コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析2ブライトニングシャンプー解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
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化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

2017/1/10に発売された新しいジュレームである、ジュレームフルボスの解析を行っています。
今回は第2回目で、しっとりタイプのジュレーム フルボス ブライト&モイスト ブライトニングシャンプーの処方解析となります。
相変わらず、名前が長い(^_^;)
まあ、赤いやつです(^_^;)

第1回の製品概要編はこちら。
コーセー ジュレーム フルボス ブライト&モイストの解析1製品概要編
シリーズ全体と、同時に発売されたジュレームファンタジスト(アウトバストリートメント)についても触れています。


では早速、処方の解析を始めます。
いつもの様に、裏面の処方を整理します。
今回はちょうど1年前の、2016年1月に発売された、ジュレームリラックスシリーズと並べて比較して見ていくことにしまいsた。
ジュレームリラックスシリーズも、フルボスと同じく「スリーク」(なめらか)というラインがあるんですよ(スリーク&モイスト)。
考え方に共通点があります
まあ今回取り上げるのはブライト&モイストなんですが。
ブライト&「スリーク」を扱うのはもう少し先の予定です(^_^;)

原料の機能毎にパート分けし、パート内の表記順番は裏面のまま変えずに記入しています。また共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

こんな感じになりました。
 
ぱっと見てわかるように。ちょうど1年前に出たリラックスに較べて成分が少ないですね。
エキスなんかも少ないのですが、オイルも入って無く、洗浄剤もアミノ酸系が減っている感じです。
要するにフルボスの名前のとおり、フルボ酸推しの処方です。
概要編でも書いたとおり、化粧品犬の考えではフルボ酸は実際には効果が無い、いわばファンタジー原料だと思ってますから少しガッカリです。
 
では表の上から見ていきます。

まず洗浄剤のパートです。
2015/1/13に発売した初代ジュレームアミノシャンプーで、アミノ酸系で最もしっとり感が出る(値段が高くて、泡立ちも悪いけど)ココイルグルタミン酸TEAを主剤にして業界を驚かせて以来、ずっとジュレームココイルグルタミン酸TEAが主剤だったわけですが。
ここに来てまさかの、首位陥落してます(^_^;)
おそらく、ココイルグルタミン酸TEAの一部を、。同じアミノ酸系のココイルメチルタウリンNaに置き換えたのでしょう。
ココイルメチルタウリンNaは資生堂がよく使っている洗浄剤ですね。
あまりにも資生堂の色が強いので他者はあまり使わなかったのですが、さすがコーセーというか(^_^;)
逆に資生堂はあまりココイルグルタミン酸TEAは使わないので、ココイルグルタミン酸TEA+ココイルメチルタウリンNaは大手では珍しい組み合わせになりました。
しかしこの組み合わせは、中小化粧品会社や理美油向けでは珍しくも何ともないです。
ココイルメチルタウリンNaはすすぎ時の滑らかさは良いのですが、乾燥後のしっとり感はそれほど高くないため、ココイルグルタミン酸TEAとの組み合わせはしっとり感が低くなり、よく言えば一般的、悪く言えば物足りない感じになります
残りのオレフィン(C14-16)スルホン酸Naは、理美容向けシャンプーでは良く使われている原料で、LES並に泡立ちが良いのですが、アミノ酸系の独特のしっとり感もあまり損なわないためしばしば使われる原料。
コカミドプロピルベタインはそこそこ低刺激で、価格の安い洗浄剤です。
PPG-2コカミド、ラウリン酸PEG-2は増粘・増泡剤。
ラウリルベタインはコカミドプロピルベタインと似ていて泡立ちはやや優れているのですが、アミノ酸系洗浄剤と併用すると、PPG-2コカミド、ラウリン酸PEG-2の増粘効果が大きくなる性質があるようです。
アミノ酸系はとにかく増粘が難しいので、少しでもそれを改善する工夫だと思われます。

次はコンディショニング剤、オイル類のパートを見てみましょう。
オイル入ってないです(^_^;)
オレオドールなんてオイルシャンプーのブランドを持っているコーセーらしくないですね。
これでしっとりタイプとかモイストとか・・・いかんでしょ(^_^;)
コンディショニング剤も基本のポリクオタニウム-10だけって・・・。
もっとも、リラックスシャンプーを見ると、「ソフト」や「モイスト」はポリクオタニウム-10だけで、スリークはポリクオタニウム-10+ポリクオタニウム-7になってるんですよね。
この公式はフルボスにも当てはまっていて、ネタの先出しになってしまいますが、フルボスでも、ブライト&モイストはポリクオタニウム-10だけで、ブライト&スリークはポリクオタニウム-10+ポリクオタニウム-7になってます。コーセーさんの認識では、ポリクオタニウム-7が加わると、スリーク(なめらか)ってわけですね。

次は防腐剤のパート。
ここは、いつもあまり変わらないですね(^_^;)
コーセーさんは資生堂さんと違って、ノンパラベンには興味が無いようです。

次は保湿剤、香料類等のパート。
センブリ、リンゴエキスは印象は良いのですが、コンセプトを考えると、唐突感は否めません。
ヒアルロン酸はジュレームではいつも入っているし。
やはり中心は、腐植土抽出物:フルボ酸ということになるのでしょう。
フルボ酸については前回の概要編でも書いたし、今回も下の方のコメント欄でも書いたのですが、責任を持って、その効果について効能データを出す人がいません。
例えばフルボ酸でツヤが出るとして、髪の毛のつやを計る方法はけっこう存在していますが、測定されたデータは見た事が無い。
データで示してもらわないと、それはポエムです(^_^;)
コーセーのブランドサイトも、「理美容向け製品に使われている」と書くだけで、あとは図解と称するポエムが書いてあるのみです。
ちなみ、フルボスに入っていて、花王もアジエンスなどで使っているコハク酸には、ちょっと怪しいけどちゃんと報文があります(下の方のコメント欄参照です)。
コーセーさんも、これぐらいは用意しないと。

毒吐いてばかりになりそうなので、解析はこんなところです。
化粧品犬にはフルボスは、ファンタジー原料を積んだチャラい製品にしか見えないのですが・・・香りが良いのでけっこう売れてしまうかもしれません。
コーセーさんがこの程度で良いんだな!と思ったら、イヤだなあ!

買ってしまって不満がある方は、あと1200円だしてジュレームファンタジストのミストを買って使うと、余計な出費にはなるけど、かなり満足できます。
そもそも、ジュレームファンタジストまで使って、良い使用感になるように調整した感もあって。
それはそれで、いやな感じですよね。


後は例によって、原料ごとにコメントを書いていきます。

洗浄剤
・オレフィン(C14-16)スルホン酸Na:泡立ちが良い洗浄剤。石油由来の合成系ではあるが、使用感が良いため、ラウレス硫酸の代替として使われる事が多い。安全性は、悪くはないがラウレス硫酸並みです。
化粧品犬ブログでは以下のエントリーで詳しく扱っています。
コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 前編(AOSの安全性について)
・ココイルメチルタウリンNa:AMTと略されたりする、比較的起泡の早いアミノ酸系の洗浄剤です。安全性的にはまずまず良好で、資生堂のスーパーマイルドシャンプーの主剤だったことで有名。現在でもTSUBAKIに使われてます。
・ココイルグルタミン酸TEA:ココイルグルタミン酸TEAというアミノ酸系洗浄剤は、数あるアミノ酸系洗浄剤の中でも最初期に発明されたのもなのですが(40年以上前に発明された)、コンディショニング剤を髪に引きつける力は全アミノ酸系洗浄剤の中でも、最も強いです。とりあえずこれを配合しておけば、コンディショニング剤の働きがぐっと良くなって、すすぎが滑らかになり乾燥後もしっとりになるという成分です。
ただし、泡立ちは今一つで、油に合うと泡立ちがさらに落ちると言う特徴があります。あと値段が高い原料です(^_^;)
アミノ酸系洗浄剤というのは今ではたくさん有り、中には泡立ちが良いものもあるのですが、アミノ酸系洗浄剤というとなんとなく「しっとりして泡立ちが悪い」というイメージがあるのは、このココイルグルタミン酸が長い間、アミノ酸系の王道として君臨したからです。
・PPG-2コカミド:若干泡は立つのですが、主には増粘剤として働く原料です。
・コカミドプロピルベタイン;そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。
・ラウリルベタイン:ヘアシャンプーによく使われるコカミドプロピルベタインを単純化したような構造の洗浄剤。コカミドプロピルベタインに比べて、刺激性は若干高いが、泡立ちは若干良好。
・ラウリン酸PEG-2:若干泡は立つのですが、主には増粘剤として働く原料です。

コンディショニング剤、オイル
・ポリクオタニウム-10:もっとも良く使われているヘアシャンプー用のコンディショニング剤。別名カチオン化セルロース。

防腐剤
・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。
当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いてます。
プロピルパラベンの安全性についての文献を紹介
・メチルパラベン:比較的低刺激な防腐剤。ただし、環境ホルモンや蓄積性の点で叩かれることも多い。環境ホルモンについては多くは根拠の無い噂であるが、蓄積性についてはファンケル社が学会で報告し、報文を出している。(ただし、防腐剤の蓄積による影響は、可能性レベル)
化粧品中の防腐剤は皮膚に残り、肌にストレスを与える(IFSCC*2005 in フローレンス中間大会)
・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。


保湿剤、香料類等
・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。
・セ ンブリエキス:血流促進による育毛効果で有名なエキスです。他に抗炎症効果や抗男性ホルモン効果(5α-リダクターゼ阻害)もあるとされています。
・リンゴ果実エキス:リンゴの果実から取ったエキス。主な効果は保湿効果です。リンゴの幹細胞からとったエキスと間違えてる人もいるんだけど、あちらは「リンゴ果実培養細胞エキス」という表示名称で、」これとは全く違います(^_^;)
・加水分解ヒアルロン酸:ヒアルロン酸を加水分解して分子サイズを小さくした原料。
・腐植土抽出物:フルボ酸のことです。フルボ酸は沼とか湿地とかの土壌を分析するために、いろいろと分離していって得られる、最後の不純物です。最後に残った不純物なので、単一の成分では無く混ざり物であり、成分も一定していません。一定してなのでなんともいえないのですが、そもそもどこの土から採取したかで、組成も変わると思われます。こんなものなのに、一定の効果が測定できるはずもなく、「何か効果があるのでは」とか「まおぁありはすだ」とかいう願望が言われている不思議な原料です。いわば、ファンタジー原料ですね。しかし、化粧品だけで無く、怪しい食品にも使われています(^_^;)
・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。
・EDTA-2Na:一般的なキレート剤。製品の品質変化を防ぐ。
・イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油;油を可溶化する効果が、特に強い乳化剤。コーセーでは一部のジュレームシリーズの他、オレオドールに使用されている。
・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。
・クエン酸:pH調整剤
・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤。:
・コハク酸:通常はpH調整剤として使われています。また化粧品犬的には強くは信じられないのですが、花王さんのの説明によると、髪内部にたまった不要なカルシウムを洗い出す効果があるようです。
詳しくは下記エントリーで書きました。
<a href="http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12087261213.html" target="_blank">花王 アジエンスMEGURI の解析2 コンセプト・理論編</a>
・塩化Na:いわゆる食塩。シャンプーを増粘させる効果がある。
・炭酸水素Na:pH調整剤。