『カラフル』 2010年・日本
できるだけ、真っ新で映画を観たい。
なので、ポスターしか知らずに観始めることが多い。
で、こういうことが起こる。
なんだよもう、ということが。
泣いちゃったじゃないか。
つい堪えて涙は流れてないけれど、心が泣いた。
俳優を声優に使ってるらしいけれど、大丈夫なのかとか、
重いのに軽いなあとか、
主役の顔立ちはこれでいいのかとか、
ブツクサ言いながら観ていたのに、
ああ、そうかと腑に落ちた途端に、倒したインク壺みたいに流れ出してきた。
夢物語を、極めて現実的な背景の上に描き込んでいく。
キャラクターを掘り下げる。
とってもしんどいのに、とっても救われる。
「カラフル」の意味に、薄汚れたババアは背中を撫でられた思い。
死んでしまった少年の声は実際に少年の冨澤風斗で、ぎこちなさも多々。
けれど、『あらいぐまラスカル』の飼い主の声に似て、正直。
ナビゲートする少年の声も実際に少年の、まいける。「まえだまえだ」かとばかり。愛らしい関西弁。
このプラプラというキャラクターが、今作の成功の源。
私事ながら、実家近くの二子玉川がロケ現場。
写真のような立ち現れ方で物語に説得力。微細な風景に目も奪われる。
大谷幸の音楽がストーリーを躍動させて、心情も補完した。
もはや、ももクロの一員、miwaの歌声も素直。
物語の途中、突然のノスタルジーをぶっ込んでくるので驚いていたら、監督は原恵一じゃないか!全てに納得。
実写映画のようにアニメーションを作る才能。小道具の上手さも万端。
ただ、俳優の声優起用はどうも苦手で、俳優本人の顔が浮かんで困る。
と言いつつ、全然わからなかった宮崎あおいには、ちょっと脱帽。
輪廻や転生。
その死生観の上のファンタジー。
罪を負って死んだ魂が、人の体でやり直す。
中学生男女の気持ちも、親の気持ちもわかってしまう青臭さもまた、いい。
まるで、これは処方箋。
いいんだよって言ってくれる。
生きていて、そんなふうに言われることは、そんなにない。
WOWOW
[関連作品]
原恵一 『はじまりのみち』
宮崎あおい 『はじまりのみち』『ツレがうつになりまして。』『ソラニン』『おおかみこどもの雨と雪』『北のカナリアたち』『舟を編む』
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