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ヘタな読書も数撃ちゃ当る

ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

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「祈りの幕が下りる時」東野圭吾著・・・★★★☆

極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが――
第48回吉川英治文学賞受賞作品! 1000万人が感動した加賀シリーズ10作目にして、加賀恭一郎の最後の謎が解き明かされる

 

今ではプライバシー保護で考えられないがその昔、年に一度、高額納税者番付が公表されていた。

全国順位は勿論、管轄の税務署内の順位まで新聞で発表され、どこそこの誰々さんが載ってるーっと羨望しながら見たもんだ。

 

確か職業別のランキングもされていて、作家では毎年赤川次郎がトップだったと記憶している。

では昨今のランキングトップは誰かと予想すればこの東野圭吾ではないかと思う。

うち、の市立図書館の貸出ベスト10では東野作品が1位〜5位を独占している。

いつの世も推理小説、ミステリが人気を集めている訳だ。

 

さて本作は2014年「このミス」ランキング10位の作品で映画化もされている。

 

複雑に絡み合う2つの殺人事件とその関係者。

それをひとつひとつ解いていく加賀。

明かされる加賀の過去。

まさに王道をいく警察推理小説であった。

 

(飯尾和樹風かっこに)あ〜あ、俺にもこんな才能があったらな~w

 

 

 

 

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「鏡子の家」三島由紀夫著・・・★★★☆

世界の崩壊を信じる貿易会社のエリート社員杉本清一郎、私立大学の拳闘の選手深井峻吉、天分ゆたかな童貞の日本画家山形夏雄、美貌の無名俳優舟木収。彼らは美の追究者なるが故にそれぞれにストイシズムを自らに課し、他人の干渉を許さない。――名門の資産家の令嬢である鏡子の家に集まって来る四人の青年たちが描く生の軌跡を、朝鮮戦争後の頽廃した時代相の中に浮き彫りにする。

 

鏡子の家に集まる4人の男達それぞれの人生の美学を描いた長編作品。

発表当時は酷評されたそうである。

確かに、本作が代表作のうちには入らないかもしれないが、私的にはそれほど悪いとは感じなかった。

 

 

 

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草原からの使者~沙高樓綺譚~/浅田次郎著・・・★★★☆

ロンドンの超高級カジノの一夜は夢のように過ぎた―。大資産と才気、家柄、すべてを持った青年の驚愕の告白とは。総裁選の真実、大馬主が体験した運命の勝負、そしてアメリカ人退役軍人たちの「もう一つの戦い」。金と名誉を得た者だけが味わう甘美と戦慄を、浅田次郎が精緻に織り上げた傑作短編集。

 

怠惰な時を過ごしてしまい、このブログを更新するのも5年と3ヶ月ぶりで、書き方も忘れ最早浦島太郎状態である。

これほど熱中した読書もこの間本は1冊も読んでいない。

他に何かしていた訳でもなく、ただただボッ~としていただけである。。。

 

しかし、最近になりやる気が漲り、また本を読もうと手始めに浅田次郎の短編集を選んだ。

「沙高樓綺譚」は昔読んで面白かった憶えがあるが、当ブログには記録が無い。

 

さすが、ストーリーテラーの浅田だけにどの話も面白い。

が、私の好きなほろっと泣ける話が無く少し残念。

 

 

 

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「月と六ペンス」サマセット・モーム著・・・★★★☆

あるパーティで出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再会した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは――。

 

本作(1919年)はイギリス作家・モームの歴史的名著として評価され、大ベストセラー作品でもある。

 

主人公である画家ストリックランドの生涯を友人の作家が一人称で綴っている。

ストリックランドはゴーギャンがモデルとされているが、実際の生涯とは相違点が幾つもあるらしい。

 

ストリックランドは仕事や家族を捨て、人の善意を拒否し、頑なに自分の生き方を貫き最後まで画家として真理を探求した。

 

本書にはストリックランドの本心も真理も描かれていないが、他人を拒否し、己の命まで削って真理を探求する姿は読む者に「おまえの人生はそれでいいのか?」と問い掛けをしているような感じがする。

 

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「ゴールド・コースト」ネルソン・デミル著・・・★

わたしはジョン・サッター、善良なる市民にして有能なる弁護士、そしてワスプの代表選手。妻は美しく知的で、ときに適度の淫蕩性も発揮する。ワスプ最後の牙城と目される超弩級の高級別荘地、このゴールド・コーストに邸宅を構え、乗馬に園芸にヨット遊びに日を送る。ところがある日、隣家に越してきたのがマフィアのドン…。

 

本書は1993年版「このミス」で7位にランクイン、読書関連のインスタ記事でも紹介されていて興味を惹かれた。

 

ゴールド・コーストと呼ばれる伝統ある高級住宅地(アメリカ・ロングアイランド、ニューヨークから東に延びる細長い半島)の豪邸に住む主人公の隣にマフィアのドンが引っ越してきた・・・

という紹介文で面白そうだと期待したが、上下2巻(約900ページ)の1/4ほど読んでもマフィアのドンは暴れ回らず、作風はミステリーというよりもここに住む、ワスプ(白人 (White) ,アングロ・サクソン系民族 (Anglo-Saxon) ,プロテスタント (Protestant) の3条件を満たしているエリート層)たちの昔からの慣習や思考、階級構造などをモチーフにしたコメディタッチな作品といった感じで、こういう如何にもアメリカっぽい世界が好きな方には嵌ると思うが、私的には冗長過ぎて辛かった。

 

という訳で上巻180Pまで読んでひさびさに放り投げました。。。残念。

 

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「ディビザデロ通り」マイケル・オンダーチェ著・・・★★★☆

血のつながらない姉妹と、親を殺された少年。一人の父親のもと、きょうだいのように育った彼らを、ひとつの恋が引き裂く。散り散りになった人生は、境界線上でかすかに触れあいながら、時の狭間へと消えていく。和解できない家族。成就しない愛。叶うことのない思いが、異なる時代のいくつもの物語を、一本の糸でつないでいく―。

 

オンダーチェの第7作目(2009年)。

 

「(本作)のなかを流れる時間は途切れている。物語はある時点まで語られると、すっと虚空のなかに放り出される。そして、それと重なり合う部分のある、もうひとつの物語が語りだされる。・・・まるで、コラージュのように並べられたいくつかの物語を読み進んでいくうちに、ひとつの作品世界が見えてくる。・・・」訳者あとがきから引用

 

本作の特徴はあとがきの通り、登場人物たちのそれぞれの人生が、時空間を超えコラージュのように描かれている事で、文章はオンダーチェ特有の詩的文体ではないが、作品全体の構成は詩的な作風に描かれている。

 

どの人間の物語も未完に終わり余韻を残しているが、凡人の私にとってはもう少し結末を知りたいところ。

読みこなしと、評価がなかなか難しい作品である。

 

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「ギケイキ2 奈落への飛翔」町田 康著・・・★★★☆

兄頼朝との対面&対立、恋人静との逃避行。源義経本人が語る、源氏千年の祈り。抱腹絶倒の超大河小説。

 

「ギケイキ」(義経記)の第2巻。

本作は現在2巻まで刊行されてますが、全4巻の予定のようです。

 

当然、語り口は第1巻と同じく町田節炸裂で感想も特に変わりないので、本物の義経記のストーリーと経歴を簡単に纏めてみます。

 

1)1159年(平安末期)源義朝の九男に生まれ、牛若と名乗り父の死後寺に預けられ天狗に剣術や兵法を学ぶ。

2)奥州平泉(青森)に下り元服し義経を名乗る。東北地方一帯の有力者藤原秀衡に庇護を受け、伊勢三郎を家来とする。

3)怪力で暴れ者の僧・弁慶が五条大橋で義経と闘うも敗れ家来となる。兄・頼朝が平家の追討に立ち上がり、義経が駆けつける。

4)頼朝と対面し、義経の活躍により平家を滅ぼすものの頼朝と対立し逃避行が始まる。

5)吉野山への逃避行。愛妾・静との別れ。義経四天王・佐藤忠信をクローズアップ。

6)忠信の活躍と死。静の動静。

7)北陸への逃避行と弁慶の活躍。

8)最大の理解者・藤原秀衡の遺言も空しく嫡子・泰衡は頼朝の圧力により義経を襲撃、義経は妻子と共に自刃(1189年31歳)。その首は鎌倉の頼朝の元に送られ、平泉は頼朝により滅ばされてしまう。

 

だいたい以上ですが「義経記」は全8巻で「ギケイキ」の1巻は3まで、本書では5までが描かれています。

ちなみに歌舞伎の演目で有名な「勧進帳」は「7巻」であったエピソードが原形となっています。

 

ところで「義経記」をなぜ「よしつねき」ではなく「ぎけいき」と読むのか?

昔は偉い人の名を敬意を込めて音読みで呼んだらしく、その為「ぎけいき」と読むんだそうです。

「信長記」も「しんちょうき」と呼ばれています。

 

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「DRY」原田ひ香著・・・★★★☆

北沢藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて家を出た。十年ぶりに実家に戻ると、男にだらしない母と、お金にがめつい祖母がうら寂しく暮らしていた。隣に住む幼馴染の馬場美代子は家族を見送り、今は祖父をひとりで看ている。介護に尽くす彼女は、孝行娘とあがめられているが、介護が終わったその先はどうやって生きていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家には、世間を震撼させるおぞましい秘密が隠されていた。

 

だいぶ前に本書を図書館に予約し順番が回ってきたが、何故この本を選んだのか?全く記憶に無い。

 

初読み作家で、何の事前情報も無しに読み始め、純文学っぽい作風だなぁと思っていたら後半から一転してホラーサスペンス風になった。

かなりエグい。

 

ネタバレになってしまうので多くは書けないが、主人公の女が徐々に追い込まれ犯罪に加担していく過程が本作の核心で、なかなか面白い作品だった。

 

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「ギケイキ 千年の流転」町田 康著・・・★★★☆

はは、生まれた瞬間からの逃亡、流浪。千年の時を超え、私は、私の物語を、語ろうと思う―私の名は源義経。打倒平家を胸に、都会的なファッションに身を包み、早業を駆使。鞍馬での幼年期から奥州への旅、メンヘラ気味な最強の家臣弁慶との出会い、そして兄頼朝への思い…。

 

「ギケイキ」とカタカナで表記されると、町田のパンクバンドに関係した話?とか思ってしまうが「義経記」と分かったところで「ハハ~ン、あれね、ハハハ」と納得。

と、言っても源義経の話は、牛若丸VS弁慶の五条大橋での決闘の話くらいしか知らぬ訳で「あれね」と上から目線で言う程でもない。

 

てな訳で本作は「義経記」を町田節全開で現代流に解釈し描いた作品である。

本作は全2巻で本書では幼年期~頼朝の挙兵前までが描かれている。

 

オモロイやないけ。

 

子細なストーリーやファッション、地名、人物が登場し、義経の物語りが分かり易く描かれているが、原作通りなのかは未読なので定かでない。

しかし、素人が原作をそのまま読むよりは、読み易く、面白いのは間違いない。

 

1冊他の本を挟んで第2巻はまた後日。

 

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