㊴1960年代以降の子供文化と世相(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

①   戦記物の復活から

・「快傑ハリマオ」の復活

 1960年4月5日 -~1961年6月27日まで日本テレビ系ほかで放送されていた日本のテレビ映画である。

 『月光仮面』を制作した宣弘社の制作による、第4作目のテレビ映画。5部作全65話。太平洋戦争直前の東南アジアやモンゴルを舞台に、正義の日本人男性・ハリマオが、東南アジア(第4部を除く)を支配する某国の軍事機関、彼らと結託する死の商人や秘密結社、スパイ団と戦う冒険活劇である。

 森下仁丹の一社提供番組でもあり、放送枠では夕食を終えた一家が仁丹を飲んで本作を楽しむというCMが放送されていた。本作の図版をあしらった「ハリマオガム」も発売され、ハリマオが鞭でガムを取るCMも放送された。なお、舞台を東南アジアとしたのは、当時の森下仁丹が東南アジアへの進出を計画していたためという。

※創業者の森下博が1893年(明治26年)2月11日に、大阪市東区(現・中央区)に て、薬種商「森下 

 南陽堂」を創業したのが発祥である。1905年(明治38年)から今日まで発売され続けている仁丹の

 製造元としてその名を知られている。商標の外交官は「健康を世界に運ぶ外交官に」という創業者の

 思いが込められている。

 

 原作は、海洋小説を得意とした直木賞作家の山田克郎が1955年から2年間、日本経済新聞夕刊に連載した児童小説『魔の城』である。太平洋戦争直前、マレー半島に大日本帝国陸軍に協力した義賊「マレーの虎」「ハリマオ」こと谷豊という人物がいた。谷の活躍は当時のマスコミで宣伝され、大映が現地ロケを行って『マライの虎』という映画を制作し、大ヒットさせている(1943年)。

   第2部以降のオープニングには「ハリマオとは? マレー語で 虎のことである」というテロップが表示されている。敗戦後は軍国主義のシンボルとしてその存在は忘れ去られていたが・・・「昭和の妖怪」(当時の首相は岸信介)の如く、ヒーローとしてブラウン管に復活した

※谷 豊(たに ゆたか、1911年11月6日 - 1942年3月17日)は、昭和初期にマレー半島で活動した盗

 賊。福岡県筑紫郡曰佐村五十川(現在の福岡県福岡市南区五十川)出身で、イギリス領マレーに渡っ

 た後に盗賊となり「ハリマオ」として一躍知られる存在となった。その後、日本陸軍の諜報員となっ

 て活動した。ムスリム名「モハマッド・アリー・ビン・アブドラー」。

 

テレビドラマ「ゼロ戦黒雲隊」の登場

 『ゼロ戦黒雲隊』(ぜろせんくろくもたい)は、1964年11月28日から1965年5月22日にかけて、NET系列にて放映されたテレビドラマである。全26話、モノクロ作品。放映曜日及び放映時間帯は毎週土曜日19時00分〜19時30分、放映話数全26話で制作はNET、東映であった。絶好の時間帯に放映されたため、多くの少年達がこの番組を視聴していたと思われる。すでに読み物としての戦記物や戦争漫画が漫画週刊誌に連載されていた時代、実写版でのドラマ仕立てのテレビ放映は子供達にとって待ちに待った企画であったと思われる。

 太平洋戦争中の日本海軍航空部隊を軸に、部隊内での上官と兵士の対立や、仲間同士の友情を描いた戦記ドラマ。1943年、ショートランド諸島に位置する小島・バラレ島には日本軍にとって南方最後の航空部隊基地があり、そこには四十数名の無法者がいた。彼らは、隊長の中村甲太以下、全て組織からはみ出した軍規違反者で、大の士官嫌い。そんなバラレ島に新しい指揮官として加茂正人が赴任して来た。ある時、加茂が司令部の命令を無視し、危機に陥った中村を救ったことから、一同は団結。かくして、黒雲のように覆い被さる敵を迎撃する「ゼロ戦黒雲隊」の活躍が始まった。

 

軍人将棋のリバイバル

 いつ、誰によって発明されたかは正確にはわかっていないが、1895年(明治28年)には製造・販売され、遊ばれていた記録があり、類似のゲームの中では最も古いものである。一時期、廃れていたが1960年代から70年代にかけて復活。

 

②  テレビ番組としての「ディズニーランド」

 日本では1958年8月29日 ~ 1972年4月30日まで日本テレビ系列で放送されていた。以下、ウィキペディアの既述によると・・・

 1941年12月8日の太平洋戦争の開戦と第二次世界大戦へ参戦したアメリカは戦時体制への協力を映画産業に対して要請するが当初は成功しなかった。しかしディズニーは大衆がヨーロッパに関心を持ちはじめていると気づくと政府に協力し、「反ドイツ」の色を薄めた「反ナチス」の形で戦意高揚のプロパガンダ映画を制作

 当時のウォルトディズニー社はピノキオやファンタジアがヒットしなかったせいで、あっという間に膨大な借金を抱える羽目になり、さらにヨーロッパも戦争中で映画の輸出が出来なくなり、倒産の危機に陥ったが、プロパガンダ映画の制作により、ある程度の収益を得て経営を建て直すことが出来た。

 戦後も引き続きディズニーは経営を安定させる理由で政府の核実験、原子力開発キャンペーンのためにen:Our Friend the Atom(我が友原子力)という映画を作成するなど政府のプロパガンダに参加している。

 ただし大戦当時に同スタジオで製作されたアニメ映画に、ミッキーマウスが戦闘機で日本軍の零戦を撃墜するシーンがあったり、ドナルドダックのアニメ映画「総統の

顔」に東條英機や昭和天皇を風刺するシーンがあるが、これらは国の要請や強制を受けたからではなく、ディズニーが自ら制作したものである。

空軍力の勝利 Victory Through Airpower(1943年)

 『空軍力の勝利』((原題:Victory Through Air Power)は、1943年7月17日に公開された、ウォルト・ディズニー・カンパニー製作の実写とアニメとの合成映画である。上映時間は65分。『空軍力による勝利』とも訳される。原作はアレクサーンドル・セーヴェルスキイ(英語版、ロシア語版)(後に航空機メーカーのセバスキーを設立する)の同名ノンフィクション作品(英語版)(1942年刊行)。

 序盤には、飛行機が発明され、軍事用に使われるようになる様子がアニメで描かれる。飛行機は、最初は偵察に使われる程度だったが、やがてマシンガンが搭載され、爆撃を行うようになり、次第に大きな戦力と化していく。

 中盤では、原作者のセーヴェルスキイが登場し、南太平洋の島嶼に点在する日本の基地を攻撃しても戦況を大きく変えることはできないので、空軍力を活用して日本本土に直接戦略爆撃を加えるべきだと説く。終盤では、セーヴェルスキイが提案した日本への戦略爆撃がアニメで描かれる。街に大量の爆弾が投下され、兵器工場をはじめとする市街が炎に包まれていくが、市民が死傷する様子が描かれることはない。

 ラストシーンでは、旭日旗を持ちアジア各地に触手を伸ばすタコを、ワシが空中から襲って退散させる。勝利したワシは旗竿に止まると金色の飾りと化し、旗竿には星条旗がはためく。

『新しい精神』(原題:The New Spirit)

 ウォルト・ディズニー・カンパニーがアメリカ合衆国財務省の支援を得て戦時下の1942年に製作した国策短編アニメーション映画。この作品の続編に1943年1月7日公開の『43年の精神』(原題:The Spirit of '43)がある。第二次世界大戦の最中、多額の軍資金が必要だったアメリカ国内で、税の重要さを知らしめ米国民への納税促進を呼びかける目的で製作されたプロパガンダ作品。アメリカ合衆国財務省の製作であり、ドナルドダックが主人公の短編映画ではあるがドナルドダック・シリーズには含まれていない。

・『新しい精神』のあらすじ

 ドナルドはラジオの国営放送を真剣に聞いていた。ドナルドは自由と国の為に何かすべきだ、と愛国心に駆られていた。ラジオはその想いに応える方法として、納税を勧めるのだった。ドナルドは最初、納税という方法に否定的だったが、ラジオは納税をすることによって、銃や戦艦、民主主義、そして枢軸国を倒す為に役立っていると語った。

 ドナルドはさっそく納税の準備を始めるが、ラジオはその方法を一から丁寧に教えた。まず、収入が3000ドル以下かを聞き、次に書き込む為の納税証明書とペン、インク、判子を用意させる。そして、証明書に名前、住所、職業、扶養家族がいるかを書き、総所得税から累進課税で割り出した必要な税額を記入させる。証明書を封筒に入れたドナルドは、ポストには入れずにわざわざ議事堂があるワシントンまで急行するのだった。

・『43年の精神』のあらすじ

 愛国者ドナルドはもらった給料を見ながら何をしようかと思案顔。そこへ向こうからキルトを着た年寄りのアヒルと、ズートスーツを着た若いアヒルが現れた。年寄りアヒルはドナルドに倹約と節約を説いて軍備納税を勧めるが、若いアヒルは一緒に飲もうじゃないかとドナルドを酒場に誘う。

 結局、ドナルドは若いアヒルの誘いに乗ろうとし、それを見た年寄りアヒルは杖でドナルドの襟を引っ張る。両者引っ張り合いの末ドナルドの服が破れ、ドナルドをその場に残して二人はそれぞれが誘っていた建物に衝突する。ふと若いアヒルが入ろうとしていた酒場に目をやったドナルドは、大きなカギ十字型のスイングドアに気づく。見れば若いアヒルもアドルフ・ヒトラーのような髪と髭を生やし、狡猾そうな顔で両手をこすっている。それを見てビックリしたドナルドは年寄りアヒルのほうを見ると目を回した年寄りアヒルの背後の民家はレンガの剥がれた赤い壁と青い窓で、さながら星条旗のよう。

 自分の使命に気付いたドナルドは不機嫌そうな年寄りアヒルを尻目に何気ない顔で若いアヒルに近寄り、そのまま手を差し伸べてきた若いアヒルを殴り飛ばす。年寄りアヒルと組んだドナルドはそのまま納税窓口へ出向き、軍備のための税金を支払うことにした。

 

・ディズニーとマッカーシー旋風

 第二次世界大戦後、ディズニーは「マッカーシズム(赤狩り)」の嵐(1947年頃から始まり、1954年にマッカーシーが議会で譴責されるまで続いた共産主義者への弾圧)に巻き込まれる。彼は公聴会に出頭し、最終的には無実とされた。この様な形で赤狩りにこそ巻き込まれたが、戦時中や冷戦中、自らが版権を持つキャラクターを軍や政府に無償で提供し、自社の労働組合と激しく対立していた事などから、当人はむしろ熱烈な保守派、右派、反共主義者と考えられている。

 マッカーシーの赤狩りでは、チャーリー・チャップリン、ジョン・ヒューストン、ウィリアム・ワイラーらも対象となった。委員会への召喚や証言を拒否した。グレゴリー・ペック、ジュディ・ガーランド、ヘンリー・フォンダ、ハンフリー・ボガート、カーク・ダグラス、バート・ランカスター、ベニー・グッドマン(バンド・リーダー)、キャサリン・ヘプバーンらは赤狩りに対する反対運動を行った。

 グレゴリー・ペックは、リベラルの代表格だった。一方でウォルト・ディズニーとともに、政治家のリチャード・ニクソンや、ロナルド・レーガン(FBIの協力者)、ゲイリー・クーパー、ロバート・テイラー、エリア・カザンらは告発者として協力した。

※売れない若手俳優だったレーガンは1955年、カルフォルニアでディズニーランドが開園した際、

 その様子をテレビでレポートしている。彼はやがて共和党の議員となり、第40代アメリカ大統領

 (任期1981年1月20日 ~ 1989年1月20日)に就任している。

 

 またディズニー制作の『南部の唄』は、公開直後から「全米黒人地位向上協会」(NAACP)の激しい抗議を受け続けており、アメリカ本国では再上映やビデオ化が阻止され、「幻の作品」となっている(日本でビデオ発売が実現したが、廃盤)。

 「南部の唄」『南部の唄』(原題: Song of the South)は、アメリカ合衆国のウォルト・ディズニー・プロダクション(現:ウォルト・ディズニー・カンパニー)により制作された実写とアニメーションからなる1946年11月12日公開の長編映画作品である。日本では1951年10月19日に公開された。旧邦題は『南部の歌』。

 映画は南部の農場を舞台に、白人の少年・ジョニーと黒人のリーマスおじさんの心のふれあいを描く実写部分を軸に、リーマスおじさんが話すおとぎ話の部分がアニメーションとなっている。実写とアニメーションを併用した映画はこれ以前にもディズニーにおいては作られているが、実写部分をドラマの軸としたのは初の試みで、ディズニー初の実写映画として分類されることが多い。

 1947年度のアカデミー賞では、「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー(Zip-A-Dee-Doo-Dah)がアカデミー歌曲賞を、リーマスおじさんを演じたジェームズ・バスケット(James Baskett)が特別賞を受賞している。

 全米黒人地位向上協会が本作品の黒人描写に対して抗議したため、アメリカでは1986年以降、ディズニー側の自主規制により一度も再公開されていない。日本ではかつてビデオおよびレーザーディスクが発売されていたが、現在はともに廃盤になっており、2020年現在、正式なテレビ放送やDVD化は行われていない。

 また、2019年11月から北米地域(アメリカ・カナダ)を皮切りに世界各国で順次サービスを開始している動画配信サービス「Disney+」でも、「今の時代状況に適切ではない」として、本作品の配信は行わないことを2020年3月に行われたウォルト・ディズニー・カンパニーの株主総会で会長のボブ・アイガーが明言している。

 協会は作品の音楽や実写とアニメーションの融合技術は認めながらも、白人の主人と黒人の奴隷の関係が牧歌的に描かれている点で事実を歪め、奴隷制を美化していると批判している。また、封切りイベントはジョージア州アトランタで開かれたが、主な白人俳優は勢揃いする一方,主演のジェームズ・バスケットを黒人だからという理由で参加させなかった

 ディズニーランドやマジック・キングダムおよび東京ディズニーランドでは、この作品を題材にしたアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」が設置されている。なお、アトラクションにおいてはアニメーション部分がメインとなっており、実写部分の登場人物はアトラクションの導入部分で音声のみの登場となっている。

 現在でも人気のアトラクションの一つでありながら、その題材となった作品を見ることができないという状況が続いており、2020年に発生したミネアポリス反人種差別デモの際にはファンが他の作品への題材変更を求める署名運動も起きていた。

 2020年6月25日、ディズニーはアメリカ・カリフォルニア州のディズニーランド・リゾートとフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートにおける、スプラッシュ・マウンテンの題材を変更し、黒人少女が主人公のディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』をモチーフにした施設に改装することを発表した。

 千葉県の東京ディズニーランドにおける同アトラクションの処遇について、運営会社のオリエンタルランドは日本経済新聞や朝日新聞などの取材に対して、「(題材変更は)アメリカで決まったことなので、現時点でのリニューアルについてはまだ決まっていないが、ウォルト・ディズニー・カンパニーとの間で検討を始めている」とのコメントを発表しており、日本についても、題材変更の可能性があることを示唆している。

 そもそもディズニーに対する「白人至上主義者」、「人種差別主義者」といった批判は、彼が死ぬまで浴びせられ続けたものであって、別に『南部の唄』に限ったことではないらしい。彼は『南部の唄』封切りイベントに主演の黒人俳優を出席させなかったほか、『南部の唄』の以前にもその二年後にも、ミッキーマウスやミニーマウスがアフリカで野蛮で猿のように描かれた黒人を差別的に扱う民族侮辱的な漫画を出版しており、現在も批判の対象となっている。

 彼が亡くなるまでウォルト・ディズニー社は要所に黒人と女性を雇い入れようとはしなかった。彼の制作した作品群の多くに様々な民族に対する彼の白人中心視点から成る人種差別、および男尊女卑的な性差別が指摘されている。

参考動画

 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー スプラッシュ・マウンテンバージョン 

 歌付き 2013/09/27 2:23

 

 

 

カッパのまとめ

 漫画やアニメ、テレビドラマ、はてはプラモデルやメンコの図柄においてまで戦記物、戦争物が続々と復活する1950年代から1960年代は敗戦直後の民主主義と平和主義的風潮が次第に後退し、国家主義的方向へと大きく舵がきられた時代であった。

 1950年前後は中華民国の成立と朝鮮戦争、ソ連の急成長などにより、東西対立が一気に緊迫化し、アメリカの対日政策の見直しが急ピッチで行われることになった。その結果、戦争責任を追及されて公職追放されていた人々が続々と社会復帰を遂げ、再軍備が急速に進んで自衛隊が発足していく。

 この動きに並行してGHQに禁止されていた柔道や剣道などの武道がスポーツの世界に復活し、次第に格技として学校教育にも広く導入されてくる。同じく禁止されていたいわゆるチャンバラもの、時代劇も映画やテレビに盛んに登場していく。

 加えてA級戦犯容疑者であったはずの「昭和の妖怪」こと岸信介が政界復帰後、瞬く間に首相となり、閣僚に同じくA級戦犯容疑者だった正力松太郎を迎えて当時盛り上がっていた反核運動を抑え、やはりA級戦犯容疑者だった後藤文夫らの民間からのバックアップを受けて原子力発電の導入を推進していった。

 また岸は同じくA級戦犯容疑者だった児玉誉士夫らを動かして暴力団や右翼団体まで動員し、「60年安保」と呼ばれた大規模な反米運動を力で封じ込めて日米安全保障条約の改訂を強行する。

 実は岸や正力、後藤、児玉らはA級戦犯容疑者として戦後しばらくは巣鴨拘置所に収容されていたが、CIAの工作に協力することと引き換えに裁判にすらかけられることなく皆、釈放されたとの説がある。たしかに彼らは裁判を経ることなく容疑者のまま、東条英機らが死刑執行される前後に釈放されているのだ。

 実際、アメリカの原子力技術を核アレルギーの強い日本に導入させる上でも、また原子力の平和利用を受け入れやすく世論操作させる上でも、さらに反共産主義の立場から日米安保体制を維持する上でも彼らはそれなりに役立つとCIAは評価していたのだろう。東西対立の深刻化はあろうことか、戦時中の指導者層を裁くことなく社会に復帰させ、さらには「敵の敵は味方」と言わんばかりの社会的厚遇を「昭和の妖怪」たちに享受させていたのである。

 確かに正力松太郎配下の読売新聞や日本テレビなどは早くから原子力発電の導入に賛成し、アメリカのテレビ番組を次々と放映していた。釈放された他の人たちの動きを見ても実際、アメリカの指示通りに動いているように感じる。

 こうした動きに便乗して急速に台頭してきたのが例の電通であった。業界2位の博報堂も児玉の息がかかった企業であることを考えると、これまでの戦後日本の動きはほぼアメリカの思惑、シナリオ通りになっているように見えてきて仕方ない。

 皆さんはいかがだろうか。

㊱討論型授業のキモ

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・討論型授業のためのバイブル

 「子どもたちに民主主義を教えよう~対立から合意を導く力を育む~」

 (工藤勇 一・苫野一徳 あさま社 2022)

 この本さえ読んでおけば討論型授業への恐怖感、抵抗感は解消され、討論の本質的意義をつかめるはず。読みやすく、分かりやすいカッパ一押しの本。

 

・前提となる基本的スタンス

 現実の社会では今すぐに正解を見いだせない「不良設定問題」が多いことを前提に、敢えて論争を呼びそうな不良設定問題への思い切ったチャレンジを試みる。

 「VUCA」という用語が注目されてきているように現実の社会問題は学校のテスト問題とは異なり、正解が一つとは限らず、そもそも事前に正解が用意されている訳ではない。まさにVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちているのが現代社会である。

 そうした中で様々に異なる意見同士の粘り強いすりあわせを通じて、現時点での最適解を追求する討論型学習を行うとともに、生徒が自ら調べ、自分の考えを深めていくこと、そして各々が納得感の獲得できる個別化、個性化学習へと授業の軸足を移していくことが喫緊の授業目標となっている。

 

 これらの学習過程を通じて生徒、教師共に考え方の多様性に気付き、意見の異なる他者を尊重する姿勢を育むと同時に異常なまでに同調圧力の強い日本の硬直化した学校文化を徐々に相対化し、学校教育に一層の奥行きと柔軟性、多様性をもたらすことを目指していく。

 

参考記事

20年で7600の小中学校が廃校…統廃合巡り保護者や地域との合意形成に壁、

 文科省が事例集公表へ 読売新聞 2025.9.6

 …小中学校の標準規模は法令によって、それぞれ「12~18学級」とされるが、全国の小学校の4割、中学校は5割が下回る。文科省は、学校再編の手引で「児童生徒が多様な考えに触れ、協力し合う教育を行うためには、一定の集団規模の確保が望ましい」としている…とのこと。皆さんはこの文科省の考えをどう思うだろうか。

 今や小中学校での教育は一学級を20人以下の少人数にして教師の目がしっかりと一人一人に行き届きやすくし、学習の個別最適化を図るのが基本であると私は考えている。したがって現在の少子化の流れはこの少人数教育を実現させる上で絶好の追い風となっているはずだ。

 ところが国はこれまでもひたすら教育予算の削減を図るべく、少子化を理由にして学校の統廃合を推進してきた。その結果、少人数教育の実現は蜃気楼のようにひたすら遠のくばかりとなっている。

 学校で「児童生徒が多様な考えに触れ」るためには、日本の場合、児童生徒の意見表明の機会を劇的に増やすことがまず必要とされるだろう。そのためには当然のことながら少人数教育が実現できていなくてはならない。しかし国は相変わらず安価で効率的な多人数教育を理想としているのだ。

 おそらく多人数教育による画一的な一斉講義形式の授業こそが児童生徒に集団主義的心性を涵養し、協調性の豊かな国民を育てることにつながる、というのが老害政治家たちの本音なのだろう。児童生徒が「多様な考えに触れ」ることなどは実際にはどうでもよくて、それはあくまでも従順な国民作りという本来の目的をごまかすための口先だけの綺麗ごとに過ぎないのかもしれない。

 今も一学級35人体制すら徹底できていない劣悪な条件の下で、教師は文科省の指示に従って児童生徒の学習を個別最適化すべく奮闘努力させられている。おそらく国はICT化さえ進められれば学習の個別最適化はある程度可能だと踏んでいるに違いあるまい。しかしそれはあくまでも学力向上を目指すだけの手段であり、必ずしも児童生徒の個性や多様性の尊重を目指すものではない。

 児童生徒の意見表明権が小学校の現場に浸透するのは遠い先の事。実際には次の学習指導要領が登場する2030年以降の事である。しかし多人数教育の下でブラック校則や一斉講義形式の授業が残存するような現状では、今後も児童生徒の意見表明権など尊重されるわけがあるまい。「児童生徒の意見表面権の尊重」というフレーズもまた国民の目をごまかすための、ただの綺麗ごととして利用されてしまうのではないか。

 同質性が高く、同調圧力の高い社会は政府にとって極めて効率的であり、政治的な安定性を保てるがゆえに、日本の学校は安価で効率的な多人数教育の下、画一的な一斉講義形式による指導を通じて同質性と同調圧力の高い社会を今後も再生産しようとしている…実はそういうことなのかもしれない。

参考動画

【危険】今、日本人が自分の頭で考えられなくなっている理由

 曖昧な思考 2025/06/05  16:51

 面倒な事実関係の検証をサボり、深く考えることをしないまま、ただ単に周囲の空気を読んで大勢の意向に合わせることは簡単で楽な行為のため、省エネに走りがちな脳が自然に好む選択肢の一つであるだろう。敢えて意識的な努力を重ねなければ人は自分なりの思考を放棄しがちなのだ。したがって現代のSNS、ネット上にはびこる「思考の放棄」現象から自分を引き離すことは誰にとっても極めて困難となる。

 であるならばなおさら、高校生のうちから可能な限り周囲の空気に流されずに自分の頭で考える訓練を繰り返すことこそが今の日本で最も必要とされているように思えるが、いかがか。討論、議論を軸とする授業が生徒たちの自分なりの思考力を鍛える上で大いに役立つはずである。

 この動画はわずか一度の視聴で理解できるものではあるまい。解説を挟みつつ、できれば二度は繰り返してじっくりと視聴させたい。ただし「曖昧な思考」というチャンネルではかなりスピリチュアルに偏った内容の動画が数多く見られるので、宗教的勧誘の側面には要注意。したがってこれ以外の動画の多くは決してお勧めできない。

参考記事

乙武洋匡氏 ryuchellさんが「多様性は強要しない」と 「友達なんかじゃな

 かった。」と悔恨 デイリースポーツ によるストーリー 2023.7.15

 「多様性で大事なのは、強要しないことじゃないかな。自分はこう思うからあなたもわかって!ではなくて、なるほどあなたはそういう意見なのねって、まずは認める姿勢を見せること。相手にも自分にもどこまでやわらかくなれるかだと思うんです」

 多様性の尊重とはどういうことなのか、ryuchellさんが遺した言葉に耳を傾けたい。彼が討論の場でこのことを常に意識していたからこその、あのソフトな語り口調だったのだ。いつも討論する際には心がけたい金言。

参考動画

【コミュ障?】最近の若者が社会人になっても人付き合いを避ける理由…

 山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説【山田玲司 切り抜き】

  2022/06/07  10:25

 討論型の授業を展開するために最初に視聴させたい動画の一つ。相手の意見をしっかりと聞くことができる事と自分の意見を持ち、それを分かりやすく伝えることができる事がいかに大事か、まずは知っておきたい。そして日本の学校ではなぜ討論型の授業が広がらなかったのか、根付かなかったのかを考えさせたい。

【ファクトチェック】正しい情報を国が判断ってアリ?言論弾圧?民間企業に任せ

 るべき?ABEMA Prime #アベプラ【公式】2024/08/08  20:42

 討論の土台とすべき事実認識に一定レベルの思い違い、事実誤認が存在してしまう可能性を完全に排除するのはおそらく無理だろう。そしてたとえ多少の思い違いに基づく意見であってもその意見が全くの無意味であると決めつけること自体も実は間違いである可能性はある。そもそも私たちがある意見を持つために必要とされる知識はいつだってあまりにも不十分なレベルにとどまっていて、むしろ自分の意見を完全なものとみなすほどの知識を誰一人所有していないと心得るべきなのではあるまいか。

 日本の戦後政治はGHQやCIA、日米合同委員会などの働きもあって数多くの情報がいまだに国民には隠蔽されたままであると見て良いだろう。たとえば正力松太郎の戦後日本における役割とは何だったのか、その全貌を掴むことはおそらく今も不可能であると考える。アメリカの公文書館等に保管されている彼の関係資料には現在も黒塗りされた部分が少なくあるまい。同様に731部隊の全貌もすべてを白日の下にさらすことは未だに出来ていない。沖縄関係に限らず、日米間の各種密約の全貌もしかりである。それが極めて重要な知識であるにもかかわらず「ファクト」自体の多くがひどく限定されている日本のような状態では「ファクトチェック」もまた不十分なものにとどまるのは不可避である。当然、このような状態の下では政府側にファクトチェックを委ねることほど危険なことはあるまい。それは「知らしめず、依らしむべし」の愚民化政策を加速させるだけである。

 かつて動燃が原子力発電に関わる事故隠しを続け、国民の信用を完全に失ったように、日本政府もまた近年のモリカケ問題などに見られたゴマカシ、隠蔽工作を性懲りもなく繰り返し、国民からの信用をひどく失いつつある。こんな隠蔽体質に覆われた政府による検定教科書を教師が疑うことなく鵜呑みにして漫然と授業をして良いはずがない…という考えははたして極論なのであろうか。

 情報を発信する立場にある者はすべてファクトチェックの努力をすべきだが、誰であっても完璧なファクトチェックを期すことは不可能である。重要なのは乱立し、対立する多様な意見をただちに感情的に排除するのではなく、時間をかけて自説を検証し、出来る限り広く深く考え、とりあえず現状で探りえた事実、知識を用いて自説を補強していく事、ないしはより良い他説に乗り換える事。同時に自説と異なる各種の意見への理解を深めつつ、現状で考えられうる限りの反証を試みてみる…こうした地道な努力をすべての人がお互いに果てしなく続けていくことであろう。

 討論型の授業は以上のような観点からも高校での授業に積極的に導入されるべきだと考えるが、いかがか。

【議論の仕方】多様性を大事にしても議論はうまくいかないので、同質性を大事に

   しましょうということについて解説します

   謎解き統計学 | サトマイ  2024/06/28  14:23

   非常に面白い、かつ重要な観点を提示してくれている。ただし突っ込みどころが無いわけではあるまい。まずは生徒に視聴させて突っ込みどころの有無を問いたい。授業における対話型討論を有効に機能させていくために必要とされる重要な観点を生徒たちが見つけられれば極めて有意義な動画視聴に転換できる。

   個人的には差異、多様性よりも同質性に注目することで、一見対立する意見同士のすり合わせを実現する…これはスピーディーかつスマートな形で議論の収束、意見の統一を図ることを目的とするならば、当然の心構えと言える。しかしたとえ対立する者同士で目的、理念が共通していても、目的達成に至る方法論が異なればいずれにせよ自分たちの目的や理念に到達できない可能性はあり、まったく異なる結果をもたらす危険性すらあるだろう。方法論の違いの底には意外なほどに根が深い差異、対立点が潜んでいる場合は十分あると思う。それは民主主義をどう捉えるのかにも関わってくる重大な観点ではあるまいか。

 議論においてあらかじめ同質性を重視することも間違いだが、異質性を強調し過ぎるのももちろん間違いである。それは人としての遺伝子情報の同質性の高さとは無関係の話であり、社会のあり方を論ずるときには生物学や医学での学説を安易に当てはめて説明するのがそもそも筋違いなのである。

 日本社会における同質性の高さは、集団的作業での効率性の良さとなって高度経済成長期を実現させてきた重要な因子の一つである…このことはほぼ疑いえない事実だろう。しかし高度情報化社会においては組織の効率性のみならず、個の突出した力が問われる。常に周りを忖度し、個性をイジメの原因と見なして排除しがちな同質性過剰強要の日本社会で今、一番問われているのはやはり個性や多様性の尊重なのだと思うが、いかがだろう。

 今までの様に結論を急いで忖度を強要し、タイパ、コスパばかりを重視していると日本社会の息苦しさは強まる一方となるかもしれぬ。むしろタイパ、コスパを多少犠牲にしてでもじっくりと議論のすり合わせを続けていく努力が、少なくとも学校教育段階では切実に求められていると考えるが、いかがか。授業のタイパ、コスパを少しばかり犠牲にできる程度の、本当の「ゆとり」が今の青少年にはとりわけ必要なのではあるまいか。

 日本に限らず、世界の姑息な政治家たちはさも民衆に迎合するような政策を自分の理念、ポリシーとして掲げつつ、いつの間にか政策の実現方法や論点をずらして民衆の期待を根本から裏切る…そういった汚い技をこれまでも得意とし、長い事駆使しきたのではあるまいか。今や彼らの皮相な理念など信用する方が間違いなのであり、裏に秘めた彼らの本当の狙いに気付くべき時なのではあるまいか。

心理的安全性を高める。どうしたら皆が働きやすい会社をつくれるか?

 精神科医がこころの病気を解説するch 2024.1.16 11:45

 皮肉ではあるが今の日本の学校がどれほど「心理的安全性」が脅かされる場所となっているのか、なぜイジメがはびこり、不登校が多いのかがよく分かる動画となっている。相手の個性や多様性を重んじて時代の変化に柔軟に対応し、外部からの批判に学ぶような謙虚な姿勢があれば組織の心理的安全性は高まる、という指摘と真反対にあるのが隠蔽と自己保身に走り、画一的で管理主義的な今の日本の学校なのだと思うが、いかがだろう。

 当然のことながらこうした日本の学校文化においては、討論型の授業ほど根付きにくいものはあるまい。日本の場合、教師や生徒たちが活発に自分の意見を言えるような「心理的安全性」が極めて低いからである。しかしだからこそ討論型の授業を根付かせていく努力が必要なのであり、その努力こそが学校改革の中核部分になりうるのだと私は考える。

バカになるな!論破のテクニックで騙されてはいけない!【宇野常寛】

 たかまつななチャンネル 2022.10.10 22:50

 討論中心の授業とする場合、ディベートのような論争の勝ち負けにこだわる「ひろゆき」流あるいは「橋本」流の論破ゲームに陥らないような配慮が肝要となってくる。宇野氏の指摘する「スネ夫症候群」に要注意。基本的には討論の過程で多様な意見の創出をまずは目指すべきだろう。そして大勢の意見を聞くことを通じて多様な価値観がこの世に存在することの社会的意義を確認していく・・・それこそが一人でも多くの生徒を巻き込む、討論を用いた授業の最重要目標とされるべきだろう。意見の多様性を熱望する討論の場のあり方の中にこそ、ラディカルに「問いそのものを問い返す」可能性や問題解決に向けたオルタナティブで建設的な意見の創出に向かう可能性が胚胎するに違いない。従って教師は討論において決して議論を一つの結論に導いていくような誘導や断言をしてはなるまい。一つ一つの異なる意見が持つ様々な意味、意義を注意深く見出し、生徒達にもしっかりと気付かせていく事に教師は最大限の労力と工夫を払っていきたい。

 もちろん、議論の方向性が一定せずにあてどなく彷徨ってしまっては論点がぼやけてしまうので、ある程度構造化されたアンケートや発問計画を事前に用意してから討論に望むべきなのは当然の事である。

【心理的安全性】誰もが率直に意見を言える環境とは?組織改革を進めるカギ?超

 重要概念を学ぶ

 2022/05/29 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】 24:20

 多様な意見を引き出すために必要とされる「心理的安全性」とは何か、理解できる。「心理的安全性」をまず確立しておかないと討論型授業は成立しないだろう。

【ハーバード大学准教授が語る】社会的に消す「キャンセル社会」の闇【ひろゆき 

 の妻&奥井奈南】 ReHacQリハック【公式】  2023/05/14  34:50

 多様な意見を引き出す上でキャンセルカルチャーの危険性に留意する必要があるだろう。

参考記事

多数派の考え方を変えるために少数派の人たちができることとは?

  【社会心理学】 ラブすぽ の意見 2023.6.22

 少数派の意見が多数派に影響を与えられるようになる条件として、少数派の意見が一貫している(多数派に阿らない)、他の論点では多数派の意見を持っている(ただの天邪鬼ではない)、多数派が現状に満足できず、改革を求めている、などがあるという。社会を変えていこうとする場合には大いに参考となる知見だろう。

 

 

 もちろん教科書を軽視するのではなく、重要事項の理解や暗記もある程度は要求しつつも、多様な意見を引き出し、多様な意見が飛び交う中で最適解を目指して粘り強く思考する対話的な力を養うことをより重視する。必ずしも多数派の意見を支持するわけではなく、少数意見にしっかりと耳を傾けることで多様性の持つ豊かさが担保され、すべての生徒が自己の意見表明をしやすくしていく・・・という目指すべき討論型授業への基本的スタンスを堅持する。

 

・討論型授業のキモ

 授業が十分に活性化しているならともかく、いきなり手を挙げさせて一握りの生徒に意見を言ってもらう展開は出来るだけ避けたい。討論や考える事自体を面倒くさがる生徒は多い。誰か一人が意見を言うと、他の生徒は自分なりの考えをまとめようとしなくなり、他人の意見に流されがちになる。教師には意見が出尽くすのを待つゆとりが必要である。

 意見が大体出揃った時にはA~Dどの意見に賛成か・・・などと生徒全員にそれぞれ挙手させて数を数え、その場でクラスの意見のあり様を類型化して確認させたい。

 ただしその際、マイナーだった意見の持ち主を見捨てない事が肝要。時にはマイナーな意見の背景や根拠を生徒全員で共有できるよう、深掘りしていくべきケースも大いに考えられる。

 当然、他の生徒から多く賛同を得られた意見が正しいとは限らない。むしろ多数派の意見がひっくり返るような、予想外の展開こそ、目指したい。もしもそのような展開になれば大成功。今後、多くの生徒が意欲的に討論に参加するようになるだろう。

 

参考動画

【天安門事件以来の盛り上がり】中国の言論統制と闘う若者たち 家族や仲間が拘束

 され銀行口座も凍結 [クロ現] | NHK  2023/09/14 9:46

 中国の若者たちの言論の自由を求める命がけの取り組みに対して、まず、どう思う

のか、生徒たちに問いかけたい。さらに、日本の若者たちに今、言論の自由が本当にあるのか、問いたい。

 特に李苹さんの「意見を持つことは国への最大の愛情です。希望を抱くからこそ声を上げるんです」という発言について深く考えさせたい。

 続けて言論の自由が成立する前提条件に付いていくつか列挙させたい。特に「情報公開」や「知る権利」をキーワードにして一歩踏み込んで深く考えさせたい。例として社会科の教科書で本当に自分の意見が持てるのかどうか、確認させよう。

 ここで「君が代」について歌詞の意味を問うのが良いだろう。

 そしてもう一度、日本の若者に言論の自由が本当にあるのかを問いたい。

ひろゆき、EXITアベプラ・平石アナはなぜ猛獣軍団をファシリテートできるの

   か? 新R25チャンネル  2021/04/26  9:00

 討論型授業におけるファシリテイターとしての教師の役割を考える上で大いに参考となる動画。

【論破ブームの危険性】アベプラ平石アナの「論破上手=優秀はテレビの世界だ 

 け」に若新雄純が本領発揮【前編】 新R25チャンネル  2023/06/07  29:52

【議論で重宝される人】「議論で熱くなってもなぜか愛される人」。アベプラコン

 ビ・平石アナ×若新雄純がたどり着いた結論 

 新R25チャンネル  2023/06/14 28:38

 討論の進め方、注意点がよく分かる。「ムキにさせる」「審判を下さない、勝敗をつけない」「多様性尊重」…

【誹謗中傷する人の心理】脳を惑わす3つのバイアス/SNSはロジックのズレだら

 け/ハーバード大学と日本の違い/脳は省エネモードで動く/違和感に向き合え 

 PIVOT 公式チャンネル  2023/05/20  35:51

 認知、認識における無意識のバイアスの存在と「中傷」、「攻撃的言動」の背後に潜む歪んだロジックを知っておかないと討論がただの論破合戦に陥ってしまう危険性が生じてしまうだろう。討論型授業を行おうとする教師にとって必見の動画である。

 

 したがって多数決にもっていくような展開は最悪ディベートはあくまで討論に刺激を与えるべく議論の導入時のみ、利用するだけ。一つの結論が欲しいわけではないので議論の勝ち負けや多数決は完全に無意味。特定の結論を出す必要もまったくない。あくまでも大切にすべきは、意見の多様性を確認させ、それぞれの意見の存在理由をできるだけ深掘りすること。

 

 またアンケート形式の質問用紙を多用し、口頭では発表できない慎重派や引っ込み思案の生徒の意見表明の機会をしっかりと保障すべきである。アンケート結果の集計と共に意見の一部は次回の授業で紹介する・・・などの工夫を重ねて生徒達の意見を一人でも多く、また少しでも多様な考えを引き出し、共有していくことを重視。アンケートの集計結果を公開する際にも少数意見に十分留意し、生徒たちが少数意見に注目するよう、繰り返し注意喚起しよう。

 アンケートへの回答を通じて生徒達が多様な意見の存在理由をしっかりと確認出来るよう、質問項目を工夫したい。同時に多様な観点によって混乱しがちな頭の中をスッキリと整理出来るような方向性を持たせた質問項目の内容と配列、組立て方を予め計画しておくと安心。これは相当難しい作業だが、議論の無秩序感を低減するためには事前に必要とされるものだろう。従って当然の事ながら教師側には議論のテーマに関する広い知識、深い理解が備わっているに越したことはない。

 

 ただし、十分な力が無い状態であっても討論型授業へのチャレンジは果敢にトライすべきである。何事も経験を積み重ねていかなければ前進できないはず。討論がアナーキーな状態のまま終わってしまう事は先生方の職員会議の場面ですら、普通に生じている。失敗は成功の本である。まずはトライあるのみ。

㉓イジメ事件隠蔽の裏側

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

「なんだこりゃ?」三千字超えの遺書に抱いた違和感…愛知県西尾市中学生いじめ

    自殺事件を描いた「924ページの大著」を読む

    現代ビジネス 仲野 徹(大阪大学名誉教授) 2025.8.27 

    学校の味方となるような内容でなければ取材には応じない…と語った取材時の校長の発言に、学校の隠蔽体質があからさまに露呈している。かなり昔の事件だが、学校の体質に大きな変化はあるまい。

子どもの「ネットいじめ」過去最多 いじめるのはジャイアンではなく「しずかちゃ

   ん」タイプのワケ AERA dot. 野村昌二 の意見 2024.6.26

 面白い指摘であり、授業で紹介すると議論が活発化するかもしれない。近年、ネットイジメが激増していることで「しずかちゃん」タイプがイジメ加害者となりやすくなっているとのこと。また学校でのクラスは「関係流動性」が低く、同調圧力が高いため、イジメを見て見ぬふりをするなど、イジメの歯止めがかかりにくい状況を生み出しやすい集団だという。ぜひ生徒たちの意見も聞き出したい。

「カスハラ」連発の今の日本は「優しい国」じゃない…海外の人が抱いている「正

 直な感想」現代ビジネス 片岡 亮(フリージャーナリスト) の意見 2024.6.15

 人助け指数が昨年度ランキング(2023年度)で、日本は142カ国中139位であること、「日本は社会主義的に、集団の調和を重視する傾向が強く、個人の問題に対する配慮が後回しになりやすい。以前、電車やバスでのベビーカーを邪魔だとする人々が結構いるという話があったが、ベビーカーを押す母親の大変さより、その場にいる人々への配慮を優先して考えた意見がたくさん見られた」という指摘はイジメ問題を考える上でも大いに参考になるだろう。これらが日本社会の随所でイジメとその隠蔽がはびこる背景にあると思われるが、いかがか。

参考動画

【坂井風太】「生存者バイアス問題」と若手の不本意離職を防ぐには

 ReHacQハック−【公式】  2024/01/17  52:35

 組織マネージメントの専門的見地を学校組織に当てはめると、学校での不祥事、隠ぺい事件の背景にどのような組織文化があるのか、探っていく必要があるだろう。坂井氏の指摘には非常に有意義なポイントが数多く含まれているようだ。特に「生存者バイアス」は極めて重要な観点で、学校をダメにしている大きなポイントではないだろうか。新人教師の教師としての自己効力感を高めるマインドセットをどう創り出すのかを探ることは大学での教員養成教育においても必要不可欠なはず。

 

・町田小学生イジメ自死事件

「学校配布タブレットでいじめ」 小6女児自殺で両親が訴え

   2021/09/13 TBS NEWS 1:24

東京・町田 小6女児自殺 文科省が市の教育委に指導

   2021/09/15 TBS NEWS 0:43

東京・町田市 いじめ訴え女児死亡 遺族「教育委の調査は一方的」

   2021/11/04 TBS NEWS 2:17

参考記事

町田12歳女子イジメ自殺》「目をえぐる」「さいごに包丁でめったざし」 小学生

 が作ったとは思えない「ころしかたノート」の“残虐すぎる内容” 

 文春オンライン 渋井 哲也 によるストーリー 2024.3.23

 まだ事件の全貌は明らかにされておらず、結論めいたことは言える状況にないが、これまでに判明した分だけでもこの事件の闇深さは十分、伺えよう。イジメ事件隠蔽を考える上でその導入部に使えば生徒たちの関心はかなり深まっるに違いない。

遺族「なぜそういう結論に」“いじめ”訴え小6死亡 調査委「原因特定できず」

      テレ朝news  2024.3.29

    第三者委員会には警察のような強制的捜査権は無く、元来が限界の多い組織に過ぎないことは予め理解しておくべきだろう。事件が表面化してから3年近く経っているにも関わらず、何一つ、事態は進展していないように見えるが、いくつかの案件に関してはイジメとの認定を受けている。また一般的には自殺の原因を特定すること自体、極めて難しいのも事実であり、捜査権の無い組織が確たる証拠もなしに断定的なことを言いにくいのはまさに第三者的には理解できなくもない。どんなメンバーだったのか分からないが、町田市の第三者委員会としてはこれが能力面での限界だったのかもしれない。

 とはいえ相当ひどいイジメがあったことは確認されており、今後、そのことに対して学校側や教育委員会側がこれまでの期間も含め、どのような取り組みを行って事件の再発防止と加害者側の反省、他の生徒たちへの指導が出来るのか、その実際のプロセスが改めて問われてくるだろう。

 ただし、これまでの流れを振り返るとおそらくそれすらもきちんと行われてきたとは到底、思えない。ひどく不誠実な動きが学校や教育行政側に目立つ案件ではある。

 もしかすると事件の解明に関して遺族側は町田市及び町田市教育委員会、学校側のメンバーに対して今後一切、期待すべきではないほどに困難な状況に直面しているのではあるまいか。そうであるとすれば遺族側が自殺とイジメとの因果関係をはっきりさせるためにはおそらく裁判に持っていくほかに手立てはあるまい。裁判になれば学校や教育委員会にも警察の強制捜査が入り、当時の関係者たち全員にイジメへの対応の是非、さらには事件の隠蔽や虚偽の説明の有無がそれ相応に厳しく司法の場で問われていくに違いない。

 そもそも学校や教育委員会のような、ブラックボックス化して自浄能力に欠ける組織に真摯な反省を求めるのは土台、無理な話であり、町田市の場合、遺族は裁判に訴えるほかに有効な手立てはどこにも見当たらないように思えるのだが、いかがだろう。

「校長が言えばまず『分かりました』と答えろ」「最低の教頭」などと叱責 堺市立

 学校の校長をパワハラ行為で懲戒処分 ABCテレビ   2023.11.17

 大阪や兵庫で続発する学校関連の事件のレベルの低さを眺めると教員養成のみならず、管理職養成とその採用基準に大きな疑問を覚えざるを得ないだろう。同じ管理職ではありながら校長と教頭との上下関係はほとんど封建的主従関係に近い。ならば平教師、とりわけ講師の立場がどんなものなのか、推して知るべし。

 これまでひたすらに正教諭の数を減らして講師や非常勤の数を増やしたのは決して人件費を減らすという経済的目的だけではなかった、ということ。学校のブラック化、ブラックボックス化にはこうした側面も大きく関与していることに気付いていただけるとありがたい。

なぜ日本人は「理不尽」を受け入れてしまうのか…学校から「いじめ」がなくなら

 ない理由 現代ビジネス 現代新書編集部 の意見 2023.10.30

 学校の閉鎖的村社会化、ブラックボックス化、ガラパゴス化がイジメを広範にはびこらせ、各種事件の隠蔽を促す要因の一つとなっていると考えられよう。

日本と大違い…フランスで「いじめ」が犯罪行為とみなされる「納得の理由」 新法 

  成立の背景 現代ビジネス A4studio の意見 2023.12.1

   集団生活を身につけさせることを教育目標のメインにしがちな日本の学校と個々の学習をメインにおくフランスとの違いがイジメ問題への対応の違いになって表れてくるという指摘に納得させられる。個の人権や多様性よりも集団社会への適応を優先させる「滅私奉公」的価値観がいまだに日本の学校には浸透しているようなのだ。そしてそのことが学校によるイジメ事件の隠蔽や教師たちの対応の鈍さとなって表面化しているのだろう。すなわち個々人の学びよりも集団主義的洗脳を主眼とする日本の学校教育は今やその根本から見直しを迫られていると考えるが、いかがか。

日本で「いじめ」がなくならない「本当の理由」…子どもから自由を奪う「学校」

 という病 現代ビジネス 現代新書編集部 の意見 2023.12.26

日本人は「世界一礼儀正しい」が「世界一イジワル」だった…「自分の利益より他

 人の不幸を優先する度合い」を測る実験で「日本人ダントツ」の衝撃結果 

 現代ビジネス 週刊現代 の意見 2024.1.2

 非常に興味深い指摘であり、アンケートなどを使って生徒たちの意見を募いたい。

 日本社会に蔓延する「生きにくさ」の正体は日本人特有の集団心理にあるのかもしれない。規律正しさ、礼儀正しさ、おもてなし文化…これらは同調圧力の強い日本社会が生み出した強みでもあり、これまでの日本の工業化を支え、観光業の発展をもたらした長所ではあったが、同時に「出る杭は打たれる」、場の空気を読めない「KY」を排除する集団的イジメを学校などにはびこらせてきた側面があることも否めないだろう。

 単純に集団主義的な心性を批判し、個性や多様性の尊重を謳うだけでは日本人の長所を損なう恐れもあると考える。要は行き過ぎた忖度を見直し、個性や多様性の価値を認めつつも、規律正しさ、礼儀正しさを出来るだけ失わないような工夫と絶妙なバランス感覚が求められているのだろう。

【緊急保護者会】大阪中1女子自未遂!全音声公開74 分  

 2022.6.5 加藤秀視 26:26

 これも学校の隠蔽体質が露見したケース。ただし行政のバックアップも乏しい中で現場の教師が抱えている膨大な仕事量と苛烈なストレスへの理解は学校が頑固な隠蔽体質を持つに至った背景を知る上で欠かせまい。学校現場への理解を欠いたまま、学校や教師を一方的に断罪するだけでは教育現場の絶望感を深めていくだけであり、教師志望者をさらに減らしていくだけとなりかねない。

 もちろん学校の伝統的な隠蔽体質が学校教師への世間による共感的理解を妨げてしまい、それがまた隠蔽に走る学校や教師に対する厳しい批判を招いてしまう一因ではあるだろう。加藤氏らにバッシングされている学校の惨めで情けない現状は厳しく言えば自己防衛ばかりに腐心し、自己改革をサボってきた学校側の自業自得と言えなくもない。これからは学校をもっともっと大胆に世界や世間に向けて開いていく努力をしていかなければならないのは確かであろう。さもなければ日本の学校は児童生徒および教師にとってさらに辛い場所になってしまうに違いない。

 加えて何よりも重大なのは教師及び管理職の採用条件であろう。たとえばこれまで日本の教育行政のあり方に批判的な意見を面接試験の場で一度でも表明した人物は教員採用試験や管理職登用試験で必ずと言って良いほど落とされ続けてきた(場合によっては永遠に正規雇用されない)と考えられる点である。学校の現状に批判的で学校改革を進めていけるだけの意欲と可能性を秘めた人物を予め現場から排除しようとするような、閉鎖的で変革を好まない村社会的人事を教育行政側が続けている限りは、教育委員会や管理職が「いじめ問題」の隠蔽をやめることはまずないだろう。

 これまでの教員養成教育や教科書検定制度を含めて学校教育をあらゆる角度から根本的に見直さない限り、日本の保守的で閉鎖的な学校体質に何一つ変化は訪れないと考える。実際、悲惨の極みに思えたあの大津イジメ事件からですら、多くの管理職や教育委員会、一般の教師たちがほぼ何一つ学ぶことの出来ていなかった証拠が、大津以降、流山、西宮、堺、名古屋、酒田、静岡、川口、旭川、尼崎、町田などでの出来事で立て続けに露呈してきている。おそらく根本的な見直しがされないままでは同様の事件が今後も各地で続発していくに違いない。

 加藤氏らの挑戦が請願権を楯に大きな燎原の火となって政治を動かし、法制度を変えていくまでにはやはり相当の困難と時間を要するだろう。つまり学校教育の現場と行政側はとっくの昔に自浄能力を無くしてしまい、ほとんど自己変革を期待できないほどに組織の腐敗と衰弱が進んでいると思えるからである。学校現場の関係者に「イジメ」事件を円満に解決する能力や時間的余裕が残されているとは最早、到底考えられない。

 逆にこうした事件が明るみに出れば出るほど学校では「やってる」感を演出するための体裁作りばかりが増えていき、教師達は体裁作りに追われていよいよ疲弊していくに違いない・・・これが教育現場に携わる人々の大方の実感ではあるまいか。

 元教師という立場からは余りにも情けない言い草なのだが、正直なところ、日本の学校を変革するためには教育行政や学校関係者以外からのさらなる強烈な「外圧」を必要としていると個人的には感じている。

 今、BBCがジャニー氏の性加害報道をしたことが一つの突破口となり、これまで幾度も性加害の告発があってもほとんど動こうとしなかった日本のマスコミや芸能界がとうとう動き始めざるを得ない状況に追い込まれている。

 昨年、マスコミや芸能界が外圧によってにわかに動き始めたように、日本の学校にも新たな「黒船来航」が必要となっているのかもしれない。それほどに日本の教育行政は学校現場を含めて長い間、ひたすら一部の政治家の道具として使いまわされ、使い倒されてきた結果、もはや、自らを変革するだけの主体性と柔軟性をゴッソリと失ってしまっているのではあるまいか。

 

<ちばライブ>習志野の小学校いじめ 第三者機関が再調査 「知識・理解の欠如」

    「判断の誤り」 学校、市教委などの問題点を報告書で指摘    東京新聞 2025.9.5

    あれだけ大騒ぎになった北海道旭川の事件に、一切、学ぼうとしない千葉県の教育会における人権意識の欠如と無恥厚顔な姿勢がこの件でも強く感じられる。第三者委員会のメンバーに第三者としてふさわしくない人物を、性懲りもなく抜擢する、悪質極まる案件…直近では市原市でも見られた。

    第三者委員会に留まらず、再調査委員会までが加わらないとまともな調査すら期待できない…かつてその動向が広く注目された結果、旭川市教委は黒蕨教育長の辞任を免れなかった。しかし、習志野市では教育長が何やら偉そうに上から目線で激怒してみせている。この不祥事に対して、本来、真っ先に責任を取るべき長たるものが自ら責任をとる気配すら一切見せず、「俺様の顔に泥を塗りやがって!」とばかりに部下や学校現場へ威圧的に八つ当たりする…このみっともなさはいかにも千葉県らしい。

    千葉県ではこれまでも教育委員会以下、イジメ問題への消極的対応が異様なまでに目立ってきた。すなわちイジメ被害者の泣き寝入りが頻繁に起きやすいのがまさに千葉県の伝統的教育風土、と思われても仕方あるまい。

    なぜ、ここまでグダグダしてしまったのか、県全体レベルで教育長を含む関係者への厳しい追及と処断が求められるに違いない。

いじめ再調査委答申、父親「納得いかない」提訴の構え 千葉県市原市立中 

 産経新聞 2023.11.22

市原市の中2いじめ問題で、新たに2件を認定 被害生徒側は「不服」 

 朝日新聞社  2023.11.22

【独自】「お聞きはしてない」再調査委 いじめ隠ぺいの証拠音声聞かず最終報告

 書 千葉・市原市「いじめ重大事態」 FNNプライムオンライン   2023.11.23

 …再調査の過程で生徒側は、学校で関係者が話し合った音声データを「いじめがあった証拠だ」として提供する考えを再調査委に示していた。だが、再調査委側は「音声は取り扱いが難しい」「失念していた」などとして、受け取らないまま事実認定を行っていた

   これだけの大失態を犯しながらのうのうと答申を提出する「いじめ再調査委員会」とは一体、どんな組織なのだろう?しかも音声データには市教委による隠蔽の証拠とされる箇所があったというから驚きだ。これは再調査委による第二の隠蔽、と疑われてもやむをえまい。誰がどう見ても本気で実態を把握しようとは考えていないことがバレバレではないか。これまでさんざんもめてきた経緯があるにもかかわらず、この杜撰な対応ぶりは決して許されるものではあるまい。

 

担任のいじめ問題 県教委に報告促されたのに野洲市教委対応せず

 毎日新聞 2022.12.14

 大津市イジメ事件で話題となった滋賀県ではあるが再び、残念な事件が野洲市で発生している。今回も学校や市教委による隠蔽とも受け取られかねない事案である。教師が特定の児童をいじめるという大問題に対して校長や市教委の不誠実な対応は確かに許容できないだろう。

 しかし、こうした問題が各地で続々と生じてしまう背景に教師や教育委員会の人手不足および過重労働の深刻さが背景にある事が予想される。確かに教師や教育委員会、学校への批判も必要ではあるが、人員及び予算不足の深刻化と同時にそれと反比例するような仕事量の激増が一気に学校教育界隈を追い詰めている感は否めない。

上級生からのいじめを担任が容認…いじめ受けた生徒の尻を複数回蹴る 教諭ら懲戒

   処分 毎日放送 によるストーリー 2023.12.26

 大阪府摂津市での事件。校長による犯人隠匿に近い隠蔽工作が発覚している。これだけの事件を校長減給一か月、担任減給六か月という処分で本当に良いのだろうか。こういう事件を続々と生みだしている学校教育の風土が大阪府や兵庫県に蔓延しているように感じられてならない。

 

・大阪府門真市中3イジメ自死事件

中3男子生徒いじめ 遺族が会見で「加害者たちを絶対に許しません」吉村知事に「厳罰求める」手紙送付を明かす 毎日放送  2024.2.15

高校合格を報告した夜に…中3男子がいじめを苦に自殺 「絶望と無念な気持ちを抱

 えながら死を選択せざるを得なかった」と第三者委は指摘  

 FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.2.15

【速報】SNSで繰り返された誹謗中傷中学3年の生徒がいじめを苦に自死門真

 が第三者委の報告書公表「いじめと自死との因果関係認める」教育長らが謝罪 

 毎日放送 によるストーリー 2024.3.19

いじめで息子を亡くした母親 加害生徒側から"謝罪の手紙"が届くも不信感「本当

 に 悪いと思っているなら、もっと早くに自宅に来るはず」 匿名SNSで誹謗中傷・

 LINE陰口で中3男子が自死   毎日放送  2024.8.6

   2年前に大阪府門真市の市立中学校に通っていた3年生の男子生徒がイジメを受けて自殺した件で遺族が学校や教育委員会の対応に不満と不信を募らせ、ついに府知事に直訴したが、「厳罰」に関しては軽く一蹴されてしまったようだ。

 確かに公教育への政治介入は本来、好ましくない。しかしこれだけイジメ事件の隠蔽が繰り返される状況下ではもはや文春などのマスコミを通じて世論に、あるいは裁判所に訴えるしか遺族に残された手段はあるまい。もちろん、これらも辛い作業となり、かつ生活に時間的、経済的余裕がなければ無理。多くの遺族が実質的には「泣き寝入り」状態に置かれている現状をどうすべきなのか、腰を据えてじっくりと考える必要がある。

 同様の悲劇が繰り返されないことこそ遺族側の一番の願いとなるだろうが、どうみても悲劇は執拗に繰り返されており、むしろ事態は悪化しているかもしれない。学校も教育委員会も、イジメ問題に対してはその無能さ、無責任さをいよいよさらけ出してしまっている。警察だってこの問題に深入りするだけの余裕は無いだろう。

 まずは教師の仕事を精選して負担の軽減を大胆に進めた上で画一的、管理主義的指導を改め、児童生徒集団の同調圧力を弱めて学習の個別最適化を図る。同時に教師養成教育の内容と教員免許の基準や教員採用、管理職採用のあり方を見直す。より個性や多様性を尊重し、協働の学びを追求する授業の在り方を目指す…非常に遠回りで内容が多岐にわたり、いずれもかなりの時間を要するが、根本的にはこれしか方法はあるまい。

 とはいえ、隠蔽、隠匿した側が厳しく罰せられないまま、ただ口先だけの謝罪で終わっているケースが多すぎやしまいか。これではやはり事件の連発に歯止めがかかるまい。責任を感じているのなら、謝罪だけではなく、教育委員会や学校側にはそれなりの誠実な対応が求められているはずなのだが…

 

 教職員の待遇改善と教師の質の向上は同時進行であるのが望ましいのだろうが、残念ながら以上のような報道が続くと若者の教師離れがさらに加速し、教師の質の低下に歯止めがかからなくなるおそれも出てくる。そうなってしまってはかえって教師や学校、教育委員会の不祥事を多発させる最悪の事態を招き寄せるだろう。

 すなわち大学での教師養成の在り方を根本的に見直しつつ、教師の待遇改善と採用基準の見直しを同時進行で可及的速やかに実行していく事が日本の教育界の喫緊の課題ではあるまいか。

 ただし現政権は教師養成という大きな問題には頬被りして、教師の待遇改善と教員採用試験のハードルを下げるという対応しか試みるつもりは無いようだ。教師の待遇改善はもちろん急ぐべきだが、まだ具体策が見えてこない。しかも採用試験のハードルを下げることの弊害は極めて大きいだろう。

 

「いじりといじめの違いって何?」いじめ被害者による予防授業 小学4年生の答え

   は?【news23】 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.3.30

  議論のたたき台として活用すると面白いだろう。アンケートと討議との併用ができれば最高の題材に化ける可能性が有る記事。うまく展開できればイジメ予防にかなり役立つ授業が出来そうだ。

   まずは「いじめ」と「いじり」との境界線はどこか…結論を急がずに対話的議論を続ける方法には学ぶべきことがあると思われる。多様な意見の存在を知り、自分の考えを深めていくことに議論の目的があるとすれば、この方法はかなり有意義な議論につながると期待できるだろう。

   次に注目されるのは、NEWS DIGアプリで『いじめの予防』などについて「みんなの声」を募集したところ、いじめ予防で重要なこととして半数近くが「加害者への厳しい措置」を選んでいるという点だろう。このところイジメ加害者への対応が不十分と思われる事案が数多く報道されていることへの

反発がこの結果の背景にあると思われる。もちろん加害者側の人権を無視した厳罰を人々が求めているわけではあるまい。ただ大津のイジメ事件のように加害者側にきちんとした反省が見られないケースに多くの人が苛立ちを覚えるのは至極当然である。

 イジメ加害者への指導として大切なのは本人が真剣に反省し、二度とイジメを繰り返さなくなることなのだが、これは決して簡単なことではない。大人でも刑務所を出るとたちまち再犯を繰り返す者が少なくない中で、ただでさえ忙しい教師たちが刑務官ほどの経験と専門的知識、及び強い権限を持ちあわせていないにもかかわらず、理解力に相当の問題があるかもしれない児童生徒たちに対して果たしてきちんとした指導ができるのか、否か…どう見ても現実的には無理筋ではあるまいか。

 学校は「教育的指導」という曖昧な枠組の中でイジメを捉えるから加害者側への指導がどうしてもぬるくなりがちなのだろうが、とはいえ学校は所詮、刑務所や少年院ではない。学校に出来ることは余りにも限られている、という謙虚な姿勢がまずは教師たちに求められるのだろう。

 したがって仮に教育委員会から重大事態と判断されたなら、事件の解決を警察や司法の手に委ねる判断も有り、とすべきである。これは必ずしも教育の放棄ではなく、「出来ないことはやるべきではない」という当然の現実的判断に基づくはずのもの。そもそもイジメは刑事罰の対象ともなりうる犯罪行為である、との認識が教師間にもしっかりと共有されるべきなのだ。そして刑事事件に対して教師が深く介入すべきではないのは論を待たない。

 ところが学校に警察を入れることを「学校教育の敗北」と捉えて極端に嫌う風土が多くの学校に存在している。この風土が解決を遅らせてしまい、事態をより悪化させるとともに、事件の隠蔽をも生み出している一因なのではあるまいか。また警察を入れた学校長の判断を教育者としてマイナスに評価するような、減点主義の教育委員会も少なくないのでは…

 イジメ事件への対応に苦慮する学校は多いだろうが、学校はそもそもこの問題にしっかりと対応できるだけの資源、権限に欠けている、極めて脆弱な組織なのであり、教育問題だから…といって学校が丸ごと抱え込もうとするのは極めて危険な事なのかもしれない。むしろ他機関との連携を積極的に推進することこそ、イジメ問題への現実的対応策と考えるが、いかがか。

国家権力を介入させない『私学の自由』と『いじめ対応』苦悩する生徒や保護者

  「行政機関なり役所なりが助けてくれると思っていた」学校に不信感...でも行政は指

   導できず 毎日放送 によるストーリー 2024.4.1

   イジメ問題に関しては日本の場合、教育機関として対応するには大きな限界があるようだ。法的な対応をとることを前提に弁護士等に相談するのがおそらく被害者側が最も納得できる方策なのだろう。今後は被害者側が加害者側だけではなく、学校や教育委員会側を訴える事例が増えてくるように思える。

いじめ申告に“警察じゃない”学校が調査拒否 自殺示唆ノートには花丸 母親「シャッ

   トアウトされた」読売テレビ によるストーリー 2023.12.7

 奈良市ではもはや隠蔽しようという恥や罪の意識すらない、ただの開き直りとも受け取れる凄いケースが報道されている。深刻なイジメが疑われるケースが表面化しても「学校は警察じゃない」と言い張り、ひたすら放置する…というありえないほどの厚顔無恥な学校側のスタンスで事態をこじらせてしまった驚愕の事件である。

 おそらくこのスタンスは校長を始めとする学校全体の方針なのだろう。だからこそ児童が自殺したいと記したノートに花マルをつけ、「You can do it」と児童に自殺を促すようなひどいセリフを平気で担任が記せるほどに、学校内にはイジメ案件に対して相当ヤバイ空気が漂っていたに違いあるまい。

 ついに学校は来るところまで来てしまった…問われるのは担任の非常識な対応だけではない。この担任の行動を助長したに等しい校長らの怠慢極まる無責任な学校経営の罪は一層、重いだろう。さらにいえばこうした担任を採用し、こうした校長を登用してきた奈良市教育委員会の人事における深い闇をも感じさせる一件であろう。

鴻巣・中学生いじめ 調査委議事録 確認できず 文科省指針、市規則違反か

   東京新聞 2023.12.15

   意図的な隠蔽なのか、ただの公文書管理の杜撰さなのか…いずれにせよ鴻巣市教育委員会のいい加減さ、だらしなさに呆れるほかない。

 

・横浜市教委の隠蔽体質

いじめ自殺の疑い、弁護士検証で新たに3件 横浜市立校で過去10年 

 朝日新聞社  2024.7.26

 教育者として、こんな姿勢でよくこれまで勤まってきた…と驚きを隠せないほどの無責任体質が横浜市ではきっと学校教育界全体に広く、長く染みわたってきていたのだろう。しかしこの「事なかれ」体質は教育界にとどまらず、日本社会全体にも深く浸透していたような気もしてくるが、いかがだろう。個々人の正義感は抑圧され、集団の安寧を優先する「忖度社会」、「和をもって貴し」となす日本的な集団主義の再生産装置こそ、日本の学校が果たしてきた社会的機能の中核的役割なのではあるまいか。

 日本の近代化において学校が連綿として果たしてきた国家主義的な役割への根本的な見直しが、あの敗戦後に至ってもほとんど進んでいない…息苦しくなるほどのもどかしさを感じてしまう一件である。

横浜の中2自殺 市教委が「いじめ」表記の削除要請、第三者委が指摘 

 毎日新聞 によるストーリー 2024.3.8

  全国各地で手を変え品を変えて執拗に繰り返されるイジメ事件の隠蔽。文科省を頂点とする教育行政のあり方、とりわけ人事政策に大きな問題を感じざるを得ない。

横浜市立学校で生徒2人が連続自殺遺族は「背景にいじめ」訴え、対応後手に 

   カナロコ by 神奈川新聞 によるストーリー 2024.4.24

   横浜市の教育委員会にも大きな闇がありそうだ。

横浜中2自殺、重大事態の認知遅れる 市教委、いじめ防止法違反の認識示す 

 産経新聞 2024.3.19

 「…平成26年度以降、同市で自殺した児童・生徒のうち、詳細な調査をしなかった38件について状況を確認する方針。」箇所に戦慄を覚える。そもそも児童生徒の自殺件数は義務教育段階では極めて少ない。市教委が関わるのは数の少ない市立高校を除くと90%以上は小中学校と考えて差し支えないだろう。ということはここ10年ほどの間に横浜市では詳細な調査が行われていない小学校、中学校での児童生徒の自殺が少なく見積もっても30件近くあったということ。もちろんこの数字自体、必ずしも信用できないのだが、それにしても…言葉に詰まるほどの酷さではあるまいか。

 これまた必ずしも信用できないが、とりあえず文科省の全国統計を確認してみよう。令和4年度の小学生と中学生の自殺者総数は全国で150人。横浜市の人口は日本の総人口の約3%に相当するので、かなり乱暴だが、割合的に見れば横浜市の小学生、中学生の自殺者数は年間4~5人が平均的数字と一応

推量されよう。したがって10年間では40~50人が横浜での小中学生の自殺者数という単純計算になる。そのうちの半数以上は何としたことか、詳細な調査がなされていない…実に驚きの数値ではあるまいか。

 教育界の根深い隠蔽体質が災いしてこの手の調査の数字がかなり怪しいことはこれまでも繰り返し触れてきた。にもかかわらず、こんなに悲惨であったことが白日の下にさらされてしまうほど、もはや隠しおおせないほどの凄まじい酷さが横浜市の教育界に蔓延している…違うだろうか。

 自殺の原因は児童生徒の場合も含めて多岐にわたるだろう。ただし全日制の高校生の自殺では男女とも学校関連の問題がトップにきている。もちろんこれすらもかなり信用できないデータではあるが、一応、学校関係では学業不振や人間関係、進路の悩みなどが主因となっている。つまり学校側の対応いかんでは自殺を防げるケースが多い、ということなのだ。

 近年、日本の若者の自殺増加は国際的にも知られている周知の悩ましき現象であり、当然、自殺防止対策は学校においても急務の課題であるはず。そして自殺防止策を有効にしていくには個々の自殺の原因、自殺に至る経緯を詳しく調査する必要があるのは論を待たないだろう。にもかかわらず、このていたらくなのだから、もはや絶望的状況というほかないのだ。

 ではなぜ学校や教育委員会はこうまでして自殺の原因究明をさぼるのか、その理由はこれまた多岐にわたるだろう。大きい原因としては第一に繁忙を極める教育現場のブラック化、第二に伝統的な教育界のブラックボックス体制=隠蔽体質。さらに教職員の自殺やイジメ事件への無関心、ないしは無知、鈍感さが挙げられるのではないか。これは大学における教員養成講座のお粗末さが背景の一つにあるだろうし、現在の教師たちがかつては「イジメ世代」と呼ばれた世代に属していることも多少は関連しているのかもしれない。

 どれも一朝一夕に解決できる問題ではないが、子どもたちの命を優先できていない今の日本の学校教育の存在価値自体が根本から疑われ始めている、という深刻な危機感だけは何とかして教育関係者の間で共有していかなくてはなるまい。

横浜市教委 いじめ重大2事案認定 小中学校「特性理解、配慮不十分」 

 東京新聞 2025.2.22

   学校教育界隈ではすっかりおなじみの横浜市である。児童生徒の発達特性の違いについて、単純に「遅れている」、あるいは「親の躾がなっていない」との判断からだろう。教師の不勉強、無理解によってイジメが放置されてしまうケースの典型であろう。そしておそらく、この教育委員会は自分たちが引き起こしてしまった不祥事を棚に上げ、「教師どもはケシカラン、厳しく指導・管理すべきだ」とこの事態を受け止め、教師たちへの研修を増やして管理・監督の目を光らせるに違いあるまい。

 結果的には横浜での学校のブラック化が進み、教員の病休や中途退職を増やす、教員志望者数はさらに減少する、学校のブラック化が一層加速する、といった悪循環の方向でしか、横浜市教委は対応できないと予想するが、いかがか。つまり問題は大学での教員養成教育の欠陥と学校のブラック化にあるのであって、この二つを同時進行で改善していかなければ事態はいよいよ悪化すると考える。

 

「どういうつもりなのか」同級生から「ばい菌」扱いのいじめ…女子児童は100日

 以上欠席 急きょ「重大事態」認定に不信感 京都市 別児童のいじめでも一転し重大

 態を認定 毎日放送   2024.7.24

 2020年から始まっていたイジメを今頃になって重大事態に認定する背景に一体何が考えられるだろう。いじめ防止対策推進法に対する理解の程度が各地の教育現場ではかなりマチマチとなっており、殊に管理職によって大きな差異があることは容易に推察できるだろう。今回の件も担当者が新旧入れ替わったことでようやく表面化してきたと考えられる。

 しかし重大な案件に関しては統一的基準に基づく迅速な対応が求められるはずだ。法の規定に基づかない、現状の属人主義的な対応ぶりにはどうしても大きな危険を感じる。管理職の世界における年功序列、先輩後輩関係のあり方に深くメスを入れない限り、こうした事はいつでもどこでも起こり続けるだろう。

 とりあえず、今回の件ではこれまで重大事態としての認定を行わなかった当時の管理職、及び京都市教育委員会の担当者への厳しい処罰を下すべきである。後輩でも間違っている先輩を厳しく処断できないようでは教育行政への市民の信頼は崩れる一方となるだろう。

久喜市立小 重大事態判断に半年、いじめ10件に拡大 保護者「被害悪化させた」 

 東京新聞 2024.3.30

 特に問題視すべきは次の二件だろう。まずは不用意に被害者側と加害者側との話し合いの場を設けてしまったこと。…学校が設けた児童への謝罪の場で同級生の保護者が「自分の子どもと児童はお互いにいじめているのでは」と主張…とあり、かえって被害者側が不登校状態に陥ってしまった可能性は拭えまい。実に間抜けな対応というほかない。

   安易に被害者側と加害者側とを同席させてはいけないことぐらい常識ではないのか。あたかも「喧嘩両成敗」かのような扱いをすることは多くの場合、被害者側を傷つけるだけになりがちで、イジメ案件では絶対に許されない対応である。実際、同様の対応をしてしまい、学校と被害者側との関係が決定的に悪化してしまったケースは他にも数多く存在している。もしや、イジメとケンカを同列の問題とするような、ありえない思考がはびこってしまった学校ならば、もはや学校として完全に終わっているであろう。

 さらに呆れるのはいかにも不慣れな新任教師に問題を丸投げしているとも受け取れそうな学校側の動き。だからこそ「…いじめに対する初期対応の記録も学校に残っていない…」という、不登校の重大事態と認定していながらの記録保存に対する深刻なレベルの杜撰さなのだろう。

 今や、イジメ案件は「重大事態」に至らずとも裁判沙汰に発展する可能性を十分秘めている。当然、管理職は事態の把握当初から関係する担任や児童、保護者からの聞き取り内容や教師たちの指導の記録を提出させ、自ら保管すべきなのは言うまでもあるまい。裁判に発展した際の資料として役立てる心構えが無い人間にこの時代、管理職の資格があるとは到底思えない。これでは学校側が初期対応の杜撰さを隠蔽すべく、本来、あったはずの記録を廃棄したのでは、と学校側の証拠隠滅を疑われても仕方あるまい。

 

・札幌市教委の隠蔽体質

【札幌で”性的いじめ”】「本当につらかった」と被害に遭った男児 「子どもたちの

 声を聞く気がない」と母親は "教育現場の不作為" 小学校・中学校・市教委の対応を

 非難 第三者委員会が調査報告書を公表へ 北海同ニュースUHB  2024/10/04 

 札幌市教委の動きの鈍さは神戸市や横浜市などの、他の政令指定都市における教育委員会と同じ種類の問題を抱えている可能性がある。すなわち人員不足に加えて手に負えないレベルの数の学校を一手に抱え、かなりオーバーワークに追い込まれてしまっているのではあるまいか。であるならば多少、同情すべき点があるのかもしれない。

 とはいえ、市教委だけでなく被害者のいる小学校、加害者のいる中学校の対応もまた法に則った動きとは言えず、やはり札幌市の義務教育会全体に旭川市と同質の、好ましくない「学校文化」が共有されていることを疑いたくなる。たとえば児童生徒やその保護者達に親身になって寄り添う姿勢の欠如がこうした地域の学校文化として共有されてしまっているのではあるまいか。そうした文化が仮に北海道全体に広く見られるとしたらならば、大学における教員養成教育にも大きな欠陥があるに違いない。

 教育委員会も含めた人手不足の解消と仕事の削減を柱とした働き方改革を進める一方で、教員養成教育の根本的な見直しを検討すべき時に来ているのかもしれない。

札幌・中1女子のいじめ自殺、市教委が報告書の公表まで10か月…「黒塗り部分

 を決めるのに時間」 読売新聞  2023.12.22

 旭川で起こった悲劇が悪い意味で参考とされたのだろう。報告書の公表まで10か月もかかってしまったのは「墨塗り部分を決める」のに時間を費やしたためという。関係者が特定できないように工夫したとのことだが、生徒や保護者のプライベート情報を保護する、という名目で実際には学校側の責任が問われないようにするための様々な隠蔽を行ったに過ぎないのではあるまいか。何を隠蔽すべきかに時間がとられてしまった、という事ではないのか。

   …小学校の校長について「組織的対応の意義やその必要性についての理解が全くない」とし、対応が不十分だった点を列記した…という。でありながらも市教委は校長らへの処分は考えていないという、実に驚くべき意見を開陳している。

 つまり校長らへの処分をしない、という結論は最初から決められていて、その結論を正当化するための「墨塗り」であることが濃厚に疑われる案件。この校長らの出身校が旭川と同じ北海道教育大であるとするならば、兵庫教育大を含め、地方の国公立教育大や教育学部の教育レベルまでもが疑われることになろう。

札幌・中1いじめ自殺 報告「黒塗り」見直しへ 市長、市教委に指示 

 毎日新聞   2023.12.27

 市長の判断は正しいだろうが、情けないのは当該学校の校長と市教委。なぜ遺族の意向に反してまで報告書の黒塗りに拘るのか、勘繰りたくなる。もちろん加害者側のプライバシーへの配慮は必要だが、これは刑事事件に発展してもおかしくない案件。市教委への報告が遅れた校長、報告書の公開を遅らせた市教委ともに処分の対象とすべきだろう。

 どうやら旭川の事件が市教委や管理職たちをビビらせてしまい、より一層学校の隠蔽体質を強める方向で作用し始めているようだ。そろそろ北海道全体の学校教育風土をしっかりと検証すべき時ではないか。

批判受け報告書の黒塗り部分見直し再公表へ 札幌市中1いじめ自殺 

 朝日新聞社  2024.1.27

 外部から批判されないと気付くことが出来ない札幌市教育委員会のふがいなさ。もはやこの組織に自浄能力を期待する方が間違っているのだろう。校長以下を罰するのは当然として、教育委員会の担当者こそむしろ厳罰に処すべき案件だと思うが、いかがだろう。責任官庁が責任を負わず、責任者も罰せられないまま、末端の部下だけを罰する、という教育行政の仕組み自体、噴飯物であるはず。

札幌中1自殺、小6当時の校長を懲戒処分…いじめ被害の訴えに組織的対応が不十

 分 読売新聞  2024.2.14

 世論の高まりに慌てた教育委員会が形だけの処分を当時の校長と担任に下してしまった。担任への文書訓告、それに減給一か月という校長への処分が適当なのかは大いに議論が分かれるだろう。とりわけ担任の場合、既に辞職しているとは言え生徒は自殺している。結果の重大さと元担任への文書訓告という処罰は誰がどう見ても不釣り合いである。

 しかも教育委員会自身の組織的対応が不十分であったことへの反省と処分は一体どうなったのだろう。それこそが最も厳格に行われるべき対応であるにもかかわらず、何ら音沙汰無し。ただの「トカゲの尻尾切」としても不十分であり、教育への責任感どころかやる気まで完全に喪失しているようにしか見えてこないのだが…この組織はもはや表面を取り繕う力すら無い無能さ、無気力さをさらけ出してしまっている…まさに恥知らずの集団といっても過言ではあるまい。

 もっと恐ろしいのはこの先、この組織の中から市内の小中学校に教頭や校長となって赴任してしまう人物が複数、出てくるという事だ。この人たちが今後どんな学校経営をしてしまうのか、末恐ろしいにもほどがあるだろう。

 札幌もまた既に旭川市や神戸市と同様、市長を先頭とする強力な政治介入が一刻も早く必要となっていると思うがいかがだろう。もちろん公教育への政治介入は最大限避けるべきではあるが、このままでは子供たちの命すら守れないのでは…

札幌・中1いじめ自殺 黒塗り報告書を見直し 教育長・校長ら処分 

    毎日新聞 によるストーリー 2024.2.15

 一日遅れで市長による教育長への口頭厳重注意がされたという報道。また監督責任のある市教委の局長職ら4人が口頭厳重注意や口頭訓告を受けたという。市長側としてはこれが精一杯の対応なのだろうが、そもそも「口頭厳重注意」にどれほどの効果が期待できるのかは怪しいというほかあるまい。

 本質的には教育委員会の自浄能力の無さが問題なのであり、市長から指導されるはるか以前に自らを処すことが出来なかった教育委員会側の判断能力の低さと無責任さにフォーカスして今後の対応を考えるべきだろう。つまり、教育委員会における教育長ら担当責任者の降格処分こそが真っ先に教育委員会内で検討されるべきであった。

 「いじめに関連し、札幌市教委が教職員を処分するのは初めて。」という記事にも驚かされた。政令指定都市の札幌である。深刻なイジメ案件を抱える自治体が多い中で数多くの学校を抱える札幌だけが平和だったのだろうか?もちろん、そんなことはあろうはずがない。むしろ身内をかばうためにはどんな非道なイジメ案件でも証拠隠滅を平然と行うヤバイ体質が札幌ではしっかりと蔓延しているに違いない。

 第一、学校が特定されるのを恐れて報告書にマスキングを施した…との言い訳が果たして学校教育村の外で通用するのだろうか…世間知らずもほどほどにすべきだろう。わずかに公開されたイジメの内容からだけでもこれは児童の年齢を考慮しなければ明らかに刑事事件レベルであり、本来、刑事事件にズブの素人ばかりの学校や教育委員会ごときが勝手に判断できる案件では無い。せめてスクールロイヤーあたりの助言がまず必要だったはず。当然、事と次第によっては学校名が公表されても仕方あるまい。いや、学校の強固な隠蔽体質を壊すには校名を公表すべきかもしれない。

 イジメた側の指導を教育委員会はどこまで把握しているのかも疑わしい。イジメた側の追跡調査が行われるべきであり、行われているならばその概要が被害者家族に伝えられていてしかるべき。二度と繰り返すことがあってはならない、自殺者を出した陰惨な事件なのである。

 もちろん報道する側もそれなりに深く突っ込んだ取材をすべきだろう。公表された事実関係を淡々と報道するだけでは現在の学校教育の深い闇を暴くことはできない。すっかりブラックボックス化した学校をこじ開けるには相当の取材能力と根気が必要なのである。

 守秘義務とプライバシーの保護を盾にとって学校教育村に閉じこもり、教育の名のもとに何もかもウヤムヤにしてほとぼりが冷めるのを待つ…そんな不誠実な教育者たちに児童生徒の前に立つ資格などあろうはずがない。

 いじめ対応の怠慢も教職員の懲戒処分対象に 中1自殺で札幌市教委 

    毎日新聞 によるストーリー  2024.2.27 

 ようやく少しはまともな対応が始まったが、相変わらず、教育委員会自身の責任問題は宙に浮いたままである。どう見ても黒塗りを指示した教育員会の担当者は降格処分が妥当である。教育長は減給処分とすべきだろう。

 責任をとるべき者が責任をとらず、いずれ校長になってしまうこの人事考課のあり方自体が学校教育をゆがめてきた本体なのではあるまいか

 

鴻巣市、いじめ調査報告書を被害者側の意向に反して非公表 事前に確認すらとら

    ず、政府指針にも逆行 東京新聞 2024.3.20

 ここまで市が平気で政府の指針を無視し続けている例はさすがに珍しいだろう。どうみても市長の責任は重大であり、謝罪で済むレベルを完全に超えてしまっている。そもそも全国でイジメ事件の隠蔽が繰り返しマスコミに取り上げられ、学校や教育委員会などが厳しく糾弾されてきたにもかかわらず、そうした風潮にあえて挑戦するかのような対応ぶりに驚く。鴻巣市に一体、何が起きているのか、ある意味で興味深い。また本来、批判の矢面に立つはずの学校や市教委の影が妙に薄いのも気にかかる。市長と市教委との関係にも何かありそうである。

「いじめ防止法」改正の署名活動する遺族の思い 被害者を追い詰める学校の対応に罰

    則規定を 東洋経済オンライン 石川 陽一   2024.4.14

 未だ係争中で事実関係がはっきりとしていないため、学校側の対応も含めて授業で議論するのは時期尚早だが、いじめ防止法の緩さは明らかな問題であろう。イジメ加害者に対してどのような指導が適切なのか、事件を隠蔽しようとした学校や教育委員会への罰則規定はどうあるべきか、問いかけたい

 

 以上、イジメ事件隠蔽の裏側に何が潜んでいるのか、いくつかの事例を通じて自分なりに考察してきた。まずその根底には歴史を隠滅し、都合よく改ざんすることに異様なほどまで抵抗感の少ない日本人の伝統的な歴史認識のあり方が横たわっているように思える。それは特に敗戦後の日本政治、学校教育の歩みを振り返れば歴然たる事実だと思うがいかがだろう。

 加えて日本の近代以降の学校教育が伝統的に抱えてきた頑固なまでの隠蔽体質の存在。戦後は特に守秘義務とプライバシーの保護を悪用して自己保身を図る教職員、とりわけ管理職の意識のあり方が問題視されよう。その背後には管理職を含めた教職員への評価のポイントがどうやら減点方式に偏ってきた残念な歴史があるように思えるが、いかがだろう。実際、これまでに紹介した記事では学校での不祥事による減点を恐れるあまり、部下や同僚を守るという美名に隠れ、管理職が率先して不祥事隠しを組織的に行ってきたと思われるケースが極めて多いように見える。

 学校の隠蔽体質は学校教育村の外から学校の実態が次第に見えにくくなってきている、といったいわゆる学校の「ブラックボックス化」の進展も少なからず関わっているだろう。このブラックボックス化は「学校改革」や「教師改革」という美名に隠れてここ30年近く急激に進展してきた教師たちの過重労働、すなわち学校のブラック化もまた極めて大きな要因となっていたと考えられる。現役の教師たちによって学校教育の実態を世間に訴えるような著作が激減する状況と平行して学校のブラックボックス化が進んできたと私は思うのだ。

 もはや今の教師たちには世間に向かって学校の実情を理解してもらうよう、何らかの手段を講ずるだけの時間的、体力的、精神的ゆとりがほぼ無くなってきているのではあるまいか。また本来、こうした問題に大きな役割を果たすべき教職員組合の弱体化が学校のブラック化とブラックボックス化に歯止めをかけることに失敗してきたことも見逃せまい。

 そして学校や教育の研究者たちも教育社会学者の内田良氏ら一部の学者を除くとその多くは以上のような学校の劣化、疲弊ぶりに概して無頓着であったと思うがいかがだろう。むしろ政府の繰り出すあざとい「学校改革」、「教育改革」の掛け声に乗じてスクラップアンドビルドの原則を無視し、ひたすら学校現場を疲弊させてきた「…改革」の連打に積極的に加担し、政府のお神輿を担いできた無責任な文科省の官僚と御用学者は少なからずいたように記憶しているが、いかがだろう。

参考記事

実際に日本の学校で起きた「葬式ごっこ」の壮絶実態…いまだ変わらない「いじめの構造」 内藤 朝雄  2024.4.23

 今や大津の事件と並んでイジメ事件の古典となっている中野区冨士見中の「葬式ごっこ」事件であるが、ここで分析されている「いじめの構造」において日本の場合、40年近く経ても本質的にはほとんど変化が見られない。そのおぞましさ、頑強さに改めて驚く。日本の学校が本当は日本社会にどんな役割を果たしてきたのか、その明と暗をきっちりと把握しようとする努力は今後も欠かせないだろう。

加害者の今を知ってしまった…「娘の未来は絶たれたのに」中2いじめ、遺族の憤

    りと煩悶 学校推薦で高校進学、実業団選手に。謝罪はないまま 

    47NEWS によるストーリー 2024.6.28

 …「いじめた側」に認定された12人のうち、弔問に訪れたのは2人だけだ。両親によるとその2人も自身の行為について謝罪の言葉はなかった。その他の生徒とは直接面会していない…しかもそのうちの一人はスポーツ推薦で高校に進学し、さらに実業団でも活躍していたというのだから遺族としては切ない。

 もちろん加害者側には未来があり、その未来を奪うような事は避けるべきだが、何はともあれ被害者の未来が奪われてしまった事実だけは動かない。せめて加害者側にはその辛い事実と向き合い続ける義務があるはずだ。謝罪の言葉すらなく、言い訳がましい言葉だけで弔問すらしていない加害者たちの現状を教育者としてどう判断しているのか、当時の学校関係者に問い質したい。

退学のバレー部員へのいじめ認定 学校側が当初いじめ否定、再調査で 

    朝日新聞社 によるストーリー 2024.8.10

 非常に悪質なケースで驚かされる。これだけ世間を騒がせてきたイジメ問題に対してまったくの無関心、無知厚顔ぶり。イジメられる側が悪いかのような学校側の対応に呆れるしかない。あたかも下級生をしごき、イジメることでしか上級生側のチームワークが生み出されていないようで、この学校の体質に気味悪さを感じないわけにはいかない。

⑭守秘義務の裏側

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

【ジャニーズ問題…「秘密」の危険性】ハーバード大学の精神科医が指摘【内田

 舞】 ReHacQ−リハック【公式】  2023/10/24  53:52

 ジャニーズ問題への考察を通じて学校での「守秘義務」が持つ、意外なほど大きな心理的危険性を認識する必要があるのではないか。負の秘密を保持し続ける精神的な危険性を理解しておくことはイジメ等の隠蔽を繰り返す学校教育の関係者が陥りがちな精神状況を理解することにもつながるのではないか。秘密を保持し続けることで教師が精神的に毀損される側面を考慮しないと教職員の精神的問題による離職、休職を減らすことはかなり難しいのかもしれない。職場での同僚や上司から受けたセクハラやパワハラ、生徒や保護者からのパワハラ、セクハラなどによって傷ついた心を教師として現場に踏みとどまるために、どう癒していけるのか、もっと真剣に考えていくべきではないのか。

 

学校現場への無理解、誤解が世間に生じてしまう背景にあるもの

 公務員には「職務上知り得た秘密」を退職後も外部には漏らしてはならない、という守秘義務が地方公務員法によって課されている。この守秘義務に違反するとかなり重い罰則が与えられる。

 それは当然のことで仕方ないだろうと素朴に思う方がいるかもしれない。確かに教師が保護者から提出してもらった生徒の個人調査票の記述内容、すなわち生徒及びその家族のプライバシーなどを勝手に外部に漏らすことは厳禁である。これは言うまでもなく当たり前。

 問題は「職務上知り得た秘密」をどのような範囲に限定するのか、にかかっていると思われる。かつて食品関係の企業で「食の安全」を脅かす様々な不祥事や事件が連発した際、事件事故の再発防止を狙って政府は食品関連の企業の社員から所轄官庁への情報提供を積極的に促す対策をとった。

 外国産の原料を使っているのに国産と偽って製造・販売している企業をケースに考えてみよう。この場合、原料の調達などにあたっている社員の一部が自社の偽装工作、犯罪行為を知ってしまう事は十分あり得る。仮に公務員の守秘義務のような厳しい規則が民間企業にあてはめられているとすれば、立場の弱い平社員は守秘義務を楯にとって自社の犯罪に関しては見て見ぬ振りを続けてしまうかもしれない。その一方で消費者側が蒙る損害は会社の偽装が世間にバレない限り、際限なく拡大し続けることになるだろう。

 こうした企業犯罪を防止するには社員からの内部告発を容易にすべく、告発という行為によって特定の個人が不利益を蒙らぬよう、国が内部告発した社員を手厚く保護する必要がある。実際、政府はそうした告発者の身分保障までしても、多発する企業の不祥事を減らすために社員自ら勇気を持って告発するよう、促したのである。企業のコンプライアンスが厳しく世に問われ始めたのもこの頃からであった。

 では公的組織の犯罪行為を公務員は同じように勇気を持って内部告発できるのだろうか…たとえば公務員が上からの職務命令に基づいて明らかに違法と思われる行為を強要された場合、どうなるのだろう。近年、地方公務員法改正によって人事評価制度が導入(←勤務評定)され、特定秘密保護法が成立し(施行は2014年から)、公務員の守秘義務違反に対する罰則規定の強化(3万円以下の罰金⇒50万円以下の罰金)が図られるなど、「他言無用」とばかりに公務員への締め付けがどんどん進んできた。今や多くの公務員が社会通念上は告発すべき事案に対してすら相当、萎縮気味になっている気配を私は感じてきている。

※参考記事

 さいたま市立病院の薬剤不適切使用指摘 市が公益通報「放置」か 毎日新聞 2025.9.4

  公共機関での公益通報制度の機能不全がまたもや表面化したようだ。仮に組織の自浄機能が正常に

 働かない場合、その組織は腐敗する一方となり、事件事故の隠蔽がいよいよ横行することになるだろ

 う。しかも、公益通報制度を確立すべき自治体や学校が率先垂範、自ら隠蔽に走るとすれば、大きな

 被害を受けてしまうのは専ら市民の側となるはずだ。

  地方自治体が個人のプライバシー保護を盾にして多くの市民を犠牲にし、市民の知る権利を損ない

 つつ、事件、事故を隠蔽することでひたすら組織の防衛に走る…仮にそう見なされてしまえば、さい

 たま市民の行政への信頼は著しく損なわれてしまうに違いない。

  これまでの名古屋、旭川、横浜、鹿児島、兵庫などのケースをみるまでもなく、日本社会の隅々に

 公益通報制度が有効な形で定着できるのかどうか、極めて怪しい状況にある。もはや、日本の公益通

 報制度はその存続自体、瀬戸際に来ているのかもしれない。

 もちろん上司からの命令が明らかに法律違反である場合には今もこれに従う必要はないはず。とはいえ上司から公文書の改竄を命じられ、罪悪感に駆られて自殺してしまった赤木氏の例がある。近年、組合加入率が極端に低下し、ただでさえ組織力を失って孤立しがちな下々の公務員にとって上司の命令に逆らう事はたとえ教師の身と言えども今や決して容易なことではない。

 森友事件の場合には明白な違法行為を上司から迫られていた。しかし、それでも改竄は行われてしまったのである。社会正義を脅かす危険性は普通のお役所だけではない。公立学校でも村社会化が進んでおり、内部告発がほとんど不可能と思えるほど「他言無用」の同調圧力は強い。たとえ職員会議の決定や校長の判断に何らかの違法性がありそうだと感じても内部告発に強いためらいを覚える教師は決して少なくないだろう。

 たとえば旭川女子中学生凍死事件の場合、報道から見る限りは学校側がイジメの隠蔽という違法行為を組織的に行っていると今のところ推測できる。世間一般からすればこの事件の違法性はほとんど疑う余地がないとさえ感じられるだろう。

 ところがこれだけマスコミが騒いでいるにもかかわらず、管理職の違法性を告発する動きは未だに当該中学校の職員や関係者からはほとんど出ていないようである。守秘義務を厳格に課されている学校現場では多くの場合、校長や教頭、さらには教育委

員会に背いてまでして一職員がそう易々と内部告発できる状況には置かれていないと言えるだろう。実際、旭川のような案件はこれまでも各地の学校で繰り返し発生してきた。当然イジメ案件以外でも学校や教育委員会の強固な閉鎖性、隠蔽体質を物語る事例には事欠くまい。

 以上のような学校の閉鎖性は時代遅れのブラック校則や体罰、組み体操のような安全性への配慮を欠く伝統行事を長く温存させる土壌ともなり、「チーム学校」などの美名に隠れて教師集団の同調圧力、すなわち隠蔽体質と職員間のイジメ体質を将来的にも存続させ、強める働きをもたらしてきたと私は考えている。

 教師による内部告発はたとえ告発者側にそれなりの社会的正義や正当性があろうとも、村社会的教師集団においては「裏切り者の卑劣な行為」、「職員間の和を乱す狼藉者」としか受け止められない可能性が極めて高くなっているのだ。神戸の小学校のように教師間のイジメやパワハラが校内で横行してしまうのはベテラン教員の経験からすれば必ずしも不思議ではないのである。内部告発の出来ない旭川の中学校教師を声高に批判できるほどしっかりと外部社会に開かれ、腹の据わった教師は現実にはそれほど多くはない…というのがこの事件に対する私の偽らざる印象である。

※学校教師間でのイジメ、学校教師の精神疾患が増えている背景にはまず学校での過労死レベルの激務

 と激しいストレスがあることは「大人のいじめ」(坂倉昇平 講談社現代新書 2021)でも指摘さ

 れている通り。こんな状況下で一教師が管理職や教育委員会を敵に回す覚悟で告発するだけの精神

 的、体力的余裕など持てる訳がない…ただの言い訳に聞こえるかもしれないが、これが現場教師の真

 っ正直な実感であろう。

  なおイジメ自殺などの件に関わる学校の隠蔽体質に関してはこのブログの「§3学校問題編」で参考

 となる動画や記事を数多く紹介している。

 

 社会的公正や信義を守る上で必要とされる市民としての告発義務(公益通報)の方が公務員としての守秘義務を遙かに上回るかもしれない…といった悩ましい事態はとりわけ入試などの際においてどの高校でも起こり得る。そうしたケースに直面した教師が自身の良心に照らして学校長の判断や動きにかなりの違和感を覚えたとしても公務員の守秘義務を楯にとって自己保身を図り、結局は問題に目をつむりダンマリを決め込んでしまう…といった可能性は必ずしも低くはないだろう。しかし言うまでもなく本来、優先すべきは入学希望者に対する公平、公正な対応なのに、である

 他方で学校の閉鎖性、隠蔽体質は学校が抱えている問題点の本質をマスコミや世間から見えにくくしてきた。そもそも内部告発をほとんど期待できない、すなわち自浄作用の損なわれた閉鎖的村社会と化している学校の場合、外部から十分な理解が得られることはまず期待出来ないだろう。

 学校を管轄する文科省ですら学校からすれば外部に過ぎず、教育学者の多くもまた学校外部の存在に過ぎない。実際、長く「学校教育村」の現場にいた者からすれば文科省の方針や教育学者の学校教育を巡る言説、マスコミの論調に現場感覚との大きなズレを覚えることは少なくないのである。こうして教師集団は知らず知らずのうちに国家や社会、世間から隔絶して孤立を深めていくことで大人として当然持つべき健全な社会性を喪失していき、やがて世間常識、公序良俗ですら自ら容易に逸脱してしまう可能性を高めていったのかもしれない。

※参考動画

 【内部告発】今のやり方でできますか? ロザンの楽屋 2024/08/04  12:18

  公益通報を専門に受け付ける第三者の組織を設ける必要があるだろう。当然、そのメンバーには法

  律に通じた専門家が数多く必要となるので、できれば特定の法律事務所を指定して内部通報を活発

  化させ、学校などの隠蔽体質を積極的に払しょくしていくべきだろう。

   【神も仏もない】降格や嫌がらせも…なぜ“内部告発者は守られない”のか?法律上の課題とは?自

      治体で生活保護に関する不正を通報した男性は(語り:小松未可子)【クロ現】| 

      NHK  2024/06/08 9:26

   この案件の立証責任が被害者側=公益通報者側にあるという法的な不備が公益通報の制度を骨抜き 

  にしているようだ。内部告発を組織への裏切りと捉えるような狭隘な発想を日本の社会が抱えてい 

  る限り、日本では内部告発が滅多に行われず、多くの違法行為が今後もまかり通ってしまうに違い

  ない。イジメとその隠蔽がはびこる日本社会の息苦しさは、日本人の間に「市民」という意識が十

  分に根付かない中での村社会的集団主義が招いているのかもしれない。また日本の学校教育が児童

  生徒たちに自立した市民意識を育てる事よりも他者への忖度を優先する協調性を育てる方向でもっ

  ぱら機能してきたことが現代日本の閉塞感をもたらしている可能性についても考えるべきだろう。

 文書受け取った記者『闇を暴いてください』と 県警本部長が議会で改めて「隠蔽」否定【報道ス 

  テーション】(2024年6月11日) ANNnewsCH  2024/06/12 6:34

 「証拠の返還を」鹿児島県警“情報漏えい”内部文書を受け取ったライターが証言 電話やりとりか

  ら浮かぶ捜査の一端【news23】TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/06/12  11:10

  これが公益通報なのか、情報漏洩、守秘義務違反なのか、今のところ不透明ではあるが、いずれに

  せよ第三者機関がきっちりとした事実確認を行う必要はあるだろう。この件に関して鹿児島県議会

  の及び腰が明らかなので議会による追及はほとんど期待できない。当然、県警の調査はほとんど信

  用できないので、司法、検察が動けるのかどうか…しかしこれもまた鹿児島地裁の動きが怪しく、

  予断は許さない。今後の動向を注視するほかあるまい。

※参考記事

 「92%」黒塗り公文書の衝撃 市民図書館が出した1400枚の真っ黒い紙が語る闇の深さとは  

  AERA dot. 日向咲嗣 の意見  2024.11.19

  学校を含む公共機関の隠蔽体質がどういうものなのか、その一片を示してくれている。そこには日

  本という国家の戦前から断絶することなく貫かれている頑強で骨太の伝統が脈々と受け継がれてい

  るのだろう。このような組織に「民主主義」という言葉は本質的になじまない。日本が民主主義国

  家たらんとするのならば、国民の知る権利を今後、どう拡充していくのか、本気で考えていく必要

  があるだろう。

 ・公益通報した職員を京都市が懲戒処分 「精神的・経済的損害を受けた」と提訴の職員への賠償命じ

  る判決 関西テレビ 2023.4.27

  公益通報した職員のプライバシーをさらした挙句に懲戒処分まで下した京都市の対応に戦慄を覚え

  る。これでは公務員による組織的犯罪行為を防止していくことは不可能だろう。身内同士の庇い合

  いを無批判のまま放置してきた事で今までどんな事件が引き起こされてきたのか、どんな犯罪的行

  為が隠蔽されてきたのか、京都市はしっかりと過去を検証し、反省すべきである。

 ○【独自】日光・フランス人女性行方不明で国連が日本政府に3度目の捜査要請 押し問答の背景に日

  仏の法律の違い FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.5

  プライバシーの保護を名目とした秘密主義は行き過ぎれば組織的事故隠しや隠蔽工作を招きやすい

  側面を持つだろう。この案件では日本の頑なな姿勢に疑問が湧いてくる。国連まで乗り出す騒ぎと

  なっているようだが、この件に関しては日本側が一体、誰のプライバシーを重んじているのか、ま

  ったく理解できない。どういう情報が日本の捜査を妨害し、証言者を含む人たちのプライバシーを

  侵害する恐れがあるのか、この際、非開示の根拠を内外に対して明確に示してほしい。

   日本の教育行政にはびこるプライバシー尊重の悪用による隠蔽工作の数々を見ていると、やはり

  この頑固な隠蔽体質は教育行政に止まらず、日本社会全体を覆う根本的な体質なのかもしれない。

  自民党議員による裏金、キックバック問題も一部の関係者に対する軽い処罰にとどまり、重要人物

  の関与は否定されている。

   日本の場合は司法ですら裁判資料をたちまちのうちに廃棄し、後世へ残す努力を怠ってきた。国

  民は一体、どのような資料を基にして行政の動きの是非を判断すればよいのだろうか。戦後80年近

  くなろうとしているのに、日本社会の闇の深さはさほど変わっていないのではあるまいか

  〇高校教職員が生徒の個人情報入りUSBメモリー紛失、拾得者から封書でファイル名やスクョ… 回

  収はできず   読売新聞 によるストーリー 2024.6.22 

 〇生徒の個人情報流出 教育現場での「情報共有」はどうあるべきなのか

  NEWSポストセブン によるストーリー 2024.6.16

  生徒の家庭環境等の極秘資料はクラス担任として必要な情報が多く、転勤してきていきなりクラス

  担任となることの多い困難校ならば新年度、最初の学年会議ではどうしても必要不可欠の資料とさ

  れるだろう。新任のクラス担任が進学校から転勤してきた場合にはとりわけ、対応の難しい生徒た

  ちの情報を予め知らせておきたい。データとしては生徒の人間関係、国籍(来日時期等)、病歴、

  アレルギー、発達障害、特別指導歴、補導歴、家庭の経済的困窮度など、担任として知っておかな

  いと後日、修学旅行や卒業アルバム等で大きな問題が生じかねないだろう。

   近年では日本語を十分に理解できない生徒は少なくない。授業が始まる前に特定の生徒について

  多くの教員に周知してもらう情報があるのは事実である。かつて中学校在学時に危険な刺傷事件を

  二度、起こしている生徒に関しては年度当初、授業中にたとえ寝ていたとしてもその生徒を起こさ

  ないで欲しい、できるだけ刺激しないで欲しいとの厳重注意が1学年主任から全職員に徹底された

  ことがある。お陰様で教師たちは刺されずに済んだが、入学後、2週間も経たない内にその生徒は校

  内で同級生を刺して逮捕されている。その後、かなり時間が経過し、私は偶然、その生徒の家庭環

  境を知ることになった。その内容から見て、もし、この情報が中学校から知らされていなければお

  そらく教師が刺されていた可能性は極めて高かったと個人的には確信している。

   札幌の件では生徒の個人情報の管理の杜撰さや言葉の選択に乱暴な所が見られる点は責められる

  べきだが、教師たちが生徒たちに関して特定の情報共有を図らざるを得ない点はぜひとも理解して

  いただきたい。

 ○市立中学での個人情報流出 学校、資料放置の原因「不明」で調査終了

  朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.20

 ○“事実無根”の「ADHD」記載も生徒の個人情報流出 札幌市

  日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.7.9

 〇「父親うるさい」「だらしない」など中学校1年生の267人分の個人情報がインターネットに“

  出 北海道・札幌市北区 FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.6.6

  この手のヤバイ情報を次年度のクラス編成などの際に参考資料として作成し、次の担任にリレーす

  ること自体は困難校と呼ばれる高校でもよく行われている。クラス担任間の負担はできるだけ平準

  化すべきであり、そのための資料は必要不可欠であるからだ。ただし絶対に教員以外に漏洩するこ

  とが無いように資料が厳重に保管されるべきなのは当然であり、この担任の不注意が厳しく咎めら

  れても仕方あるまい。

   特に全クラス分の資料はクラス編成の学年会議、及び新クラスの最初の学年会議でのみ利用すべ

  きであり、会議終了後にはすぐに回収して学年主任か管理職が厳重に保管すべきものであろう。仮

  にこの資料が学年団全員に配布されっぱなしだったとすれば、当該教師のみならず資料を作成、配

         布したであろう学年主任の責任も軽くはない。

   この件は児童生徒のプライバシー保護と守秘義務を盾にして自分たちの過失を隠蔽することには

  用意周到な教師たちが、児童生徒のプライバシー保護そのものに対しては意外にもいい加減だ、と

  皮肉られても抗弁できない、大失態である。

 〇奈良・生駒高校 生徒の個人情報記載された書類 配送業者が紛失

  ABCテレビ によるストーリー 2024.6.22

  …学校側は個人情報を含む書類にもかかわらず「信書」として配送していなかった…とのこと。ど

  の配送業者を使ったのかは分からないが、担当した教師としてはおそらく郵送するよりも値段が安

  かった、との安直な判断から郵便局以外の業者を選んだのだろう。しかしそれ自体が既に法律違反

  であり、重大な過失ではある。担当した教師には生徒たちの個人情報を扱っていることの責任の重

  さへの自覚が足りなかったのではあるまいか。

   もちろん郵便局を利用しても、配達物の紛失事故は起こりうる。これまでによく報道されたのが

  野球部員などの冬休み中のアルバイトによる年賀状の廃棄。数多くの年賀状を配達するのが面倒に

  なった高校生が年賀状の束をこっそりと山林に遺棄する類の事件である。

   とはいえ郵便局側も現金や重要書類が封印されている書留、速達などはアルバイト学生に配達を

  任せるわけがない。書留や速達に関しては確実に郵便物を配達先に届けるために二重三重のチェッ

  クを行い、一般の郵便物とは別枠で配達される。当然、郵送料金はそれ相応に高くつくが、現金や

  個人情報を扱っているのだから仕方あるまい。

   通常、高校の進路指導部では生徒たちの希望進路先(企業、大学、専門学校等)へ履歴書、調査

  書、推薦書などを郵送する際、郵便局の書留を利用することが多い。一般受験でも受験希望先の学

  校が用意した速達か書留用の封筒を利用することになっているはずである。奨学金申請の書類も同

  様の郵送手段をとるだろうが、高校によっては奨学金の申請を進路指導部ではなく、総務部、教務

  部などが担当している。

   受験や奨学金関係の書類にはいずれも生徒や保護者の個人情報が記されているため、その漏洩を

  防ぎ、かつ確実に期日まで郵送先に届くよう、学校は万全を期することになるはず。仮に進路指導

  部が郵送すべき受験手続書類をどこかに保管したまま忘れてしまい、期日内に郵送しなかったとし

  たらどうなってしまうだろう。生徒の進路希望は叶えられず、裁判沙汰、新聞沙汰の事件にまで発

  展するのはほぼ確実なのだ。さらに生徒たちの個人情報がネット上に拡散されてしまえば、収拾の

  つかない最悪の事態にまで発展しかねまい。そして生駒高校の教師たちが全員、以上のような予測

  ができなかった…とは到底思えない。

   考えられるのは郵送を経験の無い若い教師、新任教師に丸投げしてしまった可能性である。この

  責任の重い、憂鬱な任務を分掌の部長か、その道のベテラン教師に一任している高校は決して少な

  くない。私が進路指導部長だった時、郵便局が混んでいて簡易書留の手続きで1時間近くも要した時

  があった。この仕事、かなり面倒なのは確かだ。推薦入試や共通テストの手続きと就職試験の手続

  きが重なる9月、10月は高校の進路指導部にとってまさに地獄の繁忙期と言えよう。

   この時期ばかりは進路指導部員一人一人の仕事を他の教師がチェックするゆとりなど、まず存在

  しない。まして体育祭や文化祭、そして部活動で新人戦までもが重なる時期である。進路指導部の

  担当者が3年生のクラス担任で運動部顧問であった場合、担任しているクラスの生徒の推薦書や調査

  書の発行をも抱えているのだから一時的に徹夜覚悟のブラックな勤務状況となるのは事実上やむを

  得ない。個人的にはかつて進路指導部に体育科の教師を一人も見たことが無かったのだが、それも

  ある意味、当然の理なのだ。

   おそらく生駒高校の担当者に個人情報を扱っている事の自覚が不足していたことは否めないだろ

  う。しかしどの分掌が奨学金の手続きに携わっていたのかは分からないが、仮に進路指導部だとし

  たら多少は担当教師に同情してしまう。実際に進路指導部に長くいた者(5校で経験)として言わ

  せてもらうと、この郵送の仕事を含めた進学、就職の手続き、その責任の重大さと煩雑さは明らか

  に運動部顧問にとって辛すぎる…札幌、大阪、奈良と生徒の個人情報漏洩に関わる事件が頻発して

  いる背景に学校のブラック化が進んでいるという現実があることをぜひ、多くの人には知っていた

  だきたい。

   〇「主務教諭」新設に異議あり 現職教員らが文科省に反対署名4万筆提出へ「職員室の民主的風土が

   破壊される」 東京新聞 2025.2.27

     まず、「職員室の民主的風土」などはとっくの昔に破壊されていると私は考えており、この記事の

  時代錯誤も甚だしい見出しにはつい吹き出してしまう。

    既に設置されている主幹教諭の役割自体が管理職の手先であり、補佐役に過ぎないのに、あらた

  に「主務教諭」を新設して、一体、何の役に立てようとするのか、政府の狙いは極めて怪しい。

   学校には元々、教務部長、生徒指導部長、進路指導部長、管理部長、総務部長、学年主任などが

  置かれてきた。その肩書のあるうちは「主任手当」を余分にもらえる場合もあるが(なお、管理部

  長や総務部長の場合、主任手当がつかないことがある)、肩書が無くなれば平教諭に戻るのが通例

  であった。つまり、部長ないし主任は一時の役職に過ぎなかったので、教員集団に固定した序列が

  生じていたわけではなく、管理職とは一線を画した存在であった。むしろ部長ないし主任は一般教

  師の利害を代表する存在として、場合によっては管理職と会議で対峙することもあったのである。

   ところが職員会議が管理職の諮問機関とされ、議決能力を失った20年余り前から、明らかに教師

  全体の意向を汲んだ学校経営が見られなくなり、管理職の独断専行が目立ち始めてきた。そして管

  理職の補佐役として主幹教諭が2007年の学校教育法改正により設けられると、直近の10年ほどで

  職員会議はさらに形骸化し、教師への管理統制が強化されてきた。

   にもかかわらず、教職員の不祥事は減るどころか増えてきたのではなかったか。つまり、最初に

  問われるべきは管理職の能力・適性の方ではなかったかと思うのである。もちろん、問題の根源は

  教育委員会や文科省、さらには政府を構成する面々の適性・能力自体にあるのだろうが…

   確かに不登校問題や児童生徒の自殺、イジメ、保護者のクレーム対応などにはかなりの専門知識

  や経験が必要な場合も少なくない。しかし、こうした難問に対応するならば、古びた経験を引き摺

  るベテラン教師を「主務教諭」として任用することはかえって事態の悪化、紛糾を招きかねまい。

   本来の専門家であるスクールカウンセラー、スクールロイヤー、ケースワーカーの増員や配置こ

  そ喫緊の課題。なのに、専門家の人選と調達が面倒であり、閉鎖的な学校に外部からの人材は余り

  入れたくない…かつ経済的にも負担が大きい…ならばすぐにでもお安く雇えて文科省に忠実な元管

  理職らが最適であろう…文科省や政治家の、こうしたいやらしい打算が透けて見えてくるようだ。

   百害あって一利無し、になりかねない、きわめてその専門性を疑われる老害「主務教諭」の配置

  を進めようとする文科省の小賢しさには呆れてものが言えなくなる。おそらく退職後、暇を持て余

  している元管理職、元主幹教諭らに再就職の場を与えて一層、学校の管理統制を強め、今後とも学

  校全体に因循姑息な老害臭を大いにまき散らそうとの魂胆だろう。いかにも老害政権の極みたる石

  破政権の考えそうなことである。

 

 担当する学級内のことを学級担任が一身で抱え込み、他の教員から介入されたくないと思う古臭い縄張り意識、つまり「学級王国」的発想は教員世界の中から払拭されているとは到底思えない。それどころか、今も色濃く残存しているようである。自分の学年の事は他学年から介入されたくない、自分の部活の事は他の部活顧問から介入されたくない、自分の学校のことを他の学校や地域住民、まして「何も知らない」第三者からは絶対に介入されたくない…

 学校特有の閉鎖的隠蔽体質はこうした奇妙なほど徹底的に外部からの介入を排除しようとするプライドの高い教師集団特有の心理、あるいはストレスフルなブラック職場の重圧下で、外部の誰からもまっとうな理解が得られないことから生じる孤立し、傷つきやすい被害者意識によって強く自閉してしまった少なからぬ数の教師達に見られる極度な内向きの姿勢…といったような、長年に及ぶ日本の学校の精神病理的風土が育んできたのかもしれない。

その5.自分とは何?~自意識と無意識(後編)~

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

記憶のプロセス

 記憶のプロセスは3段階に分かれます。まず覚えこむ過程は記銘(海馬担当)といい、記憶内容の貯蔵、保存は保持(側頭葉担当)、そして記憶内容を思い出す過程は想起あるいは再生(大脳生理学的にはほとんど解明されていませんが前頭葉が関与していると考えられます)といいます。記憶内容が保存されていても必ずしも想起できるとは限りません(→記憶喪失)。

 五感のうち嗅覚、香りには強烈な記憶喚起力があることが分かっています(→プルースト効果:嗅覚の中枢が海馬や扁桃体の近くにあるためか)。また意識の活動が弱まったときに潜在的記憶が想起されやすくなることも知られています(→催眠)。

逆行性健忘(記憶喪失)の一例

 記憶喪失=健忘は過去が思い出せなくなる逆行性健忘と呼ばれるものと、新しいことが覚えられなくなる前向性(順行性)健忘の2種に大別されます。前向性健忘は脳の器質的障害が主な原因と考えられますが、逆行性健忘は脳の障害以外にも心因性のものがあるといわれています。つまり性格的な偏りや精神的なダメージが健忘の原因となりうるようです。

 記憶喪失になりやすいとされる人格特性として、消極的で柔軟性に欠ける、情緒が不安定で反社会的、現実逃避的…等が挙げられています。心因性の逆行性健忘は記憶内容が保存されているのに何らかの原因でその一部が想起できなくなっている状況と捉えられています。

 昭和30年代の古い症例ですが、記憶のメカニズムを理解する上で興味深い逆行性健忘の症例を一つ挙げてみます。事件の始まりの舞台は横浜、港の見える丘公園。一人の青年がベンチでうたた寝をしていました。昼過ぎ、目を覚ました青年は大変なことに気付きます。

 自分が誰なのか、なぜここにいるのか…自分に関わるすべての過去を忘れてしまったのです。彼は誰かに助けを求めるために近くの交番に行きました。交番に行けば何とかなるはずだという見当はついたようです。ところが警察官に対して言葉を発しようとしてまたまた大変なことに気付きます。日本語まで忘れてしまったのです。そこで彼は中学校で習った片言の英語で尋ねました。 「Who am I?」

 一目で尋常ではない彼のあり様に警察官はすぐ、精神病院へ連絡をとり、結局、静岡の病院に入院することになりました。頭部を打撲した様子も無く、嘘をついている様子も見られず…彼には重篤な逆行性健忘症という診断がくだされ、催眠療法を中心とした治療が加えられていきます。

 早速、郷里から母親が呼ばれましたが、彼は彼女を母親として認識することがまったくできませんでした。気分も落ち込みがちで抑うつ的な状況がしばらく続きます。ところが一月ほどすると彼は不思議なほど元気になり、自分の過去を生き生きと語るようになります。彼の思いだした過去とは以下のような生育歴でした。

 自分は北九州の出身で裕福な家庭に何不自由なく育ち、父親は立派な市会議員であること。彼自身も成績優秀でスポーツ万能、とりわけ絵が得意だったので絵描きになるために上京し、絵の勉強をしていて記憶喪失になってしまったと…しかし病院側は母親を通じて彼の本当の生育歴をつかんでいました。しかもポリグラフにかけても彼がウソをついているようには見られず、記憶喪失の症状は決して改善していませんでした。

 実は彼の父親は犯罪常習者で家族は極貧の生活を送っていました。彼自身も中学時代から非行に走るようになり、少年院にも入ったことがあるとのこと。結局、高校へは行かずに家出同然で東京に出てきましたが、たちまち暴力団の女に手を出して金銭を強要され、途方に暮れてその日公園のベンチに腰かけた…どうやらこれが彼の直面していた現実だったようです。

 彼が本当の記憶を取り戻すのはもうしばらく後の事でした。きっかけは医者の衣服から漂ってきたタバコの匂い。彼はその匂いを嗅いだ瞬間、自分もタバコを吸っていた事をまず思い出しました。そして無性にタバコが吸いたくなり、売店で購入して一服したとき、彼はほとんどすべての記憶を取り戻したといいます(プルースト効果、マドレーヌ効果) 。

 ただ皮肉なことに記憶喪失は完全に治癒する一方で、再び過酷な現実と向き合うことになった彼はすっかり抑うつ的になり、またまたふさぎ込んでしまったというわけです。

 

記憶喪失と解離性同一性障害

 心因性の逆行性健忘と並んでそれとよく似た「解離性同一性障害(多重人格障害)」が最近知られてきています。幼児期などでの性的・暴力的虐待が主な原因とされ、日本にはあまり症例が見られませんでしたが、ここ数年、急速に日本でも注目されてきた、かなり重篤な心理障害の一つです。

 一人の人間にいくつもの人格が存在しており、通常の「自分」とは年齢や時には性別まで違う多数の人格が次々と出現しては本人の生活を妨げるという厄介な症状を見せます。交代人格が表面化している時の出来事は正常な状態の時にはまったく思い出せないので一種の記憶喪失を伴っている障害といえます。記憶はそれぞれの交代人格がバラバラに保存しており、ある人格に支配されている時には他の交代人格の記憶を取り出すことができないようです。この場合、記憶は各人格が細切れで保有していることになるため、患者自身の人格からすると一日がとても短く感じるといいます。催眠療法が治療方法としてよく試みられていますが、短期間でのめざましい効果はあまり期待できないようです。

 多重人格における交代人格とは虐待などによって危機にさらされた本当の「自分」を守るために作り出された偽の人格であるとする考えがあります。とすれば偽の人格=仮面で守られなければならなくなっている、すなわち脆弱になっている本当の「自分」をいかに勇気付け、自信を回復させて偽の人格、すなわち仮面無しでも生活できるよう「自分」自身を鍛え上げることができるか、が心理治療のポイントとなるのでしょう。

 ただし多重人格障害を一つの独立した病気のように固定的に捉えるのは問題かもしれません。人は誰しも「多重人格」を抱えていて、それらをTPOに応じて使い分けているはず。むしろそれは正常なことであって、逆に人格の使い分けが出来ないと対人関係にヒビが入ることになるでしょう。親の前と先生の前とでは違った自分を演じ分けるのが普通の生徒です。だからといって彼らを「多重人格障害」と決めつけることはナンセンスなのです。

 ここで問題とされるのは記憶喪失を伴う重篤な「解離性同一性障害」なのであって、ただの多重人格ではありません。

参考動画

 ◎【多重人格】13人の人格と暮らす男性に1日密着してみた

   日本財団  2023/04/04  16:52

 【多重人格】記憶の共有は?自在に交代も?周囲どう理解?解離性同一性障害と

  は?70~80人の人格がある当事者に聞く

  ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/09/22  37:53

参考文献

 「遺族外来~大切な人を失っても~」大西秀樹 河出書房新社 2017

  P.82~89に解離性の記憶喪失の貴重な事例が紹介されている。このブログで紹介

 した記憶喪失とは真反対の事例であり、非常に興味深い。亡くなった夫との幸せな

 日々の記憶が完全に喪失してしまった奥さんのケースであり、記憶喪失のメカニズ

 ムを考える上で重要なヒントを与えてくれる。

 

(3)人格と性格

 この辺りでその4の内容にも関わる「自分を受け入れ、他者を受け入れる」という事の意味にもう一度注目しておきましょう。

 さて人は普通、「自分のことは自分が一番、よく知っている」と思いがちですが、その一方で、自分が気付いてなかった自分の欠点を他人から指摘されてハッとすることも、たまにあったりします。一体「自分」とは本当はどんな人間なのでしょう?ある学者は「自分」という存在を以下のように四つの側面から捉えています。

 

フロイトの心的装置論と防衛機制論

 心の闇に初めて本格的な科学の光をあてたフロイト(1856~1939)は以下のごとく心が三つの領域からなるとした。

 フロイトは自我が超自我とイドとの調整に困難を感じて危機的状況に直面すると、心には自我が崩壊してしまうのを防ぐためにほぼ自動的に働くメカニズムが備わっていると考えた。これを防衛機制といい、代表的なものとして以下のものが挙げられている。

抑圧:自分にとって不愉快なことは意識したくないため、無意識的にしたり、忘れ

 てしまったりする機制。→逆行性健忘

退行:ある精神的な危機が原因で年齢よりも幼い言動をとってしまうこと。幼稚化

 することで親に守られて心の平穏を守ってきた乳幼児期の心情を追体験し、心の安

 定を取り戻そうとする働き。

合理化:言い訳、負け惜しみのたぐいで次の二つのタイプに分けられる。

 「酸っぱいブドウ」型:失敗したことで自分が深く傷つくのを避けるために失敗の

   重大性を軽く見なそうとする機制。→「イソップ物語」

 「甘いレモン」型:一生懸命頑張って成功したのにその成功が意外にもつまらない

   ものであったとき、これまで苦労してきた自分を馬鹿に思いたくないので成功

   の成果を過大に評価してしまうこと。

投射:自分自身のやましい感情の存在を認めたくないために、あたかも他人がそう

 した卑劣な心情の持ち主であるかのように思い込むこと。

 

 精神分析の祖と言われるフロイトの考えは100年余り前の理論であり、性欲中心の夢分析などその多くは最早、耐久年数を過ぎてしまっているのかもしれない。しかし防衛機制という心のメカニックな働きを想定した点は今も古びないように思える。

 なお人格とは英語で「パーソナリティー」ですが、その語源は古代ギリシア語の「ペルソナ」からきているといいます。「ペルソナ」は本来、仮面を意味しています。すなわち人格とは「仮面」のごとく、「自分」の表層部分に注目した言葉であり、心理学では「自分」の深層に注目した場合には性格という言葉を使って「人格」と区別することがあります。

 人格に関してはある程度まで「ロールプレイ(役割演技)」などで短期間の内に改造できますが、深層の性格本体を変えるのはかなり困難であると考えられています。

質問紙法と投影法

 本人ですら知ることの難しい、心の奥底を照らし出すためにフロイトらは自由連想法や夢分析などを用いましたが、やがて様々な立場から各種の心理検査が信頼性、妥当性を吟味されながら開発されてきました。心理検査には文章での質問に対して選択肢から選んで答えるという質問紙法と呼ばれる一群の検査と、回答者のウソなどを防ぎ、より本人の深層に迫るための投影法という検査とがあります。通常、鑑別所や精神科の外来などではこれらの検査を複数実施して本人の心理面を表層および深層ともに探っていくことになります。

 もちろん質問紙法の場合でも回答者のウソを排除するための工夫(ライ・スケール等)が施されてはいますが、回答者が知らず知らずのうちにウソをつく可能性まで排除するには投影法が最も適切な検査手法でしょう。なぜなら投影法では回答者は一体、何を調べられているのか、直接にはわからないように工夫されており、多くの場合ウソのつきようがないからです。

 投影法の代表として有名なのがインクのシミからどんなものが見えてくるかを問うロールシャッハテストです。また人物が登場する絵を見せてそれがどんな場面なのか物語らせるTAT(主題統覚検査)や「私はいつも(……)で失敗してしまいます」といった文章の穴埋めをさせて分析する文章完成法も知られています。

 特に言語能力の未発達な未成年者や自己防衛的な非行少年にはバウムテストやHTPのように絵を描かせて分析する描画法と呼ばれる手法もよくとられています。ただしその解釈は主観性を排除できません。繰り返しになりますが、一つの検査で自分や他人の性格を決めつけることは完全な誤りであり、かつ人格に関しては場の状況に応じて変化してしまうことにも留意しなければならないでしょう。

カッパの実践例

 なお私は大学の卒業論文で扱った「バウムテスト」を授業でよく扱ってきました。紙と筆記具さえあれば簡単に実施できるのでオススメですが、絵の分析は決めつけにならないよう、注意が必要です。「実のなる木を描いてください」と口頭で指示するだけで、それ以外の説明はしないというルールも守る必要があります。基本的に時間制限はありませんが、10分程度で終了させて良いでしょう。紙のサイズはA4で十分です。縦長にして描いても、横長にして描いても構いません。分析に関してはある程度ネットで調べられますので、基本的な目の付け所は覚えておきましょう。私が主に注目したのは地平線を描いているかどうか、実を描いているかどうか、樹幹の輪郭線を強めに描いているかどうか、幹を太く描いているかどうか、全体の印象はどうか、木は紙のどのあたりにどんなサイズで描かれているか、などです。

 高校生の過半数は身近なリンゴやミカンの木をイメージして描きます。不登校の多い学校では一部の生徒達に、紙の隅っこや下の方に異様に小さな木を描く傾向が見られました。またかなり厳しい状況におかれた困難校では幹が折れていたり、太い枝が折れている、幹や枝の一部が枯れている、ないしは幹にウロや傷のある木を描く生徒が散見されました。

 就職試験に用いられることのあるクレペリン検査も、授業で度々、用いました。もちろん実際の課題量の半分以下にカットして簡易版を自分で作り、30分以内で終了できるようにしておかないと1時間以上費やすことになります。本当の検査は過酷すぎるので授業ではやれません。乱数表があればすべてを手作りできます。

 ランダムに並んだ一桁の数字の列のそれぞれ隣り合う数字を足し算し、答えの一桁目を数列の下にどんどん書いていかせます。時間は「ハイ!」という合図で区切ります。「ハイ」と言われたら下の列の計算にすぐ移るのです。足し算のスピードを競うような検査ですので、あらかじめ「数多く答えられなければ試験には落ちてしまうぞ。」とプレッシャーをかけておく必要があるでしょう。本来なら一行1分で下の列に移るところ、30秒以内で切ると全体が30分程度で終われるはずです。分析の際、特に注目するのは各列の答えの到達点を結んで出来る作業曲線と呼ばれるものと間違いの数です。

 答えの多さは二の次にしておかないと、作業の遅い生徒が気分を害してしまいますので、授業での分析は専ら作業曲線の形と間違いの数に絞るのが無難です。間違いの数は実際には数える必要が無く、間違いが多いと仕事にミスが多い人と判断されてしまうなどと説明すれば十分。

 作業曲線の形は前半の場合、時間と共に慣れてきて次第に答えられる数が増えていきますがやがて疲労のため、数が減っていくのが典型的。休憩時間の直前、力を振り絞って成績の挽回を図るため、少しだけ出来た数は増えて休憩に入ります。短い休憩(2~3分)を挟んで後半に入ると、後半では休憩効果が出てきて最初から成績が良く、しばらく好成績が続きますが、やはり中盤以降で疲れが出てきて成績は下降気味になります。そして終わりが近づくと最後の頑張りで少しだけ成績が挽回されます。この歪んだ「S」字を左右逆さまにしたような曲線が前半と後半に並ぶのが典型的曲線パターンです。そして典型的作業曲線からどんなズレが見られるかが診断の一つのポイントになると言って良いでしょう。

 最初だけやる気はあるものの、すぐに成績が下降気味になり、休憩効果もあまり見られないパターンは仕事が長続きしない人の特徴。この真逆のパターンで後半に強い人は仕事に集中するのにやや時間を要する人かもしれません。粘り強い人は作業の後半でもそれほど成績は下降しないでしょう・・・などとコメントし、自分はどのパターンなのか確認させましょう。もちろん実際の就職検査では答えられた数が一定の基準を満たせない場合と間違いの量が多い場合は確実にマイナスの評価となります。鉄道関係の企業や製品のチェックが行われる工場など、作業のスピードと正確さが問われる職種の企業ではこの二点を厳しくチェックしていると考えるべきです。

 実際の検査はかなり過酷な作業のため、手が痙攣しそうになるほどです。従って意識して作業曲線を整えようとして答えのペースを微調整する余裕は無いでしょう。もし微調整しようとすれば一番肝心の作業量自体が落ちてしまいかねません。

 妙な入れ知恵を付けておいてこんな事を後で言うのも変なのですが、最後は「検査では一つでも多く、正しく解答するために最後まで全力を尽くししかありません。」と言う他ないのです。また多少、練習してもこの検査の結果はほとんど左右されないと言われております。そもそも「仕事への適性を調べる検査なので、無理矢理、良い結果を出す意味は無い」という大原則を理解してもらうことが一番大切になります。適性の無い職種、企業に合格してしまうと、本人にとっては将来、却って悲劇となる恐れがあります。

 

・AIと人類

🧠】2025年をゆるく予想:新時代の戦争、マスメディアの崩壊、悪意のあるAI、

    格差と陰謀の関係、無意識の可能性について。

    佐藤航陽の宇宙会議 2025/03/01 45:54

    かなりぶっ飛んだ内容のように感じるが、結構、鋭く踏み込んでいて示唆に富む。社会科教師としては視聴しておいた方が良い動画。

「陰謀論が最強に。人類は自滅へ」ハラリ著『NEXUS(ネクサス)』を解説

    サラタメさん  2025/04/21  50:28

「ほとんどの情報はゴミ」蔓延するウソ情報 知の巨人が学生に警笛「情報=真実で

    はない」TBS NEWS DIG Powered by JNN 2025/03/16  1:48

    AIの暴走、AIによる人類の分断を予防するためには敢えて自分とは異なる意見に耳を傾け、人間への信頼を回復するための努力を続ける事が大切である、という指摘は学校教育において現在、議論を軸にして多様な意見を引き出す授業のあり方が求められていることと大いにつながる重要ポイントであろう。

【日本が危ない!】いま、世界は幕末!?未来から来た女が言う『日本の危機』と

    は【未来から来た女 Vol.1】DLE channel2019/01/24

年金制度が崩壊し、日本から若者が脱出! そして2040年に世界大戦が起きる・・・?【未来から来た女 Vol.2】/2019/01/31

日本に残された道は「○○○○の放棄」しかない!?そして起こる『シンギュラリ

    ティ』とは【未来から来た女 Vol.3】/2019/02/07

AIが実現した『シンギュラリティ』 そして訪れる人間の『変化』とは・・・【未来から

    来た女 Vol.4(最終話)】/J2019/02/21

【漫画】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ【要約/ピーター・ディアマン

    ディス】フェルミマンガ大学 2021/05/20

成毛眞が語る「2040年の未来予測」【中田敦彦のYouTube大学でも話題】

    NewsPicks 2021/02/01

【2040年の未来予測】次の時代の成功者になるには(Predictions for 2040)

    中田敦彦のYoutube大学 2021/01/09

【2040年の未来予測】衰退する日本と予測されるリスクとは?(Predictions for

     2040)中田敦彦のYoutube大学 2021/01/10

【NFTとメタバース①】デジタル資産になぜ数十億円もの価値がつくのか?世界の未

    来はどう変わる?中田敦彦のYoutube大学 2021/11/06

メタバース“2700時間超え滞在者に聞く魅力・・・人間の五感を再現した未来も

    (2022年1月10日) 2022/01/11 ANNnewsCH 8:22

【解説】メタバース上の殺人どう裁く?全世代が活用可能?政府が「メタバース研

    究会」発足│政治部・小野孝記者 

    ABEMAニュース【公式】 2022/08/02  15:52

【VR】メタバースでも痴漢やストーカー?安全と監視のバランス

    ABEMA 変わる報道番組 2022/09/29 20:06

    メタバース空間で過ごす時間が増えてくると予想される負の側面として何があるのか、プライバシーを脅かすような全面的な監視社会の成立を防ぐためにはどんな仕組みが必要なのか、考えていくべき課題は多い。視聴後、生徒にアンケートをとって意見を募りたい。

 

参考記事

民主主義を破滅させる巨大IT企業による「監視資本主義」

     毎日新聞 2022/10/19 05:30

 要領よくポイントをおさえた短い記事なので全文、読ませて討論させたい。

参考動画

緊急取材!AIで激変する世界と日本

 テレ東BIZ 2025/04/19 38:24

【AI超進化で人類終了のお知らせ】茂木健一郎が語る「AIが支配する未来」/シンギ

    ュラリティは2~3年後に来る/人類はどう向き合えばいいのか?

    【5年後の世界】2025/04/30 21:48

 「全ての問題が解決したら人間は何をする?」「AI開発者は人間をどうしたいのか?」「シンギュラリティ後、人間は二手に別れる」「人間は人間に一番興味がある」「人間の仕事はどう変わる?」「人間はあとどれだけ地球上に存在できるのか?」「今後、AIの反乱はあるのか?」という各問、テーマについてそれぞれ茂木氏の答えを予想させてみたい。

【AIが支配する衝撃の未来】茂木健一郎が語る「5年後のAI世界」/人類との最大の

 違いは「生きがい」/日本が世界を救う?【5年後の世界】2025/05/07  16:01

👁️】新しい戦争「認知戦」について天才クリエイター大嶋泰介さんと会議。AIに

    支配される認知、偽情報と陰謀論、トランプの選挙戦略、シンギュラリティ後の人

    類など。 佐藤航陽の宇宙会議 2025/03/09 1:06:25

【人間vsAI】Geminiの強くなった画像生成を対ディープフェイク歴3年の俺が見破

 る 安野貴博の自由研究チャンネル 2025/04/26 11:50

 フェイク画像の見分け方を安野氏がクイズ形式で答えてくれる興味深い動画。AIの専門家がどこに注目してフェイク画像を見破るのか、注目したい。

【ゆる解説】Grokでファクトチェック、SNSのデマはAIに暴ける?

   【生成AI】安野貴博の自由研究チャンネル 2025/04/18 12:02

【grok】生成AIでのファクトチェックがXで流行?間違いも?信じるのはダメ?

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】2025/04/10  15:34

    上の二つの動画を視聴すればファクトチェックが現状ではいかに難しいのか、分かるだろう。根拠の無い誹謗中傷やデマの拡散をネット上で防ぐことは現段階で不可能であり、一つの情報源を鵜呑みにすることは極めて危険であると考えられる。ネット上で飛び交う意見、情報の危うさを知ってネットリテラシーを高めることは必須。ぜひ、二つの動画を連続して視聴させたい。

※参考記事

 ◎「SNSを全削除しました」ディープフェイク増加で危機感を高めるZ世代の対応 「一番怖いのは被害

         を自覚できないこと」「ターゲットは女性だけじゃない」  マネーポストWEB  2025.5.3

     卒業アルバム制作の印刷会社にサイバー攻撃 千葉県立高8100人の漏えいリスク    各地の小中学校で

        も懸念 東京新聞 2025.5.3

 

 

自由意志 茂木健一郎/その決断は本当に自分の意思か/AIの時代により重要な意

    識の問い/人はいかに選択し、意思決定しているのかを問う

    IMAGINE イマジン大学 2024/07/25 19:22

その1.沖縄における観光業

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

【沖縄×ビジネスの未来】沖縄経済の光と闇/インバウンド需要と観光閑散期/Tリ

     ーグ王者が仕掛けるビジネスイベント/冬の沖縄に集うトップ経営者/観光単価を

    上げ/アスティーダ(明日の太陽)で照らせ

    PIVOT 公式チャンネル 2025/09/03  30:37

    沖縄の将来性に注目。

入札不調 どうなるMICE計画(沖縄テレビ)2024/9/25

 OTV沖縄テレビ 2024/09/26 6:13

 観光地としてイマイチの状況にある沖縄本島東海岸の振興を進める上でカギを握るのが西原、与那原地区におけるMICE計画。しかし現状ではそこに進出する企業が一つもない。この深刻な結果をどう分析し、打開の道をどう探るのか…検討すべきポイントは多い。ぜひ、授業で議題に挙げて討論に持ち込みたい。 

 大きなポイントとなるのはおそらく那覇からのアクセスの改善であろう。環境に配慮した移動手段、すなわちモノレールの延伸をふくめた鉄道の敷設が計画されない限り、同地区への企業の進出はほとんど望めないと考えるが、いかがか。

 ヤンバルでは森岡氏が進めているジャングリア構想があり、この成功のためにもいずれは那覇からのアクセスの改善が必須となってくるだろう。那覇から名護までの鉄道敷設は遅かれ早かれ、沖縄全体の振興にとって欠かせない施策となるはずだ。そしてこの路線の敷設は米軍基地の返還と切り離して実現できるものではなく、二つが同時に実現することこそ沖縄県民の最も熱望するところであると考える。

 もちろん沖縄の経済的発展は中国による台湾進攻や尖閣諸島への進出を防止する上でもマストの課題となろう。特に観光業の発展は沖縄経済の発展において最も重要な柱であり、欧米からの観光客の増加は沖縄の基地問題、尖閣諸島の領有問題を世界に知らしめる上で少なからず役立つ。沖縄における交通網の整備、米軍基地の縮小・削減がもたらすプラスの効果は計り知れないはずである。

「東京・京都大阪」の次へ動き始めたインバウンド… 沖縄が一気に前年の5倍に…

   「欧・米・豪」から見た沖縄旅行の魅力とは

   【琉球放送】RBC NEWS  2024/10/07 5:33

何を求めて沖縄へ? 増加する欧州からの観光客

   OTV沖縄テレビ 2024/07/26 7:46

   沖縄にヨーロッパからの観光客が増えている点は非常に喜ばしい現象だが、彼らが求めている長期滞在型の観光に耐えうる異文化体験、自然体験への対応がまだまだ不十分かもしれない。外国人を意識した、もう少し本格的な内容の焼物、組踊、三線、空手、染色、ダイビング、トレッキングなどの体験コーナーをさらに充実していく事が求められているだろう。

【2030年に外国人観光客は2倍】オーバーツーリズム問題の対策/外国人にとって

   わかりにくすぎる日本の暗黙のルール/外国人観光客の「価格」は変えるべき?

  【KUROFUNE】 PIVOT 公式チャンネル 2024/07/20  32:13

 観光公害の問題にどう対処すれば良いのか、大いに参考となるだろう。

【日本の定食⇒米国なら5000円】値下げを美徳とするな/チップを払いたい外国

 人/観光客価格と日本人価格を分けるべきか/外国人観光客との摩擦/人口の1割が外

 国人になる【KUROFUNE】 PIVOT 公式チャンネル 2024/07/27  37:58

 確かに日本の観光業の場合には高品質・低価格路線から高品質・高価格路線に舵を切る必要があるだろう。特に外国人向けの観光としては長期滞在型を念頭に置いたツアーの開発が急がれる。たとえば複数の霊山巡りや長距離のサイクリング体験、地方の銘酒案内、スキーとダイビングを抱き合わせての日本列島南北ツアーの提案などが考えられよう。

 外国人観光客がとりわけ日本の高品質で高価格なツアーの出現に期待している円安の今こそ、すっかりブラック化してしまった日本の観光業の体質改善を一気に図る絶好のチャンスである。特定の観光地に外国人が集中しがちな傾向も、日本在住の外国人ユーチューバーを積極的に活用して、穴場的な地方での観光地キャンペーンを海外向けにドシドシ発信することで少しは観光客を分散できるだろう。

 観光業を日本経済発展の要の一つとして捉え、観光客受け入れのキャパシティ拡大を推し進める戦略が求められている。生徒たちにも、どんなコース設定をすればより多くの外国人の興味をひけるのか、価格設定プランとともに提案させてみたい。

【解説】日本"観光世界1位" 交通インフラなど評価 課題は"デジタル化"の遅

   れ?『知りたいッ!』 日テレNEWS  2022/05/25  9:48 

   日本全体の観光のポイントについては非常によく整理されている。まずはここから理解しておきたい。

 復活インバウンド モノ消費⇒コト消費へ 日本の文化・伝統で観光産業への商機

 は…【Bizスクエア】TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/10/28  12:09 

 体験を観光の目玉とすることは観光客の一点集中を避けて分散を図り、オーバーツーリズム、観光公害の解消につながる可能性を秘めているだろう、さらに長期滞在型を増やして観光業の利益率を向上させ、観光業従事者の生活改善にも役立つ可能性はあるだろう。

 特に目立った観光資源が存在しない地方でも外国人に何らかの日本の伝統文化、食文化の体験を提供できるはずである。成田氏が指摘する日本文化が持つ「発酵と珍味」を生かした工夫は日本のどの地域においても可能なはず。地方の少子高齢化や荒廃を防ぐうえでも海外に向けての発信力が問われているに違いない。

参考記事

「インバウン丼」食べない人にも批判された深い訳 テーマパーク化するニッポンに、

   どう向き合うか 東洋経済オンライン 谷頭 和希 2024.12.12

 インバウンド丼の話など興味深いエピソードが多く、日本の今後の観光業のあり方を考える上で大いに参考となるだろう。次の記事とともに参考資料としてぜひ授業で紹介したい。

「高くなったディズニー」に抱く"寂しさ"の正体 テーマパーク化していく狂った街の

   生き抜き方 東洋経済オンライン 谷頭 和希  2024.12.11

   ここでいうところの外国人富裕層に観光のターゲットを絞った「ニセコ化」は沖縄にもある程度まで必要とされるだろうが、それが地元民の排除につながらぬような工夫が必要となってくるだろう。沖縄の若者の就職先として貢献しようとするジャンガリアもまたニセコ化の弊害を想定した、利用者側へのもう一工夫が出てくると、さらに沖縄全体にとって素晴らしいアミューズメント施設となるに違いない。

沖縄が誇る泡盛がユネスコ無形文化遺産へ「戦火をまぬがれた黒麹」「西のスコッ

   チか東の泡盛か」先人の情熱が結実   FNNプライムオンライン  2024.12.4

【星野リゾート代表に聞く】観光地の混みすぎ&高すぎ問題...解決のカギは『休み

 の分散』と『自然観光』!本当は教えたくない...「オススメ旅先」とは?

 毎日放送 の意見 2024.10.6

 よくポイントが整理されていて資料としての利用価値は高い。

「安いニッポン」インバウンドはいいが…貧しい国、人権も尊重しない国に外国人

   は住みたいか AERA dot. 小塚かおる によるストーリー 2023.10.24

 沖縄に限らず、日本の観光業と労働環境、移民問題を同時に俯瞰して検討するにはかなり役立つ記事であろう。まとめとして使えるが、見通しを立てやすくするために冒頭で紹介する手もありうる。まずはこの記事で日本全体の問題をある程度、掴んでおいて、さらに沖縄特有の問題に目を向けていくという展開はいかがか。

「日本に来ないで」 ネットにあふれる外国人観光客への罵倒! 観光立国なんて実

 はタテマエ? 「外国人嫌悪」という現代病から考える

 Merkmal 昼間たかし(ルポライター) の意見 2024.7.7

 観光公害や日本人の「ゼノフォビア」(外国人嫌悪)の問題にどう向き合うのか、対応が迫られているだろう。森岡氏の構想はこれらの問題をどう解消していくのか、という課題の克服無しでは前進できない。ただし元来が国際色豊かな沖縄のことである。おそらく沖縄の場合、「ゼノフォビア」の問題は内地ほど深刻ではあるまい。

過去10年で外国人が倍以上増えた自治体は280 10倍超も

   毎日新聞 によるストーリー 2023.10.24

 上の資料と併せて紹介したい。観光業の目覚しい発展で注目される北海道の現状はいずれ沖縄でも表面化してくるであろう。また欧米の富裕層が安心して晩年を過ごせる高級なリゾート地としての長期滞在型高齢者向け施設の建設も今後は積極的に取り組む必要があるかもしれない。移民問題は差別問題の箇所でも詳しく触れるが、観光業発展を図る上でも避けられないテーマである。

「島民の平均年収は1100万円」高額納税者たちが瀬戸内海の離島に続々と移

   住してくるワケ 日刊SPA! の意見 2023.10.24

   周防大島での取り組みは同じくハワイへの移民が多かった沖縄にとっても大いに参考となるだろう。

質は高いのに生産性が低すぎる日本のサービス業、コロナ明けの賃上げにつなげる

   には? 弁護士ドットコムニュース によるストーリー 2023.5.14

日本の「観光GDP」実は、欧米水準の半分程度 求められる「より稼げる産業」へ

   の変革 まいどなニュース の意見 2024.5.31

   日本の観光業の最大のウィークポイントは生産性の低さにある。どうしたら観光業の生産性を上げていけるのか、沖縄を例にしてその方策を考えさせたい。

 

 コロナ禍が始まる前までは沖縄を訪れる国内観光客数は修学旅行を含めてやや頭打ちの感があった。しかし近年は中国、台湾を中心に外国人観光客数が急増しており、全体的に見れば沖縄の観光業は順調に発展してきたと言って良いだろう。実際、ビーチには豪華な観光ホテルが乱立してきていたし、かつて修学旅行の生徒達にはあまり「美味しい」という評判を聞かなかった沖縄料理も今は見違えるほどの進化を遂げている。ハイセンスな喫茶や国際色豊かな飲食店はむしろどこよりも集客力が高く、沖縄観光の目玉とすら言えるだろう。

   ただ残念なのは沖縄を訪れるヨーロッパ人の少なさ。日本好きの多い彼らの平均的滞日期間はかなり長いのに沖縄があまり選ばれていないのはなぜだろう。これはぜひ考えさせたいテーマの一つ。ヨーロッパ人観光客の増大は今後の沖縄観光業の発展に向けて大きな課題となるであろう。

・沖縄への観光客数の推移

 1972年(沖縄、本土復帰)56万人

 ⇒2018年958万人で約17倍に急増

 特に外国人観光客はここ10年間で15倍に急増

Q.「どこの国から数多く来ている?トップ4を挙げてみよう。」

 ※2012年以降、中国人(香港を含む)観光客が激増し各地で「爆買い」。沖縄にも多数来訪。中国、

  台湾、韓国、米国の順

 中国など東アジアの多くの観光客は「沖縄」という特別感がなく、日本に行くのにたまたま一番近い場所だったという感覚で訪れる傾向がある。日本らしい商品(四宝など)や食べ物(タラバガニやメロン、神戸牛など)を求めてくるのに、そこにあるのが沖縄県産の商品ばかりでは、せっかくの購買機会を逃してしまうかもしれない。香港や中国から富裕層がきても、沖縄で欲しいものがなく帰ってしまうのは大変な機会損失となり、そのお金持ちの方は決してリピートはしてくれない。

.「かつて爆買いの定番商品であり、中国人観光客の間で「四宝」と呼ばれていたの

 は何?

 「炊飯器」「魔法瓶」「温水洗浄便座」「セラミック包丁」。その他、紙オムツや

 生理用品、医薬品、化粧品も人気だった。

 

 2019年の統計では観光客のリピーターの多い台湾が36%近くを占め、沖縄観光業界における台湾の重要性が改めて確認できる。また中国と香港を合わせると37%になり、台湾と肩を並べる存在になる。尖閣諸島の領有を巡って台湾や中国との対立が生じているものの、沖縄の経済にとっては両国との友好関係構築こそ死活問題である。ただでさえコロナ禍で大きな打撃を受けている沖縄観光業界にとって、中国が香港や台湾を政治的、軍事的に圧迫している今の状況は悩ましい限りであろう。

 

・観光業の沖縄経済に占める地位

 コロナ禍が始まる直前、沖縄の観光収入は年間約7000億円、それによる経済波及効果は約1兆1700億円。沖縄の県民総生産は約4兆3000億円だったので、今や沖縄経済の3割近くが観光業に依存していると考えられる。雇用に関しても県民の4人に1人の割合で観光関連に携わっている。

Q.「外国人観光客が多数訪れる都道府県トップ5は?」

 観光業の依存度は北海道のそれの2.4倍、雇用依存度は2.9倍にものぼる。インバウンド依存度(観光客に占める海外客の割合)も全国で5番目の高さ(京都、大阪、東京、北海道、沖縄・・・)である。

Q.「観光業の発展によって沖縄の貧困問題は改善してきたのか?」

観光公害」の側面も

 沖縄には鉄道がモノレール=「ゆいレール」(走行距離17㎞ほど)しかないので多くの観光客はバス、タクシー、レンタカーなどを用いる。もちろん沖縄県民も移動手段としてバスやタクシー、自動車に頼るので道路はいつも渋滞してしまう。道路の慢性的渋滞は人々の移動に支障が出るだけではなく、物資の輸送にも大きな障害となり、沖縄全体の経済発展の妨げにつながるかなりゆゆしき問題。⇒貧困問題の一因

Q.「なぜ沖縄本島には現在、長距離の鉄道がないのだろう?」

 ⇒基地問題(自衛隊基地と米軍基地)

※戦前は軽便鉄道が沖縄県営の路線として存在し、那覇と糸満、与那原、嘉手納を結ぶ三路線があり、

 総延長は47.8㎞ほどあったが、敗戦後、米軍によって完全に破壊された。

・沖縄の自衛隊基地:2018年段階で離島中心に50施設(1972年3施設)、面積で728

 haほど(1972年の4.4倍近く)。自衛隊員の数は7700人ほど。

・米軍基地:2018年段階で本島中心に33施設(1972年87施設)、面積18708ha余

 り(1972年28660ha余り)。軍人軍属家族数は2012年以降非公表で2012年の推

 計が47300人(1972年42229人)。面積3割減、人員微増。

LRTの導入に向けてパブリックコメント受付開始 (24/05/02 19:20)

 OTV沖縄テレビ 1:16

【鉄道復権?】沖縄の鉄道の歴史を振り返り、未来の鉄道建設構想を考察

 鐵坊主  2021/08/10 8:45

車社会の沖縄 求められる鉄軌道とは?(沖縄テレビ)2022/4/4

 2022/04/05 OTV沖縄テレビ 6:18

 那覇周辺の道は渋滞が慢性化し、その改善が早くから求められていた。しかし米軍基地の存在と市街地化の進展によって鉄道の敷設はこれまでも困難を極めてきた。しかしより一層の観光業発展を期する上でも鉄道敷設はマストの課題であり、一刻も早い敷設計画の実現が待たれる。

「台湾地震沖縄県への影響」津波警報発令で県民が高台に避難した~

 街歩きokinawa  2024/04/10 8:05

「沖縄移住に失敗する人」に決定的に足りない視点 沖縄に進出したが、なじめず帰っ

   てしまうことも 東洋経済オンライン 伊波 貢 の意見 2024.9.5

「10秒前に津波警報」沖縄へ着陸直後に…“機内騒然 車大渋滞高台に避難者多

   数【スーパーJチャンネル】ANNnewsCH  2024/04/03 7:39

 琉球大学の地震研究室によると沖縄は1771年に南西諸島南部の先島諸島で発生した明和の大津波(八重山地震津波)では大きな被害を受けている。石垣島南東岸から東岸では最大遡上高が30mに達し、多良間島から宮古島南部海岸にかけても遡上高は10m以上に達したという。津波による死者は全体で約12000人にも達し、宮古・八重山諸島に多大な被害を与えた津波災害が江戸時代にあったのである。

   1960年にはチリ沖の大地震による数メートルの高さの津波に沖縄の東側沿岸が襲われ、大きな被害が生じたこともある。

 これらのことを考えると、今回の台湾での地震に際して発令された津波警報に対する沖縄の人々の避難状況にはどうしても大きな懸念が残るだろう。特に車社会の沖縄らしい問題点として高台に自動車で非難する人々が殺到してしまい、ただでさえ狭い道路の多い沖縄の随所で大渋滞が見られた点は見逃せまい。米軍基地が多くを占める海岸部の、ごく限られた低地に密集する沖縄の住宅事情を考えると、この問題の解消は非常に難しい。

 まずは本島中南部の海岸部の多くを占める米軍基地の縮小と高台に向かう道路の拡幅工事が急がれよう。また同時に市街地や住宅地での津波避難タワーの設置も急がれる。さらに高台への避難だけではなく、屋上の開放を含む高層ビルへの避難誘導もある程度まで可能とする特別な措置が必要だろう。

 生徒には沖縄の津波対策に関してどのような問題点があるのか予想させ、今後の対策を中長期的な視点からも考えさせたい。

   なお、日本はそもそも自然災害の多い「災害大国」であり、それが外国からの観光客に敬遠されてしまう原因になりかねないことは考えておくべきだろう。また日本は世界でも有数の少子高齢化に直面している「老人大国」でもある。若者が少なく、老人が過去にしがみついて改革を怠り、活気の失われた、ただの不景気な国家、しかも恐ろしい「災害大国」となってしまえば、せっかく増えてきた観光客の足もいずれは急速に遠のいてしまうに違いない。

 しかし今後、早急に来るべき自然災害に備え、綿密な防災設備と迅速な対応を可能とする体制を充実させていけば、日本は「防災大国」と評価される国にもなりうるであろう。また高齢者人口の急増に日本がうまく対応していければ、日本は世界公認の「介護大国」にもなりうるはずだ。

 「防災大国」、なおかつ「介護大国」と世界から認められれば、老後であっても安心安全、かつ最上のおもてなしと豊かでユニークな伝統や四季折々の美しさを味わえる「リゾート大国」日本として、海外から今以上に長期滞在型の観光客が押し寄せるに違いない。

 そうした観点からも、沖縄の防災体制と医療介護体制の、一層の充実が急がれるはずである。

京都や沖縄でも… 大混雑の観光地で人手が足りない バスに乗れない 「オーバーツ

   ーリズム」が深刻化 [クロ現] | NHK 2023/05/21 8:04

暮らしと観光の両立は 問われるオーバーツーリズム対策(沖縄テレビ)

   2023/9/7 OTV沖縄テレビ 2023/09/08 6:47

もう許せない!「外国人達へ、リスペクトできないら日本へ来るな」と英語で言わ

   せてもらった!『日本語字幕付き』Can't Respect Japan? DON'T Come!

   スティーブ的視点 Steve's POV  2024/06/13  11:37

   日本好きで知られるスティーブ氏の指摘は沖縄を訪れる修学旅行生のナイチャーや外国を訪れる日本人にも突き刺さるだろう。修学旅行の事前学習にぜひ、視聴させたい動画の一つ。

【オーバーツーリズム】観光地はキャパ超え?日本人が住みにくい?観光税も?イ

   ンバウンドは成長戦略に?|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/08/17  17:25

 日本経済のなかで大きな地位を占めてきている観光業のジレンマを克服することが喫緊の課題。

ごみ問題、交通渋滞、投資による地価上昇…京都・北海道から学ぶオーバーツーリ

   ズムの教訓とは?【ウェークアップ】読売テレビニュース  2022/07/16  10:24

 様々なポイントからアプローチされていて問題を概観する上で役立つ動画。

冨山和彦さんが“直言”超・人手不足時代をどう乗り越える?[NHKスペシャル&日

   曜討論] | NHK  2023/11/03 8:31

 少子高齢化の中でとりわけ福祉や観光業、飲食業といったエセンシャルワーカー部門の人手不足が深刻化している日本。一体、どんな対応が求められているのか…機械化、DX化による生産性の向上、企業の淘汰による労働力の流動性を高めたうえでの集約化、公定価格制の見直しなど、参考となる。

参考記事

沖縄移住で「なじめる人」「なじめない人」決定的差 「出身はどこ?」という質問に込め

   られた意味 東洋経済オンライン 伊波 貢 の意見 2024.9.14

   観光地としての沖縄に憧れて移住までしても、残念ながら3年以内で沖縄を離れてしまう人が少なくない、という。沖縄独自の慣習、しきたり、生活への関心と理解が無ければウチナーの社会に溶け込むことは難しいだろう。ナイチャーが沖縄について不勉強なまま、リゾート気分のままでナイチャーの社会に無理やり割り込もうとするのはウチナーとの軋轢を生むだけかもしれない。しかしウチナーの側も自分たちとは異なる価値観や多様性を少しは受け入れる柔軟性が必要であろう。時間さえかければお互いに歩み寄れる機会はきっとあるに違いない。

ディズニーだけはない、「若者のテーマパーク離れ」が止まらない…観光業全体で

   起きている「量から質」の転換

   現代ビジネス 谷頭 和希(ライター・作家) の意見 2024.9.14

 「量から質」への転換は日本の観光業における労働生産性を挙げる上で避けて通れない関門の一つだろう。谷頭氏はこの変化を総じて否定的に見ているようだが、安さに惹かれて来日し徒に問題を引き起こすタイプの外国人観光客数を減らす努力は必要である。他方で真摯に時間をかけて伝統的な日本文化への理解を深め、自然の豊かさを満喫しようとする質の高い外国人観光客を増やす工夫もまた同時に、沖縄を含めた日本の観光業全体に必要不可欠であると思うが、いかがだろう。

いつかマツコと有吉に食べさせたい…テレビで「味付けしてない里芋」と酷評された

   ドラゴンフルーツ農家の叫び

   プレジデントオンライン 山口 亮子 によるストーリー 2023.10.24

 この観点は沖縄の観光と農業を考える上で極めて重要なのかもしれない。実際、ドラゴンフルーツを国際通り近くで購入して食べてみたが味が薄くてフルーツの名称から連想される味には程遠かった(下写真)。おそらく輸入物だったのだろう。

 記事を読んで実際に沖縄産の新鮮なドラゴンフルーツを食べてみたくなった。もしも美味であるならば本来がインスタ映えする色鮮やかなフルーツであり、お洒落なカフェでは今以上に欠かせない食材となっていくはず。使い方次第では沖縄観光の目玉に化ける可能性まで出てくるかもしれない。

 上間氏が指摘されたように、サトウキビと補助金に大きく依存する沖縄農業はあまり持続可能とは言えないのかもしれない。したがって丈夫で育てやすいドラゴンフルーツが沖縄南国フルーツの期待の星として成長し、その栽培が多くの農村に普及できれば農民の所得向上にもつながり、沖縄観光の更なる発展を支える特産品の一つにもなるだろう。

【客層に変化】群馬「草津温泉」 欧米からの観光客急増のワケ『気になる!』 

   日テレNEWS 2023/11/21  5:25

 欧米への情報発信が沖縄ではイマイチ足りていないのでは?

【時給2200円】好循環が遂に実現?インバウンドで経済成長?給料が上がったニセ

   コで何が?リゾートアルバイター|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/12/13  15:55

 沖縄観光が今後、目指すべき道がニセコを通じて見えてくるだろう。観光業の労働生産性の向上こそ、沖縄貧困問題の解決に直結するポイントだと思うがいかがか。

「日本の印象や日本に来た理由」を聞いてみた | 外国人観光客 in 沖縄 国際通り

 【海外の反応】

   Sushi Street Talks【外国人インタビュー】  2023/11/12  13:23

 この動画を通じて外国人から見た日本の魅力と観光面での改善点が少しずつでも見えてくるだろう。特に沖縄の長所と短所が両方、つかめる点で非常に便利な動画。沖縄学習の時間が少ない場合には沖縄観光の概略を要領よく説明しやすいため、特に役立つであろう。

   沖縄観光の最大の強みは日本の中で例外的に味わえるトロピカルな魅力。特に慶良間ブルーは世界的に有名であり、工夫次第ではダイビングスポットとしてもっと数多くの外国人観光客を呼べるはず。

   また米軍基地が多いことでもたらされている沖縄の人の英語に対する拒否反応の小ささ、沖縄での英語表記の多さは外国人観光客をさらに呼び込む上で内地と比べればかなり有利に働くであろう。

   沖縄に不足しているのはヨーロッパからはるばるやってくる観光客がダイビング以外の目的でも長期滞在できるような施設や娯楽、体験型アミューズメントの少なさなのではないか。世界遺産に認定されている組踊や各地のグスクの魅力をもっと海外にも積極的に発信し、英語を用いた外国人向けの観光案内だけではなく、三線やカチャーシー、空手、ヤチムンつくり、黒糖つくりなどの体験コーナーや中長期に及ぶ講座数を、その指導者数を含めてどんどん増やしていくべきであろう。

   ヨーロッパからわざわざ沖縄に来る観光客は比較的目的意識が高く、多少は裕福であり、本来ならば内地だけでなく沖縄でも長期滞在を望んでいるはず。もっと言えば彼らが老後になってからでも沖縄で過ごしたくなるほどの魅力を備えることが出来さえすれば沖縄観光の将来は極めて有望に違いない。

 確かにオーバーツーリズムを背景とした一部の外国人観光客のモラルが欠落した行為やキャパシティの不足による観光業のブラック化に日本全体が直面している。しかし沖縄の場合、どのような外国人観光客を招き寄せるのか、きちんとターゲットを絞るような戦略があれば十分、改善可能だろう。

   たとえば円安による物価高に便乗して全体の客単価を20%以上、一気につり上げてアジアからの団体観光客の増大を防ぐ。そもそもが日本の物価より2~3倍は高いヨーロッパからすれば2~3割程度の価格上昇で客数が激減することなど無いだろう。むしろマナーをわきまえた、金離れの良い上客の割合が増えるかもしれない。

 その一方で、これを機に一部のサービスを高額化させつつ欧米の裕福な階層向けに特化させて観光業全体の利益率を向上させ、低賃金、長時間労働におちいりがちな観光業の体質改善につなげるべきではあるまいか。これは沖縄の貧困問題の解消にも少しはつながるだろう。

 ハワイと同様、南国の楽園としての高級リゾート地、裕福な高齢者が外国人を含めて晩年を過ごす高級保養地としての定評を確立することこそが、今後、沖縄観光の目指すべき道だと思われる。いかがだろう。

参考記事

ハワイ追い抜く「沖縄」観光地モラル低下のヤバさ サンゴの踏みつけなど生態系への

 影響も問題に 東洋経済オンライン 田中 俊徳 の意見 2024.6.17

 沖縄での観光公害の側面にも注目したい。

「食の欧米化が日本人の生活習慣病を増やした」のは本当か? この謎を解く沖縄の

 「平均寿命」と「脂質摂取比率」の意外な関係 集英社オンライン 2024.4

 47都道府県の内、平均寿命がかつては男女ともトップレベルをキープしてきた沖縄が近年、徐々に順位を下げてきていることは知られていた。その背景には安価で「大盛り」を謳う沖縄の大衆食堂やこじゃれたカフェなどで提供される沖縄スイーツ、歩くことや自転車に乗ることが少ない車社会の問題…などがありそうだ。したがってこの記事にあるように、単純に食の欧米化が生活習慣病につながる、とするのは欧米、とりわけヨーロッパの人々に失礼であろう。「沖縄危機」のポイントはもっぱら炭水化物、糖分の取り過ぎと運動不足であると思うがいかがだろう。

入館者急増の広島平和記念資料館、8月には2時間待ち…ネット予約・電子チケッ

   ト3月導入 読売新聞 によるストーリー 2024.2.12

 外国人の入館者が4割にも達しており、入館者数急増の大きな要因となっているのはなぜだろう。沖縄の平和祈念公園、平和祈念資料館に今後、新たに必要とされる工夫があれば、それは何だろう。生徒の意見を募りたい。

 

上がドラゴンフルーツ、下がスターフルーツ

どちらとも味はイマイチだった

 

「外国人が外国人を呼ぶ離島」小値賀島の秘密 観光客9倍?世界に魅力を発信する

  秘策【Jの追跡】 ANNnewsCH  2023/09/30 13:07

 沖縄に限らず、外国からの観光客を増やす戦略として非常に興味深い取り組み。沖縄の離島における観光振興策として模範になるだろう。

その3.沖縄戦 ウチナーとナイチャー

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

一般民家~沖縄戦の砲弾の跡~南風原町津嘉山~沖縄の激戦を伝える民家の壁を探

   す~ 街歩きokinawa 15:04

 いきなり残酷で重苦しい内容から入るよりも、日常風景に残るさりげない戦争の痕跡から徐々にイメージを膨らませていく展開の方が平和学習への抵抗感を少なくできるかもしれない。海軍壕のある豊見城地区と首里、最後の激戦区となる糸満・八重瀬地区などと南風原との位置関係は地図で確認しておくと良いだろう。また実際にグーグルマップで「津嘉山236」を検索させて壁面の弾痕を確認させたい。

沖縄の戦後はここから始まった~「魂魄の塔」そして沖縄戦最後の健児の塔「開南

 健児の塔」戦争で廃校になった旧制中学校・沖縄平和の創造の森公園内の慰霊塔・

 魂魄の塔から始まった墓苑の事情 街歩きokinawa  2024/05/27 12:25

 深く考えさせる動画。「街歩きokinawa」の動画の中で最も重要な内容が含まれており、ぜひ視聴させたい。沖縄戦で生徒教員の多くが戦死したため廃校となってしまった開南中学校の犠牲者が2019年になってようやく確定したことの持つ意味を考えさせたい。また「街歩きokinawa」の他の動画でも繰り返し触れている現地住民の意向を無視した遺骨の収集、移動に対しても考えさせたい。さらに沖縄における遺骨が持つ意味を「洗骨」という沖縄の伝統的な風習からも捉えさせたい。

「沖縄戦の生き残りは皆、艦砲射撃の喰い残し」 強烈な民謡を生んだ作曲家の壮絶

 な人生 【慰霊の日企画 #あなたの623】RBC NEWS  2024/06/21 8:48

沖縄戦の記憶を時系列で辿る旅:沖縄本島戦跡巡りと慰霊の日

 JtripTV【ジェイトリップツアー公式】 2024/06/15  15:51

 時系列に沿って沖縄戦の概要を知ることが出来るが、突っ込みが浅く、やや物足りない内容。導入として沖縄戦の概要を押さえておく分には利用できるだろう。

原爆投下の真実と日本人が忘れてはいけない4つの日

 むすび大学チャンネル  2023/08/07 11:50

 沖縄戦は一切、登場しないが、「ファクトチェック」の練習台となる動画。戦争に関しては扇動的な論調に流されやすくなるので要注意ポイントを早めに気付かせたい。この動画は幸いにして突っ込みどころは多いので生徒たちにどんどん突っ込ませてみよう。ただし言い分として正しい面もある。どの点が正しくてどの点が事実認識として間違っているのか、それぞれ列挙させ、それぞれ意見を出させたい。

  いわゆるネトウヨの主張パターンの典型を知ることが出来る点でもこの動画を視聴させる意義は大きい。基本的には戦争に関して自国の綺麗ごとを並べ、美談化する論調に流されてはならない。同時にアメリカのような他国を単純に美化することも間違い。軍事に対しては冷徹に事実を確認していく努力が求められる。

戦争で負けることは分かっていた?【昭和16年夏の敗戦】総力戦研究所・黙殺され

 たシミュレーション「日本必敗」猪瀬直樹執筆のキッカケ!

 ホリエモンのうわさ【切り抜き】 2025/06/28 7:16

 NHKの朝ドラ「虎に翼」などで注目された総力戦研究所関係の動画は数多いが、短時間で要領よくまとまっている動画としてはこれがオススメ。なお、最近のNHKのドラマのなかで史実では総力戦研究所の所長が「日本必敗」の結論を出すことに反対していなかったのに、ドラマでは若者たちの結論を握りつぶそうと動いていた。これは明らかに史実に反し、所長の遺族が怒るのも無理はあるまい。なぜNHKは史実を敢えて歪めたのか、本来ならばその理由をしっかりと説明すべきだろう。

 一体、NHKとしたことがなぜこんな幼稚ともいえるヘマをしでかしてしまったのだろうか?おそらくこの問題の背後にある闇は相当、複雑で深そうである。

 ところで負けると分かっていた太平洋戦争をなぜ当時の指導層は始めてしまったのだろうか。その理由は一つに尽きると私は考える。一般的には同盟国のドイツの快進撃を日本が買いかぶり過ぎてしまった点が挙げられようが、しかしこの点は既に研究所のメンバーがドイツの敗退を科学的根拠を示して正確に予想しているので除外。

 むしろそれよりも重大なのは、これまでの戦意高揚を柱とした巧妙な世論誘導の結果、国民が余りにも激しく日米開戦を求めてしまっていた点にあろう。この期に及んで国民の強烈な反英米感情を鎮めることは、洗脳策を強力に遂行してきた張本人たる近衛内閣として、限りなく不可能に思えていたはずである。

 仮に研究所の見解を世に知らしめれば最低でも暴動、はては最悪、内乱まで引き起こしかねないほどの危険性があった、と指導層の多くは考えたはず。それは指導層が何にも増して優先してきた国体護持をも危うくしかねなかった…

 明治憲法下、まがりなりにも国民に担がれた天皇制政府である。神輿の上に担がれている天皇制政府として担ぎ手の国民の意向は決して無視できない。下手をすれば神輿ごと天皇制まで転覆されかねまい。それこそが絶対的に回避すべき最悪の事態である。そして最悪の事態を回避するには開戦しかあるまい…これがカミソリと異名をとった東條の、熟慮の末に下した冷静な決断ではなかったか。つまり国体護持のためには開戦をも辞せず、それはすなわち敗戦をも辞せず…ということ。

 サイパン島陥落時、大本営は既に打つ手が無くなっていることを自覚していたと思われる。陥落直後の東條内閣総辞職が陥落の痛手の大きさを物語っているだろう。しかし敗戦に至るまで日本は打つ手が無くなっていたはずのサイパン島陥落から1年以上を要してしまった。なぜ勝ち目のない戦争が始まったのか、という疑問と、なぜ勝ち目のない戦争をグダグダと続けたのか、という二つの疑問とに対しては、いずれも国体護持のため、というまったく同じ理由を見出すことが出来る。

 731部隊の番組などで近年、日本の戦争責任に関してかなり攻めの姿勢を見せてきたNHKであったが、総力戦研究所に関する朝ドラやスペシャルドラマでは結局、どこか肝心の部分で歯切れの悪さが残っていたように私は感じてきたが、皆さんはいかがだろうか。率直に言ってそれらの番組の歯切れの悪さは、敗戦をめぐる本質的問題が国体護持、すなわち天皇制の問題に行きついてしまうからであると私は考えている。仮にそうだすれば、開戦や敗戦への疑念に正面から向きあおうとすればするほど、番組は天皇制を根本的に批判することにつながりかねない…さしものNHKであっても、この展開は放送する上で極めて厳しい…だろう。

 しかし本質的問題の追及が出来ないのであるならば、マスコミとしての社会的役割を十全には果たせまい。それはあたかも公教育がまともな政治教育、平和教育をこれましてほとんど出来てこなかった理由とほぼ重なってくると私は考えてきた。

 公教育と公共放送は天皇制によってガッツリと縛られている…だとすればこれまで日本が太平洋戦争への本質的反省をまともにできてこなかったのは無理もないこと…ならば私たちはここで諦めて引き返すしかないのか…ぜひともアンケートや議論を通じて生徒たちの意見を募りたい。

参考記事

沖縄に残る1900トンの不発弾、今も続く戦火の影響…「爆弾がなくなるまで戦

    争は終わらない」 読売新聞  2025.6.19

    「鉄の暴風」が残した不発弾の恐怖は、戦後100年経とうとも沖縄の人々を苦しめ続ける。沖縄を語る際に、そのことへの理解は不可欠だろう。

「急きょ、大和の特攻を考えたと」連合艦隊参謀の“肉声”発掘 戦艦大和「水上特

   攻」79年目の真実 文春オンライン 太田 啓之  2024.8.15

   この録音もまた沖縄戦に対する昭和天皇の関与が少なからず存在していたと考えられる証拠の一つであろう。天皇の沖縄戦における焦りが無謀な特攻作戦を助長し、一層t戦いを激化させていたとすれば天皇の戦争責任は決して軽くない。

謝罪もせず「研究させろ」とは何事か アイヌ民族と研究者の初対話から考えた「知

 りたい欲求」が持つ暴力性 東京新聞 2024.4.22

 沖縄も同じ問題を抱えていることに気付きたい。

「キノコ雲」をシンボルマークにする学校も。バーベンハイマー騒動の背景にあ 

 る、原爆投下を”ギャグ”にできるアメリカ人の感性

 集英社オンライン オピニオン 2023.8.15

 立場が違えば戦争への見方も大きく違ってくる。その典型的事例としてこれまでも

よく挙げられてきたのが原爆投下を巡る日米間の評価の食い違い。立場を超えた平和教育を目指すには何が必要か、沖縄戦を扱う上でも考えておく必要があるだろう。

平和の詩 「こわいをしって、へいわがわかった」【2022年度沖縄全戦没者追悼

 式】琉球新報  2022/06/23  3:47

 やはり「こわいをしって、へいわがわかった」が平和教育の原点では…まずはこの詩から沖縄戦の授業に入っていっても良いだろう。戦争の怖さを知ることが立場を超えて平和を築くための第一歩。

 ※参考動画

  惨劇伝える「沖縄戦の図」 2年ぶりに展示画家・丸木夫妻 創作活動追った映画公開

   ANNnewsCH 2023.6.23 3:54

  ドキュメンタリー 今も続く沖縄戦の傷「晩発性PTSD」QABドキュメンタリー扉2014 

   2014/03/02 11:25

  「この世の声とは思えない祖父の断末魔」近親者の死で戦争の記憶が蘇る“戦争PTSD 戦後78

   年も癒えぬ心の傷【琉球放送】RBC NEWS  2023/06/29 6:42

 

Nenes 平和の琉歌 tabia75  2009/05/26 4:54

 沖縄の人と多くのヤマトンチュとでは太平洋戦争や戦後の日米関係に対する考えや感じ方に大きな違いがあり、両者の間には相変わらず深い溝が横たわっているように感じられる。それを分かりやすく感じられるのがこの歌だろう。作詞・作曲はサザンオールスターズの桑田佳祐で1997年に発表。ウチナーポップスを牽引してきた知名定男も沖縄方言での作詞を担当し、本土のことばとウチナーグチと呼ばれる沖縄のことばで歌われている。

 この歌詞が意味していることとは何だろうか、太字の箇所を中心に問いかけていき、沖縄の授業の最後にもう一度視聴させて同じ問を繰り返したい。特に桑田と知名の歌詞が大きく異なる箇所には注目させてみよう。「愛を植えましょう この島へ」はいかにも上から見下したようなヤマトンチュの沖縄観がはしなくも露呈してしまっているとも受け取られかねない言葉遣い。確かに訳知り顔の他人から憐れみを受けることほど屈辱的なことはあるまい。これに対して知名の「情け(なさき)知らさな この(くぬ)島の(ぬ)」はウチナンチュからの痛烈な返しとなっている。愛が足りなかったのはヤマトンチュの方ではなかったか…愛を植えるべきは愛の足りないヤマトンチュの方ではなかったか…

 

この国が平和だと

誰が決めたの?

人の涙も渇かぬうちに

 

アメリカの傘の下

夢も見ました

民を見捨てた戦争の果てに

 

蒼いお月様が泣いております

忘れられないこともあります     

 

愛を植えましょう この島へ

傷の癒えない 人々へ

語り継がれてゆくために

 

この国が平和だと

誰が決めたの?

汚れ我が身の罪ほろぼしに

 

人として生きるのを

何故に拒むの?

隣り合わせの軍人さんよ

 

蒼いお月様が泣いております

未だ終わらぬ過去があります

 

愛を植えましょう この島へ

歌を忘れぬ 人々へ

いつか花咲くその日まで

 

御月前(うちちょーめー)たり泣ちや呉(くぃ)みそな

やがて笑ゆる節(しち)んあいびさ

情け(なさき)知らさな この(くぬ)島の(ぬ)

 歌やこの(くぬ)島(ぬ)暮らしさみ

 いちか咲かする愛(ぬ)花

※現代日本語訳:お月様よ 泣かないでください やがて笑える時がきますよ 情けを知らせたい この島

 の この島では歌が生活そのもの いつか咲かせる愛の花

 

市民を「土人」呼ばわり 機動隊員、沖縄のヘリパッド建設現場

 琉球新報  2016/10/19 0:41

沖縄戦の始まり 10・10空襲 悲劇をくり返さないために体験者の記憶をつな

   ぐ(沖縄テレビ)2023/10/10 OTV沖縄テレビ  2023/10/11 8:52

 沖縄戦はここから始まる。第9師団の台湾への移動が沖縄の「捨て石」としての位置づけを決定づけた点に言及したい。

【沖縄戦②】粟国島 1945年6月 / アメリカ兵に促され投降する島の人々 - 太平洋

 戦争 沖縄戦 20世紀映像チャンネル  2021/04/15  2:10

 沖縄戦の授業はこの動画から始めても良いだろう。沖縄戦の授業のキモはなぜこのような悲劇が沖縄で起きてしまったのか、その原因を生徒たち自らが興味を持って深く考えてみたくなるようなきっかけを作ることだと考える。

 沖縄の離島、サトウキビで有名な粟国島の住民がアメリカ軍に投降するシーン。武装した米兵に最初はおびえていた住民がやがて安堵と感謝の表情に変わっていく様子が分かるだろう。個人差は大きいだろうが投降後、粟国島の住人たちが「鬼畜米英」を日本政府によるただの戦争プロパガンダに過ぎなかったと悟るまでにはさほど時間を要しなかったようだ。この動画は粟国島の位置を示す以外の説明、発問は一切せずに淡々と視聴させてから直ちに「昔の沖縄 米国施政下~」の動画を見せたい。

【沖縄戦①】映像と解説 / アメリカ軍上陸と島民へ投降を呼びかける日系兵士 - 太

 平洋戦争 沖縄戦 20世紀映像チャンネル  2021/05/25  2:42

【沖縄戦③】映像と解説 / 戦いが終わった日 - 太平洋戦争 沖縄戦

 20世紀映像チャンネル  2021/06/02  2:38

 ①では日系兵士に頭をなでられて笑顔になる子供が印象的。③の白旗を掲げて投降する少女の写真は非常に有名なので、上の①か③から沖縄戦の授業を始めるのも良いだろう。なお、アメリカ軍はサイパン島攻略の際、日本人住民の多くが投降の呼びかけに応じず、崖などから身を投じる悲劇を目の当たりにしてきた。その反省からか、沖縄戦ではハワイなどの日系人、特に沖縄出身者を沖縄戦に同行させて住民の説得に努めていたようだ。授業ポイントはなぜ沖縄戦がこのような無残な終わり方をしなければならなかったのか、その理由を考えていく事であろう。

 ※参考記事

     ◎激しい地上戦が繰り広げられた沖縄、記録フィルムに登場する“震える少女”は「私だ」と名乗り

   出た女性が語る“記録の裏側”と“記憶の事実”【かんさい情報ネットten.特集】読売テレビニュー

   ス  2023/06/27  16:18

      首里城地下に眠る旧日本軍の拠点・第32軍司令部壕 全容解明の鍵を握るアメリカ軍のインテリジ

        ェンスモノグラフ FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.2.24

 

 記録を残そうとしなかった日本と詳細な記録を残したアメリカとの「歴史」に向き合う姿勢の違いに気づかされる。一方でアメリカ軍による残虐行為はアメリカの記録には残されていない。何を記録し、何を残さないのか…

【昔の沖縄】米国施政下のもと、沖縄が戦災から復興していく様子をご紹介してい

 ます。OKINAWA a la carte  2022/03/29 8:50

 開始1:05から1:47の写真解説に注目したい。まずナレーションによる解説が始まる前に動画を一時停止してこの場面は一体どんな場面なのか、生徒たちにこの写真が撮影されるまでの出来事を予想させてみよう。彼女は米兵に救出されるまでの間、一体、何を見てしまったのか…

 二人の子供を自らの手にかけ、自分は死にきれずに担架に乗せられてアメリカ兵の応急処置を受けている母親…首を負傷したらしい。おそらく自分で首を切って死のうとしたのだろう。しかし死にきれなかった。茫然自失となった母親の顔のあたり、写真がすっかり黒ずんでしまったようで表情はやや読み取りにくい。しかし解説を聴きながら薄暗く見える母親の顔をじっくりと眺めている(顔を拡大してみよう)うちにやがて私たちも気付いてしまう。そして彼女の顔から漂ってくる絶望的な悲しみに圧倒されてしまうだろう。なぜ、このようなことが起きてしまったのか?まずは問いかけてみたい。

   なお戦世から80年 沖縄の白黒写真カラー化で見えたもの(沖縄テレビ)

    2025/4/08 沖縄ニュースOTV 2025/04/09 7:33」では上の写真がより鮮明に確認できる。そちらの動画もあわせて視聴すると、一層、理解が深まるだろう。

 ※参考記事

  ◎沖縄戦、新版教科書は集団自決の日本軍関与触れず 市民団体調査

   毎日新聞 によるストーリー 2023.6.22

  村民73人の集団自決、自責の念で自殺した村長…「その孫だからこそ」

   満蒙開拓団の悲劇語り継ぐ 劇作家・胡桃沢伸さん 東京新聞 2024.1.24

   沖縄での集団自決は中国東北部やサイパン島などでも多数、発生していた。胡桃沢氏の思いを共

   有したい。

[NHKスペシャル] 新発見 78年前の戦場を記録した音声 | 戦い、そして、死ん

 でいく 〜沖縄戦 発掘された米軍録音記録~| NHK  2023/06/30 4:59

 日本軍による沖縄の住民虐殺や自決の強要がアメリカ兵の音声から明らかにされている。非常に貴重な動画であり、上の動画視聴後にぜひ、視聴させていわゆる「集団自決」の惨さを確認しておきたい。

防衛隊の父の手榴弾で~渡嘉敷(金城節子さん)

 沖縄県公式チャンネル  2013/12/16 6:15

【沖縄戦】衝撃の集団自決!奇跡の回避を果たしたリーダーの勇気と機転【真実を

 解明】 OKINAWA a la carte  2023/05/20   9:11

 集団自決を避けることの出来た島があったことはシムクガマのケースとともに記憶しておくべきだろう。運命の分かれ目はどこにあったのか、生徒たちに時間をかけて考えさせたい。

【信州の戦後80年】兵士の看護にあたった女学生に「生きろ」と言い遺し 佐久市出

    身の医師=軍医 小池勇助隊長 最期の地 沖縄の壕を整備 戦争を後世に伝えたい 

    TSBテレビ信州 2025/04/01  8:33

    小池隊長のような日本兵もいた、という事実は押さえておきたい。

戦争を知らない教師と生徒による『新たな平和学習』「OTV Live News イット!

 (沖縄テレビ)」2021/06/30 2021/07/02 OTV沖縄テレビ 7:19 

「思っているだけでは平和は来ない」 中山きくさんの想いを紡ぐ(沖縄テレビ)

 2023/6/22 OTV沖縄テレビ  2023/06/23 8:28

戦禍のウクライナから避難 “戦争の記憶”残る沖縄での生活沖縄「慰霊の日」に何

 を思う…? 読売テレビニュース  2023/06/24  10:11

 地上戦を経験した沖縄だからこそ出来る国際貢献の一つとしてウクライナ難民の受け入れがあるだろう。24人を受け入れているというが、少なすぎる印象はぬぐえない。もっと人数を増やせる工夫があるのではないか。

Q.平和学習のマンネリ化を乗り越え、自分事として平和考えるにはどうしたら良い?

お笑い米軍基地20周年 小波津正光さんが見つめる戦後80年(沖縄テレビ)

    2025/6/12 沖縄ニュースOTV 2025/06/13 8:03

    平和学習をいかにして高校生に自分事として捉えてもらえるのか…触れる事すらタブーとされるほどの悲劇を敢えて「お笑い」に昇華させて「突っ込む」…勇気あるお笑い米軍基地の取り組みに若者向けの有効なメッセージの在り方として、一つの可能性を感じる。

【修羅場・衝撃】修学旅行で沖縄へ行った時、沖縄戦を経験した女性の講演を聞い

 ていると、1人の男子が「ふざけるな!!」と言って立ち上り…

 22ch本当の話修羅場ch 2018/05/17 5:07

 討論の題材にうってつけの動画。ここでできるだけ様々な意見を生徒達から出しておきたいので、十分に時間をとってアンケートも用いてはいかがか。

 ※琉球新報デジタルによると沖縄戦での死者数約20万人の内訳は「沖縄戦では約20万人あまりもの

  人が亡くなりました。そのうち日本兵の戦死者は6万6000人、アメリカ兵の戦死者は1万2500人

  です。沖縄県民の犠牲者は一般住民が約9万4000人、沖縄出身の軍人・軍属が約2万8000人で、

  合計約12万2000人です…」とある。重要なのは日本兵の内、沖縄出身者を除いた戦死者が6万6

  千人ほどで沖縄県民の死者数のおよそ半分であり、軍人・軍属を含めて沖縄県民の4人に一人が死ん

  でしまった、というデータが意味することだと思うがいかがか。すなわち沖縄戦は本土決戦のため

  の時間稼ぎに使われた「捨て石」である、という評価について生徒たちがどう思うのか、アンケー

  ト等で確認しておき、その結果を踏まえて議論してみたい。

積徳学徒隊 証言11 学徒隊の解散命令

 沖縄県 沖縄戦継承事業チャンネル   2016/03/10 3:06

【戦争を知る】「ひめゆり」以外にもあった「女子学徒隊」~日テレ戦争アーカイ

 ブス~日テレNEWS  2021/08/13  10:13

 当然のことだが、日本軍にも素晴らしい人物がいたことは事実である。積徳学徒隊

では小池隊長の独断で6月18日、本来出されるべき解散命令は出されなかった。6月23日を待って解散することになっても隊長は隊員たちに自決することを戒め、生きて父母に会うべきこと、生きてこの戦争の悲惨さを伝えるべきことを訓示し、自らは自決。おかげで積徳学徒隊(ふじ学徒隊)ではわずか3名の戦死者を出すにとどまった。

むかしむかしこの島で/沖縄テレビ(2005年)

 OTV沖縄テレビ  2023/06/16 48:14

 かなり長い視聴時間になってしまうが、沖縄戦に触れるならばぜひ授業で扱いたいイチオシの傑作動画。慶良間諸島での集団自決、日本軍による住民の処刑を中心とする前半と泡瀬、宜野湾や糸満での住民救出場面を中心とする後半に分けてそれぞれ解説と質疑、討論の時間を設け、少なくとも併せて二時間分は使ってじっくりと視聴させたい。ポイントは降伏した住民の日本軍による処刑と住民の自決が相次いだ理由。とりわけ重視したいのは皇民化教育、少国民教育を軸とする学校教育や熱狂的な戦争報道を展開して軍部に協力したマスコミの役割・責任となるだろう。

師範鉄血勤皇隊 証言5 住民への宣伝工作も担わされた学徒

 沖縄県 沖縄戦継承事業チャンネル  2016/03/24 3:17

 高校生にナレーションを行わせるなど、若者への平和学習の継承をはかる「沖縄戦継承事業チャンネル」の存在意義と、当時のウソだらけの報道、宣伝工作の在り方を理解しておきたい。宣伝工作を教師養成所だった師範学校の学生に背負わせた点に、国民の洗脳という当時の学校教育の裏の目的が明示されているだろう。

【戦世77年】戦火の中の住民の犠牲を物語る電文を再現 戦争を知らない世代に戦

 争の重みを伝える(沖縄テレビ)2022/6/17

 OTV沖縄テレビ  2022/06/20 7:46

 ※参考記事

  ◎「GHQの占領政策を聞いてガッカリした」戦争体験者の存命中に集めた「当事者ならではの言

   葉」の数々 現代ビジネス 神立 尚紀 の意見  2023.7.20

   戦争体験者が亡くなっていく中でどう戦争体験を受け継いでいったらよいのか、留意すべきこと

   は何か、教えてくれる。

『沖縄戦に関する教科書記述は1行と少し』時代の変化に揺らぐ“沖縄の平和教育

 ”の課題【琉球放送】RBC NEWS  2023/06/22 7:14

「沖縄戦」って何?どんな戦いだったのかを分かりやすく解説【慰霊の日】

 公式 池上彰と増田ユリヤのYouTube学園  2023/06/23  11:58

 分かりやすい解説で知られる池上氏だが、今回はかなり歯切れが悪い。内容面でも突っ込みが浅く、期待外れ。たとえば6月23日の持つ意味は沖縄において必ずしも大きくはないだろう。第32軍司令官の役割を過大視する危険性がこの日を特別視する考えの中に潜んでいるかもしれないからだ。

 仮に自決した牛島司令官が戦闘終了を促すために部下の投降を呼びかけていたのならば、この日の意義は決して小さくはなかっただろう。しかし、当時としては当然のことながら、彼はあくまでも組織的抵抗を諦めただけであり、日本兵個々人としての徹底抗戦を呼びかけて自決していた。そのこともあって軍民の中には8月15日以降になっても敗戦を知らずに抗戦を続けて、各地に潜伏し続けた者が出てしまった。何と年末までガマやジャングルに潜んでいた者もいたという。結果的にはその間、戦死をしたり病死してしまった軍民の人々が数多くいたわけだ。

 大本営によって本土決戦のための時間稼ぎとされ、「捨て石」とされてしまった沖縄にとって最後の最後まで米軍の「出血」を強いる徹底抗戦の作戦は同時に日本軍と沖縄県民との、一層の「出血」を強いるものでもあった。したがってこの日は「慰霊の日」という、沖縄戦の区切りの日をイメージさせてしまうような名称はあまりふさわしくあるまい。むしろ沖縄戦の終結を決定的に遅らせてしまい、犠牲者の数を徒に増やし続けてしまった日として記憶されるべきではないのか。少なくとも司令官らが潔く自決した日という妙な殉国美談にごまかされてしまうことだけは絶対に避けるべきだろう。

戦後70年の地平から「久米島での住民虐殺」

 【琉球放送】RBC NEWS  2015/07/24

 日本軍は久米島で6月から8月にかけてスパイと疑われた住民の虐殺を行っている。久米島で日本軍が降伏したのは9月に入ってからであった。久米島の住民にとってはアメリカ軍こそが日本軍の恐怖による支配から解放してくれた、まさに解放軍だった。現在、沖縄慰霊の日とされる6月23日は離島の久米島住民にとって何の意味も持っていなかったといえよう。

【沖縄戦を歩く】【沖縄の慰霊塔】糸満市・真栄里「山形の塔」沖縄戦の慰霊塔と

 防空壕・山形之塔・ 街歩きokinawa  2020/09/23 10:40

【沖縄戦を歩く】【沖縄の慰霊塔】米軍バックバー中将の慰霊碑(慰霊塔)糸満市真

 栄里・沖縄戦の慰霊塔で唯一、敵の大将をたたえる慰霊塔・沖縄戦跡・沖縄観光

 街歩きokinawa   2020/09/02 11:39

「国が民を食った」遺体と遺骨の山、沖縄戦終焉の地から考える 慰霊とはどうあ

 るべきか【報道特集】TBS NEWS DIG  2023.6.25 24:40

 1960年代の都道府県遺族会らによる慰霊塔建設ブームで「大東亜戦争」「英霊」「殉国」という言葉が乱用される一方で、本来、慰霊されるべき沖縄の住民たちの犠牲は顧みられることなく傍らに押しやられる傾向が強く見られた。

 加えていわゆる戦災遺族援護法によって沖縄の戦争犠牲者はすべて戦闘参加者として名簿に登録された後、遺族へ援護金が支給されるシステムが成立。その名簿は遺族には勝手に靖国神社へ届けられ、英霊として祀られた。

 他方、沖縄の住民の遺骨は糸満、八重瀬を中心とする人々によって各地で集積され、「骨塚」として慰霊されていた。靖国化が進んでしまった摩文仁の丘を国籍、軍官民を問わない民衆の視点に立ち、沖縄をはじめとする一般の人々の手に取り戻そうとしたのが平和の礎を築いた故大田昌秀(当時沖縄県知事)であった。とはいえ、平和の礎ができたからといって、はたして6月23日が本当に「沖縄慰霊の日」としてふさわしいのか、いまだに疑念は残ると思うが…

漫画家 新里堅進さん “地獄の世界”それでも描き続ける(沖縄テレビ)

   2023/10/18 OTV沖縄テレビ  2023/10/19 8:06

 戦後生まれが戦争を描くことの難しさと意義について考えさせられる。

【戦後80年なぜ日本は「あの戦争」をしたのか】辻田真佐憲「歴史は65点で語って

    OK」/なぜ語りにくいのか/被害者か加害者か/「大東亜戦争」か「太平洋戦争」

    か/「新しい戦前」に今できること【1on1】

    TBS CROSS DIG with Bloomberg 2025/08/14 46:37

    日本の近現代史に関して、知的中間層に広く届くメッセージ、一定の共有されうる認識が必要とされているとする辻田氏の主張に賛同する。参政党のような、分断を煽る乱暴な言説ではなく、一定の事実認識を踏まえたアジア太平洋戦争に対する評価、反省点をバランスよく持てるような言説を広めることで日本がアジアにおいて果たせる役割は拡大するだろう。そしてそのためにはまず中学校や高校における社会科学習で、もう少し戦後を含めた近現代史の学習を充実させるべきだろう。

    どういうスタンスで沖縄戦、アジア太平洋戦争を授業で扱ったら良いのか、迷っている教師にはお勧めの動画。バランスの取れた授業展開の方向性が見えてくるはず。

参考記事

追悼碑の撤去問題で憎悪扇動 杉田議員「朝鮮総連系が関与」

   共同通信 によるストーリー  2024.2.17

 議論のテーマにすると扱い方によっては様々な広がりが出てきて生徒たちの視野を広げる上で有効かつ興味深い話題となるだろう。この問題は沖縄での戦跡でよく見かけるナイチャーの慰霊碑問題と深い点でつながる可能性を秘めているのだ。なぜ沖縄では沖縄住民の慰霊碑よりも各都道府県や部隊の慰霊碑がこうも目立つのか…

 ナイチャーの意識に潜むウチナーへの差別意識を慰霊碑から問う視点は、国内での朝鮮人慰霊碑とクロスさせることで一層、生徒たちの思考を広げていき、深めていくに違いない。

 とりあえず群馬県での追悼碑の是非はそれに関わった団体の是非とはいったん切り離して考えるべきだと思うが、いかがだろう。

   まずは朝鮮半島が日本の支配下に置かれた1910年から1945年の間に日本の国策として徴用目的で強制的、半強制的連行がどの程度朝鮮半島で行われていたのか、その犠牲者はどれほどなのか、事業所別、地域別の統計に基づいて群馬県での状況を再確認する作業は、この件の是非を歴史をさかのぼって根本的に検討するならば必要不可欠となるだろう。また建碑のプロセスに違法性はあるのか、不透明な部分はあるのか、なども当然問われるべきである。

 以上の点で特に問題が確認できないのなら追悼碑自体は撤去されるべきではあるまい。逆に知事が主張するように建碑にあたり実際に法的手続きなどで大きな問題があるならば撤去もやむを得ないかもしれない。

 杉田議員があたかも「朝鮮総連が関与」したから撤去すべきだと受け取られかねないような主張をした事は大きな問題をはらむ。そもそも建碑に手続き上の瑕疵が無いならばそんなことはどうでもよいはず。本質的に問われるべきはあくまで建碑の歴史的、法的正当性そのものではないのか。

 当然のことながら国会議員という責任ある立場にある者はその発言に公的な影響力を帯びてしまいがちとなる。たとえSNS上での発言であっても暴言、中傷は許されない。ゆえに杉田氏は建碑に「朝鮮総連の関与」を疑うべき客観的な根拠を公に示す義務はあるだろう。仮にただの憶測に基づく発言ならば今度こそ同氏の議員としての資質、適格性を厳しく問うべきである。なぜならばそれは在日差別を助長する中傷、デマそのものとなってしまうからだ。

 仮に発言の根拠を示せないようなら、自民党は岸田総裁のリーダーシップの下でただちに同氏を除名すべきである。これまでの同氏による再三にわたる差別的暴言中傷を踏まえれば議会もこれ以上同氏の発言を黙認することがあってはなるまい。もはやアメリカでのトランプ元大統領並みに、議員としての杉田氏の存在そのものが国会と国会議員の品格を貶めるばかりか、日本での基本的人権と民主主義までをも脅かし始めているのだから。

 仮にこれが黙認されてしまうようなら、同様の論理でいずれ沖縄住民の慰霊碑も各地で撤去されかねまい。ひめゆり平和祈念館やガマなどの見学も自虐史観に基づくものだと決めつけられ、沖縄修学旅行での平和学習から外され、豊見城の海軍壕跡ばかりを見学する時代がきてしまうかもしれない…これは杞憂だろうか。

 杉田氏の発言、決して見過ごしてはならない、と思うのだが、いかがだろう。

 

 

その5.⑤教員養成と採用

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

教員志願者増へ、教職課程の必修科目見直し案…文科省が審議会に提示

    読売新聞 2025.9.2

 ただでさえ不十分であるはずの教職課程の必修科目をさらに削減しようという、凄まじいほどの愚策が検討されているようだ。文科省の迷走ぶりも今や堂々たるもので、すっかり板についてきたようだ。今後とも文科省が先頭を切って公教育の脱線転覆に向けて何らためらうことなく猛烈な勢いで突き進んでいくに違いない。結果的に一体、どんな若者たちが教職を目指すことになるのか…暗澹たる気分にならざるをえない。

 「教師の質向上と量的確保の両立を目指す必要がある」とのことだが、これまでに文科省や教育委員会が行ってきたのは専ら、教師の「量的確保」であって「質向上」ではなかったはず。それが大失敗であることは教師の「量的確保」どころか、いよいよ教師不足を加速し、さらには現今の教員の不祥事となって噴出してきている現状が指し示しているはずなのだが…一体、文科省は自らの施策と学校教育の現状とをどのような根拠をもとにどのように分析しているのか…推察すればするほど不信感と絶望感しか覚えてしまうのは私だけではあるまい。

 特にヤバイ、と感じるのが、教師の質向上のためになぜか「元教員らを該当の公立学校に短期派遣する仕組み作り」が必要だという観点。これ、明らかに使い古しの安い労働力を半強制的に動員して教師の不足分を一時的に穴埋めする、という最も安易な方法に過ぎず、むしろ全体的な教師の質低下、学校の組織的教育力の低下にさえ、つながりかねない愚策。

 ただでさえDX化に戸惑う高齢者の再雇用は学校現場の助力になるどころか、足を引っ張りかねない側面があったはず。しかも既に現段階で高齢者の再任用は飽和状態に達しつつある現状がある。にもかかわらず文科省は教師としての新味に欠け、体力、意欲も減退気味の高齢者教員をさらに増やそうというのだから、もはや現有の教師たちや児童生徒の絶望感も半端ないだろう。

 加えてヤバイことに教師の質向上を専ら各教育委員会や学校長らが実施する、ろくでもない、時間の無駄ばかりだった官製研修にまたぞろ丸投げしようとの魂胆ものぞけてくる。下らない研修の連打で教師たちの貴重な時間をさらに奪い、一層持ち帰り残業を増やすだけの文科省の取り組みに、若者たちは一体どんな希望を見出せるのだろうか…教師も、児童生徒も、いよいよ生き地獄の始まりだ。

教員採用試験で“初の定員割れ” 小学校教員倍率「0.9倍」 採用予定者増やした一方

 で応募者減少 深刻な教員不足 FNNプライムオンライン 2025.5.26

 いよいよ小学校教員採用試験で定員割れの悲哀を味わう都道府県が出現してしまった。ただでさえ8年連続で教員不足に直面してきた佐賀県である。今後は中途退職や休職者の出現によってさらなる教員不足が予想されるだろう。数少ない現有の教員で今後、急速に不足していく教員の仕事を余分に担うとなれば、教員の負担は苛烈を極め、残念ながら教員の中途退職や休職は記録的な数となっていく事が予想される。

 これは次年度の教員採用受験者数のさらなる減少を招き、とめどない負の連鎖を学校現場に生み出すだろう。教員の過労死や精神疾患による休職者、退職者の増大も一層、懸念されてくる。にもかかわらず、教師に期待される技術、知識が増える一方なのだから、近い将来、笑えないレベルの悲劇が佐賀県の教育現場に訪れるかもしれない。その最大の犠牲者はまたもや児童生徒たちである。

 もうこうなってしまっては県レベルの裁量ではどうにもなるまい。完全な手遅れであり、採用試験の機会を増やす、青田刈りをする、教員免許の有無を問わない、給料を引き上げる…といったなりふり構わぬ、しかしただの場当たり的対応ではかえって教員の質を落とし、学校での不祥事や不登校、イジメ問題を激増させるだけである。今や本質的で根底的な教育改革が切実に問われているのだ。

 ここまで事態を悪化させ、有効な対策を打ててこなかった、あまりにもトンチンカンで無能、無責任な政府の責任はどう見ても極めて重大である。国民は子ども家庭庁の設置にどんな意味があったのか、厳しく問い直すべきだろう。おそらく現政権で検討されている防災庁の設置も同様の惨めな結果を招くに違いない。

 斎藤県政の混乱で疲弊する兵庫県とよく似た状況が、長期にわたって停滞を続ける日本の学校教育全体にも訪れていることを、兵庫県民に限らず、日本国民全体が一刻も早くしっかりと自覚する必要があるのではないか。

参考動画

自殺ほのめかしたノートに“花マル” 女児語ったいじめの実態…調査は9か月放置 

 「花丸を頼まれた」と担任主張、女児は「言ってない!」【スクープ】(2023年

 12月8日) MBS NEWS 2023/12/09  11:43

 授業で紹介するとこの学校の対応、教師の「はなまる」について生徒たちから多数の意見が活発に出てくるに違いない。ぜひ、動画を視聴させ、アンケートを用いて大勢の意見を吸い上げてから討論に持ち込みたい。

 「学校は警察ではないから、イジメの有無をきちんと調べることはできない」とした学校側の言い分は確かにイジメ問題において学校が対応しうる限界の一側面を示してはいる(※1参照)。しかしこれを言い訳にしてイジメを放置することは決して許されるべきことではない。やはり学校はいじめ防止対策推進法※2参照)に則り、イジメ問題対策委員会を招集して組織的に対応すべきであった。こうした言い訳が学校にはびこれば、いよいよ学校は治外法権の場、ただの無法地帯になってしまうだろう。市教委の対応に問題は見られないようなので、学校は市教委との連携を早くから積極的に図るべきだったのではないか。

※1.参考資料

 “任意”のいじめ調査には限界も。学校関係者も含まれる「調査委員会」の問題点と事実認定の3原

  則を元調査委員が解説 FNNプライムオンライン によるストーリー  2023.10.26

  刑事事件として警察が捜査に乗り出した場合にはその捜査には強制力が働き、ある程度までは証言

  や証拠を集める事が出来る。しかし「イジメ」の重大事態として調査委員会(教育関係者が加わる

  可能性あり)や第三者委員会が調査に乗り出したとしてもその調査に協力するか否かはあくまでも

  任意とされる。このため証言や証拠を提出することを拒否されてしまうケースでは調査が先に進ま

  なくなることも起こりうる。

   こうした場合には被害者側が刑事・民事事件として警察及び裁判所に訴え出ないと多くの場合、

  埒が明かない。加害者の特定やイジメの事実確認自体が困難なケースは少なくあるまい。「教育的

  配慮」の名のもとに加害者側の人権だけが守られ、被害者側が泣き寝入りするといった残念な印象

  がこの問題には常にまといつく。しかしその背景に教師や教育委員会の調査が場合によってはどう

  しても不十分になってしまう、法的な限界があることは予め知っておかねばなるまい。

※2.参考資料いじめ防止対策推進法(H.25)より

 ・いじめの定義

  第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍し

   ている等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える

   行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童

   等が心身の苦痛を感じているものをいう。

 ・学校及び学校の教職員の責務

  第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地

   域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見

   に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切

   かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

 クラス担任の明らかに不誠実で悪質な対応ぶりをみると、これは加害児童の問題というよりは担任の適性、資質の問題であり、児童以上に教師への厳しい対応(分限処分等)が求められるケースと思われるが、いかがか。当然、この担任をクラス担任として登用し、適切な指導を施さなかった校長の責任も軽くはない。また担任を放置してきた当該学年集団のチームワークも厳しく問われるはず。

 仮にそれぞれが教師としての資質、適性の有無を問われるとするならば、こうした教師たちを数多く生み出し続けている大学での教員養成や管理職を含む教員採用人事のあり方も根本から問い直されるべきだと私は考える。

 

参考記事

都の新任教諭239人が1年以内に退職 過去10年で最高の5.7%

    朝日新聞社 2025.4.24

 「都教委によると、昨年度に採用した公立小中高、特別支援学校などの新任教諭は4237人。うち、239人が1年以内に退職した。内訳は小学校146人、中学校46人、高校18人、特別支援学校28人、義務教育学校1人だった。懲戒免職も1人いた。

   9割にあたる217人が自己都合退職で、理由別には、精神面での不調が4割、転職などによる進路変更が3割、介護や転居など家庭の都合が1割だった。指導力不足などから正式採用に至らなかったのは22人だった。」という。

 学校のブラック化がどれほど酷いものか…特に小学校は深刻である。精神面の不調による退職の多さにも注目したい。「指導力不足」などによって正式採用にいたらなかったのが22人もいたということも衝撃的である。

〈教師のいじめ〉「病気でよく休むしアテにならん」「邪魔くさい」がん闘病後に

   復職した女性教師が受けた壮絶な仕打ち…深刻な教員不足の原因に潜む「教師の

   質」の低下とは 集英社オンライン 2025.2.22

 残念ながらどんなに教員採用試験の倍率が高くとも、教師の質は上がらない。採用試験自体の質が低く、採用にコネが幅を利かす状態では、どんなに倍率が高くともほとんど意味が無いのだ。記事の元女性教師が指摘した職務の大幅な削減に加えて、大学での教員養成教育の充実や教員採用試験や管理職登用試験の見直しなどが伴って初めて採用試験の高倍率が教師の質向上につながると思うのだが、いかがか。

教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度

   Yahoo!JAPAN ニュース 2025 2/6(木) 7:04配信

   当然のことながら教員採用試験の倍率低下が教師の学力低下を招くことは不可避である。ただでさえ教員免許の開放制をとる日本では、教師として必要とされる知識技術がたいして身につかないまま、安易に教員免許を取得できてしまう、構造的な欠陥を抱えてきた。現状の教師に対する社会的信用度の低さと待遇の悪さを考えると、大学での教員養成教育の改革を先行させることは、教員不足に拍車をかけることにつながってしまう。まずは指摘されているように教師の仕事量の大幅な削減を先行させるべきだろう。

教員採用倍率、小中高で過去最低に 「大量募集」以外に深刻な問題

   朝日新聞社 2024.12.26

   教師の職務を大幅に削減するとともに、文科省を含む教育行政のあり方を大幅に見直すことが無ければ教師不足の解消は進まないであろう。文科省が相変わらず、学校がうまくいかないのはすべて教師の責任であるかのように、学校現場へ責任転嫁を続ける限り、教育行政への信用は失墜し続けるであろう。文科省自ら身を切る覚悟で教育行政自体の改革を口にしない限り、教師の誰もが文科省の打ち出した改革を真に受けることは二度とないだろう。それほどに教師たちは教育行政へ不信感を募らせていることを文科省はまず気付くべきである。

名古屋市教委金品授受 教育指導部署でも教員団体から約300万円

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.2

 これはおそらく教師の人事の問題にとどまる案件ではあるまい。相次ぐイジメ事件の隠蔽に見られる学校と教育委員会とのなれ合いの背景にこうした金品の授受があるとすれば教育不信は深まるばかりである。名古屋市の教育界の闇深さに驚くばかり。

校長人事に外部団体が推薦、有無で昇進率に差 千葉市教委は影響否定

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.16

   千葉市教委は外部団体の推薦の影響を否定しているが、管理職に限らず、各教科部会や部活動の専門部などが異動や昇進人事に影響を及ぼしている可能性はゼロではあるまい。かつては政治家や学閥、校長会の有力者などが管理職選考に大きな影響力を持っていたという。それに比べれば教育職としての力量に関わる団体での活動実績が人事に反映されることの問題性はそう大きくはあるまい。

 ただし授業の指導力や部活動の指導力と学校経営の能力との相関はさほどあるようには思えない。ならばズバリ、現在の管理職登用試験で問われている能力、適性とは一体、何だろうか。個人的に校長、教頭を数多く見てきた印象として、学校の管理職に対してこれまで求められてきた「力量」の中身は極めてあやふやなものであると感じてきた。つまり私から見れば管理職としての適性を全く欠くような校長が少なからず存在していたということだ。

    評価の客観性が担保できるとしても学校管理規則の暗記力ばかりを問うのは選考基準として完全に間違っているだろう。管理職に求められているのは教職員の法令順守の徹底ばかりではあるまい。各学校によって直面する教育上の課題はかなり異なりつつ、多岐にわたっている。それらの課題を的確に把握し、優先順位をつけて有効な対策を打つ、そのために教職員とどのように問題意識の共有を図り、どのようにして組織的取り組みを実行していくのか…本来、管理職に厳しく問われるべきはそうした個々の学校の実情に応じた、柔軟で現実的な経営を実現する能力だと思いたい。

千葉県の7年度教員選考 志願者数と倍率ともに過去最低 見えぬ妙案

 産経新聞 2024/6/26 18:34

 「令和7年度採用の教員選考試験の志願者は計4560人と2年連続で減少し、平成以降で過去最低を更新した。志願倍率も2・4倍で最低」だったらしい。当然の報いであろう。いよいよ千葉県の学校教育は自ら破滅に向かってまっしぐら…傍から見れば誰もが分かるほどに危機的な状況がこれまでも続いてきたのに県教委の対応は相変わらずトンチンカンそのもの。

 …県教委は今後、志願者増のため、「教員免許を持つが、民間企業に勤めるなど教職には就かない『ペーパーティーチャー(先生)』にアプローチしたい」(担当者)として、教職の仕事の魅力発信に力を入れる…というのだから驚き呆れるほかあるまい。教員志望者の減少を「教職の魅力」のアピール不足とする、陳腐な発想があまりにも情けなさすぎる。

 商品の品質が悪いのに誇大広告で買わせようとするが如き詐欺まがいの対策は直ちに辞めた方が良いだろう。時間の無駄であるばかりか、それ自体、若者に対する犯罪行為である。進めるべきは見せかけの、偽りだらけの「働き方改革」ではなく、真の意味での「働き方改革」であり、教師が本来の職務の中心におくべき授業準備に専念できるだけの時間的余裕の確保なのだ。すなわち授業準備を除く大幅な職務の削減を抜きにして、一切の対応は意味をなさない。一体、いつまでこの不毛な茶番劇を千葉県教委は続けるつもりなのだろうか。厚顔無恥も甚だしい。

千葉で教員志願者減少 その背景は? 教育現場に余裕なく、ほど遠い理想像

 産経新聞 2024.6.26

 …管理職の男性は、教員志願者が減少する要因を「『ブラック』という現場のイメージが先行し過ぎている。確かに現場の負担は増えているが、『子供たちのために頑張る』という前向きな声があるのも事実だ…という。こうした現実離れした幼稚なレベルの分析しかできない管理職のいる学校に勤めたいと思う若者ははたしてどのくらいいるのだろうか…この管理職にとっては「ブラック」はあくまでマスコミが勝手に作り出した悪しき印象であり、一部の怠け者の教師たちの被害妄想に過ぎないらしい。この程度の貧弱な認識しか持てない管理職が千葉県には沢山存在している。だからこそ千葉県での教員志願者が減少し続けているのだが、こういう人たちはそれに気付こうとしない。あるいは気付かないふりをしている。

 …北総地域の小学校の40代女性教員は、現状について「児童のために何かしてあげたいと思っても、働き方改革で『早く帰れ』と言われ、報告書作成や保護者対応など最低限の仕事をこなす毎日」と、時間的な余裕のなさを嘆く…と記事にあるように、現状では表面を取り繕うだけの管理職による強制的な「働き方改革」が一層、現場の教師たちを圧迫している側面にも注目すべきだろう。一刻も早くブラックな学校の現状を変えていかない限り、教員不足による学校のさらなるブラック化は不可避である。しかしそのことへの認識を欠く管理職の存在が学校をさらなるブラックな世界に陥れている…それこそが千葉県教育界の大きな不幸の源なのだと思うが、いかがか。

校長の9割が生徒の未来に関心なし しか見ていないトップは「現場から早く

 て行け」 AERA dot. 2023.6.28

「冬はアップしたら終わり」神戸市の公立中学校“部活中止”教育委員会が明かし

 た“反対派も納得”の現実 SmartFLASH  2024.12.18

 地方の教育行政側も遅ればせながらようやく重い腰を上げ始めたようだ。文科省の指導に遅れること5年。この遅れは教師不足という破滅的な現象を学校にもたらし、公教育の危機を一層表面化させてしまった。教育行政側の怠慢は厳罰に値しよう。

 ただし、これまでとりわけ深刻な問題が数多く表面化していたアノ神戸市が、いち早く部活動の地域社会への完全移行に踏み切った意義は決して小さくあるまい。周辺地域に与える好ましい影響が多少は期待できるからである。

 他方で熊本市の考えるような不完全移行では教師の負担、財政的負担をさほど軽減できまい。残念ながら学校での部活動を相変わらず美化するような管理職が多い地方では、事態の改善を見るほどには教師の負担が軽減されないままであろう。そうした地域では今後、教員不足がさらに深刻化するに違いない。いつまでも教師たちへの自己犠牲に甘んじて、現実を直視しようとしない教育行政の怠慢はマスコミ等の報道によって今後も厳しく糾弾されるべきである。

 なお小学校教師の不足は多くの場合、部活動に起因するものではあるまい。指導の難しい大勢の児童に対して一人の小学校教師が多数の教科を教えることの困難さは、本来、もっと強調されてしかるべきである。加えて数多くの学校行事をこなし、清掃指導や登下校の指導など、教師たちの過酷な負担も世間にもっと周知されるべきである。さらには日本の小学校における平均的な管理職のレベルの低さにもぜひ注目すべきである。世間におけるこうしたことへの無理解が小学校を過酷なブラック職場にしてしまっているはずなのだ。

 冷静に広い視野からみれば、日本の小学校教師の仕事は本来、至難の業なのであり、常人が務まるレベルをはるかに超えている。にもかかわらず、そうした仕事をこなせるほどに充実した教員養成教育がこれまで大学で施されてきただろうか。それだけの優秀な人材を教育委員会は数多く採用してきたであろうか。また日本社会は「日本の小学校教師」という難易度の極めて高い仕事に耐えられるほどの優秀な人材にふさわしい待遇を教師たちに与えてきただろうか。すべて「否」である。

 実際に日本の小学校の現場で日々、行われている業務の困難さ、過酷さと世間における小学校教師への評価がこれほど決定的にズレてしまっている国は東アジアや途上国を除くと他にはあるまい。基礎教育、義務教育なのだから小学校教師は教える能力が低くても務まる、したがって給料や待遇が悪くても仕方ない…と捉えるのは完全な間違いである。たとえば小学生に分数、比率、割り算の概念を分かりやすく教える事は、塾の講師以外、誰であっても極めて難しい。

 そうした諸々の難易度の高い職務を十分な教員養成教育を受けてこなかった新人教師がいきなりスンナリとこなせるわけがないのに、長い間、それを無理強いしてきた。そうしたことのツケが現在、教師不足となって表面化しているに過ぎない、と考えられるのだが、いかがか。

※日本の大学での教員養成教育には極めて大きな問題が横たわっていると私は考えている。大学での教

 職科目の多くは学生を受け身にしがちな座学で、視聴覚教材を使う機会が増えてはいても所詮陳腐な

 一斉講義形式が主。日本の大学における充実した授業実習や実践重視の授業演習の少なさも重大問題

 だろう。そもそも模範的な授業実践を自ら示せるくらい教科教育の実践に通じた技術力のある教師が

 各教科ごと大学にきちんとそろっておられるのか、大いに疑問なのだ。

  大学の教師はあくまで学問的研究を主としていて、実際には学生の教育を二の次としているのでは

 あるまいか。しかしとりわけ教師養成教育に関しては授業実践力の向上を優先し、学者の卵を育てる

 ことは二の次とすべきなのだ。にもかかわらず、教師志望者にとって模範となれるほどに講義の工夫

 に長けている大学の先生が十分な数存在しているとは到底思えない。仮に授業力向上を柱とした教師

 養成教育にふさわしい人材がこれまでも大学にしっかりとそろっていたならば、日本の学校でのこの

 悲惨な現状を大学がこんなに長く放置してきたはずがないのだ。

  まさに自動車の構造とメカニズム、道路交通法といった規則や理屈ばかりを一斉講義形式で教える

 だけで実践ゼロ、ハンドルには一切触らせない…現実には存在を許されないはずの自動車教習所とほ

 ぼほぼ等しいのが今の日本の大学における教師養成教育の本質ではないのか。なぜこれほど貧弱な教

 師養成教育を放置してきたのか、問題視されてこなかったのか、理解に苦しむのは私だけだろうか。

  実践力に自信が持てないまま教壇に立たされた新米教師はせっかく身につけたかもしれない新しい

 教育観をかなぐり捨てて瞬く間に古臭い教育観を抱えた先輩教師の従順な下僕となるか、ブラックな

 職場で心身を病み、いずれ休職、離職に追い込まれたりする。こうしてとっくの昔に賞味期限切れし

 たはずの画一的で管理主義的な教育がいまだに日本では「教師のバトン」として伝統芸能のごとく現

 在に至るまで延々と受け継がれてきている…違わないだろうか。

  教師の誰一人として教育改革の意義を見出せずに頑迷固陋の因習に囚われたまま自浄能力の欠片も

 なく、ひたすらスクラムを組んで不祥事の隠蔽に励み、退屈な授業をダラダラと続けるだけ…もしも

 これが日本の学校の真の実態であるとするならば、明るい未来が日本に訪れるはずもない。

 

 振り返って我が国の教師教育の貧弱さと学校教育が抱える体質の古臭さを考えたとき、徒に「不適格教師の排除」を目指す政府の教師改革がいかに的外れで狡猾な責任逃れだったのかは容易に理解できるだろう。教育予算を削り続け、大学での教員養成教育をさんざん手抜きした挙げ句に不祥事が起きれば「トカゲの尻尾切り」のごとくすべて末端の現場にいる教師の責任にすり替える。加えて本人の意向を無視した転勤や分掌、担当科目、専門外の部活の押しつけ…

 職場イジメが横行するブラックな学校現場は手つかずのまま放置。それでもなお退職金や年金を減らしつつ質の悪い官製の研修、研修の連打で教師の負担を極大化しようとする酷薄な教育行政がまかり通ってしまう…そんな日本の学校教育に明るい未来が訪れるはずはない。

 私の経験からだけでもこうした日本の学校教育の有り様、教育行政の貧困さが学校現場の荒廃と若者の教職離れ、学校離れを招いた最大の原因であると断言できるが、果たして皆さんはどのように思われるだろうか?

※参考動画

【日経テレ東vsヨビノリ】理系離れ食い止めろ!【93万人登録!理系教育革命】

 2022/09/05 日経テレ東大学 1:00:59

「宿題、一斉授業を廃止」で偏差値アップ、公立学校の改革が凄い 【藤原和博 &

 工藤勇一】 NewsPicks /ニューズピックス 2022/11/29 12:28

理不尽クレーム】に対応できる「魔法の言葉」とは?

 NewsPicks /ニューズピックス 2022/12/05 13:10

※参考記事

臨時講師が足りない 「頑張るほどに疲弊する」教育現場の惨状 学年を1で” “教

    頭も担任”  AERA dot. 米倉昭仁 によるストーリー  2024.5.13

 少子化の進展により近い将来、教員不足は解消される見通しなので当分の間は我慢すれば良いとする考えと職場のブラック化が教員不足の本質的原因とする考えには学校教育の問題に関する認識においてかなりのすれ違いがあるだろう。前者は文科省側の視点に立った現状認識であり、当面の教員不足の打開策としては教員試験日程の前倒し(いわゆる「青田買い」)、教員採用資格要件の緩和、教職の魅力アピール、臨任講師の確保などといった、まさにその場しのぎの表層的な政策ばかりとなる。

 しかし本当にこうした政策が妥当なものなのか、生徒たちにも議論させたい。議論のポイントは現在の教員不足の本質的な原因とは一体何なのか、しっかり考える点にある。

国立大学と私立大学の「授業料」はどう推移している?昔は今じゃ考えられない

    らい安すぎるって本当? ファイナンシャルフィールド  2023.5.16

教員志望の学生が減っている理由は 「長時間労働など過酷な労働環境」と 94%が回

    答 教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果   

 一般社団法人日本若者協議会 2022.4.11

なぜ教員志望の学生は減少しているのか?学生アンケート結果から #教師のバトン 

    室橋祐貴日本若者協議会代表理事 Yahoo!ニュース 2022 4/17(日)  

公立小学校教員の採用倍率、4年連続で過去最低 文科省調査

     朝日新聞社 によるストーリー   2023.12.25

 なぜ過去最低の採用倍率を更新しているのか、その理由を生徒に挙げさせてみたい。本当に民間企業の内定時期が早いことが理由の最たるものなのか、他に大きな原因は無いのか…この記事を単純に鵜呑みしてはなるまい。

主体性のある子どもを育てたいと言いながら、教員と自治体の主体性は無視する

 科省と国会 妹尾昌俊 2022 4/30(土)  18:29

「日雇いバイト」で食いつなぐ40代教員の生活困窮 月収十数万円、生活保護を受け

 非常勤講師も  東洋経済オンライン 佐藤明彦  2022/07/31 07:20 

これから会社で重要視される意外なスキルとは? 社員も会社も得する学び直しを

 現する方法 東洋経済オンライン 後藤 宗明  2022/11/04 11:00

 学校における「境界連結者」をどのように養成し、現場に送り込むか、国は大学における教員養成教育や教員採用試験の在り方を早急に見直すべきだろう。

第四次産業革命が求める人材、三つの能力 

 ForbesJAPAN 田坂 広志  2022/11/14 

 AI失業の憂き目に遭わないで済ませるには「心のマネジメント能力」、「共感・支援型マネジメント能力」、「ホスピタリティ能力」、「ファシリテーション能力」といったAIでは代替が困難な能力を身に付けるべきだという。ならば高校での学習にもカウンセリングやコーチングの内容をどんどん取り入れるべきであろう。また授業方法としてファシリテーション能力を養う上でも対話や討論を軸とした授業がより一層大切になってくるはずである。

人助けをしない日本人に「グローバル人材」は無理 英語力以前に「見識と教養」が決

 的に足りない 東洋経済オンライン 武居 秀典  2022/11/17 07:00

 日本の人々が社会貢献への意識を高め、国際社会に通用する教養を身に付けていく上で社会科教師が果たす役割は極めて重大であろう。こうした教師の背負う重い責務を考慮したとき、教職のブラック化による教師志望者の減少という現状には怒りを禁じ得ない。

子どもがこれからの時代を生き抜くために教育においてできる3つのこと

 ダイアモンド・オンライン 朝倉祐介  2022.12.8

教員が「アイドルのコンサートに行くので授業を休みます」はありか…現役小学校

 員の痛快な答え プレジデントオンライン 松尾 英明  2022.12.18

 皆勤賞をめぐる意識や有給休暇の取り方に関しては確かに大きな問題が潜んでいただろう。本来、有給休暇の取得理由は不問なのであるからどんな理由でも構わないはず。しかし酷くブラック化した学校現場では親の死による特別な休暇ですら、職場復帰時に自習監督等で迷惑をかけたことを朝の打ち合わせで謝罪し、お菓子等を全員に配布する習わしが続いていた。

 しかも自習課題を用意するため、休暇中であるにもかかわらず、早朝、来校して課題のプリントを印刷するのが普通であった。ただでさえ、病院での徹夜同然の付き添い、葬儀やお通夜などで疲労困憊しているのに、復帰後は率先して自習監督を引き受けるのが教員社会の常識であるかのような空気感がどの学校にも漂っていた。

 自分達もこれに耐えてきたのだから他者が我慢するのは当然とする教師達の人権感覚の緩さが教師間でのイジメや管理職によるパワハラを横行させ、ついには生徒間のイジメ、教師による体罰や暴言を生じさせてきた原因の一つかもしれない。

なぜ日本人は「仕事のための読書」すらしないのか…「日本人は世界一学ばない

 け者」という誤解を解く 小林 祐児 プレジデントオンライン 2023/2/17(金)

 ここでの指摘はビジネスパーソンだけではなく、高校教師にも該当する部分が多いように思える。日本では個人的な努力によって大学や大学院で教師になるために必要と思われる学習や技術をどれほど習得したとしても、それが全くといって良いほど教員採用試験では評価されず、その後のキャリア形成にもまったく結びつかない。そもそも、赴任先の人事にすらほとんど影響を与えていない。

 たいていの場合、次年度に担当する部活や科目は教師の専門性などはわずかしか考慮されず、学校現場の都合によってほぼ一方的に決定されているのが実情なのだ。つまりジェネラリストの養成を前提にして企業の人事が成り立ってきたように、学校でも専門性よりは服従的で使い勝手の良いジェネラリストが求められてきたと言っても過言ではない。

 他方で高校教師は教科教育の専門家としてのみならず、世間的には各種運動部、文化部の指導においても高い専門性を求められてきた。加えて近年では不登校やいじめ問題の解決、貧困問題、進学・就職指導、保護者への対応など心理カウンセラーや進路カウンセラー、ソーシャルワーカーとしての能力まで期待されてきている。

 教育行政側は人事や待遇面で教師の専門性を完全に軽視しているクセに、これだけ多種多様で高度な専門性を、残業代もつかない安月給の公務員に要求してくるのだから厚かましい限りである。しかも幸運にも幾つかの専門性を身につけられたとして、それが人事考課や次年度の人事に結びつくとは限らない。コネやゴマすり、学閥などの方が出世にはよほど有効だろう。

 なので管理職を目指さない限りは専門性を身につけるインセンティブなど十全には働かなくなっている。また、たとえ教員側にやる気があったとしても、残念ながら真面目で有能な人ほど瞬く間に多種多様で難易度の高い仕事が集中してくるため、あっという間に潰される。真面目な教員ほど体力と気持ちがたちまちのうちににすり減ってしまうのだ。

 つまり学校に必要とされる教師ほど早めにバーンアウトしやすくなっているのだから、まさに 「やってられない」・・・これが今の教師たちの本音であり、絶望感の源泉にある感情であろう。

日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?

 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 によるストーリー  2023.6.27

 世界最低の仕事満足度を記録している日本の経済界の低迷ぶりは、おそらく児童生徒に対して世界最低レベルの授業満足度しか与えてこられなかった日本の学校教育と連動しているはず。高度成長期のモデルを性懲りもなく使いまわしている日本の企業と学校…ひたすら改革の足を引っ張るだけの「老害」政治家と企業経営陣と教育行政、学校管理職。これらが三つ巴となって日本の進歩を阻害し、青少年の自尊心と幸福感の低下を招いているのではあるまいか。

地域によっては新採用教員の大学偏差値が50を切る日本が"教員の質低下"を避

 られない構造的原因 プレジデントオンライン 藤原 和博 の意見  2023.6.14

【日本軍の敗因】「悲惨な結果を生むリーダー」7つの共通点

 ダイヤモンド・オンライン 書籍オンライン編集部 によるストーリー  2023.7.4

 先の大戦における日本軍の敗因を探る中で日本人が伝統的に抱えてきた7つの「失敗の本質」が見いだされるという。軍隊と学校とは日本の富国強兵化、近代化を推進するための車の両輪であり、両者は兄弟のように近しい関係にあるとされている。したがって、以下の7点は学校という組織にもほぼ共通する大きな弱点であると考えても差し支えないだろう。

  ① 「戦略性」──俯瞰的な視点から最終目標への道筋をつくれない

  ② 「思考法」──革新が苦手で錬磨と改善が得意

  ③ 「イノベーション」──ルールをつくり出せず既存のルールに習熟する

  ④ 「型の伝承」──創造ではなく「方法」に依存する

  ⑤ 「組織運営」──勝利につながる現場活用が苦手

  ⑥ 「リーダーシップ」──現実を直視できず、環境変化に合わせて判断できない

  ⑦ 「メンタリティ」──「空気」と同調圧力、リスク管理の誤解

 実際、太字にした部分などは日本の学校にもズバリ当てはまる組織風土に思える。現在の急速な技術革新にともない、柔軟で斬新な人材育成策が求められる中で、日本ばかりが多くの場面で世界に遅れをとってしまう大きな原因が企業社会だけではなく、日本の学校教育にもあることを示唆していると考えるが、いかがか。

 ブラック校則をいつまでもはびこらせ、相変わらず鍛錬を軸とした部活動や学校行事、個性や多様性を犠牲にした画一性の強要などを温存してきた学校教育の頑強な保守性は、日々の革新を迫る、変転目まぐるしい現代社会との間に大きな齟齬を生み出してきていると考えられないだろうか。

 もちろん学校教育に関わる法制度の見直しや文科省や教育委員会の組織改革だけでは学校を変えることが出来ない。学校教育の改革を実効あるものとするには現場における改革の担い手たるべき教師自身の改革が伴っていなければならないはず。まずは教師の意識や能力、技術、適性の見直しが必須となる。

 すなわち大学における教師養成教育の抜本的な改革(一斉講義形式からの脱却を目指すべく、探求型の個別学習・グループ学習や実験・調査・討論を軸とする授業力の養成を軸とする、今以上に実践的で充実したカリキュラムを大学では組むべきである)を基本的な前提とする包括的な観点からの法制度や組織などの見直しが行われる必要があると考えるがいかがか。

じつは「日本だけ」だった…海外とあまりに違う「日本の職場の特徴」が意外だ

 た 『日本社会のしくみ』現代ビジネス 小熊 英二 の意見 2023.7.5

 「個室と大部屋」に関する論考は高校の大職員室制や学年室常駐制と教科準備室制とに対応するだろう。大職員室制を採用する学校は義務教育の学校や生徒指導が困難な高校に比較的多い。教育困難校では学年室常駐制を採用するケースもかなりみられる。

 一方、教科準備室制を採用する学校は進学校に多い傾向がある。大学における教師養成教育が不十分な日本では新採用の教師に決定的な影響を与えるのは大学での講義ではなく、もっぱら初任校における準拠集団である。主にどの集団に属して多くの時間を過ごすか…これによってその後の教師生活はかなり方向づけられる。

 教科準備室にいる事が多い進学校に配属された教師は勢い、授業重視の教師文化を身につけ、専門科目を中心とした授業準備を念入りに行うようになる。

 しかし大職員室や学年室に常駐する教師は遅刻指導や学年の仕事、部活動の仕事といった授業以外の雑務に振り回されがちで管理職や主任、先輩教師からの助言と称する介入も頻繁に行われる。同調圧力がそこでは強く働くのだ。勢い新任教師は授業準備以外の仕事にも追われ、学校行事や部活指導、生徒指導をメインにする傾向が強くなる。

 そして進学校の数が少ない首都圏の公立高校では教師として最も重視されるべき授業力は二の次となり、むしろ生徒指導や部活指導の力が重視されがちになってしまう。体育科の教師に管理職志向の強い人物が多く、実際、管理職が多い傾向がある背景にこうした状況があるのではないか。

 日本企業は多くが大部屋であり、新入社員には専門性を強く求めず、交換可能で使い勝手の良いジェネラリストであることを求められる。これに対応して大学でも仕事の高度な専門知識・技術を養成する意識は低く、あくまで学者の養成を念頭に置いた学問的な講義ばかりとなりがち。

 したがって日本では長期にわたって専門の職務に専念し、仕事のレベルアップをはかるという欧米型、ジョブ型の勤務が最初から条件的に難しい。また採用選考時も大学での専攻や学位についてはほとんど重視されず、学校歴、サークル活動や学外でのボランティア活動などが注目されてしまう。

 つまり日本の学校組織の文化と企業組織の文化とは極めて共通する要素が多いのだ。日本の大学での教師養成教育が授業実践の面では教育系大学あるいは教育学部ですら極めて不十分であるのもこれで首肯できるだろう。だからこそ大胆な授業改革が求められる現在、授業実践力の向上を軸とした大学における教員養成教育の、より一層の充実が必要不可欠だと私は考える。

全国で「潜在」教員発掘 不足解消へ企業と連携

      共同通信社 によるストーリー   2023.11.3

    付け焼刃の弥縫策ばかりやっていても無意味であろう。文科省が本気でこれまでの政策を反省し、新たな観点から現場の実情に根差した学校改革を行う姿勢を明示することからしか、新しい時代は始まらない。

 しかしその姿勢が微塵も見られない今、敢えてブラック職場に身を沈めて「火中の栗を拾う」ような危険を犯す若者は少ないに違いない。このままでは次年度以降も教員不足の解消はおそらく無理と考える。

「やっぱり日本で教師は無理だよ。こんなブラックなのは無理だよ」やる気に満

 た大学生が教育実習で絶望 専門家「法を変えるのが一番」

 ABEMA TIMES によるストーリー  2023.11.16

 教師の劣悪な労働環境の改善は確かに急ぐべきであるが、ことの本質はおそらくそこにはあるまい。行き過ぎた画一的管理主義的学校教育の在り方そのものを問う必要がある。

 かなり以前から教師たちの置かれていた環境は劣悪であったが、その実態がいつまでたっても世間に知られてこなかった背景をこそ問うべきなのである。おそらくはジャニーズ事務所での性加害問題と同類の、日本の公教育界がはらむ根深い隠蔽体質に守られてきた悪しき伝統が今、厳しく問われなければなるまい。

 「教師のやりがい」などという美名に隠されてしまいがちな、公教育が本質的に抱える悪しき側面にも、今こそ目を逸らさずにきちんとメスをいれるべきだと思うが、いかがか。

 もちろん官僚制の機能を全否定するわけではない。国家のため、公共のための教育を全否定するわけでもない。「行き過ぎた官僚制」がもたらす弊害、すなわち個の尊厳と自由を激しく脅かし始めている、あまりにも行き過ぎた画一的、管理主義的公教育を問題視しているのだ。

 すべては自由と平等とのバランスの問題であり、見かけの平等ばかりが重視されて個人の自由が侵害されている…すなわち双方のバランスが日本の場合、極端に崩れてきていることを問題視すべきであろう。

 公平性、平等性を盾にとって個人の自由や個性を一方的に侵害する傾向が著しい日本の公教育の悪しき側面の改革を抜きにしては、教師がおかれている環境の改善だけに問題が矮小化されてしまいかねない。教師不足の解消という、ただのその場しのぎの弥縫策に議論が終始してしまうおそれがあるのだ。

 たとえば教師不足が一時的に解消されたとしても不登校やイジメの問題が本質的に改善するとは到底、私には思えない。教員定数の充足によって多少、教師の目が隅々まで行き届くようにはなるだろうが、そのことが管理主義を隅々まで行きわたらせることでかえって学校生活を窮屈にしてしまい、児童生徒の居場所をなくすことにもつながりかねないとさえ、私は危惧している。

 他の投稿でも再三指摘してきたように日本の教員養成教育は教師の採用方法を含めて極めてお粗末であり、不登校やイジメ問題に十分な対応ができる教師の養成と教員組織の体制作りに関してはこれまでも明らかに失敗し続けている。

 そもそも、不登校やイジメ問題の原因は学校現場のブラック化だけではあるまい。硬直化した教育行政のシステムに加え、教育の方法論や学習内容自体の問題(画一的で管理主義的な要素)が学校での諸問題の発生において少なからぬウェイトを占めているはずである。

 つまり現在、生じている種々の学校教育の問題は日本の場合、戦後の公教育のみならず、近代国家における公教育の在り方全体が制度的な限界を迎え、根本から見直されるべき危機的フェーズに達していると私は考えているのだ。したがって「教員不足の解消」という小手先のごまかし戦術は問題解決の先送りであり、あまりに表層的過ぎる泥縄式の弥縫策なのである。

 この段階に至っては「教師のバトン」などという妙に耳障りの良いキャッチフレーズを用いて教師のやりがいをアピールする文科省や教育委員会での教員集めの手法はもはや悪質な詐欺商法まがいの卑劣さをはらんでいるとさえ、私は感じている。

 たとえばブルシット・ジョブの拡大再生産を続ける、文科省を頂点とした中央集権的教育行政の在り方を土台から見直さない限り、部活動の民間委託程度では学校のブラック化を本質的にはくい止められまい。長い目で見ればそれだけでは一時的な効果にとどまり、たちまちのうちに新たなブルシット・ジョブの拡大再生産が上意下達式に復活するだけであろう。

 地方に丸投げして責任ばかりを押し付ける文科省の無反省なこれまでの姿勢を変えない限り、事態は一向に改善しそうにない…

 さて、皆さんはどう考えるだろうか。

参考記事

〈教育困難校の実態〉同級生へのストーカー、食事を与えられず校庭の草を食べ

 る…教師も対処に困惑する発達障害と家庭問題を抱える生徒

 集英社オンライン 2023.12.16

 公立高校の学校間格差が極めて大きいことは残念ながらこれまで世間的には十分知られてこなかったように感じている。公立中学校と同じ感覚で高校を捉えてしまいがちな現今の世論の傾向は高校教育に対する大きな誤解を生んでしまう可能性があるだろう。一方で中学校の場合には多少の地域間格差は認められるものの、高校ほどの学校間格差は大きくない。この記事にあるように公立高校の場合、学校間格差の大きさは中学校の比ではないのである。

 しかし公立高校の場合、職業高校、定時制や通信制などを除くとすべての全日制普通科高校はあたかも学校間格差が存在しないかのような、一見すると「公平」極まりない待遇となってきた。発達障害、貧困、DVの問題を数多く抱えた生徒たちが大勢集まる教育困難校と学習意欲の高い、比較的恵まれた家庭環境で育ってきた生徒が大勢集まる有名進学校とでは授業一つとっても教師の仕事量と激しさ、厳しさの程度には大きな差が生じているのが現実である。にもかかわらず、学校に配置される教師の定数に学校差はほとんど反映されないのが実情であろう。しかも困難校や進路多様校の経験が一切、無い人物が平気で困難校や定時制、通信制の校長となって赴任してくるような、教育委員会のいい加減で学校破壊的な人事にもカッパは大きな疑問を感じるざるを得ない。

 確かに進学校、中位校、困難校それぞれにタイプの異なる仕事が持つ特有の難しさがあるのは認めるが、授業中ですら頻繁に生徒指導に追われる困難校での困難さと常時、ほぼほぼ学習指導だけに専念できる進学校での困難さには大きな質と量の違いがある。同じように就職から進学まで手広く指導する必要のある進路多様校の学力中位校と進学指導に絞り切って取り組める進学校とでは進路指導上の煩雑さにも大差が生じている。教師の負担に学校の種別間で大きな格差がある厳粛な事実は今まであまり世間的に認知されてはこなかったが、良く考えれば当然の現実なのである。

 多くの教師の出身校が全日制普通科の進学校であることを考慮に入れれば、現状の大学における教師養成教育の不十分さは誰でも理解できるのではあるまいか。本来ならば大学での高校教師養成教育は教育困難校を念頭に置く授業の在り方や学級指導の在り方を教えることを専門にする講座、及び多様な進路希望に応えられる進路指導の在り方を教えることを専門にする講座を必ず設置すべきだろうし、その講座を必修とすべきだろう。当然、定時制や通信制高校の特色程度も大学で一定程度、必ず教えられるべきであろうが、大学の講座にそうした内容の講座が必修化されているのをカッパは聞いたことが無い。

 どうやら大学の教員養成教育の実態は高校の実情とはかけ離れた空疎な内容に終始しているのではあるまいか。教育法規や教育哲学が無用というわけではない。しかしそれらと同様に、学校現場の実態を知り、学校タイプ別の指導方法や授業の在り方を模索する、より実践的な講座が大学での教員養成には不可欠のはずである。それらの講座が十分な数、設けられていない大学に高校教師の免許申請を可能としている現状の制度の方が異常なのだ。

 実際に大学で教鞭をとる先生たちに教育困難校や進路多様校の実態を踏まえた実践的な指導ができる人がどれほどいるのか、管見ではあるが、極めて怪しい限り。大学の授業はあくまでも教育学という学問の手ほどきであり、実践的な知識や技術は二の次と考えている、研究重視の大学教師は残念ながらいまだに決して少なくあるまい。しかし教育学者の養成講座に終始しているような授業は教師志望者にとってほとんど無益であろう。教育困難校という戦場並みの厳しい教育現場に何一つ実践的な武器を持たない新人をいきなり放り込むような、無責任極まりない大学教育、そして惨い教員養成制度を日本はいつまで許容し続けるのだろう。

 そもそも小学校や中学校における義務教育ばかりを念頭に置いた講座が教員養成の中心にのさばり、学校間格差の大きい高校の実態を十分に視野に入れていない貧弱なレベルの教育課程しか用意できない国立大学の教育学部も全国には少なからず存在するのではあるまいか。学校現場の実情を十分に踏まえた、現実的で実践的な教員養成教育を各大学はしっかりと用意すべきであり、それは教員養成に関わる高等教育機関としての当然の義務ではないのか。

 カッパは大学での教員養成教育の貧弱さを今はもう廃止された教員免許更新講習で十二分に目の当たりにしてきた。この程度の教育内容では学校現場へのリアルな心構えすらまともには身につくまい。困難校に赴任した新人教師が精々出来る事といえば必ずしも質を保証できない先輩教師たちによる当てにならない指導、助言とお粗末な官製研修による偏った洗脳によって悪しき学校文化の継承者になることくらいが関の山ではないのか。

 以上、長々と厳しめに指摘してきたが、近年、教師の中途退職、休職が増加し、教職志望者が減少する教育危機の背景に、実は大学側のカリキュラム上の大きな欠陥と教員免許状取得資格の制度的不備が大きな一因となっている側面があるとカッパは考えている。この問題は相当深刻であり、喫緊の課題だと思うが、いかがだろう。

その1.修学旅行と沖縄観光(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

  

 21世紀に入る頃から関東の高校では沖縄修学旅行が急増してきました。それまで東日本においては京都、大阪、奈良、兵庫(多くは神戸)の近畿圏かスキーを軸にした東北、北海道方面が旅行先としては圧倒的だったように記憶しています。なぜ、近年の旅行先が沖縄に集中し始めたのか?いや、そもそも修学旅行に行く必要はあるのか?欧米の学校はどうなっているのか?その辺りから見直してみましょう。まずは沖縄の美しい海をドローンで鑑賞し、南国気分を味わってみる事から。

【ドローン絶景/空撮】沖縄・古宇利島の夕日「OKINAWA-Remote island of  Okinawa 」2016/12/21 2:55

 中頃には万座毛のシーンもあるので、テーマとは違って古宇利島のみの撮影ではな

いようです。さっと手早く沖縄の絶景ポイントを海辺中心に上空からドローンで眺めたい方にはお薦めの動画。沖縄修学旅行への期待感を高める上でも役立つかも。

【日本地理】沖縄県民以外激ムズ!沖縄あるある42連発【ゆっくり解説】

   日本地理おもしろ特捜部【ゆっくり解説】 2024/09/23 23:18

   沖縄の特色を分かりやすく、かつ多面的に紹介しており、沖縄関連の授業を始める導入部にオススメ。ただし、視聴時間がやや長めなので、時間が十分とれない場合はウチカビを紹介する「12:33」まで視聴し、残りは視聴プリントで要約して紹介すると良いだろう。また教師側にある程度の知識があらかじめ必要となる箇所があるので、適宜、補足説明が出来ようにしておきたい。

【思わず納得】他県民が『コイツ沖縄県民だな』と思う瞬間【地理ふしぎ】

   地理ふしぎ発見【ゆっくり解説】2024/12/31  19:28

   他の動画にない、新鮮な切り口で興味深い内容。沖縄旅行の引率教師としては予め視聴しておいた方が良いだろう。

東大超え"謎"の理系集団「OIST」大学に迫る。最先端がん研究、死なない生き物ま

  で、驚きの研究が続々登場!ホリエモン/佐藤真希子/神谷明采【HORIE ONE×

  イクマネーサバイブ】NewsPicks  2024/10/29  10:15

 文科省ではなく内閣府配下にあり、学生、教員は外国人が多くを占め、学部が無い。基本的に理系であるにもかかわらず女性の博士課程在籍者が4割も占めている世界最先端の研究機関。それが沖縄の恩納村にある意義は決して小さくはない。

   世界が沖縄に注目するきっかけにもなりうる、日本で最もユニークな学校が沖縄にあり、かつ文科省の配下に置かれていない点にも注目したい。

 生徒にはなぜこのような先進的な研究機関が文科省の配下に置かれず、東京にも置かれなかった理由について、まず推理させてみたい。沖縄学習の先頭に、意外なほどに豊かな沖縄の将来性についてあらかじめ気付いておく事は沖縄学習を今後、展開していく上でも極めて意義深いと考える。

沖縄移住が最悪な理由 2024.6.22 0:59

 この手の動画は一方的に沖縄をディスるものが多いように感じるが、この動画はそれなりにバランスが良く、「娯楽が少ない」の一点を除けば他はかなり正鵠を射ていると思うが、いかがか。

   「沖縄観光」をテーマにする際に沖縄の魅力を発信することがメインになるのは当然のことだが、「沖縄学習」をテーマにするならば沖縄の明と暗を冷静に浮き彫りにする必要があるだろう。その点で、この動画はショートであるため、極めて要領よくまとめてあり、授業で視聴するには大変便利。

 まずは早めに視聴して、バランス感覚を整えておきたい。

参考記事

「平和なときに戦争は準備される」 80年後のいま「戦後」は「戦前」になったの

   か【報道特集】 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.6.29

   沖縄国際大学の石原昌家名誉教授によると…

      沖縄戦開始の7か月前。沖縄に着任した牛島満第32軍司令官は早速すべての兵団

   長にこう訓示したという。

   ・現地物資を活用し一木一草といえどもこれを戦力化すべし

   ・地方官民をして喜んで軍の作戦に寄与し進んで郷土を防衛するごとく指導すべし

      さらに、極秘の印が押された県民指導要綱に示した大方針が「軍官民共生共死の

   一体化」であったという。

      沖縄戦での住民の犠牲者数の多さを解き明かす、第32軍の方針であろう。摩文仁

   で自決したことをもって牛島司令官らを美化しようとする動きが「内地」を中心に

   相変わらず続いていることに苛立ちを覚える。せっかくの沖縄修学旅行も、ナイチ

   ャーの沖縄戦への認識を深める点に関しては何ら貢献できていないようだ。修学旅

 行の事前学習が多くの場合、極めて不十分なものであることを痛感する。

      ただし軍のこうした方針は沖縄だけに限られたものではない。小磯内閣が打ち出

 した一億玉砕の覚悟で臨む本土決戦の方針と牛島司令官の方針とは見事に調和して

 おり、牛島司令官の方針は決して政府の方針から逸脱したものではない。

  本土決戦時におけるアメリカ軍の有力な上陸候補地の一つと考えられていた千葉

 県では消防や青年団、学校などがことごとく臨戦態勢下に置かれ、郷土防衛隊とし

 て戦場に立たされる予定であった。仮にアメリカ軍が九十九里浜に上陸すれば、千

 葉県民の犠牲者は沖縄のそれをはるかに上回っていた可能性は極めて高いだろう。

  帝国臣民であるならば沖縄のウチナーに限らず、臣民すべて国家の指令にひたす

 らなびく「民草(たみぐさ)」に過ぎず、一旦、緩急有れば天皇を守る「醜(し

 こ)の御楯(みたて)」に過ぎなかったことの罪深さについて私たちはしっかりと

 理解しておくべきだと考えるが、いかがか。

  帝国臣民がすべて「天皇の赤子(せきし)」である、との観点ばかり強調して天

 皇の「慈愛」に満ちた「一視同仁」の思し召しにわけもなくありがたくひれ伏し、

 感激するだけのネトウヨの軽薄さに乗っかっている場合ではあるまい。      

沖縄差別の上になりたつ東京の平和な空 基地をめぐる沖縄と本土の温度差は無自覚

   で残酷 AERA dot. 安田浩一 によるストーリー  2023.10.3

 この観点は沖縄を学ぶ際に最も重要なものだと考える。観光地としての沖縄が大好

きなヤマトンチュは数多いが、沖縄に偏見を持たないヤマトンチュは未だに極めて少ないのではあるまいか。沖縄学習を始めるにあたって沖縄への偏見の有無を自らに厳しく問いただしておくことは沖縄学習最初の作法として真っ先に終わらせておくべきだと考える。

   少しイジワルな展開になるが、「ドローン絶景…」をまず視聴させて、観光気分を煽っておいてから、この記事を要約したものを読ませたい。生徒各自が沖縄への偏った見方を共有している事実に気付かないままであると、この後の沖縄学習は「修学旅行」の名にそぐわない、ただの観光旅行として沖縄の観光地としての表層を滑り続けることに終始しかねないと思うが、いかがか。

 しかしこの記事に対してはもう少し突っ込んでいく必要もあるだろう。本当に日本の現状は「沖縄差別の上になりたつ東京の平和な空」という、ある意味生ぬるく感じられる表現の仕方で良いのだろうか。

 実はかなり疑問符のつく表現なのである。この表現に対するモヤモヤ感はおそらく東京および東京周辺に配置された米軍基地の役割を考えてみれば少しスッキリするかもしれない。

 首都東京は米軍が横田基地(東京)によって首都圏の制空権を、神奈川の横須賀基地、厚木基地によって東京湾の制海権を、同じく神奈川の座間基地によって首都東京の陸上の要所をほぼ完全に握れる状態にある。これに対して日本の自衛隊はアメリカの領土内に自らの基地を一箇所たりとも所有していない。

 これは軍事的に見れば日本がアメリカに一方的に隷属している事を意味するだけではない。実は米軍基地問題が沖縄だけのものではなく、ほとんど大差ない程度に首都東京の問題でもある、すなわち日本全体の重大な問題であることに人々は本来ならば気付くべきである、ということを示唆しているのだ。

 したがって本来ならば米軍基地問題に対して同じ立場にあり、ウチナーと共闘できるはずのヤマトンチュがなぜ沖縄の米軍基地問題をあたかも他人事のようにとらえがちになってしまうのか、その背景にもしっかりと迫る必要があるだろう。

 多くの日本人が沖縄の基地問題を自分事として自覚できないのは一体なぜなのか、沖縄の人々への偏見・差別感の残存がそのこととどうかかわっているのか、これは一種の分断統治なのではあるまいか…こうしたことこそが米軍基地問題に対して私たちが考えるべき最重要ポイントの一つなのではあるまいか。

 すなわち日本の学校教育、とりわけ「臭いものに蓋」をしがちな検定教科書の記

述、とりわけアメリカに忖度しがちな日本の政治経済、日本史の教科書における表現の仕方に大きな落とし穴があるのではないのか。

 試しに生徒たちに以下の質問をして挙手させてみたらよい。

 「過去、日本は他国から占領されたことは一度もない…イエスかノーか」

 おそらく沖縄ではほぼ100%の正解となるだろうが、東京都ではどうだろう。80%以上正解できたならそこそこの高校であると思うが。私の教育困難校(千葉県)での経験では6~8割の正答率であった。また日本がアメリカという国に占領されていたことを知っている率はだいたい5~6割前後に過ぎなかった。まして日本国憲法がアメリカの占領下で制定されていることを知っている生徒はせいぜい2~3割に過ぎない。

 横田基地、横須賀基地、厚木基地、座間基地の存在や自衛隊基地がアメリカに存在しない意味についてわずかでも自分の意見を持つ生徒は中程度の進学校でさえほぼ皆無である。そのことの重大さを自覚できている社会科教師もまた決して多くはないであろう。

 安全保障の観点から見れば沖縄の基地問題は実際、米軍基地以外のものに目を奪われやすい東京よりもはるかに目に見えて分かりやすい。つまり日本が今もアメリカの巨大な影響下にあることは沖縄に行けば一層明確になるだろう。だからこそ、沖縄修学旅行が持つ政治的意義があるわけだが、アメリカによっていまだに首都東京の喉元にナイフを突きつけられた現在の日本の姿こそ、本来は国民としてしっかりと自覚すべき戦後日本の悲しい現状なのだと思うが、いかがだろう。

 

沖縄のATMには「二千円札優先ボタン」があるほどなのに 唯一新紙幣にならな

 かった「二千円札」 【琉球放送】RBC NEWS  2024/07/02 5:51

 沖縄における2000円札の価値、意義とは何なのか、そのデザインと発行の経緯などから生徒たちに考えさせたい。

【沖縄観光NEWS】2023年11月12月の沖縄を最高に楽しむならこちら!気温•

   服装グルメおみやげ観光などたくさん紹介するよー!

   阿波根あずさの沖縄観光チャンネル 2023/11/10  28:52

Spirit of Okinawa: 50 Years Since its Reversion

 JIB - Japan International Broadcasting  2022/06/14 27:59

 沖縄への理解を深めてもらうために外国向けに作成された動画。字幕には少なから

ず間違いがあるので生徒に視聴させる場合には注意が必要。ただ、教員が沖縄の概略を要領よく知るには最適の動画だろう。

Q.沖縄と聞いて真っ先に思い浮かぶのは何?

※沖縄入門書として「歩く・知る・対話する琉球学~歴史・社会・文化を体験しよう~」(松島泰勝編 

 明石書店 2021)がオススメ。沖縄の習俗、芸能、食文化、物産、琉球史などを手早く知るには

 「沖縄の神と食の文化」(赤嶺政信監修 青春出版社 2003)が重宝する。

万国津梁 琉球王国の歴史

 【公式】おきなわ彩発見NEXT  2023/07/26 11:00

 やや堅苦しいが、沖縄の歴史と文化を理解するには役立つ。

RBC NEWS「HOPE50 「琉球切手」が映すもの」2022/02/01

 【琉球放送】RBC NEWS  2022/02/01 8:22

沖縄燦燦(沖縄版ミュージカル)

 【劇場は命薬】ACO沖縄 公式 channel  2021/05/12  11:16

 沖縄の伝統芸能入門にあたるミュージカル。ところどころ民謡「谷茶前」(たんちゃめ)節」、童歌「赤田首里殿内(あかたすんどぅんち)」、組踊(くみおどり)などの場面を入れながら全体を一組の男女の恋物語にまとめている。

 沖縄の芸能を楽しむなら舞台『沖縄燦燦』がオススメ!ヒロインの上原唯さんにインタビューして

       みました!阿波根あずさの沖縄観光チャンネル  2023/10/20  12:41

沖縄】ミュージシャン、タレント…数々の芸能人を輩出する理由【山田玲司/切り抜

 き】山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説 2022/07/26  9:18

 この観点はユニークでかつ重要。生徒も興味を持ちやすく、とっつきやすい内容な

ので沖縄学習の導入に持ってくるのにウッテツケ。

【沖縄】アナタにはわかる!?激ムズ沖縄弁【秘密のケンミンSHOW極公式|2022

 年7月7日 放送】【公式】 2022/12/23 8:45

 沖縄の方言で特に誤解されやすい言葉遣いを紹介しており、沖縄への興味・関心を

高めるにはもってこいの動画。

【アフレコ】鏡よ鏡 沖縄の地名 編 まとめ +オマケ【 沖縄方言 すぎる 白雪姫】 

   rain@沖縄方言で歌ってみた  2024/07/06 5:32

【アフレコ】鏡よ鏡『沖縄の名前編』 まとめ +オマケ【 沖縄方言 すぎる 白雪姫

   】rain@沖縄方言で歌ってみた  2024/02/17 4:35

 以上、二つの動画は沖縄の地名、人名の本当の読み方が実はかなり難しいことを面白おかしくかつキッチリと分からせてくれる。二つともぜひ視聴させたい。

【アニメ】琉球タイムライン -未来少女と古(いにしえ)の王- 【沖縄県 浦添市】

 浦添市観光協会うらそえナビ  2021/03/08 8:47

【アニメ】琉球タイムライン2 -てだこのまち探訪- 【沖縄県 浦添市】

 浦添市観光協会うらそえナビ  2022/02/21 10:02

 沖縄の歴史を尚巴志による三山統一の直前まで遡り、明との交易で栄えた察度王 

(14世紀末)の時代を分かりやすく理解できる。やがて東南アジアと東アジアとの仲介役を果たし、南蛮貿易にも関わった琉球の繁栄の基は天女の子との伝説が残る察度王の決断によるところが大きいだろう。

 察度王と女子高生あかりがお互いの時代にそれぞれタイムスリップするという設定のアニメで親しみやすい。首里を中心とした尚氏王朝の直前までは浦添が中山国の中心であったことは知っておいても良い。浦添グスク、前田高地を見学するなら必見。

LIFE IN OKINAWA | 沖縄の生活空間

 2017/05/09 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 12:11

 外国人から見た沖縄:「東洋のハワイ」、「楽園」、「人が優しい」、「ゆったりとしていてリラックスできる」、「安全」、「海が美しい」、「山もある」、「スーパーやショッピングモールが多くて便利」、「外国人への偏見が少ない」、「空気がキレイ」、「モノレールやバスなどがあるので移動が便利」

琉球王国の建築技術が詰まった『築300年超の仲村家住宅』 その文化的価値と建

   築的価値とは 【琉球放送】RBC NEWS  2022/12/01 5:51

沖縄そばの日 かつて”そばの名称”禁止されたこと(沖縄テレビ)

 2022/10/17 OTV沖縄テレビ 1:48

 沖縄そばの呼称が禁止されていたことに驚く。今や沖縄を代表するソールフードの

一つとしてすっかり定着した沖縄そばだが、歴史はさほど古くない。

沖縄県の基礎知識

 2012/04/06 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 6:58

 やや古いが沖縄の概略を知るにはこの動画

【危険度MAX】知らないとヤバい!?沖縄の海に潜む危険な生物!

   根間ういちゃんねる【おきなわ部】 2024/04/16  8:53

 修学旅行中、海岸での自由行動や釣り等の予定がある場合は、必見の動画。

沖縄修学旅行の学習効果~先生の声・生徒の声~

 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー  2012/04/07 8:05

 これも古いが、事前学習の最初に見せる動画としては悪くないだろう。

おきなわ修学旅行「沖縄を知る ~自然・環境編~」

 2019/05/07 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 5:09

 沖縄の亜熱帯の自然を短時間で知るにはこの動画

AKISAMIYO事前学習動画 東村観光推進協議会 2023/01/26 12:29

 世界自然遺産に指定されたヤンバルの森の素晴らしさと現状での課題や自然保護の

取り組みを把握するならこの動画。

「それは一生の思い出になる体験」ひがしの民泊 東村修学旅行民泊の下見動画 

   東村観光推進協議会  2019/04/08 7:50

 ヤンバルの魅力や体験学習の内容を知るならこの動画。

沖縄で世界旅_4min 2022/02/03 

 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー4:08 

 インターナショナルな沖縄の良さを感じさせたいならこの動画

沖縄修学旅行 歓迎動画~皆様を沖縄でお待ちしております~

 2021/12/14 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 2:59

おきなわ修学旅行「沖縄を知る ~産業編~」

 2019/05/07 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 6:12

 沖縄の産業の特色、概略を知るにはこの動画

おきなわ修学旅行「沖縄を知る ~歴史・文化編~」

 2019/05/07 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 6:00

 沖縄の歴史文化の概略を知るにはこの動画

参考記事

TBS「歴史的背景についての十分な検討ができておりませんでした」 沖縄出身俳優

 に「方言禁止記者会見」 バラエティ番組が物議

 まいどなニュース によるストーリー 2024.1.23

 議論のたたき台にはうってつけの記事。まずは方言と標準語との歴史的関係を知りたい。さらに島言葉、ウチナーグチが学校教育でどう扱われたのか、現状の使用状況はどうなのか、方言は今後とも必要なのか、問うべきポイントは多いだろう。まずはこの番組についてどう思うのか、アンケートなどで生徒たちの考えの趨勢を把握したい。そしてアンケートの結果を踏まえて議論に持ち込みたい。

 

 唄から入ると抵抗感無く沖縄の世界に溶け込みやすいだろう。そこで・・・

沖縄修学旅行事前指導の授業導入例:「ウチナーポップの世界より」を次回配信。

 

その4.安保体制と基地問題 ①沖縄の戦後と日米関係

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

参考動画

フェンスの向こう側 ~在日米軍基地の今~【ニュース ジグザグ】

    読売テレビニュース 2025/05/17  12:07

 戦闘機のパイロットが着用するヘルメットの価格が6000万円ほどという事に驚かされる。基地内の様子を多少、知ることが出来ると同時に、沖縄県民の基地に対する思いに世代間の違いが若干みられる点も興味深い。基地内の小学校が3校もあり、一クラス15人程度の少人編成である点など、随所に日米の差が伺われ、基地問題の導入の際に視聴させると学習内容の発展性が期待できるだろう。

平和教育アンケート30年 戦後80年 高校生 歴史との向き合いは(沖縄テレビ)

    2025/6/04 沖縄ニュースOTV 2025/06/05 4:08

 平和教育の発展を妨げているのは各学校や教師の怠慢ではなく、もっぱら文科省や教育委員会による授業内容への過度の統制、制限ではないのか。事実として確定した過去の出来事、沖縄戦のみを学ぶ…という発想では今、話題となっている問題への児童生徒の興味関心を惹きだすことが極めて難しい。未来を生きる児童生徒の関心を惹きだすには現在、直面しているホットな課題から迫る必要があるだろう。そして沖縄においてのそれは基地問題であり、尖閣問題なのである。

    しかしこの問題を公教育で扱うには、文科省や教育委員会、管理職からの指導や管理といった横やり、介入の危険性が大きい。また教師側にもかなりの知識と授業力を必要とする。ゆえにともすれば実際の授業の中では敬遠されがちな話題となっているのではあるまいか。

    しかし知識の詰め込みや画一的一斉講義形式の授業から脱却する上で、現在、話題となっているテーマを扱いにくくしている教科書検定制度や教育内容の見直しは不可避の課題であろう。また児童生徒の授業参加度を高めるうえで議論を軸とした授業展開とそれを可能とする教師の力量が必須となるはず。とすれば授業力向上につながる大学での教員養成教育の充実がまずは求められるはずである。

"核"の最前線だった沖縄(沖縄テレビ)2025/6/03
    沖縄ニュースOTV 2025/06/04 8:05

 沖縄における核ミサイル配備について短時間で概観したいのなら、この動画が便利だろう。ただしミサイルの誤発射事故など、沖縄の住民を脅かした恐ろしい過去については別の資料を用いる必要がある。

【闇が深い】「禁断の質問」をした結果、大臣の様子がおかしくなる【最新国会】

   大石あきこ 国会質問 (2025年3月12日15:05頃~文科委員会)

   山本太郎 on the BEAT【切り抜きch】2025/03/13 15:35

   国会における政府側の答弁がいかにはぐらかし、誤魔化しばかりであるのか、高校生ならばよく分かる事例となるだろう。特に文科省の官僚の答弁がまさに官僚らしさがにじみ出ていて面白い。この程度だから日本の教育が危機的状況に直面しているのだろう。

発見された古墓、日本軍壕の姿は… 空自那覇基地内の発掘調査

   琉球新報 2022/12/23 3:47

   基地内であったために遺跡が破壊されずに済んできたという稀なケース。沖縄の場合、戦争や都市化の中で破壊されてしまった遺跡は膨大な数にのぼるだろう。しかし今後は沖縄史の空白を埋めるべく、日米の基地内の遺跡調査を積極的に進めていく必要があるだろう。

【琉球サウダーヂ】史跡と戦争 第2話「扁額」

 2021/02/15 RBCチャンネル 【琉球放送】 2:30

 この分野の導入に使えるだろう。敗戦後、トイレの用材として米軍によってくりぬかれたと言われる無惨な姿を留める扁額。乾隆3年(1737)の元号にも注目させたい。戦後の沖縄が置かれた悲惨な立場を象徴する遺産の一つであろう。できればCMをとばして視聴させたい。

【悲報】アメリカ人が持つ日本人への偏見が酷すぎる

 Chase & KenKen  2023/11/25  9:02

 この動画はこの分野や差別の授業で絶対に視聴させたい。日本と深く結びついている同盟国アメリカに日本が良く思われていると思い込んでいる日本人はかなり多いだろう。授業でこの動画を見せる前にアメリカ人は日本人についてどう思っているのか、アンケートしておくと面白い展開になりそうだ。

 日本の観光業の隆盛ぶりで現在、「日本万歳」に陥りがちな生徒たちの多さが予想できる。しかし多くのアメリカ人の本音、実態はおそらくこんなものなのだ。でなければアメリカは二度も日本に原爆を落とさないだろうし、いまも図々しく日本の各地に基地を持っていないはずである。沖縄で米兵の暴行事件が後を絶たない背景にアメリカ人の日本人、アジア人を見下す偏見や差別が広範に存在することを決して忘れてはなるまい。

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本人が偏見だらけで酷すぎた。

 SAGIRIX  2023/06/21 6:08

【炎上】海外のアニメに出る日本人が怖すぎる…

 SAGIRIX  2023/07/13 8:15

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本のシーンが失礼すぎた。

 SAGIRIX  2023/10/17 9:37

 差別する側と差別される側、双方の立場に立ってみないとお互いの理解は深まらないだろう。

日の丸と沖縄 屈折した歴史 ー復帰を知るーVol.1 (OTVライブラリ/2012

 年放送)OTV沖縄テレビ  2023/05/11 5:58

 日の丸に対する沖縄の人々の複雑な思いは一体何に起因するのか、早めに考えさせたい。特に平和憲法下への日本への復帰を熱望してきた沖縄の人々が、復帰後、なぜ日の丸を忌避し始めたのか、その理由を列挙させてから討論に持ち込みたい。

 

・敗戦と戦後の始まり

 1945年7月ポツダム宣言(アメリカ、原子爆弾の実用化に成功)で連合国は日本の無条件降伏を勧告⇒天皇制護持に執着した鈴木貫太郎内閣これを黙殺

 8月6日、広島に原子爆弾投下

   8日、ソ連、対日参戦を表明

   9日、長崎に原子爆弾(プルトニウム型)投下

    連合国側(アメリカ)、天皇制存続の可能性を留保する回答

   15日、終戦の詔勅「朕はここに国体を護持し得て・・・」

    ⇒鈴木内閣総辞職、アメリカ単独による間接統治へ(⇔ドイツ)

    ⇒東久邇宮稔彦(天皇の従姉妹で陸軍大将)内閣成立

     日本軍の武装解除と天皇制の存続が至上命題

 9月2日、日本政府代表重光葵外相と軍部代表梅津美治郎海軍大将がミズーリ号上で 

     降伏文書に調印。当初は天皇が調印する予定だった。

Q.なぜ天皇は国家元首として降伏文書の調印に参加しなかったのか?

A.天皇の権威を占領政策に利用する方向でマッカーサーは動き始めていたため、天皇

 に屈辱を与え、権威を傷つけるような調印式は控えることになった。つまりアメリ

 カ側からすれば天皇制の利用価値の低下を恐れたのであろう。

 

 9月7日、沖縄で降伏文書調印。本土と沖縄、奄美、小笠原等は区別された。本土はマッカーサー率いる国連軍(⇒GHQ)による占領となったが、沖縄などは「唯一の地上戦」を経てアメリカが獲得した戦利品という扱いで、直接的な軍政下に置かれてしまった。なお、敗戦後に焼け野原状態となった沖縄を救ったのはアメリカによる援助以外では海外の沖縄出身者による募金、物資支援(ハワイから550頭ものブタ⇒養豚業復興)が大きかった。

 東久邇宮内閣は治安維持法等の存続を図るなどGHQと対立し、総辞職へ。

 10月⇒幣原喜重郎(親英米派、協調外交)内閣成立

     財閥解体、農地解放、戦争犯罪人の逮捕、公職追放などを推進

     しかし大日本帝国憲法改正には消極的なため総辞職

 1946年5月、吉田茂(東条内閣打倒を計画)内閣成立

 1946年11月3日、日本国憲法公布

  マッカーサー三原則とGHQ草案が骨格⇒「押しつけ憲法」

  ・天皇制の存続と民主化(昭和天皇の続投を含む)

  ・平和主義(⇒日本国憲法第9条「戦争の放棄」)

  ・封建制の廃止(軍国主義の除去、非民主主義的制度・組織の廃止等)

1947年「天皇メッセージ」:昭和天皇、米国による沖縄占領を支持、長期の租借(25年以上)を提案

 ※東京裁判(1946~48)の最中であり、アメリカは天皇の自己保身と解釈。寺崎メモによると、天 

  皇は米国による沖縄占領は日米双方に利し、共産主義勢力の影響を懸念する日本国民の賛同も得ら

  れるなどと記している。1979年にこの文書が発見されると、象徴天皇制の下での昭和天皇と政治

  の関わりを示す文書として注目を集めた。天皇メッセージをめぐっては、日本本土の国体護持のた

  めに沖縄を切り捨てたとする議論や、長期租借の形式をとることで潜在的主権を確保する意図だっ

  たという議論などがあり、その意図や政治的・外交的影響については、なお論争がある。

米軍による占領・・・サンフランシスコ平和条約による独立回復?実質「占領」継続

日米安全保障体制の成立(1951~)と冷戦(米英vs.ソ連・中国)

※参考記事

 ◎「この部屋の中だけのお話でございます」昭和天皇の“過激な一言”…秘録に残る“戦争の恨”と“多

  くの人々への批判” 文春オンライン 河西 秀哉 によるストーリー 2023.8.15

 敗戦に関する昭和天皇の認識が垣間見える極めて貴重な証言。満州事変で結局は関東軍の暴走を追認

 した昭和天皇…しかしそのことには触れず、アメリカが強く日本を批判してくれたならば日米開戦は

 回避できたのでは…とアメリカ側の対応にもっぱら責任を転嫁している。張作霖爆殺事件への処罰が

 生ぬるかった田中義一内閣の時代が陸軍の増長を招き、戦争の拡大につながった大きな分岐点と天皇

 は認識。多少は自己責任に言及してはいるものの、昭和天皇に国家の最高権力者としての自覚と責任

 感がやや欠落していた点は否めないだろう。満州事変の際にも他国頼みの認識が天皇にあったという

 ことに注目したい。ただし、親英米派で海軍穏健派よりであった昭和天皇を軽視し、排除しようとい

 う動きすら陸軍の皇道派将校にはあったことも分かる。当時の昭和天皇が実際に発揮できたリーダー

 シップを過大評価してはなるまい。対米強硬派の伏見宮や秩父宮の存在が昭和天皇の立場をかなり微

 妙なものにしていた点は無視できない。天皇の戦争責任を考える際には昭和天皇の個人的責任に加え

 て天皇制を軸とする明治憲法体制の制度的・組織的欠陥に由来する責任も厳しく追及されねばならな

 い。問題は戦後日本がどの程度、明治憲法体制の制度的・組織的欠陥を是正できたのか、である。

4月28日“屈辱の日” 西銘沖縄担当大臣は

 2022/04/27 【琉球放送】RBC NEWS 1:09

 サンフランシスコ平和条約が沖縄の人々にどう受け止められていたのか、知っておくべきだろう。

沖縄県 国頭村・鹿児島県 与論町 4・28 を忘れない 絆を深めた歴史(沖縄テレ

 ビ)2022/4/28 OTV沖縄テレビ 9:38

予告編「海がつなげた、こころの絆」沖縄祖国復帰50周年記念事業映像

 2022/04/26 Yoron Island Japan 4:42

 

「原爆投下は正当だった」アメリカ人学生の言葉に日本人精神科医が返した言葉 

   現代ビジネス 内田 舞(医師・小児精神科医) の意見 2024.10.13

   敵国人であったとしても相手に共感できるかどうかは、とりあえず人間という生き物に対する深い理解と強い興味・関心が必須の前提条件となるだろう。

   2024年10月、ノーベル平和賞に日本被団協が選ばれた意義は大きい。これを一つにきっかけにして、これまでひたすらアメリカの言いなりになってきた日本政府の対米姿勢を少しでも変えられたら…と願うばかりである。

   授業では様々な観点から人間理解を深めることの意義を強調するとともに、戦後の対米屈従外交の経緯を知り、今後の日米関係のあり方を問いたい。

【外国人にインタビュー】広島で外国人観光客が伝えたいこと!アメリカ人ジャー

   ナリストの視点 インタビュー THE ワールド  2024/05/06  12:51

 最初のジャーナリストへのインタビューは大いに参考となるだろう。7:50までの視聴だけでも十分。

初の沖縄訪問で火炎瓶…「ひめゆりの塔事件」に見る、上皇ご夫婦の“沖縄への思

 い”【皇室アーカイブ】(2018年3月放送)|TBS NEWS DIG

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/05/03 3:06

 なぜ、沖縄で火炎瓶を投げられたのか…かつて昭和天皇がアメリカに対して沖縄の支配権を長期にわたって認める発言、いわゆる「沖縄メッセージ」があったことへ言及しないこの報道の姿勢については大きな疑問が湧いてくる。長年にわたるTBSの皇室報道に関するある種の忖度姿勢、偏向ぶりはマスメディア全体に対する不信感を強めるだけであろう。

 ※「沖縄メッセージ」とは、終戦から2年後の1947年9月19日、昭和天皇が側近の寺崎英成を通じ

  て、GHQ外交局長のウィリアム・ジョセフ・シーボルト氏に伝えたとされる昭和天皇の意向。

  1947年当時、天皇がアメリカによる琉球諸島の軍事占領継続を望んでいたことや、沖縄占領は日

  米双方に利益をもたらし、共産主義勢力の増大を懸念する日本国民の賛同も得られるなどと述べて

  いたことが記されていた。この発言は当然のことながら日本への復帰を望む沖縄の、多くの人々の

  気持ちを踏みにじるものであった。加えてそもそも天皇の政治的発言自体、その発言内容の是非を

  問わず、日本国憲法が施行(1947年5月3日施行)されていた1947年9月の段階では象徴天皇制を

  逸脱しており、明らかな憲法違反であった。

報道カメラマンが見た復帰の内実とは【沖縄本土復帰50年企画】(沖縄テレビ) 

 2021/08/27 OTV沖縄テレビ 6:52

 ひめゆり平和記念公園火炎瓶事件の写真撮影等、貴重な場面に立ち会ったカメラマンの証言は重く受け止めたい。

復帰50年…国会爆竹事件と沖縄の今【報道特集】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2022/05/22 22:49

【沖縄の怒りと苦しみ】「本土はずるい」55年前の言葉は今も 73歳の思い 

 『news every.』18時特集 日テレNEWS  2022/05/21  16:59

【沖縄芸人】基地問題をコントに...タブーを笑いに変える葛藤「いつまでも米軍基

 地があれば」2022/05/16 ABEMAニュース【公式】 9:32

 お笑いを武器に基地問題を風刺する人気劇団の存在は若者の目を基地問題に向けさせるうえで重要な役割を果たしているようだ。重く、暗くなりがちなテーマなだけに貴重な取り組み。ぜひ、授業で視聴させたい。

【復帰50年】沖縄本土復帰に配られる予定だった「記念メダル」はなぜ配られなか

 ったのか(沖縄テレビ)2022/5/12 OTV沖縄テレビ 6:22

Q.なぜ記念メダルは配られなかったのか?

Q.「真の復帰」とはどういうことか?

映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』予告編

 2022/02/16 OTV沖縄テレビ 2:04

 ウチナーの心はなぜヤマトンチューに届かないのか?導入として見せたい。

【インタビュー】平良いずみ監督「リアル沖縄が主題なんですが、まずは沖縄のフ

 ァンになって欲しいという思いで作った映画」/15歳の少女が語る基地問題ドキュ

 メンタリー映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』

 2020/03/27 マガジンサミット 17:15

Q.菜の花さんが沖縄の現状に「ちむぐりさ」を感じる理由は何だろう?

 ※なお、この箇所ではyoutubeの動画で登場する図表の中に授業で利用できるものが多く見ら

  れる。しかしブログでは著作権の観点から図表の紹介は公的な資料を除き、掲載を控えることにし

  ている。授業で利用する際はスクリーンショットで動画の画面の図表を写し取り、トリミングして

  図表を拡大するなどしてからプリントに印刷しておく必要があるだろう。

RBC NEWS「ミサイル観測機「コブラボール」異例の長時間飛行」2022/05/01

 2022/05/01 【琉球放送】RBC NEWS 0:37

Q.コブラボールが嘉手納基地から長時間飛行に飛び立った目的は何?なぜ、この時に

 ミサイル観測が必要とされたのか?

Q.嘉手納基地の主な役割は何?

 

・沖縄と核

返還50年 沖縄の基地と核兵器【報道特集】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2022/06/26 22:47

沖縄に生きて ~91歳の被爆者と「基地の島」~【ドキュメンタリー】

   広島テレビニュース 2023/07/19 

 沖縄にいる被爆者の問題に加えて沖縄と核兵器との関りが良く整理されている。どちらかと言えば沖縄における被爆者問題よりも沖縄における米軍基地と核兵器にかかわる映像の方が授業では利用価値が高いだろう。そこに限定して視聴させると良いかもしれない。

参考記事

日本国民に知られないように交わされた硫黄島「核密約」の具体的な中身

 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.8.26

 沖縄に先立って返還された小笠原諸島も密約を通じて沖縄同様に核基地の役割を担

っていた。「密約」が既に公表された憲法や条約などを遥かに超える力を持ち始めた

時、法治国家は形骸化し、政治への信用は失墜するはずなのだが…

日本国民に知られないように交わされた硫黄島「核密約」の具体的な中身

 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.5.30

なぜ小笠原諸島で「核貯蔵」が黙認されてきたのか…まったく不明だった「日米戦

 後史」の謎 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者)  2024.5.29

日本本土で実施できない米軍訓練が硫黄島で30年間行われている実態《すさまじい

 爆音は、島全体を揺るがすほど》 現代ビジネス

 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.6.3

 沖縄返還に先立つ小笠原諸島返還時の日米密約において「核貯蔵」を日本は黙認していたようだ。これが沖縄返還時の密約にも踏襲されたと考えられよう。世界大戦発生の原因の一つとされて秘密外交の禁止が国際社会で叫ばれた戦後に、アメリカは相変わらず対米秘密外交を日本に対して強要していたようだ。硫黄島の問題は沖縄の基地問題の縮図としてあらかじめ触れておくと沖縄の現状への理解が一層深まるに違いない。

【原発と原爆】戦後日本の原子力問題 背後にあったアメリカの核戦略|ABEMAド

 キュメンタリー 2022/08/06 ABEMAニュース【公式】 54:18

 核問題、原発問題への隠蔽体質は民主党政権下でも牢固として変わらず。原子力への反発が強かった1950年代の日本の世論を僅かの間に原子力発電導入賛成に転じさせたのは一体、どういう人々だったのかが、問われるだろう。

有馬哲夫氏:正力松太郎はなぜ日本に原発を持ち込んだのか

 2011/06/26 videonewscom 6:22

阿波根あずさの沖縄観光チャンネル:衝撃的な内容の『沖縄と核』【#4 琉球・沖

 縄本レビュー】(2019/07/19) 13:32

・・・以下「沖縄と核」の記述も参考にポイントを列挙してみる。

・沖縄への核配備

 1953~54年、アメリカ政府(アイゼンハワー大統領)は敵対する中華人民共和国やソ連の脅威に対抗するため、ヨーロッパ及びアジアに核兵器を配備。沖縄ではまず伊江島が核戦略の中心とされ、核爆弾の投下訓練が繰り返されていく。背景には1954年3月のビキニ事件(第五福竜丸事件)による本土での反核運動の高まりがあった(翌1955年8月、広島で第一回原水爆禁止世界大会)。核戦争に備えて本土内に数多く配置されていた海兵隊は次第に沖縄への移動を余儀なくされていった。同時に核兵器も沖縄へ集中配備されていく。1957年にアメリカ文化情報局が日本人に対して行った調査で本土の人達の意識が沖縄への米軍基地配置に反発が小さいことを把握、1950年代後半、沖縄への米軍基地と核兵器の集中が加速されていった。

 ※1967年には沖縄の嘉手納基地中心に1300発ほどの核兵器が配備されていたという。

 沖縄への基地集中は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる強制的な土地の接収を伴い、農地や住居を失った住民の多くは困窮を極め、危険な演習場で薬莢や模擬爆弾を金属資源として回収して売りさばき、生活を凌ぐ者も多かった。中には爆発事故で命を落とす者もいたが、米軍の部隊記録には「・・・伊江島の二人のクズ鉄収集人が自業自得の死を遂げた」という冷淡な記述があるのみであった。

 他方で米軍の高圧的な接収に反発した人々は「島ぐるみ闘争」(1956年がピーク)を引き起こした。こうした事態に米軍は1958年、住民の不満に多少、譲歩することで軍用地の接収を容易にし、かえって沖縄への基地集中を加速させていた。しかもいつの間にか核兵器が本土などから沖縄に移され、沖縄は「核の島」と化していた。

 ※伊江島に関しての視聴覚教材にはRBC NEWS「阿波根昌鴻さんが写した伊江島住民の素顔」

  2022/02/21 【琉球放送】RBC NEWS 1:12、○戦後70年の地平から「伊江島での戦闘」

  2015/05/08 【琉球放送】RBC NEWS 8:26などがある。

隠されていた核事故

 1959.6.19那覇空港に隣接する基地に配備されていた戦術核(都市を壊滅させる攻撃的な戦略核に対して防御的、迎撃的役割を担う核兵器。この戦術核の登場はその使いやすさから核戦争へのハードルを下げ、かえって人類滅亡の恐怖を高めたとも言われる)の核ミサイル(ナイキ・ハーキュリー)が一基、水平の状態で誤射され、海中へ。沖縄ではただの事故として報道。しかし搭載されていた核弾頭は広島に落とされたものとほぼ同じ破壊力があった。もしも安全装置の不具合が重なり、核爆発を誘発すれば那覇市の過半が灰燼に帰す可能性は無きにしも非ず。当時の隊員の中には沖縄の人々に伝える必要があったと回想する者も。

 ※同年同月、現在のうるま市宮森小学校に嘉手納基地の戦闘機が墜落し、児童、住民合わせて18人が

  死亡、220人が負傷している。

・核兵器を楽しんだ子供達

 1967.1~3月読谷村の残波岬で核ミサイル(攻撃型核ミサイル「メースB」で1961年から配備が進んでいた。中距離弾道ミサイルで射程は2400㎞ほど。専ら中国の都市部やソ連のウラジオストクなどに向けられていた)の発射訓練が行われていたが、周辺の子供達は花火大会か航空ショーのような感覚でそれを楽しみにしていた。住民の誰一人としてそれが核ミサイルの発射訓練だったことを知らされていなかった(そもそもアメリカは国外に配置した核兵器の存在を肯定もせず、否定もしないという原則=NCNDを楯にして核兵器の機密保持と威嚇効果を狙っているので、沖縄に限らず、核兵器の情報の多くは基本的には公表されていない)。

 なお、沖縄には読谷村の他に勝連半島のホワイトビーチ、金武村(今は町)、恩納村にもメースBが配備された、各基地に8発のミサイルが備えられ、一発の威力は広島型原爆の50倍以上もあった。1962年のキューバ危機の際にはそれらのミサイルが発射寸前のスタンバイとなり、核ミサイルの一部は嘉手納基地からソ連と中国により近い韓国の基地に運ばれている。核ミサイルを運んだ元米兵はソ連や中国との戦争が始まれば真っ先に沖縄への反撃が集中的に行われ、沖縄が滅ぶことは不可避となると覚悟したとの証言を残している。当時、沖縄は世界最大級の核兵器基地であった。もしも沖縄への核攻撃があればアメリカ軍は自軍の核兵器の奪取を避けるべく、自ら沖縄の主要基地を爆破する作戦であったため、沖縄本島が完全な「焦土」と化してしまう可能性は決して小さくなかっただろう。

・核密約

 「核抜き、本土並み」、「非核三原則を沖縄にも適用」を口にしていた佐藤栄作首相(当時)は裏でアメリカに対して核兵器の撤去をお願いしたものの、国民には極秘で核兵器の再持ち込みは認めていた。2009年、佐藤の遺品整理で密約を記した記録が発見され、密約の存在が確認された。

Q.沖縄の核兵器は本当に撤去されたままなのか?

 A.一旦は撤去されたようだが、「一時的持ち込み」の可能性は否定できない。密約 

  と隠蔽ばかりで真相は藪の中。国民の知る権利は蹂躙されたままである。

Q.本土にも核兵器は保管、持ち込みされていたのでは?

 A.Yes.当然、その後も領海内や領空を核兵器は幾度も持ち込まれていると考える

  べき。残念ながら阿波根氏の見方は甘過ぎると言うほかない。実際、1966年に岩

  国基地で核兵器が保管されていたことが発覚し、1981年のライシャワー発言によ

  って核兵器搭載の艦船が日本の港に寄港していることは明か。 

  ⇒日米合同委員会というラスボス的存在が視野に入っていない。

中華人民共和国成立(1949年)⇒朝鮮戦争(1950~53年)、中ソ接近

サンフランシスコ講和条約(1951年)調印:吉田茂内閣

日米安全保障条約(1951年)・・・旧安保、日米行政協定、吉田・アチソン交換公文

 第1条「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およ 

  びその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」

 交換公文:日本は主権回復後も米軍への支援を義務づけられる

 「占領軍」から「駐留軍」へと名称が変わっただけで実質的占領状態は継続

Q.「米軍基地は日本国内のどこに配備できる?」

A.全土基地方式(日本国内ならどこでもOK)

Q.「その周辺とはどの辺りまでを指している?」

A.当時アメリカが念頭に置いていたのは沖縄、朝鮮半島、台湾、北方領土。

指揮権密約(1952.7.23)吉田首相と米軍司令官マーク・クラーク大将との口頭による密約。同様の密約が2年後にも結ばれている。

 ⇒戦争状態の下では自衛隊はアメリカ軍の指揮下に置かれる

 ⇒シビリアンコントロール(文民統制)の形骸化、日本の属国化

日米合同委員会密約(1953.9.29) 「日本国の当局は、所在地の如何を問わず米軍の財産について、捜索、差し押さえ、または検証をおこなう権利を行使しない」

 日米合同委員会:1952年発足。「日米合同委員会の研究」(吉田敏治 創元社)によるとアメ

  リカ側の言いなりで「密約製造マシーン」とも。本会議にはアメリカ側7人(内6人は軍人)、日本

  側6人(官僚)が出席。会合は月二回程度開かれる。話し合いの内容は国会に報告する義務も外部

  に公表されることも無い米軍が事実上の占領政策を続けるための、日本政府や裁判所を操る、不

  可視の「リモコン装置」的存在。この会議で決められた「密約」は国会や憲法をも上回る効力を持

  つという点で、明治憲法体制下の「憲法外機関」のような存在。国権の最高機関とされた国会が完

  全に無視されている事から日本は「半主権国家」、「半法治国家」に過ぎない。有事の場合には自

  衛他の指揮権が米軍に移るとされる現状の下で日本における「文民統制」もあり得ないし、三権分

  立などあり得ない。そもそも日米合同委員会自体、アメリカ軍のゴリ押しを実現すべく、日本の官

  僚が日本の法体系との矛盾を突かれないよう、表面的な帳尻合わせをしつつ密約を練り上げてい

  く、本質的な意味での対米従属機関に過ぎない・・・ということになる。

   今後、吉田氏や矢部氏の指摘が定説となれば、社会科教科書の記述は大幅に改められる必要があ

  る。カッパ個人としては吉田氏らの指摘でこれまでモヤモヤし続けてきた日本の戦後史の闇にパッ

  と光がさしてきたような感慨を覚えている。と同時に検定教科書への不信感が一層、増してきた。

  皆さんはどちらを信じられるだろう?

 ※参考記事

  ◎「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

   現代ビジネス 矢部 宏治の意見 2023.07.23

  ◎なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」

   現代ビジネス 矢部 宏治の意見 2023.07.23

  ぜったいに「米軍」にさからえない「日本の悲劇」…なぜ日本はこれほど歪んだのか

   現代ビジネス 矢部 宏治 の意見 2023.7.28

  【速報】「大東亜戦争」と表現のSNS修正 陸自部隊の活動紹介「誤解を招いた」

   FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.8

   沖縄の米軍基地が少しずつではあるが削減されつつある一方で、自衛隊の施設は急速に増えてき

   ている。自衛隊の体質に問題があるとすればこれは沖縄の新たな基地問題となりうる事象だろ

   う。自衛隊に潜むかもしれない、危険で古い体質から目を逸らせてはいけないことを今回の件は

   改めて気づかせてくれる。授業では「大東亜戦争」という呼称がなぜ問題視されるのか、生徒に

   考えさせることから始めたい。

 

 1953年以降、米軍基地建設のために「銃剣とブルドーザー」・・・強制的な退

  去と土地収用が本格化

・原発推進:「原子力の平和利用」の裏側

第五福竜丸事件(1954年)⇒本土での反米感情高まる⇒米軍基地、核兵器と海兵隊を

 沖縄へ集中させて本土の世論に配慮。しかし日本の核基地化と日本への原子力発電

 導入を推進していたアメリカとしては極めて困難な状況へ。

 そこで・・・1955年、正力松太郎、読売新聞を通じてアメリカの「平和のための原子力」キャンペーンに協力し、衆議院議員に当選。1956年、原子力基本法成立⇒

原子力委員会発足、初代委員長に正力就任。科学技術庁発足、初代長官に正力。原発建設地候補が横須賀から茨城県東海村に変更。1957年、岸信介内閣の国務大臣として原発導入を継続。

 正力は戦時中、大政翼賛会幹部で内閣情報局参与、貴族院議員、小磯内閣顧問等を

歴任し、戦後は岸信介らとA級戦争犯罪容疑者として拘留。しかし1947年にいち早く不起訴となり、釈放されるとたちまち「プロ野球の父」「テレビの父」(日テレ初代社長で、電通にも影響力)「原子力の父」と呼ばれる存在へのし上がる。背後にはCIA(テレビや新聞を通じてアメリカが都合の良いように日本人を洗脳する目的で岸や正力らをエージェントとして利用)がおり、やはりA級犯罪容疑者だった岸信介

児玉誉士夫博報堂に影響力)もCIAのエージェントとして登録されていたらしい。

 アメリカはソ連の急成長(1957年、「スプートニクショック」:ソ連、アメリカに先駆けて人類初の人工衛星打ち上げ成功)に焦り、日本を強力な「反共の砦」とすべく日本の再軍備と沖縄の核基地化を推進すると共に反共産主義キャンペーン、および原発導入推進キャンペーンを戦前から警視庁で活躍し、プロパガンダの得意な正力等に行わせていたと思われる。

 ※1955年9月、嘉手納基地の米兵が現うるま市の6歳の少女を暴行、殺害。

検証】第五福竜丸被ばくはアメリカの人体実験だった?ビキニ事件の真実|

 ABEMAドキュメンタリー 2022/08/13 ABEMAニュース【公式】 39:18

ジラード事件(1957) 群馬県で21歳の米兵が主婦を射殺⇒懲役3年、執行猶予4年

 の判決⇒2週間後には帰国(事実上の無罪判決)

・・・米兵は治外法権の対象

1954~64年にかけて米軍関係者による事件の受理人数は日本全体で48257人にのぼる。その内、

 訴されたのは2147人で全体の約4%に過ぎない。強姦ですら11%しか起訴されず、詐欺・横領・脅

 迫に至っては起訴率0%である。同時期の一般刑法犯の起訴率が45.4%なのでその10分の1にも満た

 ない。

アメリカ戦闘機墜落事故(1959) 宮森小学校に墜落、死者17人、負傷者220人

砂川裁判で東京地裁の判決:「在日米軍基地は日本国憲法第九条に違反」との判決が

 最高裁では「統治行為論」により覆される(1959)。実は事前に田中耕太郎最高裁長官がマッカーサー駐日大使(マッカーサー元帥の甥)と密会し、調整⇒最高裁長官自ら情報漏洩及び「司法の独立」を侵犯。実は日米合同委員会のメンバーが最高裁の判事となる慣例統治行為論は原子力発電の可否を巡る裁判などにも適用され、憲法の形骸化を「憲法の番人」たる最高裁自らの手で進めていた。

安保条約の改訂(1960年) 岸信介内閣:新安保、日米地位協定

 旧安保に無かった在日米軍の日本を守る義務が明記された。しかし実際は基地権密

 約などによって在日米軍に実質的な変化は見られない。

 「日米安全保障条約(旧)=日米安全保障条約(新)+密約

 「日米行政協定=日米地位協定+密約

 という方程式が成り立つようである(「日米合同委員会の研究」吉田敏浩より)。

 同書によるとアメリカ側はこうした条約改訂で日本政府のメンツをたてつつ、日米合同委員会での実務的詰めの作業を通じて「一歩後退、二歩前進」を図ってきたらしい。1968年と1973年、富士演習場が日本に返還された際も、返還は上辺だけで、年270日間は米軍が優先的に使用できるようになっており、しかも演習場の維持管理費等はすべて日本の負担とされたため、実際には米軍のメリットの方が大きいという。とすれば「日本とアメリカとの関係を対等なものにしていく」と言った岸首相の言葉も上辺だけの結果に終わっていると考えて良いだろう。

キューバ危機(1962)以降、核戦略の要に。対中国、ソ連を睨む要衝の地沖縄で人類

 存亡の危機がひそかに進行。

【ガレッジセール・ゴリ】“日本でもアメリカでもない時代の沖縄”を描いたワケ 

 2022/04/29 日テレNEWS 4:55

Q.沖縄の核と基地問題はどうなったか?

 

・本土復帰と核密約

【ガレッジセール・ゴリ】“復帰っ子”から見た沖縄本土復帰50年

 2022/05/16 日テレNEWS 3:24

沖縄復帰50周年 屋良朝苗と復帰運動の歩み(沖縄テレビ)2022/04/07 OTV

 沖縄テレビ 8:29

機密文書から読み解く日米の思惑 沖縄返還交渉【本土復帰50年企画】(沖縄テレ

 ビ)2022/01/07 OTV沖縄テレビ 8:02

 参考文献

  「徹底検証 沖縄密約~新文書から浮かぶ実像~」藤田直央 朝日新聞出版 2023

復帰50周年】不条理が続く沖縄県民 主権はいつ帰ってくるのか(沖縄テレビ)

 2022/04/14 OTV沖縄テレビ 9:14

「へいりの様に踏みにじられた」建議書 沖縄復帰50年、変わらぬ願い

 2021/11/23 毎日新聞 6:53

昭和のノーベル賞 非核三原則・沖縄返還などで日本人初の平和賞 佐藤栄作氏

 (1974年)【映像記録 news archive】2021/10/08 ANNnewsCH 9:23

外務省元高官が法廷で沖縄返還での密約の存在認める(2009/12/01) 

 ANNnewsCH 1:29

「核兵器めぐる日米密約は存在した」岡田外務大臣(10/03/10) 

 ANNnewsCH 1:50

沖縄返還「密約文書」不開示が確定 最高裁 西山元記者らの上告棄却

 2014/07/14 KyodoNews 2:46

【復帰50年】茨の道だった沖縄返還の時代の言論の自由を守るために闘った記者

 (沖縄テレビ)2022/5/17 2022/05/18 OTV沖縄テレビ 8:43

 ここでの導入としてはこの動画が使いやすいだろう。

西山太吉×宮台真司×神保哲生:偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言【ダイジェスト】 2022/05/14 videonewscom 10:33

衆議院で“復帰50年決議採択 基地負担軽減など政府に求める

 2022/04/28 【琉球放送】RBC NEWS 1:10

【世界一】具志堅用高が語る沖縄と本土「先輩は本土でアパートが借りられなかっ

 た」 2022/05/16 ABEMAニュース【公式】13:01・・但し7:10でカット

 返還後に変わった事とは何か、が生々しく語られているが、変わらなかった事についてはほとんど語られていない。

 

特集「沖縄返還を巡る問題点」

 佐藤栄作は当初、日中国交回復に熱心であり、沖縄返還にそれほどの関心は無かったと言われる。佐藤が沖縄返還に拘るようになったのは師と仰ぐ吉田茂の助言があったようだ。自民党総裁選で争う相手は経済政策で実績のあった池田勇人であり、池田に対抗して佐藤の独自色を出すには失われた国土の返還という愛国心を刺激する沖縄返還こそ、最適のスローガンだと佐藤も考えるようになったらしい(「沖縄50年の憂鬱~新検証・対米返還交渉~」より。以下も同書を参考としている)。

 1965年、池田の病死によって首相になった佐藤は早速、沖縄を訪問して「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、我が国にとって戦後が終わっていないことをよく承知しております。」と沖縄返還を公約する大胆な宣言を行った。ただし佐藤の狙いは決して沖縄の人々を喜ばすことではなかった。彼が最も恐れていた事態は兄岸信介が苦心して改訂した日米安全保障条約を見直しする1970年にあった。その時、50年安保の時と同様に再び安保闘争が高まり、左翼政党の台頭によってついには政権与党の座から自民党が滑り落ちてしまう・・・これこそが避けなければならぬ最悪の事態。この事態を回避するには国民の支持を集められる沖縄返還協定の締結を安保見直しまでの日程に上らせておく必要があったのである。

 アメリカ側としても反共産主義で親米派からなる佐藤政権は好ましい存在であり、日米安全保障体制の継続は沖縄の施政権維持よりも遙かに重視すべき課題であった。また沖縄での反米感情の高まりに苦慮してきた軍部内でも沖縄基地の移転論が出現していた。すなわちアメリカ側にも沖縄返還を巡って佐藤政権との交渉の余地が生じていたのである。佐藤は専らこの流れに乗って沖縄返還の手柄を挙げつつ、政権の維持を目指していたと言って良いだろう。

 佐藤の狙いに水を差したのはむしろ日本の外務省であった。当時の外務省は情報収集を怠っていたせいかアメリカの変化に気付かず、沖縄返還の可能性を低く見積もっていたらしい。結局、佐藤は返還交渉に後ろ向きだった外務省を見限り、沖縄問題等懇談会を1966年に創設。やがて若泉敬ら、密使を重用することになる。

 1967年時点で沖縄からすべての核兵器を撤去しても軍事的なダメージはない、とマクナマラ国防長官は述べているように、アメリカでは既に沖縄の施政権返還を「核抜き本土並み」という現実的な路線に据えて考えていた。佐藤が「核抜き本土並み」を口にしたのは1969年3月の事であり、これは密使の若泉敬がアメリカで収集した情報に基づき、佐藤が決断したもの。アメリカが率先して動き、それに日本が追随する形で沖縄返還交渉は進んでいたのである。

 佐藤自身は「相手が核を持ったならば、みずから核を持つのは常識的なことである」と1965年12月に発言しているように、根っからの反核論者ではなかった。しかし1969年1月、知日派のニクソンが大統領に就任すると沖縄返還交渉は加速していき、「核抜き本土並み」の返還交渉がアメリカのペースで詰められていく。受け身に立たされた日本は交渉の場でのしたたかな自己主張を欠き、「専守防衛」の原則を揺るがす決定を強いられていく。米軍による沖縄への核の再持ち込みと沖縄基地の自由使用である。

※その結果、自衛隊の役割は専守防衛から国際貢献に重心を移し、とりわけ対米貢献が主たる任務にな

 りつつあるようだ。特に安倍政権下での特定秘密保護法(2013年、武器輸出三原則の撤廃(2014

 年)、集団的自衛権の行使容認(2015年)はいずれもアメリカの要請に従ったものであり、日本は

 対米追従の度合いを強める一方となっていると言えよう。

 他方、佐藤政権は70年安保を見据えて沖縄の早期返還と核兵器の撤去を優先するあまり、核の再持ち込みなどの密約を飲まされてしまったようだ。1969年11月、日米共同声明で「1972年の沖縄核抜き本土並みの返還」が発表され、返還を喜ぶ声にかき消されたかのように70年の安保闘争は60年安保ほどの広がりを持つことは出来ずに収束する中で1970年6月、日米安保条約の自動延長が決定する。

 1971年(昭和46年)6月、沖縄返還協定が調印され、7月にキッシンジャーが訪中して米中間の対立が緩和された。11月17日、屋良朝苗の米軍基地削減を求めた建議書は日の目を見ること無く、返還協定は強行採決され24日、佐藤栄作は最終的に非核三原則を沖縄にも適用させるべきと決断。衆議院で沖縄返還協定の付帯決議として「非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議」を議決した。

 1972年5月15日、沖縄、本土復帰。翌年、復帰を記念して沖縄特別国体開会非核三原則を示したことによって1974年(昭和49年)に、佐藤栄作はノーベル平和賞を受賞した。受賞理由と佐藤の実態との乖離から、ノーベル平和委員会が発行した記念誌の執筆者の一人であるオイビン・ステネルセンは「佐藤氏を選んだことはノーベル委員会が犯した最大の誤り」とのちに見解を述べた。実際、2009年(平成21年)になって沖縄に核兵器が持ち込まれていた事実が佐藤氏の遺品整理中、明らかになっている。非核三原則を表明した佐藤栄作は1969年(昭和44年)1月14日付で米国政府に送った公電で「非核三原則はナンセンスだ」と発言したことが、アメリカの公文書から明らかになってもいる。「核の持たず、つくらず」は堅持した上で「核の持ち込み」については日本の領土に配置を認めないが、日本の領海において寄港や通航を認めることを「非核二・五原則」と揶揄することがある。

・国是としての非核三原則の歩み

 1957年(昭和32年)に岸信介(安倍晋三の祖父)内閣総理大臣が「私はこの原子部隊を日本に進駐せしめるというような申し出がありました場合においても、政府としてこれに承諾を与える意思はもっておりません」と国会で答弁し、核兵器を装備した部隊の日本駐留を拒否する答弁を行った。

 核の持ち込みについて、日本政府は以下のような表明を行っていた。

・岸・ハーター交換公文において、日本への核の持込には事前協議が必要。

・事前協議が行われたことは一度もないので、核が持ち込まれたことも無い。

・事前協議があれば核持ち込みを拒否する。

 この見解は、1960年に旧安保条約から新安保条約へと改訂した際に、横路節雄の質問に対して岸内閣の防衛庁長官であった赤城宗徳が行った答弁から一貫して続いていた。1967年(昭和42年)に佐藤栄作内閣総理大臣が「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を打ち出し、衆議院において非核三原則を遵守する旨の国会決議が行われた。それ以降の歴代内閣は三原則の厳守を表明しており、非自民首相であった細川護熙、羽田孜、村山富市も遵守を表明していた。

 アメリカによる核の持ち込みの可能性について日本政府は「事前協議がないのだから、核もないはず」としてきたが、「核を持ち込ませず」が実際に守られていたかどうかは疑わしい点が多い(事前協議を行えば拒否されるのは明白だからそれさえもしない可能性がある)。日本政府は自国民にもあからさまなウソを堂々と繰り返し公言してきたということになろう。

 佐藤の密使を務めたとされる若泉敬が「1969年(昭和44年)11月に佐藤・ニクソン会談後の共同声明の背後に、有事の場合は沖縄への核持ち込みを日本が事実上認めるという秘密協定に署名した」と1994年に発表した著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』で証言した。

※若泉 敬(わかいずみ けい:1930年3月29日 –~1996年7月27日)は、日本の国際政治学者。沖縄返

 還交渉において、佐藤栄作の密使として重要な役割を果たしたとされる人物。「核抜き・本土並み

 返還の道筋が見えてきたところ、日米首脳会談直前の1969年(昭和44年)9月30日、国家安全保障担

 当大統領補佐官のヘンリー・キッシンジャーより、「緊急事態に際し、事前通告をもって核兵器を再

 び持ち込む権利、および通過させる権利」を認めるよう要求するペーパーが提示された(なお、密使

 としての活動で、若泉はコードネーム「ヨシダ」、キッシンジャーは「ジョーンズ」を用いた)。同

 年11月10日 - 11月12日の再交渉で、若泉は「事前通告」を「事前協議」に改めるよう主張、諒解を

 得る。この線で共同声明のシナリオが練られることとなり、11月21日に発せられた佐藤=ニクソン共

 同声明で、3年後の沖縄返還が決定されることとなった。

  なお若泉は極秘交渉の経緯を記した著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文藝春秋、1994年)に

 おいて、核持ち込みと繊維問題について作成した日米秘密合意議事録の存在について触れている。同

 書によれば、佐藤とニクソンは、ウエストウイング・オーバルルーム隣の「書斎」で、二人きりにな

 って署名したという。この覚書は佐藤により持ち去られ、のち2009年(平成21年)に本人宅で発見

 された。『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』の上梓後、6月23日付で沖縄県知事・大田昌秀宛に「歴史

 に対して負っている私の重い『結果責任』を取り、国立戦没者墓苑において自裁します」とする遺書

 を送り、同日国立戦没者墓苑に喪服姿で参拝したが自殺は思いとどまった。

  その後、『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』英語版の編集に着手。完成稿を翻訳協力者に渡した1996

 年(平成8年)7月27日、福井県鯖江市の自宅にて逝去(享年67)。公式には癌性腹膜炎ということ

 になっているが、実際には青酸カリでの服毒自殺だった。若泉の自殺の報を聞いた大田昌秀は「核密

 約を結んだことは評価できないが、若泉さんは交渉過程を公表し、沖縄県民に謝罪し、『結果責任』

 を果たした。人間としては信頼できます」とコメントしている。

沖縄返還交渉:アメリカ政府と日本政府との裏取引・・・核密約

   「持ち込ませず」に疑問符、

 新安保条約の自動延長と沖縄・70年安保と学園紛争の敗北

  ⇒学校教育から政治色一掃(→政治学習の空洞化=主権者意識の後退)

   国防や安保を論ずることのタブー化→低投票率

  →組織票の比重大→自由民主党有利

  ⇒自国の防衛問題をアメリカと沖縄に丸投げ→安全保障体制の見直しが進まず、 

   防衛問題は他人事へ、沖縄の基地問題の不可視化、他人事化

安保闘争・反米闘争の衰退→なし崩し的な再軍備

  ⇒「日本における米国の好感度調査」(時事通信)によると

   1970年代の前半24%→1970年代の後半30%

    →1980年代前半39%→1990年代前半43%

    →2000年47%・・・アメリカの好感度は順調に上昇

Q.安保タダ乗り論についてどう思うか?

Q.本土にも核兵器は持ち込まれてきたのではあるまいか?

Q.日米安全保障条約を見直すべきか?

Q.日米地位協定を見直すべきか?

Q.自衛のための先制攻撃は可能か?

Q.憲法第9条の改正は必要か?

Q.非核三原則を見直すべきか?

※参考記事

「マイノリティーは存在しない」から四半世紀たっても…国連の勧告を突っぱね続

 ける日本 「今こそ学び直して」東京新聞 2024.6.17

 一体いつになったら日本は「人権後進国」の汚名を晴らせるのか。アイヌや沖縄への偏見、差別がどこに由来するのか、考えさせたい。

ロッキード事件を捜査した“カミソリ検事”堀田力氏が衝撃告白「P3C関係のやつは

   聴くなという、それが唯一の、尋問について私どもが受けておった命令です」

   「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.10.10

   東京地検検事へのこの圧力が一体、どこからかけられていたのか…いずれにせよ日本が真の主権国家であることが疑われるのは、こうした件がいくつも存在しているからだろう。

 

※参考文献

・「沖縄50年の憂鬱」河原仁志 光文社新書 2022

 沖縄返還交渉の裏側で何が起きていたか…

・「在日米軍基地」川名晋史 中公新書 2024

 国連軍基地を兼ねた米軍基地の問題、という斬新な視点が極めて興味深い。