半沢直樹でも話題になりました。銀行内部の評価って実際どうなってるの?

銀行は預金を集めて、お金を貸し出すことが仕事です。ですから、評価はその支店が企業や個人に貸出した金額がまず、評価の対象になります。

銀行は同規模の支店と競争をしています。当然。支店の順位が高ければ、支店長は出世していきます。だから、支店長は部下に当然、貸出を増やすよう指示を出します。私も、日々そうした指示をうけています。

それともう一つ、重要な評価項目があります。貸出先数とういう評価です。会社には売上100億とか1000万とか当然規模に差があります。当然、売上100億のほうが、規模も大きく借入金額も多いですから、貸出額を稼げます。しかし、そうした営業だけではダメで先数を増やす目標があるのです。例えば現在100先あるなら半期で110先にしろとなるわけです。

つまり、全く融資取引がない先にお金を貸すということなのです。これは結構大変です。

この目標を達成する方法には裏技があります。

銀行の貸し出し方法には当座貸越という方法があります。これは貸出の枠を設けて、その枠のなかで顧客が自由にお金を借りたり返済することができるのです。例えば100万円の枠を作るとします。
顧客は最大100万円まで借入することができます。仮に今日50万円借りて、お金ができたから、1ヶ月後に20万円を返すとういように、最大100万円の範囲内で融資と返済を繰り返すことができるのです。実際に借入をしたときに利息は発生しますから、100万円の枠をつくっても実際に借りるまでは利息は0です。

裏技はこの貸出を利用します。銀行の目標ではこの枠を設けることで先数1件になります。つまり、その期に顧客が融資を受けていなくてとも先数は1件です。そこで、仲の良い顧客に「使わなくてよいから、枠だけを作ってください。」とお願いします。先ほどの説明の通り、枠を作っても、借りなければ利息はかかりません。貸出額が0なわけですから。顧客にメリットはありませんが、金銭的なデメリットもありません。銀行は利息はとれませんが、銀行の目標上はメリットがあります。ですから、こうしたことがまかり通っています。私も上司の指示で5件はすでにこれをやりました。他の同僚も同じです。

だったら、枠の開設だけならカウントしなければいいじゃないか。と思いますよね?しかし、本当に需要があるから、開設した人もいます。中にはその期には利用しない顧客もいます。このケースならカウントしてもいいと思います。需要がある人とない人を口座の開設だけでは判別できないから、制限が設けられないのです。銀行員の倫理観でしか判別できません。
 
 当たり前ですが、この活動には顧客のメリットはありません。また営利企業のはずの銀行も全く利益を得ることができませんし、むしろ、今後口座管理の事務コストがずっと発生し続けて、マイナスです。将来経費がかかっても、一時の銀行目標が優先するのです。この活動は顧客のためではなく、自分たちのためでしかないのです。

利益は長期的に考えていくべきですが、人間はどうしても短期的になりがちです。銀行組織においても当てはまります。