腹を抱えて笑って笑った。
ああ、これだよこれですよ。
家族の居間です、揉め事ですよ。
老年父母に、突然の離婚問題が勃発して大騒ぎ。
そのありさまがまあ、愉快。
どんどん話が転がっていき。
私事ながら、家族の空気が我がファミリーとまるで同じ。
あんな家はあるのか、といえば、ある。
我が家だ。
当方にとっては、もはや、あるあるであり、鏡を見るよう。
他人の茶の間なのに、そこに共感を埋め込む上手さ。
だから可笑しく、身につまされたりもして。
天才・橋爪功が、再び私事ながら、我が父の様子に酷似。
言うことも同じ。そこにいるだけで笑いが生まれる。ありがとうございます。
吉行和子が、端正だった義母のよう。
アイラブ妻夫木聡が『男はつらいよ』の満男のよう。
挙げていけばキリがない。
夏川結衣の嫁像が生々しく、いつ爆発するかとドキドキした。
横尾忠則のデザインも可愛らしい。
前フリを振りまいておいて拾い上げる、まさに山田洋次コメディ！
山田洋次監督は、相変わらず人が悪い。
寅さん＝渥美清が亡くなってから20年間も封印していた喜劇に、やっと戻ってきてくれた。
鑑賞後、観客の立場や年齢や背景で、この映画の意味が大きく変わる。
という当たり前さに気づいて、ああ、やはり上手いと唸った。
全編に散りばめられる寅さんセルフオマージュと、小津オマージュ。
殊に、ある小物があってね、
映画館を出てからその意味に思い至ってね、
イオンモールの往来で泣いちゃいましたよね。←キモス
家族でワーワー言い合って。
ドタバタに笑って、ちょっと泣く。
劇場も、たくさん笑いが溢れていた。
なんか集大成みたいでね。
山田洋次監督、これで終わりなんて嫌ですからねって思ったんです。
『家族はつらいよ』 2016年・日本
スクリーン
[関連作品]
山田洋次監督 【『男はつらいよ』全作鑑賞マラソン】『母と暮せば』『小さいおうち』『幸福の黄色いハンカチ』『たそがれ清兵衛』
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※鑑賞の感想です。情報に誤りがございましたら御一報頂けましたら幸いです。
