怒り

 

自分の目の前にいる人は、殺人犯だろうか。

千葉、東京、沖縄。

各地に現れた3人の男。

その中に、凶悪犯がいる。

 

が、今作の焦点は、誰が犯人かではない。

相手を信じられるか、否か。

その一点。

 

しっかりと丁寧に重厚ながら、展開の妙に時間の長さも感じない。

3組のエピソードが同時進行。

悲劇エンターテイメントというのか、いや、希望だろうか。

 

景色も鮮烈で、各地域の匂いが漂ってくるよう。

血の赤さにはハッとする。

何よりも、人々の心情にハッとする。

 

 

 

大好き妻夫木聡は、本当にゲイにしか見えないから、また惚れる。

綾野剛は、儚さが満点。

 

大好き松山ケンイチは、母性本能をくすぐられまくるので最高です。

森山未來は、静と動が一瞬。ダンサーの集中力を発揮しまくり。

 

渡辺謙は、引きの演技なのだ。なんたる父性。お父さああん!

 

大好き池脇千鶴が場を引き締めてくれるから、いい。

広瀬すずは自ら志願しての、難役。根性しかない。良い女優になる。もうなってる。

 

佐久本宝は、監督が見つけ、1200人オーディションの後に選ばれた新星!

まえだまえだ兄の専売特許と化していた、純真丸出し青年役を今後、担う逸材。

 

そしてだ、俳優陣大熱演の中、一際に輝くのが宮崎あおい

素晴らしすぎる!登場だけで人物の背景が見える、人となりが浮かぶ。大拍手。

 

李相日監督は、演出力が桁外れ。

俳優のテンションを引き出す魔法を持っている。

各パートの配分、編集の加減も見事で、ずっと目が離せない。

 

そんな濃密さに色を添える坂本龍一の音楽が、至高。

 

 

 

観終わってもしばらく、ぼうっとしてしまった。

熱のある映画は、観客の脳内温度も上げてしまう。

現場にいたような臨場感にウッとなって、涙が流れる。

 

俳優にとっては、見せ場しかない。

皆、李相日作品に出演したがるわけだ。

 

沖縄で、真っ青な海を進んでいくボート。

千葉で、2人並んで食べるお弁当。

東京で、雨の夜のベッド。

 

彼らの心情が痛いほど。

信じたら人は救われるのか。

鑑賞してからもう随分と経つのに、思い出すとまた、ぼうっとしてしまう。

実に、秀作。

 

 

 

映画 スクリーン

 

『怒り』
2016年・日本
監督・脚本: 李相日
原作: 吉田修一
音楽: 坂本龍一
出演: 渡辺謙、森山未來、妻夫木聡、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、広瀬すず、佐久本宝、池脇千鶴、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子

 

 


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※鑑賞の感想です。情報に誤りがございましたら御一報頂けましたら幸いです。