![$世界映画博-おおかみこどもの雨と雪](https://stat.ameba.jp/user_images/20120730/15/kitaco127/10/77/j/o0170024112106759818.jpg?caw=800)
『おおかみこどもの雨と雪』 2012年・日本
雨上がり。アスファルト。水溜まり。湿った畳。縁側を裸足でペタペタ。
雪一面。カラリと乾いた白銀を駆ける。吸い込むと、喉がひゅっと縮んだり。
気温。湿度。水飛沫。
これ、アニメですか?
すぐそこに森が、山があるではないですか。
実写のような立体感。
でも、アニメにしかできないことをやっている。
いや、誰にもできないことをやっている。
にぎやかさと静寂の対比。
無言の数分。
走り回る、飛び回る瞬発力。
ふいに、セリフが流れ込んできたり。
気がついたら、手のひらに血が滲むくらい。ヒックヒックを何とか堪えた。鼻水は垂れるに任せた。
もっとも、早々にうどんで決壊していたのだけれど。
声を当てた宮崎あおいが、とてもいい。
母親であり少女である。必死さと可憐さ。完璧。
大沢たかおも、とてもいい。何より、カッコよい!ありゃ惚れる。
雨と雪を演じた4人がよいのだけれども、殊に、少女期の雪・黒木華。
と思ったら、NODA・MAP『表に出ろいっ!』で野田秀樹が抜擢した女優ではないか!この声は素敵。
映画館に自然を現出させた音響効果の手腕。
音楽の流麗さ。
カメラワークの躍動感。
美麗なるCG・アニメーション。
国立の街。一橋大学。グラウンド。富山の自然。匂いや空気まで描きこまれているよう。
今回もキャラクターデザインは貞本義行。加持風で、渚カヲル風で、萌える。
共同脚本の、監督と奥寺佐渡子の言葉選びが見事。
細田守監督は、日常に立脚したファンタジーを描ける監督である。
アニメ素人で恐縮なのですけれども、『耳をすませば』の近藤喜文監督、天才・今敏監督が早逝して以来、途方に暮れていた。
細田監督、長生きしてください。
富山出身の監督が富山の映画を作る。それもまた、嬉しいのである。
何より、出てくる男がみんないい。
細田作品にポーッとなるのは、男を描くのが上手いからではないか。どうでしょうか?
一本気な、良い男ばかり。惚れまくり。
育てるということ。
受け継ぐということ。
責任を果たすということ。
育っていくということ。
子を持つ人はもちろん、かつて子どもだった人は皆、参ってしまうような。
本当に、こんなものを作られたら、参ってしまう。
エンドロールが終わるまで、この世界に浸らせたいという気持ち。
だから、明かりが点くまで席を立つ人がいなかった。
あんなに大入りだったのに。
![映画](https://emoji.ameba.jp/img/user/uk/ukilico/426677.gif)
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