コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析3ブライトニングトリートメント解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

今回はジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析の第3回目として、ブライトニングトリートメントの処方解析をお送りします。

ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析残れまでもエントリーはこちら。
コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析1製品概要編
コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析2ブライトニングシャンプー解析編

これまで書いてきましたが、ジュレームフルボスは、キー成分となるフルボ酸は効能どころか組成すらはっきりしない、ファンタジーでポエミーな成分だし(^_^;)
処方も相当に、ぴりっとしていないです。

ただメチャクチャ駄目なわけでも無いんですよね。基本は押さえてるし、香りや容器も良い(少なくもシャンプーの容器はよい。トリートメント容器は謎)。
ただこれが売れると、ジュレームシリーズが安易な方向に流されそうで怖いです(^_^;)
そう言う意味では、ジュレームの今後を占う製品であるような気もします。

では早速、処方の解析を始めます。

いつもの様に、裏面の処方を整理します。
今回も2016年1月に発売された、ジュレームリラックスシリーズと並べて比較して見ることにしました。
ジュレームリラックスシリーズも、「スリーク」というラインがあるんですよ(スリーク&モイスト)。
考え方に共通点がある・・様な気もします(^_^;)
まあ今回取り上げるのはブライト&モイストで。ブライト&「スリーク」を扱うのはもう少し先です。

原料の機能毎にパート分けし、パート内の表記順番は裏面のまま変えずに記入しています。また共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

こんな感じになりました。

 
ジュレームフルボスは、1年前に出たリラックスに較べて、油剤のパートについては成分をいろいろ入れ替えて、何とか面目を保っている感じですが。
しかしコンディショニング剤のパートと、エキス類のパートについては、成分が露骨に少ないですね。
やはり良くも悪くもフルボ酸推し、のようです(表中ではフルボ酸は腐植土抽出物と表示されています)。
またこの製品の後に使用すると設定されている、ジュレームファンタジストのコンセントレート(ミスト)はかなりアウトバストリートメント寄りの処方設定になっていて、内容的にコンディショニング剤の四級カチオンとか、油溶性の成分が多いんですよ。なので、フルボストリートメントではあえてその種の成分を減らしている可能性もありますね。
まあおかげで、あまりおもしろみのない処方になってしまっているとも言えます。

しかしそう言っても更につまらないので、簡単にですが表の上から見ていきましょう。

まず、ワックスのパートを見てみましょう。
ここは普通の原料ですね。
3製品とも同じです。

次はコンディショニング剤のパートです。
このパートでは、ジュレームフルボスは、ジュレームリラックスから特徴的な成分の引き算しただけ、の処方となっています。
残った成分は、基本となるヘントリモニウムクロリドと、コンディショニング性の高い2鎖型カチオンのジステアルトリモニウムクロリドだけとなっており、確かに基本的にはこれで良いのですが、この製品をモイスト(しっとりタイプ)と位置付けるには、さすがにベーシックすぎる感じがします。

次は油剤のパートです。
ここは一応、ジュレームリラックスと較べても遜色ない成分が配合されています。
天然系のオイルとしては、アルガンオイル、ツバキ油、スクワラン、ヤシ油・水添ヤシ油(ココナッツオイル)、水添パーム油が配合されています。
ただし製品目のブライト&モイストにに合うかpというと、決して悪くは無いのですが、普通すぎる感もありますね。
コーセーの製品説明ではヤシ油(ココナッツオイル)を特に強調しているのですが、柔軟化効果は比較的高いものの、安いオイルでもありそれほどレアな原料というわけではありません。
ココナッツオイルブームに乗っただけかな(^_^;)

次は防腐剤のパート。
ここも普通の防腐剤の組み合わせです。
コーセーさんは資生堂さんとちがって、ノンパラベンには積極的では無いし
、花王さんと違ってベンジルアルコールで防腐をするなんている特殊な技術も持っていない事が分かります。
ただ、ジュレームリラックスのソフト&モイストに較べて、防腐剤の量を減量していますね。
これは次に説明する、保湿愛のパートに秘密があります。

では、最後の保湿剤、増粘剤他のパートを見てみましょう。
うーん、エキスが入ってない。と言うか、これといって何も入ってない(^_^;)
かろうじてヒアルロン酸が入ってますけど、ジュレームリラックスが分子サイズを小さくした加水分解ヒアルロン酸なのに、何故かフルボスではただのヒアルロン酸です(^_^;)
結局、腐植土抽出物(フルボ酸)以外は、本当に語るところが無い(^_^;)

でそのフルボ酸ですが。
単一の成分を指しているわけでも無く、組成も一定していない原料であり、当然効果も測定されたことは無い事はこのフルボスの解析に書いてきたのでそちらを見ていただくとして。
化粧品も最近はいろいろと、無理なことは宣伝に書けなくなってきているのです。
美容院向け製品は、売っている店が個人経営の美容院だからいいのですが、売っているところがショッピングモールとかになると、そのショッピングモールが店頭まで検閲に来ます
百貨店やショッピングモールでは、店頭の商品ポップまで検閲されるものです(^_^;)
おそらく現在でも、「フルボ酸配合」以上の文章(効能とか)は、真剣に考えると表示できないのでは?
もっと恐ろしいのは、フルボ酸の配合飲料などが既に出ており、フルボ酸が食品分野に進出してしまっているところです。行政は食品には真剣に対応しますからね。
フルボ酸が第2の「水素水」になってしまう可能性もある。いや、まじで(^_^;)
うまく海洋深層水程度のポジションになれれば、万万歳というところだろう。

あと防腐剤がジュレームリラックスソフト&モイストに比べて、1品減っている件ですが。
PEG-8が可溶化剤としてはたらいで、フェノキシエタノールとパラベンの力を引き出している為だとおもわれます。ちょうどジュレームリラックススリーク&モイストでは、PG(プロピレングリコール)が同じような役割を果たしていますね。ただ、PGは「非難が多いですからこれをPEG-8に「置き換えたのでしょう。
処方内容的にはBGを増やしても良いのですが、BGはずっと生産不調で値段が上がっているのです。
コーセーさんは、2016/8/22にリニューアル発売されたジュレームアミノエクストラモイスト(2016)トリートメントからこの技術を投入し始めたようです。


と言うところで解析はお終いです。

なにか、特徴の無い商品って感じです。
香りとボトルのきれいさだけで、どこまで売れるか・・・だなああ。



後は例によって、原料ごとにコメントを書いていきます。


ワックス
・セテアリルアルコール:コンディショナーやトリートメントに良く使われる、一般的な固形油の1種。
・ベヘニルアルコール:コンディショナーやトリートメントに良く使われる、一般的な固形油の1種。やや硬いクリームが得られる。

コンディショニング剤
・ベヘントリモニウムクロリド:ヘアコンディショナーやトリートメントでは主要な基剤の一つで、ワックス成分を乳化してクリーム状にする効果と、髪を柔軟にする2つの効果を持つ成分。一般的には、四級カチオンやカチオン界面活性剤と言われる成分で有り、コンディショナーやトリートメントを作るために欠かせない成分でもある。特にこのベヘントリモニウムクロリドは、水をはじく疎水基部分が長いため、親油性である毛髪表面に吸着する効果が高く、高い柔軟効果やコンディショニング効果を発揮させやすい。現在、最も良く使われているコンディショナー基剤です。
・ジステアリルジモニウムクロリド:ヘアコンディショナーやトリートメントでは主要な基剤の一つで、ワックス成分を乳化してクリーム状に巣r効果と、髪を柔軟にする2つの効果を持つ成分。一般的には、四級カチオンやカチオン界面活性剤と言われる成分で有り、コンディショナーやトリートメントを作るために欠かせない成分でもある。特にこのジステアリルジモニウムクロリドは、水をはじく疎水基部分が2本有り、親油性である毛髪表面に吸着する効果が高い。髪に高いコンディショニング効果と、油性感を与えることが出来る基剤。

油剤
・ジメチコン:化粧品では一般的に使われているシリコン油。
・アルガニアスピノサ核油;いわゆるアルガンオイルのこと。
・ツバキ種子油:椿の種子から取った油。オレイン酸主体であるが比較的酸化されにくい。
・エチルヘキサン酸セチル:顔料分散性に優れ、軽くさっぱりとした使用感の低粘性の油剤。エチルヘキサン酸とセチルアルコールを結合させたエステル油であるが、細かく調べると、エチルヘキサン酸は石油由来で、セチルアルコールは植物由来となっている。
・スクワラン:スクワランは通常サメから取られるべたつきの少ない油です。化学構造的には、石油由来の油とも似ていますし、オリーブ油を精製しても得られます。一時期サメから取ったものが入手困難になったことが有り、最近はオリーブから取ったものもだいぶ増えました。今回のジュレームは、あえてサメ由来のスクワランを使っているようです。
・ステアリン酸グリセリル;乳化機能を持つ、植物由来の固形油。化粧品でよく使われる。
・ミリスチン酸イソプロピル :軽く滑りの良い感触のエステル油。かつて薬事法で表示義務成分に指定されており、スキンケアで使用する場合は要注意。
・ヤシ油:いわゆるココナッツオイルのこと。ヤシ油は中鎖脂肪酸と言われる比較的鎖長が短い液状の油分が多く、柔軟化効果に優れる。
・水添パーム油:水素添加して不飽和結合を無くし、安定性を高めパーム油。ペースト状〜固形の油で、エモリエント感が高い。
・水添ヤシ油:ヤシ油(ココナッツオイル)を水素添加して不飽和結合を無くし、安定にした油。ペースト状でエモリエント感が高い。

防腐剤
・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。
当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いてます。
プロピルパラベンの安全性についての文献を紹介

・メチルパラベン:比較的低刺激な防腐剤。ただし、環境ホルモンや蓄積性の点で叩かれることも多い。環境ホルモンについては多くは根拠の無い噂であるが、蓄積性についてはファンケル社が学会で報告し、報文を出している。(ただし、防腐剤の蓄積による影響は、可能性レベル)
化粧品中の防腐剤は皮膚に残り、肌にストレスを与える(IFSCC*2005 in フローレンス中間大会)



保湿剤、増粘剤他
・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。
・PEG-8:別名をポリエチレングリコール400とも言う。平均分子量 : 360〜440でそれなりに大きいため、肌への浸透性は低く安全性も確保されていると思われるが、昔の薬事法では表示指定成分として扱われていた(分子量600以下のポリエチレングリコールは表示指定成分、というルールがあった)。性状は液体で、保湿効果や、油性成分の分散可溶化効果などがあり、BGやDPGと同様に用いられる事が多い。
・ヒアルロン酸Na:代表的な酸性ムコ多糖類で あり、コンドロイチン硫酸などと共に哺乳動物の結合組織に分布してます。水保持性能が高いため、化粧品分野では高分子量の保湿剤として利用されています。ニワトリのトサカなどから得られる動物lll来のものと 微生物を用いる発酵法により得られるものがあります。
・腐植土抽出物:フルボ酸のことです。フルボ酸は沼とか湿地とかの土壌を分析するために、いろいろと分離していって得られる、最後の不純物です。最後に残った不純物なので、単一の成分では無く混ざり物であり、成分も一定していません。一定してなのでなんともいえないのですが、そもそもどこの土から採取したかで、組成も変わると思われます。こんなものなのに、一定の効果が測定できるはずもなく、「何か効果があるのでは」とか「まおぁありはすだ」とかいう願望が言われている不思議な原料です。いわば、ファンタジー原料ですね。しかし、化粧品だけで無く、怪しい食品にも使われています(^_^;)
・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。
・EDTA-2Na:一般的なキレート剤。製品の品質変化を防ぐ。
・イソプロパノール:アルコールの一種だが、エタノールより強い臭いがあり、化粧品で使われる事は少ない。殺菌力もエタノールより強いが、安全性は同程度と言われている。トリートメント基剤となるカチオン活性剤の溶媒として使われている事が多い。
・クエン酸;pH調整剤。
・クエン酸Na;pH調整剤。クエン酸と組み合わせて、pHを安定化させるキレート剤的な^効果が出せる。
・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤
・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa:アミノ酸をベースにしたジェミニ型界面活性剤のお一種で、様々な効果があるとされている。