1982年の香港映画。袁和平監督。武術指導は袁家班。
倉田保昭さんが「霍府」に向かいます。そこでは師匠の高飛さんが弟子たちを指導していました。
覗いていた山怪さん。高飛さんに咎められます。霍の技は霍だけしか見てはいけませんでした。山怪さんの挙動に不信感を抱きます。彼の手はどう見ても功夫を修行した人の手でした。
高飛さんは弟子の劉鶴年さんに卵をぶつけるように指図します。生卵をぶつけられて、怒り出す山怪さん。本性を現します。
終始、山怪さんを圧倒する高飛さん。かっこいい。山怪さんが逃げ出した後、やってきたのは息子の袁日初さん。彼は高飛さんに功夫を学びたいと言います。高飛さんは自分の拳を動かすことができたら、教えてやると答えます。
動かない拳。そんな袁日初さんに厳しい言葉を投げつけます。霍の技は霍家の人であっても弱ければ、教えることはできないというきまりがあったのです。息子なのに教えてもらえないという悲劇。兄たちはちゃんと教えてもらっているのに。
外で落ち込んでいると、彼を若者たちがやってきます。劉晃世さんがリーダーのようです。バカにされ、殴られ。でも、勝てない・・・。本当に悲しい状況です。
倉田先生が通りかかります。霍という名前を聞いて立ち止まります。劉晃世さんが更に袁日初さんをボコろうとすると、彼の側近が止めに入ります。彼らが立ち去った後、優しく声をかける倉田先生。ですが、落ち込んでいる袁日初さんには響かず。手を払い除け、走り去ってしまいます。
会いに来た倉田先生に高飛さんは袁日初さんの家庭教師になってほしいと依頼します。倉田先生は体調が悪いようで、ずっと咳をしていますが、大丈夫なのかな?
袁日初さんは父に倉田先生を紹介され、驚きます。倉田先生は賢い人なので、袁日初さんがボコられた話を上手に誤魔化して、高飛さんに話します。
立ち去る前に高飛さんと劉鶴年さんは倉田先生の敏捷性を確かめる行動をしますが、反応が悪い・・・。眼鏡が割れてしまいました何者なのかしら?彼も山怪さんのようなスパイ?でも、袁日初さんは倉田先生に親近感を抱き、嬉しそうです。
高飛さんが激しい修行をしている隣で倉田先生と勉強している袁日初さん。が、教科書の陰で遊んでいました。袁日初さんを説教するふりをして、隣の様子を窺う倉田先生。
高飛さんが勘付いて隣の部屋に入ると、倉田先生が居眠りをして、袁日初さんが隣を覗き見ているところでした。
激昂する高飛さん。倉田先生は寝ぼけているふりをして、袁日初さんを助けます。
落ち込むばかりで、逃げてばかりいる袁日初さん。倉田先生は我慢できなくなり、気合いを入れます。袁日初さんは倉田先生のスゴ技を見て、彼から功夫を習うことにします。
倉田先生は袁日初さんを利用して、高飛さんの技を盗んでいました。そして、袁日初さんに勉強を教えるふりをして、功夫を教えます。会話だけ聞いて安心する高飛さん。両方をいい感じで騙している状態です。
袁日初さんは倉田先生の咳を心配し、効果のあるスープを届けます。心から信頼している様子がちょっと切ない。
2人して高飛さんをおちょくるところが面白かったです。
倉田先生は日本から来ていて、やはり霍の技を盗もうとしていました。
海が見える崖で2人で話をしていると、劉晃世さんがまた絡んできます。怒った袁日初さんは彼をボコボコにしてしまいます。強い側近が袁日初さんを攻撃します。倉田先生が間に入り、最終的に劉晃世さんと側近を殺してしまいます。びっくりする袁日初さん。倉田先生は彼の前から姿を消すことにします。
ついていきたいと言う袁日初さんに自分の師匠からもらった牌を渡して、倉田先生は立ち去ります。袁日初さんは翡翠の首飾りを渡します。指切りをして別れる2人。
袁日初さんは倉田先生から教わったことを土台にして、高飛さんの技を盗み見て、修行をし、武術の達人になるという不思議な道を歩みます。成長した彼は梁家仁さんとなります。
劉鶴年さんが修行をしていると、鷹爪派の陳耀林さんがやってきます。劉鶴年さんが苦戦し、高飛さんが応戦しようとしますが、病気と年で戦うのはかなり厳しい状態。
このままでは道場の看板「武林泰斗」が壊されてしまう。=道場存亡の危機。梁家仁さんが駆けつけ、陳耀林さんと素晴らしい戦いを繰り広げます。看板を一時預かりするのは袁振洋さん。
梁家仁さんが勝ちます。陳耀林さんが罰ゲームとして自分の足を折ろうとしますが、それを止め、友達になろうと握手を求めます。感動する陳耀林さん。「勝ちと負けは人生の両面である。何事も真剣に受け止め過ぎてはいけない。」笑顔でそう語る梁家仁さんの言葉に自分もはっとさせられました。
高飛さんは不出来な息子だと思っていた梁家仁さんがめちゃくちゃ強くなっていたことに衝撃を受けます。祭壇の前に呼び出された梁家仁さんはビビりますが、高飛さんは彼を正式な跡継ぎと認めます。はりきって祭壇にお線香を供えます。
梁家仁さんは劉鶴年さんと袁振洋さんを伴って、船に乗っていました。同船していたのは馮克安さん。白人男性をもてなすために船上にいた一般客の妻にホステスまがいのことをさせようとして、トラブルになります。
馮克安さんが調子に乗っていると、床下から煙管を持った袁祥仁さんが登場。天然な彼は意図せず、馮克安さんを倒すことになります。怒り出した馮克安さんは彼を倒そうとしますが・・・。こてんぱんにやられます。イライラしていた白人男性は拳銃を袁祥仁さんに向けます。様子を見ていた梁家仁さんが彼の手を押さえます。それでもバカにする態度を変えなかったので、2人を海へ落とします。
負けたことがないというロシアのボクシングチャンピオンが香港にやってきます。調子に乗っている彼に実力を見せてやれと高飛さんに頼まれ、梁家仁さんは会いに行きます。
チャンピオンの関係者 馮峰さんは梁家仁さんに不利な条件を付けた試合設定を行います。グローブも自由に動かせないように結ばれてしまいます。それでも有利に戦いを進め、チャンピオンをKOします。
鷹爪派の黃哈さんの道場「振德武舘」に道場破りの日本人 李家鼎さんがやってきます。黃哈さんは速攻でボコボコにされます。
李家鼎さんは高飛さんの誕生日パーティーをしている「霍府」へ乗り込んできます。梁家仁さんが対応をします。煽ってくる李家鼎さん。耐える梁家仁さん。
ちょこまかとうるさい手下を倒します。宴会場で行われている京劇と同時進行で戦う場面が面白いと思いました。
そして、李家鼎さんも倒します。平然とした様子で宴会場に戻ってきた梁家仁さんを笑顔で迎える高飛さん。本当は心配していたのでしょう。嬉しそうです。
さて、李家鼎さんの父 方野さんは激怒。息子の指導者を非難します。顔が見えない指導者は李家鼎さんが勝つことばかりで考えていて、精神面は全くダメだったと言います。更にキレる方野さん。彼は指導者に責任を押し付け、日本代表として梁家仁さんと戦うように命じます。
指導者の天心流九段の山口江十郎は梁家仁さんと戦うことになります。気合いが入る梁家仁さん。そこに突然、倉田先生がやってきます。再会に感動する梁家仁さんですが、倉田先生はそっけない様子。
高飛さんの帽子目がけて名刺を投げる倉田先生。倉田先生こそが山口江十郎だったのです。みんな、びっくり。高飛さんは頭に来て、彼を攻撃しますが、彼らの武闘スタイルをマスターしている倉田先生にぶっ飛ばされます。梁家仁さんに警告して、立ち去ります。
自分の人生を変えてくれた師が自分の敵とは・・・。しかし、警告に屈せず、毅然とした態度を崩さなかった梁家仁さんを見て、きっと倉田先生は嬉しかったと思います。
梁家仁さんは家訓が記されている板の前で、どう戦うべきか思索します。そして、この家訓が自分たちの拳法、ひいては功夫の発展を邪魔していると考え、板をぶち割ります。中にメモが入っていました。直接的なヒントではありませんでしたが、今の梁家仁さんには十分なキーワードになったようです。
決戦当日。会場にはたくさんの人が集まっていました。陳耀林さんも駆けつけてくれ、激励してくれました。1人決戦の場に向かう梁家仁さん。
中はひっそり。倉田先生が琵琶を弾いていました。弦が切れました。倉田先生の負けを暗示しているのか。戦いが始まります。
自分が優勢になった際、梁家仁さんはどうしても躊躇ってしまいます。倉田先生は彼がくれた翡翠の首飾りを握りつぶし、本気で戦うように言います。顔に欠片をぶつけられた梁家仁さんは気持ちを切り替えることにします。
梁家仁さんは必死に戦いますが、これはどう見ても倉田先生の最期のお稽古でしょ。予想以上に立派に成長した弟子の戦いっぷりに感動しながら、死力を振り絞って戦い続ける倉田先生。泣けた・・・
煽り続ける倉田先生をボコボコにし終えようとした瞬間、倉田先生の胸元から割れていない翡翠の飾りが落ちます。倉田先生の本心に気づいた梁家仁さん。しかし、倉田先生は事切れていました。
中国人側は彼が生きて帰ってきたことに大喜びしますが、彼の心はどこかへ行ってしまったよう。右手には翡翠の首飾りが。
この後、梁家仁さんこと、霍元甲は誰でも自由に武術を学べる道場を開いて、功夫が広まるように努力したそうです。
海辺を歩く梁家仁さんの姿で終わりです。
あまり期待しないで観たのですが、めちゃくちゃ泣けました。倉田先生、かっこよすぎる
袁日初さん&梁家仁さんのようにどんなことがあっても挫けずに努力する姿ってかっこいいいなと思いました。
時代が倉田先生と袁日初さん&梁家仁さんを出会わせ、そして、引き裂いたのかと思うと複雑な気持ちになります
やはり袁和平さん、吳思遠さんの関わっている作品が好きです。