子宮外妊娠や卵管水腫の場合、ラパロのオペで患側の卵管切除を行うケースがあります。

 

卵管切除により卵巣への血流が減少するためその後の不妊治療を考えると可能であれば極力卵管は温存したほうが良いという考えが一般的です。そのため卵管形成術といって卵管を温存するオペを推奨しています。

 

しかし実際には卵管切除を行うケースも多々あり、その場合卵管切除がどの程度卵巣への影響があるかは具体的にはわかっていません。

 

今回卵管切除によりその前後で卵巣機能がどのように変化するかどうかを調べた興味深い論文が12月のFeril Steril にありましたので紹介します。

 

方法

卵管水腫、子宮外妊娠により卵管切除を受けた患者さんを卵管切除前と後でどのように変化したかを調べています。2015年までに発表された論文を調べ18件の論文が対象となっています。そのうち12件が後方視的、6件が前方視的な研究です。

総患者数は1,482名。657名は卵管切除群、825名はオペしなかった群です。

評価方法はゴナドトロピンの投与量、エストロゲンの最大値、採卵数、妊娠率を調べ検討しています。

 

結果

卵管切除の前後でエストロゲンの最大値を比較したところ標準化平均差異は-0.182。

総ゴナドトロピンの投与量の標準化平均差異は+0.127

採卵数の標準化平均差異は-0.060

これらはいずれも統計的有意差は認められていません。

卵管切除前後での妊娠率も有意差を認めませんでした。(オッズ比1.1180)

 

結論

本研究からは卵管切除をしたとしてもその後の体外受精などの不妊治療に負の影響は与えませんでした。

ただ今後のさらなる検討も必要と思われます。

 

この結論から言えること

子宮外妊娠や卵管水腫でも卵管切除は極力避け、卵管形成術を行うことが良いと思いますが、例え卵管切除をしたとしても、明らかに卵巣へのダメージが増えるという結果にはならないということがわかります。ただし今後更なる検討をしないと明言できないことだと思います。

 

Does salpingectomy have a deleterious impact on ovarian response in in vitro fertilization cycles?

October 2016 Volume 106, Issue 5, Pages 1083–1092.e5

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33歳です。AMH7。腹腔鏡を去年に行い内膜症1期が発見されました。ブルーベリースポットがいくつかあり、癒着はなく卵管内も子宮内もきれいとのことでした。
その後タイミング3回、AIHを3回しましたが妊娠しませんでした。僅かな子宮内膜症はそんなに妊娠を阻害するものなのでしょうか?ほかに重大な理由があるということなのでしょうか?

 

このようなご質問がありましたのでお答えします。

 

若い年齢でこの程度の内膜症では妊娠を阻害するとはあまり考えにくいです。

またオペできれいにした後も妊娠しないとなると、何か他に理由があることが予測されます。

 

卵子の質、精子の質、受精障害、胚の発生異常などを考えて、主治医の先生と相談の上、体外受精にステップアップする事も検討した方が良いのかもしれません。

 

過去にも同様の記事を書いていますので参考にしてください。

 

ラパロで何も問題ない場合は

 

子宮内膜症

 

 

原因不明不妊はラパロを

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腹腔鏡の手術をしていると改めて人の体の神秘的な部分に驚かされます。

例えばクラミジア感染症で卵管周囲の癒着がひどく、いわゆるピックアップ障害のひどい例でも一人目を妊娠している事もあります。

この癒着の状況でどうして卵子が卵管に入る事ができるのか、、、と思います。

 

また卵管の出口の卵管采が卵子をピックアップするために大切な役割をしているのですが、先天的に卵管采が小さい方や、卵管采の形がゆがんでいる方、入り口が辺縁にある方、卵管采に細かい癒着がある方がいます。ダミーの卵管がある方もいます。

 

人の生殖において大きな弱点は排卵された卵子が卵管采から卵管に取り込まれる際に一度腹腔内を遊泳する瞬間だと思います。敢えて妊娠しにくくしているのではと思わずにはいられません。

一部の説では卵管采が排卵される卵巣を覆うという説もあるとの事ですが、詳細は不明です。

 

先ほどの卵管采にトラブルがある場合、ピックアップする事は難しい事になり不妊という事になります。

オペをした結果を患者さんに伝えると、「原因がわかり次に進めます」とポジティブにとらえる方がとても多いです。

 

原因不明不妊はラパロをして原因を特定して、治せる病気は治すべきであると思います。

 

排卵に関してこちらにわかりやすい映像がありました。