「ディビザデロ通り」マイケル・オンダーチェ著・・・★★★☆
血のつながらない姉妹と、親を殺された少年。一人の父親のもと、きょうだいのように育った彼らを、ひとつの恋が引き裂く。散り散りになった人生は、境界線上でかすかに触れあいながら、時の狭間へと消えていく。和解できない家族。成就しない愛。叶うことのない思いが、異なる時代のいくつもの物語を、一本の糸でつないでいく―。
オンダーチェの第7作目(2009年)。
「(本作)のなかを流れる時間は途切れている。物語はある時点まで語られると、すっと虚空のなかに放り出される。そして、それと重なり合う部分のある、もうひとつの物語が語りだされる。・・・まるで、コラージュのように並べられたいくつかの物語を読み進んでいくうちに、ひとつの作品世界が見えてくる。・・・」訳者あとがきから引用
本作の特徴はあとがきの通り、登場人物たちのそれぞれの人生が、時空間を超えコラージュのように描かれている事で、文章はオンダーチェ特有の詩的文体ではないが、作品全体の構成は詩的な作風に描かれている。
どの人間の物語も未完に終わり余韻を残しているが、凡人の私にとってはもう少し結末を知りたいところ。
読みこなしと、評価がなかなか難しい作品である。
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