皆さん、こんにちは!

火曜の定例コラム、今週の担当は行政書士の植松和宏です。

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今回は、相続が始まるまでの手続きについて書いていきます。

相続が発生するということは、誰かが亡くなっているわけです。

すると、社会的には通夜、葬儀の準備、親族や友人、会社関係などへの連絡が必要になるわけですが、

法的にもやるべき行政手続きがあります。

まず、「死亡届」を提出しなければなりません。

死亡届は、その名の通り人が亡くなったことを届け出るものです。


この死亡届を提出するのは、戸籍法によって定められていますが、

具体的には、親族、同居者、家主、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人などが該当します。

そして、死亡届の提出先は、「死亡者の死亡地または本籍地」、または「届出人の所在地の市区役所または町村役場」になります。


ただし、大切な人が亡くなったのにこのような手続きに奔走していられません。

そのため、提出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内とされています(国外で死亡したときは,その事実を知った日から3か月以内)。

では、「死亡届」という紙切れを一枚提出すればよいのかというと、ほかに添付を求められる書類があります。

それは、「死亡診断書(死体検案書)」です。

届出用紙は、は,市区役所又は町村役場で入手できますが、

これは親族だからと言って勝手に記入することはできません。

死亡診断書には、死亡時刻、死亡場所、事由などが記された医師の署名捺印が必要ですので、

死亡診断書を書くことができるのは、診断した医師もしくは歯科医師のみとなります。

多くの場合、人は病院で亡くなることが多いので、通常は医師がこうした書類を用意してくれます。

こうして、市区町村の役所に死亡診断書を提出するのです。

しかし、悲しみに暮れる間もないまま、死亡診断書が受理されると、今度は「火葬許可証」が交付されます。

火葬する際には、この火葬許可書がないと火葬できません。

さらに、火葬が執行されると、火葬許可証は火葬場管理者の裏書によって、「埋葬許可証」となります。

これは、納骨の際に必要になる書類です。

人が亡くなると、これだけのことが必要になります。

最近では葬儀社が代行してくれることも多く見られますし、

また、亡くなった方の関係者はこうした手続きを調べて対応する間もないのが現実です。

しかし、大まかな流れや必要書類を知っておくことも必要でしょう。

ではおさらいです。

死亡届出の期間 : 「死亡した事実を知った日から7日以内」です。

死亡届出地 : 死亡届け先は、「死亡地」、「死亡者の本籍地」、「届出人の所在地」の区役所・市町村役場(いずれか1ヶ所)です。

死亡届出人 : 同居の親族、同居していない親族、その他の同居者、家主、地主または土地の管理人が届出義務を負います。

死亡届出に必要なもの : 死亡届書1通(通常、病院で発行させる死亡診断書と1枚の用紙にセットになっています)、届出人の印鑑(認め印で可)

こうして、「死亡届」を役所に提出して受理された時点で、死亡者の財産は遺産となり、相続が開始されることになるのです。

あまり積極的に調べることではないと思いますが、ぜひ知っておきたいことですので、

今回は相続の予備知識として紹介しました。


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先日、福島県喜多方市に行ってきました。東北自動車道は福島に入るとデコボコで、本来ならまだ通行止めではないかと思われるような状況でした。会津地方は地震そのものによる大きな被害はなかったとはいえ、ベランダが落ちているアパートやビニールシートを被せた民家、壁が崩れた蔵などもありました。

だけど、現地の人々は元気です!暖かく迎えてくれました。

地震や津波による被災地も、風評被害による被災地にも、早く笑顔が戻ってくることを願います!


前回書いた相続放棄の熟慮期間について延長を認める法律が成立しました。
平成23年6月21日に交付、施行されます。

平成22年12月11日以降に自分が相続人となったことを知った人について、相続の承認又は放棄をすべき熟慮期間を平成23年11月30日まで延長します。

適用区域

岩手県 全市町村
宮城県 全市町村
福島県 全市町村
青森県 八戸市、上北郡おいらせ町
茨城県 水戸市、日立市、土浦市、石岡市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、常陸太田市、
    高萩市、北茨城市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、
    鹿嶋市、潮来市、常陸大宮市、那珂市、筑西市、稲敷市、かすみがうら市、
    桜川市、神栖市、行方市、鉾田市、つくばみらい市、小美玉市、東茨城郡茨城町、
    東茨城郡大洗町、東茨城郡城里町、那珂郡東海村、久慈郡大子町、稲敷郡美浦村、
    稲敷郡阿見町、稲敷郡河内町、、北相馬郡利根町
栃木県 宇都宮市、小山市、真岡市、大田原市、矢板市、那須塩原市、さくら市、
    那須烏山市、芳賀郡益子町、芳賀郡茂木町、芳賀郡市貝町、芳賀郡芳賀町、
    塩谷郡高根沢町、那須郡那須町、那須郡那珂川町
千葉県 千葉市美浜区、旭市、習志野市、我孫子市、浦安市、香取市、山武市、山武郡九十九里町
新潟県 十日町市、上越市、中魚沼郡津南町
長野県 下水内郡栄村

住民票がない人は、住んでいたことを証明できるような書類(勤務証明、在学証明書、公共料金の支払はがき)などを提出しましょう。家庭裁判所が判断者です。

注意

相続人が東日本大震災の被災者であることが必要です。

相続人が未成年者の場合は、法定代理人(親御さんとか後見人)が被災者かどうかでこの法律の適用が決まります。
延長された熟慮期間の間に、既に相続財産の全部又は一部を処分するなどをした場合、その他承認をした場合には相続放棄できません
こんにちは、弁護士の白木麗弥です。

前回に渉外相続シリーズをやります!…って息巻いていたのですが、今日は重要なお話もあるので、その前に相続放棄のお話をしようと思います。相続放棄の基本的なお話は、こちらをご参照ください。


相続の熟慮期間とは

さて、ブログタイトルに相続放棄の熟慮期間と書きましたが、熟慮期間とはなんぞや?ということをまずは触れておきたいと思います。
民法でいう相続の放棄とは、被相続人(つまり亡くなった方)のプラスの財産もマイナスの財産も放棄しますよ、引き継ぎませんよ、と家庭裁判所に申述して、これを行います。
つまり、借金だけを勘弁して!ということはできませんよ、というわけです。
ということは、プラスの財産とマイナスの財産とを両方考えて、相続すべきか、相続放棄すべきか、はたまた限定相続すべきか(相続財産の範囲内でマイナス財産も引きつぎます)という判断をするわけなのです。
その判断に必要な時間を民法では3ヶ月と決めています。

被災地の熟慮期間に関する新法

皆さんにとって未だ忘れられないあの東日本大震災から、3ヶ月が過ぎました。
そう、3ヶ月です。

しかし、この3ヶ月間に被災者の方が相続について判断が出来る状況にあったとは言いがたいのが現実です。そういったことを踏まえて、例えば日弁連では相続の熟慮期間に関しての会長談話を発表しています。相続放棄の申述に必要な書類である戸籍謄本に関しては直ちに提出できなくても、あとで追加して提出すればいいよという手続はきちんと皆さんにお知らせしなさいというようなことですね。また、熟慮期間自体を1年間にしてほしいという意見書もだされています。

会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110607.html

意見書 ←熟慮期間を1年にして欲しいという意見
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/110526_3.html


そして現在、民主党の方で議員立法を検討しているのは、被災地に関しては、12月11日以降に亡くなった方についての相続放棄の熟慮期間は11月末日までとするということのようです。実際法案が成立するまでは内容は正式には決まりませんので、今後の推移を見守っていきましょう。


「相続放棄」の判断期限延長へ議員立法 民主方針(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY201106060654.html


熟慮期間の起算点

ところで、3ヶ月の熟慮期間、果たしていつから3ヶ月なの?というシンプルな問題を考えてみたいと思います。
法律ではこのような記載になっています。

第九百十五条  
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2  相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

わかりやすくいうと、自分が相続人になったと知った時から3ヶ月というわけです。
しかし、それを文字通りに考えると、困ったことが起きてしまうことがあります。何も財産なんかないから放棄する必要なんかないわ~と思っていたら、多額の借金が出てきてしまったよ!という場合です。

判例では、この熟慮期間は「相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である」としています(昭和59年4月27日最高裁判例)遠く離れて住んで、長いこと音信不通だったので財産状況なんて知りようがない等、生活状況からして相続財産が認識できなかったのなら判断のしようがないというわけです。


熟慮期間の伸長

お父さんがなくなったので、自分が相続人だと分かってます。
財産があるということも、一緒に住んでいたのである程度なら分かっています。
でも、3ヶ月で借金まではわからない…(T_T)

そういう人は、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることができます。この伸長の申立ては熟慮期間中に行わなければなりませんので、注意しましょう!

詳しい書式は裁判所にあります。
ご不明な点は専門家や家庭裁判所でも教えてくれますよ。


今週の担当は司法書士の木藤です。

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<放棄でお願いします>

相続のご相談を頂きますとよくこのようなオーダーがございます。

「相続人は私と妹の二人ですが、妹は相続財産は要らないので放棄で良いと言っております。」

ここで使われる「放棄」について。

相続案件については士業によっても特色がございます。弁護士さんですと紛争があるケース、税理士さんや鑑定士さんですと相続税が論点になる財産が高額なケース、行政書士さんですと遺言書や遺産分割協議書の作成と併せてそもそも相続自体から説明を求められるケースなどなど。

一方で、司法書士が依頼を受けるケースは不動産登記が必要なケースですね。相続税が発生する富裕層・資産家の相続はもちろんですが、マイホームをお持ちの方であれば、みなさん登記が必要になります。私個人のキャラクターにもよると思いますが、私が受託する案件のほとんどは「平和」なケースです。

冒頭の例に戻りまして、相続人は長男と長女のお二人で仲が良い御兄弟の場合。ここで使われている「放棄」は、「妹さんは特にプラス財産を求めていない」という意味が多いです。ここの真意はもちろん個別案件でその都度確認をしておりますが、この場合は「家庭裁判所への相続放棄の申述」ではなく、「遺産分割協議で長男が相続」という手法をお勧めしております。

「家庭裁判所への相続放棄の申述」は、相続開始時から相続人ではなかったことになる手続です。仲の良い御兄弟の場合は、ここまで大事(おおごと)にする必要が無いかと思いますし、遺産分割協議に比べて裁判所への手続は煩瑣です。

財産の帰属先について御兄弟で明確に合意が取れていて、争いもなく、また多額な負債等(マイナスの相続財産)も無い場合は、「仲良く遺産分割協議」が手続的も簡便です。


<遺産分割協議書は1枚に連名である必要があるか?>

なお、余談ですが法務局に相続登記を申請する際はもちろんこちらの遺産分割協議書も提出します。「○○の土地については、長男○○が相続する」と言う内容を法務局も確認をして、登記簿に名義人を記入するためです。この遺産分割協議書は相続人全員のご署名・ご捺印が必要ですが、法務局が審査するにあたり、こちらのご捺印が実印でされており、印鑑証明書で印影の照合が取れるかも対象になります。

1枚の遺産分割協議書に、相続人が連名でご署名・ご捺印をするのが一般的ですが、もし相続人の人数が多く、また一堂に会する機会もないので、一人一人持ち回りでご署名ご捺印を頂くことになると、大変な時間がかかります。特に、相続人の居住地が遠く離れているケースでは完備するまでに相当な時間がかかりますね。

この様な場合は「遺産分割証明書」という形式も登記手続では認めています。一枚の遺産分割協議書に連名でご署名・ご捺印を頂くのではなく、相続人ごとに1枚ずつ証明書を用意し、各自ご署名・ご捺印をする形式です。こちらであれば持ち回りでご署名・ご捺印を頂くタイムロスがなくなりますね。

皆様にとって相続が発生するケースは人生において数えるほどしかないと思います。円満なケースでも手続についてご不明な点やご面倒な点があり、不安になることもあるかと思いますので、そんなときはお気軽に私たちプロフェッショナルにお問い合わせ頂けますと幸いです。





 今回も引き続き、税理士新井山がコラムを担当します。タイトルは原発と税です。相続にまつわるものではありませんが、カレントトピックスとして取り上げてみました。


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 今回の福島第一原子力発電所の事故は、東日本に重大な被害を及ぼしました。


 原子炉は現在、全国に54基あります。


 自治体が原発を誘致するのは、恩恵があるからで、雇用の創出やインフラ整備はもちろんのこと、原発により自治体が得られる収入として、電源三法交付金、固定資産税、核燃料税、法人事業税等があります。


 ここでは、あまりなじみのない電源三法交付金と核燃料税を取り上げます。


1.電源三法交付金


 電源三法とは、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の3つを指します。


 電力会社は販売電力量に応じ、1,000キロワットアワーにつき375円を、電源開発促進税として国に納付しています(電源開発促進税法6条)。国の平成21年度決算では約3,300億円の税収があり、ほとんどがエネルギー対策特別会計に組み込まれ、電源開発促進勘定や電源立地地域対策交付金として、発電所など関連施設の整備等のため及び周辺市町村に対する交付金等の財源にあてられています。


  福井県では、平成21年度の電源三法交付金は約203.9億円、昭和49年度から累計で約3,246億円交付され、それをさらに関係市町村等に交付しています。


2.核燃料税


 核燃料税は、地方税法第4条第3項の規定に基づく法定外普通税で、課税期間は5年間、5年毎に更新されます。


 福島県では、発電用原子炉に挿入された核燃料の価額(価額割 100分の10)と重量(重量割 1kgにつき8,000円)に課税し、平成20年以降の5年間で約264億円の税収を見込んでいました。福島県には東京電力しか発電用原子炉を設置していませんので、すべて東京電力からの税収です。


 当然ですが、最終的にこれらの税金は電力料金に上乗せされ、消費者が支払うことになります。


3.原発依存の現実


 今年度一般会計予算のうち、双葉町では約半分が原発関連の交付金で、税収の約7割が原発関係と報道されています。


 今後、福島第一原発の廃止が正式に決まった場合、原発に依存した自治体の財政をどうするかは避けて通れない、大きな問題になるでしょう。

今回の担当は、税理士の新井山です。



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 相続により取得した財産が大震災により甚大な被害を受けたときは、現法上、災害免除法による相続税の減免措置があります。




 手続きとしては、その被害が相続税の申告期限前と申告期限後によって異なります。  


 なお、適用にあたっては、被害割合について一定の要件があり、当該要件は申告期限前でも期限後でも同じです。




(適用要件)

1.取得した財産の価額の内、被害の割合が10分の1以上であるとき。

2.取得した動産等(金銭及び有価証券を除く等)の価額の内、当該動産等の被害の割合が10分の1以上であるとき。




 上記要件は、相続人ごとに判定し、いずれかに該当すればよいことになっています。




申告期限前と申告期限後の取扱い


 被害が申告期限前であれば、被害相当額は課税財産の価額から控除して相続税額を計算します。




 一方、被害が申告期限後であれば、被害相当額に対応する相続税額が免除されます。   

しかし、この免税は、延納などによる未納税額がある場合に限り適用され、完納されていれば適用されません。




 ここが問題です。相続税を金融機関等から借入れて全額納付し、必死に、その借入金を返済している相続人であっても適用されないことになっています。




 そこで、今回の東北関東大震災に伴う特例法の制定にあたっては、一定期間を区切り、相続により取得した財産に変動がない限り、完納している場合でも何らかの減免措置を講ずべきものと考えます。 




被災した地域の土地の評価


 阪神淡路大震災の被災者等の特例法では、指定地域内にある土地等については、震災直後の価額で評価できることにしました。具体的には、相続発生が震災前年であっても、震災年度の財産評価基準に定める通常の路線価または倍率に、調整率を乗じたものでした。




 しかし、今回の震災は、土地そのものが震災により損失を受けた、まさに物理的損害(隆起、陥没、亀裂等)の存在は無視できません。それ故、調整率等の算定にあたっては、その実情を十分に反映されるべきものと考えます。




 また、今回の特例法制定においては、大震災直後に発生した相続についても申告期限の延長を認めるべきと考えます。




おはようございます。

今日の担当は、不動産鑑定士の塚田です。


不動産は一つとして同じものは無く、価格も一つ一つ違いますが、おおよその相場と言うものはあり、今ではネットでもある程度の相場は調べることが出来ます(調べ方は2/22のコラムhttp://ameblo.jp/kizunanokai/day-20110222.html をご覧ください)が、相場より大幅に安くなってしまう場合があります。


今回はそんな危険な不動産のパターンと、プロはこう調べる、という調べかたについて説明します。
プロは、とえらそうに書きましたが、どこで調べればよいかがわかれば、誰でも調べることが出来ます。

もちろん、専門家(不動産を購入するときは宅建主任者による重要事項説明があります)の意見を聞くのが一番ですが、専門家の説明も予備知識が無いとわかりませんので、ある程度の予備知識を見につけておくと良いと思います。


【危険な不動産その1】・・・道路に面していない

法律の規定(建築基準法)により、幅員4m以上の道路に2m以上接していないと、建物は建築できません


全く道路に面していない場合もありますし、下の図のような、いわゆる敷地延長の土地の場合もあります。
こういう土地は、もともと広い家が建っていたものを、相続をきっかけに分割した場合に多く見られます。
皆さんのご近所にもありませんか?


あなたの相続問題に“総合力”でお応えするプロフェッショナル 集団 「絆の会」のブログ-douro1

さて、ここで問題となるのは、


(1) 4m以上の道路かどうか?
道路に見えて建築基準法上、道路として認められていない場合もあります。逆に、4m未満の道路でも、道路として認められる場合があります。


(2) 2m以上接しているか?
上記のような土地の場合、通路となっている部分の一部でも2m未満の部分があってはダメです。


調べ方は、


(1)については、市役所(東京23区では区役所、小さな市や町村の場合には都道府県の建築指導事務所・土木事務所など、以下、市役所等といいます)の建築指導課(役所によって呼び名は変わります)で、『建築基準法上の道路の種別を教えてください』と言うと教えてもらえます。

(2)については、過去に測量した測量図があればそれを見て、無ければ実際に測ってみて、2mぎりぎりの部分がある場合には、専門の土地家屋調査士さんや測量士さんに依頼して、測量してもらう必要があります。


※これは実は、隣地との境界が確定している場合が前提となります。確定していない場合には、どこからどこまでを測ればいいのか、正確にはわかりませんので、2mぎりぎりの場合で、境界が確定していないときは非常に危険です。

なお、東京都のように、条例で、もっと厳しい基準(路地状部分の長さが20mを超える場合には、3m以上の幅が必要)がある場合があります。


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また、これも東京都の場合ですが、共同住宅(アパートやマンション)を建てる場合にはもっと厳しく、4m~10m(建物の規模によります)以上の幅が必要です。


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このような条例による制限については、上記の役所の窓口で、土地の図面(測量図があれば測量図が良いでしょう)を見せながら聞くと教えてもらえます。


【危険な不動産その2】・・・そもそも土地を開発してはいけない


法律の規定(都市計画法)により、「市街化調整区域」に区分(線引きといいます)されている区域は、「市街化を抑制すべき区域」とされ、原則として建物は建築することは出来ません
ただし、例外的に、建物の建築が出来る場合があります。

また、建築できる建物の種類や大きさに制限があります。


希望する建物が建てられるかどうかは、市役所等の開発審査課(役所によって呼び名は変わります)で、建物が建築できるかどうかを聞くと教えてもらえます。


ここからは、建物は建てられますが、思わぬ費用がかかる、要注意の不動産についてです。
要注意の不動産はさまざまですが、今回は、土壌汚染と埋蔵文化財について、簡単に説明します。


【要注意の不動産その1】・・・土壌汚染


土壌汚染対策法の規定により、土壌汚染により人体に健康被害が生じる恐れがある場合の一定の場合には、都道府県知事により「要措置区域」に指定され、その区域の土地の所有者に対して、汚染の除去等の指示がなされます。
この指示がなされると、汚染の除去(汚染されている土壌を掘削し除去する、変わりにきれいな土を運んできて埋める)をしなければなりません。


汚染の除去には高額な費用がかかるため、思わぬ出費になる可能性があります。


なお、土壌汚染対策法で規定されている特定有害物質の一覧はこちらです→http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14SE336.html(ヨウ素やセシウムは入っていません!)

土壌汚染については複雑で、コラム1回分には収まりきれないので、今回はこの程度にします。
もし希望する方がいらっしゃれば、土壌汚染についてもっと詳しく説明したいと思います。


【要注意の不動産その2】・・・埋蔵文化財


文化財保護法の規定により、工事中に遺跡を発見した場合には、市区町村の教育委員会に届け出で、必要な発掘をする必要があります。
この発掘費用は、事業者の負担となります。(役所は負担してくれません!)事業者から建築主(施主)に請求が来ますので、最終的には施主の負担となります。

なお、過去の発掘等により、埋蔵文化財があることがわかっている場所は、「周知の埋蔵文化財包蔵地」(周知の遺跡)に指定されます。


周知の埋蔵文化財包蔵地は、市区町村の教育委員会や郷土資料館で調べることが出来ます(地図をFAXすると、教えてくれるところが多いです)


埋蔵文化財包蔵地に指定されている区域に必ず遺跡があるということではありませんが、指定されていない区域よりも可能性は高いです。


今回は、駆け足での説明で、しかも土地の説明だけでしたが、建物にも、危険なもの、要注意のものがあります。
また、最初に道路の説明をしましたが、道路についてだけを見ても、調査が必要なことはもっとたくさんあります。

建物の調査について、また道路については、また次回以降に説明したいと思います。

絆の会ブログ・事務局の木藤です。

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去る5月12日、絆の会(以下、「当会」)は下記の通り勉強会を主催しましたので、ご報告申し上げます。


<絆の会 勉強会>
■題名 :「生命保険信託の活用 -新しい問題解決手法の検討-」
■日時 : 平成23年5月12日 19:30~21:00
■場所 : メローパートナーシップ株式会社様
■主催 : 絆の会


外資系金融機関勤務の豊田哲野氏を講師に招き、当会メンバーを含め、各士業の皆様(弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士)に加え、ゲストとしてアレンジャー様及び信託銀行様にもディスカッションに参加して頂きました。

今回は平成22年7月に開発されました「生命保険信託」を題材とし、この新しい「オプション」の特徴を学びながら、具体的事案における検証を試みました。

・遺言信託との違いは?

・受託者は信託銀行以外でも可能か?

・指図権者の適任者は?

・富裕層が利用する場合は? 一般層が利用する場合は?

・受託者(信託銀行)のメリットは?

・将来の軍資金として活用できるか?(遺留分減殺請求や相続税の対策)

なお、ご参考までに当日のレジュメはこちらです
http://kidooffice.com/01/seimeihokenshintaku_110516.pdf

お客様からご相談頂く相続問題は多岐にわたります。事案によっては、現在用いられる手法では解決困難なものもございます。我々プロフェッショナルが、1つでも2つでも新しい解決手法を増やしていくことで、お客様のお悩みにお答えできる可能性が上がります。

これからも日々研鑽を重ね、レベルの高いサービスをご提供できるよう頑張ってまいります。
皆さん、こんにちは!

火曜の定例コラム、今週の担当は行政書士の植松和宏です。

今回は、遺言の前提として、法定相続と遺言について説明します。



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さて、私が前回ブログを担当した際には、
公正証書について説明しました。

忘れている方は、3月29日のコメントを見てくださいね。



公正証書遺言のメリットをおさらいしておくと、

改ざんが困難。

家庭裁判所の検認も不要。

遺言の無効を主張することはほとんど無理! という特徴がありました。



しかし、作成には費用がかかりますから、

現実には公正証書遺言と実筆証書遺言を組み合わせて、定期的に見直すとよいでしょう。

ここで、今回のテーマとして基本的なところに立ち帰ります。

さて、遺産を受け取れることが出来るのは誰でしょうか


配偶者?

子?

親?

兄弟姉妹?

見ず知らずの赤の他人?

恩師?

日本国内閣総理大臣○○○○?



じつは、いずれも遺産を受け取ることは可能です。

しかし、法律では内閣総理大臣の相続順位など書いていません!

では、どうして??



相続順位について規定しているのは民法です。

民法900条では、配偶者は常に相続人としていますから、その遺産を受け取ることが出来ます。

ただし、ここでいう配偶者とは、正式に婚姻届を提出している法律上の夫婦であることが必要です。

したがって、「内縁の妻」には相続権がありません

たとえどれだけ長い期間の苦楽を共にしてきても、届出があるかないかで大きく変わります。

結婚していた同士が離婚をしてしまっても、配偶者ではなくなりますから相続権はなくなります



そして、同順位の相続人が数人いる場合についても、民法では細かく規定しています。



1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。

夫が配偶者と子ども2人を残して亡くなった場合、

その遺産は妻が2分の1、子ども2人で2分の1(子ども1人当たり4分の1)となります。

では、同居の両親が健在だった場合はどうなるでしょう。
その場合でも、民法に従えば両親の取り分はありません。
配偶者と子どもたちだけで分けておしまいです。

では、これまで育ててくれた両親は?

2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、

  配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。

結婚はしているものの、子どもがいないまま夫が亡くなった場合、

その遺産は妻が3分の2、直系尊属で3分の1となります。

直系尊属とは、直前の先祖のことを言います。この場合は両親です。
両親とも健在であれば、父母それぞれの取り分は6分の1ずつということになります。
両親が遺産を受け取ることができるのは、子に子(孫)が居ない場合だということです。

では、幼少の頃からずっと一緒に育ってきた兄弟姉妹は?

3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、

  配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。

結婚はしているものの、両親はすでに亡くなり、子どもがいないまま夫が亡くなった場合、

その遺産は妻が4分の3、兄弟姉妹で4分の1となります。
兄弟姉妹が多ければそれだけ一人当たりの取り分は減ってしまいますが、ここまで民法では規定しています。

では、配偶者がいなかったら?

その場合は、
子どもがいれば子が100%、
子どもがいなくて直系尊属が健在なら両親が100%、
子どもも両親もいない場合には兄弟姉妹が100%、
を受け取ることになります。

では、天涯孤独であったら?

その方の遺産は最終的に国のものになります。

細かくは、相続人の不存在が確定した後、3か月内に財産分与を申立てる特別縁故者があれば、財産分与の審判を行ないます。
それでも、その後なお相続財産が残存している場合には、その相続財産は国庫に帰属することになります。


このように、遺産の帰属先はすべて法律で定めています。

ところで、これまでに自筆証書遺言や公正証書遺言を書くことをお勧めしてきました。
しかし、どうして相続人が法定されていることを遺言に残すのでしょうか。


民法902条では、

被相続人は~

遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

としています。

これは、法定相続の割合よりも、亡くなった方の遺言の内容を重視するということです。

つまり、法律の定めより、当事者の意思が優先されるわけです。

このような、法定事項よりも当事者による任意の取り決めが優先されるものを任意規定といいますが、

相続についてはその典型ともいえます。

したがって、法定相続人ではない者に、遺言で財産を渡すことも可能ですし、

法定相続人の中でも渡す財産の額に差をつけることも可能なのです。


遺言は、亡くなった方の最後の意思表示であり、残された方へのメッセージです。

遺言が無くても、民法に則って法定相続がなされるのに、あえて遺言書を残すというのは、

被相続人(亡くなった人)がそれだけ残された人たちのことを考えていたか、

と考えると暖かい気持ちになりませんか。




さて、では被相続人が最後の意思表示として、

遺言で「内閣総理大臣○○○○に遺贈する!」とか「母校○○大学に寄付する!」というメッセージを残した場合、

相続人としてはびっくりするでしょう。

もらえると思っていたものがもらえない訳ですから。

まあ、内閣総理大臣がこれを受け取るかどうかも分かりませんが。。。

いずれにせよ、この状況では、遺産をもらえるかも、と考えるであろう相続人に対してあまりにも酷です。




そこで、民法902条では、

~被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

としています。

これは、たとえ遺言があったとしても、法定相続人には最低限の割合(遺留分)を残さなくてはならない!という規定です。

遺留分が認められていることで、相続人は一定の遺産を受けることが可能になるわけです。

つまり、全額寄付しなくてもよく、一部を相続できるということです。

ただ、この遺留分、すべての相続人に認められているわけではありませんが、、、それはまた次回の担当回で説明いたします。





東京は少しずつ汗ばむ気温になってきました。

体調を崩しやすい時期ですので、十分にご自愛ください。




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こんにちは、弁護士の白木麗弥です。

皆様、ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか。
今回は、この長い休みの時なのに、少しだけややこしいお話、渉外相続のお話をさせていただきます。


~渉外相続ってなんだろう~

渉外相続ってなんだろう?
これは多くの方がそう思うでしょうから、まずは簡単に説明します。

今回私が取りあげようと思っている渉外相続は、被相続人や相続人に日本の国籍を持たない方がいる場合や日本に居住されてない方が含まれている場合をさしています。

国際化社会なんていう言葉がもはや陳腐化したくらい、日本には世界中のたくさんの国からいらした人々が生活をしています。また、たくさんの日本人が世界の至る所に出向いて生活をしています。

当然、その自然の成り行きとして、その地で結婚をしたり、その生命を終える方もいらっしゃるというわけです。

ではその後の問題、相続はどうなっていくのでしょう?これが渉外相続の問題ということになるわけです。


~どこの国の法律が適用されるの?~


さて、前回の木藤先生のブログではいつの時点での法律が適用されるの?ということが話題になっていましたが、今回のこの問題では、どこの国の法律が適用されるの?ということがまさに問題のポイントになってきます。

この点について定められている法律のメインが「法の適用に関する通則法」です。

法の適用に関する通則法

この法律は相続だけのことを定めているのではなくて、複数の国の法律が適用される可能性がある場合についてどんなふうに考えたらよいかということが定められています。

さて、相続の場合を見てみましょう。相続については第6節が定められています。

第六節 相続

 


(相続)

第三十六条
 相続は、被相続人の本国法による。

 

 


(遺言)

第三十七条
 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

 

 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。


上のとおり、36条では、相続は被相続人、つまり亡くなった方の国の法律によりますよ、となっているわけです。

まぁ、これが原則ということになります。

~ややこしい例外の話、反致~



よしよし、そいじゃあ、某国の法律を調べてみようじゃないかと弁護士Sが四方八方手を尽くして某国の家族法を調べてみると。。。。。。

「ん?この国の法律では亡くなった地の法律に従えと出てるじゃないか!!日本の法律じゃ、某国の法律に従え、某国の法律じゃ日本の法律に従え、これじゃ堂々巡りじゃないか~」

こんなこともあります。これが「反致」という状態です。

このような場合には、先程の法の適用に関する通則法では日本の法律に従いなさいと定めています(第41条)。

また、日本の法律を基準に考えるともう一方の国の法律に従うと公序良俗に反するような場合、これも日本の法律に従いなさいとされています(第42条)。

~外国籍の方が日本にある日本人の財産を相続するとき~

さて、それでは一般的なルールをご説明したところで、それぞれ具体的なケースをこれからは考えていきましょう。

亡くなった方は日本人、相続する可能性のある方の中に外国人が含まれている場合を考えます。

そして、亡くなった方には不動産がありました、こういう場合はどうなるでしょう?

先程のルールに当てはめて考えてみると、被相続人は日本国籍の人ですので、相続に関しては日本法が適用されます。したがって、相続人の範囲は日本の民法に従って考えれば良いということになります。ここで留意するのは、相続人の範囲に関して、親族をどう考えるかについてもこの 法の適用に関する通則法をそれぞれ当てはめてどの法律に従うべきかを検討しましょうということです。

その後、その方が相続人であることがわかったとなって、話も整ったのでじゃあ登記を・・・・

待って、待って、もう一つ考えなくちゃ。

この登記に関しても、法の適用に関する通則法には定めがあるのです。

第三節 物権等

 


(物権及びその他の登記をすべき権利)

第十三条
 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。

 

 前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。



この設定ケースでは、第13条によれば不動産は日本にありますので日本の法律に従って相続をしようということになります。

登記に必要な書類の中には住民票などご本人にはそもそもない書類もありますので、どのような書類で置き換えられるかを専門家にご相談くださいね。

ということで、一番シンプルな問題であるこの場合だけでも、結構いろいろ考えることの多い渉外相続。

ややこしいですが、また次に私の番が来た時にはこの続きを書こうと思いますので、お楽しみに(?)