その1.沖縄における観光業

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

【沖縄×ビジネスの未来】沖縄経済の光と闇/インバウンド需要と観光閑散期/Tリ

     ーグ王者が仕掛けるビジネスイベント/冬の沖縄に集うトップ経営者/観光単価を

    上げ/アスティーダ(明日の太陽)で照らせ

    PIVOT 公式チャンネル 2025/09/03  30:37

    沖縄の将来性に注目。

入札不調 どうなるMICE計画(沖縄テレビ)2024/9/25

 OTV沖縄テレビ 2024/09/26 6:13

 観光地としてイマイチの状況にある沖縄本島東海岸の振興を進める上でカギを握るのが西原、与那原地区におけるMICE計画。しかし現状ではそこに進出する企業が一つもない。この深刻な結果をどう分析し、打開の道をどう探るのか…検討すべきポイントは多い。ぜひ、授業で議題に挙げて討論に持ち込みたい。 

 大きなポイントとなるのはおそらく那覇からのアクセスの改善であろう。環境に配慮した移動手段、すなわちモノレールの延伸をふくめた鉄道の敷設が計画されない限り、同地区への企業の進出はほとんど望めないと考えるが、いかがか。

 ヤンバルでは森岡氏が進めているジャングリア構想があり、この成功のためにもいずれは那覇からのアクセスの改善が必須となってくるだろう。那覇から名護までの鉄道敷設は遅かれ早かれ、沖縄全体の振興にとって欠かせない施策となるはずだ。そしてこの路線の敷設は米軍基地の返還と切り離して実現できるものではなく、二つが同時に実現することこそ沖縄県民の最も熱望するところであると考える。

 もちろん沖縄の経済的発展は中国による台湾進攻や尖閣諸島への進出を防止する上でもマストの課題となろう。特に観光業の発展は沖縄経済の発展において最も重要な柱であり、欧米からの観光客の増加は沖縄の基地問題、尖閣諸島の領有問題を世界に知らしめる上で少なからず役立つ。沖縄における交通網の整備、米軍基地の縮小・削減がもたらすプラスの効果は計り知れないはずである。

「東京・京都大阪」の次へ動き始めたインバウンド… 沖縄が一気に前年の5倍に…

   「欧・米・豪」から見た沖縄旅行の魅力とは

   【琉球放送】RBC NEWS  2024/10/07 5:33

何を求めて沖縄へ? 増加する欧州からの観光客

   OTV沖縄テレビ 2024/07/26 7:46

   沖縄にヨーロッパからの観光客が増えている点は非常に喜ばしい現象だが、彼らが求めている長期滞在型の観光に耐えうる異文化体験、自然体験への対応がまだまだ不十分かもしれない。外国人を意識した、もう少し本格的な内容の焼物、組踊、三線、空手、染色、ダイビング、トレッキングなどの体験コーナーをさらに充実していく事が求められているだろう。

【2030年に外国人観光客は2倍】オーバーツーリズム問題の対策/外国人にとって

   わかりにくすぎる日本の暗黙のルール/外国人観光客の「価格」は変えるべき?

  【KUROFUNE】 PIVOT 公式チャンネル 2024/07/20  32:13

 観光公害の問題にどう対処すれば良いのか、大いに参考となるだろう。

【日本の定食⇒米国なら5000円】値下げを美徳とするな/チップを払いたい外国

 人/観光客価格と日本人価格を分けるべきか/外国人観光客との摩擦/人口の1割が外

 国人になる【KUROFUNE】 PIVOT 公式チャンネル 2024/07/27  37:58

 確かに日本の観光業の場合には高品質・低価格路線から高品質・高価格路線に舵を切る必要があるだろう。特に外国人向けの観光としては長期滞在型を念頭に置いたツアーの開発が急がれる。たとえば複数の霊山巡りや長距離のサイクリング体験、地方の銘酒案内、スキーとダイビングを抱き合わせての日本列島南北ツアーの提案などが考えられよう。

 外国人観光客がとりわけ日本の高品質で高価格なツアーの出現に期待している円安の今こそ、すっかりブラック化してしまった日本の観光業の体質改善を一気に図る絶好のチャンスである。特定の観光地に外国人が集中しがちな傾向も、日本在住の外国人ユーチューバーを積極的に活用して、穴場的な地方での観光地キャンペーンを海外向けにドシドシ発信することで少しは観光客を分散できるだろう。

 観光業を日本経済発展の要の一つとして捉え、観光客受け入れのキャパシティ拡大を推し進める戦略が求められている。生徒たちにも、どんなコース設定をすればより多くの外国人の興味をひけるのか、価格設定プランとともに提案させてみたい。

【解説】日本"観光世界1位" 交通インフラなど評価 課題は"デジタル化"の遅

   れ?『知りたいッ!』 日テレNEWS  2022/05/25  9:48 

   日本全体の観光のポイントについては非常によく整理されている。まずはここから理解しておきたい。

 復活インバウンド モノ消費⇒コト消費へ 日本の文化・伝統で観光産業への商機

 は…【Bizスクエア】TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/10/28  12:09 

 体験を観光の目玉とすることは観光客の一点集中を避けて分散を図り、オーバーツーリズム、観光公害の解消につながる可能性を秘めているだろう、さらに長期滞在型を増やして観光業の利益率を向上させ、観光業従事者の生活改善にも役立つ可能性はあるだろう。

 特に目立った観光資源が存在しない地方でも外国人に何らかの日本の伝統文化、食文化の体験を提供できるはずである。成田氏が指摘する日本文化が持つ「発酵と珍味」を生かした工夫は日本のどの地域においても可能なはず。地方の少子高齢化や荒廃を防ぐうえでも海外に向けての発信力が問われているに違いない。

参考記事

平均寿命、躍進の滋賀、転落の沖縄、短命の青森が集まり分かったこと

 朝日新聞社 2025.12.27

最も貯蓄・年収の多い都道府県は? 平均貯蓄・年間収入ランキング

    NewSphere 2024.1.5~7.22

「家計調査」(2023年データ)によると「1位東京と47位の沖縄とでは、貯蓄額に1757万円の差がある。東京の平均貯蓄額は、沖縄(963万円)の2.82倍に相当する計算だ。なお、全国の世帯あたりの平均貯蓄額は1904万円で、前年(2022年)比で0.2%の増加となっている。増加傾向は5年連続だ。中央値は平均値よりもかなり低く、1107万円となっている。一部の富裕層が平均値を押し上げている実態を物語る。」という。中央値の動きは中流階層の没落傾向が続いていることを示しているだろう。

    また最下位の沖縄とトップの東京都との格差が3倍近くもあることに注目したい。東京都での平均年収が816万円に対し、沖縄は545万円で42位。沖縄の順位は最下位の青森と比べて物価が高いことに起因しそうだ。中央世帯の経済的豊かさのランキングは沖縄が46位であり、やはり貧困問題の解消には程遠い現状があると見て間違いあるまい。なお通勤による損失を考慮すると東京都の豊かさは最下位レベルに転落してしまい、東京都民が皆、必ずしも豊かさを享受できているわけではない。

「インバウン丼」食べない人にも批判された深い訳 テーマパーク化するニッポンに、

   どう向き合うか 東洋経済オンライン 谷頭 和希 2024.12.12

 インバウンド丼の話など興味深いエピソードが多く、日本の今後の観光業のあり方を考える上で大いに参考となるだろう。次の記事とともに参考資料としてぜひ授業で紹介したい。

「高くなったディズニー」に抱く"寂しさ"の正体 テーマパーク化していく狂った街の

   生き抜き方 東洋経済オンライン 谷頭 和希  2024.12.11

   ここでいうところの外国人富裕層に観光のターゲットを絞った「ニセコ化」は沖縄にもある程度まで必要とされるだろうが、それが地元民の排除につながらぬような工夫が必要となってくるだろう。沖縄の若者の就職先として貢献しようとするジャンガリアもまたニセコ化の弊害を想定した、利用者側へのもう一工夫が出てくると、さらに沖縄全体にとって素晴らしいアミューズメント施設となるに違いない。

沖縄が誇る泡盛がユネスコ無形文化遺産へ「戦火をまぬがれた黒麹」「西のスコッ

   チか東の泡盛か」先人の情熱が結実   FNNプライムオンライン  2024.12.4

【星野リゾート代表に聞く】観光地の混みすぎ&高すぎ問題...解決のカギは『休み

 の分散』と『自然観光』!本当は教えたくない...「オススメ旅先」とは?

 毎日放送 の意見 2024.10.6

 よくポイントが整理されていて資料としての利用価値は高い。

「安いニッポン」インバウンドはいいが…貧しい国、人権も尊重しない国に外国人

   は住みたいか AERA dot. 小塚かおる によるストーリー 2023.10.24

 沖縄に限らず、日本の観光業と労働環境、移民問題を同時に俯瞰して検討するにはかなり役立つ記事であろう。まとめとして使えるが、見通しを立てやすくするために冒頭で紹介する手もありうる。まずはこの記事で日本全体の問題をある程度、掴んでおいて、さらに沖縄特有の問題に目を向けていくという展開はいかがか。

「日本に来ないで」 ネットにあふれる外国人観光客への罵倒! 観光立国なんて実

 はタテマエ? 「外国人嫌悪」という現代病から考える

 Merkmal 昼間たかし(ルポライター) の意見 2024.7.7

 観光公害や日本人の「ゼノフォビア」(外国人嫌悪)の問題にどう向き合うのか、対応が迫られているだろう。森岡氏の構想はこれらの問題をどう解消していくのか、という課題の克服無しでは前進できない。ただし元来が国際色豊かな沖縄のことである。おそらく沖縄の場合、「ゼノフォビア」の問題は内地ほど深刻ではあるまい。

過去10年で外国人が倍以上増えた自治体は280 10倍超も

   毎日新聞 によるストーリー 2023.10.24

 上の資料と併せて紹介したい。観光業の目覚しい発展で注目される北海道の現状はいずれ沖縄でも表面化してくるであろう。また欧米の富裕層が安心して晩年を過ごせる高級なリゾート地としての長期滞在型高齢者向け施設の建設も今後は積極的に取り組む必要があるかもしれない。移民問題は差別問題の箇所でも詳しく触れるが、観光業発展を図る上でも避けられないテーマである。

「島民の平均年収は1100万円」高額納税者たちが瀬戸内海の離島に続々と移

   住してくるワケ 日刊SPA! の意見 2023.10.24

   周防大島での取り組みは同じくハワイへの移民が多かった沖縄にとっても大いに参考となるだろう。

質は高いのに生産性が低すぎる日本のサービス業、コロナ明けの賃上げにつなげる

   には? 弁護士ドットコムニュース によるストーリー 2023.5.14

日本の「観光GDP」実は、欧米水準の半分程度 求められる「より稼げる産業」へ

   の変革 まいどなニュース の意見 2024.5.31

   日本の観光業の最大のウィークポイントは生産性の低さにある。どうしたら観光業の生産性を上げていけるのか、沖縄を例にしてその方策を考えさせたい。

 

 コロナ禍が始まる前までは沖縄を訪れる国内観光客数は修学旅行を含めてやや頭打ちの感があった。しかし近年は中国、台湾を中心に外国人観光客数が急増しており、全体的に見れば沖縄の観光業は順調に発展してきたと言って良いだろう。実際、ビーチには豪華な観光ホテルが乱立してきていたし、かつて修学旅行の生徒達にはあまり「美味しい」という評判を聞かなかった沖縄料理も今は見違えるほどの進化を遂げている。ハイセンスな喫茶や国際色豊かな飲食店はむしろどこよりも集客力が高く、沖縄観光の目玉とすら言えるだろう。

   ただ残念なのは沖縄を訪れるヨーロッパ人の少なさ。日本好きの多い彼らの平均的滞日期間はかなり長いのに沖縄があまり選ばれていないのはなぜだろう。これはぜひ考えさせたいテーマの一つ。ヨーロッパ人観光客の増大は今後の沖縄観光業の発展に向けて大きな課題となるであろう。

・沖縄への観光客数の推移

 1972年(沖縄、本土復帰)56万人

 ⇒2018年958万人で約17倍に急増

 特に外国人観光客はここ10年間で15倍に急増

Q.「どこの国から数多く来ている?トップ4を挙げてみよう。」

 ※2012年以降、中国人(香港を含む)観光客が激増し各地で「爆買い」。沖縄にも多数来訪。中国、

  台湾、韓国、米国の順

 中国など東アジアの多くの観光客は「沖縄」という特別感がなく、日本に行くのにたまたま一番近い場所だったという感覚で訪れる傾向がある。日本らしい商品(四宝など)や食べ物(タラバガニやメロン、神戸牛など)を求めてくるのに、そこにあるのが沖縄県産の商品ばかりでは、せっかくの購買機会を逃してしまうかもしれない。香港や中国から富裕層がきても、沖縄で欲しいものがなく帰ってしまうのは大変な機会損失となり、そのお金持ちの方は決してリピートはしてくれない。

.「かつて爆買いの定番商品であり、中国人観光客の間で「四宝」と呼ばれていたの

 は何?

 「炊飯器」「魔法瓶」「温水洗浄便座」「セラミック包丁」。その他、紙オムツや

 生理用品、医薬品、化粧品も人気だった。

 

 2019年の統計では観光客のリピーターの多い台湾が36%近くを占め、沖縄観光業界における台湾の重要性が改めて確認できる。また中国と香港を合わせると37%になり、台湾と肩を並べる存在になる。尖閣諸島の領有を巡って台湾や中国との対立が生じているものの、沖縄の経済にとっては両国との友好関係構築こそ死活問題である。ただでさえコロナ禍で大きな打撃を受けている沖縄観光業界にとって、中国が香港や台湾を政治的、軍事的に圧迫している今の状況は悩ましい限りであろう。

 

・観光業の沖縄経済に占める地位

 コロナ禍が始まる直前、沖縄の観光収入は年間約7000億円、それによる経済波及効果は約1兆1700億円。沖縄の県民総生産は約4兆3000億円だったので、今や沖縄経済の3割近くが観光業に依存していると考えられる。雇用に関しても県民の4人に1人の割合で観光関連に携わっている。

Q.「外国人観光客が多数訪れる都道府県トップ5は?」

 観光業の依存度は北海道のそれの2.4倍、雇用依存度は2.9倍にものぼる。インバウンド依存度(観光客に占める海外客の割合)も全国で5番目の高さ(京都、大阪、東京、北海道、沖縄・・・)である。

Q.「観光業の発展によって沖縄の貧困問題は改善してきたのか?」

観光公害」の側面も

 沖縄には鉄道がモノレール=「ゆいレール」(走行距離17㎞ほど)しかないので多くの観光客はバス、タクシー、レンタカーなどを用いる。もちろん沖縄県民も移動手段としてバスやタクシー、自動車に頼るので道路はいつも渋滞してしまう。道路の慢性的渋滞は人々の移動に支障が出るだけではなく、物資の輸送にも大きな障害となり、沖縄全体の経済発展の妨げにつながるかなりゆゆしき問題。⇒貧困問題の一因

Q.「なぜ沖縄本島には現在、長距離の鉄道がないのだろう?」

 ⇒基地問題(自衛隊基地と米軍基地)

※戦前は軽便鉄道が沖縄県営の路線として存在し、那覇と糸満、与那原、嘉手納を結ぶ三路線があり、

 総延長は47.8㎞ほどあったが、敗戦後、米軍によって完全に破壊された。

・沖縄の自衛隊基地:2018年段階で離島中心に50施設(1972年3施設)、面積で728

 haほど(1972年の4.4倍近く)。自衛隊員の数は7700人ほど。

・米軍基地:2018年段階で本島中心に33施設(1972年87施設)、面積18708ha余

 り(1972年28660ha余り)。軍人軍属家族数は2012年以降非公表で2012年の推

 計が47300人(1972年42229人)。面積3割減、人員微増。

LRTの導入に向けてパブリックコメント受付開始 (24/05/02 19:20)

 OTV沖縄テレビ 1:16

【鉄道復権?】沖縄の鉄道の歴史を振り返り、未来の鉄道建設構想を考察

 鐵坊主  2021/08/10 8:45

車社会の沖縄 求められる鉄軌道とは?(沖縄テレビ)2022/4/4

 2022/04/05 OTV沖縄テレビ 6:18

 那覇周辺の道は渋滞が慢性化し、その改善が早くから求められていた。しかし米軍基地の存在と市街地化の進展によって鉄道の敷設はこれまでも困難を極めてきた。しかしより一層の観光業発展を期する上でも鉄道敷設はマストの課題であり、一刻も早い敷設計画の実現が待たれる。

「台湾地震沖縄県への影響」津波警報発令で県民が高台に避難した~

 街歩きokinawa  2024/04/10 8:05

「沖縄移住に失敗する人」に決定的に足りない視点 沖縄に進出したが、なじめず帰っ

   てしまうことも 東洋経済オンライン 伊波 貢 の意見 2024.9.5

「10秒前に津波警報」沖縄へ着陸直後に…“機内騒然 車大渋滞高台に避難者多

   数【スーパーJチャンネル】ANNnewsCH  2024/04/03 7:39

 琉球大学の地震研究室によると沖縄は1771年に南西諸島南部の先島諸島で発生した明和の大津波(八重山地震津波)では大きな被害を受けている。石垣島南東岸から東岸では最大遡上高が30mに達し、多良間島から宮古島南部海岸にかけても遡上高は10m以上に達したという。津波による死者は全体で約12000人にも達し、宮古・八重山諸島に多大な被害を与えた津波災害が江戸時代にあったのである。

   1960年にはチリ沖の大地震による数メートルの高さの津波に沖縄の東側沿岸が襲われ、大きな被害が生じたこともある。

 これらのことを考えると、今回の台湾での地震に際して発令された津波警報に対する沖縄の人々の避難状況にはどうしても大きな懸念が残るだろう。特に車社会の沖縄らしい問題点として高台に自動車で非難する人々が殺到してしまい、ただでさえ狭い道路の多い沖縄の随所で大渋滞が見られた点は見逃せまい。米軍基地が多くを占める海岸部の、ごく限られた低地に密集する沖縄の住宅事情を考えると、この問題の解消は非常に難しい。

 まずは本島中南部の海岸部の多くを占める米軍基地の縮小と高台に向かう道路の拡幅工事が急がれよう。また同時に市街地や住宅地での津波避難タワーの設置も急がれる。さらに高台への避難だけではなく、屋上の開放を含む高層ビルへの避難誘導もある程度まで可能とする特別な措置が必要だろう。

 生徒には沖縄の津波対策に関してどのような問題点があるのか予想させ、今後の対策を中長期的な視点からも考えさせたい。

   なお、日本はそもそも自然災害の多い「災害大国」であり、それが外国からの観光客に敬遠されてしまう原因になりかねないことは考えておくべきだろう。また日本は世界でも有数の少子高齢化に直面している「老人大国」でもある。若者が少なく、老人が過去にしがみついて改革を怠り、活気の失われた、ただの不景気な国家、しかも恐ろしい「災害大国」となってしまえば、せっかく増えてきた観光客の足もいずれは急速に遠のいてしまうに違いない。

 しかし今後、早急に来るべき自然災害に備え、綿密な防災設備と迅速な対応を可能とする体制を充実させていけば、日本は「防災大国」と評価される国にもなりうるであろう。また高齢者人口の急増に日本がうまく対応していければ、日本は世界公認の「介護大国」にもなりうるはずだ。

 「防災大国」、なおかつ「介護大国」と世界から認められれば、老後であっても安心安全、かつ最上のおもてなしと豊かでユニークな伝統や四季折々の美しさを味わえる「リゾート大国」日本として、海外から今以上に長期滞在型の観光客が押し寄せるに違いない。

 そうした観点からも、沖縄の防災体制と医療介護体制の、一層の充実が急がれるはずである。

京都や沖縄でも… 大混雑の観光地で人手が足りない バスに乗れない 「オーバーツ

   ーリズム」が深刻化 [クロ現] | NHK 2023/05/21 8:04

暮らしと観光の両立は 問われるオーバーツーリズム対策(沖縄テレビ)

   2023/9/7 OTV沖縄テレビ 2023/09/08 6:47

もう許せない!「外国人達へ、リスペクトできないら日本へ来るな」と英語で言わ

   せてもらった!『日本語字幕付き』Can't Respect Japan? DON'T Come!

   スティーブ的視点 Steve's POV  2024/06/13  11:37

   日本好きで知られるスティーブ氏の指摘は沖縄を訪れる修学旅行生のナイチャーや外国を訪れる日本人にも突き刺さるだろう。修学旅行の事前学習にぜひ、視聴させたい動画の一つ。

【オーバーツーリズム】観光地はキャパ超え?日本人が住みにくい?観光税も?イ

   ンバウンドは成長戦略に?|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/08/17  17:25

 日本経済のなかで大きな地位を占めてきている観光業のジレンマを克服することが喫緊の課題。

ごみ問題、交通渋滞、投資による地価上昇…京都・北海道から学ぶオーバーツーリ

   ズムの教訓とは?【ウェークアップ】読売テレビニュース  2022/07/16  10:24

 様々なポイントからアプローチされていて問題を概観する上で役立つ動画。

冨山和彦さんが“直言”超・人手不足時代をどう乗り越える?[NHKスペシャル&日

   曜討論] | NHK  2023/11/03 8:31

 少子高齢化の中でとりわけ福祉や観光業、飲食業といったエセンシャルワーカー部門の人手不足が深刻化している日本。一体、どんな対応が求められているのか…機械化、DX化による生産性の向上、企業の淘汰による労働力の流動性を高めたうえでの集約化、公定価格制の見直しなど、参考となる。

参考記事

日本は住みにくい?「外国人が暮らしやすい国」ランキング・トップ&ワースト10 

     居住者が評価  NEWSsPhere 2022.9.22

     …日本は「生活の質」が比較的高く、世界17位となっている。だが、「定住のしやすさ」で下位に沈み、同カテゴリ内の「文化と歓迎」「住人の友好度」「友人の作りやすさ」のいずれの項目でも40位台ないしはそれ近くとなった。デジタル化の遅れも深刻で、ドイツに次ぐ世界ワースト2位となっている…との指摘は沖縄の観光業の発展を考える上で大いに参考となるだろう。

     このところ海外の旅行先として日本を選ぶ外国人が増え続けているが、日本の観光業の労働生産性は相変わらず低く、観光業従事者の多くはブラックな労働を今も強いられている。観光公害を防止しつつ、観光業の収入拡大を図るためには、海外の裕福な人たちの日本滞在期間をさらに延ばす工夫が必要不可欠となっている。おそらくこの記事で指摘された太字のポイントを改善していくことが、そのために役立つに違いない。

沖縄移住で「なじめる人」「なじめない人」決定的差 「出身はどこ?」という質問に込め

   られた意味 東洋経済オンライン 伊波 貢 の意見 2024.9.14

   観光地としての沖縄に憧れて移住までしても、残念ながら3年以内で沖縄を離れてしまう人が少なくない、という。沖縄独自の慣習、しきたり、生活への関心と理解が無ければウチナーの社会に溶け込むことは難しいだろう。ナイチャーが沖縄について不勉強なまま、リゾート気分のままでナイチャーの社会に無理やり割り込もうとするのはウチナーとの軋轢を生むだけかもしれない。しかしウチナーの側も自分たちとは異なる価値観や多様性を少しは受け入れる柔軟性が必要であろう。時間さえかければお互いに歩み寄れる機会はきっとあるに違いない。

ディズニーだけはない、「若者のテーマパーク離れ」が止まらない…観光業全体で

   起きている「量から質」の転換

   現代ビジネス 谷頭 和希(ライター・作家) の意見 2024.9.14

 「量から質」への転換は日本の観光業における労働生産性を挙げる上で避けて通れない関門の一つだろう。谷頭氏はこの変化を総じて否定的に見ているようだが、安さに惹かれて来日し徒に問題を引き起こすタイプの外国人観光客数を減らす努力は必要である。他方で真摯に時間をかけて伝統的な日本文化への理解を深め、自然の豊かさを満喫しようとする質の高い外国人観光客を増やす工夫もまた同時に、沖縄を含めた日本の観光業全体に必要不可欠であると思うが、いかがだろう。

いつかマツコと有吉に食べさせたい…テレビで「味付けしてない里芋」と酷評された

   ドラゴンフルーツ農家の叫び

   プレジデントオンライン 山口 亮子 によるストーリー 2023.10.24

 この観点は沖縄の観光と農業を考える上で極めて重要なのかもしれない。実際、ドラゴンフルーツを国際通り近くで購入して食べてみたが味が薄くてフルーツの名称から連想される味には程遠かった(下写真)。おそらく輸入物だったのだろう。

 記事を読んで実際に沖縄産の新鮮なドラゴンフルーツを食べてみたくなった。もしも美味であるならば本来がインスタ映えする色鮮やかなフルーツであり、お洒落なカフェでは今以上に欠かせない食材となっていくはず。使い方次第では沖縄観光の目玉に化ける可能性まで出てくるかもしれない。

 上間氏が指摘されたように、サトウキビと補助金に大きく依存する沖縄農業はあまり持続可能とは言えないのかもしれない。したがって丈夫で育てやすいドラゴンフルーツが沖縄南国フルーツの期待の星として成長し、その栽培が多くの農村に普及できれば農民の所得向上にもつながり、沖縄観光の更なる発展を支える特産品の一つにもなるだろう。

【客層に変化】群馬「草津温泉」 欧米からの観光客急増のワケ『気になる!』 

   日テレNEWS 2023/11/21  5:25

 欧米への情報発信が沖縄ではイマイチ足りていないのでは?

【時給2200円】好循環が遂に実現?インバウンドで経済成長?給料が上がったニセ

   コで何が?リゾートアルバイター|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/12/13  15:55

 沖縄観光が今後、目指すべき道がニセコを通じて見えてくるだろう。観光業の労働生産性の向上こそ、沖縄貧困問題の解決に直結するポイントだと思うがいかがか。

「日本の印象や日本に来た理由」を聞いてみた | 外国人観光客 in 沖縄 国際通り

 【海外の反応】

   Sushi Street Talks【外国人インタビュー】  2023/11/12  13:23

 この動画を通じて外国人から見た日本の魅力と観光面での改善点が少しずつでも見えてくるだろう。特に沖縄の長所と短所が両方、つかめる点で非常に便利な動画。沖縄学習の時間が少ない場合には沖縄観光の概略を要領よく説明しやすいため、特に役立つであろう。

   沖縄観光の最大の強みは日本の中で例外的に味わえるトロピカルな魅力。特に慶良間ブルーは世界的に有名であり、工夫次第ではダイビングスポットとしてもっと数多くの外国人観光客を呼べるはず。

   また米軍基地が多いことでもたらされている沖縄の人の英語に対する拒否反応の小ささ、沖縄での英語表記の多さは外国人観光客をさらに呼び込む上で内地と比べればかなり有利に働くであろう。

   沖縄に不足しているのはヨーロッパからはるばるやってくる観光客がダイビング以外の目的でも長期滞在できるような施設や娯楽、体験型アミューズメントの少なさなのではないか。世界遺産に認定されている組踊や各地のグスクの魅力をもっと海外にも積極的に発信し、英語を用いた外国人向けの観光案内だけではなく、三線やカチャーシー、空手、ヤチムンつくり、黒糖つくりなどの体験コーナーや中長期に及ぶ講座数を、その指導者数を含めてどんどん増やしていくべきであろう。

   ヨーロッパからわざわざ沖縄に来る観光客は比較的目的意識が高く、多少は裕福であり、本来ならば内地だけでなく沖縄でも長期滞在を望んでいるはず。もっと言えば彼らが老後になってからでも沖縄で過ごしたくなるほどの魅力を備えることが出来さえすれば沖縄観光の将来は極めて有望に違いない。

 確かにオーバーツーリズムを背景とした一部の外国人観光客のモラルが欠落した行為やキャパシティの不足による観光業のブラック化に日本全体が直面している。しかし沖縄の場合、どのような外国人観光客を招き寄せるのか、きちんとターゲットを絞るような戦略があれば十分、改善可能だろう。

   たとえば円安による物価高に便乗して全体の客単価を20%以上、一気につり上げてアジアからの団体観光客の増大を防ぐ。そもそもが日本の物価より2~3倍は高いヨーロッパからすれば2~3割程度の価格上昇で客数が激減することなど無いだろう。むしろマナーをわきまえた、金離れの良い上客の割合が増えるかもしれない。

 その一方で、これを機に一部のサービスを高額化させつつ欧米の裕福な階層向けに特化させて観光業全体の利益率を向上させ、低賃金、長時間労働におちいりがちな観光業の体質改善につなげるべきではあるまいか。これは沖縄の貧困問題の解消にも少しはつながるだろう。

 ハワイと同様、南国の楽園としての高級リゾート地、裕福な高齢者が外国人を含めて晩年を過ごす高級保養地としての定評を確立することこそが、今後、沖縄観光の目指すべき道だと思われる。いかがだろう。

参考記事

ハワイ追い抜く「沖縄」観光地モラル低下のヤバさ サンゴの踏みつけなど生態系への

 影響も問題に 東洋経済オンライン 田中 俊徳 の意見 2024.6.17

 沖縄での観光公害の側面にも注目したい。

「食の欧米化が日本人の生活習慣病を増やした」のは本当か? この謎を解く沖縄の

 「平均寿命」と「脂質摂取比率」の意外な関係 集英社オンライン 2024.4

 47都道府県の内、平均寿命がかつては男女ともトップレベルをキープしてきた沖縄が近年、徐々に順位を下げてきていることは知られていた。その背景には安価で「大盛り」を謳う沖縄の大衆食堂やこじゃれたカフェなどで提供される沖縄スイーツ、歩くことや自転車に乗ることが少ない車社会の問題…などがありそうだ。したがってこの記事にあるように、単純に食の欧米化が生活習慣病につながる、とするのは欧米、とりわけヨーロッパの人々に失礼であろう。「沖縄危機」のポイントはもっぱら炭水化物、糖分の取り過ぎと運動不足であると思うがいかがだろう。

入館者急増の広島平和記念資料館、8月には2時間待ち…ネット予約・電子チケッ

   ト3月導入 読売新聞 によるストーリー 2024.2.12

 外国人の入館者が4割にも達しており、入館者数急増の大きな要因となっているのはなぜだろう。沖縄の平和祈念公園、平和祈念資料館に今後、新たに必要とされる工夫があれば、それは何だろう。生徒の意見を募りたい。

日本は住みにくい?「外国人が暮らしやすい国」ランキング・トップ&ワースト10 居住者が評価 

 NEWSsPhere 2022.9.22

 …日本は「生活の質」が比較的高く、世界17位となっている。だが、「定住のしやすさ」で下位に沈み、同カテゴリ内の「文化と歓迎」「住人の友好度」「友人の作りやすさ」のいずれの項目でも40位台ないしはそれ近くとなった。デジタル化の遅れも深刻で、ドイツに次ぐ世界ワースト2位となっている…との指摘は大いに参考となるだろう。

 このところ海外の旅行先として日本を選ぶ外国人が増え続けているが、日本の観光業の労働生産性は相変わらず低く、観光業従事者の多くはブラックな労働を今も強いられている。観光業の収入拡大のためには、海外の裕福な人たちの日本滞在期間をさらに延ばす工夫が必要不可欠となっている。おそらくこの記事で指摘されたポイントを改善していくことが、そのためのヒントとして役立つに違いない。

上がドラゴンフルーツ、下がスターフルーツ

どちらとも味はイマイチだった

 

 

「外国人が外国人を呼ぶ離島」小値賀島の秘密 観光客9倍?世界に魅力を発信する

  秘策【Jの追跡】 ANNnewsCH  2023/09/30 13:07

 沖縄に限らず、外国からの観光客を増やす戦略として非常に興味深い取り組み。沖縄の離島における観光振興策として模範になるだろう。

その7.②学校の閉鎖性

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

校長が児童を突然怒鳴る、学校内の飲酒で発覚 市教委の報告漏れも

 朝日新聞社 2025.12.26

 勤務中に校長室で飲酒し、さらにPTA総会や、5月の運動会、職員会議でも居眠り。そしてあろうことか学校の校外学習に向かう児童らを突然怒鳴り、うち1人に精神的な被害まで与えていたという。まさにやりたい放題である。福島では校長が独裁者と同じような地位なのだ。

 加えて市教育委員会はこうした事態を把握しながらも、「非違行為との認定までできず、報告」の必要無し、と判断し、県教育委員会に報告さえしていなかったという。つまり校長ならば大抵のことは許されるべきだ、との考えが、実はこの校長だけではなく、市教育委員会全体に蔓延しているのだ。

 さらに県教委もここまで酷い失態を繰り返した市教委に対して「適切な情報共有を市教委に口頭で申し入れた」だけ。当該校長に対しても県教委は職務態度不良を理由にこの校長を停職12カ月の懲戒処分に処しただけというのだから呆れてものが言えない。

 校長ならば何をしても許される?…そんなはずがあるわけはない。むしろ管理職として一般職員よりも一層、重い責任を負う立場であろう。同記事では県教委が「高校の20代の男性非常勤講師を懲戒免職にし、発表した」らしい。当該教師は「10月に被害女性が18歳未満であると知りながら、わいせつな行為をした」という。

 責任重大な管理職に対しては「停職12か月」、20代の非常勤講師には懲戒免職…どうにもアンバランスで腑に落ちない。講師の懲戒免職に対しては事の詳細が不明なので断定的なことは言えないが、とりたてて違和感や疑問は湧いてこない。しかし児童生徒に有害な言動をとり、数々の信用失墜行為を繰り返してきた校長に対して「停職」で良いものだろうか。重い責任を負うべき管理職に対して軽い責任しか問おうとしない県教育委員会にも不信感が募る。こんなレベルの校長を登用してしまった任命責任は重大であるはずだが、一体、誰が任命責任を負うのだろう。福島の教育界では管理職同士の「庇い合い」の一線を超えた、ただの醜い「なれあい」そのものであろう。

 きっと学校教育村の内輪だけでヒソヒソと人事を決めてきたから、こんなみっともない事態を招いたのではあるまいか?

 

 私の大学での大先輩にあたる方が40年余り前、教育困難校での教師がどのようにして困難な状況を乗り越えようとするのかを博士論文のテーマにして取り組んだことがある。「サバイバル・ストラテジー(生き残り戦略)」というキーワードで民族学、文化人類学が用いる参与観察という手法を使って教師や生徒の生態観察を試みたものである。

 私自身は素晴らしい論文だ、さすがは博士論文・・・などと単純に感心していたのだが、当の学校現場では必ずしもそう受け取られず、倫理面での批判があったと聞いた。しかし実はこのような、まさに「潜入捜査」でも試みない限り、すっかり村社会化し、自閉してしまった今の学校の内部や実情を探るのはどんなに優れた学者であっても困難を極めるだろうと私は今も確信している。

 つまり教育行政や学校現場の持つ牢固な隠蔽体質が研究者の学術的研究やマスコミによる真相究明を長年、妨害し、頑なに阻んできたと考えられるのだ。従って学校教育の病状が極めて深刻でその症状は誰の目にも明らかになっていたとしても、肝心の症状を生み出すメカニズムや学校や教育委員会の奥底に潜む病巣を明らかにし、適切な診断を下すことは相当の専門家ですら今後も困難を極めるに違いない。

 それはあたかも医者がウソまみれの記述と空欄だらけの問診票、頭皮をそっとなでるだけの触診、それに体温と血圧の数値だけで脳腫瘍などの診断を行おうとするに等しいほど、無謀な行為だと思われる。

参考記事

そりゃ隠蔽するわ…「正直者がバカを見る」バッシング社会の病理

   ダイヤモンド・オンライン 秋山進 2025.3.12

   隠蔽に走りがちな組織に見られる特色として「リーダーシップの不足」、「証拠の不在」、「リソース不足」、「心理的バイアス」(現状維持バイアス、損失回避バイアス)が挙げられている。いずれも多くの学校に当てはまる特色だろう。2~3年でいなくなる校長や教頭に学校経営のリーダーシップなどあるわけがない。学校の組織的病理に通じている人材がほぼ皆無であり、多くの教師は学校経営自体に無関心。事を荒立てることなく無難にやり過ごせる能力が重宝がられる組織風土…学校自ら学校の根深い隠蔽体質を見直すことは極めて困難である。

「文科省と日教組が結託した治外法権」問題教員にも手出しできない市長の無力

 ダイヤモンド・オンライン 泉 房穂 によるストーリー 2024.10.27

   泉氏の主張には無条件に賛成できない部分もある。たとえば市長が学校教育へ不用意に介入することは公教育の「政治的中立性」を脅かす危険性を強めてしまうだろう。もちろん泉氏のような考えである限り、市長が介入することは学校現場としても大歓迎すべきであろうが、市長の方針によってはとんでもない事態を招いてしまうかもしれない。

   確かに「政治的中立性」を盾にして教育行政は外部からの介入を排除し、「治外法権」の領域を拡大しようとしてきたのかもしれず、その点に関しては泉氏の指摘通りなのだろうが、やはり斎藤元兵庫県知事のような人物がゴリ押しで公教育に介入してくるのはどうか、とも思うのだ。

   本来、こうした問題を解決すべく設置されたのが都道府県および市町村の教育委員会であったはず。戦後間もなく、アメリカの指導によって設置された教育委員は公選制の形を持って民主主義的に選出されていたのである。しかし教育委員会の役割に対する日本国民の理解が進まず、結局、公選制は瞬く間に撤廃されてしまった。長く公教育の運営を「お上」に依存し、ひたすら政治に対しても受け身のままであった国民を、主体的な主権者として育成していくにはそれなりの時間と種々の施策が必要であったに違いない。軍国主義が一掃されていない戦後間もなくの段階での教育委員公選制は確かに時期尚早と言えた。

   教育委員は結局、学校の管理職候補と元管理職で占められてしまい、結果的に学校と教育委員会との馴れ合い、癒着が進んでしまった。これが学校の不祥事、隠蔽事件が多発する土壌を生み出してきてしまったと考えるが、いかがだろう。

   相次ぐイジメ隠蔽などの学校、教育委員会による不祥事隠蔽は、教育委員会が本来果たすべき役割をこれまで十全には果たせてこられなかった側面が極めて大きいのではあるまいか。ならば、今、見直すべきは人事を含めた教育委員会という組織のあり方の方であろう。泉氏のような高い見識を持つ市長ばかりではない、という現状からすれば、市長による教育への介入強化はやはり好ましくはあるまい。検討すべきはむしろ教育委員公選制復活を視野に置いた、教育行政の民主主義化、自由主義化の方ではあるまいか。

 かなり遠回りに思えるようだが、教育委員会の抜本的組織改革が実現するには、まず児童生徒や保護者らが学校運営に積極的に関わっていく各種の工夫やシステムを構築して、国民の多くが望ましい学校運営とはどういうものなのか、ある程度の見識を持てるようにしていく努力が欠かせまい。そういった点でも児童生徒の主体性、当事者意識を育む授業改革は教育行政改革にもつながる地道な一歩であると考える。特に社会科授業で学校教育問題を積極的に取り上げて児童生徒に議論させる取り組みは今後、一層重要となってくるであろう。

『あさイチ』学校内での「盗撮」にスタジオ騒然…博多大吉「途中から気持ち悪く

 なってきた」ゲストも激怒 中日スポーツ 2024.7.3

 一見、授業では使えそうもない記事のように感じるかもしれない。しかし使い方次第では面白い教材に化けるだろう。なぜこんな事が学校で起きているのか、まず生徒たちに考えさせたい。

 みなかみ町下半身検診問題や学校での盗撮問題、イジメ事件とその隠蔽問題などに共通するのは、学校が、今や自己責任を問われる大人社会と隔絶された奇妙な聖域と化し、かつ外部の人からは妙に薄暗く、よく見ようとした途端にピシャっと閉ざされてしまうカーテンの奥、完全なブラックボックスと化した現状である。すなわち今や良からぬことを密かに行う場として最適な場所になってきているのが、現在の学校と言う空間なのだ、と私は考えている。

 「学校の中ならバレない、教師にバレたとしても大事には至らない」という心理的安心感も、学校での犯罪行為を後押しする大きな要因と考えられる。実際、余程のことでなければ警察官が校内に立ち入ることは無い。警察官が校内に立ち入ることを極端に嫌悪する管理職や教員は極めて多いし、事件を大事にしたくない多数の教師たちは結果的に「臭いものにはフタ」をしがちである。これらの要素は犯罪者やいたずら者にとって極めて好都合であり、実際、犯罪の横行する条件が現在の学校にはフルで揃っていると考えるべきだと思う。

 学校という場が現状としてあたかも無法地帯のような空間となってしまった背景には一体どんな要因が潜んでいるのだろうか。一つには教師の目が行き届かない「死角」が校内には少なからず存在しており、かつ教師数の不足や過重労働によって教師自身、生徒たちの動きを十分、追えていない点がまず考えられる。

 さらに少なからぬ教師たちが過重労働のもとで責任逃れをしたいがために事件の隠蔽や見て見ぬふりをする。そしてそうした教師たちの姿を児童生徒らは日常的に観察している。こうした点も、校内での教師や児童生徒たちによる事件を頻発させている大きな要因だろう。

小2男児が頭打ち嘔吐、担任ら保護者の要請断り45分間救急車呼ばず…頭蓋骨骨

 折など診断 読売新聞 によるストーリー 2024.6.6

 この件では主に二つの事が懸念されよう。一つは頭を打って嘔吐した、という、非常に危険な状態への教師の認識に甘さがあったのでは…という点。常識に見て一刻を争う事態であり、容体を静観している場合ではあるまい。

 にもかかわらず、担任や養護教諭がただちに救急車を呼ばなかった…となれば担任や養護教諭の頭部打撲に対する認識の甘さ、知識不足が強く疑われる。本来ならば知識と経験豊富な養護教諭が真っ青になって救急車を手配する場面だろうが、なぜ、そうしなかったのか、理解に苦しむ。

 もう一つは学年主任や管理職の判断を待つために無駄な時間を費やしてしまった可能性。「ほうれんそう」、すなわち管理職への報告、連絡、相談を欠かさない姿勢が学校現場では強く求められてきたが、それが行き過ぎると教師個人の判断力が鈍り、責任感も分散しがちとなる。管理主義の行き渡った小学校では災害時などでの教師個人による即断即決、緊急対応の力が十分に養われない可能性は大いにあるだろう。

 学校における緊急事態への対応の遅れはこれまでも頻発してきた。最も悲惨な例は東日本大震災時の大川小学校での悲劇だろう。これはまだボンヤリとした個人的憶測にすぎないのだが、日本における義務教育段階での行き過ぎた管理主義と集団主義は教師個人の決断力と当事者意識を大きく損なう側面があると思えて仕方ない。子どもたちのかけがえのない命を預かっている、という教師にとって本来、最優先されるべき自覚が日本の場合、どこか蔑ろにされている、という懸念が私にはあるのだ。行き過ぎた集団主義、管理主義の下では教師個々人の当事者意識と責任感の欠如を招き、いざという時の初動の遅れをもたらしているのではあるまいか。

県警本部長「隠蔽」を否定せず 鹿児島、前生活安全部長が指摘

   共同通信 によるストーリー 2024.6.6

 公益通報は社会人にとって本来、重い責務であるはず。上司や組織の違法な行為を知っているにもかかわらず公に通報しない…ケースによってはそのことで生じる社会的損失には計り知れないものがあるだろう。しかし学校や警察、お役所などでは残念ながら市民のために通報、公開すべき事案を隠蔽する事件が頻発しているように見えてしかたない。しかも勇気をもって通報した人が処罰されてしまう、職場にいられなくなってしまう、自殺に追い込まれてしまう惨いケースも少なくはないようだ。

 だが公的な立場にある人こそ、公益通報の責務は重くしなければなるまい。特に政治家の側近、秘書などはこれまでもっぱら政治家の悪事の手先、協力者とされてしまいがちだったような印象が強い。しかし政治家の秘書とは自分が仕えている政治家の悪事を知ったならば市民のために直ちに通報すべき立場に置かれているはず。でなければ市民社会を守るべき政治家の秘書としては完全に失格であろう。口の堅さが秘書の資質とされがちな日本の政治風土こそ、悪事の温床なのではあるまいか。

 こうした閉鎖的な職場風土は他の公務員社会でも同様であろう。警察や学校ですら公務上知りえた秘密を口外してはならない、とする原則が裏目に出て各種の隠蔽事件の続発をもたらしているのではあるまいか。

 今後は公務員の場合、守秘義務が適用されるケースを情報のリークによって一般市民に大きな被害が及ぶ場合に限定すべきだろう。守秘義務を悪用して公益通報の理念を形骸化しようとする今までの日本社会の陰湿な風潮にそろそろ反旗を翻す時ではあるまいか。

 ※参考動画

  #656 【塩ちゃんねる】鹿児島県警の隠蔽がついに~長くかかりましたが、ようやく始まったば

   かり~ 塩ちゃんねる 2024/06/06 4:41

  ◎鹿児島県警元幹部「闇を暴いてください」元キャリアも指摘する異例さ【サタデーステーショ

   ン】 ANNnewsCH  2024/06/08 10:31

  容疑者コメント「本部長でなければ誰でもよかった」名指しの幹部を変えた理由 鹿児島県警情

   報漏えい事件 (24/06/10 19:20) 鹿児島ニュースKTS  2024/06/10 2:41

  〇【留置場で遺体となって発見】警察官が取調室で暴行か「右足にアザ」が 法医学者が異例の告

   発 密室取り調べの実態 「取調室はブラックボックス」| 

   カンテレNEWS 2019年5月21日 9:12

   密室の怖さは学校にもある。 

 

 なぜカッパは学校の閉鎖性、責任逃れの隠蔽体質を強く問題視するのか…については以下を参照してください。そこで学校の根深い隠蔽体質を繰り返し、指弾しています。多くの学校教育に関わる問題の根っこにこの隠蔽体質が潜んでいるとカッパは睨んでいるのです。

 

 →§7.カッパの伝言板その5.1980年代以降の学校教育を巡る言説に関する私的覚

   え書き①

 →§3.学校教育編その1.画一的、管理主義的教育の弊害前編

 →§3.学校教育編その2.学校の隠蔽体質前編・中編・後編

 →§3.学校教育編その7.揺らぐデータの信頼性

㊺男女共学化と女子枠入試、性教育

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・男女別学問題と女子枠入試

いじめ行為5件認定 市教委の「法軽視」指摘 さいたま市再調査委が答申

 東京新聞 2025.12.23

 市教委を含めた学校現場が、いかに停滞し、どれほど腐敗しているのかがよく分かる記事。これは全国的な状況なのだろうがそれにしても、やはり埼玉…

どうなる? 埼玉の県立高校共学化 意見交換会で反対意見相次ぐ

    毎日新聞 2025.8.26

    なぜここまで県立高校の共学化に反対意見が埼玉県民から出てくるのか、理由がまったく分からない。高校では男女別の方が過ごしやすい、というのなら今後、大学や就職先においても男女別の居場所を設けるべきということなのか。男女共学化に反対する人は、これまで国や自治体が男女共同参画社会の実現を目指してきた流れを否定するつもりなのだろうか。

 黒人差別が今よりも激しかった時代ならば、白人と黒人とが学校や居住地域を分離していた方が様々な衝突や事件を避けられる可能性はそれなりにあっただろう。南アフリカのアパルトヘイト政策にもあの時代においては人種間の衝突を避けるという合理性が多少ともあったと思われる。

 男女分離教育に公立高校として自ら関与するという事は、地方自治体として学校における男女のアパルトヘイトを部分的にせよ認めるということに他ならない。仮に埼玉県では相変わらず社会全体で激しい男女差別が残存しており、男女間の激突を避けるためにも男女共学は時期尚早である、との認識が広くあるならば、反対意見にもそれなりの理はあるに違いない。しかしどう見ても埼玉県がそれほど男女間の仲が悪いローカルな伝統文化を根強く持っているとは思えまい。

 男女共同参画社会の推進を義務付けられている地方自治体の一つとして、埼玉県だけが高校における男女共学の流れに反旗を翻すわけはいくまい。

埼玉県立高の共学化方針 男女別学校の卒業生有志が「撤回と是正を」 意見書を県に

   提出 東京新聞 2025.2.26

 学校教育における男女隔離政策の悪影響が生徒たちの卒業後にまで及んでいるのだろうか。県教委の共学化方針に反対する勢力の動きは賛成派よりもかなり活発に見える。ならばなおさら、県は男女共学化を推進すべきだろう。

   おそらく多数の人は共学化に賛成か、どちらでも良い、という考えであろうが、意見書を県に提出するほどの強硬派は、実際には少数派と思われるが、いかがだろう。

25年前にさかのぼって調査指示、浦和高校の校歌指導に埼玉県教育長

   朝日新聞社 2025.2.14

   未だにこんな封建的な校歌指導が、あろうことか、県下随一の進学校で行われていたことに唖然とする。こうした旧態依然の、バンカラな男中心の校風が男子校の伝統校に生き残っているのは、ある意味で必然的ではあるまいか。男女共学化に対して執拗に抵抗してきた浦和高校の、真の体質が、人権や女性を軽視する前近代的な体質に依拠するものとして捉えられても仕方あるまい。この問題、かなり根深いものがありそうだ。

 授業ではなぜ浦和高校で、こんな前近代的風習が放置されてきたのか、その原因を生徒たちに探求させたら面白くなるだろう。

校歌指導問題 埼玉県教育長「大変重く受け止め」 保護者に謝罪も

    東京新聞 2025.5.22

 何と21世紀に入ってからこのような前近代的校歌指導が始まったというのだから驚きである。埼玉県の学校教育風土自体に非人権的側面が根深く残存していたと考えて良いのかもしれない。そうした前近代的要素はこの校歌指導が三校の男子校で行われていた事と何かしら関連してはいないのだろうか。少なくともこの点は多少とも疑ってかかった方が良いと思われるのだが…

公立の男子校・女子校は共学にすべきか? ジェンダー平等か伝統か、埼玉で巻き起

   こった議論の決着は― 47NEWS によるストーリー 2024.10.13

   これまでに出てきた議論がある程度、整理されていて議論のたたき台にするには資料としてかなり使い勝手が良い記事だろう。根強い反対論の存在を指摘するこの記事を読むと、どうやらこのテーマを扱う際には、ある程度、頑強な差別の残存を説明できるような本質論を意識していないと、たちまち議論百出し、収拾がつかなくなる危険性があることに注意が必要なように思えてくる。

 まず、なぜ日本の男女格差が世界最悪レベルのままなのかに関して、一体どこまでその原因追求の手を広げてきたのか、深く掘り下げてきたのか、によって意見はいくつかに分かれると考える。したがってこの議論で真っ先に必要なのは表面的なレベルで男女別学の是非についての賛否を問うといった議論ではなく、日本の男女格差の深刻さ、大きさについての私たちの認識の深さと広さへの関心の強さなのだろう。

「男女別学は否定しない」としながら共学化ゴリ押しの埼玉県教委が高校生との意

 見交換で放った"トンデモ主張" プレジデントオンライン 2024.9.20

 相変わらずピンボケ気味の意見が出されているが、多様性を尊重することとアパルトヘイト的側面を持ちかねない男女別学とを混同してはなるまい。もちろん現状においても別学に拘るならば私立高校に行けば良いだけである。別学の選択肢が完全に無くなるわけではなく、ちゃんと確保はされている。

 逆に男女共同参画社会を推進する立場にある県があからさまに管轄下にある公立高校での男女別学を認めるわけにはいくまい。男女別学を公立高校で認めている都道府県の数は現在、急速に少なくなってきており、埼玉県だけがそうした動きにいつまでも逆行することは立場上、もう許されないはずだ。

 埼玉県における男女別大学進学率で女性の進学率が男子よりも目立って低いのはなぜだろう。公立高校での男女別学が一つの原因となってはいないのだろうか。日本全体の男女格差がなかなか解消されない中で埼玉県だけが男女格差解消の取り組みをサボっているとの印象はやはり否めない。

 なお千葉県も少数ながら公立の女子高校が存在している。千葉県でも一刻も早く公立での完全共学化を実現すべきだろう。

賢い男子は「浦高」、女子は「一女」でなぜダメなのか…埼玉県でくすぶる「県立高校共

 学化」問題の迷走ぶり プレジデントオンライン 城山 ちょこ  2024.9.1

 一見するともっともらしい主張だが、なぜ埼玉県だけが突出して男女別学の公立高校が多いのか、歴史的経緯がきちんと説明されておらず、大きな疑問が残る論調である。もちろん男女共学の高校にも大きな問題があるが、それが男女別学を正当化する理由には決してならない。そもそも最大の問題は男女別学と男女共学との別を問わない、時代遅れとなった日本の学校教育全体の問題だからだ。その問題が日本社会全体を停滞させ、「人権後進国」と呼ばれる現状を創り出している最大の元凶の一つなのである。したがって男女共学化だけ実現しても、何一つ事態の改善は見られないだろう。とは言え、それは決して男女別学の残存を今後も許容する理由にはならない。

 男女平等度の低さもまた世界トップレベルの日本が、いまだに一部の県に限られるにせよ、公立高校で男女別学を維持している事の持つ意味は小さくあるまい。当然、学校教育全体の根本的見直しは急がれるが、同時に公立高校における男女共学化も急がれる、情けない状況に日本が置かれていることにいい加減、気付くべきであろう。

県立高校共学化、少子化が一つの理由 県教育局、別学校生徒に

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.8.28

 共学化が「少子化」を大きな理由とした県教委の回答にはがっかりさせられた。少子化は小さな理由にはなるだろうが、それ自体は本質的な問題ではあるまい。日本社会に深く根付いている男女間格差の原因として一体何が考えられるのか…現在の日本社会が抱える問題の多くが学校教育の遅れに淵源する、と考える立場からすると、やはりこの問題も高校での男女別学を公立で戦後も数多く残存させてしまったことに起因する側面が多少とも存在するのは否めないと私は見る。

 授業ではまず高校生と教育局側とのやりとりに関して意見を募りたい。この問題は戦後の新制高校における三原則の意義を踏まえた歴史的経緯、及び学校教育や日本社

会の各所に巣くい続ける男女間格差への知識が必要不可欠になる。欧米など、男女平等度の高い国での男女別学の有無を調べさせることも作業としては欠かせまい。

【佐藤優コラム】「埼玉県立高校の共学化問題」の不可解 政治化したこと自体が深

 刻な問題 東スポWEB によるストーリー 2024.8.8

 佐藤氏の論考はまさに官僚的な模範回答であり、手続き上の瑕疵を表面的に批判しているだけのように見受けられるのだが、いかがか。この件では本来、男女共学の理念に基づいて出発したはずである日本の戦後の新制高校がなぜ、特定の自治体においてはいまだに公立の女子高、男子校が存在してしまっているのか、が問われているはず。つまり同じ中等教育段階でも前期中等教育にあたる公立中学校では男女共学がほぼ全国的に実現できているのに、なぜ後期中等教育段階ではいまだ実現できていない地域があるのか、そして現状における高校での男女別学に果たして合理的理由があるのかが、本質的には問われているはずである。

 この問題は大学進学率の性差にも及んでいる可能性が高い。たとえば理系学部への進学率や東大、京大など、いわゆる難関大学への進学率は日本の場合、明らかな性差が見られる。この性差を生じさせている原因は一体どこにあるのか…埼玉県のような地域でこの性差が全国と比べて有為に大きいとすれば、男女別学による効果の影響が性差発生の原因の一つとしてそれなりに疑われるだろう。つまり国際的に見てトップクラスに男女間の不平等度が高い日本社会の現状を考えた時、高校での男女別学の問題はむしろもっと強く「政治化」すべきであり、大きな論争が生じて当然のテーマであるとすら言えるのではあるまいか。

    ちなみにお茶の水女子大の高校別合格者数のランキングで川越女子と浦和第一女子の2校が常に上位を占めている。日本女子大も似たり寄ったりである。彼女たちが受験先に女子大を選びがちなのはなぜなのか…少しはその理由を考えた方が良いだろう。

埼玉県立高校の共学化論争、中学生の56%が「どちらでもよい」…高校生は別学

   維持が過半数 読売新聞 によるストーリー 2024.7.12

   高校生の別学維持の理由では「両方を選べるのがよい」「共学化すると伝統の尊重や校風の維持ができなくなる」「学校生活を安心して過ごせる友人ができる」といった意見が多かったらしい。

 また別学高の共学化について…中学生の56・2%が「どちらでもよい」とした。「共学化した方がよい」18・7%、「しない方がよい」19・3%と、別学維持の声が僅差で多かった。共学化に賛成する理由(複数回答)としては「性別によって入学できない高校があるのは公平ではない」、別学維持の理由では「(共学、別学の)両方を選べるのがよい」が最も多かった…という。

 日本の性教育の遅れがこんなアンケート結果となって表面化しているのかもしれない。いずれにせよ、生徒たちや保護者がそれぞれ対立する意見をどうすり合わせてお互いに納得感のある方向性を見出すのか、が問われる。議論の場を設けないまま、意見の多寡によって結論を急ぐことだけは避けるべきだろう。

高校の共学化加速、男女別学はピーク時の3分の1に…埼玉県では卒業生ら反対で

   存続議論 読売新聞 によるストーリー 2024.6.29

   授業で利用可能な事例やデータが紹介されており、男女共学化を巡る流れが分かりやすい。討論型の授業をするなら、この記事を最初に紹介してしまうとあまりにも早く同じ結論に誘導してしまう惧れがあるので、様々な意見が生徒たちから出尽くした段階で紹介すべきだろう。

「別学か共学か」 公立高校の男女共学化問題でジェンダー教育はどうなる

 AERA dot. 小長光哲郎 によるストーリー 2024.6.15

 論拠の一部とされるべきデータをほとんど示さないこの手の不毛な議論がまだ続いているのかと思うと、個人的には絶望的な気分に陥る。授業では一見もっともらしいこの記事の論調に漂う奇妙な違和感にハッキリと気付けるような資料と併せて具体的なデータを提示すると、刺激的な議論が展開できるかもしれない。

 ポイントの一つとして見逃せないのは、たとえ男女別学校の授業で十分なジェンダー教育が行われていたとしても、物言わぬ場の力学、環境の差異、「女子高・男子校」というフレームワークが果たす影響力を決して甘く見てはいけない…という常識的なこと。所詮、現状の授業程度では場の与える無言の影響力を上回ることが極めて難しい…違うだろうか。

「埼玉の県立高共学化」論争再燃、卒業生や保護者が反対署名…県は108万人対

 象にアンケート実施 読売新聞 によるストーリー 2024.6.10

 論点の整理に利用できる。

娘を通わせるべきは「女子校」か「共学」か?1000人のアンケートで判明した「女

 子校育ち」のある特徴

 ダイヤモンド・オンライン 城山ちょこ によるストーリー 2024.6.27

 女子高の数が戦前と比べて激減したのはアメリカの占領政策の影響が大きい。したがって女子高激減が男女共学化を推進する理由とはなるまい。女子高を巡る論点を列挙する上では役立つ記事。

共学校にも実社会にも潜む「男子校の亡霊」とは 男子校を潰しても男女平等にはなら

 ないワケ 東洋経済オンライン おおたとしまさ の意見 2024.6.7

 男子校を潰しても男女平等にはならない、というのは当たり前のことであろう。したがって男子校の存在を目の敵にしても男女平等には近づくまい。ただ、埼玉県のケースでは男子校の存在が男性優位の現状を創り出す要因の一つとなっている可能性を否定できないかもしれない。

男子校は女子差別? 共学化論争に欠けた「機会の平等」議論と「東大至上主義」へ

 の疑問 おおたとしまささん

 弁護士ドットコムニュース によるストーリー 2024.6.30

東大至上主義的教育競争が和らいで『どこの学校もいい学校だよね』となれば、多分男子校の人気も下がるんです。そうすればいずれ自然に男子進学校はなくなるでしょう。本当に変えていかなければいけない点は、東大至上主義的な教育観です。いま県民の支持を得ている学校をむりやり潰して遺恨を残すことは、優れた民主的判断とはいえないと思います。」というのがポイントとなる論拠だろう。

 「東大至上主義的教育競争が和らいで『どこの学校もいい学校だよね』となれば、多分男子校の人気もさがるんです。」などという趣旨の指摘は何十年も前から繰り返されてきた陳腐なものだが、日本の進学競争は残念ながら学力上位層においては相変わらず激しい。中高一貫校の人気を見れば一目瞭然だろう。したがって当分の間は「自然に男子進学校はなくなる」とは思えないし、「東大至上主義的な教育観」が日本からすぐになくなるとも思えない。

 これをなくすには学歴や学校歴、学習歴などと対等に技能をも重視するヨーロッパ風の職業観が日本でもしっかりと根付いてこなければならないだろう。労働者の採用条件では学歴と並んで技能重視の側面がこれまで以上に強まってこなければならないだろうし、中等教育における職業教育だって今以上に社会的に重視されていく必要がある。以上の変化が社会全体で進まない限り、「東大至上主義的な教育観」が変わる可能性などほとんどあるまい。

 当然、この変化には時間と労力が相当かかる。つまり今、何を変えるべきかだけではなく、今、何を変えられるのか、問う必要がある。当面の行程を念頭に置かない議論は現実味を欠くがゆえに不毛に見えるのだ。

 確かにフィンランドなどは日本と比べて名門高校や名門大学などはほぼ存在せず、世界的に見てもフィンランドのどの高校、どの大学もレベルが高いし、それぞれの教師は小学校も含めてほぼ全員が優秀と言える。日本と違ってフィンランドでは教師が最も尊敬される、憧れの存在になっているのだ。教師の力量の高さも手伝って、フィンランドでは学校間格差がほとんど存在しない。

 他方で職業教育も充実し、高校段階での職業実習では生徒に賃金まで支払われている。もちろん、フィンランドでは学費、通学費、文房具代まで原則、無料であり、進学を目指しても就職をめざしても、それだけでは将来的な収入の格差拡大につながらない。当然の事、学力低位層や職業高校を下に見るような偏見、差別はフィンランド社会にはほとんど無い。

 だとすれば、日本は本当にフィンランドのようになれるのだろうか、あるいは本当にフィンランドのようになりたいと願っているのだろうか…自問自答してみれば良かろう。20年ほど前に日本のPISAにおける順位が急落した際、教育関係者や文科省の役人たちが大勢、フィンランド(当時はトップクラスの成績を続けていた)に視察に行っているはずだ。20年経って何か、日本の教育界は変われたのだろうか。

 今、日本の官僚たちはPISAの順位を少しばかり上げただけで得意になっているだけだろう。つまり政府は本音では決して「東大至上主義的競争」を悪い事とは捉えていない。そもそもこの国には福祉国家フィンランドをお手本とするような、未来の設計図は一切存在しないのだ。

 「東大至上主義的教育競争が和らいで『どこの学校もいい学校だよね』となれば、多分男子校の人気も下がるんです。そうすればいずれ自然に男子進学校はなくなるでしょう」という、根拠の無い、無責任で非現実的楽観論に依拠して男女別学の存続を説く…何と甚だしくトンチンカンで滑稽な意見であろう。

 加えて…共学だろうが男女別学だろうが、性差別解消に必要なのは学校において異性に対する知識や理解を深める努力がなされているか、否か、である…?これってどういうこと?性差別に関してどんなに優れた教育が行われていようと、性差別が存続している限り、その教育は無意味ではないか。第一、男女別学を公教育として許容することと学校での授業の質とはまったく別次元の問題であろう。論点を少しずつずらしていきながら、持論を展開するこの手の論評に流されてはなるまい。

 仮に白人社会で黒人差別に対するそれなりの教育が行われていたとしても相変わらず アパルトヘイトが続いているのならば、黒人差別が十分に改善されたとは言い難い。アパルトヘイト自体が差別の主要な要素だからである。私たちは男女別学によってもたらされる無意識的な影響力を決して甘く見てはなるまい。

 東大の学生に占める女子学生の割合が2割程度に過ぎないのは中高一貫を問わず、男子校出身者が東大合格に占める割合の多さにも、その要因を求められるのではあるまいか。仮にその可能性を排除できないのならば、せめて公立校での男女別学程度は辞めるべきだと考えるが、いかがか。

埼玉県立高校共学化問題の動き活発に ネット上では反対署名

   産経新聞 2024.1.23

埼玉県立高校共学化問題大詰め 別学は差別的か、意見聴取ではほぼ「反対」

   産経新聞 2024.3.21

共学化勧告受け、埼玉県立浦和高生が意見表明 「別学通いたい 多様性無視」 約 

   85%の生徒が反対 東京新聞 2024.3.22

男女別学県立高の共学化を 市民団体が改めて早期実現訴え

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.11

※参考動画

 【AI×教育最前線】教育分野の最新AI活用事例5選 / 「教育のAI活用は学力低下に繋がるのか?」

         問題【生成AI】安野貴博の自由研究チャンネル 2025/04/02 14:07

 この話題、議論のテーマにうってつけ。ぜひ、授業に取り上げていただきたい。

   私としては男女別学が「アパルトヘイト」と同種の効果をもって性差別を助長するおそれをはらむと思い、あまり好ましくないものと考えるが、いかがだろう。特にこれを公立学校で認めていること自体、間違っていないのだろうか。

 一見すると共学化反対の意見に合理性があるように思えるが、戦後教育の流れを考えた場合、共学化反対意見にはかなりモヤモヤする側面がある。GHQが打ち出した戦後の高校教育三原則(男女共学・小学区制・総合制)の中で日本が辛うじて実現できたのは男女共学のみ、とこれまでよく言われてきた。しかし実際には北関東などでGHQ内の組織の違いによって男女共学原則すら、まともに実現できなかったという過去があるのだ。このため茨城などでは上辺だけ男女共学の体裁をとっておきながら、学校内部では男女別の学級を編成する、といった男女共学方針への姑息な抵抗が長く続いていた。これは明らかに「男女七歳にして席を同じうすべからず」といった封建的で性差別的な考えが北関東では頑強に残り続けたからである。

 もちろん、私立高校ならば多様性を重んじ、学校独自の教育方針を打ち出す中で男子高、女子高の存在があっても問題は無い。しかし公立高校、しかも男女共学に頑強な抵抗を続けてきた北関東地区、という歴史的条件を考えると共学化反対意見には素直に従えなくなってくるだろう。そもそも、日本の男女平等度は極めて低く、先進国では最低の位置にあり、諸外国からも強く批判されている現状がある。

 たしかに公立高校であっても一部は男女別学を認めるケースが他の県では広く見られるので、男子校5校、女子校7校程度ならば数的に問題無いと思える。しかし男子校では浦和、春日部、川越、女子高では浦和第一女子高、川越女子といった県内トップレベルの進学校、伝統校が公立別学校12校中5校も含まれる点には強い疑念が生じるだろう。私立でも進学校で有名な明の星女子が存在することを考えると、どうやらこの状態はもはや確信犯的であるとさえ言えるのではあるまいか。

 実は東京都では男女とも四年制大学の進学率が7割を超えているというのに、東京の大学に自宅から通え、首都圏に所在する中高一貫校にも通学範囲内である埼玉県での女性の大学進学率がなぜか半数にも満たない、という驚きの統計(→文科省の学校基本調査参照)もあるのだ。

 2022年度の実績では全国平均が男54%、女49%に対して進学率トップの東京都はそれぞれ72%と73%であり、何と東京では女の進学率が男を上回っている。対して埼玉ではそれぞれ59%、48%であり、男は全国平均を5%も上回っているが、女は全国平均を1%下回ってしまっている。いわゆる「埼玉都民」が大勢、居住しているはずの埼玉において、この数字が意味することは極めて重大ではなかろうか。特に進学率の男女間格差は全国平均が5%ほどなのに対して埼玉では何と倍以上の11%も開いてしまっているのだ。

 これは首都圏においても突出した数字であり、北関東ですら、栃木県(男女比52:46)、群馬県(49:43)、茨城県(55:49)に比べても男女間格差が大きいという恐ろしい状況、もはや異常レベルの値なのだ。しかも埼玉同様に東京への依存度が高く大勢の「千葉都民」を抱えている、アノ、学校不祥事多発の千葉県における男58%と女49%の格差9%よりも埼玉は2%ほど上回ってしまっている。つまり昨年度の埼玉県での四年制大学進学率には男女格差の解消が叫ばれている現代において、全国レベルでも後ろ指をさされかねないほどの露骨な性差が浮上してしまっているのだ。

 まず授業では一般論として公立における男女別学のメリット、デメリットを挙げさせたい。次に埼玉県の問題としてはどうなのか、進学率のデータの背景にある埼玉県の問題点をじっくりと考えさせると有益で面白い議論が展開できるだろう。

県内エリート男子高で“性教育”の名の下セクハラにあった図書館司書46歳女性、教

   職員カーストで圧された声とは 女子SPA! の意見 2024.2.13

 学校での性差別問題の諸側面を垣間見ることの出来る、貴重な事例が紹介されている。エリート男子校、女子高の存在を学校の多様性、個性として擁護する意見があるが、事はそんなに単純ではない…等々、多くのことを考えるきっかけを与えてくれるだろう。

中学卒業式で不登校など6人、椅子への案内なく「平均台」に座る…さいたま市教

    委が校長を厳重注意 読売新聞 2025.4.17

 これだけのことをしておいて校長への厳重注意と保護者への謝罪で済まそうとするのは常識はずれにも程があるだろう。当該校長やさいたま市教委の良識が根本から疑われる対応であり、ネット上で炎上するのも無理はない。

 中学校側に、欠席を続ける生徒を隔離し、辱め、罰する意図があったことは終始、椅子ではなく平均台に座らせたことで既に明白。「本来ならば君たちには卒業式に参加する資格が無い…」という暗黙のメッセージは6人にしっかりと伝わったはずである。6人の心の傷が今後、どの程度の深さに達していくのかは、市教委と校長の対応次第であったが…残念というほかあるまい。

    なぜ、彼らが長欠を続けたのか、その原因を生徒本人と家庭側の問題にしか求めようとしない、的外れで頑なな姿勢がおそらくこの学校全体、さらにはさいたま市教委に行き渡っていたのだろう。6人が体育館の2階で終始、平均台に座らせられていたことを教員の誰一人として気付いていなかった…という言い訳を信じるお人好しは今時、皆無であるはずだ。衆人環視の下での組織的「犯罪」とみて良い。多くの教員はせいぜい「見て見ぬふり」をしていたのだろう。

    そもそも長欠の生徒たちをどのような形で式に参加させるかは事前に3学年会議や全体の職員会議で毎年、しっかりと検討されるべき議題であるべきだ。当然、イジメ等の関係で式に加われない不登校の生徒は少なくあるまい。ならば式当日も欠席したい生徒だって少なくないはずだ。式の参加を巡っては長欠生徒からの多様な意見が考えられるのだから、各生徒一人一人にどのような形の参加が良いのか、学年会議の前にクラス担任があらかじめ尋ねておくことは今やマストであるといって良い。でなければ卒業式における長欠生徒への対応をめぐる各種の会議はそもそも開けるわけがない。

    にもかかわらずこうした事件が発生してしまった…ということはこの中学校の職員のほとんどが長欠生徒のことを全くと言ってよいほどに視野に入れてこなかった…どの会議においても長欠生徒への個別対応はほとんど話題にもならず、誰もが真剣に考えていなかった、ということではないのか。

    これは一校長の資質の問題に限られるものではあるまい。この中学校全体、はてはさいたま市の学校教育風土全体の、組織的で幅広く、かつ根深い人権意識の低さをうかがわせる問題であるように思われるのだが、いかがか。

    いまだに男女別学という異性の隔離政策を頑なに続けている保守王国埼玉県のことである。こうした式における長欠生徒の隔離措置と見せしめ、辱めなど、学校現場では断固として意に介さない…ということなのかもしれない。

 

・2024年度学校基本調査(文科省)より男女格差を考える

    国立を除く公立で女子高が存在する都道府県は現状で12道県。ただし内5校は男女共学を謳っているにもかかわらず、在校生が女子ばかりとなっている高校である。入学段階で女子のみを対象としているのは9道県、24校に過ぎない。

 その内、埼玉6校,群馬5校,栃木4校と複数の公立女子高を有する都道府県は北関東に過半数が集中している。なお北関東以外では鹿児島3校、千葉2校と続く。また東北の山形と北関東の茨城では共学であるにもかかわらず、男の在校生が不在であり、それぞれ2校は事実上、女子高と化している。

    北海道、宮城、島根、福岡では各々1校ずつ女子高が残存しており、岩手も山形や茨城と同様に表向き共学ではありつつ女子のみ在校する、事実上の女子高が1校ある。こうして現状の公立女子高のデータを概観してみると、北海道、東北、関東、山陰、九州地方に女子高の残存が確認でき、特に関東は合計19校と、女子高の残存数が突出していることが分かる。

    以上のデータと2024年度の進学実績のデータを重ね合わせて公立高校における男女別学の問題点を検証してみたい。全国の大学進学率(短大を除く)は男女合わせて59.1%。性別の内訳で男は61.9%、女は56.2%である。いまだ男の方が2.6%ほど進学率は高いが、実は女の進学率が男より低い都道府県はわずか7道県に過ぎない。既に都道府県単位で見れば圧倒的に数多くの地域で女性の進学熱が男性を上回っているのだ。

    新潟は男女同率の大学進学率なので新潟以外をカウントしてみると、何と39都府県もの地域で女の進学率が男を上回っている。都道府県単位で見ると女の方が男を圧倒しているように感じるのだが、全国では逆に男の進学率が2.6%も高くなっているのは実に不思議なことに思えてくる。多少とも統計処理のミスが考えられなくはないが、今回、その可能性は不問に付しておくことにしよう。

    女の進学率が男を下回っている7道県を男女間の進学率格差が大きい順に挙げると以下のようになる。

    山梨(3.1%)、北海道(2.9%)、静岡(2.6%)、滋賀(1.9%)、神奈川(0.8%)、千葉(0.7%)、埼玉(0.4%)。

    太字は公立の女子高が残存している地域。やはり公立女子高の存在はその地域の教育界における男尊女卑の因習の残存をにおわせており、女の大学進学率を男よりも少しばかり低くさせる効果があるようだ。ただしその効果はさほど大きくはないようにも見受けられる。詳しく知るためには本来なら公立女子高の残存する地域の女子大への進学率をも調べる必要があるが、こちらもやや手間がかかるので深追いは諦める。

 以上、参考までに2024年度の文科省データから、かなり不十分ではあるが推測できる点を少しばかり考察してみた。

女性の「理系」進学率が圧倒的に低い日本。卒業生が母校に帰る「2時間」が女子生

   徒の可能性を広げる、その理由   ハフポスト日本版  2025.3.8

 埼玉県の公立高校における男女別学の残存問題と絡めて授業でこの問題を取り上げられればきっと生徒の食いつきがさらに良くなるだろう。企業の経営者、裁判官や国会議員に占める女性の割合の低さなど、日本における性別役割分業的な格差は現在でも多方面にわたって表面化している。その背景には埼玉県の様に性差の問題が学校教育においても解決不十分なまま残存しており、根深い差別的風土が学校社会にも広く横たわっているに違いあるまい。

<くらしの中から考える>女子枠 東京新聞 2023.5.3

 他国と比べて日本の理工系大学への進学者に女性の割合が極めて少ない、その理由をアンケートなどで問いたい。また女性進学者を増やすための「女子枠」について賛否を問いたい。いずれも討論の題材にうってつけのテーマだろう。

東大にはなぜ女性が少ないのか。入学式で総長が問いかけた「構造的差別」とは

 【式辞全文】 ハフポスト日本版 の意見 2024.4.16

 …特定の属性を持つひとが、等しい機会を得られずに排除され、あるいは人一倍の努力をせざるをえない状況を「構造的差別」といいます。この構造的差別から脱却すべく、経団連は、2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする目標を掲げました。東京大学も、2020年に30% Club Japanのメンバーとなり、UTokyo Compassにおいても、学生における女性比率を30%とすることや、新たに採用する研究者の女性の割合を30%以上とし、教員における女性比率を向上させるという目標を明記しています。

 なぜ30%という数値目標なのかということですが、ハーバードビジネススクールのロザベス・モス・カンター教授は、ビジネスの場に関する研究において、女性が15%に満たない組織では、女性一人ひとりの能力や技能が、女性という集団的な属性に関係づけられる傾向があること、そして女性の比率が30%を超えるとそうした傾向が変わりうることを指摘しました。すなわち、女性個人としての能力や技能に応じた貢献が可能になり、意思決定プロセスに影響をあたえ、組織のさまざまな変革を推進できるようになるということです。

 であればこそ、その状況ゆえに活躍できない少数派の女性の割合を30%にまで上げることが、公正な社会実現に向けた最初の目標となるでしょう。…

 以上、藤井輝夫東京大学総長の入学式での式辞の一部を抜粋してみた。理系の大学や学部の入学試験において女性の合格枠を予め定めておく動きが近年、目立ってきている。そうした動きに対して「逆差別」との批判もあるが、それへの反論としてこうした考え方があることは知っておくべきだろう。

運動会の“ジェンダーレス徒競走”が物議 1位はほとんど男子「ジェンダーレスの

 履き違え」ENCOUNT の意見 2023.5.22

 どこの小学校のことなのだろうか?ジェンダーレスを「性差が無いこと」ときわめて単純に捉えてしまう、この浅はかさに仰天してしまう。しかし討論の題材としては刺激的で議論噴出、活気のある討論が期待できよう。

中学体育の「男女共習」から3年目 7割の学校が「全種目で実施」

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.1.15

 身近なテーマなので性差別問題の導入部で使えそうな記事。高校体育での「男女共修」はどうなのか、ぜひ考えさせたい。

京都大学が入試で「女子枠」新設へ 理学部と工学部で26年度から

   朝日新聞デジタル 2024.3.21

 わざわざ女子枠を設けて女性を優遇する受験制度は果たして性差別と言えるのか、議論させると面白いだろう。もちろん高校段階までで性による進学格差がほぼ解消されている状況であるならばこれは女子優遇、男子冷遇の性差別であることは間違いない。しかし高校までの学校教育において性による格差が色濃く残存している…つまり女子生徒が学習や進路選択に際して不利な状況が続いているのならば、多少はやむを得ない、合理的措置とも判断できるだろう。したがって最も問われるべきは初等中等教育段階での性による格差問題解消の進み具合の確認なのではあるまいか。

 これについてはとりわけ高等教育の前段階である中等教育での性による格差残存の実態把握が必要不可欠だろう。しかし信頼できるようなきちんとした学校教育の実態把握は学校のブラック化、ブラックボックス化などによってどうせ困難を極めるに違いない。そうなれば勢い、「多様性の尊重」という美名に隠れて特定の偏ったプロパガンダに煽られた性差別を助長する政治的風潮に世論は根こそぎ押し流されてしまうかもしれない。実際、埼玉県の公立高校における男女共学化に反対する意見が某高校で大勢を占めてしまっているように…

社長になる人物はどこの出身者が多い?…社長輩出率で「42年連続1位」を獲得し

   ている「意外な地域」とは【帝国データバンク情報統括部が解説】

   THE GOLD ONLINE によるストーリー 2024.11.10

 都道府県別の社長輩出率や女性社長が占める割合のデータは非常に興味深い。生徒たちに社長輩出率上位3位までを当てさせてみると面白いだろう。また社長の中に女性の占める割合がいまだに1割にも満たない、という現状にもぜひ気づかせたい。これまでの政権が繰り返し女性活躍社会の創設を謳いながらも、さほどの成果を挙げてこられなかった理由について生徒たちにじっくりと考えさせたい。

 日本の女性差別が日本社会の随所にいかに根深く、広く根を張っているのか、日本の学校教育や民法、天皇制などに色濃く残存している男尊女卑のあり方を確認する中で時間をかけて理解していく必要があるだろう。

 

奨学金受給が与える、高等教育卒業後「結婚人生の落差」 女性だけが負の影響が大

   きいナゾ...慶応大学が驚きの研究   J-CASTニュース の意見  2024.3.11

   女性の貧困問題、少子化進展の背景に何があるのか、考えさせられるポイントに奨学金問題が挙げられるだろう。社会科学的なものの見方の一例として取り上げても役立つに違いない。特に上の記事(埼玉での公立高校における男女別学の残存)と併せて授業のネタにすると、学校教育と性差別の問題との複雑な絡みが見えてくるはず。

 

・日本の性教育の遅れ

参考記事

中学体育の「男女共習」から3年目 7割の学校が「全種目で実施」

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.1.15

 身近なテーマなので性差別問題の導入部で使えそうな記事。高校体育での「男女共修」はどうなのか、ぜひ考えさせたい。

性別に基づく「アンコンシャス・バイアス」解消へ、教育現場で取り組み広がる

 読売新聞 によるストーリー 2024.6.6

「生理」の教員研修、男性に知ってほしいのに5% 産経新聞 2022.9.8

 なぜ日本の性教育が遅れているのか、その理由の一端が見えてくるだろう。

「教育が児童を同性愛へ誘導しかねない」 自民党区議、台東区議会で発言 当事者

 「差別や偏見に基づく非科学的な発言」東京新聞 2023.9.24

 性教育を否定的に評価する保守政治家の典型的な意見と思われ、議論のたたき台には有効だろう。

参考動画

【性教育ドラマ】ユースクリニックへようこそ - ここは、あなたのための病院です

  - 第一話「取り戻せるの?私の人生」

 【性教育YouTuber】シオリーヌ  2021/09/29 11:28

 実際には授業で視聴させていいのか、非常に判断に迷う内容。ただし教師必見の動画。この動画を授業で視聴しにくい現状こそが日本の学校における性教育の遅れを表しているだろう。しかし、高校生たちにとっては深刻な問題に発展しかねないことであり、できることなら視聴させたい。ドラマ仕立てなので理解しやすく、生徒たちの集中力はかなり高まることが期待できるだけに、見せないのはもったいないのだが…

【性教育】なぜ家庭や学校で教えない?小中学生が使う言葉で性を考える「性=秘

 めごと」は正しい?ひろゆき&紗倉まなと考える性教育|

 2021/11/29 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】 14:41

【特集】セックスのこと話せますか?気になるイマドキの性教育 京都の中学数学

 教師が挑む新しい教育とは【報道ランナー】

 関西テレビNEWS  2023/02/15  12:22

 「臭い物に蓋をする」学習指導要領の大きな問題点が性教育における歯止め規定にあからさまに露呈してきている。SNS、ネットの普及によってとっくの昔に「臭いものに蓋」が出来なくなっている現状は無視できないだろう。勇気ある取り組み。

【17.3 about a sex1話フル】「私きめた。セックスのコト勉強する」女子高生の

 リアルな葛藤を描く話題作!彼を想う優しい気持ちが悲劇に?皆みたいにオトナに

 なれるはずだった。でもアベマ配信中

 2021/03/05 ABEMA ドラマ【公式】 30:15

 日本の性教育の遅れを正面からあぶり出したドラマ。やや長いが、もし視聴させれば生徒達の集中力をかなり高められるはず。本来ならばこの分野の導入としてイチオシの動画。視聴後、アンケートをとって男女別に集計してみたい。討論のテーマにもってこいの内容。しかし、実際、授業で使えるかどうかは微妙…

【性体験が早いことのリスク】童貞の卒業は遅い方が良い!?

 2021/05/22 夏山x瀧本の性知識アカデミー 13:56

 瀧本氏の観点は非常に重要だろう。高校生必見の動画。童貞や処女に対するイメージ調査をクラスで行っておくと授業で展開しやすくなるのでは。ただしこれも本当に授業で使えるかどうかは微妙な内容。自己責任でどうぞ。

【いくらか知ってる?】避妊にまつわる金額 何にどのくらいかかる?

 2022/07/20 夏山x瀧本の性知識アカデミー 2:23

 避妊、堕胎、出産に関わる費用の概算は知っておくにこしたことはない。こちらは授業でも視聴可能だろう。

【セックスとは?】性行為に罪悪感を抱かなくなるには?【性嫌悪】

 2021/12/11 夏山x瀧本の性知識アカデミー 7:40

 これほど性行為の意味を正面からズバリ、指摘できている動画は珍しい。こちらもできるなら授業で是非、視聴させたい。もちろん倫理や道徳でも使用できる内容。ただし自己責任でどうぞ。

【性知識を普及する人】改めまして!瀧本いち華です

 2022/07/01 夏山x瀧本の性知識アカデミー 17:15

 この分野を扱う際には教師として予め視聴しておきたい動画の一つ。

【大人の性教育】子供の作り方_妊娠編

 2022/07/08 夏山x瀧本の性知識アカデミー 22:41

 子供の作り方シリーズは教師必見の動画。日本が男女平等度の低い国である原因が学校での性教育の遅れにも由来する事がよく分かる貴重な動画。日本では長らく大人や青少年の性知識の不足や偏り、AVの悪影響が様々な悲劇を引き起してきた事に疑いはない。このテーマは保健体育や家庭科の授業だけではなく、社会科でも積極的に取り上げていくべきだろう。でなければこの分野における日本の圧倒的後進性は改善できないだろうし、性にまつわる悲劇を減らしていくことも不可能。

 特に性交編は本来ならば是非、社会科の授業で視聴させたいイチオシの動画。もちろん、自己責任の覚悟は必要。

【国際女性デー】成田悠輔「権力者が恥ずかしくなるような"見える化"を」企業の

 改革がカギに?日本の"男女格差"縮める方法とは|#アベヒル《アベマで放送中》 

 2022/03/10 ABEMAニュース【公式】 4:54

好意と性愛、男女の友情は成立するか?

   精神科医がこころの病気を解説する 2023/06/10 18:17

 視聴時間がやや長いが、参考となる点は多く、「男女の友情は成立するか」は議論のテーマとしても非常に面白いのではないか。保守的、慎重派の論理がよく分かる。

精神科医目線でメンタルによい職場とは?

 精神科医がこころの病気を解説する 2024.1.26 19:27

 女性が働きやすい職場こそ、メンタルに良い職場である、という指摘に納得。企業などの職場における女性の立場の弱さが男性をも含めたメンタルの問題を生み出している、とすれば性差別の問題をしっかりと考える必要性は自殺やうつ病、引きこもりの多い日本では極めて大きいだろう。

参考記事

トランスジェンダー当事者・サリー楓さんと考える 広がる学校でのジェンダーフリ

 ー 多様性を浸透させるために「大切」なこと【news23】

 TBS NEWS DIG の意見 2022.12.14

 学校の制服をめぐるジェンダーフリーの動きは生徒達にとっては身近なテーマであり、討論の材料として相応しいだろう。性の多様性を「善意で受け入れる」方向に民意を持って行くには何が必要なのか、議論させたい。

【ココがおかしい日本の性教育②】望まない妊娠や性暴力から子どもたちを守

 る FNNプライムオンライン フジテレビ解説委員 鈴木款 2022.11.25

 人権教育の一環としての性教育という捉え方が日本ではイマイチ根付いていないようだ。北欧の先進的な取り組みに学ぶことは多いだろう。

参考記事

性教育「10代の実態に合わず」 NPOが文科省に見直し求める署名

 毎日新聞 国本愛-2022.12.3

 中学校の学習指導要領にある「歯止め規定」によって避妊や性行為については授業で触れない事とされているが、2020年度の十代における人工妊娠中絶数は1万件を超えているという。しかも例の通り、「歯止め規定」が設けられた際の議事録が文科省に残されておらず、規定の意図が不明瞭。どう見ても問題だらけの学習指導要領であり、性教育の遅れが日本の男女平等度の低さを招いている原因の一部である事は最早疑いようがあるまい。上記の動画と合わせる形で配布資料にして生徒の討論に持ち込みたい。

「緊急避妊薬を薬局で買いたい」日本はなぜ世界で普通のことが叶わないのか 緊急

 避妊薬と日本 前編 現代ビジネス 福田 和子 の意見 2023.5.11

緊急避妊薬検討会議をリアタイで聞いて絶望した声…なぜ日本は前に進まないのか

  パブコメで97%が賛成なのに…現代ビジネス 福田 和子  2023.5.14

 2022年12月27日から2023年1月末日まで、「緊急避妊薬の薬局販売に関するパブリックコメント」が募集され、97%の人が緊急避妊薬の薬局販売に賛成したという。これだけ圧倒的多数が賛成しているにも関わらず、なぜ、緊急避妊薬の薬局販売が実現できないのだろう?

 ぜひ、生徒たちに討議させてみたい。

性の知識を具体的に教えずに子どもを性暴力から守れるか 「生命の安全教育」の実

 効性に疑問の声 東京新聞 2023.6.6

 日本の学校における性教育の遅れで一体誰が得をするのか?性差別、性加害に加担する、あるいは黙認する男性、それも中高年の男性であろう。それはすなわち国会議員の多くであり、特に政権与党のメンバーである…そう思いたくなるほどに、今の日本は学校での性教育に後ろ向きではないのか。

 他方で体育の授業や学校行事、部活動中の事故、事件が多発していても、一向に改善を見ない。一体、「生命の安全教育」というきれいごとは何の役に立っているのかすら疑問であろう。グランドの釘すら無関心な学校に安全だとか、衛生だとか、教育的だとかのきれいごとを並べる資格はあるのか…実に不思議である。

触って学べる性教育。「ポケット避妊教室」って知ってる?

 2022/10/04染矢 明日香 NPO法人ピルコン間野 麗

 避妊に対する知識不足が目立つ日本の現状を知っておきたい。

セクハラ・性加害の背景に不十分な性教育 中学校で「性交」を教えることができな

 い理由 AERAdot. 古田真梨子 2022.11.20

 日本の学習指導要領に「性交」を教えてはならないとしている理由とそうした規定の弊害について考えさせたい。活発な意見のやり取りが期待できるテーマだろう。 「学習指導要領」の意義、存在価値についても触れておきたい。

 

 

㊲「空気を読む」の裏側

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

学校には行くのに…教室に行かず、ずっと「保健室にいる子」の本音【精神科医が

     解説】 THE GOLD ONLINE 2025.12.22

 不登校児童生徒の多様な心理を知る上で役立つ。最も多いタイプは以下のように「空気を読む」真面目な子ども、という指摘にまずは注目したい。

過剰適応型…空気が読めるまじめながんばりや。不登校でもっとも多いタイプです。幼い頃からまわりの空気が読めるので自分の意見を言わず友だちに合わせたり、親の期待に応えようとがんばり過ぎたりして疲れ切ってしまいます。

対人関係に敏感で、ちょっとした失敗にも過剰に傷つき、不安になり自信を失い登校できなくなることがあります。頭痛や腹痛を訴えて受診してもわるいところは見つかりません。突然「うるさい」などと反抗的になって周囲を驚かせることもあります…

加害者は「正論を振りかざす優等生」 同調圧力で加速する現代のいじめの構図 

     nobico(のびこ) 2025.12.18

 ここで指摘されているように、学校による「同調圧力」を通じた管理、統制の強化こそが現在の学校教育が抱えているイジメ問題、さらには不登校問題の増加を招く根本原因であろう。ぜひ、討論のたたき台として授業で扱いたい資料である。

世界中が驚いた「合意形成の練習」 都内小学校に1年間密着した大反響ドキュメン

   タリー AERA dot. 中村千晶 2024.12.22

   … 欧米ではまず隣の子と違うことを発言し、個性を出すことを学びます。日本では集団の中で自分の役割を見つけ、みんなと協力し合うことを学ぶ。教育の入り方が真逆なんです。「個」と「集団」のバランスは難しく日本ではそれが同調圧力に変わったりもしますが、いまの欧米社会の分断の状況をみると、日本の「まずはみんなで話し合い」という合意形成の練習は悪くないのでは?と思います。そして日本人は自分たちのよさに気づいていない。自信を持ってほしいな、という思いも込めました…との山崎エマ氏の発言を小学校教師たちはどう受け取るべきなのだろう。

   最も深刻な教員不足に直面している小学校の課題は決して小さくあるまい。休職に追い込まれる教師が年々増えている中で「自信を持ってほしいな」とは実に暢気なものである。教室掃除が破綻している高校は決して少なくない。その破綻を補うべく疲弊している教師もまた少なくないだろう。

 とりわけ日本の学校が「合意形成の練習」をしているかのような発言には呆れてしまう。一体、日本の学校のどこに「合意形成」のための努力や工夫が見られるのだろう。その根拠を問い質したい。

 日本の小学校の児童会、中高の生徒会…どれをとっても自治的な合意形成への努力、工夫が不完全だったからこそ、「ブラック校則」がこうまでもはびこってきたのではなかったのか。肝心の授業ですら、中高ともなれば一方的な一斉講義形式ばかりで、自分の意見を発表する機会にすら恵まれていない日本の学校で、合意形成の練習など行われようはずもない。 

 元来が人種的、民族的、宗教的な多様性が欧米に比べると乏しい日本において、「合意形成」の練度が欧米を上回ることなどありうるのだろうか。多様性が大きいからこそ、合意形成の難しさを前にして数々の素晴らしい工夫を生み出してきたのが欧米の歴史だったのではあるまいか。もちろん現在も多様性の中での合意形成は容易ではなく、欧米に様々な軋轢が今も発生し続けているのは確かだが、だからといって多様性が相対的に乏しい日本の社会においての合意形成のあり方が優れている、というわけではあるまい。

 日本の合意形成はどちらかと言えば上から押し付けられた一定の徳目、目標へ向かって大勢に同調を強いた挙句の産物であり、非民主主義的な性格を孕んでいる点で決して褒められらものではあるまい。それは本質的に良い意味での合意形成ではなく、同調圧力に大勢が屈した挙句の「言いなり」こそがその実態ではあるまいか。

 なぜ、こんなトンチンカンな言辞がまかり通るのか、まったくもって意味不明。一体、山崎氏は日本の学校の何を見てきたのだろう。マスコミ等の取材に対して頑強な隠蔽体質を誇る日本の学校が本当の素顔を見せてくれるわけがあるまい。とりわけこの方の取材には教師たちの犠牲的な努力と辛さが視野の外に置かれているように思えるのだが、いかがか。まさか、山崎氏はすっかりブラック化した小学校教師の働き方を賛美するおつもりなのだろうか。

 児童生徒が清掃に励むことは、間違いなく教育上、良い事である。給食当番の仕事を児童生徒に任せることも大きな意義がある。それが日本人のきれい好きで、規律正しい国民性を生み出す源流の一つであることも十分、頷ける。しかし、だからといって日本人に決定的に足りていないはずの「合意形成の練習」を、まさか日本の学校が重視しているなどとは到底、思えない。仮に合意形成の練習を重ねてきたのならば、中高における自治的活動の不活発さを山崎氏はどのように説明してくださるのだろうか。むしろ日本の学校は集団的規律を偏重するあまり、硬直した管理主義に走り、民主的で丁寧な「合意形成」のあり方をしっかりと育んでこなかった方に属するはず。

 こうした「日本万歳」の映画を通じて、日本の学校教育が抱えてきた深刻な課題解決を先送りしようとする山崎氏の悪意すら感じられる。それを無批判に紹介するマスゴミもまた非常に罪深い、というほかあるまい。

イタリア人精神科医が見た、日本人の心身をむしばむ「悪しき文化」とは?

 ダイヤモンド・オンライン パントー・フランチェスコ 2024.6.19

   日本のこれまでの学校教育がひそかに日本人の自尊感情を損ない、自己肯定感を低下させてきた可能性について考える際に、大いに役立つ内容。画一的で集団主義的な教育を通じてひたすら周りの空気を読み、忖度することを児童生徒に強要してきた日本の学校の負の側面が見事に指摘されているのではあるまいか。

 他方で感情を揺さぶるような教材を提示した後は、自由記述を通じ、生徒たちに感情表現を試みる機会をきちんと設けるべきことも理にかなっているはずである。

日本の「スクールカースト上位層」が、欧米ではむしろ評価されないワケ

   ダイヤモンド・オンライン パントー・フランチェスコ の意見 2024.6.17

   …なぜ日本のスクールカーストが独特かといえば、欧米では「みんなと仲良くできる」ことが望ましい特性だと思われていないからだ。むしろ、相容れない人が存在することは当たり前。反感を抱かず誰とも仲良くできるなんてほぼありえないと思われている。「真正性」(自分が自分であること)が最も崇高な価値として位置づけられている欧米の文化において、「みんなと仲良し」というのはむしろタブーである

   多様性の尊重とはどういうことなのか、なぜ日本社会では多様性がさほど尊重されないのか、なぜ日本人の自己肯定感はひどく低いのか、なぜ日本社会にはイジメが随所にはびこっているのか、などを考える上で一つのヒントと言えるだろう。そして日本の教師たちの多くがかつてはスクールカーストの上位層だった可能性について日本の教師たちはとりわけ自覚的であらねばなるまい。

子どもの自殺が2022、2023年ともに500人を超えるも学校は硬直的。生徒の自己

 肯定感は低く、学力、運動能力、年齢でラベリングされ、序列化される現実 

 集英社オンライン 2024.5.27

  1.多様性を尊重する

  2.人物本位主義

  3.自己効力感が強く、主体的に社会活動に関わる

  4.すぐに助けを求める

  5.ゆるやかにつながる

 以上の5点が自殺率の低い地域社会の特徴だという。学校社会とは真逆の特徴が並んでいるように思えるが、いかがか。特に多様性の尊重とゆるやかなつながりの2点は今後、日本の学校に強く求められる大きなポイントではないだろうか。

日本は「世界優しさランキング」堂々の最下位...日本人に起業家が少ない衝撃的理

 由を米国大学講師が考察 現代ビジネス 山川 恭弘 の意見 2024.5.27

 解説はバランスがとれており、ぜひ授業に利用したい記事。海外と比較して日本人の寄付やボランティアの少なさは以前から指摘されてきたが、さすがに114か国中最下位であることに納得できない向きも多いだろう。ただ、その背景に日本人の他者に対する恐れ、敏感さがある、との指摘は説得力がある。何せ、日本は集団主義的な忖度社会であり、集団の空気を読むことを優先しがちである。慎重に集団の意向を忖度する一方であっけなく個人の意思は軽視され、イジメが頑固にはびこる日本社会は確かに自立志向の個人には優しくない。そしてこうした風潮を育成し、社会全体に定着させてきたのは集団への忖度を強制する日本の学校教育なのかもしれない。

 国が今後、国民の寄付やボランティア、さらに起業家を増やしたいのならば、学校教育をも根本から見直す必要があると考えるが、いかがか。

なぜ日本の学校で「いじめ」が起きるのか、「学校」という病

   現代ビジネス 内藤 朝雄 によるストーリー 2024.5.3

   「群生社会」の秩序と「市民社会」の秩序のあり方との差異をここで考えておくと

この後の議論が深まっていきそうである。特定の集団におけるメジャーとなった「ノリ」にタイミングよく乗ることで集団内での居場所を確保しようとする、「空気を読む」行為が群生社会の秩序を形作っているとすれば、空気を読めずに場の雰囲気を乱してしまう人物は群生社会の中でイジメの対象となりがち。したがってイジメを少なくしていくには学校での集団を場当たり的な群生社会から普遍的な正義を追求する市民社会に変えていくことを目指すことになる。

 しかしこのことは現在の学校社会でどこまで可能だろうか。大人の社会ですらイジメがはびこり、多くが群生社会に過ぎない日本では極めて難しいように思える。学級という生徒集団を市民社会的な集団にしていくには、生徒たちに市民としての主権と市民としての自覚をそれなりに持ってもらう必要があるだろう。そのためには制服や校則、学校行事、授業のあり方などには生徒たちにある程度の決定権を委ねる必要がある。しかし「知らしめず、よらしむべし」の方針が隅々まで貫徹している日本である。とりわけ画一的で管理主義的な教育行政下に置かれた、自主性が大きく制限されている日本の学校では、以上のような必要性をある程度理解している管理職であってすら、生徒たちに一定の決定権を委ねることを躊躇する人は少なくあるまい。

 まず変わるべきは率先垂範、教育行政のあり方であって、大人たちのあり方自体が市民社会的なそれへと変革されなけれなならないのではあるまいか。自分たちが変革をサボっているクセに、教員や児童生徒たち下々に変革を押し付けようとするのが日本の上意下達的教育行政であり、結局はすべて他人事の改革に過ぎない…とすれば文科省がどんなに素晴らしい改革案を示そうとも、教員や児童生徒の村社会化、群生社会化に歯止めをかけることはできないだろう。

だから「いじめ」はなくならない…この国で「人の命よりその場のノリが重視」さ

 れる実態 現代ビジネス 

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) によるストーリー 2024.5.21

 …「悪い」とは、規範の準拠点としてのみんなのノリの側から「浮いている」とかムカツクといったふうに位置づけられること…「みんなから浮いて」いる者は「悪い」。「みんな」と同じ感情連鎖にまじわって表情や身振りを生きない者は、「悪い」。「みんなから浮いて」いるにもかかわらず自信を持っている者は、とても「悪い」。弱者(身分が下の者)が身の程知らずにも人並みの自尊感情を持つのは、ものすごく「悪い」。…もっとも「悪い」のは、「いま・ここ」を超えた普遍的な次元への「チクリ」と、個人的な高貴さである。そういう者は徹底的に苦しめなければならない。彼らはそのような「悪い」者を、「いじめ=遊び」の玩具として思う存分痛めつけ、辱め、あらたな全能感ノリを享受しようとする。…もちろん、このような「ノリの国」では、個の尊厳や人権といった普遍的ヒューマニズムは「悪い」ことであり、反感と憎しみの対象になる。彼らにとっては、その場その場で共振する「みんな」の全能感ノリを超えた普遍的な理念に従うことや、生の準拠点を持つことは「悪い」。自分たちの「ノリの国」を汚す普遍的な理念に対して、中学生たちは胃がねじれるような嫌悪と憎悪を感じる…

 周囲の空気を読み、他人の意向を忖度する能力こそが学校社会を無難に生き抜く上で最も重要な力であるとするならば、そのような力を学校社会においてじっくりと養成されてから実社会に出た日本人の間でさらにイジメがはびこるのはどうみても不可避であろう。学校の不祥事において教員からの内部告発が乏しいように思えるのも、教員社会がすっかりイジメ社会化してしまっているからではないのか。今後、日本の学校が「個の尊厳」や多様性の尊重を前面に出して根底から学校教育を見直していかない限り、イジメを減らすことは絶対的に不可能であると考えるがいかがか。

不謹慎にもほどがある!「京都大学ボヘミアン」の泣ける笑える青春…話題ドラマ

   「ふてほど」と同時代 日刊ゲンダイDIGITAL の意見 2024.3.15

   …京都大学ボヘミアンは「まじめなだけでは人間がこぢんまりしてまう」という、りょうさん(1982年入学)の発案で1984年に創設。現在もその精神は後輩に受け継がれ、今年で40周年を迎える。「京大唯一のアウトドアサークル」と名乗ってはいるが、実態は“京都一の変態サークル”と言っていい…という書き出しからして尋常ではない発想にひきつけられる。そして何よりも「お金では買えない仲間との共通の恥が宝」とする考え方が傑作。

   大学生ならではの特権としての持て余すほどの自由時間、このかけがえのない時間をあなたならどう使うのか、改めて現代の大学生は問われているのだろう。イジメや孤立を恐れるあまり周囲の空気を読み過ぎた結果、個性や多様性を軽んじてすべてのメンバーに集団への同調を強いる歪んだコンプラ意識が今の社会を窮屈にし、若者を妙に「こじんまり」とさせてしまっている…そうした危険性は、日本の場合、確かにあるのかもしれない。

   …繁華街では、『ウッホ』という言葉しか発してはいけないというルールがありました。マクドナルドに入店すると、女性店員はギョッと目をむいた。半裸のシオモトが手元のメニューを指し『ウッホ』とハンバーガーを注文し、『ごいっしょにポテトはいかがですか?』と聞く店員に『ウッホ』と返す。今なら確実に通報されるレベルですが、京都の街の人は『学生さんのしはることだから』とおおらかでした。最初は気味悪がられましたが、おなじのが3人、4人とつづくと女性店員も笑いはじめ、店の前の人だかりに失笑(こらえ切れず大笑いすること)が広がっていきました…という珍妙なエピソードには思わず笑いがこみあげてくる。

 こんなおふざけを人前でさらけ出せるのは既にそれなりの高い自己肯定感を保てているエリート学生だからであり、いわゆる「高等遊民」の特権に過ぎない、と批判する向きもあるだろう。しかし社会の常識の枠外にほんの少しだけはみ出てみて「生き恥をさらす」、痛い体験は若いうちにしておいた方が良いような気もする。とりわけ失敗することに臆病になりがちな、傷つきやすい今の青年たちだからこそ、それは大切な経験となるのではあるまいか。周囲からの減点評価ばかりを恐れ、あくまで常識の枠内にしがみつくようにして無難に小さくおさまっているだけの日々では日本の若者に起業家としてのチャレンジ精神を育むことは難しいに違いない。

 そろそろ学校も企業も、日本社会に隅々まで蔓延する減点主義の評価から一旦は離

れてみる覚悟が求められているように思えるのだが、いかがだろう。SNS上で有名人への誹謗中傷がやまないこの悲惨な現状だって、加点主義が社会に広がってくれれば多少は改善される見込みも出てくるのではあるまいか。

 あくまで進学校向けの記事ではあるが、討論のネタに使うと面白いだろう。

 

日本人は「世界一礼儀正しい」が「世界一イジワル」だった…「自分の利益より他

   人の不幸を優先する度合い」を測る実験で「日本人ダントツ」の衝撃結果

   現代ビジネス 週刊現代 の意見 2024.1.2

 日本社会に蔓延する「生きにくさ」の正体は日本人特有の集団心理にあるのかもしれない。規律正しさ、礼儀正しさ、おもてなし文化…これらは同調圧力の強い日本会が生み出した強みでもあり、これまでの日本の工業化を支え、観光業の発展をもたらした長所ではあっただろうが、同時に「出る杭は打たれる」、場の空気を読めないKYを排除する集団的イジメを学校などにはびこらせてきた側面があることも否めないだろう。

 単純に集団主義的な心性を批判し、個性や多様性の尊重を謳うだけでは日本人のせっかくの長所を損なう恐れもあると考えるが、いかがか。要は行き過ぎた忖度を見直し、個性や多様性の価値を認めつつも、規律正しさ、礼儀正しさを出来るだけ失わないような工夫と絶妙なバランス感覚が今の日本社会には求められているのだろう。

北海道警の安倍ヤジ排除問題を追う『ヤジと民主主義』が見せたメディアの矜持  

   ニューズウィーク日本版 によるストーリー 2023.11.29

 戦前の日本における激しい言論統制を彷彿とさせる事件であり、北海道警の違法な動きには恐ろしさを禁じ得ない。日本の言論がどれほど政権に対して「忖度」し、委縮していたのかが浮かび上がる事件。なぜこのような息苦しい日本になってしまったのか、このテーマの導入として問いたい。

【news23】監視社会への懸念も スーパーシティ法成立

 2020/05/28 TBS NEWS DIG Powered by JNN 5:28

知らなきゃヤバい!スーパーシティ法について5分で解説!【せやろがいおじさん】

 2020/05/29に公開済み ワラしがみ 4:33

OPEN THE FUTURE ~スーパーシティ(大阪府・大阪市)における取組~

 地方創生【内閣官房・内閣府】  2023/08/07 3:54

 私たちの個人情報が徐々に可視化され、透明化されていく…すなわち政府や大企業による個人のプライバシーへの侵害可能性が高まっていく傍らで、日本の場合、政治面での隠蔽体質は相変わらず根強く、政府による情報公開は恐ろしいほどに遅れたままである。すなわち国民の知る権利はひたすら蹂躙される一方である…としたら、事は重大であろう。

 「空気を読む」ことを美化しがちな日本社会が陥りやすい、「滅私奉公」的価値観が招き寄せる個人の人権、自由を軽んずるような風潮はこれまで一体どのようにして醸成されてきたのだろうか…日本における学校教育が果たしてきた負の役割について教師としては一層真剣に見直すべき部分は大きいだろう。

 この「スーパーシティ」構想が果たして大阪万博の宣伝に見られるようなバラ色の未来を招き寄せるものなのかどうか…は大阪万博の裏でうごめく利権構造の透明化抜きでは決して明らかにできないはずである。恐ろしい監視社会のディストピアの実現を阻止する上でも国民が政治を監視できるシステムの再構築が急がれるはずである。

 上の北海道警によるヤジ排除の件と併せて「スーパーシティ法」が成立した政治的背景をぜひ考えてみたい。また日本社会、とりわけ学校でなぜこれほどまでイジメが横行するのか、できればその原因を政治の動きと関連させて推論させてみたい。


 

2.日本人の自己評価の低さの背景:「自分だましの心理学」(菊池聡 2008)より

 一見すると日本人はポジティブ・イリュージョンが苦手のように思われがちです。確かに傾向としては平均以上効果が目立たず、自分の能力は劣ったものとするネガティブ・イリュージョンすら認められます。

 しかし相互協調性を大切にする伝統的心性から自己の能力を誇るよりも謙遜し、自己批判する人間の方が社会的にも好ましいという価値観から自己卑下するのではないでしょうか?むしろ自己卑下したほうが相手に好印象を与えるという計算が働いており、これも一種の情報戦略といえます。

 個人主義的な欧米や中国、韓国では成功やポジティブな出来事を自分自身に帰属させる傾向が強いですが、日本では極端に弱く、ときにはマイナスでさえあります。日米中三カ国の高校生約3400人を対象にした調査でも・・・

 「私は他人に劣らず価値のある人間である」という質問に肯定的に答えた高校生はアメリカで89%、中国では96%に対して日本は38%。同じく「私は人並みの能力がある」アメリカで91%、中国94%、日本で58%。「計画を立てるときはそれをやり遂げる自信がある」アメリカ87%、中国73%、日本38%。逆に「自分にはあまり誇りに思えることはない」アメリカ24%、中国23%、日本53%。

 

 ただしこれも「出る杭は打たれる」といった自己保全からくる自己卑下だけではなく、自己の弱点や問題点を能動的に受け入れて自己の向上を目指す傾向の賜物とみる見方があります。

 よくいわれる日本人の自虐史観もネガティブなことの責任を自分に帰するのが美徳とされてきた伝統的心性の産物なのかもしれません。

 しかし・・・他者と比べての自己評価を見る大学生対象の調査では「社交性」「容貌」「経済力」「スポーツ」などの側面ではやはり過小評価する傾向が見られましたが、「優しさ」(7割以上)「まじめさ」「明るさ」「誠実さ」(6割以上)といった項目では自分が他の大学生よりも優れていると考える傾向が見られました。

 さらに夫婦間の調査でも夫は妻を、妻は夫を自分よりも高く評価する傾向が見られました(特に夫側)。この相対的自己卑下は友人関係でも見られましたが、これは自分たちの夫婦関係や友人関係は他の平均的なそれよりも素晴らしいものだという「関係性高揚」のイリュージョンが見られるということでもあります。 

 

 つまり日本人のポジティブ・イリュージョンは自分自身を直接持ち上げるようなものではなく、人間関係を仲介として自分自身を高く評価する傾向があるということ。 

 ここにも日本人の強力な集団主義的心性が潜んでいそうです。

 

 楽観的であればそれで良いというわけではありません。小学生対象のある調査ではストレスの高い子どもにはポジティブ・イリュージョンが基本的に好ましい影響を及ぼすが、子どもの攻撃性が高い場合にはかえってその攻撃行動をエスカレートさせる傾向が指摘されています。

 

 ムードメーカーや営業などには楽観的な人が向いていますが、リスク管理のような公正で、冷静な判断力が問われるポジションには「防衛的悲観主義」のタイプがふさわしいのだそうです。

 「防衛的悲観主義」は悪い状況を想定することで不安を制御し逆境に備えるタイプ。病的なうつとは違い、適応的な悲観主義のことです。一人の人間の中でこの二つを使い分けられるようになることが理想でしょうか。

 

 人には一歩引いて冷静に観察できる「メタ認知」が必要なのです。やたらにポジティブ・シンキングに走るのはむしろ間違いでしょう。不安や恐怖といったネガティブな感情にも適応的な意味があります。これらの感情は周囲の環境が望ましくない状態になっていることの反映であり、認知システムとして脅威や危険を見逃さないように分析的でシステマティックな思考方略を採るのが必然であり、「ウツの現実主義」もこうした原理によっているのです。

 

 客観的に物事を眺めるべき時点で単純にポジティブ・シンキングに走ればむしろ不適応状態を招く(・・・太平洋戦争末期の日本?)ことすら起こりえます。新興宗教や自己啓発セミナーの危険性はまさにそこにあるといいます。

 

 日本人は伝統的に均質で固定的な共同社会を営んできたために「だまし」の文化が欧米に比べて未成熟だそうです。ある犯罪学者は日本人が情報を鵜呑みにしやすく、それらへの警戒感も、確認作業の習慣も不足していると指摘しています。

 →歴史の隠蔽や改ざんに無頓着でデマやフェイクニュースに踊らされやすい。

 

 日本人には関係性高揚のイリュージョンが見られるという認知心理学の知見は極めて重要だと考えます。控え目で自己主張に乏しく、「空気を読む」ことが大切とされる日本社会独特の息苦しさも日本人の伝統的心性にこびりついている集団主義に基づくものと考えられます。

 質問紙調査の結果でも分かるとおりに欧米や中国のような、個人主義が伝統的に強く根付いている社会と個が埋没しがちな集団主義的社会の日本とでは決定的に違うものを感じます。

 

 よく海外向けに「おもてなし」が日本の美徳として宣伝されますが、それは日本のブラックな体質のサービス産業が演出している側面もあって、「お客様は神様」だとする裏側に「過労死」や「社畜」と呼ばれるような労働世界の過酷さが横たわっているのではないでしょうか。

 

 変に「空気を読む」延長線上に成立する、働く人の「滅私奉公」に支えられた「おもてなし」であるのならばそれは厳しく見直すべき「美徳」でしょう。

 

 また日本人は情報を鵜呑みにしやすく、だまされやすいのでは・・・という犯罪学者の指摘も頷けます。他者への肯定的で積極的な関心に裏付けられた「空気を読む」社会であるならばもう少し他者への思いやりがある社会になっていたはず。きちんと空気が読める社会ならば自殺や孤独死が横行するはずはありません。

 

 同質性を重視する傍ら異質なものを排除し、個性を軽んじてきた日本の集団主義的心性は相変わらずファシズムに転化しやすい危険性を抱えていると思います。

 日本の学校教育がそうした心性を育む張本人である、との自覚は教師に必要不可欠のものでしょう。

 

 今、日本はオリンピックを機に「素晴らしいおもてなしの国である」と自負する余り、近隣諸国を見下す傾向がネット上の言論の一部に感じます。またコロナ禍を巡る騒動を通じて、上から強制されなくともマスクを着用している日本人と強制されなければマスクを着用しない欧米の人々とを比べ、日本人の優位性を説くような言論もチラホラ出てきたようです。

※参考記事

ハーバードで教えた心理学者が伝授、「同調圧力で外せない」日本人のマスクを外す方法 

 ダイヤモンド・オンライン トッド・ローズ の意見 2023.8.15

 ソーシャルメディアによって強化された同調圧力に対抗するには「なぜ?」と理由を問い続ける努力が有効だという。また「少数意見でも何回も投稿される意見が、多数派とみなされ、今目の当たりにしているのは、少数派が多数派を黙らせている状態です。政治家はこのことを熟知しており、うそであっても何回も繰り返して“真実”にしているのです。」という指摘はSNS上でのフェイクニュースと誹謗中傷、偏った意見の横行を説明してくれる。

 

 欧米の個人主義をただの「ワガママ」という言葉で一方的に見下すような一部の日本の風潮は明らかに変です。

 どうやら日本人の中で他者への積極的な関心に基づいた、共感性豊かな「メタ認知」とはほど遠い言論が現在、目立ってきたように思いますが、皆さんはどのように考えますか?

 

 

⑲北欧の教育と日本

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・「小学校 それは小さな社会」が持つ盲点

「集団行動が全て」給食・掃除当番が生み出す、規律重視の日本型教育。世界

   今、必要とするワケとは?【山崎エマ・蓑手章吾/加藤浩次】2Sides

   NewsPicks /ニューズピックス  2025/03/11 16:10

「不登校になるのは学校のせい?」自主性を育むオルタナティブ教育とは?公立の

   特別活動の意義について議論【山崎エマ・蓑手章吾/加藤浩次】2Sides

   NewsPicks /ニューズピックス  2025/03/17  14:01

Instruments of a Beating Heart | An Oscar-Nominated Op-Doc

   The New York Times  2024/11/24 23:23

【ノンストップ!サミット】アカデミー賞ノミネート監督生出演!日本の小学校教

 育「ココがスゴイ」フジテレビドキュメンタリー  2025/03/14 34:38

【日本の小学校の映画が世界で大反響】ドキュメンタリー監督・山崎エマ/公立小

   学校が「日本をつくる」/“個性重視”教育の北欧が日本の小学校を再評価したワケ

  【CROSS DIG 1on1】   TBS CROSS DIG with Bloomberg  2025/02/04 28:05

【異例の快挙】小学校 それは小さな社会〈監督〉山崎エマ/日本人は小学校で作ら

   れる?/フィンランドで大ヒット!日本でも口コミ拡大

    IMAGINE イマジン大学 2025/02/04 34:30

 山崎氏が様々な動画内で繰り返し指摘してきた小学校での学級会における合意形成の訓練は、本当に民主主義的な意義を持つ合意形成だったのか…それは蓑手氏が暗に示唆した通り、極めて疑問というほかあるまい。中学校や高校のホームルームでの実態を見れば明らかである。生徒たちの多くが今も何かを決める際、合意形成の作法を全くと言って良いほどに身についていないことを随所で露呈させているではないか。たとえば多くの高校でクラスの文化祭の出し物を決める際、生徒たちに任せておくと多数決という最悪の方法に頼るケースが圧倒的になってしまう。そうした現実が義務教育段階における児童生徒の合意形成の訓練の欠如をむしろ雄弁に物語っていると私は感じてきたのだが、いかがだろう。

  ※この辺りは工藤勇一氏の安易な多数決を否定した民主主義を巡る議論を参照していただきたい。こ

  れは工藤氏が自主性(空気を読み、忖度して相手の期待に応えることも自主性に入る)と主体性

  (自主性と異なり、自分で考え、判断することを最優先する)との根本的な違いを強調しているこ

  とと深いつながりがあるだろう。

   また山崎氏のドキュメンタリーには学校行事や給食、清掃に重点を置く一方で、授業風景が意図的に多くカットされている点にも疑問がある。日本の小学校における一斉講義形式中心の授業の問題点が個別最適化からは程遠く、無視できないほどに低劣なレベルであるとすれば、授業をカットした点は日本の学校教育のリアルな姿を伝えるドキュメンタリーとしてかなり片手落ちと言えるだろう。とりわけ蓑手氏の様に不登校に注目しているフリースクールの立場からは、日本の小学校教育の良さを再評価することに重点を置くような映像の切り取りに強い警戒心を抱くのは当然であろう。

 他方で山崎氏が日本の教育の欠点ばかりを上げ連ねて欧米の教育を持ち上げる風潮に警鐘を鳴らしたい気持ちも分からなくはない。当たり前のことではあるが、日本の学校教育には清掃や給食当番など、大きな社会的意義があり、かつユニークな取り組みが数多くある。日本人の規律正しさ、きれい好きといった長所の多くは学校教育に由来する側面もかなり大きいに違いない。それらを犠牲にしてまで日本が欧米の教育を見習う必要はもちろん無い。

 ただし蓑手氏が指摘したように、日本の児童生徒の幸福度、自己肯定感は国際調査の比較では極めて低く、山崎氏が指摘する小学校での行事などを通じて得られる達成感が、実は多くの児童には必ずしも共有されていない、厳しい現実がある。撮影する側に、日本の児童生徒の自己肯定感の欠如が一体、何に由来するのかといった批判的視点を当初からイマイチ欠いている点で、やはりこの作品はドキュメンタリーとして片手落ちの感は否めない。

 一年間もの長期取材を行い、膨大な撮影量で出来上がった力作ではある。しかしこうした本格的な撮影を従来、許可しないはずの教育委員会や校長らが珍しく許可したのは、その学校の負の側面をできるだけ映像化しないという前提条件があったからではないのか…疑り深い私としてはそう勘繰ってしまう。だからこそ、結果的には「片手落ち」の作品となっているのではないのか。

参考記事

「世界一幸福な国」フィンランドに行って分かった「なぜ彼らは幸せなのか」 住み

 たいまち、を調べてわかったこと

 現代ビジネス FRaU編集部 によるストーリー 2024.1.10

 なぜ北欧は政策として教育を重視し、日本は重視しないのか、この記事を通じて生徒に考えさせたい。

ノーベル賞受賞者3氏が緊急会議「日本の科学技術はなぜ苦境に陥ったのか?」

    坂口志文氏、北川進氏が受賞しても安心できない研究現場の問題点

    文春オンライン 「文藝春秋」編集部 2025.10.11

 今後の日本がいよいよじり貧になっていく流れが見えてくる。学術研究の意義を蔑ろにして目の前の「儲け話」にしか興味を示さない、近視眼的な日本政治の在り方が厳しく問われるだろう。

給食を完食しないと教室を出られない! 休み時間はみんなとドッジボール? やりたく

    ないのに押し付ける学校が嫌いだった【話を聞く】 ウォーカープラス 2025.12.23

 昭和にはありがちな学校の様子がわかりやすく記されていて、日本の公教育の問題点をつかむには役立つ教材。授業では昭和の学校と令和の学校との違いと共通点をできるだけ数多く生徒たちに列挙させて、回答の多い順にポイントの背景について議論していくと面白いだろう。

 

参考動画

【財務省】授業で四則演算やbe動詞義務教育の内容?大学側は?教育の質”は検

    証可能?中室牧子氏「人に投資・リターンの確認を」|アベヒル

    ABEMAニュース【公式】  2025/04/23  26:58

    財務省の学校に対する古臭い認識、無知さ加減には呆れるばかりだ。義務教育における「落ちこぼれ」の大量発生が有効な救済措置もとられないまま高校教育に引き継がれ、高校でもほとんどが救済されないまま大学にまで引き継がれている。大学進学率が50%に達した現在、大学生でアルファベットや割合、分数が理解できない者は決して少なくあるまい。

    学力どころか出席をも軽視する形式進級、形式卒業を当たり前とする義務教育の在り方が変わらない限り、日本の高校教育や大学教育を変えることはできないだろう。にもかかわらず、トップダウン的発想から高等教育、大学教育を変えるだけで教育の質の向上を図ろうとするのはまったくのナンセンスであり、教育全体を見渡すことの出来ない偏頗な発想に過ぎない。

 いわゆるFラン大学の存在は、大卒という学歴を偏重する日本企業の、あからさまな手抜き採用人事のあり方にも起因するのであり、「営利追及に走っている」とばかりに難癖をつけて一方的に大学側の責任を問うのは的外れであり、余りにも片手落ちだろう。たんに需要があるから供給が生じているだけではないのか。

 財務官僚のようなエリート進学校の卒業生たちに、日本におけるFラン大学の社会的な存在意義への理解がイマイチ足りないのは当然と言えば当然ではある。しかし自分たちのエリート主義的認識に大きな偏りがある事への自覚が不十分であることは認めるべきであろう。そして98%の進学率に達した日本の高校に存在する数多くの教育困難校もまた、それなりの存在意義はあるのだ。

    仮にFラン大学が日本から消えてしまうと、一体どんな不都合な事態が発生してしまうのか、少しでも想像してみればよい。若者の失業率と犯罪発生率、貧困率は急激に高まり、いわゆる「無敵の人」が急増してしまうに違いない。

    40年近く前に高校における教育困難校を「未成年失業者収容所」と表現した方(「当節定時制高校事情」佐々木賢 有斐閣新書 1987)がいたが、Fラン大学の存在意義もまたしかり、である。下手をすれば犯罪予備軍たりうる社会的弱者の若者たちを収容する「予防拘禁施設」という社会的機能の側面から見れば、Fラン大学の存在価値を現状のままでプラスに評価することも可能なはずなのだ。

 確かに日本の場合、「高校」とか「大学」とはあくまでも名ばかりで、実態としては一部、義務教育のやり直し施設、果ては一部、少年院、鑑別所兼職業訓練施設と化している学校も無いわけではあるまい。

 西欧や北欧のように高校レベルでの職業教育が発達していて、職人、技術者の社会的地位がさほど低くない社会では、大学に進学しない若者が路頭に迷い、犯罪に走る危険性は日本ほど高くはあるまい。リカレント教育が一般化した西欧や北欧ではいったん就職した後で大学進学する者が決して珍しくはない。

 しかし日本では職業高校が低迷しがちであり、職人の社会的地位も決して高くはない。中卒や高校中退の学歴で就職した若者が社会的地位を高めていく方途は、プロスポーツや芸能界などを除くと日本では極めて限られている。この問題を放置しておいて、特定の学校教育ばかりに責任を転嫁するのはいかがか。

北欧子育て7つの鉄則!自己肯定感を高める育児とは?| 北欧在住ゆるトーク 

 2022/04/02 Nord Labo -北欧研究室- 19:00

 ほめない、比較しない、見た目について評価しない。「走るのが速いね」ではなく「走るのが好きなんだね」と話しかける・・・非常に参考となる話。やや視聴時間が長いが、ぜひ、生徒に視聴させたい。

 1970年代までフィンランドの教育はアメリカと同程度のかなり低いレベルにあったという。しかし1980年代、フィンランドは独自の視点から学校教育の大胆な見直しを進めていく。教科書検定制度の廃止や教員資格制度の改正(教師養成教育の充実化、教員の大学院卒義務づけ等)、宿題の廃止、テストの削減、授業時数の削減。これらは保護者の労働環境の改善を伴い、子供達が家で両親と過ごす時間を劇的に増やした。しかも授業時数を減らす一方で体育や芸術関係は減らさず、知育に偏る事を避けたバランスの良いカリキュラムを作り上げている。にもかかわらずPISAの得点は世界トップクラスとなった。

 一方、アメリカは人種、民族、信仰の異なる雑多な移民から形成された国家の土台を基に、多様性を前提とした多彩なカリキュラムを用意して個性を尊重する学校教育を作り上げていた。しかし1970年代から中等教育を中心に非行少年の荒れが目立ち始め、生徒の学力低下が話題となったことを契機に学校教育の見直しが進む。その際、低予算でありながら国際比較で常に学力がトップレベルであり、治安も良かった日本の学校教育を参考にした改革が進んだ。このため学力向上、知育中心に偏った教育がアメリカに浸透していった。

 ここ50年近くの間にアメリカ、フィンランド両国の学校教育が目指すその方向は完全に乖離してきたのである。このことは常にアメリカの後を追いかけてきた日本の学校教育に対しても深い反省を迫る点であろう。

 今や、学校教育に関しては自由や個性・多様性の尊重という観点を除けば、日本とアメリカとの違いは意外にもその差が縮まってきているという。しかしフィンランドと日本との違いは驚くばかり。それでも社会の同質性の高さに守られて日本の児童生徒の学力は国際的には高い方であるが、児童生徒の幸福感、自己肯定感は先進国で最低の部類に属する。

 北欧の動きを踏まえた、日本の教育への抜本的な見直しが待たれるところである。

【日本の中学教育は世界的に超優秀】日本の高校までの学力は世界トップクラス/

   「掃除」「給食」「部活」に日本教育の特徴がある/大学は海外に行った方が良い

   理由 PIVOT 公式チャンネル  2024/03/09 37:31

 松田氏が上意下達式の教育行政の効率性や日本の初等中等教育の優秀さを持ちあげすぎている側面はやや気になるが、日本の学校教育を世界の中でバランス良く位置づけるためには有効な動画だろう。フィンランド、アメリカ、韓国の学校教育と比較できる点でも貴重な動画。

 

オランダのイエナプラン教育 :2015/01/26 リヒテルズ直子

 イエナプラン教育(イエナプランきょういく、ドイツ語 Jena-Plan)とは、ドイツのイエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターゼン(1884 - 1952年)が 1924年に同大学の実験校で創始した学校教育。 子どもたちを『根幹グループ(英語ではファミリー・グループを訳されることが多い)』と呼ばれる異年齢のグループにしてクラスを編制したことに大きな特徴がある。現在はドイツよりもオランダで広く普及している。

※ちなみにオランダでは小学生でも本人の要望があれば留年できる。日本のような「形式卒業」の悲劇

 は起きない。

 

 なおオランダは2020年の最新調査(ユニセフ)でも子供の幸福度世界一である。ユニセフが9月3日に公表した最新報告書では、「精神的幸福」、「身体的健康」、学問や社会的な「スキル」の3つの分類で幸福度を算出。結果、日本の子どもの幸福度は38カ国中、20位だった。

 日本の順位で特徴的なのは、子どもの肥満や過体重の割合、死亡率から算出する「身体的健康」では1位だったにも関わらず、15歳〜19歳の自殺率や生活の満足度からランク付けした「精神的幸福度」は最低レベルの37位だった、という点だ。「スキル」では、日本のランクは27位。読解力と数学の基礎的学力では上位に入ったが、「新しい友達を作る」などの社会的なスキルの調査ではワースト2位だった。

 

参考動画

 個人情報丸見え社会のスウェーデン|どこまでマイナンバー管理?犯罪は?| 北欧

 在住ゆるトーク Nord-Labo 北欧研究室  2023/09/23  16:52

 やや視聴時間は長いが、考えさせられる場面が多く、討論にもっていくにはうって

つけの動画。情報公開の原則、知る権利の保障と個人情報保護、プライバシーの保護との調整は難しい問題だが、スウェーデンでは200年以上も昔から取り組んできた大きなテーマの一つだったことに驚かされる。政府や政治家、学校などでの各種隠蔽、改ざん、金銭面での不透明さ…が目立ってきた、閉塞的な日本社会を変えるには参考とすべき部分が多いと感じた。

なぜアフリカの子供は「自殺」しないのか?【日本と比較して考える】

 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/01/12  22:30

 同学年でも異年齢が同じ学年、クラスに数多くいるアフリカではたとえイジメが生じても逃げ場が多く、歯止めも効きやすい。児童生徒が所属している集団は学校でのクラスだけではなく、親類や地域の集団もある。学校が嫌ならば行かなければよいだけで、実際、学校に来なくなる児童生徒は少なくない。したがってアフリカでは学校でのイジメが児童生徒の自殺を引き起こすことはほとんどない。

 子どもたちの居場所を学校や家庭、塾以外にも設けていく工夫が日本には必要なのだろう。そのためには子どもたちが学校にいる時間を少し減らすことも考えてよいだろう。フィンランドの授業時数は日本よりもずっと少ないという。長時間、子どもたちを退屈で窮屈な学校に閉じ込めておきながらイジメや不適応、学習障害を野放しにするしかできない日本の学校の無力ぶりを真っ当に評価すれば、学校以外の居場所確保こそ、学校改革そのものなのではあるまいか。不当な長時間労働から教師たちを解放するためにも大胆な時間割の見直しは必要不可欠の改革であろう。

 

 

その4.安保体制と基地問題 ①沖縄の戦後と日米関係

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

参考記事

米兵らの性暴力事件が相次ぐ沖縄、軍関係者の逮捕少なくとも107人…4月から

 実施の米軍パトロールで 読売新聞 2025.12.18

参考動画

フェンスの向こう側 ~在日米軍基地の今~【ニュース ジグザグ】

    読売テレビニュース 2025/05/17  12:07

 戦闘機のパイロットが着用するヘルメットの価格が6000万円ほどという事に驚かされる。基地内の様子を多少、知ることが出来ると同時に、沖縄県民の基地に対する思いに世代間の違いが若干みられる点も興味深い。基地内の小学校が3校もあり、一クラス15人程度の少人編成である点など、随所に日米の差が伺われ、基地問題の導入の際に視聴させると学習内容の発展性が期待できるだろう。

平和教育アンケート30年 戦後80年 高校生 歴史との向き合いは(沖縄テレビ)

    2025/6/04 沖縄ニュースOTV 2025/06/05 4:08

 平和教育の発展を妨げているのは各学校や教師の怠慢ではなく、もっぱら文科省や教育委員会による授業内容への過度の統制、制限ではないのか。事実として確定した過去の出来事、沖縄戦のみを学ぶ…という発想では今、話題となっている問題への児童生徒の興味関心を惹きだすことが極めて難しい。未来を生きる児童生徒の関心を惹きだすには現在、直面しているホットな課題から迫る必要があるだろう。そして沖縄においてのそれは基地問題であり、尖閣問題なのである。

    しかしこの問題を公教育で扱うには、文科省や教育委員会、管理職からの指導や管理といった横やり、介入の危険性が大きい。また教師側にもかなりの知識と授業力を必要とする。ゆえにともすれば実際の授業の中では敬遠されがちな話題となっているのではあるまいか。

    しかし知識の詰め込みや画一的一斉講義形式の授業から脱却する上で、現在、話題となっているテーマを扱いにくくしている教科書検定制度や教育内容の見直しは不可避の課題であろう。また児童生徒の授業参加度を高めるうえで議論を軸とした授業展開とそれを可能とする教師の力量が必須となるはず。とすれば授業力向上につながる大学での教員養成教育の充実がまずは求められるはずである。

"核"の最前線だった沖縄(沖縄テレビ)2025/6/03
    沖縄ニュースOTV 2025/06/04 8:05

 沖縄における核ミサイル配備について短時間で概観したいのなら、この動画が便利だろう。ただしミサイルの誤発射事故など、沖縄の住民を脅かした恐ろしい過去については別の資料を用いる必要がある。

【闇が深い】「禁断の質問」をした結果、大臣の様子がおかしくなる【最新国会】

   大石あきこ 国会質問 (2025年3月12日15:05頃~文科委員会)

   山本太郎 on the BEAT【切り抜きch】2025/03/13 15:35

   国会における政府側の答弁がいかにはぐらかし、誤魔化しばかりであるのか、高校生ならばよく分かる事例となるだろう。特に文科省の官僚の答弁がまさに官僚らしさがにじみ出ていて面白い。この程度だから日本の教育が危機的状況に直面しているのだろう。

発見された古墓、日本軍壕の姿は… 空自那覇基地内の発掘調査

   琉球新報 2022/12/23 3:47

   基地内であったために遺跡が破壊されずに済んできたという稀なケース。沖縄の場合、戦争や都市化の中で破壊されてしまった遺跡は膨大な数にのぼるだろう。しかし今後は沖縄史の空白を埋めるべく、日米の基地内の遺跡調査を積極的に進めていく必要があるだろう。

【琉球サウダーヂ】史跡と戦争 第2話「扁額」

 2021/02/15 RBCチャンネル 【琉球放送】 2:30

 この分野の導入に使えるだろう。敗戦後、トイレの用材として米軍によってくりぬかれたと言われる無惨な姿を留める扁額。乾隆3年(1737)の元号にも注目させたい。戦後の沖縄が置かれた悲惨な立場を象徴する遺産の一つであろう。できればCMをとばして視聴させたい。

【悲報】アメリカ人が持つ日本人への偏見が酷すぎる

 Chase & KenKen  2023/11/25  9:02

 この動画はこの分野や差別の授業で絶対に視聴させたい。日本と深く結びついている同盟国アメリカに日本が良く思われていると思い込んでいる日本人はかなり多いだろう。授業でこの動画を見せる前にアメリカ人は日本人についてどう思っているのか、アンケートしておくと面白い展開になりそうだ。

 日本の観光業の隆盛ぶりで現在、「日本万歳」に陥りがちな生徒たちの多さが予想できる。しかし多くのアメリカ人の本音、実態はおそらくこんなものなのだ。でなければアメリカは二度も日本に原爆を落とさないだろうし、いまも図々しく日本の各地に基地を持っていないはずである。沖縄で米兵の暴行事件が後を絶たない背景にアメリカ人の日本人、アジア人を見下す偏見や差別が広範に存在することを決して忘れてはなるまい。

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本人が偏見だらけで酷すぎた。

 SAGIRIX  2023/06/21 6:08

【炎上】海外のアニメに出る日本人が怖すぎる…

 SAGIRIX  2023/07/13 8:15

【炎上】アメリカのアニメに出てくる日本のシーンが失礼すぎた。

 SAGIRIX  2023/10/17 9:37

 差別する側と差別される側、双方の立場に立ってみないとお互いの理解は深まらないだろう。

日の丸と沖縄 屈折した歴史 ー復帰を知るーVol.1 (OTVライブラリ/2012

 年放送)OTV沖縄テレビ  2023/05/11 5:58

 日の丸に対する沖縄の人々の複雑な思いは一体何に起因するのか、早めに考えさせたい。特に平和憲法下への日本への復帰を熱望してきた沖縄の人々が、復帰後、なぜ日の丸を忌避し始めたのか、その理由を列挙させてから討論に持ち込みたい。

 

・敗戦と戦後の始まり

 1945年7月ポツダム宣言(アメリカ、原子爆弾の実用化に成功)で連合国は日本の無条件降伏を勧告⇒天皇制護持に執着した鈴木貫太郎内閣これを黙殺

 8月6日、広島に原子爆弾投下

   8日、ソ連、対日参戦を表明

   9日、長崎に原子爆弾(プルトニウム型)投下

    連合国側(アメリカ)、天皇制存続の可能性を留保する回答

   15日、終戦の詔勅「朕はここに国体を護持し得て・・・」

    ⇒鈴木内閣総辞職、アメリカ単独による間接統治へ(⇔ドイツ)

    ⇒東久邇宮稔彦(天皇の従姉妹で陸軍大将)内閣成立

     日本軍の武装解除と天皇制の存続が至上命題

 9月2日、日本政府代表重光葵外相と軍部代表梅津美治郎海軍大将がミズーリ号上で 

     降伏文書に調印。当初は天皇が調印する予定だった。

Q.なぜ天皇は国家元首として降伏文書の調印に参加しなかったのか?

A.天皇の権威を占領政策に利用する方向でマッカーサーは動き始めていたため、天皇

 に屈辱を与え、権威を傷つけるような調印式は控えることになった。つまりアメリ

 カ側からすれば天皇制の利用価値の低下を恐れたのであろう。

 

 9月7日、沖縄で降伏文書調印。本土と沖縄、奄美、小笠原等は区別された。本土はマッカーサー率いる国連軍(⇒GHQ)による占領となったが、沖縄などは「唯一の地上戦」を経てアメリカが獲得した戦利品という扱いで、直接的な軍政下に置かれてしまった。なお、敗戦後に焼け野原状態となった沖縄を救ったのはアメリカによる援助以外では海外の沖縄出身者による募金、物資支援(ハワイから550頭ものブタ⇒養豚業復興)が大きかった。

 東久邇宮内閣は治安維持法等の存続を図るなどGHQと対立し、総辞職へ。

 10月⇒幣原喜重郎(親英米派、協調外交)内閣成立

     財閥解体、農地解放、戦争犯罪人の逮捕、公職追放などを推進

     しかし大日本帝国憲法改正には消極的なため総辞職

 1946年5月、吉田茂(東条内閣打倒を計画)内閣成立

 1946年11月3日、日本国憲法公布

  マッカーサー三原則とGHQ草案が骨格⇒「押しつけ憲法」

  ・天皇制の存続と民主化(昭和天皇の続投を含む)

  ・平和主義(⇒日本国憲法第9条「戦争の放棄」)

  ・封建制の廃止(軍国主義の除去、非民主主義的制度・組織の廃止等)

1947年「天皇メッセージ」:昭和天皇、米国による沖縄占領を支持、長期の租借(25年以上)を提案

 ※東京裁判(1946~48)の最中であり、アメリカは天皇の自己保身と解釈。寺崎メモによると、天 

  皇は米国による沖縄占領は日米双方に利し、共産主義勢力の影響を懸念する日本国民の賛同も得ら

  れるなどと記している。1979年にこの文書が発見されると、象徴天皇制の下での昭和天皇と政治

  の関わりを示す文書として注目を集めた。天皇メッセージをめぐっては、日本本土の国体護持のた

  めに沖縄を切り捨てたとする議論や、長期租借の形式をとることで潜在的主権を確保する意図だっ

  たという議論などがあり、その意図や政治的・外交的影響については、なお論争がある。

米軍による占領・・・サンフランシスコ平和条約による独立回復?実質「占領」継続

日米安全保障体制の成立(1951~)と冷戦(米英vs.ソ連・中国)

※参考記事

 ◎「この部屋の中だけのお話でございます」昭和天皇の“過激な一言”…秘録に残る“戦争の恨”と“多

  くの人々への批判” 文春オンライン 河西 秀哉 によるストーリー 2023.8.15

 敗戦に関する昭和天皇の認識が垣間見える極めて貴重な証言。満州事変で結局は関東軍の暴走を追認

 した昭和天皇…しかしそのことには触れず、アメリカが強く日本を批判してくれたならば日米開戦は

 回避できたのでは…とアメリカ側の対応にもっぱら責任を転嫁している。張作霖爆殺事件への処罰が

 生ぬるかった田中義一内閣の時代が陸軍の増長を招き、戦争の拡大につながった大きな分岐点と天皇

 は認識。多少は自己責任に言及してはいるものの、昭和天皇に国家の最高権力者としての自覚と責任

 感がやや欠落していた点は否めないだろう。満州事変の際にも他国頼みの認識が天皇にあったという

 ことに注目したい。ただし、親英米派で海軍穏健派よりであった昭和天皇を軽視し、排除しようとい

 う動きすら陸軍の皇道派将校にはあったことも分かる。当時の昭和天皇が実際に発揮できたリーダー

 シップを過大評価してはなるまい。対米強硬派の伏見宮や秩父宮の存在が昭和天皇の立場をかなり微

 妙なものにしていた点は無視できない。天皇の戦争責任を考える際には昭和天皇の個人的責任に加え

 て天皇制を軸とする明治憲法体制の制度的・組織的欠陥に由来する責任も厳しく追及されねばならな

 い。問題は戦後日本がどの程度、明治憲法体制の制度的・組織的欠陥を是正できたのか、である。

4月28日“屈辱の日” 西銘沖縄担当大臣は

 2022/04/27 【琉球放送】RBC NEWS 1:09

 サンフランシスコ平和条約が沖縄の人々にどう受け止められていたのか、知っておくべきだろう。

沖縄県 国頭村・鹿児島県 与論町 4・28 を忘れない 絆を深めた歴史(沖縄テレ

 ビ)2022/4/28 OTV沖縄テレビ 9:38

予告編「海がつなげた、こころの絆」沖縄祖国復帰50周年記念事業映像

 2022/04/26 Yoron Island Japan 4:42

 

「原爆投下は正当だった」アメリカ人学生の言葉に日本人精神科医が返した言葉 

   現代ビジネス 内田 舞(医師・小児精神科医) の意見 2024.10.13

   敵国人であったとしても相手に共感できるかどうかは、とりあえず人間という生き物に対する深い理解と強い興味・関心が必須の前提条件となるだろう。

   2024年10月、ノーベル平和賞に日本被団協が選ばれた意義は大きい。これを一つにきっかけにして、これまでひたすらアメリカの言いなりになってきた日本政府の対米姿勢を少しでも変えられたら…と願うばかりである。

   授業では様々な観点から人間理解を深めることの意義を強調するとともに、戦後の対米屈従外交の経緯を知り、今後の日米関係のあり方を問いたい。

【外国人にインタビュー】広島で外国人観光客が伝えたいこと!アメリカ人ジャー

   ナリストの視点 インタビュー THE ワールド  2024/05/06  12:51

 最初のジャーナリストへのインタビューは大いに参考となるだろう。7:50までの視聴だけでも十分。

初の沖縄訪問で火炎瓶…「ひめゆりの塔事件」に見る、上皇ご夫婦の“沖縄への思

 い”【皇室アーカイブ】(2018年3月放送)|TBS NEWS DIG

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/05/03 3:06

 なぜ、沖縄で火炎瓶を投げられたのか…かつて昭和天皇がアメリカに対して沖縄の支配権を長期にわたって認める発言、いわゆる「沖縄メッセージ」があったことへ言及しないこの報道の姿勢については大きな疑問が湧いてくる。長年にわたるTBSの皇室報道に関するある種の忖度姿勢、偏向ぶりはマスメディア全体に対する不信感を強めるだけであろう。

 ※「沖縄メッセージ」とは、終戦から2年後の1947年9月19日、昭和天皇が側近の寺崎英成を通じ

  て、GHQ外交局長のウィリアム・ジョセフ・シーボルト氏に伝えたとされる昭和天皇の意向。

  1947年当時、天皇がアメリカによる琉球諸島の軍事占領継続を望んでいたことや、沖縄占領は日

  米双方に利益をもたらし、共産主義勢力の増大を懸念する日本国民の賛同も得られるなどと述べて

  いたことが記されていた。この発言は当然のことながら日本への復帰を望む沖縄の、多くの人々の

  気持ちを踏みにじるものであった。加えてそもそも天皇の政治的発言自体、その発言内容の是非を

  問わず、日本国憲法が施行(1947年5月3日施行)されていた1947年9月の段階では象徴天皇制を

  逸脱しており、明らかな憲法違反であった。

報道カメラマンが見た復帰の内実とは【沖縄本土復帰50年企画】(沖縄テレビ) 

 2021/08/27 OTV沖縄テレビ 6:52

 ひめゆり平和記念公園火炎瓶事件の写真撮影等、貴重な場面に立ち会ったカメラマンの証言は重く受け止めたい。

復帰50年…国会爆竹事件と沖縄の今【報道特集】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2022/05/22 22:49

【沖縄の怒りと苦しみ】「本土はずるい」55年前の言葉は今も 73歳の思い 

 『news every.』18時特集 日テレNEWS  2022/05/21  16:59

【沖縄芸人】基地問題をコントに...タブーを笑いに変える葛藤「いつまでも米軍基

 地があれば」2022/05/16 ABEMAニュース【公式】 9:32

 お笑いを武器に基地問題を風刺する人気劇団の存在は若者の目を基地問題に向けさせるうえで重要な役割を果たしているようだ。重く、暗くなりがちなテーマなだけに貴重な取り組み。ぜひ、授業で視聴させたい。

【復帰50年】沖縄本土復帰に配られる予定だった「記念メダル」はなぜ配られなか

 ったのか(沖縄テレビ)2022/5/12 OTV沖縄テレビ 6:22

Q.なぜ記念メダルは配られなかったのか?

Q.「真の復帰」とはどういうことか?

映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』予告編

 2022/02/16 OTV沖縄テレビ 2:04

 ウチナーの心はなぜヤマトンチューに届かないのか?導入として見せたい。

【インタビュー】平良いずみ監督「リアル沖縄が主題なんですが、まずは沖縄のフ

 ァンになって欲しいという思いで作った映画」/15歳の少女が語る基地問題ドキュ

 メンタリー映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』

 2020/03/27 マガジンサミット 17:15

Q.菜の花さんが沖縄の現状に「ちむぐりさ」を感じる理由は何だろう?

 ※なお、この箇所ではyoutubeの動画で登場する図表の中に授業で利用できるものが多く見ら

  れる。しかしブログでは著作権の観点から図表の紹介は公的な資料を除き、掲載を控えることにし

  ている。授業で利用する際はスクリーンショットで動画の画面の図表を写し取り、トリミングして

  図表を拡大するなどしてからプリントに印刷しておく必要があるだろう。

RBC NEWS「ミサイル観測機「コブラボール」異例の長時間飛行」2022/05/01

 2022/05/01 【琉球放送】RBC NEWS 0:37

Q.コブラボールが嘉手納基地から長時間飛行に飛び立った目的は何?なぜ、この時に

 ミサイル観測が必要とされたのか?

Q.嘉手納基地の主な役割は何?

 

・沖縄と核

返還50年 沖縄の基地と核兵器【報道特集】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2022/06/26 22:47

沖縄に生きて ~91歳の被爆者と「基地の島」~【ドキュメンタリー】

   広島テレビニュース 2023/07/19 

 沖縄にいる被爆者の問題に加えて沖縄と核兵器との関りが良く整理されている。どちらかと言えば沖縄における被爆者問題よりも沖縄における米軍基地と核兵器にかかわる映像の方が授業では利用価値が高いだろう。そこに限定して視聴させると良いかもしれない。

参考記事

日本国民に知られないように交わされた硫黄島「核密約」の具体的な中身

 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.8.26

 沖縄に先立って返還された小笠原諸島も密約を通じて沖縄同様に核基地の役割を担

っていた。「密約」が既に公表された憲法や条約などを遥かに超える力を持ち始めた

時、法治国家は形骸化し、政治への信用は失墜するはずなのだが…

日本国民に知られないように交わされた硫黄島「核密約」の具体的な中身

 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.5.30

なぜ小笠原諸島で「核貯蔵」が黙認されてきたのか…まったく不明だった「日米戦

 後史」の謎 現代ビジネス 酒井 聡平(北海道新聞記者)  2024.5.29

日本本土で実施できない米軍訓練が硫黄島で30年間行われている実態《すさまじい

 爆音は、島全体を揺るがすほど》 現代ビジネス

 酒井 聡平(北海道新聞記者) によるストーリー 2024.6.3

 沖縄返還に先立つ小笠原諸島返還時の日米密約において「核貯蔵」を日本は黙認していたようだ。これが沖縄返還時の密約にも踏襲されたと考えられよう。世界大戦発生の原因の一つとされて秘密外交の禁止が国際社会で叫ばれた戦後に、アメリカは相変わらず対米秘密外交を日本に対して強要していたようだ。硫黄島の問題は沖縄の基地問題の縮図としてあらかじめ触れておくと沖縄の現状への理解が一層深まるに違いない。

【原発と原爆】戦後日本の原子力問題 背後にあったアメリカの核戦略|ABEMAド

 キュメンタリー 2022/08/06 ABEMAニュース【公式】 54:18

 核問題、原発問題への隠蔽体質は民主党政権下でも牢固として変わらず。原子力への反発が強かった1950年代の日本の世論を僅かの間に原子力発電導入賛成に転じさせたのは一体、どういう人々だったのかが、問われるだろう。

有馬哲夫氏:正力松太郎はなぜ日本に原発を持ち込んだのか

 2011/06/26 videonewscom 6:22

阿波根あずさの沖縄観光チャンネル:衝撃的な内容の『沖縄と核』【#4 琉球・沖

 縄本レビュー】(2019/07/19) 13:32

・・・以下「沖縄と核」の記述も参考にポイントを列挙してみる。

・沖縄への核配備

 1953~54年、アメリカ政府(アイゼンハワー大統領)は敵対する中華人民共和国やソ連の脅威に対抗するため、ヨーロッパ及びアジアに核兵器を配備。沖縄ではまず伊江島が核戦略の中心とされ、核爆弾の投下訓練が繰り返されていく。背景には1954年3月のビキニ事件(第五福竜丸事件)による本土での反核運動の高まりがあった(翌1955年8月、広島で第一回原水爆禁止世界大会)。核戦争に備えて本土内に数多く配置されていた海兵隊は次第に沖縄への移動を余儀なくされていった。同時に核兵器も沖縄へ集中配備されていく。1957年にアメリカ文化情報局が日本人に対して行った調査で本土の人達の意識が沖縄への米軍基地配置に反発が小さいことを把握、1950年代後半、沖縄への米軍基地と核兵器の集中が加速されていった。

 ※1967年には沖縄の嘉手納基地中心に1300発ほどの核兵器が配備されていたという。

 沖縄への基地集中は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる強制的な土地の接収を伴い、農地や住居を失った住民の多くは困窮を極め、危険な演習場で薬莢や模擬爆弾を金属資源として回収して売りさばき、生活を凌ぐ者も多かった。中には爆発事故で命を落とす者もいたが、米軍の部隊記録には「・・・伊江島の二人のクズ鉄収集人が自業自得の死を遂げた」という冷淡な記述があるのみであった。

 他方で米軍の高圧的な接収に反発した人々は「島ぐるみ闘争」(1956年がピーク)を引き起こした。こうした事態に米軍は1958年、住民の不満に多少、譲歩することで軍用地の接収を容易にし、かえって沖縄への基地集中を加速させていた。しかもいつの間にか核兵器が本土などから沖縄に移され、沖縄は「核の島」と化していた。

 ※伊江島に関しての視聴覚教材にはRBC NEWS「阿波根昌鴻さんが写した伊江島住民の素顔」

  2022/02/21 【琉球放送】RBC NEWS 1:12、○戦後70年の地平から「伊江島での戦闘」

  2015/05/08 【琉球放送】RBC NEWS 8:26などがある。

隠されていた核事故

 1959.6.19那覇空港に隣接する基地に配備されていた戦術核(都市を壊滅させる攻撃的な戦略核に対して防御的、迎撃的役割を担う核兵器。この戦術核の登場はその使いやすさから核戦争へのハードルを下げ、かえって人類滅亡の恐怖を高めたとも言われる)の核ミサイル(ナイキ・ハーキュリー)が一基、水平の状態で誤射され、海中へ。沖縄ではただの事故として報道。しかし搭載されていた核弾頭は広島に落とされたものとほぼ同じ破壊力があった。もしも安全装置の不具合が重なり、核爆発を誘発すれば那覇市の過半が灰燼に帰す可能性は無きにしも非ず。当時の隊員の中には沖縄の人々に伝える必要があったと回想する者も。

 ※同年同月、現在のうるま市宮森小学校に嘉手納基地の戦闘機が墜落し、児童、住民合わせて18人が

  死亡、220人が負傷している。

・核兵器を楽しんだ子供達

 1967.1~3月読谷村の残波岬で核ミサイル(攻撃型核ミサイル「メースB」で1961年から配備が進んでいた。中距離弾道ミサイルで射程は2400㎞ほど。専ら中国の都市部やソ連のウラジオストクなどに向けられていた)の発射訓練が行われていたが、周辺の子供達は花火大会か航空ショーのような感覚でそれを楽しみにしていた。住民の誰一人としてそれが核ミサイルの発射訓練だったことを知らされていなかった(そもそもアメリカは国外に配置した核兵器の存在を肯定もせず、否定もしないという原則=NCNDを楯にして核兵器の機密保持と威嚇効果を狙っているので、沖縄に限らず、核兵器の情報の多くは基本的には公表されていない)。

 なお、沖縄には読谷村の他に勝連半島のホワイトビーチ、金武村(今は町)、恩納村にもメースBが配備された、各基地に8発のミサイルが備えられ、一発の威力は広島型原爆の50倍以上もあった。1962年のキューバ危機の際にはそれらのミサイルが発射寸前のスタンバイとなり、核ミサイルの一部は嘉手納基地からソ連と中国により近い韓国の基地に運ばれている。核ミサイルを運んだ元米兵はソ連や中国との戦争が始まれば真っ先に沖縄への反撃が集中的に行われ、沖縄が滅ぶことは不可避となると覚悟したとの証言を残している。当時、沖縄は世界最大級の核兵器基地であった。もしも沖縄への核攻撃があればアメリカ軍は自軍の核兵器の奪取を避けるべく、自ら沖縄の主要基地を爆破する作戦であったため、沖縄本島が完全な「焦土」と化してしまう可能性は決して小さくなかっただろう。

・核密約

 「核抜き、本土並み」、「非核三原則を沖縄にも適用」を口にしていた佐藤栄作首相(当時)は裏でアメリカに対して核兵器の撤去をお願いしたものの、国民には極秘で核兵器の再持ち込みは認めていた。2009年、佐藤の遺品整理で密約を記した記録が発見され、密約の存在が確認された。

Q.沖縄の核兵器は本当に撤去されたままなのか?

 A.一旦は撤去されたようだが、「一時的持ち込み」の可能性は否定できない。密約 

  と隠蔽ばかりで真相は藪の中。国民の知る権利は蹂躙されたままである。

Q.本土にも核兵器は保管、持ち込みされていたのでは?

 A.Yes.当然、その後も領海内や領空を核兵器は幾度も持ち込まれていると考える

  べき。残念ながら阿波根氏の見方は甘過ぎると言うほかない。実際、1966年に岩

  国基地で核兵器が保管されていたことが発覚し、1981年のライシャワー発言によ

  って核兵器搭載の艦船が日本の港に寄港していることは明か。 

  ⇒日米合同委員会というラスボス的存在が視野に入っていない。

中華人民共和国成立(1949年)⇒朝鮮戦争(1950~53年)、中ソ接近

サンフランシスコ講和条約(1951年)調印:吉田茂内閣

日米安全保障条約(1951年)・・・旧安保、日米行政協定、吉田・アチソン交換公文

 第1条「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およ 

  びその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」

 交換公文:日本は主権回復後も米軍への支援を義務づけられる

 「占領軍」から「駐留軍」へと名称が変わっただけで実質的占領状態は継続

Q.「米軍基地は日本国内のどこに配備できる?」

A.全土基地方式(日本国内ならどこでもOK)

Q.「その周辺とはどの辺りまでを指している?」

A.当時アメリカが念頭に置いていたのは沖縄、朝鮮半島、台湾、北方領土。

指揮権密約(1952.7.23)吉田首相と米軍司令官マーク・クラーク大将との口頭による密約。同様の密約が2年後にも結ばれている。

 ⇒戦争状態の下では自衛隊はアメリカ軍の指揮下に置かれる

 ⇒シビリアンコントロール(文民統制)の形骸化、日本の属国化

日米合同委員会密約(1953.9.29) 「日本国の当局は、所在地の如何を問わず米軍の財産について、捜索、差し押さえ、または検証をおこなう権利を行使しない」

 日米合同委員会:1952年発足。「日米合同委員会の研究」(吉田敏治 創元社)によるとアメ

  リカ側の言いなりで「密約製造マシーン」とも。本会議にはアメリカ側7人(内6人は軍人)、日本

  側6人(官僚)が出席。会合は月二回程度開かれる。話し合いの内容は国会に報告する義務も外部

  に公表されることも無い米軍が事実上の占領政策を続けるための、日本政府や裁判所を操る、不

  可視の「リモコン装置」的存在。この会議で決められた「密約」は国会や憲法をも上回る効力を持

  つという点で、明治憲法体制下の「憲法外機関」のような存在。国権の最高機関とされた国会が完

  全に無視されている事から日本は「半主権国家」、「半法治国家」に過ぎない。有事の場合には自

  衛他の指揮権が米軍に移るとされる現状の下で日本における「文民統制」もあり得ないし、三権分

  立などあり得ない。そもそも日米合同委員会自体、アメリカ軍のゴリ押しを実現すべく、日本の官

  僚が日本の法体系との矛盾を突かれないよう、表面的な帳尻合わせをしつつ密約を練り上げてい

  く、本質的な意味での対米従属機関に過ぎない・・・ということになる。

   今後、吉田氏や矢部氏の指摘が定説となれば、社会科教科書の記述は大幅に改められる必要があ

  る。カッパ個人としては吉田氏らの指摘でこれまでモヤモヤし続けてきた日本の戦後史の闇にパッ

  と光がさしてきたような感慨を覚えている。と同時に検定教科書への不信感が一層、増してきた。

  皆さんはどちらを信じられるだろう?

 ※参考記事

  ◎「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

   現代ビジネス 矢部 宏治の意見 2023.07.23

  ◎なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」

   現代ビジネス 矢部 宏治の意見 2023.07.23

  ぜったいに「米軍」にさからえない「日本の悲劇」…なぜ日本はこれほど歪んだのか

   現代ビジネス 矢部 宏治 の意見 2023.7.28

  【速報】「大東亜戦争」と表現のSNS修正 陸自部隊の活動紹介「誤解を招いた」

   FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.8

   沖縄の米軍基地が少しずつではあるが削減されつつある一方で、自衛隊の施設は急速に増えてき

   ている。自衛隊の体質に問題があるとすればこれは沖縄の新たな基地問題となりうる事象だろ

   う。自衛隊に潜むかもしれない、危険で古い体質から目を逸らせてはいけないことを今回の件は

   改めて気づかせてくれる。授業では「大東亜戦争」という呼称がなぜ問題視されるのか、生徒に

   考えさせることから始めたい。

 

 1953年以降、米軍基地建設のために「銃剣とブルドーザー」・・・強制的な退

  去と土地収用が本格化

・原発推進:「原子力の平和利用」の裏側

第五福竜丸事件(1954年)⇒本土での反米感情高まる⇒米軍基地、核兵器と海兵隊を

 沖縄へ集中させて本土の世論に配慮。しかし日本の核基地化と日本への原子力発電

 導入を推進していたアメリカとしては極めて困難な状況へ。

 そこで・・・1955年、正力松太郎、読売新聞を通じてアメリカの「平和のための原子力」キャンペーンに協力し、衆議院議員に当選。1956年、原子力基本法成立⇒

原子力委員会発足、初代委員長に正力就任。科学技術庁発足、初代長官に正力。原発建設地候補が横須賀から茨城県東海村に変更。1957年、岸信介内閣の国務大臣として原発導入を継続。

 正力は戦時中、大政翼賛会幹部で内閣情報局参与、貴族院議員、小磯内閣顧問等を

歴任し、戦後は岸信介らとA級戦争犯罪容疑者として拘留。しかし1947年にいち早く不起訴となり、釈放されるとたちまち「プロ野球の父」「テレビの父」(日テレ初代社長で、電通にも影響力)「原子力の父」と呼ばれる存在へのし上がる。背後にはCIA(テレビや新聞を通じてアメリカが都合の良いように日本人を洗脳する目的で岸や正力らをエージェントとして利用)がおり、やはりA級犯罪容疑者だった岸信介

児玉誉士夫博報堂に影響力)もCIAのエージェントとして登録されていたらしい。

 アメリカはソ連の急成長(1957年、「スプートニクショック」:ソ連、アメリカに先駆けて人類初の人工衛星打ち上げ成功)に焦り、日本を強力な「反共の砦」とすべく日本の再軍備と沖縄の核基地化を推進すると共に反共産主義キャンペーン、および原発導入推進キャンペーンを戦前から警視庁で活躍し、プロパガンダの得意な正力等に行わせていたと思われる。

 ※1955年9月、嘉手納基地の米兵が現うるま市の6歳の少女を暴行、殺害。

検証】第五福竜丸被ばくはアメリカの人体実験だった?ビキニ事件の真実|

 ABEMAドキュメンタリー 2022/08/13 ABEMAニュース【公式】 39:18

ジラード事件(1957) 群馬県で21歳の米兵が主婦を射殺⇒懲役3年、執行猶予4年

 の判決⇒2週間後には帰国(事実上の無罪判決)

・・・米兵は治外法権の対象

1954~64年にかけて米軍関係者による事件の受理人数は日本全体で48257人にのぼる。その内、

 訴されたのは2147人で全体の約4%に過ぎない。強姦ですら11%しか起訴されず、詐欺・横領・脅

 迫に至っては起訴率0%である。同時期の一般刑法犯の起訴率が45.4%なのでその10分の1にも満た

 ない。

アメリカ戦闘機墜落事故(1959) 宮森小学校に墜落、死者17人、負傷者220人

砂川裁判で東京地裁の判決:「在日米軍基地は日本国憲法第九条に違反」との判決が

 最高裁では「統治行為論」により覆される(1959)。実は事前に田中耕太郎最高裁長官がマッカーサー駐日大使(マッカーサー元帥の甥)と密会し、調整⇒最高裁長官自ら情報漏洩及び「司法の独立」を侵犯。実は日米合同委員会のメンバーが最高裁の判事となる慣例統治行為論は原子力発電の可否を巡る裁判などにも適用され、憲法の形骸化を「憲法の番人」たる最高裁自らの手で進めていた。

安保条約の改訂(1960年) 岸信介内閣:新安保、日米地位協定

 旧安保に無かった在日米軍の日本を守る義務が明記された。しかし実際は基地権密

 約などによって在日米軍に実質的な変化は見られない。

 「日米安全保障条約(旧)=日米安全保障条約(新)+密約

 「日米行政協定=日米地位協定+密約

 という方程式が成り立つようである(「日米合同委員会の研究」吉田敏浩より)。

 同書によるとアメリカ側はこうした条約改訂で日本政府のメンツをたてつつ、日米合同委員会での実務的詰めの作業を通じて「一歩後退、二歩前進」を図ってきたらしい。1968年と1973年、富士演習場が日本に返還された際も、返還は上辺だけで、年270日間は米軍が優先的に使用できるようになっており、しかも演習場の維持管理費等はすべて日本の負担とされたため、実際には米軍のメリットの方が大きいという。とすれば「日本とアメリカとの関係を対等なものにしていく」と言った岸首相の言葉も上辺だけの結果に終わっていると考えて良いだろう。

キューバ危機(1962)以降、核戦略の要に。対中国、ソ連を睨む要衝の地沖縄で人類

 存亡の危機がひそかに進行。

【ガレッジセール・ゴリ】“日本でもアメリカでもない時代の沖縄”を描いたワケ 

 2022/04/29 日テレNEWS 4:55

Q.沖縄の核と基地問題はどうなったか?

 

・本土復帰と核密約

【ガレッジセール・ゴリ】“復帰っ子”から見た沖縄本土復帰50年

 2022/05/16 日テレNEWS 3:24

沖縄復帰50周年 屋良朝苗と復帰運動の歩み(沖縄テレビ)2022/04/07 OTV

 沖縄テレビ 8:29

機密文書から読み解く日米の思惑 沖縄返還交渉【本土復帰50年企画】(沖縄テレ

 ビ)2022/01/07 OTV沖縄テレビ 8:02

 参考文献

  「徹底検証 沖縄密約~新文書から浮かぶ実像~」藤田直央 朝日新聞出版 2023

復帰50周年】不条理が続く沖縄県民 主権はいつ帰ってくるのか(沖縄テレビ)

 2022/04/14 OTV沖縄テレビ 9:14

「へいりの様に踏みにじられた」建議書 沖縄復帰50年、変わらぬ願い

 2021/11/23 毎日新聞 6:53

昭和のノーベル賞 非核三原則・沖縄返還などで日本人初の平和賞 佐藤栄作氏

 (1974年)【映像記録 news archive】2021/10/08 ANNnewsCH 9:23

外務省元高官が法廷で沖縄返還での密約の存在認める(2009/12/01) 

 ANNnewsCH 1:29

「核兵器めぐる日米密約は存在した」岡田外務大臣(10/03/10) 

 ANNnewsCH 1:50

沖縄返還「密約文書」不開示が確定 最高裁 西山元記者らの上告棄却

 2014/07/14 KyodoNews 2:46

【復帰50年】茨の道だった沖縄返還の時代の言論の自由を守るために闘った記者

 (沖縄テレビ)2022/5/17 2022/05/18 OTV沖縄テレビ 8:43

 ここでの導入としてはこの動画が使いやすいだろう。

西山太吉×宮台真司×神保哲生:偽りの沖縄返還を暴いた伝説の記者・西山太吉の遺言【ダイジェスト】 2022/05/14 videonewscom 10:33

衆議院で“復帰50年決議採択 基地負担軽減など政府に求める

 2022/04/28 【琉球放送】RBC NEWS 1:10

【世界一】具志堅用高が語る沖縄と本土「先輩は本土でアパートが借りられなかっ

 た」 2022/05/16 ABEMAニュース【公式】13:01・・但し7:10でカット

 返還後に変わった事とは何か、が生々しく語られているが、変わらなかった事についてはほとんど語られていない。

 

特集「沖縄返還を巡る問題点」

 佐藤栄作は当初、日中国交回復に熱心であり、沖縄返還にそれほどの関心は無かったと言われる。佐藤が沖縄返還に拘るようになったのは師と仰ぐ吉田茂の助言があったようだ。自民党総裁選で争う相手は経済政策で実績のあった池田勇人であり、池田に対抗して佐藤の独自色を出すには失われた国土の返還という愛国心を刺激する沖縄返還こそ、最適のスローガンだと佐藤も考えるようになったらしい(「沖縄50年の憂鬱~新検証・対米返還交渉~」より。以下も同書を参考としている)。

 1965年、池田の病死によって首相になった佐藤は早速、沖縄を訪問して「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、我が国にとって戦後が終わっていないことをよく承知しております。」と沖縄返還を公約する大胆な宣言を行った。ただし佐藤の狙いは決して沖縄の人々を喜ばすことではなかった。彼が最も恐れていた事態は兄岸信介が苦心して改訂した日米安全保障条約を見直しする1970年にあった。その時、50年安保の時と同様に再び安保闘争が高まり、左翼政党の台頭によってついには政権与党の座から自民党が滑り落ちてしまう・・・これこそが避けなければならぬ最悪の事態。この事態を回避するには国民の支持を集められる沖縄返還協定の締結を安保見直しまでの日程に上らせておく必要があったのである。

 アメリカ側としても反共産主義で親米派からなる佐藤政権は好ましい存在であり、日米安全保障体制の継続は沖縄の施政権維持よりも遙かに重視すべき課題であった。また沖縄での反米感情の高まりに苦慮してきた軍部内でも沖縄基地の移転論が出現していた。すなわちアメリカ側にも沖縄返還を巡って佐藤政権との交渉の余地が生じていたのである。佐藤は専らこの流れに乗って沖縄返還の手柄を挙げつつ、政権の維持を目指していたと言って良いだろう。

 佐藤の狙いに水を差したのはむしろ日本の外務省であった。当時の外務省は情報収集を怠っていたせいかアメリカの変化に気付かず、沖縄返還の可能性を低く見積もっていたらしい。結局、佐藤は返還交渉に後ろ向きだった外務省を見限り、沖縄問題等懇談会を1966年に創設。やがて若泉敬ら、密使を重用することになる。

 1967年時点で沖縄からすべての核兵器を撤去しても軍事的なダメージはない、とマクナマラ国防長官は述べているように、アメリカでは既に沖縄の施政権返還を「核抜き本土並み」という現実的な路線に据えて考えていた。佐藤が「核抜き本土並み」を口にしたのは1969年3月の事であり、これは密使の若泉敬がアメリカで収集した情報に基づき、佐藤が決断したもの。アメリカが率先して動き、それに日本が追随する形で沖縄返還交渉は進んでいたのである。

 佐藤自身は「相手が核を持ったならば、みずから核を持つのは常識的なことである」と1965年12月に発言しているように、根っからの反核論者ではなかった。しかし1969年1月、知日派のニクソンが大統領に就任すると沖縄返還交渉は加速していき、「核抜き本土並み」の返還交渉がアメリカのペースで詰められていく。受け身に立たされた日本は交渉の場でのしたたかな自己主張を欠き、「専守防衛」の原則を揺るがす決定を強いられていく。米軍による沖縄への核の再持ち込みと沖縄基地の自由使用である。

※その結果、自衛隊の役割は専守防衛から国際貢献に重心を移し、とりわけ対米貢献が主たる任務にな

 りつつあるようだ。特に安倍政権下での特定秘密保護法(2013年、武器輸出三原則の撤廃(2014

 年)、集団的自衛権の行使容認(2015年)はいずれもアメリカの要請に従ったものであり、日本は

 対米追従の度合いを強める一方となっていると言えよう。

 他方、佐藤政権は70年安保を見据えて沖縄の早期返還と核兵器の撤去を優先するあまり、核の再持ち込みなどの密約を飲まされてしまったようだ。1969年11月、日米共同声明で「1972年の沖縄核抜き本土並みの返還」が発表され、返還を喜ぶ声にかき消されたかのように70年の安保闘争は60年安保ほどの広がりを持つことは出来ずに収束する中で1970年6月、日米安保条約の自動延長が決定する。

 1971年(昭和46年)6月、沖縄返還協定が調印され、7月にキッシンジャーが訪中して米中間の対立が緩和された。11月17日、屋良朝苗の米軍基地削減を求めた建議書は日の目を見ること無く、返還協定は強行採決され24日、佐藤栄作は最終的に非核三原則を沖縄にも適用させるべきと決断。衆議院で沖縄返還協定の付帯決議として「非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議」を議決した。

 1972年5月15日、沖縄、本土復帰。翌年、復帰を記念して沖縄特別国体開会非核三原則を示したことによって1974年(昭和49年)に、佐藤栄作はノーベル平和賞を受賞した。受賞理由と佐藤の実態との乖離から、ノーベル平和委員会が発行した記念誌の執筆者の一人であるオイビン・ステネルセンは「佐藤氏を選んだことはノーベル委員会が犯した最大の誤り」とのちに見解を述べた。実際、2009年(平成21年)になって沖縄に核兵器が持ち込まれていた事実が佐藤氏の遺品整理中、明らかになっている。非核三原則を表明した佐藤栄作は1969年(昭和44年)1月14日付で米国政府に送った公電で「非核三原則はナンセンスだ」と発言したことが、アメリカの公文書から明らかになってもいる。「核の持たず、つくらず」は堅持した上で「核の持ち込み」については日本の領土に配置を認めないが、日本の領海において寄港や通航を認めることを「非核二・五原則」と揶揄することがある。

・国是としての非核三原則の歩み

 1957年(昭和32年)に岸信介(安倍晋三の祖父)内閣総理大臣が「私はこの原子部隊を日本に進駐せしめるというような申し出がありました場合においても、政府としてこれに承諾を与える意思はもっておりません」と国会で答弁し、核兵器を装備した部隊の日本駐留を拒否する答弁を行った。

 核の持ち込みについて、日本政府は以下のような表明を行っていた。

・岸・ハーター交換公文において、日本への核の持込には事前協議が必要。

・事前協議が行われたことは一度もないので、核が持ち込まれたことも無い。

・事前協議があれば核持ち込みを拒否する。

 この見解は、1960年に旧安保条約から新安保条約へと改訂した際に、横路節雄の質問に対して岸内閣の防衛庁長官であった赤城宗徳が行った答弁から一貫して続いていた。1967年(昭和42年)に佐藤栄作内閣総理大臣が「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を打ち出し、衆議院において非核三原則を遵守する旨の国会決議が行われた。それ以降の歴代内閣は三原則の厳守を表明しており、非自民首相であった細川護熙、羽田孜、村山富市も遵守を表明していた。

 アメリカによる核の持ち込みの可能性について日本政府は「事前協議がないのだから、核もないはず」としてきたが、「核を持ち込ませず」が実際に守られていたかどうかは疑わしい点が多い(事前協議を行えば拒否されるのは明白だからそれさえもしない可能性がある)。日本政府は自国民にもあからさまなウソを堂々と繰り返し公言してきたということになろう。

 佐藤の密使を務めたとされる若泉敬が「1969年(昭和44年)11月に佐藤・ニクソン会談後の共同声明の背後に、有事の場合は沖縄への核持ち込みを日本が事実上認めるという秘密協定に署名した」と1994年に発表した著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』で証言した。

※若泉 敬(わかいずみ けい:1930年3月29日 –~1996年7月27日)は、日本の国際政治学者。沖縄返

 還交渉において、佐藤栄作の密使として重要な役割を果たしたとされる人物。「核抜き・本土並み

 返還の道筋が見えてきたところ、日米首脳会談直前の1969年(昭和44年)9月30日、国家安全保障担

 当大統領補佐官のヘンリー・キッシンジャーより、「緊急事態に際し、事前通告をもって核兵器を再

 び持ち込む権利、および通過させる権利」を認めるよう要求するペーパーが提示された(なお、密使

 としての活動で、若泉はコードネーム「ヨシダ」、キッシンジャーは「ジョーンズ」を用いた)。同

 年11月10日 - 11月12日の再交渉で、若泉は「事前通告」を「事前協議」に改めるよう主張、諒解を

 得る。この線で共同声明のシナリオが練られることとなり、11月21日に発せられた佐藤=ニクソン共

 同声明で、3年後の沖縄返還が決定されることとなった。

  なお若泉は極秘交渉の経緯を記した著書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文藝春秋、1994年)に

 おいて、核持ち込みと繊維問題について作成した日米秘密合意議事録の存在について触れている。同

 書によれば、佐藤とニクソンは、ウエストウイング・オーバルルーム隣の「書斎」で、二人きりにな

 って署名したという。この覚書は佐藤により持ち去られ、のち2009年(平成21年)に本人宅で発見

 された。『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』の上梓後、6月23日付で沖縄県知事・大田昌秀宛に「歴史

 に対して負っている私の重い『結果責任』を取り、国立戦没者墓苑において自裁します」とする遺書

 を送り、同日国立戦没者墓苑に喪服姿で参拝したが自殺は思いとどまった。

  その後、『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』英語版の編集に着手。完成稿を翻訳協力者に渡した1996

 年(平成8年)7月27日、福井県鯖江市の自宅にて逝去(享年67)。公式には癌性腹膜炎ということ

 になっているが、実際には青酸カリでの服毒自殺だった。若泉の自殺の報を聞いた大田昌秀は「核密

 約を結んだことは評価できないが、若泉さんは交渉過程を公表し、沖縄県民に謝罪し、『結果責任』

 を果たした。人間としては信頼できます」とコメントしている。

沖縄返還交渉:アメリカ政府と日本政府との裏取引・・・核密約

   「持ち込ませず」に疑問符、

 新安保条約の自動延長と沖縄・70年安保と学園紛争の敗北

  ⇒学校教育から政治色一掃(→政治学習の空洞化=主権者意識の後退)

   国防や安保を論ずることのタブー化→低投票率

  →組織票の比重大→自由民主党有利

  ⇒自国の防衛問題をアメリカと沖縄に丸投げ→安全保障体制の見直しが進まず、 

   防衛問題は他人事へ、沖縄の基地問題の不可視化、他人事化

安保闘争・反米闘争の衰退→なし崩し的な再軍備

  ⇒「日本における米国の好感度調査」(時事通信)によると

   1970年代の前半24%→1970年代の後半30%

    →1980年代前半39%→1990年代前半43%

    →2000年47%・・・アメリカの好感度は順調に上昇

Q.安保タダ乗り論についてどう思うか?

Q.本土にも核兵器は持ち込まれてきたのではあるまいか?

Q.日米安全保障条約を見直すべきか?

Q.日米地位協定を見直すべきか?

Q.自衛のための先制攻撃は可能か?

Q.憲法第9条の改正は必要か?

Q.非核三原則を見直すべきか?

※参考記事

「マイノリティーは存在しない」から四半世紀たっても…国連の勧告を突っぱね続

 ける日本 「今こそ学び直して」東京新聞 2024.6.17

 一体いつになったら日本は「人権後進国」の汚名を晴らせるのか。アイヌや沖縄への偏見、差別がどこに由来するのか、考えさせたい。

ロッキード事件を捜査した“カミソリ検事”堀田力氏が衝撃告白「P3C関係のやつは

   聴くなという、それが唯一の、尋問について私どもが受けておった命令です」

   「文藝春秋」編集部 によるストーリー 2024.10.10

   東京地検検事へのこの圧力が一体、どこからかけられていたのか…いずれにせよ日本が真の主権国家であることが疑われるのは、こうした件がいくつも存在しているからだろう。

 

※参考文献

・「沖縄50年の憂鬱」河原仁志 光文社新書 2022

 沖縄返還交渉の裏側で何が起きていたか…

・「在日米軍基地」川名晋史 中公新書 2024

 国連軍基地を兼ねた米軍基地の問題、という斬新な視点が極めて興味深い。

 

§7.「なぜ教員の質が低下しているのか」(朝比奈なを 朝日新書 2025)を読んでみた

 

 教師にとって日本の公立学校の現状を理解する上で極めて貴重なデータ、大切な指摘が数多く登場し、現役の教師としてはぜひ、読んでおくべき良書の一つであるが、今や、多くの教師は本一冊読むことすら、大きな負担を感じてしまうに違いない。そこでお忙しい皆様の参考とすべく、以下、本書の内容の一部をかいつまんで紹介し、自分の感想を少しだけ付け加えてみた。

 なお、重要なポイントとなる朝比奈氏の指摘、事柄は太字、特に重要な箇所は赤字で、自分の感想は緑字で記しておく。

 

 2023年度小学校218238人(前年より約2万1千人増)、中学校275202人(約1万1千人増)、高校104814人(約1万8千人減)。高校では三部制の定時制など(2024年度定時制入学者7万1662人)や通信制高校への入学者(2024年度在籍数29万87人。ただし進路先未定のまま約3割が高校卒業している、といった問題点も)が増大し、不登校生徒の多くを吸収しつつある。

 ヤングケアラー日本語を理解できない保護者のサポートで長欠する児童生徒が増大。他方で「隠れ不登校」(欠席扱いされない児童生徒の増大)も約5万人。つまり2023年度の小中学校の不登校数は実際には概数として約55万人に及ぶと推測できのでは?

 また小学校低学年及び中学年の不登校が急増。くわえて不登校期間の長期化重症化年間の登校日数が約200日の内、90日以上欠席する児童生徒が2019年度小中学校で約1万人だったのが、2023年度には約1万9千人とほぼ倍増)が進んでいる。

 原因としては学校の制度が現状の社会と酷くミスマッチ。共稼ぎ世帯が専業主婦世帯の約2.2倍となり、子どもを朝、起こせない…放課後も面倒を見られない(…学童保育の遅れ)家庭が増加。母子家庭の場合、母親の半分以上は非正規雇用で平均年収は236万円(父子家庭は496万円)であり、過重労働、貧困に直面

 学校設備の老朽化、破損に加えてエアコンや洋式トイレ設置の遅れも公立学校を忌避する傾向を助長。

 2016年の教育機会確保法により、「不登校は問題行動ではない」旨が明記され、登校圧力が低下し、「学校からの逃走」が容認される。

 教職のブラック化による対応力の低下。2004年の「発達障害支援法」、2014年の「障がい者権利条約」の発効により、学校には子どもの適性に応じた配慮や支援の義務があるとされた。こうした動きの延長線上に「教育機会確保法」が2016年に成立。2023年には「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」プランがまとめられる。これらの措置は結果的に教師の職務を激増させる。

 保護者の学校や教師への評価の低下、むしろ不信、不満が増大。にもかかわらず、教師側には保護者の心情への理解が足りず、学校教師への不信感に鈍感となるか、「モンペア」(2007年以降、頻出。その出現は既に1990年代後半から)の一言で保護者を括り、ひたすら敵視して反発するだけ。

 かつて学校や教師への敬意を欠き、強く反発してきた校内暴力世代に属する保護者の間でとりわけ教育サービスの消費者という意識が優勢になり、学校や教師への過大な要求と不満が過剰に噴出。加えて新自由主義の蔓延が保護者の消費者意識を高め、子どもたちの教育へ教師と共に関わろうとする意識が希薄になってかつての協力関係が崩れてしまった。結果的に保護者対応が教師の最大の重荷に。2023年の奈良県教育委員会の調査では教職員のストレスの源のトップに過大な業務量と保護者対応が並ぶ(小学校では保護者対応、中高では過大な業務量がストレスの原因のトップ)。→スクールローヤーの導入2010年代の半ばから始まり、2020年度からは財源措置導入)、PTA、子供会の衰退

 教員もまた教育への情熱を失い、学校から距離をおくように。加えて教員不足(2000年代には表面化)の進展、非常勤職員による穴埋めも種々の問題を引き起こす。教員不足の背景には児童生徒数ではなく、学級数に応じて増減する教職員の定数を定めた義務標準法の欠陥も。加配は一定程度認められているが、現状では予算のハードルが厳しく、申請の手続きも煩雑。

 …教員にとってより負担の大きい「個に応じた指導」を長年求め続けておきながら、一学級の子ども数を減らして教員定数を増やす努力を怠ってきた教育行政側の責任は重大。すなわち1980年代から延々と続けられた闇雲な行政改革こそが公務員の削減と義務教育費の削減をもたらし、学校の疲弊を招いた張本人であろう。

 しかも学校には福祉(障がい者の学び保障)業務や危機管理(災害時の避難場所)業務、消費者教育、金融教育、英語教育、IT教育、探究学習などの教育職務が情け容赦なく続々と加わる。その都度、無意味な官製研修が増えていき、学校現場の疲弊を進めていく。その中で最大の噴飯物は教員免許更新制の導入であった。これでついに教員側の堪忍袋の緒が切れ、我慢の限界に達した教師たちの間で教職への熱意、意欲が一気に萎えてしまったケースは極めて多いはず。

 さらには団塊世代の大量退職後、世代間のアンバランス(40代と50代の前半が少なく、20代、30代が多い)が一気に表面化し、教師たちの助け合いのもととなるチームワークが崩れてきた。若い教師の割合が増えることで産休、育休も増え、代替教員を見つけられないことによってその穴埋めが一般教員に割り振られ、教職の「罰ゲーム」化が進む。そこに副校長、主幹教諭などの新設による教員の階層化まで進み、職員集団の分断、挙句の果てに新任教師の孤立までも加速。今や仕事の押し付け合いによる若手教員の早期退職、安易な使い捨てが学校現場では日常的となりつつある。多くの公立学校の実情はもはやかつてのブラック企業そのものと言って良い。

 教員採用試験の倍率低下に伴う、教師の学力低下も加速している。地方によっては定員割れの状態が出現し、教師の質を維持できなくなっている。不足するのは教員の「量」だけではなく、「質」もまた足りなくなっているのだ。教員による不祥事の連発はそのことを雄弁に物語っている。もちろん学校のブラック化が公然とした事実として世間に周知されるにつれ、教員志望者が若者の間で減少するのは不可避である。

 こうした事態を招いた責任は専ら教育や福祉を軽視してきた国政、とりわけ問題だらけの教育行政側にあり、マスコミの報道ぶりに問題を見出す朝比奈氏の指摘は核心からズレているように感じる。また若者が教職を忌避する傾向が出てきたのはお粗末な教育行政がもたらした当然の結末であり、若者たちの進路選択はむしろ概ね正しいと言って良い。したがって「社会が若者に教員になることを俊巡させている面が大いにある」(P.133)と私は思わない。仮にそうだとしてもここで言うところの「社会」とは専ら政治・行政の方であり、マスコミの方ではあるまい。

 しかし「教員志望者を増やすためには、給与を上げ、仕事を精選して労働条件と環境を改善するしか方法はないと断言できるという指摘は問題の核心をついており、全面的に支持する。

 ただし「学校には子どもの成長に配慮した施設、設備、教材が備わっており、また、大学で教職課程を学び、教育実習を経て教員となった人の専門性は高い」(P.146)という記述はこれまでの朝比奈氏の指摘と完全に矛盾しており、個人的には違和感しか覚えない。

 P.172~173の記述にある通り、教員免許取得において一番重要な教育実習の期間が日本の場合、極めて短く、不十分。さらに教員免許取得に大学院卒を求める北欧と比べれば、日本の教師の専門性は決して高くはあるまい。まして朝比奈氏自身が指摘されているように現今の教員採用試験の倍率低下によって、教員の質自体、全体的な低下を余儀なくされている。そして日本の公立学校の施設は地域によっては不備だらけであり、老朽化も進んでいる、と本書のP.47~52で自ら指摘されているではないか。

 この論理的矛盾は決して小さくあるまい。本書に垣間見られる論理の揺れ、矛盾はもしかすると朝比奈氏が長年抱えてきた学校教育への素朴な信頼感がもたらしてしまっているのではあるまいか。

 公教育が必要悪として本質的に抱えざるを得ない負の側面(集団主義的社会化、資本主義的人材育成と選抜機能…)を完全に否定するわけにはいかないだろうが、かといって無条件に肯定して良いものでもあるまい。公教育が抱える負の側面と正の側面とのアンバランスを日本の現状の中でどうバランスよく調整していくのかが、教育問題を話題にする際には常に問われていると思うのだが、いかがか?

 

 …とは言え、本書の終わりの方で教職を担当している大学の教官の言葉として「現代社会と自分の生活がどんな関係を持っているかを考えない学生が多い」という、「現代社会」を担当してきた元教師としては実に耳の痛くなる指摘があった。これは高校での授業に際して、多くの教師が「現代社会」という科目の果たすべき本来の重大な役割に十分な関心を向けてこなかった証拠だろうと個人的には感じた。40年余り前に設置され、今は消滅してしまった、極めて画期的な意義を持つはずの科目が、おそらくはその目的を不十分にしか果たせずに消滅してしまった…その責任の過半は私たち、当時の社会科教師にあるに違いない。

 「現代社会と自分の生活」との関係性を考える材料として学校そのものを授業のテーマとして教材化する試みを個人的にはしてきたが、限界は大きかった。この点はいまだに慙愧の念に堪えない。これまでの高校社会科の授業の至らなさが、今時の教育実習生の「現代の学校教育に問題意識を持ち、それを踏まえて、子どもたちにこのように接してみたい、このような授業を行ってみたい…」(P.235)といった意欲に欠ける側面が生じてしまっているのだろう。また教育実習生に「学校現場の現状是認型の姿勢」(P.236)が一定数、見られるのも、「現代社会」の授業が不発気味に終わっていた証拠かもしれない。もちろん、これは大学での教員養成の問題でもあろうが…

 こうした問題点に絡んで「教員の資質向上の掛け声の下、教員の養成、採用、さらに教員になった後の研修の全てに関して教育委員会の関与が大きくなっている」(P.237)との指摘は実に慧眼である。おそらく今後、日本の学校では全国的に「教育行政に対して、それを容認する姿勢を持つ教員しか存在」(P.237)できなくなる可能性は極めて高い(千葉県の場合は古くからそういう人事だったが)だろう。

 2000年代以降、教員養成が「その時点での学校現場で必要とされる実戦的な知識や技術の育成が主眼とされ」、その結果、「教育制度や行政への批判的精神は育たず、教育の本質に関する深い思索も行われない現状是認型の育成」になっていることへの強い懸念も表明されている。

 さらには朝比奈氏が指摘するように、「人材」という言葉が多用される教育が新しい「国家主義」に向かい、将来、富を築くスキルを教える教育の強調が新しい「立身出世主義」につながる危険性もまた大いにあるだろう。

 最後に本書で登場した、80年近く前、ある教育実習生が記した以下の文をぜひ、熟読玩味したい。

 …既に獲得すべき目的を地位や冨に置くならば、そして、これらのものが有限であるならば、当然にそれの獲得は修羅の巷を現出せしめずには置かない。日本の社会が持つ落ち着かざる慌ただしさは、ここに原因が存する。立身出世主義は最広義に於ける物質主義に属し、判然として理想主義に対立する…(P.276)

 

参考記事

高2自殺 学校がいじめ報告書拒否 裁判で担任教諭「認識なし」証言

     朝日新聞社  2025.12.16

 …第三者委は18年11月、男子生徒に対する腹の音に結びつけたからかいなどをいじめと認定。「少なくとも中学3年時以来のいじめを主たる要因としつつ、これに起因した心理的な孤独・音に関する過敏な心理状態、教師からの理不尽な指導、学習に関する悩みや焦りなどが相互に作用し合って自死につながったものと考える」と結論づけた。だが、学校側が受け入れを拒否し、両親が22年に提訴した。…

 この件の突出した異様さは上記に示された、遺族の提訴に至るプロセスのゾッとするほどのグロテスクさに現れているだろう。学校側が第三者委員会の報告書を受け入れ拒否する、という前代未聞の冷徹な対応、当時の担任の、恐ろしいほどのイジメ認識への欠落、「いじめ防止対策推進法」の理解度については「読んだことはありますが、細かく把握できていなかったかもしれません」とまるで他人事のような、あからさまに乾ききった証言…

     自殺にまで至ってしまった事の重大性についてひたすら「我関せず」という、開き直りとも受け取れるような冷酷で鈍感な対応…当該教師の発言や対応からは教育に関わる者として最低限に必要とされるだろう資質の欠片すら、微塵も感じ取ることができない。この教師を雇い続けた学校側の経営責任まで厳しく問われるべき、異常な事件だと思うが、いかがだろうか。

独自取材|仙台育英いじめ被害生徒「本当のことを知ってほしい」何度も自殺未

     遂、ようやく始まった調査 “声が届かなかった2年半”“訴えても動かなかった学校”

     とサッカー部指導者の対応     FNNプライムオンライン 2025.12.13

 …学校側は、再質問状に対する12月3日付の回答書で、「特定の個人に関する内容のため回答は控える」としたうえで、「公式見解はホームページに公表している通り」としています…という。これはまさに個人のプライバシーの保護を盾にした、イジメ案件に対する典型的な隠蔽工作がこの学校にもいまだに根強くはびこっていることを予感させる。

 問題のあったサッカー部への学校側による対応は監督および部長の辞職、全国大会への出場辞退、という、それなりの厳しさを感じるものではあった。しかしこれだけでは「トカゲの尻尾切り」の印象を免れまい。このイジメ問題が長期にわたって継続してしまった大きな原因は、決して特定の人々による不適切な対応の積み重ねだけではないはずだ。

 ここまで問題がこじれてしまった背景には多くのスポーツ名門校が共通して抱えている、根深い構造的、体質的問題が潜んでいるに違いない。今夏の夏の甲子園大会でも似たような問題が他県で露見したばかり。しかしその教訓はおそらくスポーツ名門校に内在する構造的問題に阻まれ、相変わらず十分に生かされていない…と感じざるを得ない。

 スポーツでの実績を宣伝材料にして生徒集めに狂奔する余り、学校の印象を悪くするような事態は出来るだけ表に出さずに隠蔽しようとする…こうした学校経営者側の姿勢はこれまでも数多く見られてきた。似たような不祥事を繰り返さないためにも、経営者側には任命責任が厳しく問われなければなるまい。一体、誰がこうした不祥事を招くような監督、部長を任命してきたのだろうか…どう見ても学校側の組織運営上の責任は決して軽くないはずだ。

教員1,400人調査、やりがい8割超も「多忙」が課題トップ リシード 2025.11.25

教員の“精神疾患による休職”7000人の時代 「働き方改革だけでは解決しない」理由

     とは?【専門家に聞く】 AERA DIGITAL 塚田智恵美 2025.11.25

 この対応はただの対症療法の一つに過ぎない面もあるだろう。大きな原因は教師の職務の質と量があまりにも過剰である点にあると考えるがいかがか。対策はこの点の改善に最大の比重を置くべきだと考える。大胆な業務量の削減こそが真っ先に急がれるべき課題の中心であり、この視点から目を逸らすような問題点の指摘は、何よりも深刻な教員不足の解消を急ぐべき現時点では好ましいとは思えない。

 確かに多くの教育問題が「働き方改革だけでは解決しない」問題であることは事実だが、仕事量の大幅な削減を軸とする「働き方改革」を改革の先頭に置かない限り、すべての改革は水泡に帰するだけであろう。ただでさえ、「教育改革」という、教師の負担をひたすら重くする「改革」の呪縛に長く苛まれてきた教師たちなのである。教師たちの教育行政への不信感がいかに大きいものなのか、行政側はまずしっかりと認識すべきなのだ。

教員も実感、小学校で「暴力行為18.6%増」の深刻 

     東洋経済オンライン 松尾 英明 2025.11.13

 今、なぜ小学校や中学校での児童生徒による暴力行為が増加してきているのか、その原因は単純に特定できるものではないだろう。松尾氏が指摘するように大人の指導力の弱体化という側面があるのは確かに否定できない。とはいえ、「目には目を」のように暴力には力で対抗する…といった対応がはたして暴力行為の沈静化にどこまで効果があるのかは、極めて疑わしい。

 たとえば「叱る大人がいない社会では、子どもが「悪いことをしたら叱られる」という当たり前の構造を学べません。叱られて悪いことをやめようとする子どもに暴力が横行することは、本来あり得ないのです。」という指摘は正しいのであろうか。

 かつて校内暴力が吹き荒れた時代、学校は運動部顧問、体育科教師を中心にして厳しい生徒指導を行うことで事態の鎮静化を図った事は事実である。その結果、校内暴力の沈静化は実現できたと言えるが、他方で「イジメ」や登校拒否の問題が新たに浮上してきた。つまり下手な管理主義をとったとしても別の問題が浮上するようではただの「モグラたたき」に過ぎないのかもしれない。実際に過去の校内暴力件数や学校での暴力件数の統計を確認してみよう。

 まず校内暴力の件数は1981年がピークであることが分かる。例のテレビドラマ「金八」シリーズの第一弾が1979年10月から1980年3月まで。確かにこのテレビドラマが校内暴力を多少とも誘発した側面がある、との工藤勇一氏らの指摘もあながち間違ってはいないだろう。

 次に今から30年ほど前の、暴力件数が急増してきた頃の文科省の統計を見てみよう。この時代には小学校と高校での暴力件数が統計に加わってきている。また典型的な対教師暴力を中心とした「校内暴力」よりもかなり広く学校での暴力行為を捉えるようになったようで、昭和での校内暴力の発生件数と単純な比較はできないが、暴力案件の増減の動き程度はある程度、捉えることができる。この段階ではまだ中学校での件数が小学校や高校に比べて圧倒的に多い。

 最後にこの記事で取り上げている直近のデータを見てみよう。平成20年を境にして暴力件数が増大している。と同時に中学校の件数を小学校が上回り始めている。この変化をきちんと説明できる材料は今のところ不十分なものしかないと考えるので、これについてのコメントは控えたい。

ただ現段階を含む学校での暴力件数のピークは3つ存在している。ただし、それらの内、現在の状況に関しては現在進行中の現象なのでそのピークが来年度以降になっていく可能性もある。つまり現段階ではピークを迎えつつある、という表現にとどまるだろう。

 以上を踏まえて学校での暴力案件(校内暴力を含む)の推移を見ると、一つの仮説が思い浮かぶ。まず二番目のピークに関しては校内暴力の時代の生徒らが成人して親になり、その子供たちが小学校から中学校に在籍する頃合いである点にまず注目したい。つまり二番目のピークをもたらしていたのは校内暴力世代のジュニア世代であるということ。また三番目の暴力件数急増には校内暴力世代の孫世代にあたる児童生徒が数多く関わっている可能性もある。

 私自身の経験から見ても勤務校が荒れだしたのが、二番目のピークに相当する、すなわち「校内暴力ジュニア」世代が高校生となり始めた頃とピッタリ重なるタイミングであった。そういう経験も踏まえると、現状の件数増加は親世代における反学校的文化の次世代への継承が背景に潜んでいるのかもしれない。

 以上はかなり不確かな仮説に過ぎない。こうした分かりやすい世代論には落とし穴がつきものではある。しかし、ここで管理主義を強めることが問題の解決には必ずしもつながらないのでは…という小さからぬ懸念を、以上のような観点も加わって、この記事から感じとった次第である。

学力は同じなのに…大学受験の合否を分ける「学校の先生」問題 ダイヤモンド・オンライン 孫辰洋 2025.11.27

 こういう学校の現場をよく知らない、偏った立場からの意見は俗耳に入りやすい分、誤解を招きやすく、現実的には有害であることが多い。確かに伝統的な上位の進学校教師の場合、特に年配教師の場合には推薦入試、総合型選抜の在り方をハナから否定する人は決して少なくあるまい。そしてそれが生徒たちの進学の妨げになってしまう事もおそらく生じてしまっているだろう。

 ただ、他方で進路指導の現場に一定期間、携わってきた教師の立場からすれば、孫氏の意見に必ずしも全面的には同意できない。特に20年以上、進学指導に携わってきた経験からすれば、安易な「青田刈り」につながりかねない推薦入試や総合型選抜の在り方に、大きな疑念を覚えざるを得ない。

 この問題は大学入試の前段階、高校入試の在り方と実は深いつながりがあると、個人的には捉えてきた。高校入試において学力中位層以下の高校では大学入試よりも古くから学力試験の比重が低く、早くから総合型選抜的発想が一般的となっていた。そうしたなかで学力上位層の高校でも一部、部活動の活性化、実績向上のために受験生の部活動実績を過大評価する動きが強まっていた。その結果、以前よりも学力の乏しい入学者を抱える自称「進学校」も増えてきていた。かつての当該校における授業のレベルとの大きなズレのある生徒たちの増加が学校全体に及ぼす悪影響は少なからず存在していたはずである。

 学力よりも部活動などの実績が大きく作用して高校入試を勝ち抜いた生徒の多くは大学入試でも同様の事を期待しがちである。これは、経験上、否定できない傾向だろう。そうした生徒たちが大学入試においても学力選抜を忌避し、推薦入試、総合型選抜に殺到する動きを学校全体にもたらす。一旦、この動きが表面化してしまうと、部活動の実績は上がるものの、大学への進学実績は確実に停滞する。そもそも共通テストの受験者が年々、減っていき、ついにはゼロになることすら、実際にあった。

 こういう高校では内申点を気にして授業を大人しく受けることまでは出来ていても、いかんせん学習意欲の乏しさが生徒たちの間で目立ってくる。たとえそうした生徒たちが、希望通りに推薦入試などで大学へ進学できたとしても、そもそも肝心の学習意欲が保証できないのだから、大学での授業についていける保証も出来ないだろう。

 体育系大学や芸術系大学ならばともかく、一般の大学において運動部等の実績を重視する入試の在り方自体が、大いに疑問である。実際には入試倍率の維持、向上を最優先し、部活動の実績を売名行為に用いているに過ぎない、大学入試の在り方を快く思っていない教育関係者はきっと少なくあるまい。

小学生の暴力が過去最多の皮肉。「いい子」に育てようとした親が、知らぬ間に奪っ

     たもの All About 石井 光太 2025.12.5

 幼児期の集団遊びの不足は小学一年生の暴力件数を激増させている大きな要因に違いあるまい。他方で現在の小学校は教員不足と教員の質の低下などによって激増する暴力事案に対応できる力を失いつつある。いよいよ公教育崩壊の日は近いのかもしれない。

その3.差別と格差(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

黒人が差別される原因を黄色人種と黒人と白人で考える会議

   【公式】大チャンネル 2025/03/31 1:57

 かなり刺激の強い毒のある風刺だが、差別に関する議論を始めていく上でそれなりに役立つ内容であろう。ただの正義感だけでは差別が無くならない、とすればどういう対策が考えられるのか、問いかけていきたい。

【生地獄】アウシュビッツ強制収容所に収容されるとどうなるのか?

     VAIENCE バイエンス  2025/02/17  14:19

 差別、偏見が招いた20世紀最大の悲劇こそ、ナチスによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)であろう。アウシュビッツで何が行われていたのか、情報量はかなり少ないものの、その一端を垣間見る上では役立つはず。

戦後80年 東條英機に最高額命の値段に格差 国民には「受忍」【3月10日(月)】

 TBSNEWS DIG Powered by JNN 2025/03/11 1:04:23

 軍人と軍人以外の国民との間に横たわる巨大な格差には一体どんな背景があるのだろうか。軍隊が解散された敗戦後においても大将と最下層の兵士との間に軍人恩給や遺族年金での格差があるのはなぜだろう。「一億玉砕」を唱えて民間人をも戦場に送り込み、集団自決を強いた支配層の多くは戦後、手厚い補償を受けていた。ところが民間人はドイツやイタリアと違って原則として補償の対象とならなかった。そのことに何一つ違和感を感じられなかった当時の日本国民の政治意識の低さが一体何によって生み出され、維持されてきたのか、マスコミや学校教育の責任もまた厳しく問われるべきだろう。

 そもそも敗戦の責任を問われた軍人や公務員の数は全体からすればわずかである。しかも敗戦の責任が重かった人物程、恩給額が大きいという現状に驚かされる。戦後日本のイカサマ加減は東久邇宮内閣の「一億総懺悔論」の言葉に見事に象徴されているのだろう。国民の生活と命を等しく守ろうとしない国家に私たちは何を望める?

アメリカが崩壊してしまった理由TOP5!

   ニック兄さん and高桑  2024/12/16 11:32

   格差社会アメリカの病理がよく分かる。日本がアメリカに支配されている状態から抜け出す努力はいろいろな意味で必要となっているだろう。

[英語ニュース] ハーバード大教授が語るトランプが当選した理由| Michael 

   Sandel |マイケル・サンデル|日本語字幕 | 英語字幕 |

   Gariben TV   2025/02/02  9:56

   トランプ氏がなぜ、大統領選に再選されたのか、その理由をこれほど説得力のある論理で語った動画は無いのでは?そう思えるほど、サンデル教授の語りは説得力があるようだ。ポイントはどちらがアメリカ労働者の尊厳、プライドをくすぐったのか、という点に尽きるのかもしれない。

   サンデル氏が指摘するように、新自由主義に走るアメリカ社会が招いた一握りの富裕層と圧倒的多数の貧困層との絶望的な格差は、学歴によるコンプレックスをも刺激する形で多数派である低学歴層、貧困層の不満を増大させてきた。にもかかわらず相変わらずエリート主義を捨てない民主党はついに多数派の低学歴層の反発を買ってしまった。確かにこのことこそが、民主党が二度目の選挙の敗北を招いてしまった大きな理由の一つと考えられる。

 授業ではアメリカ大統領選挙の結果についてトランプ氏が再選された理由をまず議論させたい。ある程度、生徒から意見が出た段階でこの動画を視聴させると理解が深まるのではないか。また、なぜ斎藤氏が兵庫県知事に再選されたのか、考えさせるきっかけとして、この動画を利用することも有り、であろう。

【世界情勢理解】2024年ハーバード大学首席の卒業式スピーチ『知らないことの

   力』【英語スピーチ】 リスニング 日本語字幕 世界情勢理解

   Vox Nova 【ヴォックスノヴァ】 2024/05/29  12:21

    平等と自由について深く考えさせる素晴らしいスピーチであろう。これから卒業しようとする大学への厳しい批判を、この場で敢えて行う自由はアメリカが最も大切にしてきた理念でもある。

    はたして日本の大学の卒業式でこのようなスピーチを聞くことができるだろうか…ガザ地区の出来事を自分事として捉え、自分の意見を卒業式の場で堂々と表明できるアメリカの大学の素晴らしさと日本の大学、とりわけ学校教育の社会から閉ざされた内向きの不自由さにも注目させたい。

【懐かしい昭和】ヤバすぎる労働の実態とは?物乞い、闇が深い集団就職、異常に

 死亡率が高い○○員、会社に忠誠を誓った社員

 THEヤバイ昭和  2023/08/11  13:58

 この手の動画としてはかなり信頼できる内容であり、授業での視聴に適する動画だろう。高度成長期の過酷な労働実態が分かりやすく紹介されている。

【誹謗中傷する人の心理】脳を惑わす3つのバイアス/SNSはロジックのズレだら

 け/ハーバード大学と日本の違い/脳は省エネモードで動く/違和感に向き合え 

 PIVOT 公式チャンネル  2023/05/20  35:51

 自分たちを攻撃してくる中傷や暴言、反論に対してどう立ち向かうのか、心理学、脳科学の知見を応用してそのロジックに迫る。イジメや差別とどう向き合い、闘ったらよいのかを考える上で大変重要なヒントを与えてくれる動画。イジメ問題でも非常に役立つ観点が得られる教師必見のオススメ動画である。

 動画で紹介されている三つの中傷の戦略(「whataboutinsm」「strawman 

strategy」「gaslighting」)を理解するだけでも十分役立つだろう。

・格差問題

参考記事

若年層の8割が「自身の将来に不安がある」収入や貯蓄不足が要因に【ライフネット

    生命保険調べ】イチオシ 2025.2

 授業の資料に活用できるだろう。

芥川賞作家、外国人排斥の声に心境つづる「おおやけに、外国人排斥を叫んで良い

    ことになり…」ググットニュース 2025.7.14

 参院選を前に外国人排斥の言動がいよいよ盛り上がっている。この風潮をどう捉えるのか、生徒たちに問いたい。

「目覚めた保守層」は、なぜ外国人に牙をむくのか 新興政党の登場で顕在化する排

    外主義 47NEWS 2025.6.1

 日本経済の失速に対して強く批判されるべきなのは国内の格差拡大に有効な手を打てなかった政府の失策の方であり、在日外国人の方ではあるまい。日本保守党や参政党の主張にはかつてヒトラーが第一次世界大戦後のドイツの低迷を、もっぱらユダヤ人の仕業だと決めつけて人気を博したのと類似する、極めて安易でいかがわしい責任転嫁の臭いを感じてしまうのだが、いかがか。

【病院の闇】生活保護者をムリヤリ入院させ、手術しまくる…医療界を震撼させた

   「山本病院事件」をご存じか 現代ビジネス

   週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) によるストーリー 2024.6.4

 差別と格差の問題を考える際に大きな手掛かりを与えてくれる記事だろう。日本社会で最も見えにくい死角の一つが実は病院、ことに医師の世界ではないか。医師と患者との間に横たわる圧倒的な格差が生み出すおぞましい事件。それは特に外科手術や精神医療の現場で発生しがちであるようだ。内容としては貧困問題や障がい者問題とのつながりも強いので、そこでこの記事を扱うことも可能。

 授業では医者と患者との間にはどのような格差が生じやすいのか、生徒たちに列挙させ、問題が生じないような仕組み、工夫を提案させたい。

人手不足の千葉児相がアピールする「大きなやりがい」本当か 元職員3人がJ-CAST

 ニュースに明かした労働環境 J-CASTニュース によるストーリー 2024.2.18

 格差拡大を防止する上で重要な役割を果たすべき存在が国や地方自治体であろう。しかし下の記事にもあるように、医療、福祉、教育などの分野で一層深刻化する人手不足と職場のブラック化が格差問題の悪化に拍車をかけている。政府の予算配分に大きな問題があることは否めないだろう。

地方公務員の採用試験、過去30年で最も低い5・2倍…23年間で競争率半減 

 読売新聞 によるストーリー 2024.1.14

 少子高齢化による急速な人口減が招く当然の帰結として行政サービス全般の劣化と各種ボランティア活動の衰退が考えられる。地方自治体における公務員不足、消防士不足、消防団員不足、警察官不足、保護司不足、幼稚園~高校での教師不足、保育士不足、医師不足、看護師不足、介護士不足、自衛隊員不足、郵便を含めた運輸・配送従事者の不足、児童相談所員の不足、公民館員不足、町内会員の減少、ケースワーカー不足、民生委員不足…これらが同時進行していけばやがて日本社会の美徳とされた安全性、規律正しさ、各種の利便性、おもてなし精神、識字率の高さ、平均的学力の高さ等は瞬く間に瓦解するに違いない。

 ポイントは以下のような点であろうか。

 科学技術の発達がそうした問題の解消にどれだけ貢献できるのか、今後予想される大規模な自然災害の発生がどれほどのダメージを日本にもたらすのか、気候変動による損失はどの程度まで膨れ上がるのか、海洋資源の確保と利用がどの程度まで可能か、中国や北朝鮮、ロシアなどによる軍事的脅威はどの程度まで高まるのか、移民政策の進展は可能か、今後、女性政治家がどの程度、増えていくのか、老害政治家の排除は可能か、学校教育の根本的変革はどこまで進められるのか…

 課題山積の現状から目を背けてはなるまい。

「日本は緩やかな身分社会」 気鋭の教育学者が懸念する「教育格差」

   毎日新聞 によるストーリー  2023.12.22

 格差問題をテーマとするときに最初に押さえておきたいのがこの教育格差問題。生徒にとって身につまされるテーマなので慎重に扱う必要があるが、素通りしてよい問題ではあるまい。特に「保護者(以下、親)の学歴▽世帯年収▽職業などを統合した概念である社会経済的地位(Socioeconomic status、以下SES)」という概念は基礎知識として周知させたい。いわゆる「親ガチャ」を学問的用語で説明できるだろう。

 「日本では、出身家庭のSES、出身地域、それに性別の三つが主要な初期条件です。具体的には、親が非大卒を含む低SES家庭出身、地方出身、女性であると、子ども自身が大学進学を望まないし実際に進学しない傾向があります。」という指摘こそが親ガチャの一側面を説明している。そして…日本は最終学歴によって就業状態や収入などに差がある学歴格差社会でもあります。初期条件が学歴を介して人生の可能性を制限しているので、「緩やかな身分社会」と言えます…という結論にたどり着くことになる。 

 日本は現在、決してフェアな競争社会ではないという指摘が今後、格差問題を論じる上での前提とされよう。

ここまで“差”があるのか…「未婚・交際相手なし・異性との交際に興味なし」の

   75%超を年収300万円未満の男性が占める現実に若新雄純氏「自由に選べる社会は

   尊い一方、選択できる立場にたどり着けない人も」

   ABEMA TIMES の意見 2023.11.7

 調査データの解釈は若新氏が指摘するように多面的な検討が必要。とはいうものの確かにこの結果は経済的格差がもたらす異性との交遊にも大きな影を落としているようだ。少子化の原因の一つが経済格差、さらに言えばかつての中流層の多くが下層化していることに求められる可能性が高いだろう。

子どもの3人に1人が「ゼロ」 広がる体験格差で「非認知能力」に影響も

 【news23】 TBS NEWS DIG_Microsoft の意見 2023.7.7

広がる教育格差「最後の手段」に手をつける家庭が増えている…高収入なら塾代な

 ど大幅増の一方で 東京新聞 2023.5.23

 調査に携わった三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林庸平氏は「学習塾などの補習教育以上に、音楽やスポーツなど習い事の体験学習の差は大きい」と指摘。体験学習の不足が、やる気や自己肯定感といった学力以外の「非認知能力」に影響することを懸念する…との指摘は重く受け止めたい。

「学校のお役所化」「タクシーの免許制度」…北朝鮮かと目を疑う「日本を歪める

 おかしな制度」ワースト3 

 現代ビジネス 小倉 健一 によるストーリー 2023.5.27

 これはおそらく医療や教育の無償化に反対する新自由主義的立場に依拠した論理なのだろう。しかし教育の無償化が「学校のお役所化」を進めるという論は現実をしっかりと見ていないように思える。

 第一に教育費の自己負担率が極めて高い日本でも既に学校のお役所化が現時点で相当程度進んでしまっているではないか。

 第二に教育の無償化が進んでいて税負担率の極めて高い北欧諸国はどう見ても「北朝鮮化」などしていない。北欧流の福祉国家を志向する考えをこの論理で否定するのはいかがなものだろう。

 これは民主主義をどう捉えるかにも関わる論点を含んでいるので議論を深めていけるテーマになりうる。ぜひ、教育費用の無償化問題の当事者たる生徒たちの意見を募いたい。

自分の中の差別的な感情に自己嫌悪する55歳接客業の女性に、差別はなくならな

 い”ことを前提に鴻上尚史が勧めた心のもちかたとは?

 AERA dot. 2022/10/11 16:00

 差別や偏見の問題を内面よりも言動面で重視していく事の方が分断を招かずに問題解決に繋がる…という指摘は大いに参考となるだろう。確かに日本人は内面を重視する余り、チャリティ、慈善活動に消極的になりがちなのかもしれない。「偽善者」と呼ばれることが怖くて援助行動をとることにためらいを覚える日本人は多いようにも感じられる。

 多様性に満ちた欧米の社会は内面を強く問うこと無く、言動を問う傾向がある、との指摘も納得感あり。是非、生徒に読ませたい、示唆に富む一文。

参考動画

【破滅!!】メディアや政治家に翻弄されてはいけない!!格差社会が日本を発展させる

 唯一の方法ではないのか?独立国を作った方がいい理由とは?日韓問題の真実とは

 成田悠輔の教育論 半熟仮想株式会社  2023/09/29  10:03

 まさに「目から鱗が落ちる」観点。ぜひ授業で視聴させたい。特に前半は「老害政治家」が跋扈する日本の政界に若者はどう対抗していくのか、考えていく上での有用な観点が示されているだろう。

 

・小山田騒動

【小山田圭吾】いじめの表現やめるべき?暴行や傷害と伝える必要も?性的虐待などの悪質な加害をメディアはどこまで報道するべき?謝罪&辞任でも加熱するバッシングの妥当性を問う|#アベプラ《アベマで放送中》

 2021/07/21 20:04

小山田騒動などで「擁護する芸能人」が必ず現れるナゾを解説

 元テレビDさっきーチャンネル 2021/07/22 8:23

参考記事

【キャンセルカルチャーの時代】「差別に安住してきた」日本人も世界の潮流と無

 縁ではいられない NEWSポストセブン の意見 2023.8.15

 …「自分らしく生きられる社会をつくりたい」というリベラルの「ユートピア(天国)」運動から、「いつ自分が排除され、社会的に抹消されるかわからない」というキャンセルカルチャーの「ディストピア(地獄)」が生まれました。私たちは、天国と地獄が混然とした「ユーディストピア」を生きていかなくてはなりません…

 誰もが発信できるSNSの発達が生み出したキャンセルカルチャーの世界とどう向き合っていけば良いのかが問われる。SNSにおける「炎上」とはどういう現象なのか…集団的なイジメに近いものがあるとすれば冷静に対応する必要があろう。

 

・老害発言は年齢差別?

【名作】ネットで話題騒然となった問題発言の発端!!今の日本の現状を痛烈に批

 判!!居座り続ける老人達に成田悠輔が警告を放つ!!

 成田悠輔の動画  2023/08/06  7:14

 【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化より無人化の方がマシ」ABEMA Prime (2021/12/19)において高齢者の集団切腹」といった過激な表現だけが切り取られ、高齢者差別を煽る暴言と決めつけられて一時、大炎上した成田発言だが、実際には物理的切腹という意味ではなく社会的切腹(過去の功績をもって上のポジションに居座り続ける高齢者に潔く引退を促す、というほどの意味)であるとの発言であったことが分かる。

 この炎上騒ぎが成田氏らに悪意を持つ勢力の陰謀である可能性は高いだろう。成田氏が社会的切腹をイメージした原因はおそらく二階幹事長や森元首相の発言をめぐる一連の騒動であったと思われる。

  ※ 関連記事:

  ○成田悠輔氏の広報起用批判受け 内閣広報室、各省庁に「人選慎重に」

   毎日新聞 によるストーリー 2024.3.22

   まさしくこうした動きの背後に老害政治家たちの狡猾な動きが潜んでいるように見える。

「松本人志を本当に超えたい?」成田悠輔が”世代交代できない芸能界”を斬る【中

 田敦彦】 NewsPicks /ニューズピックス  2023/08/18  14:02

 老害問題」と若者との関係をどう捉えるか、過激な発言で知られる二人の対談は非常に興味深い。キーワードは「世代交代」のあり方であろう。高齢化する日本社会の世代交代のあり方についてぜひ討論させてみたい。

若者よ、選挙に行くな 2019/07/12 たかまつななチャンネル 1:27

 討論に使えるだろう。シルバー政治に対抗する手立てはあるのだろうか?日本の年齢別人口ピラミッドや世代別投票率のデータを示しつつ、時間をかけて討論させたい。

「若者の政治離れ」と言ってる人に一言 2019/07/04 ワラしがみ 4:58

 「政治の若者離れ」という表現はお見事。

今後のことで画期的なアドバイスがあるから聞いてほしい

 2022/05/21 ワラしがみ 3:29

 税金の使途についてもう少し厳しい監視の目が必要だろう。

文通費問題の全部を丸く収める超絶アイデアを思いついた

 2021/12/18 ワラしがみ 5:00

 シルバー政治に対抗する上で文通費の「クーポン券」配布はかなり有効なアイデアに思える。

【ひろゆき】爆笑問題太田が大炎上。これ理解できないバカが日本を滅ぼします。

 爆笑問題太田光の二階幹事長への炎上発言について

 サンジャポファミリーひろゆき【切り抜き】2021/12/11 3:05

【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化よ

 り無人化の方がマシ」少子化&人口減少前提で考える日本の未来|#アベプラ《ア

 ベマで放送中》 2021/12/19 20:28 

 過激だが説得力のある提案。

【一人一票】若新雄純「ワクワク感薄れてる」若い世代の閉塞感…余命投票なら変わ

 る?世代間格差をなくすには【参院選】

 2022/06/25 ABEMAニュース【公式】 17:47

【衝撃結末】収録直後…天才がまさかの告白【選挙ってなんだSP】

 2022/06/21 日経テレ東大学 40:32

 ランク付けの投票は検討に値する投票プランの一つと思われる。

【22世紀の民主主義】成田悠輔が提唱する「政治家不要論」アルゴリズムが政

 策を決めていく時代 2022/07/26 中田敦彦のYouTube大学 – 40:40

22世紀の民主主義】日本の停滞感を根本から変える「成田悠輔の新構想」とは?

 2022/07/27 中田敦彦のYouTube大学  42:00

 SNSの普及がポピュリズムをはびこらせ、民主主義の停滞を招いたとする成田氏の指摘は大いに参考になるだろう。SNSの普及は他方で民主主義を再生する上でも「選挙」という古臭い、雑なシステムから離脱し、政治家を不要とする社会を作り出す可能性を有している、という指摘も刺激的だが非常に面白い。本当の民意を反映させる方法としてAIを用いた政治を構想することが必要なのかもしれない。「選挙に頼らない民主主義」という意表を突いた発想に注目したい。

【激論】成田悠輔×西田亮介 ニッポンの民主主義は限界?改良の余地は【参議院選

 挙】2022/06/24 ABEMAニュース【公式】 31:27

 二次投票のアイディアも現実的改善策としては検討に価するだろう。

参考記事

レジで怒鳴る高齢者に絶対にしてはいけない言動 相手の「老害力」を下げるためにで

 きる1つのこと 東洋経済オンライン 平松 類 によるストーリー 2024.6.10

 少子高齢化社会においては高齢者と若い世代との間の軋轢は強まってしまう傾向にあるかもしれない。特に高齢者の中には些細なことで怒りやすくなってしまう人が少なからずいるようだ。おそらく加齢による種々の心身の変化が老人の切れやすさをもたらしているのだろう。

 対策として高齢者が自身の変化をしっかりと自覚する努力は確かに必要だが、その効果はあまり期待できないのではあるまいか。「頑固爺」「意地悪婆さん」はいつの世にもいたではないか。分かっていても、やめられない…自制力の低下もまた高齢化がもたらす変化であろう。

 平松氏が指摘されているように、高齢者を取り巻く周囲の人が高齢者特有の心理を理解していくことの方がより現実的な解決法だろう。高齢者の心身の変化に寄り添える社会の構築こそ、目指すべき方向なのだと思うがいかがだろう。

 ただし「老害政治」を無くしていくことは絶対的に必要である。自制力、自省力の低下した政治家に日本のかじ取りを任せるわけにはいくまい。老害議員の一掃を図ることも日本の急務ではないか。

日本の「重症の民主主義」を再生させる3つの手段 「#投票に行こう」では変わらない

 現実を変える  成田 悠輔 2022/08/04 15:00 東洋経済オンライン

「若者の非婚化」を後押しする日本の絶望未来 実は「晩婚化」なんて起きていないとい

 う衝撃 荒川 和久 2022/08/14 07:30 東洋経済オンライン

 

・入管法とウィシュマ事件:「現代の奴隷とは」

参考動画

トルコ人に日本のクルド人事情を詳しく解説してもらった!

   ニック兄さん and高桑  2025/01/31 17:45

   埼玉の川口で起きたクルド人にまつわる事件を理解するには非常に役立つ動画。日本の移民問題全体を考える上でもかなり参考となるだろう。あらかじめ問題のポイントを整理して論点のバラツキを防ぐためには、早めに視聴させておきたい。

【内部告発】アジアからの留学生、大きな誤解がありませんか? BF大学はどうや

  って存続しているのか。 中学受験のrestart  2021/05/01  20:25

 日本人のアジア人への偏見、差別の根は深い。それが大学における留学生受け入れの問題として表面化しているという指摘は非常に興味深い。視聴時間がやや長いが、分かりやすい説明であり、授業で利用してみても良いだろう。

[NHKスペシャル] 「難民受け入れる余裕はない」先進国の間で広がる不寛容 |

    混迷の世紀 第12回 難民“漂流 人道主義はどこへ | NHK

   NHK  2023/11/10 4:39

 まずは難民を巡る世界的な情勢を確認しておきたい。

【前代未聞】フランスの緊急事態をフランス人が分かりやすく解説します 

 Bebechan - 日本のフランス人  2023/07/02  15:21

 このような暴動は日本の現状では考えられないが、移民、難民の受け入れが日本でも本格化すれば将来的には起こりうるだろう。暴動の原因はフランスが長年、許容してきた移民の居住区の存在にある。移民とフランス人との棲み分けがお互いの理解と協力関係の進展を阻害してきたようである。その背景にはフランス人の心の奥深くに巣くう異なる人種、民族への根強い差別、偏見があるだろう。

 この問題の導入として外国のケースから入ると意見は出やすくなると予想されるので、この動画を移民・難民問題の入口に使っても良いだろう。

アメリカから逃げて日本に移住した理由

 Chase & KenKen  2024/01/16  15:19

 多種多様な差別や偏見が横行するアメリカ社会の闇については、差別問題以外にも様々な分野に関わってくる要素があるため、予めしっかりと把握しておきたい。

参考記事

つば吐かれ怒鳴られ、強制収容され…「スター・トレック」出演の日系人俳優 差別

     被害伝える絵本に込めた警鐘 東京新聞 2025.12.13

 外国籍“非行少年”「矯正教育」の厳しい現実 ベテラン保護司が語る、罪を犯す子ど

   もたちの “ある共通点”  弁護士JPニュース によるストーリー 2023.10.24 

 非行少年や外国籍の生徒を多数抱える学校の教師は必読の記事。ここでも入管法の問題が立ちはだかり、「矯正教育」の妨げとなっている点は見逃せまい。多様性の尊重を実現していく上で国民の同質性の高さを前提にしてこれまでに積み上げられてきた日本の各種制度には根本的な見直しが急がれる。

麻布中の入試に「政府の人権侵害」が出題された訳 社会課題を映し出す鏡としての中

 学入試問題 東洋経済オンライン おおたとしまさ の意見 2022.12.8

 まずはこの入試問題にトライさせてから討論に入りたい。おそらく小学校の教科書にはこの問いに十分答えられる程の記述は無いだろう。では教科書には触れられていない内容を問うこの中学校の入試問題は中学入試として不適切なものなのだろうか、それともこの問題に触れてこなかった教科書の記述の方が悪いのだろうか、とりあえず問うてみたい。

 日本の移民政策等には今、内外から大きな批判が寄せられている。しかも小中高を問わず児童生徒の中には日本語を母語としない者が地域によっては急激に増えつつある。これは特に都市部においては身近な問題になりつつあるのだ。ならば小学生といえども、都内であるならばある程度の考えを持っていた方が良いだろう。高校生ならば尚更である。

 むしろこうした身近な現実の具体的な課題に取り組む練習を日本の学校がどれだけこれまでに試みてこられたかが、今、問われているのだ。ただの暗記ではなく、自ら調べ、自分なりの問題意識を持ち、課題解決に向けた建設的な方策を模索させる、といった作業はどの学校段階でも必須であろう。日頃の授業でも実践的な課題解決能力の向上がより一層目指されなければなるまい。

世界的に見ても“異常”! 問題だらけの入管難民法改正案を「廃案」にするしかない

 理由 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.6.9

日本は「魅力的な移住先にはなりにくい」。日本に暮らす外国人が語る日本の住み

 にくさ BUSINESS INSIDER JAPAN 雨宮百子  2023.6.12

難民審査、臨時班の参与員十数人に極端に集中 「突出」柳瀬氏以外も平均940件

 常設班の18倍にも 東京新聞 2023年7月28日 06時00分

同性愛は終身刑…拷問の末に日本に逃げたのに、書類審査のみで「信ぴょう性な

 い」難民不認定 そして…東京新聞 2023年7月28日 06時00分

 「日本で難民認定されたのは昨年202人(認定率2%)と、ドイツの約4万6000人(約20%)、米国の約4万6000人(約45%)と比べ極端に少ない。」のだそうな。

 とすれば日本の閉鎖的入管制度の問題は極めて大きいに違いない。

 

参考動画

「日本にとって、都合の悪い人は困ります」難民審査の25.9%担当の参与員、問わ

 れる難民審査のあり方【報道特集】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/06/18 20:08

第166回 入管法改正問題で人権派が絶対言わない不都合な真実

 髙橋洋一チャンネル  2021/05/18  8:22

 難民審査をどういう機関が行うべきなのか、が最大のポイントになるだろう。

 人権派と呼ばれる側の主張と高橋氏の主張、どちらに賛成するのか、ぜひ、討論させてみたいテーマである。欧米と比べて日本の難民認定率が極端に少ない理由を高橋氏はなぜ説明しないのか、不思議。また彼は日本の難民認定の杜撰さにも言及していない。日本の場合、法律の規定以上に実際の運用がどうなのかは厳しく問われる。つまりダブルスタンダードの存在を念頭に置く必要があるだろう。建前と本音の乖離を無制限に許容しがちな日本社会のあり方が本質的には問われてくる。

【知らないと恥をかく】難民とは何かわかりやすく解説!!

 原貫太国際協力師 2021/05/12 14:21

 移民と難民との違いが理解できる。

ロヒンギャ問題をわかりやすく解説【9割の人が知らない難民のリアル】

 原貫太国際協力師 2021/11/21 17:14

【日本の闇】外国人技能実習生の問題を監理団体とディスカッションしてき

 た 原貫太国際協力師 2021/05/23 18:21

入管施設の実態、「トイレも監視」強制収容の女性が証言【news23】 

 TBSNEWS 2019/12/06 6:30

 刑務所以上に人権が制約されてはいないだろうか。

【解説】どう解決?外国人の「収容長期化」

 日テレNEWS 2021/08/11 2:31

うぃしゅまさん脂肪問題の入管開示資料 1万5113枚すべて黒塗り 遺族「ごまか 

 さないで」東京新聞チャンネル 4:26

 外務省並みの凄まじい名古屋入管の隠蔽体質。

名古屋入管で何が?スリランカ人女性の死の真相【報道特集】

 TBSNEWS 2021/05/16 23:37

スリランカ女性死亡 一部開示の入管映像「看守の笑い声」が・・・遺族再現

 【news23】TBSNEWS 2021/08/13 4:02

史上最悪の改正!人を人として扱わない「入管法の改正」について

 ワラしがみ 2021/03/05 43:40

※参考資料:以下はこの動画に寄せられたアンチのリピート

おせち料理 6 か月前

 在留資格なんて与えなくてヨシ!!

 治安悪くなるのになんでわざわざ入れなくちゃいけないんだ?

 綺麗事ばっかり並べてんじゃねーよ きもちわりーおっさん  👍17

masa kurakura 6 か月前

 ね〜知ってる〜?労働力が増える(難民移民)が増えると〜、全体給与が下がるんだ 

 よ〜。安くこき使いたい経営者側の意見を言ってるだけだよ〜。 👍21

エーゲ少佐 5 か月前

 ヨーロッパで大失敗してることをやろうとするな 👍50

岡崎汐 6 か月前

 このおじさんの話を鵜呑みにする前にまずは自分で調べて欲しい。

 まあ、この人の話を鵜呑みにしてる時点で聞く耳を持たない人がほとんどであろう

 から期待は出来ないが… 👍32

入管が開示拒んだビデオ全面開示へ ウィシュマさん死亡、そこに映っていたもの

 は…TBSNEWS 2021/10/05 6:00

 名古屋入管がなぜ、何を隠蔽しようとしてきたのか、よく分かるだろう。

 外国人の移民が欧米で大きな問題となってきたのは事実。したがって外国人の受け入れのあり方については様々な意見があるのは当然。

 しかしウィシュマさんの件に関しては、まず難民受け入れの是非とは切り離して考えなければならない側面があるだろう。ウィシュマさんに対する処遇は刑務所よりもひどい扱いであり、人権を完全に無視している。ほとんど殺人に近い事件である。移民受け入れの賛否とは一切関係なく、あってはならない事件だろう。しかも法律をつかさどる法務省の管轄下にある入管の犯した犯罪。許せるわけがない。

法務省と入管 「嘘つき」は誰だ。入管法改正がグズグズすぎる件について

 ワラしがみ  2023/06/07 6:58

日本が外国人を逮捕する理由? BrooklynTokyo 2021.12.31 16:46

 日本の司法制度の特殊性、外国人への不利な取り扱いが見えてくる。

【世界と日本の労働問題】2030年、日本は「奴隷」で溢れかえる!?

 2021/03/24 原貫太・フリーランス国際協力師 13:12

参考記事

「働くな、だけど福祉の対象外」という無理ゲー「生きられない」外国人の生存権

 を求めて ハフポスト日本版 の意見 2022.11.24

 日本における外国人差別の実態は先進国とは言えないほどに惨い。憲法で国籍条項の網の目が張り巡らされている日本では憲法改正が行われない限り、この問題は払拭されまい。日本国憲法の問題点を浮かび上がらせる上でも利用価値の高い資料。

「当たり前のものが私たちにはない」在日クルド人が国会で涙ながらに訴えた日本

 の難民政策の現実 東京新聞 オピニオン 2023.5.26

入管法で露呈、日本の民主主義は死滅状態にある 難民審査も、改正プロセスも不透明

 すぎないか 東洋経済オンライン レジス・アルノー の意見 2023.6.10

 難民受け入れにおける欧米と日本との大きな違いがよく分かる。資料としても重要だが、討論のたたき台としての利用価値も高い。

 

・アフリカ問題

 アフリカ問題に関する動画は「原貫太国際協力師」がダントツの内容で多角的に問題を眺めることができる。基本的にどれを視聴させてもハズレはないと言って良い。

原寛太氏自身を知りたい方は「○鞭200発で洗脳 母を●したアフリカ少女兵/国際協力師 原貫太 街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜2024/07/19 1:02:49を視聴することをおススメする。

「売り物にならない」奴隷が処刑されたアフリカの遺跡に行ってみた

   原貫太・フリーランス国際協力師 2025/02/01  20:32

 問題の根源が見えてくる貴重な動画。

コンゴの子ども兵【日本語字幕】

 Amnesty International 2015/11/12 1:42 

 重く入るにはこれが一番のオススメ。短いうえにインパクト大。アニメだからこそ視聴させられる、残酷な子ども兵の物語。

元子ども兵士の男の子~ジェームス君の物語 /日本ユニセフ協会

 2019/02/12 2:55

【授業教材】 元少年兵 ミシェル・チクワニネが語る ~幼少期の経験と少年兵の

 実態~  【英語/日本語字幕】 2016/04/05 3:36

 この演説もインパクト大。

アフリカで251名の少年兵を救った日本人のアイデアが凄すぎた

   原貫太・フリーランス国際協力師  2024/04/20  12:09

   元子供兵に対してウガンダなどでどのような支援が行われているのかが、具体的に理解できる。

【実話】誘拐され、戦場に立たされた16歳の少年。彼が母親を襲った残酷すぎる理

 由とは?原貫太国際協力師 2021/06/04 15:44

 【実話】16歳のチャールズ…母親を襲った"悲しすぎる理由"とは?

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/04/14  18:17 

 子供兵の実態がよく分かる。

【家族を目の前で〇された】アフリカで「子ども兵」の支援施設に行ってみた

 2022/07/02 原貫太・フリーランス国際協力師 11:16

【世界の闇】アフリカの自由のために闘い、欧米に暗殺された英雄

 原貫太国際協力師 2021/11/13 15:21・・・ルムンバ暗殺の意味

 パトリス・エメリィ・ルムンバ(1925~1961)は、コンゴ共和国(旧ベルギー領コンゴ、後のコンゴ民主共和国)の政治家、民族運動家。同国独立期の指導者で初代首相。1961年1月17日、ルムンバと2人の同志は、キサンガニ空港で飛行機から引きずり出されて深夜に白人の傭兵とチョンベの兵によって殺害された(CIAの現地基地には「フランドル出身のベルギー人将校が軽機関銃で処刑した」と報告された)。

 遺体は一度埋められた後、翌1月18日に掘り起こされてローデシア近郊まで移動された後、21日に硫酸で溶かされて数本の歯と頭蓋骨の欠片だけが残された。1999年のベルギーのテレビ局によるドキュメント番組では、遺体の処理を実行したベルギーの警察長官Gerard Soeteが遺体から取り出した歯と銃弾を見せている。この歯はコンゴに返還されることとなり、2021年6月21日にブリュッセルで開催される記念式典にてフェリックス・チセケディ大統領に引き渡し後、独立記念日の6月30日に改めてキンシャサで帰還式典が開催される。

 ※参考記事

  時事ドットコムニュース:ルムンバの歯、故国へ返還 コンゴ独立指導者の遺物

  ― ベルギー2021年06月13日18時58分

  【ブリュッセルAFP時事】ベルギー政府は21日、アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)の独立指

   導者パトリス・ルムンバの遺物である歯をコンゴに返還する。初代首相に就任したルムンバは、

   独立直後の1961年、処刑された。遺体を酸で溶かしたベルギー人の警官が「記念品」として

   持ち帰った歯の所在が確認され、ブリュッセルで21日に開かれる式典で、コンゴのチセケディ

   大統領に引き渡される。コンゴ政府は独立記念日の30日、キンシャサで改めて帰還式典を開

   く。

映画「誰がハマーショルドを殺したか」特別映像:1分で分かる!国連事務総長ダ

 グ・ハマーショルド 映画com.2020/07/10 2:51

 一体、誰がアフリカの発展を妨害しようと企んだ?これも衝撃的な事件。ぜひ、視聴させたい。

アフリカが発展しない本当の理由【99%の人が知らない国際支援の闇】

 原貫太国際協力師 2020/05/27 11:35

 「魚ではなく釣りの仕方を教えよ」

なぜアフリカは世界で最も貧しくなったのか?【3つの理由をわかりやすく解説】

 原貫太国際協力師 2021/07/09 20:36 

アフリカが「ヨーロッパの支配」に抵抗できなかった3つの理由

 原貫太・フリーランス国際協力師 2023/08/18  16:38

 アフリカを扱う際には地図を利用し、国名や地名、国境線に注目させると良いだろう。フランス語や英語が目立つ歴史的背景、大陸の北部、特にサハラ砂漠を中心とする地域の国境線が直線的である理由を問いたい。特に奴隷貿易の時代を含めた分断統治が現在のアフリカに何をもたらしたのか、が問題解明のキーポイントになる。

【削除覚悟】99%の人が知らない「フランス最大の闇」

   原貫太・フリーランス国際協力師  2023/08/13  15:19

フランスの闇を暴露します【CFAフランをわかりやすく解説】

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/08/13  15:19

アフリカの発展を妨げる「CFAフラン」の闇【後編】

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/08/15  17:49

 通貨制度からアフリカの貧困を説く斬新な視点は極めて興味深い。金融政策の視点は経済を理解する上で必要不可欠。フランスの植民地であった西アフリカ、中央アフリカの国々に最貧国が集中する理由も納得できる面がある。視聴させるには時間がとられ過ぎるので、二つの動画のポイントを教師が分かりやすく整理してプリントにまとめておくべき。

アフリカの格差が極端に広がった3つの理由

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/08/05  19:14

緊張感が半端ない/映画『ブラッド・ダイヤモンド』予告編

 アマゾンプラ男【毎日映画観る人】  2020/05/24 1:01

【血塗られた宝石】それでもダイヤモンドを買いますか?

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/07/28  15:29

【アフリカの謎】資源が豊富な国ほど、国民が貧しくなる3つの理由

 原貫太・フリーランス国際協力師 2023.6.16 17:09

【謎】アフリカは「永遠に発展できない」ってマジ!?

 原貫太・フリーランス国際協力師  2023/05/27  11:51

アフリカで一番貧しい村に来たら、想像を絶するヤバさだった・・・

 原貫太・フリーランス国際協力師 2023.4.7 16:28

 ウクライナ戦争がアフリカにもたらしている深刻な事態とアフリカへの支援の在り方を考えるきっかけになるだろう。

【謎】アフリカに「ぽっこりお腹」の子供が多い理由

 原貫太・フリーランス国際協力師 2023.4.8 15:57

 コロナ禍とウクライナ戦争がそれまで改善されてきていたアフリカの貧困と飢餓の問題を再び悪化させてしまっている現状をまず理解しておきたい。加えて自給自足型農業の遅れの理由として挙げられた4つのポイントも押さえておきたい。

ヨーロッパがアフリカで犯した「罪」を謝罪しない理由

 原貫太・フリーランス国際協力師  2022/12/27 15:38

 アフリカ問題の概略を知ることが出来る。

コンゴが「平和以外に何でもある国」と言われる3つの理由

 原貫太・フリーランス国際協力師 2022/12/24 14:01

 コンゴを例にするとアフリカ問題の理解が進むだろう。

世界最悪の「コンゴ紛争」が報道されない3つの理由

 原貫太・フリーランス国際協力師 2022.11.6 14:59

 600万人以上もの犠牲者を出しているコンゴ紛争がなぜ報道されないのか?

 メディアの問題を含めて理解するならこれがオススメ。

【子どもが戦う?!】世界最悪のコンゴ紛争、原因は日本人が毎日使う○○だっ

 た原貫太国際協力師 2020/12/18 16:43

 携帯の裏側にある世界。

緊急】「戦争反対」の声を上げる人たちへ。

 2022/03/01 原貫太・フリーランス国際協力師 7:05

【自分の年齢を知らない!?】アフリカ人に10の質問したら答えが意外すぎたwww

 原貫太国際協力師 2020/03/10 13:24

 軽く入るにはこれがオススメ。

【命の格差】世界一いのちが短い国ソマリアの、悲しすぎる現実とは

 原貫太国際協力師 2021/02/26 14:38

【貧しい国の実態】たった100円で命を落とす”絶対的貧困”とは

 原貫太国際協力師 2020/05/20 8:36

【みんな勘違い】アフリカに対するよくある偏見トップ5

 原貫太国際協力師 2019/12/21 11:18

アフリカは資源が豊富なのに、なぜ発展できない?【わかりやすく解説】

 原貫太国際協力師 2021/04/07 15:56

 資源の呪いとは?

アフリカの貧富の差は日本の1000倍ヤバイ。なぜ格差が生まれるのか?

 原貫太国際協力師 2020/11/21 11:40

 格差問題の死角を衝いている。

【衝撃】レンタルチャイルドとは?闇すぎる「物乞いビジネス」の実態を解説

 原貫太国際協力師 2020/05/05 8:59

「物乞いの写真使って稼いでんじゃねーよ」と批判された件について。

 原貫太国際協力師 2021/03/10 8:21

 報道と収益とのバランスは考える必要あり。無責任な中傷は軽薄でみっともない。

アフリカで知った「コーヒーの闇」がヤバすぎる…【第5話】

   原貫太・フリーランス国際協力師  2023/11/28  17:14

   最貧国ブルンジのコーヒー農家の年収に驚かされる。

【削除覚悟】電気自動車「最大の闇」について話します

   原貫太・フリーランス国際協力師 2024/01/05  19:13

   コバルトを始めとする希少な金属資源が豊富に存在するコンゴ民主主義共和国が深刻な貧困を創り出している原因とは何だろう。まず生徒に推理させてみたい。

アフリカで見た日本の「途上国支援」の現場がヤバすぎた…

 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/04/21  21:53

 ウガンダでの農業支援を具体的に知ることが出来る。

 

 

その3.沖縄戦~学校とマスコミ~

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

皇民化教育の徹底と戦時中の報道統制が生んだ沖縄の悲劇

・戦時中のプロパガンダ

参考記事

 

戦意高揚のシンボル「軍神」はどう仕立てられたのか、メディア・教育が扇動した

   「死の精神」【報道特集】 TBS NEWS DIG_Microsoft  2025.12.13

戦時下の主婦に行われた「国防の躾」とは…旧日本陸軍が2000万人もの女性に強制し

    た「相互監視網」の恐ろしさ    プレジデントオンライン 一ノ瀬 俊也 2025.10.8

    銃後の女性たちが戦争遂行に果たした役割も見過ごすことは出来ない。

「あめりかに負けるものか」軍国少年の日記…寄贈の92歳「大人の言うまま、本

    心から思っていた」 読売新聞 2025.9.25

 学校教育の負の側面がよく分かる史料。

音楽と戦争の「深いつながり」とは?歴史学者に聞く 上田誠二・日本女子大准教授

 #戦争の記憶47NEWS 2025.8.21

 NHKの朝ドラ「エール」(2020)でも話題に挙げられた音楽界における戦争責任の問題。他には見聞することの難しい貴重な記事である。

【戦後80年】NHKスペシャルで話題に本誌が報じた昭和16年「総力戦研究所」が 

 予言していた「日本必敗」の道筋 SmartFLASH 2025.8.19

 ここでポイントとなるのは政府首脳が日米開戦によって間違いなく日本は敗戦の結末を迎える、という予測を様々な統計的データに基づいてこれでもかと突きつけられていたこと。にもかかわらず彼らが日米開戦を決した理由であろう。

 緒戦におけるドイツの快進撃に酔いしれ、「バスに乗り遅れるな」という合言葉に閣僚たちはまんまと乗せられてしまったのだろうか。だとしたら国際情勢への彼らの読みが甘過ぎたというほかあるまい。あるいは接戦となった日露戦争の奇跡的勝利の記憶が閣僚たちの判断を歪めさせてしまったのか。はたまた最優先していた国体護持のためには日中戦争の継続が不可避だったからか。それとも米英への激しい敵愾心を執拗に植え付け、日米開戦やむ無しと国民に思わせんとする洗脳策の効果が余りにも絶大であったため、戦争回避という選択肢の可能性を政府みずから潰してしまっていたからか。

 生徒たちにできるだけ多くの要因を考えさせたい。

参考動画

連勝に国民熱狂も…“国策映像”の裏に隠された敗北 映像は戦争をどう伝えた【報

    道ステーション】 ANNnewsCH 2025/08/15 9:17

    軍部が国威高揚のために様々な報道規制を行い、国民を騙し続けた動きが簡略に示されていて分かりやすい。まずは「日本ニュース」の果たした役割を整理させたい。

“破竹の快進撃”隠ぺい・捏造…なぜウソは膨れ上がったのか 映像は戦争をどう伝

    えた【報道ステーション】(ANNnewsCH 2025/08/16 17:42

    やや突っ込みが甘いが、最低限の事は触れている。ただしこの動画だけでは役に立たないだろう。上の動画を補足するために一部、視聴させたい。

戦渦の「学校日誌」奪われた日常…80年前の現実【バンキシャ!】

    日テレNEWS NNN  2025.8.3 9:28

    学校の兵営化、軍事工場化が米軍機の襲来を招き、多くの教職員や児童生徒の命を奪うことにつながった。軍事教練の導入も学校の軍隊化に一役買っていただろう。

 学校日誌には毎日、御真影に関して「御安泰」などとその安否を記す箇所が設けられていた点も興味深い。小磯内閣の打ち出した本土決戦作戦は、当然のことながら児童生徒をも戦争に巻き込む狂気の作戦であり、この狂気の作戦を現実のものとした国民の精神的な基盤には「一億火の玉」といったマスコミが流すスローガンや国民学校での錬成教育があったに違いない。国体護持のためにはすべてを犠牲にする覚悟が国民全体に刷り込まれていたのである。天皇制の罪深さを思わずにはいられない。

太平洋戦争末期に兵士不足により招集された14歳以上の少年兵「鉄血勤皇隊」の実

    態とは? 春日陽のレトロ近現代史 2025/04/09  25:44

 やや視聴時間は長くなるが、生徒たちと同じような年代の少年たちが過酷な戦場に動員され、多くの犠牲が生じていたことは知っておきたい。少年たちの戦地動員の背景に何があったのか、要領よくまとめられている。沖縄戦学習の導入部で視聴させておきたい。

戦中の日本に張り出されていたプロパガンダ・ポスターには何が書かれてのか?  

    春日陽のレトロ近現代史 2025/03/22  24:18

戦時中のトンデモないスローガン・国策標語9選

    春日陽のレトロ近現代史 2024/06/15  25:22

 以上の二つの動画は必ずしも授業で視聴できなくとも興味深い内容が多く含まれており、資料として十分に活用できる。戦時中の代表的なスローガン、プロパガンダを知るにはうってつけの動画。ただしナレーションなどに読み間違いなどが目立つので事前のチェックは欠かせない。

【終戦企画】戦時下の戦争アニメ映画

 小林彩のほんのり昭和回顧  2024/08/10 19:35

 やや視聴時間が長くなるが、戦時中のマスコミ、学校の果たした役割をつかみ易いだろう。ぜひ授業で利用したい。

こうして権力者は戦争を始める【プロパガンダの法則】

    原貫太・フリーランス国際協力師 2024/11/02  16:51

いま戦争が始まったら、あなたはどう「心理操作」されるのか?【プロパガンダの

    法則】 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/11/05  17:02

    ここで示されている戦争を始めるための四つのプロパガンダは他の戦争プロパガンダに関する動画の内容と結び付けて生徒たちに考察させてみたい。特に戦争プロパガンダにおいてマスコミだけではなく、学校が果たす大きな役割にも注目させたい。

戦時中の少年少女倶楽部【雑誌の昭和史】

  小林彩のほんのり昭和回顧 2025/03/19 19:41

 戦時色の強いイラストは資料として印刷し、授業で配布しても良いだろう。

【終戦企画】戦時中のプロパガンダソング【歌謡の昭和史】

 伊東彩のほんのり昭和回顧 2024/08/15 20:07

 3曲、紹介されているが、授業では2曲目の「爆弾位は手で受けよ」だけ視聴してみたい。この曲だけなら解説が4:25~7:20、曲が13:25~16:20で視聴時間は計6分弱となり、授業中に利用しやすい。

【終戦企画】昭和20年の戦争映画【映画の昭和史】

    伊東彩のほんのり昭和回顧2024/08/09 21:20

昭和19年の日本の戦争映画【映画の昭和史】

    伊東彩のほんのり昭和回顧 2025/02/21 25:57

 伊東氏の動画はいずれもバランスのとれた解説であり、授業において安心して視聴できるものだと感じている。やや視聴時間が長いが、アメリカの映画なども紹介していて大いに参考となるだろう。

 

・ウクライナ戦争から見えてくる戦争の実際

ウクライナのロシア領侵攻をどう思う?

 ロシア人にインタビューしてみた 2024/08/21  5:43

 短いが非常に興味深く、刺激的なインタビューであり、ぜひ授業で視聴させたい。ここから日本人である私たちはどんな教訓をくみ取れるのか、問うてみよう。

【これまでの反政府運動と違う】プーチン政権を公然と批判する動員兵の妻たち”プ

 ーチ・ダモイ”に広がる共感 ロシア当局が彼女たちを弾圧しない理由とは

 【クロ現】| NHK   2024/04/15 10:08

 戦争を続けようとする国家を動かすために国民は何ができるのか、独裁者は戦争中、どうふるまうのか、など考える上でヒントとなる動画だろう。

ナワリヌイの死 ロシア人にインタビューしてみた  2024/02/19  4:22

反プーチン急先鋒…ナワリヌイ氏“謎の獄中死” 専門家が読み解く「3つの可能

   性」【スーパーJチャンネル】ANNnewsCH  2024/02/19 5:01

 上の二つの動画を視聴させてロシアでの政治についてどう思うか、日本の戦前との比較(小林多喜二の拷問死)や日本のマスコミの現状も念頭に置きたい。

反対派の「不審死・牢獄入り」をロシア人はどう思う?

 ロシア人にインタビューしてみた 2022/09/20 6:34

ロシアは、敗けますか?

 ロシア人にインタビューしてみた 1420 2023.6.11 6:14

9人目のロシア実業家の不審死が確認された直後のインタビュー。ナワリヌイ氏、

 ムラトフ氏への襲撃も噂されるが、ロシア人の反応とは。2022年8月29日頃撮影

 非常に刺激的なインタビュー。質問する側も答える側も命懸けの緊迫感が伝わって

 くる貴重な動画。国家による言論弾圧がロシアでは一層強まっている。日本は今、

 国民の知る権利が十分保障されているのか、きちんと点検すべきである。キナ臭く

 なってきた現在だからこそ、是非視聴させたい動画。

【制能権】あなたの意見って何だ?自由意思はある?脳をハックするハイブリット

 戦争と情報社会 2022/05/19 

 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】34:26

 「智能化戦争」を仕掛けてくる中国への脅威が増してきた現在、「制脳権」という言葉が脚光を浴びてきている事の重大さに気付きたい。「洗脳」に弱い国民性を持つと考えられる日本国民にとってきちんと正対すべきテーマであろう。敗戦によって「マインドウォーズ」の恐怖を痛感したはずの日本人が戦後、どれだけその事を反省できているのかが、未だに問われている。SNSの普及にともなって生まれてきた「エコーチェンバー」「フィルターバブル」という新規な言葉の現代的意義に注目したい。視聴時間が長いので幾つかに区切りながら、その都度、丁寧に議論していく必要があるが、極めて重要な番組。

【ベストセラー】「テレビは見るな! 新聞は取るな! (日本の真相!) 」を世界一わか

 りやすく要約してみた【本要約】 2022/05/11 本要約チャンネル 33:50

 この本自体がただのデマなのか、直ちに確認すべきであろう。

戦争はマスメディアが作り出す!?人々を洗脳する「戦争広告代理店」とは

 原貫太国際協力師 2021/04/21 16:36

【知らないとダマされる】なぜ大衆は戦争に煽られてしまうのか?(前半)

 2022/03/25 原貫太・フリーランス国際協力師 13:28

戦争で「広告代理店」が儲かるのはなぜ?【情報操作の闇】

 2022/04/09 原貫太・フリーランス国際協力師 17:13

ウクライナ危機で大儲けする「軍需企業」とは!?

 2022/04/22 原貫太・フリーランス国際協力師 16:15

【メディアの黒歴史】戦争反対を訴えていた新聞が180度方針を変えた話

 2022/04/15 原貫太・フリーランス国際協力師 14:36

メディアが「戦争の真実」を伝えられない本当の理由

 2022/04/06 原貫太・フリーランス国際協力師 14:42

【先進国最下位】日本の「報道の自由度」が低い3つの理由

 2022/02/05 原貫太・フリーランス国際協力師 13:30

元CIA諜報員がプーチン氏の心を読む(2022年5月7日)

 2022/05/07 ANNnewsCH 11:39

 侵略戦争を行う国家のあり方についてはウクライナ侵攻を強行したプーチン政権を

 具体例にして理解できるだろう。習近平政権と類似した洗脳政策は中国による台湾

 侵攻、尖閣諸島占領が現実に起こりうることを示唆しているかも。

【賛成420票vs反対1票】たった一人で「戦争反対」を唱えた女性議員の物語 

 2022/04/21 原貫太・フリーランス国際協力師 13:24

知って欲しい、教科書で“いま”何が起きているのかを/映画『教育と愛国』予告編

 2022/03/22 moviecollectionjp 2:16

映画「教育と愛国」が示すもの 「政治の道具」迫る危機 ディレクター・斉加尚

 代さん 2022/04/13 毎日新聞 5:44

【白井聡 ニッポンの正体】~映画 「教育と愛国」 から考える~ 歴史を私物化す

 る愛国者 2022/04/15 デモクラシータイムス. 1:27:00

 

参考記事

ロシアで「過激派」情報をネット検索しただけで…最大9300円の罰金、プーチ

    ン氏が法案署名 読売新聞 2025.8.1

佐藤優「ニッポン有事!」国家総動員体制の日本に似たプーチン大統領「教育と国

   益」論 アサ芸biz  2025.2.9

   ロシアの現状だけではなく、変な愛国論がまかり通る日本のネット社会も考え合わせると、戦時中の皇国民教育をただの過ぎ去った出来事として忘却してはいけない、現代日本への警鐘となっている点にぜひ注目したい。

「この8年間プーチンは国民を洗脳してきた」...政府系メディアに乱入した女性が

 捜査官相手に吐いた反戦抗議の「納得の理由」 現代ビジネス

 マリーナ・オフシャンニコワ によるストーリー  2024.5.10

「ウクライナ侵攻は住民保護」ロシアが刷新した「歴史教科書」に書かれた問題部

 分 アサ芸biz の意見 2023.8.15

ロシア、統一教科書で侵攻正当化 歴史教育見直し進める

 共同通信社  2023.5.15

 この記事は討論のネタに使えるだろう。突っ込みどころ満載で利用価値は高い。特にプ-チン発言のどこに突っ込みを入れるか、まず問うてみたい。また中国のネット上でのコメントも突っ込み材料豊富。国定教科書の怖さと検定教科書の危うさを知っておきたい。他方で戦争に関する日本の教科書の記述がどこまで信用できるのか、生徒にアンケートをとってみたい。

プーチン氏「日本人は教科書に真実を書かない」=中国ネット「ユーモアある」

 「そもそも教科書には…」 Record China 2022/10/31 21:46

参考動画

幼い子どもが軍服姿で「奉仕できます!」ロシアで加速する“軍国教育” 高校生の

 軍事訓練映像を独自入手【戦争と子どもたち】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/08/12  9:39

 上の参考記事と併せて学校と戦争との関係を考えさせたい。ロシアでの軍国教育を例とすれば、比較的、意見が出やすく、導入にうってつけの動画。かつての国民学校での教育と非常によく似ており、この動画から日本の学校教育の問題へとつなげていく展開がオススメ。

戦死者数わかってますか? ロシア人にきいてみた。

 ロシア人にインタビューしてみた 2022.10.1 9:19

今でもTVを信じてる? 若いロシア人にきいてみた。

 2022/10/16 ロシア人にインタビューしてみた 17:09

ロシアが負ける時、どうなりますか? ロシア人にインタビューしてみた 

 2022.10.21 11:01

 戦争中の政府による報道統制が国民の認識を歪めてしまう現象は古今東西を問わず、どの国でも起こりうる危険な現象。知る権利、報道の自由が今の日本ではどれだけ保障されているのか、しっかりと調べさせた上で考えていきたい。いきなり日本を素材にすると反発も予想されるテーマなので比較的、意見を言いやすいウクライナ戦争は討論の素材としてはタイムリーであり、ぜひ授業で使ってみたい素材の一つ。

NHK | ロシア少数民族が集中的に動員され戦死者も 動員はジェノサイドだ

 ーチン大統領の狙いは? 少数民族ブリヤート人の苦悩| BSキャッチ 世界のトップ

 ニュース 2022/10/13 NHK 10:21

これからも、政治に無関心でいますか? ロシア人にきいてみた。

 ロシア人にインタビューしてみた 1420 2022.11.10 6:54

プーチンどう? 顔、声を隠してきく。ロシア人にインタビューしてみた 1420   2023/03/05  MOSCOW 撮影1月と2月 17:30

 匿名を条件にするとプーチンに対してかなり批判的な意見が表出してくる。

参考記事

ロシア国民はなぜ今も“間違いを犯した自国”を支持するのか。「国民感情」の国際

 比較から考える mi-mollet 加谷 珪一 の意見  2023.7.15

 重要な観点からの指摘。ただし日本の場合も教育や報道の自由度が極めて低い点に大きな問題があるだろう。対岸の火事、と悠長に構えている場合ではあるまい。

中村逸郎氏が警鐘 広島G7開催のタイミングでロシアが核攻撃の可能性

 東スポWEB の意見 2023.5.7

米小学校乱射を否定し巨額賠償命じられた陰謀論司会者、自己破産申請

 BBC News 2022.12.3

 陰謀論をまき散らしたトランプ政権下での出来事である。陰謀論の拡大は戦前の日本でも「満蒙は日本の生命線」などと言った危機感を煽るスローガンによって生じていた。近年ではウクライナ戦争でもこの手の陰謀論はネット上で種々観察できよう。ネット社会の進展もあって大統領や国家が平気で陰謀論をばらまく時代が来ている。瞬時に大量の情報が飛び交う中で信頼できる情報源を探すのは極めて難しい。確実に言えることは「情報の信頼性を確認できるまでは結論を急がない」事であろうか。多様な意見にじっくりと耳を傾けつつ、粘り強く自分なりに信頼できるデータを積み上げていき、データに裏付けされた意見を自らの力で構築していく…そうした姿勢を幾度もの討論を通じて繰り返し養っていくことが求められているようだ。

「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落

 とされている“問題の本質” 文春オンラインプチ鹿島 によるストーリー 2023.4.4

堕落した大新聞ついに自ら“言論統制”の自殺行為 朝日新聞が社員の書籍出版を「不

 許可」日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.6.5

朝日新聞に著書“出版禁止”を出された社員が語る「新聞社の言論規制」調査で明ら

 かになった「臆病になる新聞」 SmartFLASH によるストーリー 2023.7.4

 

・少国民錬成教育の実際

日本軍が真剣に考えた愚策「松の油を戦闘機や戦車の燃料にする計画」を小学生た

 ちも手伝った 現代ビジネス 若尾 淳子 2025.8.20

 …戦前、日本は「神の国」でしたから神である歴代天皇の系譜を小3のときに暗記させられました。朝礼では毎朝、軍人勅諭の朗読があり「戦陣訓5ヵ条」というのを全校で暗誦しました。「軍人は礼儀を正しくすべし」「軍人は武勇を尊ぶべし」……「軍人は質素を常とすべし」だったかな。もちろん教育勅語も暗誦させられました。

 そのころ校庭には”奉安殿“という小さなお宮みたいなものがありました。当時はどこの学校にもあったのではないですかね。中には天皇皇后陛下(明治天皇と昭憲皇太后、大正天皇と貞明皇后、昭和天皇と香淳皇后)のお写真や教育勅語が納められていて、登校時や近くを通るときは、必ず最敬礼するのが決まり。奉安殿の横には二宮尊徳の像もありましたね。…

 貴重な証言だろう。学校教育が抱えている重大な戦争責任が、こうしたことからも少しは伺えるはず。

「死ぬための教育は、教育のまさに逆転現象」子どもたちを支配した軍国主義は教

 室だけでなく少年向け雑誌にまで【報道特集】

 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.8.17

参考動画

“故郷を護るため”ゲリラ戦を強いられた沖縄の少年たち 戦後PTSDになり…閉じ込

    められた2畳の座敷牢【報道特集】

    TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/08/15  27:50

 少国民教育の実態を理解できる動画は数が極めて少ない中で、沖縄戦も視野に入れたこの動画は非常に貴重であろう。今の教師たちにもまだ学校の戦争責任を問い続けていく必要があるに違いない。とりわけ現在の日本の学校教育にはびこる行き過ぎた集団主義の恐ろしさはもっと強調されるべきだと思うが、いかがか。

初めて日本の電車に乗って北朝鮮の女性たちが衝撃を受けました...! 毎回止まる

   し、遅れたのに全く違う... IKITERU【イキテル】  2024/11/27  14:27

   ロシアだけではなく、北朝鮮でも国家による洗脳策が行われている。では日本の学校教育は大丈夫なのか、問い返したい。

反日教育について北朝鮮の友達から本音を聞いて泣いてしまいました...教わったこ

   とと全く違う日本 IKITERU【イキテル】 2024/11/29  24:56

   やや視聴時間は長いが、ぜひ生徒たちに視聴させたいイチオシの動画。国家が強制する学校教育の悪しき影響力を思い知ることは絶対に必要である。戦後の北朝鮮出身者の動きや拉致事件など、解説が必要なポイントが幾つかあるので視聴する前に解説文をプリントし、配布しておきたい。

長井暁×神保哲生:権力からの圧力で番組内容が歪められてしまうNHKのままでは

 いけない videonewscom  2023/07/22 1:02:02

 NHKが安倍政治による人事介入によって公共放送としての役割を果たすことが瞬く間に難しくなってきた経緯が分かる。マスメディアへの政治介入とマスメディア側の政府への忖度体質がしっかりと根付いてしまった日本の現状は異常であり、検定教科書制度含め、国民の知る権利への侵害(→「教育と愛国」)がどれだけ深刻なのか、まず知らなければなるまい。

山田健太×宮台真司×神保哲生:どうするNHK。これからも公共放送を続けたいの

 なら統治体制を根本から変えるしかない【ダイジェスト】

 videonewscom 2023/07/22  7:33

 授業で視聴するには中途半端な内容だが、フルバージョンの方を教師が予め整理しておき、足りない分を板書なり、プリント資料で補うならばOK。NHKの放送内容に政府が介入するという放送法違反が堂々と行われてきた事は重大であり、決して看過できない状況が続いていることに注目したい。

【高市早苗氏と総務省文書①】放送法の“政治的公平”を巡る問題…どんな文書が流

 出したのか?中田敦彦のYouTube大学 -  2023/03/28 29:49

【高市早苗氏と総務省文書②】流出した文書を徹底解説!テレビが政治にコントロ

 ールされやすいのはなぜか?中田敦彦のYouTube大学  2023/03/29 33:42

 安倍政治と日本の放送業界が抱えていた問題点(クロスオーナーシップ制、NHK会長の人選方法…)に対する理解は必要だろう。

 ※なお「アベノマスク」を巡る訴訟によって政府の隠蔽体質の根深さと業者によって2倍を超える不自

  然な単価が設定されていた事が判明(→アベノマスクの契約単価、調達業者によって2倍超の差 国

  敗訴で開示朝日新聞社 によるストーリー 2023.4.8)。国民の知る権利がしっかりと保障されて

  いなければ民主主義は機能不全になる虞があるだろう。

オリヴァー・ストーン製作総指揮!映画『すべての政府は嘘をつく』予告編

 2017/02/17 シネマトゥデイ 2:49

監視技術、米が日本に供与 スノーデン元職員が単独会見

 2017/06/01 KyodoNews 4:06

 ◎の二つの動画は質問を挟みながらも是非、連続して視聴させたい。戦争を巡っては何が真実かを私たちが知ることはほぼ絶望的であるという、恐ろしい現実とまず向き合うことから沖縄戦についても議論を始めるべきであろう。謙虚さを欠く、扇動的で断定的言論の多くは信用できない、と心すべきである。

【太平洋戦争】大本営よりサイパン玉砕の発表 直後の日本の様子【字幕付き】

   Tの宝探し冒険記  2024/08/09 7:28

 非常に貴重な動画であり、ぜひ視聴させたい。太平洋戦争での重大局面だったサイパン陥落直後の状況をうかがい知ることができるだろう。特に国民学校の場面では厳しい国家統制下での「やらせ」的情報操作、洗脳策が露骨に観察できる。学校とマスコミの戦時における役割について時間をかけて議論させたい。

【戦争報道】国民も加担?誰が主導したのか?日本には無責任がまん延?戦後より

   戦前にヒント?辻田真佐憲と考える|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/08/22  16:32

 特定個人の犯人捜しではなく、日本社会の制度や構造への眼差しがポイントになるだろう。天皇制という特殊な体制がもたらした負の側面としての集団的指導体制が抱える無責任体質と村社会的相互監視システム、マスコミや学校教育…無謀な戦争を生み出した要素は数多く、複雑に絡み合って存在している。ただカッパはそうした負の側面を持つ戦前の体制、体質が一部、戦後も延命している点を問題視したい。それが戦後日本を戦前の日本に後戻りさせかねない危険因子だという点を授業では強調すべきではないか。いかがだろう。

【1940アーカイブス】戦後抹消命じられた「戦争ごっこ」 80年前の映像記

   録 朝日新聞デジタル  2019/05/05 1:34

   戦時中に流行った戦争ごっこは日本の敗戦後、なぜか一時期だけ復活している。それはいつのことで、なぜ、その時流行したのだろう?

沖縄戦•戦時前の舞台裏: 戦争支援組織の誕生と戦場に直結した暮らしはどのような

   ものだったのか? OKINAWA a la carte  2023/09/20  7:06

 貴重な写真を通じて民衆視点から戦時体制を概観できる。授業では必見の動画。特に戦時中における学校での様子がよく分かるだろう。

元学徒兵が語る 戦争前夜への危機感(沖縄テレビ)2023/6/19

 OTV沖縄テレビ  2023/06/22 7:11

 戦時中の報道統制と軍国主義的教育の危険性がよく分かる。

不都合な真実隠した歴史 沖縄戦に突き進んだ背景に迫る企画展

 沖縄テレビ によるストーリー 2023.6.9 1:03

【沖縄戦本島米軍上陸】米軍が沖縄本島に上陸して2日後にチビチリガマ(読谷

 村のガマ)で凄惨な出来事が起こりました。

 阿波根あずさの沖縄観光チャンネル  2021/10/23  18:35

揺らぐ① やんばるの戦争 民間人殺害の背景

 【琉球放送】RBC NEWS  2023/06/19 7:46

【ドキュメンタリー】「沖縄戦の縮図」といわれる伊江島~知られざる悲しい記憶

 ~令和こそ平和の時代に…日刊ゲンダイ 2019/05/01

 伊江島民泊を予定する学校では必見。沖縄で最も死亡率の高かった激戦地が実は伊江島であったことを知るべきだろう。

ドキュメンタリー 今も続く沖縄戦の傷「晩発性PTSD」QABドキュメンタリー

 扉2014 2014/03/02 

 全部で46分近くを要する。11分10秒までの視聴で可だが、教師としてはぜひすべて視聴しておきたい。

[クロ現+] 戦場のトラウマで精神疾患に 戦後も続く元兵士や家族の苦しみ |

  NHK 2021/09/24 

 5分に短縮されており、授業で利用しやすい。

[目撃!にっぽん] ずっと父が嫌いだった 家族が向き合う戦争の傷痕 | NHK 

 2022/01/25 6:35 

 戦争が心に残した傷跡は家族すら理解できない。

年間6500人自殺者も...米軍が抱える"深い闇"

 NEWS23 2012/02/19 6:06 

 戦争を繰り返してきたアメリカの闇を感じておきたい。

【平和教育】戦争の悲惨さどう伝える?原爆や沖縄戦ばかりで良い?「はだしのゲ

 ン」削除を考える|ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/02/23  16:45

【戦後76年】被爆者なき時代を見据え「実物展示」に転換 広島・原爆資料館【報

 道ランナー】関西テレビNEWS   2021/10/01  13:55

 こだわるべきは実物展示そのものではあるまい。「展示物」が何を物語るのか、そこにどんなストーリーが隠されているのか、今、読み取れることは何なのか…物との対話力こそ、問われているはず。見る側の想像力を多様に刺激する展示の仕掛けをどう工夫していくかは、技術的な進歩や人々の価値観の変化にも左右されるだろう。資料館に「完成形」などあろうはずがない。ひめゆり平和祈念館にも通じる、新たな展示のあり方を常に模索する姿勢が大切だと思うが。

昔話】さるかに合戦&桃太郎にもコンプラの波?ストーリーもオチも全然違う? 

 ひろゆきと考える ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/02/19  19:54

 伝承は時代や地域の在り方とともに変わっていくものであり、現在の価値観が反映されていく事自体は問題ではない。とはいえ「はだしのゲン」の教材からの削除はまた別の問題をはらんでいるかもしれない。この作品を通じて色濃く漂っている作者の鋭い天皇制批判、戦争責任への執拗な追及の姿勢が教育行政側からは早くから問題視されてきた。実際、30年以上前のことであるが、中沢氏の講演が千葉県教委の指導で取りやめになっている。ついに広島県でもそういう時代になってしまったのか…

・チビチリガマとシムクガマ(読谷村)の明暗

戦世から80年 チビチリガマ 真実明らかにした調査(沖縄テレビ)

 2025/4/04 沖縄ニュースOTV 2025/04/10 14:57

 読谷の住民の間でタブーとされていたチビチリガマの集団自決(集団死)を戦後38年にして掘り起こした下嶋氏の取り組みに感謝したい。戦前、戦時中の学校教育こそが最大の加害者であった、という沖縄の人々の思いを今のヤマトンチュはどこまで汲み取ることが出来るのか、ぜひ、考えておきたい。

 なお、動画内で登場した知花昌一氏は1987年10月26日、読谷平和の森球場において開催された第42回国民体育大会のソフトボール競技会の開会式で、掲揚台から日の丸を引き下ろし焼き捨てたことで有名。1995年の控訴審判決において、建造物侵入罪・器物損壊罪・威力業務妨害罪により懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定している。このことの是非についても議論させたい。

 戦前、戦時中の学校教育には「生きて虜囚の辱めを受けず」とする東條英機の戦陣訓や「鬼畜米英」をスローガンとする欧米への敵愾心の醸成など、集団自決に強く結び付く内容があったことは厳然たる事実。ならば戦後、日本の学校教育はどう変われたのか、変われなかった事とは何か、冷静に振り返ることが必要であろう。

戦後70年の地平から「2つのガマから見えるものは」
 RBC 2015/05/04 6:41

 チビチリガマとシムクガマの運命を分けたものとは何だったのか?ウソをつき続けた当時の戦争指導者や学校とマスコミの責任は重い。
【戦争を知る】集団自決・運命を分けた2つのガマ ~日テレ戦争アーカイブス~ 
 2021/08/13 11:42

 沖縄戦の悲劇として知られるチビチリガマ(読谷村)での集団自決(1945年4月)は親が子を殺すという、凄惨なものだった。村人の総人口194名のうち139名がガマに入ったが、自決者数は83名(85人とする場合あり)、死亡率は60%に上り、その過半数が子どもであった。サイパン島陥落の際(1944年6~7月)にも、投降を嫌って断崖から多くの人々(1万人余)が投身自殺していた。しかしチビチリガマ近くのシムクガマではハワイ帰りの住民が必死に住民を説得し、米兵と交渉したお蔭で1000人近くの村人が全員米軍に投降して生きながらえることが出来ている。

 ※参考記事

  ◎沖縄戦、新版教科書は集団自決の日本軍関与触れず 市民団体調査

   毎日新聞 によるストーリー 2023.6.22

 

 

㊱討論型授業のキモ

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

校則で「ツーブロック禁止」がゼロに 千葉市の市立中学・高校

     朝日新聞社 2025.12.9

 この手のような空虚な報道を繰り返しているから「マスゴミ」と批判されてきたのではなかったか?本質的に重要なのは「ツーブロック禁止校則」がゼロになった事ではあるまい。校則改訂がどのような議論のもと、どのような手続きを経て決定されたのか、が厳しく問われるべきはずであった。マスコミとしてそれに言及できない、記事としてのレベルの低さがまたもや露呈している。

 仮に「バスに乗り遅れるな」とばかりに周囲の学校の動きに追随し、世間体を気にする余り、校則改訂を急ぎ過ぎてしっかりと生徒側の意見を聞かないまま、校長主導のもとに職員会議で一方的に決めてしまったとしたら、どうだろう。むしろこのことこそ「教育の場」として極めて不適切であり、最悪の決定プロセスとすら言えると思うのだが、いかがか。。

 「ツーブロック校則」が話題になってから既に5年以上は経過している。にもかかわらず突然、今更のごとくバタバタと校則の改訂が行われてきた千葉市のプロセスには政治的な圧力によるもの、との疑念しか湧いてこない。「金魚の糞」のように、何も考えずにひたすら「右に倣え」を繰り返してきた千葉県の教育界らしい出来事、と周囲から茶化されてもおそらく教育委員会は反論できないのでは?

 とは言え、この記事、ぜひとも授業で議論させたい。議論噴出する活発な討論のたたき台として絶好のネタ、ではある。

学校の「カリキュラム」多すぎでも減らせない事情

 東洋経済オンライン 妹尾 昌俊 2025.10.22

 学校が引き受けている仕事量と同様に教育内容もひたすら増え続けてきた。もちろん「ゆとり教育」の際に学校で教える内容の大胆な削減が試みられたのは事実だが、その際に問題だったのは教える内容以上に膨れ上がってきた教師の仕事量への削減がほとんど進められなかった点であろう。

 教師の仕事量は教える内容が多少、減ったとしてもほとんど軽減されないほどにたっぷりと加算されてきた。そのことへの教育行政側の反省が無い限り、教育内容の見直しがどんなに適正に行われたとしても、児童生徒にもたらすプラスの効果は極めて限られてしまうに違いない。教師の負担軽減が大胆に進められない限り、肝心の状業改善が滞ったままだからだ。

 ただし授業内容の改善は授業方法の改善と密接につながる側面がある。もっぱら「覚える事」を軸とした受け身の教育から、多少とも主体的に学び、考える教育へと軸を移すべき時でもあるだろう。当然のことながら、教育目標の見直しに伴う教育内容と教育方法の改善は、授業以外での教師の負担の大胆な削減と同時に推進していくべきなのである。

・討論型授業のためのバイブル

 「子どもたちに民主主義を教えよう~対立から合意を導く力を育む~」

 (工藤勇 一・苫野一徳 あさま社 2022)

 この本さえ読んでおけば討論型授業への恐怖感、抵抗感は解消され、討論の本質的意義をつかめるはず。読みやすく、分かりやすいカッパ一押しの本。

 

・前提となる基本的スタンス

 現実の社会では今すぐに正解を見いだせない「不良設定問題」が多いことを前提に、敢えて論争を呼びそうな不良設定問題への思い切ったチャレンジを試みる。

 「VUCA」という用語が注目されてきているように現実の社会問題は学校のテスト問題とは異なり、正解が一つとは限らず、そもそも事前に正解が用意されている訳ではない。まさにVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)に満ちているのが現代社会である。

 そうした中で様々に異なる意見同士の粘り強いすりあわせを通じて、現時点での最適解を追求する討論型学習を行うとともに、生徒が自ら調べ、自分の考えを深めていくこと、そして各々が納得感の獲得できる個別化、個性化学習へと授業の軸足を移していくことが喫緊の授業目標となっている。

 

 これらの学習過程を通じて生徒、教師共に考え方の多様性に気付き、意見の異なる他者を尊重する姿勢を育むと同時に異常なまでに同調圧力の強い日本の硬直化した学校文化を徐々に相対化し、学校教育に一層の奥行きと柔軟性、多様性をもたらすことを目指していく。

 

参考記事

20年で7600の小中学校が廃校…統廃合巡り保護者や地域との合意形成に壁、

 文科省が事例集公表へ 読売新聞 2025.9.6

 …小中学校の標準規模は法令によって、それぞれ「12~18学級」とされるが、全国の小学校の4割、中学校は5割が下回る。文科省は、学校再編の手引で「児童生徒が多様な考えに触れ、協力し合う教育を行うためには、一定の集団規模の確保が望ましい」としている…とのこと。皆さんはこの文科省の考えをどう思うだろうか。

 今や小中学校での教育は一学級を20人以下の少人数にして教師の目がしっかりと一人一人に行き届きやすくし、学習の個別最適化を図るのが基本であると私は考えている。したがって現在の少子化の流れはこの少人数教育を実現させる上で絶好の追い風となっているはずだ。

 ところが国はこれまでもひたすら教育予算の削減を図るべく、少子化を理由にして学校の統廃合を推進してきた。その結果、少人数教育の実現は蜃気楼のようにひたすら遠のくばかりとなっている。

 学校で「児童生徒が多様な考えに触れ」るためには、日本の場合、児童生徒の意見表明の機会を劇的に増やすことがまず必要とされるだろう。そのためには当然のことながら少人数教育が実現できていなくてはならない。しかし国は相変わらず安価で効率的な多人数教育を理想としているのだ。

 おそらく多人数教育による画一的な一斉講義形式の授業こそが児童生徒に集団主義的心性を涵養し、協調性の豊かな国民を育てることにつながる、というのが老害政治家たちの本音なのだろう。児童生徒が「多様な考えに触れ」ることなどは実際にはどうでもよくて、それはあくまでも従順な国民作りという本来の目的をごまかすための口先だけの綺麗ごとに過ぎないのかもしれない。

 今も一学級35人体制すら徹底できていない劣悪な条件の下で、教師は文科省の指示に従って児童生徒の学習を個別最適化すべく奮闘努力させられている。おそらく国はICT化さえ進められれば学習の個別最適化はある程度可能だと踏んでいるに違いあるまい。しかしそれはあくまでも学力向上を目指すだけの手段であり、必ずしも児童生徒の個性や多様性の尊重を目指すものではない。

 児童生徒の意見表明権が小学校の現場に浸透するのは遠い先の事。実際には次の学習指導要領が登場する2030年以降の事である。しかし多人数教育の下でブラック校則や一斉講義形式の授業が残存するような現状では、今後も児童生徒の意見表明権など尊重されるわけがあるまい。「児童生徒の意見表面権の尊重」というフレーズもまた国民の目をごまかすための、ただの綺麗ごととして利用されてしまうのではないか。

 同質性が高く、同調圧力の高い社会は政府にとって極めて効率的であり、政治的な安定性を保てるがゆえに、日本の学校は安価で効率的な多人数教育の下、画一的な一斉講義形式による指導を通じて同質性と同調圧力の高い社会を今後も再生産しようとしている…実はそういうことなのかもしれない。

参考動画

【危険】今、日本人が自分の頭で考えられなくなっている理由

 曖昧な思考 2025/06/05  16:51

 面倒な事実関係の検証をサボり、深く考えることをしないまま、ただ単に周囲の空気を読んで大勢の意向に合わせることは簡単で楽な行為のため、省エネに走りがちな脳が自然に好む選択肢の一つであるだろう。敢えて意識的な努力を重ねなければ人は自分なりの思考を放棄しがちなのだ。したがって現代のSNS、ネット上にはびこる「思考の放棄」現象から自分を引き離すことは誰にとっても極めて困難となる。

 であるならばなおさら、高校生のうちから可能な限り周囲の空気に流されずに自分の頭で考える訓練を繰り返すことこそが今の日本で最も必要とされているように思えるが、いかがか。討論、議論を軸とする授業が生徒たちの自分なりの思考力を鍛える上で大いに役立つはずである。

 この動画はわずか一度の視聴で理解できるものではあるまい。解説を挟みつつ、できれば二度は繰り返してじっくりと視聴させたい。ただし「曖昧な思考」というチャンネルではかなりスピリチュアルに偏った内容の動画が数多く見られるので、宗教的勧誘の側面には要注意。したがってこれ以外の動画の多くは決してお勧めできない。

参考記事

乙武洋匡氏 ryuchellさんが「多様性は強要しない」と 「友達なんかじゃな

 かった。」と悔恨 デイリースポーツ によるストーリー 2023.7.15

 「多様性で大事なのは、強要しないことじゃないかな。自分はこう思うからあなたもわかって!ではなくて、なるほどあなたはそういう意見なのねって、まずは認める姿勢を見せること。相手にも自分にもどこまでやわらかくなれるかだと思うんです」

 多様性の尊重とはどういうことなのか、ryuchellさんが遺した言葉に耳を傾けたい。彼が討論の場でこのことを常に意識していたからこその、あのソフトな語り口調だったのだ。いつも討論する際には心がけたい金言。

参考動画

【コミュ障?】最近の若者が社会人になっても人付き合いを避ける理由…

 山田玲司の原作が10倍おもしろくなる解説【山田玲司 切り抜き】

  2022/06/07  10:25

 討論型の授業を展開するために最初に視聴させたい動画の一つ。相手の意見をしっかりと聞くことができる事と自分の意見を持ち、それを分かりやすく伝えることができる事がいかに大事か、まずは知っておきたい。そして日本の学校ではなぜ討論型の授業が広がらなかったのか、根付かなかったのかを考えさせたい。

【ファクトチェック】正しい情報を国が判断ってアリ?言論弾圧?民間企業に任せ

 るべき?ABEMA Prime #アベプラ【公式】2024/08/08  20:42

 討論の土台とすべき事実認識に一定レベルの思い違い、事実誤認が存在してしまう可能性を完全に排除するのはおそらく無理だろう。そしてたとえ多少の思い違いに基づく意見であってもその意見が全くの無意味であると決めつけること自体も実は間違いである可能性はある。そもそも私たちがある意見を持つために必要とされる知識はいつだってあまりにも不十分なレベルにとどまっていて、むしろ自分の意見を完全なものとみなすほどの知識を誰一人所有していないと心得るべきなのではあるまいか。

 日本の戦後政治はGHQやCIA、日米合同委員会などの働きもあって数多くの情報がいまだに国民には隠蔽されたままであると見て良いだろう。たとえば正力松太郎の戦後日本における役割とは何だったのか、その全貌を掴むことはおそらく今も不可能であると考える。アメリカの公文書館等に保管されている彼の関係資料には現在も黒塗りされた部分が少なくあるまい。同様に731部隊の全貌もすべてを白日の下にさらすことは未だに出来ていない。沖縄関係に限らず、日米間の各種密約の全貌もしかりである。それが極めて重要な知識であるにもかかわらず「ファクト」自体の多くがひどく限定されている日本のような状態では「ファクトチェック」もまた不十分なものにとどまるのは不可避である。当然、このような状態の下では政府側にファクトチェックを委ねることほど危険なことはあるまい。それは「知らしめず、依らしむべし」の愚民化政策を加速させるだけである。

 かつて動燃が原子力発電に関わる事故隠しを続け、国民の信用を完全に失ったように、日本政府もまた近年のモリカケ問題などに見られたゴマカシ、隠蔽工作を性懲りもなく繰り返し、国民からの信用をひどく失いつつある。こんな隠蔽体質に覆われた政府による検定教科書を教師が疑うことなく鵜呑みにして漫然と授業をして良いはずがない…という考えははたして極論なのであろうか。

 情報を発信する立場にある者はすべてファクトチェックの努力をすべきだが、誰であっても完璧なファクトチェックを期すことは不可能である。重要なのは乱立し、対立する多様な意見をただちに感情的に排除するのではなく、時間をかけて自説を検証し、出来る限り広く深く考え、とりあえず現状で探りえた事実、知識を用いて自説を補強していく事、ないしはより良い他説に乗り換える事。同時に自説と異なる各種の意見への理解を深めつつ、現状で考えられうる限りの反証を試みてみる…こうした地道な努力をすべての人がお互いに果てしなく続けていくことであろう。

 討論型の授業は以上のような観点からも高校での授業に積極的に導入されるべきだと考えるが、いかがか。

【議論の仕方】多様性を大事にしても議論はうまくいかないので、同質性を大事に

   しましょうということについて解説します

   謎解き統計学 | サトマイ  2024/06/28  14:23

   非常に面白い、かつ重要な観点を提示してくれている。ただし突っ込みどころが無いわけではあるまい。まずは生徒に視聴させて突っ込みどころの有無を問いたい。授業における対話型討論を有効に機能させていくために必要とされる重要な観点を生徒たちが見つけられれば極めて有意義な動画視聴に転換できる。

   個人的には差異、多様性よりも同質性に注目することで、一見対立する意見同士のすり合わせを実現する…これはスピーディーかつスマートな形で議論の収束、意見の統一を図ることを目的とするならば、当然の心構えと言える。しかしたとえ対立する者同士で目的、理念が共通していても、目的達成に至る方法論が異なればいずれにせよ自分たちの目的や理念に到達できない可能性はあり、まったく異なる結果をもたらす危険性すらあるだろう。方法論の違いの底には意外なほどに根が深い差異、対立点が潜んでいる場合は十分あると思う。それは民主主義をどう捉えるのかにも関わってくる重大な観点ではあるまいか。

 議論においてあらかじめ同質性を重視することも間違いだが、異質性を強調し過ぎるのももちろん間違いである。それは人としての遺伝子情報の同質性の高さとは無関係の話であり、社会のあり方を論ずるときには生物学や医学での学説を安易に当てはめて説明するのがそもそも筋違いなのである。

 日本社会における同質性の高さは、集団的作業での効率性の良さとなって高度経済成長期を実現させてきた重要な因子の一つである…このことはほぼ疑いえない事実だろう。しかし高度情報化社会においては組織の効率性のみならず、個の突出した力が問われる。常に周りを忖度し、個性をイジメの原因と見なして排除しがちな同質性過剰強要の日本社会で今、一番問われているのはやはり個性や多様性の尊重なのだと思うが、いかがだろう。

 今までの様に結論を急いで忖度を強要し、タイパ、コスパばかりを重視していると日本社会の息苦しさは強まる一方となるかもしれぬ。むしろタイパ、コスパを多少犠牲にしてでもじっくりと議論のすり合わせを続けていく努力が、少なくとも学校教育段階では切実に求められていると考えるが、いかがか。授業のタイパ、コスパを少しばかり犠牲にできる程度の、本当の「ゆとり」が今の青少年にはとりわけ必要なのではあるまいか。

 日本に限らず、世界の姑息な政治家たちはさも民衆に迎合するような政策を自分の理念、ポリシーとして掲げつつ、いつの間にか政策の実現方法や論点をずらして民衆の期待を根本から裏切る…そういった汚い技をこれまでも得意とし、長い事駆使しきたのではあるまいか。今や彼らの皮相な理念など信用する方が間違いなのであり、裏に秘めた彼らの本当の狙いに気付くべき時なのではあるまいか。

心理的安全性を高める。どうしたら皆が働きやすい会社をつくれるか?

 精神科医がこころの病気を解説するch 2024.1.16 11:45

 皮肉ではあるが今の日本の学校がどれほど「心理的安全性」が脅かされる場所となっているのか、なぜイジメがはびこり、不登校が多いのかがよく分かる動画となっている。相手の個性や多様性を重んじて時代の変化に柔軟に対応し、外部からの批判に学ぶような謙虚な姿勢があれば組織の心理的安全性は高まる、という指摘と真反対にあるのが隠蔽と自己保身に走り、画一的で管理主義的な今の日本の学校なのだと思うが、いかがだろう。

 当然のことながらこうした日本の学校文化においては、討論型の授業ほど根付きにくいものはあるまい。日本の場合、教師や生徒たちが活発に自分の意見を言えるような「心理的安全性」が極めて低いからである。しかしだからこそ討論型の授業を根付かせていく努力が必要なのであり、その努力こそが学校改革の中核部分になりうるのだと私は考える。

バカになるな!論破のテクニックで騙されてはいけない!【宇野常寛】

 たかまつななチャンネル 2022.10.10 22:50

 討論中心の授業とする場合、ディベートのような論争の勝ち負けにこだわる「ひろゆき」流あるいは「橋本」流の論破ゲームに陥らないような配慮が肝要となってくる。宇野氏の指摘する「スネ夫症候群」に要注意。基本的には討論の過程で多様な意見の創出をまずは目指すべきだろう。そして大勢の意見を聞くことを通じて多様な価値観がこの世に存在することの社会的意義を確認していく・・・それこそが一人でも多くの生徒を巻き込む、討論を用いた授業の最重要目標とされるべきだろう。意見の多様性を熱望する討論の場のあり方の中にこそ、ラディカルに「問いそのものを問い返す」可能性や問題解決に向けたオルタナティブで建設的な意見の創出に向かう可能性が胚胎するに違いない。従って教師は討論において決して議論を一つの結論に導いていくような誘導や断言をしてはなるまい。一つ一つの異なる意見が持つ様々な意味、意義を注意深く見出し、生徒達にもしっかりと気付かせていく事に教師は最大限の労力と工夫を払っていきたい。

 もちろん、議論の方向性が一定せずにあてどなく彷徨ってしまっては論点がぼやけてしまうので、ある程度構造化されたアンケートや発問計画を事前に用意してから討論に望むべきなのは当然の事である。

【心理的安全性】誰もが率直に意見を言える環境とは?組織改革を進めるカギ?超

 重要概念を学ぶ

 2022/05/29 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】 24:20

 多様な意見を引き出すために必要とされる「心理的安全性」とは何か、理解できる。「心理的安全性」をまず確立しておかないと討論型授業は成立しないだろう。

【ハーバード大学准教授が語る】社会的に消す「キャンセル社会」の闇【ひろゆき 

 の妻&奥井奈南】 ReHacQリハック【公式】  2023/05/14  34:50

 多様な意見を引き出す上でキャンセルカルチャーの危険性に留意する必要があるだろう。

参考記事

Z世代に聞いた「理想の学校」──「居心地がよく、学びやすい環境が整っている」

    が半数超に【プレマシード調査】 EdTechZine 2025.9.27

 調査対象者数が600名と余りにも少なすぎてあくまで参考程度のことしか言えないが、以下の調査結果はぜひ記憶しておきたい。

 …「理想の学校の環境・コミュニティ」の条件を尋ねたところ(複数回答)、「居心地がよく、学びやすい環境が整っている(周辺環境・設備など)」(54.8%)がもっとも多い結果となった。「自分のペースで学べる」(54.3%)「相談しやすい教員や大人がいる」(44.8%)、「自由度が高い」(36.8%)がそれに続いた…

 さらに

 …「理想の学校の勉強」の条件を尋ねた質問(複数回答)では、「教え方がわかりやすく、やる気を引き出してくれる教員がいる」(50.3%)が最多となった。

以下「将来や社会につながる学びができる」(40.5%)「主体的に学ぶことができる」(34.8%)、「得意なことを伸ばせるカリキュラムがある」(34.7%)が続いている…

 とのこと。きわめて常識的な結果であるが、教師としては「学び」に必須の条件についてこの程度のポイントはあらかじめ弁えておくべきだろう。

多数派の考え方を変えるために少数派の人たちができることとは?

  【社会心理学】 ラブすぽ の意見 2023.6.22

 少数派の意見が多数派に影響を与えられるようになる条件として、少数派の意見が一貫している(多数派に阿らない)、他の論点では多数派の意見を持っている(ただの天邪鬼ではない)、多数派が現状に満足できず、改革を求めている、などがあるという。社会を変えていこうとする場合には大いに参考となる知見だろう。

 

 

 もちろん教科書を軽視するのではなく、重要事項の理解や暗記もある程度は要求しつつも、多様な意見を引き出し、多様な意見が飛び交う中で最適解を目指して粘り強く思考する対話的な力を養うことをより重視する。必ずしも多数派の意見を支持するわけではなく、少数意見にしっかりと耳を傾けることで多様性の持つ豊かさが担保され、すべての生徒が自己の意見表明をしやすくしていく・・・という目指すべき討論型授業への基本的スタンスを堅持する。

 

・討論型授業のキモ

 授業が十分に活性化しているならともかく、いきなり手を挙げさせて一握りの生徒に意見を言ってもらう展開は出来るだけ避けたい。討論や考える事自体を面倒くさがる生徒は多い。誰か一人が意見を言うと、他の生徒は自分なりの考えをまとめようとしなくなり、他人の意見に流されがちになる。教師には意見が出尽くすのを待つゆとりが必要である。

 意見が大体出揃った時にはA~Dどの意見に賛成か・・・などと生徒全員にそれぞれ挙手させて数を数え、その場でクラスの意見のあり様を類型化して確認させたい。

 ただしその際、マイナーだった意見の持ち主を見捨てない事が肝要。時にはマイナーな意見の背景や根拠を生徒全員で共有できるよう、深掘りしていくべきケースも大いに考えられる。

 当然、他の生徒から多く賛同を得られた意見が正しいとは限らない。むしろ多数派の意見がひっくり返るような、予想外の展開こそ、目指したい。もしもそのような展開になれば大成功。今後、多くの生徒が意欲的に討論に参加するようになるだろう。

 

参考動画

【天安門事件以来の盛り上がり】中国の言論統制と闘う若者たち 家族や仲間が拘束

 され銀行口座も凍結 [クロ現] | NHK  2023/09/14 9:46

 中国の若者たちの言論の自由を求める命がけの取り組みに対して、まず、どう思う

のか、生徒たちに問いかけたい。さらに、日本の若者たちに今、言論の自由が本当にあるのか、問いたい。

 特に李苹さんの「意見を持つことは国への最大の愛情です。希望を抱くからこそ声を上げるんです」という発言について深く考えさせたい。

 続けて言論の自由が成立する前提条件に付いていくつか列挙させたい。特に「情報公開」や「知る権利」をキーワードにして一歩踏み込んで深く考えさせたい。例として社会科の教科書で本当に自分の意見が持てるのかどうか、確認させよう。

 ここで「君が代」について歌詞の意味を問うのが良いだろう。

 そしてもう一度、日本の若者に言論の自由が本当にあるのかを問いたい。

ひろゆき、EXITアベプラ・平石アナはなぜ猛獣軍団をファシリテートできるの

   か? 新R25チャンネル  2021/04/26  9:00

 討論型授業におけるファシリテイターとしての教師の役割を考える上で大いに参考となる動画。

【論破ブームの危険性】アベプラ平石アナの「論破上手=優秀はテレビの世界だ 

 け」に若新雄純が本領発揮【前編】 新R25チャンネル  2023/06/07  29:52

【議論で重宝される人】「議論で熱くなってもなぜか愛される人」。アベプラコン

 ビ・平石アナ×若新雄純がたどり着いた結論 

 新R25チャンネル  2023/06/14 28:38

 討論の進め方、注意点がよく分かる。「ムキにさせる」「審判を下さない、勝敗をつけない」「多様性尊重」…

【誹謗中傷する人の心理】脳を惑わす3つのバイアス/SNSはロジックのズレだら

 け/ハーバード大学と日本の違い/脳は省エネモードで動く/違和感に向き合え 

 PIVOT 公式チャンネル  2023/05/20  35:51

 認知、認識における無意識のバイアスの存在と「中傷」、「攻撃的言動」の背後に潜む歪んだロジックを知っておかないと討論がただの論破合戦に陥ってしまう危険性が生じてしまうだろう。討論型授業を行おうとする教師にとって必見の動画である。

 

 したがって多数決にもっていくような展開は最悪ディベートはあくまで討論に刺激を与えるべく議論の導入時のみ、利用するだけ。一つの結論が欲しいわけではないので議論の勝ち負けや多数決は完全に無意味。特定の結論を出す必要もまったくない。あくまでも大切にすべきは、意見の多様性を確認させ、それぞれの意見の存在理由をできるだけ深掘りすること。

 

 またアンケート形式の質問用紙を多用し、口頭では発表できない慎重派や引っ込み思案の生徒の意見表明の機会をしっかりと保障すべきである。アンケート結果の集計と共に意見の一部は次回の授業で紹介する・・・などの工夫を重ねて生徒達の意見を一人でも多く、また少しでも多様な考えを引き出し、共有していくことを重視。アンケートの集計結果を公開する際にも少数意見に十分留意し、生徒たちが少数意見に注目するよう、繰り返し注意喚起しよう。

 アンケートへの回答を通じて生徒達が多様な意見の存在理由をしっかりと確認出来るよう、質問項目を工夫したい。同時に多様な観点によって混乱しがちな頭の中をスッキリと整理出来るような方向性を持たせた質問項目の内容と配列、組立て方を予め計画しておくと安心。これは相当難しい作業だが、議論の無秩序感を低減するためには事前に必要とされるものだろう。従って当然の事ながら教師側には議論のテーマに関する広い知識、深い理解が備わっているに越したことはない。

 

 ただし、十分な力が無い状態であっても討論型授業へのチャレンジは果敢にトライすべきである。何事も経験を積み重ねていかなければ前進できないはず。討論がアナーキーな状態のまま終わってしまう事は先生方の職員会議の場面ですら、普通に生じている。失敗は成功の本である。まずはトライあるのみ。