牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析 番外編 DPGの安全性 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

牛乳石鹸 カウブランド 無添加シャンプー・トリートメントの解析をやっていますが。
このアイテムで避けて通れないのがDPG(ジプロピレングリコール)という名前の成分です。
牛乳石鹸さんは、このアイテムでDPGを多用することで、製剤の水分活性を下げ、真の防腐剤無添加を実現していると思われます
シャンプーなどの洗い流すアイテムでは、おそらく10%以上配合しているのではないかと、化粧品犬は想像しています(^_^;)

このDPG、ネット上ではとても評判が悪いです。刺激があるという意見が多い。
しかし昔、化粧品犬もDPGを会社で使ったことがあるのですが、全くそんな感じはしないです。
会社にいたときは色々データをとったこともあるのですが、現在はフリーなので残念ながら出す物は無いのですが(^_^;)
そこで、今回はネット上のデータのみで、DPGの安全性を議論してみよう!と思っています。

今回の内容は、処方内容の解析の一部で書いていたのですが、長くなったので番外編としました。
今回は化粧品犬にしては珍しく、章立てで書いてみます。
長文になってしまうし、その方が分かりやすいかなと。
では順序立てていきますよー。

●DPGに対するネット上の代表的な意見
DPGについてのネット上の意見はほぼ否定的です(例外的な物なあるが探すのは大変なので今回は省略)
大体次に2パターンに分類できます。

1.似た名前の「プロピレングリコール」と混同しているタイプ
2.実際に刺激性があるというデータや文献を引用してくるタイプ


「DPG 安全性」とかでググるとたくさん出てきます(^_^;)
まず1.のタイプについて、検索して出た順に解説してみます。

DPGを使う前に必見!メリットとデメリット
http://cosumehouse.com/component/1039/
(DPGは)危険性と共に、環境への悪影響は少ないのですが、そのまま使用すると皮膚や粘膜などに刺激を与えてしまう場合があります。
その為、化粧品などで配合をする場合には1.0パーセントまでと割合が決められています。
ですが、こういった厳しい決まりがあるとはいえ、DPGは毒性がとても低いということで、化粧品に関してはいろいろなメーカーの製品に配合されています。その上で1.0パーセントまでと配合を決められていますので、使っていても特に異常が出てくるということはほぼないと言えます。


何を見て書いたのか、勘違いだらけです。
そもそも「危険性、環境への悪影響はないが、そのまま使用すると皮膚や粘膜などに刺激を与える」という記述に無理があります。似た名前の「プロピレングリコール」と言う成分は、2001年までは化粧品では示義務成分だったのですが(そういう法律がありました)、DPGはそれにも入っていませんでした。当然配合上限なども無く希釈しなければならないル-ルもありません。

DPG(ジプロピレングリコール)の成分解説と安全性、役割
http://www.subterraneans.jp/seibun/dpg.html
環境への影響も少なく、毒性も低いとされている成分です。
ただし、そのまま使用すると皮膚や目などの粘膜に刺激を与えることから、表示指定成分のひとつとなっている素材です。
配合については1.0%の基準が設けられているため高配合の心配はありませんが、気になる方は配合商品の使用は控えた方が安心でしょう。


これも殆ど同じ内容ですね。同じサイトを引用したのかな。
さっきも書きましたが、DPGは表示指定成分ではないし、配合上限などは無く、希釈しなければならないル-ルもありません。
このサイトでは表示成分ルールがあるかのように書いてありませが、2001年に終了しています。

まあこれらサイトさん達はそもそも怪しいので良いと言えば良いんです(^_^;)
問題なのは、「2.実際に刺激性があるというデータや文献を引用してくる」タイプ。また、怪しいデータの提供元になっているサイトさんです。

この種の典型的なサイトさんは、アメブロでは有名なかずのすけさんです。
かずのすけさんはそうとうDPGがきらいらしく、DPGが配合されていると「いつも口酸っぱくして言っているように」というフレーズでDPGを攻撃してきます(^_^;)
例はたくさんあるのですが、いくつか上げてみます。

本日の「ちふれ泡洗顔」の解析を修正しました(要確認)
http://ameblo.jp/rik01194/entry-11757688659.html
マナラ ホットクレンジングゲル 解析
http://ameblo.jp/rik01194/entry-11854590375.html
アンパンマン こどもシャンプー あわポンプタイプ 解析
http://ameblo.jp/rik01194/entry-12080946992.html


かずのすけさんは、他者サイトで自分で記事を書いて、自分のブログを引用されたりもしてますね。
敏感肌なら避けるべき!要注意な化粧品成分まとめ<スキンケア編>
http://gathery.recruit-lifestyle.co.jp/article/1142470834089440001


しかしかずのすけさんが何らかのちゃんとしたデータか文献を持っている可能性もあるので、「なにか証拠となるデータか文献を持っていたら提示してください」とコメントを送ってあります。(アメブロメッセージを閉じられているので)
何度かやりとりしたことがあるのですが、かずのすけさんはコメントを見逃す方では無いので、そのうち返事が来るでしょう。
来たら記事化します。

●DPGに刺激がある事を示唆しているデータ
かずのすけさんのようにデータがあるっぽく書かれる方もいるので、そこは確認しなければと言うことで。
化粧品犬も真剣にDPGが刺激があるというデータを探してみました。

例えば、私がネットで見つけたモノとしては。
以下の物がありました。
これはまとめページではあるのですが、引用文献が明示してあります。

日本医薬品添加剤協会-ジプロピレングリコール
http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/sa/dasi6.html
(概略)
①ウサギの皮膚にジプロピレングリコール500 mgを24時間の刺激試験を実施したところ、軽度の刺激が認められた。2) (NLM, 1982)
②ウサギの眼にジプロピレングリコール 510 mgを投与したところ、刺激性がみとめ られた。2)(NIOSH,1981)
③7.2%のジプロピレングリコールを含むシェービング製剤を用い、ボランティア101人に対しSchwartz-Peck prophetic patch test(開放あるいは48時間密封の2週後再感作)を実施した。密封系では1回目の曝露で6人、2回目には8人に中等度の刺激性が認められた。また、開放系およびUV照射、2回皮膚傷害群では刺激性は認められなかった。2)(CTFA,2-17-167,1978)


これはちゃんとしてデータで、引用も明示してあります。
しかしデータが古く、所見の見方が、「刺激性がみとめ られた」とか「軽度の刺激」とか、大雑把すぎます。
DPGが現在と同じ品質であったかも疑問の残る点で、不純物の影響の有無を考えると信頼性に欠けると思います。
また③のシェービングクリームのクローズパッチで刺激が出たのは、DPGのせいではなくシェービングクリームの洗浄剤のせいである可能性が高いと思います。
洗浄物をクローズパッチすると、多少は反応が出るものですから。

●最近のDPGを評価した、安全性データ(メーカー提供のデータ)
また最近のDPGで安全性の評価した、安全性データとしては。
DPGのメーカーの旭硝子さんが、最近のDPGで取り直したデータをネットにアップしています。
http://www.agc.com/products/chemical/urethane/pdf/DPG-FC.pdf
これによるとP.6で
(Canadian Centre for Occupational Health and Safety Issue:95-4(Nov.1995)
の、やはり「軽度の刺激」と言う大雑把なデータを引用した上で

旭硝子として皮膚刺激性について、改めて測定しました結果、 DPG-FCの皮膚刺激性について異常は認められませんでした。
条件:「社団法人 日本毛髪科学協会」にて人体バッチテスト被験者35人に対し、 24時間パッチを貼り、その後除去し、更にその24時間後の皮膚の状態をみました


とコメントされてます。
つまり、100%濃度のDPGで、人に24時間クローズパッチして無刺激と言うことです。
これはスキンケア想定なので、洗いものではありませんが、DPGは無刺激というデータだと思います。
直接肌に塗るスキンケア想定なので、DPGはネットリしているから肌に残りやすいのでは?とかの面白いアイデアは入る余地がありません。
この資料を旭硝子さんが作られたのが1999年(2004年改定)、比較的最近です。

これ、かなり決定的なデータだと思うのですが。
ここまで読まれた方はどう思われますか?

旭硝子さんも、ネットからのいわれない中傷にかなり頭にきてるのではないでしょうか。
資料の「DPG-FCの皮膚刺激性について異常は認められませんでした。」というところが、青字のイタリックで書かれてました(^_^;)
化粧品会社は人気商売なので、ブログにクレームとかは付けてこないと思いますが。
旭硝子さんは原料会社で実態はケミカル会社ですから、あまり無茶なことを書いていると、ある日クレーム来ちゃうかもですよね。

さて、次回から商品の解析に戻ります。