
近年、卵子凍結は急速に普及し、多くの方が将来の妊娠に備えて選択するようになりました。しかし、「凍結した卵子は新鮮な卵子と同じ成績なのか」という疑問は非常に重要です。本論文は、この問いに対して約10万周期という大規模データで検証した研究です。
研究デザイン
本研究はオーストラリアとニュージーランドの大規模データベースを用いた解析です。凍結融解卵子 約2,000例、新鮮卵子 約98,000例という非常に大きな比較です。
Table 1では両群の背景が示されています。凍結卵子群の年齢中央値は36.5歳、新鮮卵子群は35.1歳で、大きな差はありません。また、採卵数は凍結群で14個、新鮮群で9個と、凍結群の方が多い傾向がありました。


ラボ成績の違い
最も重要な違いはここです。
Table 1および結果部分に示されている通り、受精率、胚盤胞到達率は凍結卵子の方が低い結果でした。具体的には、受精率:凍結卵子 約63.6% 新鮮卵子 約68.9%。胚盤胞率:凍結卵子 約36.5% 新鮮卵子 約46.5%と、胚になるまでの過程では明らかな差が認められます。
論文では、使用可能胚盤胞が14%以上少ないと報告されています。
一方で重要なのはここです。胚移植あたりの妊娠率は凍結卵子 38.3%、新鮮卵子 38.8%。出生率は凍結卵子 29.6%、新鮮卵子 31.3%と、ほぼ同等でした。つまり、胚になるまでの効率は低いが良い胚を選べば結果は同じということです。
Figure 1(論文4ページ)では、時間経過による差の変化が示されています。

受精率や生存率は年々改善しており、技術進歩によって差が縮まっていることがわかります。
一方で、胚盤胞率の差は大きく改善していないことが示されています。
臨床的な意味
この研究の本質は、凍結卵子は質が落ちるというより数が減るという点です。
最終的な妊娠率は同じでも、そこに到達するまでの効率が低いためより多くの卵子が必要になる可能性があります。
まとめ
凍結卵子は、新鮮卵子に比べて受精率や胚盤胞率はやや低下しますが、移植あたりの妊娠率や出生率はほぼ同等です。つまり、凍結卵子でも十分に妊娠は期待できますが、成功のためには一定数の卵子確保が重要となります。卵子凍結の価値と限界の両方を示した、非常に実臨床に役立つ研究です。
Fitzgerald O, Illingworth P, Paul R, Keller E, Kotevski D, Lieberman D, Hesketh N, Chambers GM.
The efficacy of frozen-thawed oocytes compared to fresh oocytes: real-world evidence.
Fertility and Sterility. 2026.






























