相続人が納得できる遺言をしたためたのに、

遺言書が見つからずに相続されることになってしまったらどうなるのでしょう。

遺言書が燃えてしまったら。

遺言書が盗まれてしまったら。

・・・・・

考えていくときりがありません。

では、改ざんもされずに、しっかり保管されて、紛失しないように遺言を残すには、どうすればよいのでしょう。


それは、公正証書遺言を作ることです。


公正証書とは、公証役場とよばれる法務局が管轄する役所で作成する書類のひとつです。


公証役場は、全国に約300箇所にあり、

法務大臣が任命した公証人という法のプロが、

法人の定款や私文書の認証業務、確定日付の付与などを行っています。

そのカタそうな役所で作る遺言書が、公正証書遺言です。

もう、これだけですごい効力がありそうな気がしませんか。

実際には民法で公正証書遺言の書き方はして指定しています(民法969条)。

公正証書遺言を作成する場合は、

遺言者(遺言をする人)は、遺言者があらかじめ選んだ2人以上の証人を立会人として、

公証人の面前で遺言内容を口述します。

そして、公証人は遺言者が述べた遺言内容を文章化します。

その後、遺言者と証人が内容に間違いがないか確認した後に、

遺言者、証人、公証人がそれぞれ署名押印します。

こうして作成された遺言書の原本は、

20年間、または、遺言者が100歳に達するまでの期間、

いずれかの長い期間は公証役場で保存します。

したがって、原本が紛失することもないし、

改ざんされるおそれもありません。

破られたり、捨てられることもありえません。


さらに、公正証書遺言のメリットとして、

この遺言書は法のプロである公証人と証人の立会人の下で作成しますので、

他の自筆証書遺言では必要となる家庭裁判所での検認も不要となります。


さらに、立会人には弁護士や法律専門職がつくことがほとんどですので、

何重にも専門家のチェックが入ることになります。

したがって、形式も内容も、まず問題ないといえるでしょう。


こうして作成された公正証書遺言は、非常に強い証拠力がありますので、

もし遺言の内容に不満がある相続人がでてきても、

その遺言の無効を主張することはほとんど無理です!

このように特徴を挙げていくと、公正証書遺言は完璧なものに見えてきますね。

それなら、最初から公正証書遺言を作成すれば、

自筆証書遺言なんて必要ないような気がしませんか。

しかし、自筆証書遺言にもメリットとディメリットがあるように、

公正証書遺言にもメリットがあればディメリットもあります。

では、公正証書遺言のディメリットとは、どのようなことがあるのでしょうか。

まず、公証人や証人が必要である以上は、費用がかかります。


日本公証人連合会によると、

(目的の価額)          (手数料)

500万円~1000万円以下 ・・・ 17000

1000万円~3000万円以下・・・ 23000

3000万円~5000万円以下・・・ 29000

5000万円~1億円以下 ・・・  43000

1億円~3億円以下        ・・・  43000円に5000万円までごとに13000円を加算

というように費用が決まっています。


そのほか、証人として弁護士や司法書士、行政書士に立会いを依頼すれば、

その費用も発生します。

これだけ費用がかかるとなると、自筆証書遺言のように、簡単に書き直すわけにはいきませんね。

さらに、自筆証書遺言であれば誰にも見せずに内容を秘密にできるのに、

公正証書遺言では少なくとも公証人と証人には内容を見せることになってしまいます。

では、公正証書遺言と自筆証書遺言、どのように使い分ければ良いでしょうか。

定期的に公正証書遺言を作りつつ、若干の修正は確定日付が新しい自筆証書遺言で対応する。

また、状況が大きく変わることがあれば、公正証書遺言を作り変える、というのが望ましいですね。

しかし、必要性は理解していても、

公証役場へ行くことや、専門家に相談する機会はなかなか無いのが現実でしょう。

また、遺産を受け取る側(相続人)から、遺言書を作ることを勧めるのも、気が引けてしまうことでしょう。

けど、遺言は先祖から子孫に対するメッセージです。


法律要件は専門家に任せて、まずは子孫にどんなメッセージを残したいのか考えてみましょう。

遺言の法的要件は重要ですが、もっとも大切なことは本人の想いです。

難しく考えずに、わが子に対する想い、孫に対する想い、


こうした想いを文字にしてみることから初めてみてはいかがでしょうか。

きっと、あたたかい気持ちですばらしいメッセージが書けるのではないでしょうか。

ただし、遺産をもらえるのは子孫だけではありません。


民法によると、配偶者は最初に遺産をもらえますし、

先祖である親が子の遺産を受けとることもあります。

では、誰が遺産を受け取ることができるのでしょうか。

次回は、法定相続と遺言の関係についてご説明します。

***********************

329日、東京では花粉が飛びまくっています。

東京九段の靖国神社のソメイヨシノも咲き始めたそうです。

しかし、日本列島は緊急事態のまっただなかです。

私が非常勤で教えている大学では卒業式は中止で、入学式も延期になり、

授業開始は4月後半です。

今年は大変な1年になりそうですが、次にブログ当番がまわってくるときには、

明るい話題がコメントできるように、いまできることを精一杯やっていきましょう!

こんにちは、弁護士の白木です。

今回の東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた皆様、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。そして、復旧復興のために私たちkizunaもできるだけのことをしていきたいと思っています。



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さて。公正証書遺言を書いた人の中には、「私の遺言書、ちゃんと無事かな?」とお考えになった方がいらっしゃるかもしれません。

お問い合わせした所、今回の東北地方太平洋沖地震により、公正証書が滅失した公証役場は1件もないそうでございます。どうか、ご安心ください!!!


さて、そうとはいえ、普段でも火災などにより公証役場がなくなったらどうなるの?という疑問は残ります。

もともと、公証役場がなくなったからと言って公正証書の正本、謄本の効力は影響を受けません。ですので、当然遺言は有効です。
とはいえ、原本がないままではやはり不安だという気持ちはなくはないですよね。

これについては、公証人法がございます。

第42条 証書ノ原本滅失シタルトキハ公証人ハ既ニ交付シタル証書ノ正本又ハ謄本ヲ徴シ其ノ所属スル法務局又ハ地方法務局ノ長ノ認可ヲ受ケ滅失シタル証書ニ代ヘテ之ヲ保存スルコトヲ要ス
2 前項ノ証書ニハ其ノ所属スル法務局又ハ地方法務局ノ長ノ認可ヲ受ケ滅失シタル証書ニ代ヘテ之ヲ保存スル旨及其ノ認可ノ年月日ヲ記載シ公証人之ニ署名捺印スルコトヲ要ス

つまり・・・
原本がなくなってしまったときは、既に受け取った正本又は謄本について法務局の認可を受ければ、なくなってしまった証書に代えて原本として保存されるようになります。

今回お問い合わせして、「大事なものをおあずかりしていますので、すぐに確認いたしました」という言葉が印象的でした。


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さて、ここからは悲しい気持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんので、必要な方だけお読みくださればと思います。また、ある程度基本的な知識でありますが、必要な方もいらっしゃるかもしれず記載させていただきました。


1 相続順位と代襲相続

 ご家族が行方不明になってしまい、結果的に複数のご家族の方がお亡くなりになった場合、場合によっては相続人が変わる事がございます。これは、法律で定められた相続には順位があるからです。

 配偶者と子供は相続人となります。そして、子が相続開始前に亡くなった場合はそのさらに子供(孫ですね)が代わって相続人となります(お孫さんも亡くなってひ孫がいらっしゃる場合はひ孫が相続人です。)これを代襲相続といいます。

 そして、子供や孫等に該当する方がいらっしゃらないときに親等の直系尊属、そして兄弟という順で相続がなされます。

2 同時死亡の推定

行方不明の末に亡くなったことがわかり、どちらが先に亡くなったかわからないということも場合によってはあります。そのような場合には同時に死亡したと推定します(民法32条の2)

3 養子の相続人の地位

ご家族の中に養子がいらっしゃる場合は普通の子と同じ地位にありますので、養母、養父の財産を相続します。また、養子は実母実父の財産も相続します。



以上基本的なルールを記載いたしました。

とはいえ、実際ご家族が多いとわかりにくい相続人の範囲です。どうかお気軽に専門家にご相談下さればと思います。
今回の担当は、司法書士の木藤です。

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前回のコラムでは相続登記に期限はありませんが、お早目のお手続きをお勧めしました。数十年経過してから、改めて関係当事者に書類の提出を求めるのは煩瑣であることが主な理由です。

【絆・火曜コラム】 「相続登記はお済みですか?」2011.02.01
http://ameblo.jp/kizunanokai/entry-10786232057.html


しかし、相続登記を放置していた際に、得することもあります。本日はこちらをご紹介します。


<相続登記の登録免許税>
現在、相続登記による所有権移転登記の登録免許税は下記の計算式で算出されます。

登録免許税 = 土地建物の評価額 × 4/1,000(税率)

評価額は固定資産評価証明書に記載されている「評価額」です。税率は0.4%ですね。例えば、評価額が金1,000万円であれば、登録免許税は金4万円となります。


<数次相続>
鈴木一郎さんがお亡くなりになりました。当時の相続人は鈴木太郎さんのみでした。鈴木太郎さんは自宅の相続登記をしないまま、お亡くなりになりました。鈴木太郎さんの相続人は、鈴木花子さんのみです。

この場合の相続登記ですが、もし一郎さんや太郎さんがお亡くなりになった直後に速やかに登記をしておきますと、2つの登記となります。

①所有権移転登記(一郎さんから太郎さんへの相続)
②所有権移転登記(太郎さんから花子さんへの相続)

さきほどの評価額が金1,000万円の事例を用いますと、

①登録免許税 金4万円
②登録免許税 金4万円

合計で金8万円かかることになります。



しかし、ここで1つ特例があります。それが「数次相続」です。今回のケースでは登記を2つに分けずに、1つの所有権移転登記で済ませることが出来ます。

①所有権移転登記(一郎さん~太郎さん~花子さんへの相続)


もう皆さんお気づきかと思いますが、登記が1件に減ったということは納付すべき登録免許税も1件分で問題ございません。2件で金8万円であった登録免許税が、数次相続により1件でまとめて申請しますと、金4万円、つまり半額となります。

もし評価額が金1億円の場合ですと、0.4%は金40万円となります。2件で金80万円が、数次相続により半額の金40万円になると影響は大きいですね。


<数次相続の要件にご留意ください>
それでは、相続登記を急ぐ理由が無ければ、ある程度は放置をしておいて、評価額が下がった時にまとめて数次相続として登記申請をした方がメリットがあるのではないか? という声も聞こえてきそうです。確かに経済的メリットから見ますとそれも一考です。

しかし、要件にご留意ください。

さきほどのケースでは、一郎さん~太郎さん~花子さんと言うように、中間者の太郎さんが単独のケースです。それではこのようなケースではどうでしょうか?

・一郎さんの相続人は太郎さんと次郎さん(持分2分の1ずつ)。
・太郎さんの相続人は花子さん

この場合は数次相続は使えません。数次相続の要件は、中間者の相続人が単独の場合に限られます。次郎さんが登場するケースで、花子さん名義まで登記をするためにはこの様な構成となります。

①所有権移転登記(一郎さんから太郎さん、次郎さんへの2分1ずつの相続)
②太郎さんの持分全部移転登記(太郎さんから花子さんへの持分2分の1の相続)

やはり、通常通り2件の申請となります。
上記の様なケースでは、数次相続による経済的メリットもございませんし、花子さんからしますと自分名義まで到達するために、次郎さんにも手続の協力を求める必要が(原則的に)あります。やはり総合的に考えますと、相続登記はお早目に済まされることをお勧めします。


<中間者が単独の場合とは?>
なお、下記の事例の場合はどうでしょうか?

(イ)太郎さんと次郎さんは遺産分割協議をしており、太郎さんが自宅を相続することになっていた。

(ロ)廃除や相続放棄により、次郎さんには相続権が無かった。


上記(イ)(ロ)のケースでは、法律の修正により、中間者は太郎さん単独となります。このように中間者が単独になった場合でも、数次相続は「認められます」。面白いですね。

詳細は、お気軽に我々司法書士までお問い合わせください。









絆の会ブログ・事務局の木藤です。

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<放送中止のお知らせ>

3/15(火)21:00-22:00 より放送を予定しておりました

■番組名 :専門シリーズ「相続あれこれ知恵袋」
     (UST帯番組『麹町ワールドスタジオ』)

上記番組でございますが、
東北関東大震災の影響を鑑み、放送を中止することになりました。

被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

今回は税理士新井山による税務に関するコラムです。




相続税課税割合の推移

 平成21年中に死亡した人は114万人、このうち相続税の課税対象となった人数は4万8千人、課税割合は4.06%でした。20年は4.2%で、平成13年に5%をきって以後引き続いて4%台の課税割合が続いており、いよいよ平成22年は3%台に突入か、という状況にあります。


 近年で、最も高い課税割合を記録したのは昭和62年の7.9%です。バブルの昂進期で、58年に5.3%だったのに、年々うなぎ上りに相続税の課税対象者が増えたわけです。これはマズイッとばかりに当局はそれまで長期に亘り<2000万円+400万円×相続人数>としていた相続税の基礎控除を昭和63年に一気に2倍にしました。その結果課税割合は4.6%に落ちたものの、すぐまたうなぎ上りに上昇し、平成3年に6.8%になったところで再度基礎控除を現在の金額まで上げました。その後は、その効果とともにバブルの崩壊もあって課税割合は減少の傾向をつづけてきました。




適正課税割合は5%?

 基礎控除の額を変更してきた過程をみると、7.9%はもちろん、6.8%も多すぎる割合と当局は判断していたことになります。


 今次の税制改正大綱では昨年の4.2%をみて、課税割合が少なすぎるとして基礎控除の減額を提案しています。


 6.8%と4.2%の真ん中は5.5%です。過去の推移をみて、4.5%~5.5%あたりが適正割合なのかと、推測できそうです。




<3000万円+600万円×相続人数>の効果

 これは税制改正大綱で提案されている相続税の基礎控除です。相続人3人の場合、現行よりも3200万円低くなります。


 また、死亡保険金一人当たり500万円非課税枠が未成年者・障害者・生計同一者のみの適用と限定され、さらに、昨年改正の非同居実家相続での小規模宅地8割評価減不適用もあり、これで通常5000万円以上の影響があるので、首都圏では相続税の課税対象割合が一気に増えそうです。

相続税の課税対象者のうち、相続財産2億円以下の層が7割を占めており、この層の下にその何倍かの相続税対象の予備軍がいるわけですから、パニックになるかもしれません。不動産市場へも大きな影響を与えそうです。

こんにちは!火曜コラム今週は、行政書士 濱田 英明 が担当させて頂きます。

私が6番手ですので、絆メンバーコラムは、今回で一巡した事になります。

記念すべき?一巡目の〆は『遺言書の撤回』について、お話させて頂きますので、お付き合い下さい!


はじめに、【遺言書で出来る主な事】といたしまして

子の認知 未成年後見人・後見監督人の指定 相続分の指定 遺産分割方法 遺留分減殺方法の指定 相続人の廃除・その取消 5年以内の遺産分割禁止 祭祀承継者の指定 遺言執行者の指定 遺贈 寄付 等があります。作成された遺言書の上記内容を、様々な理由から「変えたい」「直したい」 これを『遺言書の撤回』といいます。


遺言は被相続人の最終意志の尊重を目的としていますので、理由の如何を問わず自由に、作成した遺言書の全部または一部を撤回できます。 民法は「遺言の方式により」と定めていますので、新しい遺言書を作成する事により、先に作成された遺言書と異なる部分が撤回されます。 それ以外の部分に関しては、先の遺言書の効力も残りますのでご注意下さい。

先の遺言書と後から作成される遺言書の方式は、同一でなくてもかまいません。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。


作成された遺言書を破棄した場合などは、撤回とみなされます。もちろん、ご本人以外の方が破棄しては駄目です。偽造・変造・隠匿・破棄は、欠格事由に該当します

また、公正証書遺言は、原本が公証役場にありますので、お手持ちの正本を破棄されても遺言を撤回した事には、なりませんので、ご注意下さい。

遺言書の作成後、遺言書には、長男に株式を長女に車を と記載されているのに、生前に株式や車を処分されてしまった場合などは、その部分に関して撤回したものとみなされます。




ちなみにの余談ですが、『遺言書の訂正』なんてのもあります。 

『遺言書の撤回』『遺言書の訂正』

言葉にすると似てますが・・違うのでしょうか? 

『撤回』と『取消』

微妙に違いますか?

『土地・建物を相続させる』『土地・建物を遺贈する』 

あら?どの様に違うのでしょう?


答えは、次回の私の担当6週間後に、乞うご期待!・・冗談です。



『遺言書の訂正』・・作成された遺言書の書き間違いを直す事です。

①訂正したい部分を2重線で消します(元の文字が見えるように)

②①の脇に訂正したい内容を書き込みます

③訂正箇所に押印

④遺言書の余白に○行目○文字削除○文字加筆と記入し署名


『撤回』『取消』

取消は初めから無効とみなします(民法121条)撤回は将来に向かって効力を失わせる事です。


『相続』と『遺贈』

法定相続人に引き継ぐ事を相続 法定相続人以外に財産分与する事を遺贈 といいます。


余談が長くなってしまいましたが、何が言いたいのかといえば、ちょっとした、《表現の違いで、内容が変わってきたりします》ので、何かご不明な点があれば、お気軽にご相談下さい。 

では今回は、これにて、お付き合い頂きありがとうございました!