おはようございます。
絆ブログ今週は、行政書士・濱田 が担当させて頂きます。
はじめに、東日本大震災で被災された皆様へ、心よりお悔やみ・お見舞いを申し上げます。
また被災地の皆様の生活が一日も早く日常へ戻る事を心からお祈り致します。
被災された方は、自治体の発行する罹災証明の申請をお勧めいたします。 ご親戚・ご友人に遠隔地で避難生活をされてる方はいらっしゃいませんでしょうか?特に、ご高齢者の場合などで情報が、伝わっていない事を危惧致しております。
罹災証明は被災された事を証明するものです。 今後、国や自治体のサポート時に、必要になる方も、いらっしゃいますので、一度ご確認頂ければと思います。
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さて、今回も前回に引き続き、遺言書の撤回(取消)に付いて、お話させて頂きたいと思いますので、お付き合い下さい。
前回、
①【遺言は被相続人の最終意志の尊重を目的としていますので、理 由の如何を問わず自由に、作成した遺言書の全部または一部を撤回できます】
②【表現の違いで、遺言書の内容が変わってきたりします。ご注意 下さい】
といったお話をさせて頂きました。
今回は、もう少し踏み込んで、①と②のお話をさせてください。
まず①ですが、例えば、尊重される最終意志である遺言書に、『以後、この遺言内容を撤回しない』といった文言を盛り込んだらどうなるのか? この『撤回したくない』意志は尊重されるのでしょうか?
残念ですが、これは出来ません。 民法1026条で、遺言の撤回権の放棄の禁止が定められています。
遺言を撤回しない定めや約束は、民法1026条によって効力を持ちません。
しかし、実際問題として、例えば [家業を継ぐご長男が、親の扶養を行う] この様な、お話し合いに基づいて、親御さんが、遺言書を作成した場合など、後々いつでも撤回されたのでは、ご長男が困る 等の不具合があったりもします。 この様な場合、負担付死因贈与や生前贈与などを模索することになるかと思いますが、これに付いては、また別の機会でお話出来ればと思います。 今回は、遺言の撤回権は放棄できない、この点を遺言書作成・撤回時ご留意頂ければと思います。
続いて、②ですが、『遺言の撤回を撤回する。』 反対の反対は賛成的なお話ですが、例えば、Aの遺言書をBの遺言書で撤回した後に、新たにCの遺言書でBの遺言書を撤回した場合、Aの遺言書の効力はどうなるのか?
Bの遺言書を撤回した事で、Aの遺言書が復活するのか?
これは、復活しません。民法1025条 撤回された遺言の効力 で効力を回復しない と定められています。 ただし、復活を認めた判例もあり(最判平9・11・13) 私としては、撤回の撤回などは、極力避けて頂くか、私共の様な、専門家にご相談頂く事を、お勧めしますが、ご自身でされる場合などは、Cの遺言書に、平易な表現で、明確に、A及びBの遺言書の撤回の文言を入れて頂き、Cの遺言書を確実に保管されることをお勧めします。
作成時も同様ですが、撤回時も、ちょっとした表現が、相続⇒争族へと発展しかねませんので、ご注意下さい。
遺言は、上手に使えば、大変便利な制度です。保険に加入して万が一に備えるのと同様、保険よりも、比較的安価に万が一に備えられる遺言書も上手に活用下さい。
では、今回はこの辺りで失礼致します。 最後まで、お付き合い下さいまして、ありがとうございました!