花王 メリットピュアン(2019)の解析3 コンディショナー解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

 

今回は花王 メリットピュアン(2019) の解析の3回目です。

コンディショナー処方の解析編を、お送りします。

ピュアン編は今回で終了です。

 

旧製品のメリットピュアン(2017)についてのエントリーはこちらです。

 

花王 メリットピュアン(2017) の解析1 シリーズ概要編

花王 メリットピュアン(2017) の解析2 シャンプー・コンディショナー製品概要編

花王 メリットピュアン(2017) の解析3 シャンプー解析編

花王 メリットピュアン(2017) の解析4 コンディショナー解析編

 

 

その前のピュアン(2015)についても、過去にエントリーを書いていますので、興味のある方はどうぞ。

花王 メリット ピュアン モイスチャー 地肌クレンジング シャンプーの解析 前編2015.7.17追加

花王 メリット ピュアン モイスチャー 地肌クレンジング シャンプーの解析 後編2015.7.18追加

花王 メリット ピュアン モイスチャー 地肌クレンジング コンディショナーの解析2015.7.20追加

 

 

前回までのエントリーで、「今回のピュアンは、5品全て、香りと容器デザインが違うだけで同じ処方と書きましたが、今回取りあげるコンディショナーも同様です。

また、旧製品(2017品)と同じ処方である点も、シャンプー同様です。

 

なので書くことがあまりない(^_^;)

サクサクと行きます。

 

 

今回のエントリーでは、2015品と2017品と2019品のメリットピュアンコンディショナーを並べてみました。

2019品は5品あるので(^_^;)、せっかく並べるので、過去の製品と名称がが似ている事から、「メリット ピュアン ナチュラル」を選んでいます。

 

 

いつもの様に、裏面の処方を整理します。

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

九通の成分は、○印をつけました。

 

こんな感じになりました。

 

では解析いきます。

 

といっても、見ての通り、2017年品と2019年品は、裏面表示は全く同じです。

2015年から2017年品になったときは結構進化してたんですけどね。

ホント残念。

 

これで書く内容は、2年前のエントリーと同じになってしまう(^_^;)

シャンプー同様に、詳しくなそちらを見て頂くとして、

今回も、ごく簡単に要点だけ書いていきます。

 

 

まずは、コンディショナーでは最も大事な、コンディショニング剤のパート。

典型的な花王処方なのですが、ステアロキシプロピルジメチルアミンという3級アミンと言われる成分が使われているのですが、このステアロキシプロピルジメチルアミンを少なく配合した、花王では比較的新しい世代の処方です。

3級アミンは昔流行ったのですが、大きい会社でこの類のコンディショニング剤を使っているのは、今は花王さんくらいです。この成分は滑りや硬さは出やすいのですが、一般的に髪に柔らかさや油性感を与えるのが難しい。

 

主剤としては、他社が使っている普通のコンディショニング剤(4級カチオン)を使っています

特にベヘントリモニウムクロリドと、ステアルトリモニウムクロリドと、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリドの3つの成分については、2017年の時点では、花王さんがこれらを使うのを初めて見ました

 

これは、長鎖長の4級カチオンであるベヘントリモニウムクロリドをメインとして、鎖長の異なるステアルトリモニウムクロリドとセトリモニウムクロリドの合わせによって、複雑な使用感を出しています。

そこに更に、髪保護効果の強い2鎖型カチオンのジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリドを組み合わせ、と言う処方構成です。それ自体はなかなか考えられています。

実は数種のカチオンを組み合わせるというのは、資生堂のTSUBAKIとかにも良く使われているパターンですね。

 

資生堂 TSUBAKIダメージケア(2016)の解析3 コンディショナー処方解析編

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12217712194.html

 

また長鎖長の4級カチオンであるベヘントリモニウムクロリドに髪保護効果の強い2鎖型カチオンを組み合わせるというパターンは、コーセーのジュレームによく見られるパターンです。

コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析3ブライトニングトリートメント解析編

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12245064589.html

コーセー ジュレームアミノモイスト&スムース(2016)解析3 トリートメントの処方解析編

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12200392781.html

 

要するにピュアン(2019)とピュアン(2017)の処方は資生堂+コーセー、って感じです。

今年はその先を見たかったのですが、、お預けのようです(^_^;)

 

 

 

次は油剤のパート。

ピュアン(2019)で使われている油は、7種類あります。

まずラノリン脂肪酸、パルミチン酸イソプロピル、ジメチコン、アモジメチコンは汎用的な油なので、下の方に書いた各成分のコメントを見ていただくとして。

長くて難しい名前の油性成分を、見ていきましょう。

 

まず、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーです。これは、吸着力の高いアミノ変性シリコンとしっとり感の高いポリエーテル変性シリコンがブロック共重合した直鎖状のポリマーで、両者の性質を併せ持つ素材とのことです。

これは、花王のコンディショナーには結構使われている成分です。

 

次に、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル。これはラノリンに似た油なのですが、花王さんは特に4級カチオンと相性が良いと思っているらしく、これまでも花王のコンディショナーには結構な頻度で使用してきた物です。

 

次は、ケイ酸テトラ(ゲラニル/メチルデセニル)です。名前から考えると、シリコン系のオイル系の新規原料のようですが。どうも、調べても全くわかりません

2017年の段階でもわかりませんでしたが、2019年でも分かりません(^_^;)

検索すると、むしろ過去の化粧品犬ブログが出てくるような始末です(^_^;)

現在でも、花王の一部の製品にしか使われていないようですが、特にそれを広報しているわけでも無い。

花王さんが何故この原料を告知しないのか疑問ですが、情報が明かされてくるのを待つしかありません

 

かいつまんで要点を書くと、こんな感じですね。

解析終わりです。

 

さあこれで、次回から今年の日焼け止め解析の予定(^_^;)

 

 

 

あとは例によって、原料ごとのコメントを書いていきます。

(2017年に書いた物の再録です)

 

 

ワックス類

・ステアリルアルコール:ヘアコンディショナーやトリートメントによく使われるワックス成分(固形油脂)のひとつ。

・セタノール:ヘアコンディショナーやトリートメントによく使われるワックス成分(固形油脂)のひとつ。

 

コンディショニング剤

・ベヘントリモニウムクロリド:近年では最も人気のあるトリートメント基剤。分子の形を見ると、水をはじく疎水基と呼ばれる部分が長いため、長鎖型カチオンと呼ばれることもある。以前よく使われていたステアルトリモニウムクロリドに比べ、油性感・しっとり感・仕上げの柔らかさに優れる。

・ステアルトリモニウムクロリド:一昔前はどの会社も使っていた、代表的なトリートメント基剤。くし通りがよく、柔軟な髪に仕上げることができます。

・ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド:二鎖型カチオンと言われるタイプのカチオン界面活性剤で、髪への吸着が強く、髪の保護作用を発揮しやすい原料です。

・セトリモニウムクロリド:一般的に使われているコンディショナー基剤で、四級カチオンと言われる成分の1つ。髪の柔軟化効果は油性感はやや低いが、すべり感は高い。

・ステアロキシプロピルジメチルアミン:ちょっと変わったリンス基剤。アミドアミン類と呼ばれる成分で有り、使用感の良いリンスを作るのは難しく、大部分の会社は使用を止めてしまったのですが、一部の会社はこの成分をを改良しながら使い続けている(その内の1社が花王)。ステアロキシプロピルジメチルアミン自体は、1社のみが生産している原料ではありませんが、参考としてミヨシ油脂さんのカタログを上げておきます。

http://www.miyoshi-yushi.co.jp/_userdata/yuka/palner_color.pdf

これによると、ステアロキシプロピルジメチルアミンは髪のまとまり感や、髪への吸着量が大幅にアップしてるみたいです

 

 

油剤

・ジメチコン:化粧品で最もよく使われている、普通のシリコン油

・ラノリン脂肪酸:羊から取られるラノリンを加水分解して得られる、脂肪酸混合物。エモリエント剤として機能する。

・アモジメチコン;アミノ基をつけて毛髪への吸着力を高めたシリコン油。

・(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー:吸着力の高いアミノ変性シリコンとしっとり感の高いポリエーテル変性シリコンがブロック共重合した形の直鎖状のポリマーで、両者の性質を併せ持つ素材。

・ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:この素材は名前は長いですが、ラノリン類似油剤の一種で、抱水性、コンディショニング性に優れた油剤です。

・パルミチン酸イソプロピル:油性感が少なく、軽くて滑りの良いエステル油。

・ケイ酸テトラ(ゲラニル/メチルデセニル):名前から考えると、シリコン系のオイルの新規原料のようです。新規な化粧品原料は化粧品工業連合会に名前を届けるルールになっているのですが、この原料は新しすぎて、そこの化粧品の成分表示名称リストにまだ登録されていません。おそらく、花王さんの独自開発品だと思われます。

 

 

保湿剤ほか

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・DPG:汎用的な保湿剤。各種成分を溶かす能力も高い。やや抗菌性がある。ネットでは安全性について疑問の声もあるが、ほぼ誤解だと思われる。詳しくは以下のエントリーに書きました。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12115752613.html

・乳酸:pH調整剤。AHAの一種でも有り、pHによってはピーリング効果を示すこともある原料。

・リンゴ酸;通常はpH調整剤として使われる。花王によると、ドライヤーの熱から髪を守り効果もあるとのこと(花王のスタイリング剤である、リーゼの説明より)。

・レモン果実エキス:クエン酸、ビタミンA・C・E・Pを豊富に含む、収斂作用、保湿作用、細胞賦活効果に優れたエキス。

・キウイエキス:タンパク質、]アミノ酸、タンニン、糖類、有機酸、ビタミンC等を含むエキスで、抗シワ効果・」コウアクネ効果が高いとされているエキスです。

・キイチゴエキス:有機酸、ビタミンC、タンニン、糖類、フラボノイド、ペクチンを多く含み、ホイスト羽・美白効果に優れたエキスです。

・ベンジルアルコール:若干の抗菌性を持つ、グリセリンやDPGに似た液状の成分。水と混合可能で、油溶性の成分を溶かしやすくする効果もある。浸透性が高いので、毛髪に他の成分を浸透させる力があり、その効果を生かして、ヘアマニキュアでは色素を髪に浸透させるために、よく使用されている成分です。

・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。

・イソプロパノール:アルコールの一種だが、エタノールより強い臭いがあり、化粧品で使われる事は少ない。殺菌力もエタノールより強いが、安全性は同程度と言われている。トリートメント基剤となるカチオン活性剤の溶媒として使われている事が多い。

・ヒドロキシエチルセルロース:化粧品でよく使われる、汎用的な増粘剤。

・セテアレス-7:基本的な乳化剤。コンディショナーの粘度を調整する。

・セテアレス-25:基本的な乳化剤。コンディショナーの粘度を調整する。

・BG:多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。