「バカ」という言葉には種類が幾つもあって、良くも悪くも使われる。
この映画は良い意味でのバカだ。
誰ですか、こんな映画を作ったバカちんは。
惨劇が生み出した連続殺人鬼
あらすじは、惨劇である。
アメリカの感謝祭は店舗が軒並み定休日と決まっている。
らしい。
が、金儲け至上主義のとあるスーパーがセール開催を決定。
しかも、無料で電化製品を配るという。
当然、店に押し寄せた人々で大混乱。
結果、死者が続出した。
熱い町である。
1年後、同じ町内で連続殺人事件が発生する。
まず、バカしかいない。
無料に釣られて殺到する人々のカオスぶりが、悲劇なのにもう面白い。
極端な描写は人を笑わせるという好例だ。
「どんだけ!?無料どんだけ!?笑笑」
そんな勢いがある。
実際は血飛沫で塗りたくられたスプラッター・ムービーなのに、恐怖とは別の次元に突入。
血液は惜しみなく、ドバドバーである。
あらゆる殺され方で人が逝く。
ド派手。
アクション映画に近い。
殺しのバージョンの品揃えが豊富だ。
スーパーマーケットだけに。ごめんなさい。
日本で喩えるとどういう状況かと考えるに、元旦に予約なしでイオンがおせち料理を無料配布する暴挙に近いだろうか。
人が殺到するのも無理もなかろう。
キャスト&スタッフ
ホラーには美女が必要。ヒロイン役のネル・ヴェルラークの絶叫が良い。本作のスクリームクイーンとして、大活躍。
可愛いJK役のアディソン・レイはTikTokのフォロワー数8,864万人、58億のいいねを誇るティックトッカー(配信者)とのこと。もう、ババア(当方)には分からない世界の生き物。確かに可愛い。
警官役パトリック・デンプシーが渋い。57歳で2023年最もセクシーな男性に選ばれたとのこと(ピープル誌)。これは分かる。確かに色気がある。
作った監督はイーライ・ロスだった。ならば仕方ない。むしろ、ヤバいホラーを作るイーライ・ロス作品と知らずに観に行った自分が怖い。
同行したシネマパレ会員によれば、本作はクエンティン・タランティーノ監督と仲間による快作『グラインドハウス』のフェイク予告映像にあった『感謝祭』を下敷きに作られたのだそう! なるほど! あったあった!ありました。
その際の自分の感想が「イーライ・ロス監督であるので、とにかくエグい。グロい。ぎもぢわるい。」だったのも、楽しい思い出だ。↓
お手製アナログホラーを観る楽しみ方
連続殺人犯は仮面を装着している。
物語の舞台となるマサチューセッツ州プリマスは、感謝祭発祥の地なのだそう。
その地の最初の入植者である偉人ジョン・カーヴァーのお面だ。
つまり、顔が分からない。
正体不明の殺人鬼に町が翻弄されるのである。
もちろん、犯人の実態が焦点になる。
が、わりと早めに見破れてしまうのは計算ずくだろうか。
となると、観客は違う楽しみ方に移行できるというもの。
そう、撮影方法である。
ここまで猟奇フェスティバルになると、ホラーというよりも時々、笑いも込み上げる。
まるで、特撮映画を観ているよう。
スプラッター描写はアナログなので手作り感でいっぱい。
あれは鶏肉かな?
血糊や血液はジャムも混ぜているのかな?
このメイクに何時間かかったのだろう!
などなど、想像するのもいい。
現に、撮影現場の雰囲気が楽しそうだと伝わってくる。
久しぶりに殺人スプラッターを観たのですけれど、なんだかとても懐かしい。
こういうお祭りも良いものだ。
映画館には見事に男性しかいなかった。
なお、エンドロール後にもお楽しみがあるのでおトイレは我慢してください。
お気になりましたらコチラから!↓
2023年製作/106分/R18+/アメリカ
原題:Thanksgiving
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督・製作・原案:イーライ・ロス/製作:ロジャー・バーンバウム/原案・脚本・製作:ジェフ・レンデル/撮影:ミラン・チャディマ/美術:ピーター・ミハイチュク/衣装:レズリー・カバナー/編集:ミシェル・コンロイ、ミシェル・オーラー/音楽:ブランドン・ロバーツ/出演:パトリック・デンプシー、ネル・ヴェルラーク、アディソン・レイ、マイロ・マンハイム、ジェイレン・トーマス・ブルックス、リック・ホフマン、ジーナ・ガーション
※お読みいただきましてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。
スクリーン
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