その1.性差別をめぐる話題(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 性教育や男女共学、女子枠入試に関しては「カッパの伝言板㊺」で扱っています。

 

参考記事

「学部+修士課程」5年の一貫教育は誰のため?

 ニューズウィーク日本版 舞田敏彦(教育社会学者) 2025.10.15

 日本社会の男女差別がどれほど深刻なものなのか、色々なアングルから検証されるべきだろう。この記事の貴重さは信頼できるデータに基づいて就職と結婚とに関わる差別的な日本社会の現状を分かりやすく暴いてくれている点にある。しかも5年一貫の大学教育によって表向き、大学院進学者を増やすことで先進国としての面目を守ると同時に、経営に苦しむ大学をバックアップする、という政府の浅はかな狙いが舞田氏の指摘するように透けて見えてきた点も有り難い。

 とりわけ文系大学院進学者の就職難への対策が欠けているままでは舞田氏の言う通り、「高学歴ワーキングプア」の問題を悪化させるだけに違いあるまい。文科省を含む政府側の、欺瞞に満ちたトンチンカンな政策がまたしても発覚してしまった。

 

参考動画

中島みゆき【ファイト!】 LIONスタジオ  2024/08/22 6:23

         「ファイト」歌詞 (中島みゆき 1983年)

   あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた

   女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている

   ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる

   悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

 

   私、本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で

   ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い

   私、驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった

   ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です

 

   ファイト! 闘う君の唄を

   闘わない奴等が笑うだろう

   ファイト! 冷たい水の中を

   ふるえながらのぼってゆけ

 

        ・・・中略・・・

 

   あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに

   ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ

 

   ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく

   諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

 

   ファイト! 闘う君の唄を

   闘わない奴等が笑うだろう

   ファイト! 冷たい水の中を

   ふるえながらのぼってゆけ

 

【号泣】中島みゆき ~オールナイトニッポン最後のはがきより~

 なんせい  2021/02/26 3:06

 ニッポン放送の深夜番組「中島みゆきのオールナイトニッポン」は昭和の終わり近く、1979年から1987年まで放送されていた人気番組。長い間、テレビ出演を頑なに拒否してきた1952年生まれの中島氏の信念についても少し生徒たちに考えさせてみたい。また闘うことを諦めたような現代の若者たちに中島氏ならどんな声をかけてくれるだろうか、想像させてみたい。

レベチの石丸伸二  日本政治の希望 shorts

 地方自治体レベルにおいて合計特殊出生率というデータはほとんど意味を為さない、それはただ単に都会と田舎の違いを浮かび上がらせるだけの数値に過ぎない…という指摘は鋭い。おそらく「子育て支援策」は田舎においては多くの場合、ピンボケで的外れな対策に終わりがちなのかもしれない。

 意味を持つのはその地域の人口に占める年間の出生数の方であろう。統計の意味するものは何か、しっかりと理解していないと原因の追求自体、覚束無くなる。若い女性にとって魅力のある地域社会を創り出すことが自治体における最優先課題であることも同時に見えてくるだろう。統計の持つ意味を深く考えるための教訓となる動画であり、下の記事と併用して、ぜひ、授業で視聴させたい。

参考記事

少子化の原因「晩婚化・未婚化」71%、対策に「恒久財源」83%…読売世論調

 査 読売新聞 2025.6.2

参考記事

衆院の女性議員数が過去最多、比率15.7%に上昇も世界的には低水準

 Bloomberg 萩原ゆき によるストーリー 2024.10.30

 性差別を考えていく上で良いたたき台になる記事であろう。世界から見て日本での女性議員が占める割合の、あまりの低さに私たちはまず驚くべきだろう。そしてなぜ日本ではこのような状況が続いてしまっているのか、原因について生徒たちにじっくりと考えさせたい。

中高生のジェンダー意識「隠れたカリキュラム」が影響    リセマム 2025.5.1

 「隠れたカリキュラム」とは50年近く前に流行った「ヒドゥンカリキュラム」と同じ用語だと思われる。20数年前に学校現場では男女別名簿が性差別を助長する「隠れたカリキュラム」としてやり玉に挙げられ、男女混合名簿が一般化したことがあった。「男らしく…」「女らしく…」という表現も好ましくないものとして学校現場から徐々に消えていった。

    しかし体育などの教科では今も男女別授業が当然のこととされており、公立高校における女子高、男子校の存在も性差別が日本社会に色濃く残存する一因と考えられなくもない。スポーツ大会、体育祭における男女別の種目やオリンピックの男女別種目の問題も性の多様化を容認する風潮の中で批判される日がくるかもしれない。万博会場でのトイレ問題がくすぶる中、「隠れたカリキュラム」はこれからもその解釈次第でいかようにも対応すべき課題を次々と浮上させてしまう可能性があるだろう。

※参考動画

  【AI×教育最前線】教育分野の最新AI活用事例5選 / 「教育のAI活用は学力低下に繋がるのか?」

         問題【生成AI】安野貴博の自由研究チャンネル 2025/04/02 14:07 

        五番目の事例がジェンダーバイアスの減少にAIの利用が役立つ可能性を示唆している。

 

・少子化と男女格差

参考動画

【少子化】「まやかしだ」人口減はホントに問題?出生率の低迷=日本の大問題が

 テンプレになった弊害とは?内閣官房房参与 高橋洋一に聞く【ロンブー淳】

 ABEMAニュース【公式】  2021/04/14 16:53

 これほど現実と乖離したトンチンカンな議論は滅多に見られない点で興味深い。問題なのは人口減少の加速化と人口構成のアンバランスであり、地方と都会との格差拡大であり、それらの背後に潜む男尊女卑の残存などであるはず。

 現状では合計特殊出生率「1.2」のインパクトは決して小さくないだろう。もとより人口減自体は国土の広くない日本の場合、自然環境保護の面からしても好ましいくらいであるが、問題となるのはそのスピードの速さと少子高齢化というとんでもないくらいのバランスの悪さ、そうした現象の背後に潜む日本社会の女性差別を含む旧態依然の体質である。ただでさえ、時代の変化に対応する力が乏しくなっている老害政治家が牛耳る日本が果たして急速に迫っている人口減の社会に無事、不時着できるのだろうか…実に怪しい限り。

 授業ではこの動画の議論の不毛さに気付けるかどうかで、少子化議論の深まりが左右されるだろう。人口減少のみを問い続ける限り、議論は表層にとどまらざるを得ない。最大のポイントはまず日本の女性が結婚や出産を避けるようになった主な原因を探り、それへの打開策を考えることとなると思うが、いかがか。

【婚活イベントに女性がいない】なぜ若年女性たちは地方を去るのか?地方で感じ

 た生きづらさとは?”消滅可能性自治体”でも意識改革に取り組む(語り:安元洋貴)

 【クロ現】| NHK  2024/07/04 10:18

 地方での女性の社会減が進む背景には地方に残存する男尊女卑の文化が挙げられるだろう。日本社会の宿痾とも言えるこのテーマから国民の目を逸らさせるために保守系言論界では少子化問題をまやかしだとして問題をひたすら矮小化させているように見受けられるが、いかがか。

 ただし男女間の格差が解消していけば自動的に少子化が解消されるのかと言えば、そうなるとも限らない可能性はおおいにあるだろう。以前から繰り返し指摘されてきたように男女格差解消によって生じてきた女性の進学率向上と社会進出の増大はそれだけではむしろ少子化を促進する要因ともなってしまう。逆に保守的な言説である性別役割分業を前提とする専業主婦の増大を図ることの方がはるかに少子化を食い止めることにつながるかもしれない。

 当然、男尊女卑の風潮は改められなければなるまいが、女性の大学進学率の向上と社会進出の増大が日本の少子化に拍車をかけないようにする手立てが別途に講じられる必要があるはずだ。その手立ての一つとして考えられるのは男女ともに「働き方改革」をさらに推進していくことであろう。

 まずは産休、育休取得者が女性に偏ることで生じる男女間の所得格差、昇進機会の減少を今後、どう解消していくのか、しっかりと考えていくべきだろう。そのためにも日本人の働き過ぎを大胆に見直していき、DX化を促進してAIの活用範囲を拡大することなどで男女ともに労働時間を大幅に削減していくことが欠かせまい。

 授業では単なる男女平等の実現だけでは少子化を食い止めることが難しい、という視点を共有できるよう、議論を組み立てていきたい。

【人口減少】国は産んで欲しい?自分な生き方&キャリア選択を?減ったらダメな

 の?人口戦略会議メンバーと考える|

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2024/01/17  17:10

   日本の人口減少、少子高齢化問題が日本社会に与える深刻なインパクトがイマイチ上手に整理されていないように思える議論。ポイントはまず若者、労働者人口が急速に減少することと平行して国家の収入が減少し、同時に急速な高齢化によって介護、医療費の支出が爆速で増大することによって日本の国家財政が一気に破綻する危機が迫っているという、人口構成の悲劇的なアンバランスに起因する問題点。また人口の社会移動も加わっての大都市圏と地方との格差の急速な拡大に起因する人口減に直面した地方の無残な疲弊ぶり。さらに世界でも最悪レベルに近い男女不平等な社会の残存。また日本企業の労働生産性の低さとブラック体質及び古臭い労働慣行の残存…

 人口問題は日本社会が抱えてきた様々な特質、問題点がそれぞれ複雑に絡みあって生じている大きなテーマであるため、細かく切り分けて論じられる部分はできるだけ個々に切り分けて分かりやすく一つ一つ丁寧に論じる必要がある。すべてを一まとめにして一遍に論じようとするのはあまりにも乱暴なテーマ設定であり、どう見ても有意義な議論には至らないだろう。

 授業ではアンバランスな形での人口急減が日本社会にもたらす破壊的な側面にまず注目させ、アンバランスな形での人口減少の原因をいくつか挙げさせて、それぞれの背景を深堀していきたい。その際、外国人留学生、外国人労働者や移民の受け入れを巡る議論は避けて通れない問題となるだろう。また時代遅れの性別役割分業の維持に貢献し、性教育に後ろ向きのままである旧態依然の学校教育のあり方にも批判の矛先を向ける必要があるだろう。

【衝撃の出生率】少子化対策は効いているのか

 ロザンの楽屋  2024/06/10  13:18

 日本の少子化の原因がどこにあるのか、比較的バランスよく論じられているので、少子化問題を扱うならばどちらかと言うと授業の終わりの方で「まとめ」として視聴させたい動画だろう。

 まずは女性の合計特殊出生率「1.2」の持つインパクトをきちんと理解させたい。日本では30年以上にわたって少子化対策が政策として実行に移され、近年は子ども家庭庁がっ設置され、少子化担当大臣まで設けられているにもかかわらず、日本の政治はこの問題に対して完全な無能、無力状態を長い間さらけ出してきた。ではなぜ日本の政治がこの問題に対して30年あまりの長きにわたって、無能、無力であったのか、アンケートや調べ学習などを通じてぜひ生徒たちにその本質的な原因を追究させたい。

 ポイントとなるのは日本の政治家たちの間にしぶとくはびこる男尊女卑の価値観と保守的な家族観、結婚観であろう。子ども家庭庁設置を巡る経緯や夫婦別姓への強硬な反対意見の論拠を探ってみると良いかもしれない。また女性政治家の圧倒的な不足も大きなポイントとなるであろう。

 そもそも男女平等度が世界比較で100位以内にすら入ることの出来ない日本が合計特殊出生率「1.2」となっても、実は何ら不思議ではない。まず最初に気付くべきはこの点ではあるまいか。

参考記事

「女性の働きやすさ」日本はワースト3位「国際女性デー」制定から50年 20~

   40代女性の「カラダ」「ココロ」の満足度は

   FNNプライムオンライン 2025.3.14

日本は「ジェンダーギャップ118位」 ネットの本音には負け惜しみが詰まっている

 NEWSポストセブン の意見 2024.6

 論点が整理されていて授業の資料としての利用価値が高い。ただし日本の教育に性差があまり見られない、という部分には大きな疑問が残るだろう。多少、利用する上で注意すべき点はあるが、性差別問題の導入に使う資料としてはこれで十分ではあるまいか。

日本のトイレは男女平等なのか? 台湾では女性用の数が3倍らしいが

 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2024.6.30

 これも男性からすれば気付きにくい、女性に不平等なポイントの一つ。性差別問題の導入に使うと入りやすいだろう。

「選択的夫婦別姓」に異議あり 3割弱、国民は本当に求めているのか 橋本琴絵氏と

   近藤倫子氏が対談「高市氏ら保守派が音頭を」 Zakzak 2024.12.11

   保守派の論点が示されているが、対談を概括し過ぎたせいなのか、主張の多くは根拠が不明であり、解釈に困る。

 

・生理問題

 生理問題への理解を深めることがこの分野の学習の「一丁目一番地」だと思います

参考記事

生理が続くことで疾患が増加? 性感に影響しない?「意外と知らない子宮の事実」

 現代ビジネス 及川 夕子 によるストーリー 2024.4.18

 生涯における生理の回数が多いという事が女性の体に与える負担の重さについては知っておくべきだろう。

「生理でもプールに入れという先生がいる」教員の理解が不足している実態が明ら 

   かに【調査結果】 ハフポスト日本版 によるストーリー 2024.3.1

 この記事を生理問題の導入とすれば議論の見通しが立ちやすいかも。興味深い調査結果も紹介されていて利用価値は高い。

生理用ナプキン「学校にほしい」6割 無償提供を求める理由は

   毎日新聞 によるストーリー 2024.3.28

男性教師が実感した学校教育では足りていない「生理」についての正しい知識

 WANI BOOKS NewsCrunch によるストーリー 2024.2.12

「生理があるから女の子を守る」はNG 男子への生理を教えるときに大切なことを

   医師に聞いた コクリコ編集部 によるストーリー  2024.1.24

   見落としやすいポイントがよく整理されている。

「生理休暇」って無給なんですか? それなら「有給休暇」のほうが良いと思うので

   すが、どんな違いがあるのでしょうか?

   ファイナンシャルフィールド の意見 2023.11.6

 基本的な法知識は必要。こうした日本の法規定が働く女性にとってあまり有利にはなっていないと思えるが、いかがか。

「生理で追試」15道府県OK、11府県は対象外 公立高校受験

   毎日新聞 によるストーリー  2023.11.6

 生理問題の導入として最適の記事だろう。ぜひ、ここから議論を始めたい。

受験日に生理が重なってしまったら…「不安」8割超 民間調査

   毎日新聞 によるストーリー  2023.11.7

 前の記事と併せて授業で利用したい。

学校トイレに生理用品、小中学生の8割要望 困った経験37% 滋賀

   毎日新聞 によるストーリー  2023.11.7

高校教師が考える“生理” 「男女問わず思いやりを」現場が感じる課題とは

   日テレNEWS NNN によるストーリー 2023.10.19

 この問題の難しさと課題に気付くことが最初のポイント。

「議会で男性にタンポンの話をさせるのはセクハラ」杉並区議の発言に性教育

 YouTuberの見解は 女子SPA! の意見  2023.6.28

「男性にタンポンの話をさせるのはセクハラ」杉並区議夫婦の持論に非難殺到 

 「生理用品を何だと思ってるんですか?」女性自身 の意見  2023.6.19

 記事を読ませる前に男子生徒のみを対象とした生理用品に関する基本的知識を確認するアンケートを行っておくと迫真に迫る討論ができるかもしれない。あるいは記事の前半のみを示して本当に「男性にタンポンの話をさせるのはセクハラ」なのだろうか、生徒に問うてみるのも面白いだろう。

参考動画

【経血は"ヤギの皮"でしのぐ】アフリカの生理事情がヤバすぎた

 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/04/27  18:09

【#4 世界25か国のYOUに徹底取材!学校での性教育ってどうだった?】

 テレ東フェムテック委員会 テレ東公式 TV TOKYO  2024/03/29  9:06

 導入に使える動画。

【漫画】女の子の日にありがちなこと【マンガ動画】

 フェルミ研究所 2021/03/13 3:45

【生理あるある】男は絶対に理解できない女の1日

 2021/03/26 ナたんとウたん 3:49

【生理あるある】女の子なら誰もが共感できる!世の男子に伝われ女子の大変さ卍 

 2020/09/23 平成フラミンゴ 4:37

 お笑いは抵抗感が少なく、授業の導入に使いやすいだろう。

私が高校までおむつしてた話。女の子はみんな頑張ってる!生理の愚痴や悩みが共

 感すぎたから分かち合おう。 2021/04/02 きりまる 13:16

【生理中の不満】彼氏に全部ぶつけてみたら男女の差が衝撃過ぎた...😨ぜひパート

 ナーと見て😢 2022/05/28 えみ姉 16:56

生理を話そう!“タブーにしない”【news23】

 2021/08/19 TBS NEWS DIG Powered by JNN 5:06

 日本での生理休暇の取得率の低さ、生理用品のCMの違いなど大切な視点が理解できる。

“生理休暇とれますか?” 浸透進まず 企業の取り組みとは

 2021/09/24 読売テレビニュース 9:44

 生理用品だけ黒い袋に入れられる事の問題点に気付きたい。この件もアンケートで生徒の意見を確認してみたい。続けて下の動画を視聴させるとより効果的。

【7割ガマン】「学校でも生理休暇を」生徒ら我慢のワケ

 2021/12/25 日テレNEWS 1:54

 生理問題の導入として使えるだろう。生理休暇を職場だけでなく学校でも適用することの是非をアンケートで問うてみたい。

【生理とスポーツ】女子高生&男性教諭が学ぶ!元・日本代表選手が伝えたいコト

 『news every.』16時特集 2022/06/12 日テレNEWS 8:01

 男性からすると見落とされがちな、重要な視点。運動部顧問必見。

【Talk up 1252】 #03 10代で知りたかったPMSとピルの話

 2021/10/11 スポーツを止めるな 9:19

 運動部顧問は特に視聴すべき動画。低用量ピルの有用性は注目される。

男子高校生が学ぶ!“生理”の授業 「これが日常茶飯事だとすごく大変・・・」

 男女の”見えない壁なくす社会へ|TBS NEWS DIG Powered by JNN 

 2022/06/18 3:15 

 これも生理問題の導入時に使えるだろう。

【男子校で"生理の授業"】生理への不安や困りごとに寄り添う大切さを学ぶ 

  防災の日 日テレNEWS 2022/09/02 2:14

 この視点は防災を考える上でも重要。

「性差」について考えた 高校生の声で実現した 新制度とは

 2021/04/22 テレビ大阪ニュース 8:04

[NHKスペシャル5min.] 月経 苦しみとタブーの真実 | 

 ジェンダーサイエンス 第2集 | NHK 2021/11/09 NHK 4:40

 保健体育でも視聴可能。

男性が「生理」について発信したらオカシイですか?

 2022/07/23 原貫太・フリーランス国際協力師 9:59

 日本人男性の生理問題への関心の低さが「生理の貧困」を見えにくくさせている。生理をタブー視する傾向が日本における女性の立場の弱さを助長しているのではないか…

【生理の貧困】女性の8人に1人。ナプキンを買えない衝撃の理由とは!?

 2022/07/29 原貫太・フリーランス国際協力師 17:48

 コロナ禍→バイト減少→生理の貧困(見えにくい貧困へ)…やや視聴時間が長いが、女性の貧困問題と絡めて理解できる点で役立つ、カッパオススメの動画。

[クロ現+] 生理の貧困 学生の5人に1人が「生理用品の入手に苦労」| NHK

 2021/05/25 NHK 4:36

 女性の貧困問題と絡めて理解できる点で役立つ、カッパオススメの動画。

“生理の貧困”広がる支援 背後に女性管理職の存在も

 2021/07/16 TBS NEWS DIG Powered by JNN 2:37

「生理の話」はもうタブーじゃない!【news23】

 2020/12/09 TBS NEWS DIG Powered by JNN 9:16

“タブー”だった生理への悩みに支援続々…コンビニは“割引”も(2021年3月12日

 放送「news every.」より) 2021/03/12 日テレNEWS 4:47

『#しかたなくない』生理などタブー視せず口に出して相互理解を目指す(2022年

 1月11日) 2022/01/11 MBS NEWS 4:11

【性教育】もしも彼女に「生理用品を買ってきて欲しい」と頼まれたら

 2022/04/02 夏山x瀧本の性知識アカデミー 22:40

 「生理の貧困」がなぜ日本でも問題となっているのか、これを視聴しておかないと男は理解できないだろう。やや視聴時間が長いが、教師必見の動画と言える。

「生理の貧困」に広がる支援、学校で お店で・・・無料配布【Nスタ】

 2021/04/09 TBS NEWS DIG Powered by JNN 3:17

 女性の貧困問題と絡めて理解できる点で役立つ、カッパオススメの動画。

RBC NEWS「つなごう沖縄 「生理の貧困」を考える」2021/10/07

 2021/10/07 【琉球放送】RBC NEWS 8:08

 沖縄の貧困問題の中で生理の貧困も考えていく視点が必要。中学校での学習例を通して日本の学校における性教育の遅れを自覚させたい。

アフリカの女の子が「生理」で学校を休むのはなぜ?

 2022/06/20 原貫太・フリーランス国際協力師 11:07

「アフリカの生理事情」の動画について、お伝えしたいことがあります。

 2022/06/28 原貫太・フリーランス国際協力師 11:06

 アフリカの問題と絡めてグローバルに理解できる。途上国支援においてこれは極めて大切な取り組みの一つだろう。

【男性から感謝の声多数!】生理周期“4フェーズ”を知って実生活に活かす!

 2021/07/31 夏山x瀧本の性知識アカデミー 12:11

【5分でわかる!】生理痛に神対応すると感謝しかされないから知ってみよう生理

 のこと【性知識5分study_#7】

 2021/02/15 夏山x瀧本の性知識アカデミー 7:52

【性教育】夏特有の生理の問題に対して女性にしてあげられること

 2022/06/06 夏山x瀧本の性知識アカデミー 11:18

 「生理問題4フェーズ・・・」は保健体育の時間だけではなく、社会科でも是非視聴させたいイチオシの動画。彼らの動画はこれ以外の分野も参考となるものが多いが、授業で視聴できる内容は限られている。ただ、この分野でも「多様性の尊重」がいかに重要な観点であるか、理解できる。

 

・ロキタンスキー症候群について

ロキタンスキー症候群のお話し🌈✨

 MRKH peer support.  2021/12/10  10:40

 あまり知られていない症候群だが、人知れず悩んでいる女性は決して少なくないという印象を受ける。

【約4500人に一人】ロキタンスキー症候群とは<知られていない女性の悩み> 

 瀧本いち華の性知識アカデミー  2024/04/27 10:24

 難しい問題であるが、この症状に悩みを持つ女性が予想以上に多いことは知られるべきだろう。

 

・性教育の遅れ

参考記事

若者の「性の悩み」に応じる街の保健室「ユースクリニック」 対面相談のハードル

 下げるのに必要なことは? 東京新聞 2024.4.8

 こうした取り組みがあるという事は知っておいた方が良いだろう。

理科教師が不適切性教育、過激な表現で自身の体験も 半数の生徒が嫌悪感訴える 

   産経WEST 2024.1.30

 この教師のどこが一番不適切だったのか、生徒に指摘させてみたい。また学校での性教育に必要な配慮とは何か、何を重視すべきなのか、できるだけ多くのポイントを挙げさせてみたい。もちろんこうした出来事を理由に学校での性教育全体を否定的に見るような方向は慎むべきではあるが…

県内エリート男子高で“性教育”の名の下セクハラにあった図書館司書46歳女性、教

   職員カーストで圧された声とは 女子SPA! の意見 2024.2.13

 学校での性差別問題の諸側面を垣間見ることの出来る、貴重な事例が紹介されている。エリート男子校、女子高の存在を学校の多様性、個性として擁護する意見があるが、事はそんなに単純ではない…等々、多くのことを考えるきっかけを与えてくれるだろう。


 

 

 

 

その5.⑤教員養成と採用

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

教員を志す若者は減り、指導しない上司が増えた今だからこそ…改めて考えたい

    「教える」ことのメリット All About 小松 俊明 2025.10.11

     学校教育に対するこの手の浅薄な議論は巷にも数多く見られる。教職希望者減少の理由として「長時間労働や待遇がよくないといったネガティブなイメージが一因」などと指摘しているが、笑うしかあるまい。学校のブラック化はただ世間に流布してしまった悪いイメージに過ぎないかのような論調である。現場を知らぬものが口にしがちな、不遜極まる軽はずみな記述であろう。

     …今や学校現場は「進学実績を上げる場」に変わりつつあり、学力向上が重視されるようになってきている。

     その結果、「情操教育」を重んじる雰囲気は薄れ、教育者としての魅力も感じにくくなっている…

     これも噴飯物の暴論。一体、どこの学校現場を見て、こんな的外れの事を平気で口にするのか…筆者の気が知れない。これまで日本の学校が学力向上を二の次にして、もっぱら児童生徒に協調性や勤勉さ、我慢強さなどを身に付けさせることに執着し過ぎた結果が、児童生徒の学力及び学習意欲低下という現状を招いたのではなかったか。余りにも集団主義的で画一的な学校教育が児童生徒の不登校を増大させ、学校や教師への不信感、嫌悪感を招いてきたのではなかったのか。

 日本の楽興教育に対するはなはだしい認識不足であり、この人物には二度と学校教育に関して言及して欲しくない

教員志願者増へ、教職課程の必修科目見直し案…文科省が審議会に提示

    読売新聞 2025.9.2

 ただでさえ不十分であるはずの教職課程の必修科目をさらに削減しようという、凄まじいほどの愚策が検討されているようだ。文科省の迷走ぶりも今や堂々たるもので、すっかり板についてきたようだ。今後とも文科省が先頭を切って公教育の脱線転覆に向けて何らためらうことなく猛烈な勢いで突き進んでいくに違いない。結果的に一体、どんな若者たちが教職を目指すことになるのか…暗澹たる気分にならざるをえない。

 「教師の質向上と量的確保の両立を目指す必要がある」とのことだが、これまでに文科省や教育委員会が行ってきたのは専ら、教師の「量的確保」であって「質向上」ではなかったはず。それが大失敗であることは教師の「量的確保」どころか、いよいよ教師不足を加速し、さらには現今の教員の不祥事となって噴出してきている現状が指し示しているはずなのだが…一体、文科省は自らの施策と学校教育の現状とをどのような根拠をもとにどのように分析しているのか…推察すればするほど不信感と絶望感しか覚えてしまうのは私だけではあるまい。

 特にヤバイ、と感じるのが、教師の質向上のためになぜか「元教員らを該当の公立学校に短期派遣する仕組み作り」が必要だという観点。これ、明らかに使い古しの安い労働力を半強制的に動員して教師の不足分を一時的に穴埋めする、という最も安易な方法に過ぎず、むしろ全体的な教師の質低下、学校の組織的教育力の低下にさえ、つながりかねない愚策。

 ただでさえDX化に戸惑う高齢者の再雇用は学校現場の助力になるどころか、足を引っ張りかねない側面があったはず。しかも既に現段階で高齢者の再任用は飽和状態に達しつつある現状がある。にもかかわらず文科省は教師としての新味に欠け、体力、意欲も減退気味の高齢者教員をさらに増やそうというのだから、もはや現有の教師たちや児童生徒の絶望感も半端ないだろう。

 加えてヤバイことに教師の質向上を専ら各教育委員会や学校長らが実施する、ろくでもない、時間の無駄ばかりだった官製研修にまたぞろ丸投げしようとの魂胆ものぞけてくる。下らない研修の連打で教師たちの貴重な時間をさらに奪い、一層持ち帰り残業を増やすだけの文科省の取り組みに、若者たちは一体どんな希望を見出せるのだろうか…教師も、児童生徒も、いよいよ生き地獄の始まりだ。

教員採用試験で“初の定員割れ” 小学校教員倍率「0.9倍」 採用予定者増やした一方

 で応募者減少 深刻な教員不足 FNNプライムオンライン 2025.5.26

 いよいよ小学校教員採用試験で定員割れの悲哀を味わう都道府県が出現してしまった。ただでさえ8年連続で教員不足に直面してきた佐賀県である。今後は中途退職や休職者の出現によってさらなる教員不足が予想されるだろう。数少ない現有の教員で今後、急速に不足していく教員の仕事を余分に担うとなれば、教員の負担は苛烈を極め、残念ながら教員の中途退職や休職は記録的な数となっていく事が予想される。

 これは次年度の教員採用受験者数のさらなる減少を招き、とめどない負の連鎖を学校現場に生み出すだろう。教員の過労死や精神疾患による休職者、退職者の増大も一層、懸念されてくる。にもかかわらず、教師に期待される技術、知識が増える一方なのだから、近い将来、笑えないレベルの悲劇が佐賀県の教育現場に訪れるかもしれない。その最大の犠牲者はまたもや児童生徒たちである。

 もうこうなってしまっては県レベルの裁量ではどうにもなるまい。完全な手遅れであり、採用試験の機会を増やす、青田刈りをする、教員免許の有無を問わない、給料を引き上げる…といったなりふり構わぬ、しかしただの場当たり的対応ではかえって教員の質を落とし、学校での不祥事や不登校、イジメ問題を激増させるだけである。今や本質的で根底的な教育改革が切実に問われているのだ。

 ここまで事態を悪化させ、有効な対策を打ててこなかった、あまりにもトンチンカンで無能、無責任な政府の責任はどう見ても極めて重大である。国民は子ども家庭庁の設置にどんな意味があったのか、厳しく問い直すべきだろう。おそらく現政権で検討されている防災庁の設置も同様の惨めな結果を招くに違いない。

 斎藤県政の混乱で疲弊する兵庫県とよく似た状況が、長期にわたって停滞を続ける日本の学校教育全体にも訪れていることを、兵庫県民に限らず、日本国民全体が一刻も早くしっかりと自覚する必要があるのではないか。

参考動画

自殺ほのめかしたノートに“花マル” 女児語ったいじめの実態…調査は9か月放置 

 「花丸を頼まれた」と担任主張、女児は「言ってない!」【スクープ】(2023年

 12月8日) MBS NEWS 2023/12/09  11:43

 授業で紹介するとこの学校の対応、教師の「はなまる」について生徒たちから多数の意見が活発に出てくるに違いない。ぜひ、動画を視聴させ、アンケートを用いて大勢の意見を吸い上げてから討論に持ち込みたい。

 「学校は警察ではないから、イジメの有無をきちんと調べることはできない」とした学校側の言い分は確かにイジメ問題において学校が対応しうる限界の一側面を示してはいる(※1参照)。しかしこれを言い訳にしてイジメを放置することは決して許されるべきことではない。やはり学校はいじめ防止対策推進法※2参照)に則り、イジメ問題対策委員会を招集して組織的に対応すべきであった。こうした言い訳が学校にはびこれば、いよいよ学校は治外法権の場、ただの無法地帯になってしまうだろう。市教委の対応に問題は見られないようなので、学校は市教委との連携を早くから積極的に図るべきだったのではないか。

※1.参考資料

 “任意”のいじめ調査には限界も。学校関係者も含まれる「調査委員会」の問題点と事実認定の3原

  則を元調査委員が解説 FNNプライムオンライン によるストーリー  2023.10.26

  刑事事件として警察が捜査に乗り出した場合にはその捜査には強制力が働き、ある程度までは証言

  や証拠を集める事が出来る。しかし「イジメ」の重大事態として調査委員会(教育関係者が加わる

  可能性あり)や第三者委員会が調査に乗り出したとしてもその調査に協力するか否かはあくまでも

  任意とされる。このため証言や証拠を提出することを拒否されてしまうケースでは調査が先に進ま

  なくなることも起こりうる。

   こうした場合には被害者側が刑事・民事事件として警察及び裁判所に訴え出ないと多くの場合、

  埒が明かない。加害者の特定やイジメの事実確認自体が困難なケースは少なくあるまい。「教育的

  配慮」の名のもとに加害者側の人権だけが守られ、被害者側が泣き寝入りするといった残念な印象

  がこの問題には常にまといつく。しかしその背景に教師や教育委員会の調査が場合によってはどう

  しても不十分になってしまう、法的な限界があることは予め知っておかねばなるまい。

※2.参考資料いじめ防止対策推進法(H.25)より

 ・いじめの定義

  第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍し

   ている等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える

   行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童

   等が心身の苦痛を感じているものをいう。

 ・学校及び学校の教職員の責務

  第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地

   域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見

   に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切

   かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

 クラス担任の明らかに不誠実で悪質な対応ぶりをみると、これは加害児童の問題というよりは担任の適性、資質の問題であり、児童以上に教師への厳しい対応(分限処分等)が求められるケースと思われるが、いかがか。当然、この担任をクラス担任として登用し、適切な指導を施さなかった校長の責任も軽くはない。また担任を放置してきた当該学年集団のチームワークも厳しく問われるはず。

 仮にそれぞれが教師としての資質、適性の有無を問われるとするならば、こうした教師たちを数多く生み出し続けている大学での教員養成や管理職を含む教員採用人事のあり方も根本から問い直されるべきだと私は考える。

 

参考記事

都の新任教諭239人が1年以内に退職 過去10年で最高の5.7%

    朝日新聞社 2025.4.24

 「都教委によると、昨年度に採用した公立小中高、特別支援学校などの新任教諭は4237人。うち、239人が1年以内に退職した。内訳は小学校146人、中学校46人、高校18人、特別支援学校28人、義務教育学校1人だった。懲戒免職も1人いた。

   9割にあたる217人が自己都合退職で、理由別には、精神面での不調が4割、転職などによる進路変更が3割、介護や転居など家庭の都合が1割だった。指導力不足などから正式採用に至らなかったのは22人だった。」という。

 学校のブラック化がどれほど酷いものか…特に小学校は深刻である。精神面の不調による退職の多さにも注目したい。「指導力不足」などによって正式採用にいたらなかったのが22人もいたということも衝撃的である。

〈教師のいじめ〉「病気でよく休むしアテにならん」「邪魔くさい」がん闘病後に

   復職した女性教師が受けた壮絶な仕打ち…深刻な教員不足の原因に潜む「教師の

   質」の低下とは 集英社オンライン 2025.2.22

 残念ながらどんなに教員採用試験の倍率が高くとも、教師の質は上がらない。採用試験自体の質が低く、採用にコネが幅を利かす状態では、どんなに倍率が高くともほとんど意味が無いのだ。記事の元女性教師が指摘した職務の大幅な削減に加えて、大学での教員養成教育の充実や教員採用試験や管理職登用試験の見直しなどが伴って初めて採用試験の高倍率が教師の質向上につながると思うのだが、いかがか。

教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度

   Yahoo!JAPAN ニュース 2025 2/6(木) 7:04配信

   当然のことながら教員採用試験の倍率低下が教師の学力低下を招くことは不可避である。ただでさえ教員免許の開放制をとる日本では、教師として必要とされる知識技術がたいして身につかないまま、安易に教員免許を取得できてしまう、構造的な欠陥を抱えてきた。現状の教師に対する社会的信用度の低さと待遇の悪さを考えると、大学での教員養成教育の改革を先行させることは、教員不足に拍車をかけることにつながってしまう。まずは指摘されているように教師の仕事量の大幅な削減を先行させるべきだろう。

教員採用倍率、小中高で過去最低に 「大量募集」以外に深刻な問題

   朝日新聞社 2024.12.26

   教師の職務を大幅に削減するとともに、文科省を含む教育行政のあり方を大幅に見直すことが無ければ教師不足の解消は進まないであろう。文科省が相変わらず、学校がうまくいかないのはすべて教師の責任であるかのように、学校現場へ責任転嫁を続ける限り、教育行政への信用は失墜し続けるであろう。文科省自ら身を切る覚悟で教育行政自体の改革を口にしない限り、教師の誰もが文科省の打ち出した改革を真に受けることは二度とないだろう。それほどに教師たちは教育行政へ不信感を募らせていることを文科省はまず気付くべきである。

名古屋市教委金品授受 教育指導部署でも教員団体から約300万円

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.2

 これはおそらく教師の人事の問題にとどまる案件ではあるまい。相次ぐイジメ事件の隠蔽に見られる学校と教育委員会とのなれ合いの背景にこうした金品の授受があるとすれば教育不信は深まるばかりである。名古屋市の教育界の闇深さに驚くばかり。

校長人事に外部団体が推薦、有無で昇進率に差 千葉市教委は影響否定

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.16

   千葉市教委は外部団体の推薦の影響を否定しているが、管理職に限らず、各教科部会や部活動の専門部などが異動や昇進人事に影響を及ぼしている可能性はゼロではあるまい。かつては政治家や学閥、校長会の有力者などが管理職選考に大きな影響力を持っていたという。それに比べれば教育職としての力量に関わる団体での活動実績が人事に反映されることの問題性はそう大きくはあるまい。

 ただし授業の指導力や部活動の指導力と学校経営の能力との相関はさほどあるようには思えない。ならばズバリ、現在の管理職登用試験で問われている能力、適性とは一体、何だろうか。個人的に校長、教頭を数多く見てきた印象として、学校の管理職に対してこれまで求められてきた「力量」の中身は極めてあやふやなものであると感じてきた。つまり私から見れば管理職としての適性を全く欠くような校長が少なからず存在していたということだ。

    評価の客観性が担保できるとしても学校管理規則の暗記力ばかりを問うのは選考基準として完全に間違っているだろう。管理職に求められているのは教職員の法令順守の徹底ばかりではあるまい。各学校によって直面する教育上の課題はかなり異なりつつ、多岐にわたっている。それらの課題を的確に把握し、優先順位をつけて有効な対策を打つ、そのために教職員とどのように問題意識の共有を図り、どのようにして組織的取り組みを実行していくのか…本来、管理職に厳しく問われるべきはそうした個々の学校の実情に応じた、柔軟で現実的な経営を実現する能力だと思いたい。

千葉県の7年度教員選考 志願者数と倍率ともに過去最低 見えぬ妙案

 産経新聞 2024/6/26 18:34

 「令和7年度採用の教員選考試験の志願者は計4560人と2年連続で減少し、平成以降で過去最低を更新した。志願倍率も2・4倍で最低」だったらしい。当然の報いであろう。いよいよ千葉県の学校教育は自ら破滅に向かってまっしぐら…傍から見れば誰もが分かるほどに危機的な状況がこれまでも続いてきたのに県教委の対応は相変わらずトンチンカンそのもの。

 …県教委は今後、志願者増のため、「教員免許を持つが、民間企業に勤めるなど教職には就かない『ペーパーティーチャー(先生)』にアプローチしたい」(担当者)として、教職の仕事の魅力発信に力を入れる…というのだから驚き呆れるほかあるまい。教員志望者の減少を「教職の魅力」のアピール不足とする、陳腐な発想があまりにも情けなさすぎる。

 商品の品質が悪いのに誇大広告で買わせようとするが如き詐欺まがいの対策は直ちに辞めた方が良いだろう。時間の無駄であるばかりか、それ自体、若者に対する犯罪行為である。進めるべきは見せかけの、偽りだらけの「働き方改革」ではなく、真の意味での「働き方改革」であり、教師が本来の職務の中心におくべき授業準備に専念できるだけの時間的余裕の確保なのだ。すなわち授業準備を除く大幅な職務の削減を抜きにして、一切の対応は意味をなさない。一体、いつまでこの不毛な茶番劇を千葉県教委は続けるつもりなのだろうか。厚顔無恥も甚だしい。

千葉で教員志願者減少 その背景は? 教育現場に余裕なく、ほど遠い理想像

 産経新聞 2024.6.26

 …管理職の男性は、教員志願者が減少する要因を「『ブラック』という現場のイメージが先行し過ぎている。確かに現場の負担は増えているが、『子供たちのために頑張る』という前向きな声があるのも事実だ…という。こうした現実離れした幼稚なレベルの分析しかできない管理職のいる学校に勤めたいと思う若者ははたしてどのくらいいるのだろうか…この管理職にとっては「ブラック」はあくまでマスコミが勝手に作り出した悪しき印象であり、一部の怠け者の教師たちの被害妄想に過ぎないらしい。この程度の貧弱な認識しか持てない管理職が千葉県には沢山存在している。だからこそ千葉県での教員志願者が減少し続けているのだが、こういう人たちはそれに気付こうとしない。あるいは気付かないふりをしている。

 …北総地域の小学校の40代女性教員は、現状について「児童のために何かしてあげたいと思っても、働き方改革で『早く帰れ』と言われ、報告書作成や保護者対応など最低限の仕事をこなす毎日」と、時間的な余裕のなさを嘆く…と記事にあるように、現状では表面を取り繕うだけの管理職による強制的な「働き方改革」が一層、現場の教師たちを圧迫している側面にも注目すべきだろう。一刻も早くブラックな学校の現状を変えていかない限り、教員不足による学校のさらなるブラック化は不可避である。しかしそのことへの認識を欠く管理職の存在が学校をさらなるブラックな世界に陥れている…それこそが千葉県教育界の大きな不幸の源なのだと思うが、いかがか。

校長の9割が生徒の未来に関心なし しか見ていないトップは「現場から早く

 て行け」 AERA dot. 2023.6.28

「冬はアップしたら終わり」神戸市の公立中学校“部活中止”教育委員会が明かし

 た“反対派も納得”の現実 SmartFLASH  2024.12.18

 地方の教育行政側も遅ればせながらようやく重い腰を上げ始めたようだ。文科省の指導に遅れること5年。この遅れは教師不足という破滅的な現象を学校にもたらし、公教育の危機を一層表面化させてしまった。教育行政側の怠慢は厳罰に値しよう。

 ただし、これまでとりわけ深刻な問題が数多く表面化していたアノ神戸市が、いち早く部活動の地域社会への完全移行に踏み切った意義は決して小さくあるまい。周辺地域に与える好ましい影響が多少は期待できるからである。

 他方で熊本市の考えるような不完全移行では教師の負担、財政的負担をさほど軽減できまい。残念ながら学校での部活動を相変わらず美化するような管理職が多い地方では、事態の改善を見るほどには教師の負担が軽減されないままであろう。そうした地域では今後、教員不足がさらに深刻化するに違いない。いつまでも教師たちへの自己犠牲に甘んじて、現実を直視しようとしない教育行政の怠慢はマスコミ等の報道によって今後も厳しく糾弾されるべきである。

 なお小学校教師の不足は多くの場合、部活動に起因するものではあるまい。指導の難しい大勢の児童に対して一人の小学校教師が多数の教科を教えることの困難さは、本来、もっと強調されてしかるべきである。加えて数多くの学校行事をこなし、清掃指導や登下校の指導など、教師たちの過酷な負担も世間にもっと周知されるべきである。さらには日本の小学校における平均的な管理職のレベルの低さにもぜひ注目すべきである。世間におけるこうしたことへの無理解が小学校を過酷なブラック職場にしてしまっているはずなのだ。

 冷静に広い視野からみれば、日本の小学校教師の仕事は本来、至難の業なのであり、常人が務まるレベルをはるかに超えている。にもかかわらず、そうした仕事をこなせるほどに充実した教員養成教育がこれまで大学で施されてきただろうか。それだけの優秀な人材を教育委員会は数多く採用してきたであろうか。また日本社会は「日本の小学校教師」という難易度の極めて高い仕事に耐えられるほどの優秀な人材にふさわしい待遇を教師たちに与えてきただろうか。すべて「否」である。

 実際に日本の小学校の現場で日々、行われている業務の困難さ、過酷さと世間における小学校教師への評価がこれほど決定的にズレてしまっている国は東アジアや途上国を除くと他にはあるまい。基礎教育、義務教育なのだから小学校教師は教える能力が低くても務まる、したがって給料や待遇が悪くても仕方ない…と捉えるのは完全な間違いである。たとえば小学生に分数、比率、割り算の概念を分かりやすく教える事は、塾の講師以外、誰であっても極めて難しい。

 そうした諸々の難易度の高い職務を十分な教員養成教育を受けてこなかった新人教師がいきなりスンナリとこなせるわけがないのに、長い間、それを無理強いしてきた。そうしたことのツケが現在、教師不足となって表面化しているに過ぎない、と考えられるのだが、いかがか。

※日本の大学での教員養成教育には極めて大きな問題が横たわっていると私は考えている。大学での教

 職科目の多くは学生を受け身にしがちな座学で、視聴覚教材を使う機会が増えてはいても所詮陳腐な

 一斉講義形式が主。日本の大学における充実した授業実習や実践重視の授業演習の少なさも重大問題

 だろう。そもそも模範的な授業実践を自ら示せるくらい教科教育の実践に通じた技術力のある教師が

 各教科ごと大学にきちんとそろっておられるのか、大いに疑問なのだ。

  大学の教師はあくまで学問的研究を主としていて、実際には学生の教育を二の次としているのでは

 あるまいか。しかしとりわけ教師養成教育に関しては授業実践力の向上を優先し、学者の卵を育てる

 ことは二の次とすべきなのだ。にもかかわらず、教師志望者にとって模範となれるほどに講義の工夫

 に長けている大学の先生が十分な数存在しているとは到底思えない。仮に授業力向上を柱とした教師

 養成教育にふさわしい人材がこれまでも大学にしっかりとそろっていたならば、日本の学校でのこの

 悲惨な現状を大学がこんなに長く放置してきたはずがないのだ。

  まさに自動車の構造とメカニズム、道路交通法といった規則や理屈ばかりを一斉講義形式で教える

 だけで実践ゼロ、ハンドルには一切触らせない…現実には存在を許されないはずの自動車教習所とほ

 ぼほぼ等しいのが今の日本の大学における教師養成教育の本質ではないのか。なぜこれほど貧弱な教

 師養成教育を放置してきたのか、問題視されてこなかったのか、理解に苦しむのは私だけだろうか。

  実践力に自信が持てないまま教壇に立たされた新米教師はせっかく身につけたかもしれない新しい

 教育観をかなぐり捨てて瞬く間に古臭い教育観を抱えた先輩教師の従順な下僕となるか、ブラックな

 職場で心身を病み、いずれ休職、離職に追い込まれたりする。こうしてとっくの昔に賞味期限切れし

 たはずの画一的で管理主義的な教育がいまだに日本では「教師のバトン」として伝統芸能のごとく現

 在に至るまで延々と受け継がれてきている…違わないだろうか。

  教師の誰一人として教育改革の意義を見出せずに頑迷固陋の因習に囚われたまま自浄能力の欠片も

 なく、ひたすらスクラムを組んで不祥事の隠蔽に励み、退屈な授業をダラダラと続けるだけ…もしも

 これが日本の学校の真の実態であるとするならば、明るい未来が日本に訪れるはずもない。

 

 振り返って我が国の教師教育の貧弱さと学校教育が抱える体質の古臭さを考えたとき、徒に「不適格教師の排除」を目指す政府の教師改革がいかに的外れで狡猾な責任逃れだったのかは容易に理解できるだろう。教育予算を削り続け、大学での教員養成教育をさんざん手抜きした挙げ句に不祥事が起きれば「トカゲの尻尾切り」のごとくすべて末端の現場にいる教師の責任にすり替える。加えて本人の意向を無視した転勤や分掌、担当科目、専門外の部活の押しつけ…

 職場イジメが横行するブラックな学校現場は手つかずのまま放置。それでもなお退職金や年金を減らしつつ質の悪い官製の研修、研修の連打で教師の負担を極大化しようとする酷薄な教育行政がまかり通ってしまう…そんな日本の学校教育に明るい未来が訪れるはずはない。

 私の経験からだけでもこうした日本の学校教育の有り様、教育行政の貧困さが学校現場の荒廃と若者の教職離れ、学校離れを招いた最大の原因であると断言できるが、果たして皆さんはどのように思われるだろうか?

※参考動画

【日経テレ東vsヨビノリ】理系離れ食い止めろ!【93万人登録!理系教育革命】

 2022/09/05 日経テレ東大学 1:00:59

「宿題、一斉授業を廃止」で偏差値アップ、公立学校の改革が凄い 【藤原和博 &

 工藤勇一】 NewsPicks /ニューズピックス 2022/11/29 12:28

理不尽クレーム】に対応できる「魔法の言葉」とは?

 NewsPicks /ニューズピックス 2022/12/05 13:10

※参考記事

臨時講師が足りない 「頑張るほどに疲弊する」教育現場の惨状 学年を1で” “教

    頭も担任”  AERA dot. 米倉昭仁 によるストーリー  2024.5.13

 少子化の進展により近い将来、教員不足は解消される見通しなので当分の間は我慢すれば良いとする考えと職場のブラック化が教員不足の本質的原因とする考えには学校教育の問題に関する認識においてかなりのすれ違いがあるだろう。前者は文科省側の視点に立った現状認識であり、当面の教員不足の打開策としては教員試験日程の前倒し(いわゆる「青田買い」)、教員採用資格要件の緩和、教職の魅力アピール、臨任講師の確保などといった、まさにその場しのぎの表層的な政策ばかりとなる。

 しかし本当にこうした政策が妥当なものなのか、生徒たちにも議論させたい。議論のポイントは現在の教員不足の本質的な原因とは一体何なのか、しっかり考える点にある。

国立大学と私立大学の「授業料」はどう推移している?昔は今じゃ考えられない

    らい安すぎるって本当? ファイナンシャルフィールド  2023.5.16

教員志望の学生が減っている理由は 「長時間労働など過酷な労働環境」と 94%が回

    答 教員志望者減少に関する教員志望の学生向けアンケート結果   

 一般社団法人日本若者協議会 2022.4.11

なぜ教員志望の学生は減少しているのか?学生アンケート結果から #教師のバトン 

    室橋祐貴日本若者協議会代表理事 Yahoo!ニュース 2022 4/17(日)  

公立小学校教員の採用倍率、4年連続で過去最低 文科省調査

     朝日新聞社 によるストーリー   2023.12.25

 なぜ過去最低の採用倍率を更新しているのか、その理由を生徒に挙げさせてみたい。本当に民間企業の内定時期が早いことが理由の最たるものなのか、他に大きな原因は無いのか…この記事を単純に鵜呑みしてはなるまい。

主体性のある子どもを育てたいと言いながら、教員と自治体の主体性は無視する

 科省と国会 妹尾昌俊 2022 4/30(土)  18:29

「日雇いバイト」で食いつなぐ40代教員の生活困窮 月収十数万円、生活保護を受け

 非常勤講師も  東洋経済オンライン 佐藤明彦  2022/07/31 07:20 

これから会社で重要視される意外なスキルとは? 社員も会社も得する学び直しを

 現する方法 東洋経済オンライン 後藤 宗明  2022/11/04 11:00

 学校における「境界連結者」をどのように養成し、現場に送り込むか、国は大学における教員養成教育や教員採用試験の在り方を早急に見直すべきだろう。

第四次産業革命が求める人材、三つの能力 

 ForbesJAPAN 田坂 広志  2022/11/14 

 AI失業の憂き目に遭わないで済ませるには「心のマネジメント能力」、「共感・支援型マネジメント能力」、「ホスピタリティ能力」、「ファシリテーション能力」といったAIでは代替が困難な能力を身に付けるべきだという。ならば高校での学習にもカウンセリングやコーチングの内容をどんどん取り入れるべきであろう。また授業方法としてファシリテーション能力を養う上でも対話や討論を軸とした授業がより一層大切になってくるはずである。

人助けをしない日本人に「グローバル人材」は無理 英語力以前に「見識と教養」が決

 的に足りない 東洋経済オンライン 武居 秀典  2022/11/17 07:00

 日本の人々が社会貢献への意識を高め、国際社会に通用する教養を身に付けていく上で社会科教師が果たす役割は極めて重大であろう。こうした教師の背負う重い責務を考慮したとき、教職のブラック化による教師志望者の減少という現状には怒りを禁じ得ない。

子どもがこれからの時代を生き抜くために教育においてできる3つのこと

 ダイアモンド・オンライン 朝倉祐介  2022.12.8

教員が「アイドルのコンサートに行くので授業を休みます」はありか…現役小学校

 員の痛快な答え プレジデントオンライン 松尾 英明  2022.12.18

 皆勤賞をめぐる意識や有給休暇の取り方に関しては確かに大きな問題が潜んでいただろう。本来、有給休暇の取得理由は不問なのであるからどんな理由でも構わないはず。しかし酷くブラック化した学校現場では親の死による特別な休暇ですら、職場復帰時に自習監督等で迷惑をかけたことを朝の打ち合わせで謝罪し、お菓子等を全員に配布する習わしが続いていた。

 しかも自習課題を用意するため、休暇中であるにもかかわらず、早朝、来校して課題のプリントを印刷するのが普通であった。ただでさえ、病院での徹夜同然の付き添い、葬儀やお通夜などで疲労困憊しているのに、復帰後は率先して自習監督を引き受けるのが教員社会の常識であるかのような空気感がどの学校にも漂っていた。

 自分達もこれに耐えてきたのだから他者が我慢するのは当然とする教師達の人権感覚の緩さが教師間でのイジメや管理職によるパワハラを横行させ、ついには生徒間のイジメ、教師による体罰や暴言を生じさせてきた原因の一つかもしれない。

なぜ日本人は「仕事のための読書」すらしないのか…「日本人は世界一学ばない

 け者」という誤解を解く 小林 祐児 プレジデントオンライン 2023/2/17(金)

 ここでの指摘はビジネスパーソンだけではなく、高校教師にも該当する部分が多いように思える。日本では個人的な努力によって大学や大学院で教師になるために必要と思われる学習や技術をどれほど習得したとしても、それが全くといって良いほど教員採用試験では評価されず、その後のキャリア形成にもまったく結びつかない。そもそも、赴任先の人事にすらほとんど影響を与えていない。

 たいていの場合、次年度に担当する部活や科目は教師の専門性などはわずかしか考慮されず、学校現場の都合によってほぼ一方的に決定されているのが実情なのだ。つまりジェネラリストの養成を前提にして企業の人事が成り立ってきたように、学校でも専門性よりは服従的で使い勝手の良いジェネラリストが求められてきたと言っても過言ではない。

 他方で高校教師は教科教育の専門家としてのみならず、世間的には各種運動部、文化部の指導においても高い専門性を求められてきた。加えて近年では不登校やいじめ問題の解決、貧困問題、進学・就職指導、保護者への対応など心理カウンセラーや進路カウンセラー、ソーシャルワーカーとしての能力まで期待されてきている。

 教育行政側は人事や待遇面で教師の専門性を完全に軽視しているクセに、これだけ多種多様で高度な専門性を、残業代もつかない安月給の公務員に要求してくるのだから厚かましい限りである。しかも幸運にも幾つかの専門性を身につけられたとして、それが人事考課や次年度の人事に結びつくとは限らない。コネやゴマすり、学閥などの方が出世にはよほど有効だろう。

 なので管理職を目指さない限りは専門性を身につけるインセンティブなど十全には働かなくなっている。また、たとえ教員側にやる気があったとしても、残念ながら真面目で有能な人ほど瞬く間に多種多様で難易度の高い仕事が集中してくるため、あっという間に潰される。真面目な教員ほど体力と気持ちがたちまちのうちににすり減ってしまうのだ。

 つまり学校に必要とされる教師ほど早めにバーンアウトしやすくなっているのだから、まさに 「やってられない」・・・これが今の教師たちの本音であり、絶望感の源泉にある感情であろう。

日本人の仕事満足度「わずか5%」で世界最低!賃上げの他に必要な改革とは?

 ダイヤモンド・オンライン 真壁昭夫 によるストーリー  2023.6.27

 世界最低の仕事満足度を記録している日本の経済界の低迷ぶりは、おそらく児童生徒に対して世界最低レベルの授業満足度しか与えてこられなかった日本の学校教育と連動しているはず。高度成長期のモデルを性懲りもなく使いまわしている日本の企業と学校…ひたすら改革の足を引っ張るだけの「老害」政治家と企業経営陣と教育行政、学校管理職。これらが三つ巴となって日本の進歩を阻害し、青少年の自尊心と幸福感の低下を招いているのではあるまいか。

地域によっては新採用教員の大学偏差値が50を切る日本が"教員の質低下"を避

 られない構造的原因 プレジデントオンライン 藤原 和博 の意見  2023.6.14

【日本軍の敗因】「悲惨な結果を生むリーダー」7つの共通点

 ダイヤモンド・オンライン 書籍オンライン編集部 によるストーリー  2023.7.4

 先の大戦における日本軍の敗因を探る中で日本人が伝統的に抱えてきた7つの「失敗の本質」が見いだされるという。軍隊と学校とは日本の富国強兵化、近代化を推進するための車の両輪であり、両者は兄弟のように近しい関係にあるとされている。したがって、以下の7点は学校という組織にもほぼ共通する大きな弱点であると考えても差し支えないだろう。

  ① 「戦略性」──俯瞰的な視点から最終目標への道筋をつくれない

  ② 「思考法」──革新が苦手で錬磨と改善が得意

  ③ 「イノベーション」──ルールをつくり出せず既存のルールに習熟する

  ④ 「型の伝承」──創造ではなく「方法」に依存する

  ⑤ 「組織運営」──勝利につながる現場活用が苦手

  ⑥ 「リーダーシップ」──現実を直視できず、環境変化に合わせて判断できない

  ⑦ 「メンタリティ」──「空気」と同調圧力、リスク管理の誤解

 実際、太字にした部分などは日本の学校にもズバリ当てはまる組織風土に思える。現在の急速な技術革新にともない、柔軟で斬新な人材育成策が求められる中で、日本ばかりが多くの場面で世界に遅れをとってしまう大きな原因が企業社会だけではなく、日本の学校教育にもあることを示唆していると考えるが、いかがか。

 ブラック校則をいつまでもはびこらせ、相変わらず鍛錬を軸とした部活動や学校行事、個性や多様性を犠牲にした画一性の強要などを温存してきた学校教育の頑強な保守性は、日々の革新を迫る、変転目まぐるしい現代社会との間に大きな齟齬を生み出してきていると考えられないだろうか。

 もちろん学校教育に関わる法制度の見直しや文科省や教育委員会の組織改革だけでは学校を変えることが出来ない。学校教育の改革を実効あるものとするには現場における改革の担い手たるべき教師自身の改革が伴っていなければならないはず。まずは教師の意識や能力、技術、適性の見直しが必須となる。

 すなわち大学における教師養成教育の抜本的な改革(一斉講義形式からの脱却を目指すべく、探求型の個別学習・グループ学習や実験・調査・討論を軸とする授業力の養成を軸とする、今以上に実践的で充実したカリキュラムを大学では組むべきである)を基本的な前提とする包括的な観点からの法制度や組織などの見直しが行われる必要があると考えるがいかがか。

じつは「日本だけ」だった…海外とあまりに違う「日本の職場の特徴」が意外だ

 た 『日本社会のしくみ』現代ビジネス 小熊 英二 の意見 2023.7.5

 「個室と大部屋」に関する論考は高校の大職員室制や学年室常駐制と教科準備室制とに対応するだろう。大職員室制を採用する学校は義務教育の学校や生徒指導が困難な高校に比較的多い。教育困難校では学年室常駐制を採用するケースもかなりみられる。

 一方、教科準備室制を採用する学校は進学校に多い傾向がある。大学における教師養成教育が不十分な日本では新採用の教師に決定的な影響を与えるのは大学での講義ではなく、もっぱら初任校における準拠集団である。主にどの集団に属して多くの時間を過ごすか…これによってその後の教師生活はかなり方向づけられる。

 教科準備室にいる事が多い進学校に配属された教師は勢い、授業重視の教師文化を身につけ、専門科目を中心とした授業準備を念入りに行うようになる。

 しかし大職員室や学年室に常駐する教師は遅刻指導や学年の仕事、部活動の仕事といった授業以外の雑務に振り回されがちで管理職や主任、先輩教師からの助言と称する介入も頻繁に行われる。同調圧力がそこでは強く働くのだ。勢い新任教師は授業準備以外の仕事にも追われ、学校行事や部活指導、生徒指導をメインにする傾向が強くなる。

 そして進学校の数が少ない首都圏の公立高校では教師として最も重視されるべき授業力は二の次となり、むしろ生徒指導や部活指導の力が重視されがちになってしまう。体育科の教師に管理職志向の強い人物が多く、実際、管理職が多い傾向がある背景にこうした状況があるのではないか。

 日本企業は多くが大部屋であり、新入社員には専門性を強く求めず、交換可能で使い勝手の良いジェネラリストであることを求められる。これに対応して大学でも仕事の高度な専門知識・技術を養成する意識は低く、あくまで学者の養成を念頭に置いた学問的な講義ばかりとなりがち。

 したがって日本では長期にわたって専門の職務に専念し、仕事のレベルアップをはかるという欧米型、ジョブ型の勤務が最初から条件的に難しい。また採用選考時も大学での専攻や学位についてはほとんど重視されず、学校歴、サークル活動や学外でのボランティア活動などが注目されてしまう。

 つまり日本の学校組織の文化と企業組織の文化とは極めて共通する要素が多いのだ。日本の大学での教師養成教育が授業実践の面では教育系大学あるいは教育学部ですら極めて不十分であるのもこれで首肯できるだろう。だからこそ大胆な授業改革が求められる現在、授業実践力の向上を軸とした大学における教員養成教育の、より一層の充実が必要不可欠だと私は考える。

全国で「潜在」教員発掘 不足解消へ企業と連携

      共同通信社 によるストーリー   2023.11.3

    付け焼刃の弥縫策ばかりやっていても無意味であろう。文科省が本気でこれまでの政策を反省し、新たな観点から現場の実情に根差した学校改革を行う姿勢を明示することからしか、新しい時代は始まらない。

 しかしその姿勢が微塵も見られない今、敢えてブラック職場に身を沈めて「火中の栗を拾う」ような危険を犯す若者は少ないに違いない。このままでは次年度以降も教員不足の解消はおそらく無理と考える。

「やっぱり日本で教師は無理だよ。こんなブラックなのは無理だよ」やる気に満

 た大学生が教育実習で絶望 専門家「法を変えるのが一番」

 ABEMA TIMES によるストーリー  2023.11.16

 教師の劣悪な労働環境の改善は確かに急ぐべきであるが、ことの本質はおそらくそこにはあるまい。行き過ぎた画一的管理主義的学校教育の在り方そのものを問う必要がある。

 かなり以前から教師たちの置かれていた環境は劣悪であったが、その実態がいつまでたっても世間に知られてこなかった背景をこそ問うべきなのである。おそらくはジャニーズ事務所での性加害問題と同類の、日本の公教育界がはらむ根深い隠蔽体質に守られてきた悪しき伝統が今、厳しく問われなければなるまい。

 「教師のやりがい」などという美名に隠されてしまいがちな、公教育が本質的に抱える悪しき側面にも、今こそ目を逸らさずにきちんとメスをいれるべきだと思うが、いかがか。

 もちろん官僚制の機能を全否定するわけではない。国家のため、公共のための教育を全否定するわけでもない。「行き過ぎた官僚制」がもたらす弊害、すなわち個の尊厳と自由を激しく脅かし始めている、あまりにも行き過ぎた画一的、管理主義的公教育を問題視しているのだ。

 すべては自由と平等とのバランスの問題であり、見かけの平等ばかりが重視されて個人の自由が侵害されている…すなわち双方のバランスが日本の場合、極端に崩れてきていることを問題視すべきであろう。

 公平性、平等性を盾にとって個人の自由や個性を一方的に侵害する傾向が著しい日本の公教育の悪しき側面の改革を抜きにしては、教師がおかれている環境の改善だけに問題が矮小化されてしまいかねない。教師不足の解消という、ただのその場しのぎの弥縫策に議論が終始してしまうおそれがあるのだ。

 たとえば教師不足が一時的に解消されたとしても不登校やイジメの問題が本質的に改善するとは到底、私には思えない。教員定数の充足によって多少、教師の目が隅々まで行き届くようにはなるだろうが、そのことが管理主義を隅々まで行きわたらせることでかえって学校生活を窮屈にしてしまい、児童生徒の居場所をなくすことにもつながりかねないとさえ、私は危惧している。

 他の投稿でも再三指摘してきたように日本の教員養成教育は教師の採用方法を含めて極めてお粗末であり、不登校やイジメ問題に十分な対応ができる教師の養成と教員組織の体制作りに関してはこれまでも明らかに失敗し続けている。

 そもそも、不登校やイジメ問題の原因は学校現場のブラック化だけではあるまい。硬直化した教育行政のシステムに加え、教育の方法論や学習内容自体の問題(画一的で管理主義的な要素)が学校での諸問題の発生において少なからぬウェイトを占めているはずである。

 つまり現在、生じている種々の学校教育の問題は日本の場合、戦後の公教育のみならず、近代国家における公教育の在り方全体が制度的な限界を迎え、根本から見直されるべき危機的フェーズに達していると私は考えているのだ。したがって「教員不足の解消」という小手先のごまかし戦術は問題解決の先送りであり、あまりに表層的過ぎる泥縄式の弥縫策なのである。

 この段階に至っては「教師のバトン」などという妙に耳障りの良いキャッチフレーズを用いて教師のやりがいをアピールする文科省や教育委員会での教員集めの手法はもはや悪質な詐欺商法まがいの卑劣さをはらんでいるとさえ、私は感じている。

 たとえばブルシット・ジョブの拡大再生産を続ける、文科省を頂点とした中央集権的教育行政の在り方を土台から見直さない限り、部活動の民間委託程度では学校のブラック化を本質的にはくい止められまい。長い目で見ればそれだけでは一時的な効果にとどまり、たちまちのうちに新たなブルシット・ジョブの拡大再生産が上意下達式に復活するだけであろう。

 地方に丸投げして責任ばかりを押し付ける文科省の無反省なこれまでの姿勢を変えない限り、事態は一向に改善しそうにない…

 さて、皆さんはどう考えるだろうか。

参考記事

〈教育困難校の実態〉同級生へのストーカー、食事を与えられず校庭の草を食べ

 る…教師も対処に困惑する発達障害と家庭問題を抱える生徒

 集英社オンライン 2023.12.16

 公立高校の学校間格差が極めて大きいことは残念ながらこれまで世間的には十分知られてこなかったように感じている。公立中学校と同じ感覚で高校を捉えてしまいがちな現今の世論の傾向は高校教育に対する大きな誤解を生んでしまう可能性があるだろう。一方で中学校の場合には多少の地域間格差は認められるものの、高校ほどの学校間格差は大きくない。この記事にあるように公立高校の場合、学校間格差の大きさは中学校の比ではないのである。

 しかし公立高校の場合、職業高校、定時制や通信制などを除くとすべての全日制普通科高校はあたかも学校間格差が存在しないかのような、一見すると「公平」極まりない待遇となってきた。発達障害、貧困、DVの問題を数多く抱えた生徒たちが大勢集まる教育困難校と学習意欲の高い、比較的恵まれた家庭環境で育ってきた生徒が大勢集まる有名進学校とでは授業一つとっても教師の仕事量と激しさ、厳しさの程度には大きな差が生じているのが現実である。にもかかわらず、学校に配置される教師の定数に学校差はほとんど反映されないのが実情であろう。しかも困難校や進路多様校の経験が一切、無い人物が平気で困難校や定時制、通信制の校長となって赴任してくるような、教育委員会のいい加減で学校破壊的な人事にもカッパは大きな疑問を感じるざるを得ない。

 確かに進学校、中位校、困難校それぞれにタイプの異なる仕事が持つ特有の難しさがあるのは認めるが、授業中ですら頻繁に生徒指導に追われる困難校での困難さと常時、ほぼほぼ学習指導だけに専念できる進学校での困難さには大きな質と量の違いがある。同じように就職から進学まで手広く指導する必要のある進路多様校の学力中位校と進学指導に絞り切って取り組める進学校とでは進路指導上の煩雑さにも大差が生じている。教師の負担に学校の種別間で大きな格差がある厳粛な事実は今まであまり世間的に認知されてはこなかったが、良く考えれば当然の現実なのである。

 多くの教師の出身校が全日制普通科の進学校であることを考慮に入れれば、現状の大学における教師養成教育の不十分さは誰でも理解できるのではあるまいか。本来ならば大学での高校教師養成教育は教育困難校を念頭に置く授業の在り方や学級指導の在り方を教えることを専門にする講座、及び多様な進路希望に応えられる進路指導の在り方を教えることを専門にする講座を必ず設置すべきだろうし、その講座を必修とすべきだろう。当然、定時制や通信制高校の特色程度も大学で一定程度、必ず教えられるべきであろうが、大学の講座にそうした内容の講座が必修化されているのをカッパは聞いたことが無い。

 どうやら大学の教員養成教育の実態は高校の実情とはかけ離れた空疎な内容に終始しているのではあるまいか。教育法規や教育哲学が無用というわけではない。しかしそれらと同様に、学校現場の実態を知り、学校タイプ別の指導方法や授業の在り方を模索する、より実践的な講座が大学での教員養成には不可欠のはずである。それらの講座が十分な数、設けられていない大学に高校教師の免許申請を可能としている現状の制度の方が異常なのだ。

 実際に大学で教鞭をとる先生たちに教育困難校や進路多様校の実態を踏まえた実践的な指導ができる人がどれほどいるのか、管見ではあるが、極めて怪しい限り。大学の授業はあくまでも教育学という学問の手ほどきであり、実践的な知識や技術は二の次と考えている、研究重視の大学教師は残念ながらいまだに決して少なくあるまい。しかし教育学者の養成講座に終始しているような授業は教師志望者にとってほとんど無益であろう。教育困難校という戦場並みの厳しい教育現場に何一つ実践的な武器を持たない新人をいきなり放り込むような、無責任極まりない大学教育、そして惨い教員養成制度を日本はいつまで許容し続けるのだろう。

 そもそも小学校や中学校における義務教育ばかりを念頭に置いた講座が教員養成の中心にのさばり、学校間格差の大きい高校の実態を十分に視野に入れていない貧弱なレベルの教育課程しか用意できない国立大学の教育学部も全国には少なからず存在するのではあるまいか。学校現場の実情を十分に踏まえた、現実的で実践的な教員養成教育を各大学はしっかりと用意すべきであり、それは教員養成に関わる高等教育機関としての当然の義務ではないのか。

 カッパは大学での教員養成教育の貧弱さを今はもう廃止された教員免許更新講習で十二分に目の当たりにしてきた。この程度の教育内容では学校現場へのリアルな心構えすらまともには身につくまい。困難校に赴任した新人教師が精々出来る事といえば必ずしも質を保証できない先輩教師たちによる当てにならない指導、助言とお粗末な官製研修による偏った洗脳によって悪しき学校文化の継承者になることくらいが関の山ではないのか。

 以上、長々と厳しめに指摘してきたが、近年、教師の中途退職、休職が増加し、教職志望者が減少する教育危機の背景に、実は大学側のカリキュラム上の大きな欠陥と教員免許状取得資格の制度的不備が大きな一因となっている側面があるとカッパは考えている。この問題は相当深刻であり、喫緊の課題だと思うが、いかがだろう。

§5.日本の進路2.AIの進化と日本社会

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

不登校35万人時代「小中学校に通信制がない」のはなぜか?IT普及前のルールが“

 どもたちの学びを制限する現実 日刊SPA! 2025.9.9

 乙武氏の意見に全面的な支持をしたい。IT普及によって通信制のメリットが大いに生かせる時代となっており、これを利用しない手はあるまい。校舎不要で対人関係も広く築くことが可能、通学の不便を解消でき、同じ授業を繰り返し受ける事が出来る…こうしたメリットの一部は教師側も享受できるはず。小中学校でもぜひ通信制を認めるべきだろう。

参考動画

【学ばない若手はなぜ生まれたのか?日本を襲う「学習恐慌」】ワークライフバラン

    ス重視の罠/未婚化の影響/組織の強制力低下/リモート定着と飲み会文化縮小/

    AIによるスキルのだるま落とし/正解待ち部下の増殖

    PIVOT 公式チャンネル 2025/10/06  26:56

    リスキリングと言う言葉が飛び交う一方で、「学習恐慌」という言葉の持つ衝撃は決して小さくあるまい。特に「内圧」「外圧」ともに低下したことが若者の学習意欲、成長意欲の低下が生じている、といった指摘は説得力を強く感じて興味深い。各種統計データが要領よく整理されていて若い社員の心理をうかがうことが出来るだろう。

    ここで指摘された若者の心理は高校生にもある程度は共通するはず。今時の若者の働く意識の一端を知る上では見逃せない動画。

【学ばない若手はなぜ生まれたのか?日本を襲う「学習恐慌」】ワークライフバラン

    ス重視の罠/未婚化の影響/組織の強制力低下/リモート定着と飲み会文化縮小/

    AIによるスキルのだるま落とし/正解待ち部下の増殖

    PIVOT 公式チャンネル 2025/10/11 23:43

    やや視聴時間が長くなるが、高校生にとっては先々進路、就職を考える上で非常に役立つ、示唆に富んだ内容となっており、ぜひ、授業で視聴させたい動画。また教師にとっては学校がなぜ自ら変わろうとしてこなかったのか、ただ知識と言う正解を一方的に「教える」ことが教育とみなす発想と行為に潜む重大な落とし穴に気付くことが出来るだろう。さらには生徒との関係や新任教師、後輩教師との関係を見直す良い機会となるに違いない。「学ばない若者」が生まれてきた背景には間違いなく自ら「学ぼうとしない日本の教師」、「変わろうとしない日本の学校」があったはずである。

【禁断のマウス実験】食料∞・病気や天敵ゼロなのに滅亡…楽園実験「ユニバース

 25」とは何か?

 ぶーぶーざっくり解説【小学生でもわかる科学】 2023/06/23  13:24

 議論の材料として授業で使えそうである。AI、量子コンピュータなどの急速な進化により、科学技術は爆発的なスピードで高度化していくことが予想されている。人類は科学技術を駆使してやがて地球環境の悪化を食い止め、病気や貧困を克服し、ロボットたちに多くの労働を委ねていくのかもしれない。そして人々は近いうちに毎日、遊び暮らせるようになる時代が来るのかもしれない。

 しかし科学技術の発達と暴走がむしろ人類を滅亡させる戦争を引き起こしてしまうのかも…ロボットの手によって人類が滅ぼされてしまうのかも…

 この楽園実験はそうした人類の、必ずしも明るくない未来を予見させる要素があるかもしれない。仮にあなたが今後、死ぬまで遊び暮らせるとしたら、一体どんな日々を送りたい?ぜひ、生徒たちと一緒に考えてみたい。

参考記事

ハラリが警告「ロボット反乱」より恐ろしいAI

 東洋経済オンライン ユヴァル・ノア・ハラリ 2025.5.24

 AIが人類の統制から解放されて自律的に動き始める時、一体、何が起きるのか、ハラリ氏の警告に耳を傾けたい。

「人類絶滅の恐れ」、オープンAI現・元従業員が警鐘

   JBpress 小久保 重信 によるストーリー 2024.6.12

   元オープンAI「従業員グループは具体的に、①従業員が匿名で懸念を通報できるようにすること、②内部告発者に対する報復を行わないこと、③従業員の発言を抑圧するような合意書に署名させないこと、を求めている。」らしい。AIの目覚しい進歩の裏側で早くから懸念されていたAIの暴走、悪用の危険性。人類の滅亡すら招きかねない力を持ち始めたAIに対して、AIの開発に従事する人々の内部告発を抑圧する体制の見直しが強く求められているとのこと。

 ただでさえ公益通報システムの確立が遅れがちであり、不祥事の隠蔽が政官財の随所にはびこる日本ではとりわけ注目される動きであろう。

 授業ではAIそのものよりも、日本の公益通報のお粗末なあり方を、かつて原発の「事故隠し」に走った動燃問題や「食の安全」が問われた雪印事件、学校や教育委員会によるイジメ隠蔽事件、自民党の裏金問題、さらには敗戦後の一部のA級戦犯らの釈放と戦後の活躍、公益通報の中核たるべきマスコミのジャニー氏による性加害報道に見られる深刻な機能不全…などの事例を引き合いに出して歴史的に振り返り、なかなか公益通報のシステムが浸透しない日本社会が抱える問題点を多面的に考えさせたい。おそらくポイントとなるのは公益を犠牲にしてまで仲間内を庇おうとする、日本人の歪んだ集団主義的心性が一体何に淵源するのか…ということではあるまいか。

玄侑宗久チャンネル お悩み拝聴 恐ろしい時代がやってきました 60代男性 

 玄侑宗久チャンネル  2022/05/06 7:28

 アナログ過ぎる考え方かもしれないが、実際、技術の進歩がもたらした便利すぎることのデメリットというのはあると思うが、いかがか。少なくともゆっくりと立ち止まって生きていることの意義くらい考えるゆとりは欲しい…科学技術の発達スピードが加速している時代ではあるが、今、生きていることをしっかりと味わえるようなマインドセットは時代を超えて相変わらず必要だと思う。私もまた「無用の用」という言葉をかみしめながら、あえて老荘思想を少しばかり学んでみたい60代である。

玄侑宗久チャンネル 今を語る!一日暮らし

   玄侑宗久チャンネル  2023/07/29 9:13

 仙厓和尚の「人間はみんな生きている間は同い年ばい」という言葉の味わい深さ、「一日暮らし」、「日々是好日」の意味するマインドフルな生き方に学ぶことも必要ではあるまいか。ChatGPTの利用を功利主義的と批判する立場があることは弁えておくべきではあるまいか。

【成田悠輔vs東浩紀】絶望感の正体は?日本の闇【ガチすぎ本音トーク】

   ReHacQリハック【公式】  2023/10/07  54:12

 東氏の観光を哲学する中で得られた観点は日本の今後を考える上で非常に示唆に富む内容だったと思う。ネット社会、IT化の進展とアニメ、音楽、映画の世界同時配信、そして世界規模の観光の発展とが世界の分断をいずれ和らげる可能性を秘めているとの指摘は特に刺激的。日本、特に沖縄の観光業の発展は沖縄、日本の経済的繁栄だけではなく、平和構築にも貢献する可能性を感じた。ただし番組の終わりの方で漏らした日本社会の頑固さ、改革を阻む根強い保守性に東氏が抱く苦渋に満ちた諦念の深さにも思いを致す必要があるだろう。多少、長くて難解な部分もあるが、日本と世界の将来を見据えるためにもぜひ視聴していただきたいイチオシ動画である。

【浪漫ビジネス】なぜ「ぬいぐるみの旅行」が価値を生み出したのか?こんまりメ

   ソッドに学ぶ「トキメキを生む事業」とは?(山口周:ビジョンクエスト) 

  【NewSchool】NewsPicks /ニューズピックス  2022/12/17  14:47

 コンマリを例にして発想の転換の重要性を説く山口氏の切り口は非常に鮮やかで感心させられるだろう。「未来予測」をテーマとする授業で最初に視聴させると生徒たちの興味を引き付けられるだろう。

[超定義] AIのディープラーニングを町田啓太が超高速で解説してみたら「おまんじ

 ゅう」に決定!| NHK 2021/10/22 4:47

[サイエンスZERO] 未来の高級ステーキ!世界初の技術で塊肉を培養 | 次世代の培

 養肉 | NHK 2021/11/06 4:22

世界初!“生きた”皮膚で覆われた指型ロボット開発 傷も自力で修復可能 

 2022/06/10 ANNnewsCH 

 「ターミネーター」も夢では無い?

奇妙な日本のホテル:世界初のロボットホテルに泊まってみた!🇯🇵

 Ruhi Çenet 日本語  2022/10/26 11:30

 この動画の珍妙さに驚く。近未来の生活を想像させるにはピッタリの動画だろう。

robots are getting so advanced it's crazy from 2009 to 2021!

 love-robots  2022/12/18 3:15

 ロボットの進化を確認する上で役立つ動画。

【時論公論】解説 | ChatGPTに仕事を奪われる? 高度AIと共存するために必要な

 スキルとは | NHK  2023/04/20 9:42

 今、話題のChatGPTに関してその長短、今後の対応の在り方までごく短時間で要領よく理解できるオススメ動画。

【ChatGPT】テキスト生成AIの実力は?アフター検索の未来図も?

 ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】 2023/01/11 14:45

 フェイクニュースが無制限に作れる点では怖さを覚える。他方でたとえば多様な観点から検討すべき社会課題への模範的と思えるような解決策を複数、箇条書きで示してくれるなどの応用力の高さが世界的に注目されている。次から次へと関連した質問に答えられるという対話的なテキスト生成能力を持つため、利用価値は確かに高いだろう。質問の仕方を工夫していけばAIの回答は一層、洗練されたものに変化してくる。しかもエクセルにも適用できるため、関数を覚えていなくともデータの整理、分析が極めて容易となっている。AIの持つ力を誰もが容易に引き出す事が可能となってきたと言う点では革命的な進歩といえるだろう。

【時論公論】〝AIで人類滅亡の危機!?〟 世界中の権威・研究者らが発した「リ

 スク」と「対策」とは | NHK  2023/08/10 9:56

【ChatGPTとBard】AIがついに世界を変える!ネット時代の覇者Google vs

  逆襲のMicrosoft 中田敦彦のYouTube大学 2023/2/11 28:03

【ChatGPTとBard】AIを制するのはMicrosoftかGoogleか?教育や職業はど

 う変わる? 中田敦彦のYouTube大学  2023/02/12 19:40

【GPT-4の使いこなし方】AIで仕事を作る人、AIに仕事を奪われる人!使いこな

 せば未来を掴める 中田敦彦のYouTube大学  2023/04/04 19:38

【GPT-4の使いこなし方】AIの上手な活用方法は「入力が7割、調整が3割」

 中田敦彦のYouTube大学   2023/04/05 18:52

【漫画】「ひろゆきのシン・未来予測①」をわかりやすく解説【要約/ひろゆき】

 フェルミマンガ大学 2021/11/03

【漫画】「ひろゆきのシン・未来予測②」をわかりやすく解説【要約/ひろゆき】

 フェルミマンガ大学 2021/11/04 12分

【日本が危ない!】いま、世界は幕末!?未来から来た女が言う『日本の危機』と

 は【未来から来た女 Vol.1】DLE channel2019/01/24

年金制度が崩壊し、日本から若者が脱出! そして2040年に世界大戦が起きる・・・?

 【未来から来た女 Vol.2】/2019/01/31

日本に残された道は「○○○○の放棄」しかない!?そして起こる『シンギュラリ

 ティ』とは【未来から来た女 Vol.3】/2019/02/07

AIが実現した『シンギュラリティ』 そして訪れる人間の『変化』とは・・・【未来か

 ら来た女 Vol.4(最終話)】/J2019/02/21

 生徒の状況によっては利用可能。 

【漫画】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ【要約/ピーター・ディアマ

 ンディス】フェルミマンガ大学 2021/05/20

成毛眞が語る「2040年の未来予測」【中田敦彦のYouTube大学でも話題】

 NewsPicks 2021/02/01

【2040年の未来予測】次の時代の成功者になるには(Predictions for

 2040)中田敦彦のYoutube大学 2021/01/09

【2040年の未来予測】衰退する日本と予測されるリスクとは?(Predictions  for 2040)中田敦彦のYoutube大学 2021/01/10

【NFTとメタバース】デジタル資産になぜ数十億円もの価値がつくのか?世界の

 未来はどう変わる? 中田敦彦のYoutube大学 2021/11/06

 

参考記事

10年後「生き残る仕事」「なくなる仕事」の境界線 今後においてもAIにできないこと

 は何か? 東洋経済オンライン 川村 秀憲 の意見 2024.4.13

 …仕事は「意思決定」と「作業」に分解され、このうち「作業」に関しては、相当部分がAIに取って代わられる…「自分で何をするか決める仕事」は残り、「人から言われてやる仕事」はAIに取って代わられる…という時代の流れに沿った学校教育とは一体、どういうものだろう。ぜひ生徒たちに考えさせたい。

 …「その人」だから価値があると感じているものは、AIには入り込めない領域…であるならば個性、多様性を尊重する教育がもっと必要となるだろう。

 …AI時代の到来が本当に問うているのは、「あなたならどうするのか」ということだ…ならば自主的、自発的な言動がもっと尊重されなければなるまい。

 …問題は、大企業や組織力の高い会社に入ったことで、仕組化の歯車のひとつとなって、属人化を排除する組織の文化や風土に慣れて…しまう事だとするならば、徹底的な校則の見直しだけでなく、学習自体をもっと個別最適化させ、自由化すべきだろう。

 …これまで善とされてきた「標準化」「マニュアル化」はAIが担い、悪とされてきた「属人化」こそが私たちが生き残っていく術…であるならば、これまでの文科省の教育行政のあり方とは真逆に近い体制が再構築されなければなるまい。たとえば学習指導要領の大幅な見直し、画一的で管理主義的な教育の徹底的な刷新が求められるであろう。

民主主義を破滅させる巨大IT企業による「監視資本主義」

 毎日新聞 2022/10/19 05:30

 要領よくポイントをおさえた短い記事なので全文、読ませて討論させたい。

OpenAIのサム・アルトマンCEOも言及する「AIが人類を滅亡させる可能性」 

 マネーポストWEB によるストーリー 2023.4.5

ChatGPTの可能性と脅威、ビル・ゲイツ氏も持論展開 AI議論で注意すべき3点と

 は? ITmedia ビジネスONLiNE 2023.4.5

 

・メタバースと仮想通貨

参考動画

【新技術】NTTドコモ細かい表情をアバターに再現

 2022/01/17 日テレNEWS 1:09

米・フェイスブック社が社名を「メタ」に SNSの未来形「メタバース」とは?

 2021/10/29 TOKYO MX 7:04

岡嶋裕史×宮台真司×神保哲生:メタバースはリアルな世界をどう変えるのか【ダイ

 ジェスト】 2022/02/05 videonewscom 12:32

メタ(Facebook)が展開するメタバースのイメージ映像

 2021/10/30 Media Innovation 3:32 

 日本語字幕に設定する必要あり。

ネット上の仮想空間「メタバース」に商機 ビームスなど企業が続々と参入 

 【news23】 2021/11/26 TBS NEWS 6:14

メタバース“2700時間超え滞在者に聞く魅力・・・人間の五感を再現した未来も

 (2022年1月10日) 2022/01/11 ANNnewsCH 8:22

「メタバースとは」アニメで解説!次世代インターネットはもう目の前!?

 2021/08/15 やさにゅー大学 6:36

メタバースとは何か?超わかりやすく解説! 数年後に訪れる未来仮想通貨との関

 係は?2021/12/18 大人の学び直しTV 14:56

【アニメで解説】メタバースって何?2021年の最重要ワードを初歩から!

 2021/12/19 コアラ先生の時事ネタ祭り 13:53

「NFTとは」ツイートに3億円の価値!?今更聞けないブロックチェーン、イーサ

 リアムも簡単解説!2021/08/29やさにゅー大学 9:59

【17分で解説】NFTの教科書 デジタルデータが資産になる未来

 2021/12/25サムの本解説ch 17:17

【NFTとメタバース】デジタル資産になぜ数十億円もの価値がつくのか?世界の

 未来はどう変わる?2021/11/06 中田敦彦のYouTube大学 39:38

【NFTとメタバース】NFTはゲーム・ファッション・スポーツ・音楽業界の未来

 をどう変えるのか? 2021/11/07 中田敦彦のYouTube大学 37:41

 中田特有の話し方にウンザリする方も中にはいらっしゃるとは思うが、そこは我慢してとりあえず耳を傾けてみると何とかNFTやメタバースについてそれなりに理解が進むはず。

【ひろゆきvsせきぐちあいみ】ブロックチェーンでマネー大革命【お金の価値、崩

 壊?】 日経テレ東大学 2021/08/22 40:53

 嗅覚や味覚は化学変化を伴うので視覚や触覚、聴覚とのタイムラグが生じてしまい、VRが5感全部に適応される・・・というひろゆきの指摘は鋭いが、お金という一元的価値尺度がAIの進歩やNFTの進展によってどんどん目減りしていくのでは・・・という成田氏の指摘も相当、エグイ。非常に刺激的な対談。

 ※非代替性トークン(ひだいたいせいトークン、英: non-fungible token、略称:

   NFT)とは、ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位で

  ある。NFTは、画像・動画・音声、およびその他の種類のデジタルファイルな

  ど、容易に複製可能なアイテムを一意なアイテムとして関連づけることができ

  (鑑定書(英語版)と類似)、ブロックチェーン技術を使用して、そのNFTの所

  有権の公的な証明を提供する。オリジナルのファイルのコピーは、そのNFTの所

  有者に限定されず、他のファイルと同様に複製や共有が可能である。代替可能性

  (英語版)(英: fungibility)がない(複製が可能である為、自身の所有権の証明

  には成り得ても、他者の所有する同一のコピーが偽物である証明には成り得な

  い)という点で、NFTはビットコインなどの暗号通貨とは異なる。 

  ・・・ウィキペディアより引用

【解説】メタバース上の殺人どう裁く?全世代が活用可能?政府が「メタバース研

 究会」発足│政治部・小野孝記者 

 2022/08/02 ABEMAニュース【公式】 15:52

【VR】メタバースでも痴漢やストーカー?安全と監視のバランス

 2022/09/29 ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ【公式】 20:06

 メタバース空間で過ごす時間が増えてくると予想される負の側面として何があるのか、プライバシーを脅かすような全面的な監視社会の成立を防ぐためにはどんな仕組みが必要なのか、考えていくべき課題は多い。視聴後、生徒にアンケートをとって意見を募りたい。

【Web3.0とDAO】インターネット以来の大革命に乗り遅れるとヤバい!ポスト

 GAFAM時代の幕開け 2022/06/11 中田敦彦のYouTube大学  39:11

【Web3.0とDAO】次世代の株式会社DAOの仕組みと課題を徹底解説!

 2022/06/12 中田敦彦のYouTube大学  25:44

 Web3.0の本質的な意義をかなり分かりやすく説明してくれている。近い将来にどんな社会が訪れるのか、ある程度の見通しを持てるようになりたい若者にとっては役立つ動画だろう。

 

・デジタル社会の進展

【思想をRethinkせよ】宮台真司と波頭亮が、日本の未来を見つめ直す。

 2020/11/29 NewsPicks /ニューズピックス 57:57

【ひろゆきvsせきぐちあいみ】ブロックチェーンでマネー大革命【お金の価値、崩

 壊?】2021/08/22 日経テレ東大学 40:53

 VR、DXなどの進展がもたらす「マトリックス」のような近未来の社会を想像してみると・・・果たして人類は「仮想現実」の生み出す快楽が「現実世界」が生み出す快楽を上回ってしまう時代がもたらすディストピアを回避できるのか?

成田悠輔さんに「20代はどう働くべき?」と聞いたら、「人目につかない場所にい

 ろ」と言われました 2022/04/01 新R25チャンネル 20:44

 SNSが発達した時代における若者の進路意識を高める上で非常に有益な動画だと思われる。「自分に最適の進路」を探すことは危険であり、多くの場合、無益である可能性が高い。20代は自分が出逢った仕事にがむしゃらに取り組むべきであり、大義、目的は大抵の場合、後付けの言い訳に過ぎない。大義を設定してから仕事を探すのは無用である・・・誰でも発信できる時代は悪目立ちしてしまいがちであり、ほとんどの若者にとっては危険が大きい。むしろあえて若者は人目に付かない場所にいることが大切・・・目立ちがりやの傾向が強い若者にとってはかなり耳の痛い指摘であるが、説得力はそれなりにあるだろう。

【成田悠輔 x 社会論】未来の仕事。学歴と収入。 【KIDSNA】

 2022/07/29 KIDSNA STYLE チャンネル【公式】 3:19

・・・安易に時流に乗ろうとするのは危険。周囲の動きに同調しようとするよりも古くから続いてきた仕事に注目すべき。

[NHKスペシャル5min.] ゲノムテクノロジーの光と影 “神の領域”への挑戦・最前

 線の現場 | NHK 2021/06/08 4:40

Z世代起業家が語る、web3における日本の課題とポテンシャル【渡辺創太×成毛

 眞】 2022/09/24 NewsPicks /ニューズピックス 10:30

【メディア革命】次なるメディアの王者は何か?成田悠輔が語る次世代の特徴と可

 能性 ReHacQ-リハック- 【切り抜き】  2023/07/15  9:06

【ネットの功罪】真実消滅!「情報の死」とは?【フェイクニュースの近未来】日

 経テレ東大学 2023/01/06 30:49

 フェイクニュースが世界中に出回る中でウクライナ侵攻が起きてしまい、巧妙で悪質なフェイクに踊らされて核兵器が使用されてしまう危険性は徐々に増してきている。フェイクニュースを拡散する人々の数は多くはないが、彼らの活性が極めて高いため、その影響力は決して小さくない。フェイクを見抜く技術と精緻なフェイクの作成技術とはコインの裏表の関係にあるだろうから、フェイクをネット上からなくそうとする政府の試みはイタチごっこに終わりかねないだろう。

 

参考記事

私たち現代人が気づけば「井の中の蛙」に陥るワケ 知らずに「フィルターバブル」に飲

 み込まれている 東洋経済オンライン 矢萩邦彦 の意見 2023.4.27

 

参考文献

◎「やばいデジタル~現実が飲み込まれる日~」NHKスペシャル取材班 

 講談社現代新書 2020

 ・・・ネット社会の進展は情報をくまなく迅速に行き渡らせることによって民主主義を支えていく・・・というこれまでの期待が裏切られつつある。フェイクニュースが人々の言動を操り、投票行動を強力に決定づけるようになったアメリカやイギリスの動き、あるいは中国のようにコロナ禍を契機にネットを通じて国家が人々の言動を隅々まで監視できる独裁体制の成立といった現状に警告を発している。

 国家や大企業だけでなく、個人や零細企業までもが他者を陥れる道具として、あるいは「フェイクポルノ」のように利益を得るべく特定の個人のプライバシーを勝手に侵害するようになっている。スマホのデータ一つ、たとえば位置情報だけでも個人のプライバシーの多くは瞬く間に裸にされてしまう。

 「デジタルツィン」と呼ばれる、自分とそっくりなもう一人の自分が自分の知らないうちにネット上を裸で一人歩きしてしまう日が来るかもしれない。幼少時からSNSに触れてきたZ世代はプライバシーよりも便利さを優先してしまいがちと言われる。しかし年収や家族、趣味、食べ物の好み、住所、職業、交友関係までもがたやすく他人に知られてしまう社会になっていることへの警戒は必要だろう。

 

 

 

 

 

その7.③学校のウソ臭さ

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

“30万円の自腹を強いられた校長の告白。「わたしはどうすれば……」未納金問題

    の深刻な実態 All About 福嶋尚子・栁澤靖明・古殿真大     2025.10.11

 この程度の調査だけでは日本の学校現場の自腹の実態が十分に解明されるわけがない。自腹が当たり前のこととして常態化してしまい、教師自身が自腹を自腹として意識できていないまま、出費を続けているケースだって決して少なくあるまい。確かに管理職の自腹などは一時的には多額のケースもあるだろうが、一般の教師が日常的に支払い続ける自腹の総額が管理職のそれと、実際には大差ないものであることの方がむしろ多いのではあるまいか。

 運動部顧問の場合、部活動に必要となる道具類等の一部は顧問が自腹を切って購入することが少なくない。もちろん自分の使う道具やユニフォームなどは自腹である。当然、練習試合などで他校を訪問する際の出費の多くも自腹である。さほど部活動に熱心ではなかった自分ですら、35年間の教員生活において部活動関係で自腹を切った金額は間違いなく100万を下ることはなかった。

 文化系の部活動でも、楽器の購入や修理費など、吹奏楽部の顧問の自腹分もかなりの巨額に上るだろう。

 また授業で実物教材などの独自教材を使う教師の場合、教材費のほとんどは自腹である。もちろん授業準備に要する書籍代は全額、自腹。さらに近年はプロジェクターを用いて授業を行う教師が多く、どこでもプロジェクターは学校の備品だけでは不足しがちである。結果的にプロジェクターを含め、視聴覚機器や記憶媒体の一部を自腹で用意してきた教師は決して少なくない。

 古くは100本以上のビデオテープを購入して授業での視聴に用いていた教師たちの過去がある。その中には録画用ではない、かなり高額のものもあった。自分も先輩教師たちに見習ってテープ代だけで総額数十万円分は費やしている。

 自腹はお金の問題だけではあるまい。お金以上に膨大な時間と労力がとりわけ部活動にはつぎ込まれており、教師たちの私生活は常に厳しい制約を受けてきた。肝心の授業準備もおろそかになりがちであった。そこへ様々な学校行事が絶え間なく加わってくる。文化祭や体育祭、遠足に修学旅行、入試、入学式、卒業式…それらの準備もまた部活動同様、勤務時間内に終わらないものばかりなのだ。

 教師たちによるこうした自己犠牲的な献身抜きにしては、日本の学校教育がまともには成立できてこなかった、という現実をまずはきちんと直視すべきだろう。そしてマスメディアならば先進国で最低レベルの教育予算しかない日本という国の、真の意味での文化的貧しさを引き摺り続ける社会の構造的な欠陥にこそ、もっと深いメスを入れるべきだろう。

なぜ?学校の通知表「主体性」の評価が見直しの訳

    東洋経済オンライン 松下 佳代 2025.10.8

 これまで教師や児童生徒の主体性を踏みにじり、学校現場の主体性をひたすら否定してきた文科省が、なぜか通知表の評価の観点としてこれからは主体性を重視する、という。本来、主体的な学びはまず教師側が児童生徒の模範となるべく、実践できていなければなるまい。

    連絡報告の書類作成などのブルシットジョブや無意味な官製研修の連打によって教師の主体的学びの機会を奪い尽くし、教師の意思を無視して職員会議をただの連絡報告の場に貶め、学校の都合を最優先して校務分掌を一方的に新任者に押し付けることで、ひたすら主体的な勤労意欲を奪ってきた教育行政側が学校現場に対して「主体性」という言葉を口にして良いわけがない。

 …文科省自身は、「主体的な学び」を「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」と説明し、「主体的」をproactiveと訳している(proactiveはreactiveの対比語で、事態に反応するのではなく、先取りして自ら事態に働きかけることを意味する)。…

 とのこと。裏読みをすれば、国の方針に対して主体的、意欲的に盲従してくれる「民草」の養成に学校はより一層の力を入れていけ、という事かもしれない。その発想において致命的に欠けている視点は、何を学ぶべきなのか、という主体的学びの前提として必要不可欠となる問題意識であろう。文科省が学ぶべき内容への規制を緩めることなく、厚かましくも学習の主体性を教育現場に求めることに潜む矛盾とそこに隠された真の意図に留意したい。

小学校の隠しカメラに市議「盗撮では」 市「正当」強調 愛知・江南

     毎日新聞 2025.10.2

 これが完全な違法行為であり、児童への明らかな人権侵害にあたるものだと判断できない校長や教育長がいることに驚く。どうしてこのような人物が校長や教育長になってしまったのか、管理職人事の闇に触れた思いがするのだが、いかがか。もちろん、隠しカメラの設置を擁護する市長の見識にも呆れるほかあるまい。

 児童のイタズラがどんな内容なのかも、気になる。仮に他の児童への深刻な人権侵害に相当するものならば、一刻も早くイタズラを辞めさせる必要があるのは確かだ。しかし、そのためにとるべき有効な手段は、監視カメラの設置以外にもあったのではあるまいか。

ブラック校則を自ら見直し? 「子どもの意見表明権」教育に取り入れ

 毎日新聞 2025.9.5

 …子どもの意見表明権は、1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」の12条に規定。子どもが自らに影響を及ぼす事項に対して自由に意見を述べる権利を確保するとしている。

 日本は94年にこの条約を批准した。国内法は長く未整備だったが、子どもの意見表明権を基本理念に掲げた「こども基本法」が2022年に成立。その後初めての指導要領改定を迎えるため、学校での指導にも取り入れることにした…

 と記事にある。学校教育は児童生徒の将来に直結するため、教育内容に関して世界の進展に大きな遅れがあっていいはずがない。未来を生きていく児童生徒の歩みを学校教育が妨げていいはずがないのだ。特に児童生徒の権利に関してはなおさらであろう。まして科学技術の進展が目まぐるしい現代である。子どもたちの未来を預かるべき学校教育が、日本の場合、進取の精神を児童生徒から奪うような旧態依然のレトロ感をいつまでも醸し出し続けているのはいかがなものか。

 次の学習指導要領が学校現場に適用されるのは小学校で2030年度からである。中学校や高校はさらに遅れてしまう。つまり日本では子どもの意見表明権を規定した子どもの権利条約が国連で採択されてから41年、日本で批准されてから36年以降、ようやく小学校から順次、学校現場に反映される予定、というのだから驚き呆れる。この取り組みの鈍さ、遅さ…まさに「人権後進国」たる日本の面目躍如、というところか。

 これまでの長きにわたり、子供の人権条約の精神が日本の学校教育にしっかりと反映されてこなかったために生じてしまった、残念な事件事故は数多い。これによって犠牲となった児童生徒の数も決して少なくはない。政府、文科省はこうした世界の進展に対して大きな後れを取り続け、結果的に犠牲者を生み出し続けた失態を深く反省し、一刻も早く国民に謝罪すべきではないのか。

 実際にはかなり以前から児童生徒の意見を取り入れてブラック校則の見直しを推進している学校が出てきている現状は確かにある。とりあえず一部の動きにせよ、文科省の取り組みよりも学校現場の方が少しは早い…だからといって国民が安心できるわけではあるまい。

 30年以上にわたる日本経済の失速、経済や政治の停滞の背景に日本の学校教育の、余りにも時代遅れなあり方がある、と考えるべきだと思うが、いかがか。

教室にカメラ設置ってアリ? 「いじめを防ぐため」の案だけど「体育の着替え」

    は、「死角」はどうするの? 東京新聞 2025.4.18

    おそらく熊本市教委の人権意識の低さ、鈍感さがこうした安直な対応にも表れてしまうように思えるのだが、いかがか。ぜひ、授業で取り上げて監視カメラ設置の是非について議論させたい。まずは議論の手始めとしてイジメが発生する主たる原因とイジメへの対応のあり方が問われるはずだ。

    どういう環境下でイジメは発生しやすくなるのだろう。これまでの常識的発想ではこんなロジックで学校でのイジメが語られる傾向があったはずである。まず画一的な管理主義的教育体制の下で学校側が集団行動を偏重し続け、集団への同調圧力を過剰に強めてしまうと児童生徒の精神的ストレスは極めて大きくなってしまうに違いない。そのストレスはきっとイジメとなって発散されてしまう大きな危険性を孕むものだろう。あるいは集団主義的な校風になじめない児童生徒たちの間に数多くの不登校を生み出すかもしれない…

    とは言え、仮に集団主義、管理主義が大幅に改善されたとしてもイジメを社会から根絶することは不可能だと私も考える。そもそもどんな社会であれ、利害の対立が生じるのは不可避である。したがって利害の対立やイジメが生じたとき、学校側が問題の解決に向けてどう工夫し、どう対応するのか、が問われる。

 工藤勇一氏のように、集団間での対立、イジメの発生に対して児童生徒自らが対話を重ね、問題解決の方向に自分たちで歩み出せるように教師が工夫して対応できるのならば、イジメ問題の発生は学校にとってむしろ大歓迎ですらあるだろう。それは児童生徒にとって社会生活のあり方を、体験を通じて学ぶ、絶好のチャンスとなるからである。仮にそう考えられる教師集団ならば、イジメを無くす…という発想、教育目標は決して思い浮かばないはずである。逆に単なる学校や教師側の臆病な自己保身などから、イジメの未然防止のために監視体制を強化してしまうと、児童生徒の自律、自立のチャンスを奪うだけではなく、学校をさらに居心地の悪い場所にしかねないのではあるまいか。

 もちろん、学校における硬直化した画一的管理主義は今後も是正されていくべきであるが、それだけではおそらくイジメ問題の本質的解決には向かわないだろう。学校でのイジメ問題への対応は、日本の学校の根深い隠蔽体質も考え併せれば、イジメの発生防止という観点に軸を置くのではなく、イジメ発生後の対応の在り方の方に対策の軸を置くべきではあるまいか。

 イジメの根絶を図るために児童生徒への監視を強め、管理を強化せんとする熊本市教委の発想は、以上の点から問題の本質を完全に見誤っており、さらなるイジメのステルス化、陰湿化、悪質化をも招きかねないと考えるが、いかがか。

 そもそも今はやりのSNSによる誹謗中傷を、監視カメラの設置で防げるはずはないのだ。イジメは教室内での窃盗事件とはわけが違うし、監視強化によってイジメの発生を完璧に防げるという幻想も即刻、捨てていただこう。そしてイジメ問題をもっぱら児童生徒たちの力で解決できるよう、いかにして議論を組み立てていくのか、熊本市教委および教師側は真剣に考えていくべきであろう。

ニュージーランド公立小の"自由で刺激的"な日常 移民大国で根付く「ダイバーシ

   ティ教育」の実際 東洋経済オンライン 鳥羽 和久 の意見  2025.1.10

   教育においてダイバーシティを尊重するという事は一体どういうことなのか、ニュージーランドの取り組みを例にして具体的に知ることが出来るだろう。ダイバーシティ教育の実現には大きな予算が必要であることが繰り返し強調されている点も重要である。振り返って我が国の学校教育の残念なまでの低予算、教師の出血大サービス残業で無理くり体裁を整えているみすぼらしさと上辺だけのダイバーシティ尊重の掛け声を見るにつけ聞くにつけ、絶望的な感覚を覚えてしまうのは私だけであろうか。

30年変わらぬ体育館での雑魚寝「劣悪環境」の避難所が生む関連死 自治体任せから

   脱却を 備えあれ⑤避難力 産経新聞 2025.1.6

   阪神淡路大震災、東日本大震災・・・肝心なことの多くを過去の経験から学んでこなかったのは政治家だけではあるまい。能登半島沖地震から一年経っても被災地の復興の歩みの遅さ、ノロさは本来、安全で居心地の良い避難所として機能すべき学校の体育館で、寒さに震える「雑魚寝」状態が一向に改善されていない点にも伺える。果たして今回の災害発生後の避難生活における病死、自死の比率は30年前に比べてきちんと減ってきているのだろうか。

 思えば学校の体育館ほど避難生活を送る場所として不適切な施設は無いだろう。そこは大勢の人々が避難生活を送るために配慮され、設計されたものでは決してなく、本来は児童生徒らに忍耐と根性を養成する試練の場であり、むしろ積極的に快適さを嫌う空間であったはずだ。そこでは多くの児童生徒が退屈で長いだけの校長訓話をひたすら耐え忍び、季節によっては酷い暑さ寒さにも耐え忍ばねばならない、神聖にして厳格な「鍛錬」の場ではなかったか。どうみても図体がデカイだけのガランとした体育館の空間は暖房にまったくなじまず、ましてクーラーなど、教師たちにとっては想定外、論外…現代的な空調設備などは、ただただ児童生徒を甘やかすだけの、贅沢過ぎた余計な施設であったはずだ。

 冬はかじかむ手を握り締めて寒さを耐え忍びながらの始業式、終業式、卒業式が長時間にわたって繰り返され、夏は酷暑の中で大汗を書きつつ蒸し暑さを耐え忍びながらの終業式、講演会などが繰り返された。もちろん部活動では地獄の特訓が待ち受ける、恐ろしい試練の場であった。まさに戦時中の「皇国民錬成」精神の生き残りそのものだった体育館である。そもそも40人余りがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた狭い教室にさえ、クーラーが本格的に導入され始めてからまだ20年も経ってはいないのが、経済大国日本の公教育の実態だったのだ。経済的繁栄の絶頂を謳歌していたあのバブル期でさえ、日本の公立学校の教室にはクーラーがほとんど存在していなかったことを思い返してほしい。

 災害時に学校に足を踏み入れた避難民は速やかに自身の学校時代の辛かった記憶を取り戻し、しばらくは我慢強く生活を送ろうとするだろう。が、もはや児童生徒たちの従順さと体力を持たない大人たちが長期間耐え続けられるほど、学校の施設は優しくない。元来が兵舎をモデルにした近代の学校施設は、野営よりは多少マシであるものの、今時の、冷暖房完備の御家庭とはまったく違う発想で設計されているのだ。

 日本の学校は決して生活する場ではなく、いまだに鍛錬の場である。そのことを痛感するのが学校での避難生活であったはずだ。この記事は日本の学校がこれまで抱えてきた、古色蒼然とした軍隊由来の発想と避難生活の場としての快適さを求める発想との相克をも伺えて実に興味深い。そして同時に教育予算と防災予算を徹底的にケチり、国民の幸福と安寧、生命を軽視してきたこの国の政治の貧困さをも痛切に思う。

 政府はこのまま有効な対応をサボり続け、連発しかねない南海トラフの大地震や首都圏直下型大地震、富士山の大噴火を漫然と待つつもりなのだろうか。防災、避難、後片付け・・・その多くをいまだに自助努力とボランティアに依存する国家を今後も「災害大国」などと日本が内外に喧伝し、自称していくのはいかがなものか。

 おそらくロシアや中国の侵攻、北朝鮮のミサイルを待つまでも無く、日本は自然災害によって一気に衰退するに違いない。きな臭い国際情勢が続く現在、確かに防衛費の増額も必要だろうが、確実にかつ目前に迫ってきた大災害への備えはさらに緊急性が高いのではあるまいか。他国の侵略で滅ぶ前に自然災害で滅ぶ方が先だとしたら、「災害大国」日本の名がすたるだろう。

 かつては優秀な人材を多数抱えて敗戦からの奇跡的な復興を遂げ、「人材大国」とも呼べるほどに国民の優秀さを誇ってきた日本である。しかし、ここ三十年余りの間にひたすら教育予算と社会保障費をケチり続け、全国に金権政治家、老害政治家を蔓延らせて、いまや酷いレベルまで子供や若者の未来を閉ざしてきた日本の現状を見た時、「人材大国」、「災害大国」と日本を呼ぶよりも「人災大国」と自称すべき時に至っているように思えるのだが、いかがか。少なくとも真剣に国民を守ろうとしない今の政府に税金を差し出す義務など国民にあろうはずがない。

 少子高齢化を含む様々な課題を先送りしてきた政府の責任はもちろん重大だが、主権を持つとされる国民の選択にも問題は多いに違いない。加えてこの問題の責任の一端は住民を欺いて避難設備の充実をさぼり、予算をケチってきたクセに、漫然と避難所を引き受け続けてきた地方自治体と教育行政側にもあるだろう。

 ところで教師たちはいざという時、自分たちの家族を放置したまま、周辺住民の避難生活をどこまでみすぼらしい学校の中で責任を持って支えられるのだろうか…疑問だらけではあるまいか。自宅ならば自己責任で防災用品を十分に整え、非常時に備えることは各自の判断でできる。しかし、いざという時、学校近くに住む教師たちはその自宅を離れてまともな設備や非常食の備えも無い学校に集合させられ、大勢の避難民のためにあくせくと働くのだ。冷たい体育館の床で一体、いつまで寝起きを強いられるのだろう。とりわけ問題とされるトイレや生理用品の件だが、これに関しても学校において何らかの改善や用意が出来ている、などと感じたことは一度も無い。

 こうした貧弱な施設と備えのままで果たして大地震や大噴火後の避難生活に現在の学校は、教師たちは、住民たちはどこまで耐えられるのだろうか。そもそも近隣住民は災害時における学校施設の不備をどこまで知っているのだろうか。実際、学校の現状を知る多くの教師は自分の家屋の安全が確認できさえすれば、本音の部分では家族とともに自宅での避難生活を望んでいるはず。

 こうして災害時の悲惨な避難状況をわずかに想像しただけでも、多くの人は教師にだけはなりたくない、と切に思うのではあるまいか。様々な点で避難施設としての条件を欠いたままの学校の惨状はもっと広く世間に知られるべきであろう。

長野県、自己実現できる「ウェルビーイング実践」70校決定

   リセマム 2024.12.7

   …飯田市では市内すべての小・中学校で小中一貫教育を導入。小・中学生の異学年が一緒に取り組む行事や学習、地域を生かした探究的な学びをつくる特設教科(教育課程特例校制度)を設置する。根羽村(下伊那郡)の公立学校では、小規模ならではの「学びの村づくり」として、時間割を子供たちが決定したり、地域の人が学校の教育に参加したりできる仕組みづくりを計画。栄村(下水内郡)の小・中学校では、制服や運動着、化粧やピアス、染髪などのルールは子供たちが決めるとし、揃える指導はやめ、多様な生き方や学び方を支援していくという。…

   長野県はこうした取り組みの準備期間として2025年度をあて、翌2026年度から本格実施されるという。正直に言って余りのスピード感に驚きと大きな不安を隠せない。ただし改革例として挙げられた取り組み自体は100年余り昔の取り組み(大正新教育運動)で見られたものとほとんど大差は無く、ICT化による個別最適化教育の推進以外に大した新しさはみられない。むしろこうした取り組みが事前にどれほどの計画性と予算を伴っていたのかを私たちは厳しく注視すべきであろう。

 大雑把に振り返れば大正新教育運動は大正デモクラシーの風潮に乗っかって、制度的、組織的、予算的なバックアップ体制を十分には構築できないままスタートしたため、ほぼ実験段階のレベルのままに収束している。計画性に欠けた拙速で無謀な取り組みによる失敗はその推進者が標榜していた人権尊重と民主主義の価値を結果的に貶める役割を果たしてしまい、昭和に入ると国民学校による皇国民錬成教育という恐ろしい反動を招き入れてしまった。どんなにきれいごとを叫んだとしても、それだけではきれいごとが実現するわけではない。わたしたちはこれまでも「教育改革」の名で再三繰り返されてきた、こうした目くらましに騙されてはなるまい。

 学校教育の改革の成否を握るのは法制度の整備や予算面などでのバックアップに加え、改革を推進する歯車となるべき人材の育成の進み具合である。これは教育学の世界では既に一世紀近く前から指摘されてきた。長野県では一体、こうした人材の育成をこれまでどうしてきたのだろう。どうみても人材の育成は一朝一夕にできるものではあるまい。実に怪しい限りである。

 まずは新しい改革の主旨を理解し、それを実践に移せる管理職が改革の先頭に立たなければ話になるまい。管理職の頭の中が「昭和」のままではまさに「ふてほど」そのものであろう。もちろん、一般の教師たちにも改革を推進していけるだけの知識と理解、それに心身の余力がなければなるまい。既に「教育改革」と称する過重労働ですっかりブラック化した学校にそれだけのゆとりが残されているのだろうか。この点でも大いに危惧される。実際問題として、県は児童生徒のウェルビーイングを言う前に、教師のウェルビーイングの方をまずは心配すべきではないか…

 かつての「教育改革」がことごとくそうであったように、長野県の取り組みが教師たちの疲弊を一層募らせ、挙句の果てに無責任な「絵に描いた餅」で終わらぬことを祈るばかりである。

「どういうつもりなのか」同級生から「ばい菌」扱いのいじめ…女子児童は100日

 以上欠席 急きょ「重大事態」認定に不信感 京都市 別児童のいじめでも一転し重大

 事態を認定 毎日放送 によるストーリー 2024.7.24

 2020年から始まっていたイジメを今頃になって教育委員会が重大事態に認定する背景に一体何が考えられるだろう。いじめ防止対策推進法に対する理解の程度が各地の教育現場ではかなりマチマチとなっており、殊に管理職によって大きな差異があることは容易に推察できるだろう。今回の件も担当者が新旧入れ替わったことでようやく表面化してきたと考えられる。

 しかし重大な案件に関しては統一的基準に基づく迅速な対応が求められるはずだ。法の規定に基づかない、現状の属人主義的な対応ぶりにはどうしても大きな危険を感じざるをえない。管理職の世界における年功序列、先輩後輩関係のあり方に深くメスを入れない限り、こうした事はいつでもどこでも起こり続けるだろう。

 とりあえず、今回の件ではこれまで重大事態としての認定を行わなかった当時の管理職、及び京都市教育委員会の担当者への厳しい処罰を下すべきである。たとえ後輩の身であっても、対応を間違っている先輩を厳しく処断できないようでは教育行政への市民の信頼は崩れる一方となるだろう。

この社会はまるで「寄生虫」のよう…いつのまにか「わたし」に侵入して内側から

 変えてしまう「おぞましい実態」現代ビジネス 

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) の意見  2024.5.25

「一回いじめたら、止められない」「何か暴走してしまう」…意外と知らない「い

 じめの構造」現代ビジネス

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) の意見 2024.5.25

 学校が果たしている社会的機能の一つ「社会化」のブラックな側面を寄主に対する寄生虫の不気味な影響力にたとえてみるのはイメージしやすくて効果的だろう。学校のどんなところが寄生虫の影響力と同じような不気味な感染力を持っているのか、生徒たちに問いかけてみたい。少なくとも学校とは「善」なるものと頭から決めつけて思考停止に陥っている生徒たちには刺激的な問いかけになるだろう。

<著者は語る>データの独裁許すな 『ヤバい統計 政府、政治家、世論はなぜ数字に

 騙(だま)されるのか』 統計学者 ジョージナ・スタージさん

 東京新聞 2024.4.28

 統計のウソを見抜くことは難しいが、常に疑ってかかる姿勢は保つべきだろう。特に政府、文科省の統計は怪しい限り。つまり「検定」なるものを通過した教科書や資料集ですら、全面的に信用するのは間違いだろう。授業では年度初めにこの記事を読ませ、統計資料の安易な利用に釘を刺しておきたい。

 とはいえ、政財界によるバイアスのあまりかからない、ごく基本的な統計資料(人口統計など)はきわめて有用なデータであり、こうしたデータをどれだけ授業に生かせていけるかが、教師の腕の見せ所でもあろう。

体罰を訴えた保護者アンケートを破棄して偽造 小学教諭を処分 岩手

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.17

 アンケート調査の危うさはこうしたデータの偽造が絡むと一層厄介である。教師の評価が絡む児童や保護者向けのアンケートを教師自身が分析するのはやはり、やめた方が良いだろう。分析は保護者会や生徒会で行った方がデータの信頼性は高まる。回答者が忖度なしの評価をできるような条件を十分に満たさないアンケートならば行わない方が良い。安易な設計のアンケートは危険なだけで、悪用されかねない。

無意識に行動を操られる「ダークパターン」の危険 「妨害」「こっそり」など知るべき7

 つの悪質手口 東洋経済オンライン 酒井 麻里子 の意見 2024.4

 この知識は児童生徒たちがネット詐欺の被害に遭わないために必要な知識になるだろう。加えてこれまで学校教育で行われてきた「教育」という美名に隠れたある種の「洗脳」を自覚する上で役立つ知識だと思うが、いかがか。

 かつて教育社会学では学校での制服や男女別名簿、教壇などが無意識的に児童生徒に及ぼす影響を検証する研究がP.ウッズ(イギリス)らによって盛んに行われていた。つまり児童生徒を無意識的に一定の方向へとコントロールするある種の政治的目論見、「ダークパターン」の研究があったのだ。

 これはフランスのM.フーコーらの監獄への考察にも通ずるもので、軍隊由来の校舎や制服、体育での整列や行進と軍隊、刑務所との類似性が指摘されていた。たとえば日本ではランドセル、セーラー服、詰襟の制服、「気を付け」の号令と「休め」の姿勢などはいずれも軍隊由来のものであった。明治期に掲げられた「国民皆学」と「国民皆兵」というスローガンは近代的国民国家の形成と「富国強兵」を急ぐ明治政府の民衆に対するある種の洗脳政策といっても過言では無かったはず。

 今、学校教育を通じてどのような「洗脳」が行われているのか、冷静に振り返る視点は教師だけでなく、実際に「洗脳」の被害を被っている児童生徒たちにも「解毒」のために必要となっていると私は考えている。

修学旅行で預かった児童150人の財布、引率教員が無断で中身調べる…西宮市教

   委「不適切だった」 読売新聞 によるストーリー 2024.8.1

   学校にはイジメ事件に関しては生徒のプライバシー保護を盾にして事件の全貌解明を妨害し、隠蔽を図ろうとするクセに、普段は児童生徒のプライバシーの管理をおざなりにして時折、漏洩させてしまったりする残念な傾向があったりする。教師たちの多くはいかにも表向きは児童生徒の人権を尊重するフリをしているが、一部の教師の場合、子どもの人権条約すら一顧だにせず、残念ながら生徒指導を名目にして平気で児童生徒のプライバシーを侵害してくる。

 今回の件は不適切だった…では済まされないだろう。校長自身がこの指導に何ら疑問を抱くことは無かった、というから驚きだ。人権意識が今の今に至っても昭和のままであり、管理職や市教委からしてコンプライアンスの欠片すら存在していない、全くの時代遅れの認識にとどまっている、と批判されてもおかしくはあるまい。

 確かに40年近く前、高校でも修学旅行時、生徒たちの持ち物検査をしていた経験がある。当時はもっぱら酒、タバコ、ウォークマンやラジカセなどのチェックが主だったが、まだまだ校内暴力の余韻が残っていた時代でもあったため、検査すること自体はある程度まで仕方ないだろう、と感じないわけではなかった。事実、遠足の際、バスの後方の座席でお酒を回し飲みしていたグループの存在が発覚したことがあった。当時は中位層の高校でも最悪、ナイフ等の所持だって起こりうる時代であり、一切、持ち物検査をしないで済むような旅行がほぼほぼ無理な状況は確かにあったと思う。

 しかしその当時ですら所持する金額に関して上限を設けていたとしても学校側は一切、本当の所持金を確認してこなかった。生徒の所持金は保護者の所持金と同質のものであり、基本的には生徒及び保護者の判断にゆだねられるべきプライバシーそのものである。生徒にあまりにも多額の所持金がある場合、盗難や紛失の恐れが増し、いざという時、十分な事前指導を行わなかったと学校側の責任が追及されるような事態はもちろん想定しておく必要がある。だからこそ、事前に多額のお金を持参させないよう、保護者にも依頼するし、所持金の上限額も提示するのだ。しかし、その先はやはり保護者と生徒自身の自己責任に委ねるほか、手立てはあるまい。

 生徒たちにはこの件をどう思うのか、なぜこのようなことが学校ではまかり通ってしまうのか、じっくり考えさせたい。

 

・名古屋市教委金品授受問題

徹底追及 名古屋市教育委員会の金品問題 不可解な“名簿とカネ” 学閥で校長

 が…? CBCニュース【CBCテレビ公式】 2024/03/26 7:43

 ここでも寺脇氏の学校現場への無知がさらけ出されている。管理職候補を推薦する名簿の存在は千葉にも古くからあったはず。管理職採用を巡っては学閥や校長会の影響力もかなり大きいのは教師たちにも良く知られたことである。特に愛知教育大出身者が管理職の多くを占める名古屋市の場合には管理職採用試験にしっかりとした公正さがある、と思う方がおかしい。

 寺脇氏のような、学校現場への知識にまったく欠ける人物が文科省の官僚だったわけだから、教育行政が迷走してトンチンカンな政策をとり続けるのも当然であり、文科省の改革抜きで教育改革など完全に不可能なのである。

座長「なれ合い構造あった」 名古屋市教育委の金品授受問題報告書

 毎日新聞 によるストーリー 2024.8.28

 そもそも文科省の官僚だった寺脇氏が座長を務めるような調査検証チームが出す報告書なぞ、一体誰が信用するのだろうか。ただの茶番に過ぎないのは見るまでもなく明らかであろう。チームは「…名簿や金品による人事への影響は否定」したというから呆れる。一体、どんなデータ、資料を根拠にこんな結論が出されたのか…限りなく疑わしい。どうせまともな調査など、行われたわけがあるまい。

 他方で「教員集団の閉鎖的・排他的な仲間意識、なれ合いの構造があった」と厳しく批判したというが、これは明らかに口先だけ。世間を欺くただの茶番であろう。教育行政側のメンバーだった人物を座長とするような、厳格さ、公正さ、第三者性に欠けるこの調査検証チーム自体が市教委側と連携してズブズブの馴れ合いを演じているのは想像に難くない。教職員課長や教育長も務めた前市長の松原武久氏へヒアリングしたというが、こんなもの、岸田首相がオリンピック問題で行ったという森元首相へのヒアリング並みに信用できない。市教委および調査検証チームと馴れ合い、じゃれ合う関係性の中で松原氏が知らぬ存ぜぬを貫くのは極めて容易であっただろう。

教育関係者「闇深い」 名古屋市教委の金品受領問題報告書

 毎日新聞 によるストーリー 2024.8.28

 これ管理職の選考を巡る厳格さ、公正さに欠ける金品授受は教育公務員として見逃せないはずの大きな信用失墜行為であり、関係者の分限問題に関わるべきレベルの深刻さがある。にもかかわらず、調査検証チームの報告書には危機感の欠片も見られない、生ぬるさがある。再調査が必要なのは言を俟たない。

名古屋市教委の金品授受、総額1300万円超に…検証チーム「癒着と映らないか

   との視点が欠落」 読売新聞 によるストーリー 2024.3.30

 文科省の官僚だった寺脇氏が「…推薦名簿がまかり通っていたことも驚きだ」と指摘していることに驚く。文科省にいた人物が「推薦名簿」すら知らぬこと自体、恥ずかしい事だろう。学校現場の事を知ろうとしない人物が平気で官僚を務めている文科省というお役所のオワコンぶりに私はむしろ興冷めしてしまう。文科省がこんなテイタラクだから教育現場での不祥事が絶えないのではあるまいか。官僚たちの学校現場に対する無関心、無知、勉強不足こそが諸悪の根源なのかもしれない。

元校長らへの人事案「内覧」会合費にも支出 名古屋市教委の金品授受

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.29

 金品の授受に関しては公にされると良くない、との認識が関係者の間で共有されていたという。同様の話はかつて名古屋に限らず、全国的にあったはずで、教員に採用されるためには教育委員会の有力者に金品を送るのが必須だった県があるとも聞いている。しかし声高にコンプラが叫ばれている現在、この悪習はとっくの昔に無くなっているものと不覚にも私自身、思っていた。まさに「不適切にもほどがある」ということだ。

 とはいえ数々のイジメ事件隠蔽など、大きな不祥事を繰り返してきたこれまでの学校社会の異様さを思えば、この程度の事があったとしてもさほど驚くほどのことではあるまい。世界や時代の進展に背を向け、百年一日のごとく因循姑息な、馴れ合いだらけの村社会に安住してきた日本の学校教育界である。おそらく同様の風習を続けてきた市町村が他にもあるに違いない。

 実は日本の学校社会全体が政治家の世界に負けず劣らず、とっくの昔に「不適切にもほどがある」状態であったはず。政治家の裏金問題は教育委員会の裏金問題とよく似た構造をはらんでいるのではあるまいか。

 

公教育のモデルつくるつもりが「法令違反」 奈教大付小教員の嘆き

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.5

「文科省の二枚舌」元次官も憤慨、奈良県の教員“総取り替え”騒動で注目「学習指

 導要領は憲法違反?」SmartFLASH によるストーリー 2024.4.4

 前川氏の意見に同感である。20年以上前のことだが、君が代の歌詞を授業で教えていたら県教委のメンバーからそこまで教えなくともよい、との指導を受けてガッカリさせられたことがある。君が代をどのように、どこまで教えるべきなのかといった判断が文科省から明確に示されることなく、たかが教員委員会のメンバー一人の主観で指導を受けたことにも強い反発を覚える。

 そもそも君が代の歌詞を高校の生徒たちがこれまで一人も知らなかったこと自体、本来ならば大問題なはず。学校で歌うことを強制している「国歌」の歌詞と意味を学校ではきちんと教えてはならない、というような、ありえないほどの珍妙な指導がまかり通る教育行政の不思議さに国民はもう少し気付くべきだろう。

 一方で確かに義務教育段階では多少の統制が必要であり、学校や教師の間で教える内容に大差があるのは問題。しかし今回の件では大綱にすぎない学習指導要領があたかも「神の言葉」と敬われた大日本帝国憲法であるかのような仰々しさで金科玉条のごとく奉られている印象を受ける。これは教育界に戦時中の超国家主義的な発想がいまだ生き残っている証拠ではないのか。しかも文科省がズカズカと一学校の校内人事に全面介入するほどの逸脱が本当にこの小学校に存在していたのだろうか…怪しい限りである。仮に大学や文科省の今回の判断が正しいとするならば、かつて私が教えていた高校生たちに小中学校時代、しっかりと君が代の歌詞を教えてこなかった千葉県の小中学校の教師たちの方こそ厳しく処罰されるべきであろう。

 きっと文科省の指導の背景には政府与党の強い指導があったに違いない。だとすれば教育における政治的中立性を守るべき文科省や国立大学がいとも容易に政治的圧力に屈し、教員の半数を転出させるという違法なレベルでの厳しい人事介入を行った…すなわち政治的中立性の順守を謳った憲法や教育基本法を厳守すべき文科省が自らそれに違反するような指導を行った、ないしは黙認したということではないのか。

 やはりこの役所の堕落ぶりは想像を絶している。

「不登校の原因はいじめ=0.2%」という文科省と学校を信用できないワケ

   JBpress 石井 志昂,湯浅 大輝 によるストーリー 2023.8.18

 現場に長くいた人間からすれば、この手の調査結果は全くと言って良いほど信用できないに決まっている。

公立小・中学でのいじめ認知件数 自治体間で最大30倍の格差

 毎日新聞 によるストーリー 2023.6.21

 学校によってはイジメ認知件数がゼロのところもあったという。もちろん現実的に見て「ゼロ」はありえない数字である。といっても別に驚くことはあるまい。市町村によっては学校からの報告に虚偽が含まれるのは当たり前であり、むしろ普通のことではないのか。管理職が自らを不利にするような報告をお上にあげるわけがない、と思うのが教育界の常識。

   全国学力テストの結果がほぼほぼ信用できないのと同様に、学校の上っ面をフワッとなでる程度の安易な手法による報告や調査で学校現場の実態がつかめる、と思う方が今やあまりにも能天気なのだ。

 いや、もとより調査を命じた側も「やってます」感を演出するためだけに嫌々、調査を行なわせているに過ぎないはず。でなければ神戸市のようにイジメ事件の隠蔽が学校や教育委員会の中で執拗に繰り返されるはずがないのである。

   逆に文科省が各教育委員会や学校の牢固な隠蔽体質を知らぬわけがあるまい。所詮は「同じ穴のむじな」、この調査自体が国民を欺くだけの、ただの茶番だと思うべきだろう。

 

   しかし、こうしたアリバイ作りを主な目的とする虚しいだけの仕事だからといって決して侮ってはいけない。学校のブラック化はお上から送り付けてくるアリバイ作りのためだけのような文書の山が生み出している側面もあるからだ。

   教員不足が問題視される以前から指摘されていたのが、学校における管理職希望者の減少であった。実際、傍から見ていても教頭や教務主任の仕事量は異常なほど多く多岐にわたってきている。

 管理職として必要とされる能力はもはや学校教育への深い理解や豊富な経験、授業の力などではなく、膨大な事務仕事を滞りなく表面的にスマートにこなす事務処理能力の高さに特化してきているという印象が強い。

 形骸化した事務仕事の削減は文科省以下、すべての部署に共通した切実な願いとなっているはずだ。そしてこの願いが実現するためには予算と人員の増大が必要不可欠であることは言うまでもなく、しかも予算増の可能性は現政権下、限りなくゼロに近い。こうしたことに由来する先の見えない絶望感こそが現今、多くの教師の心身を追い詰めている最大の元凶なのではあるまいか。

いじめで不登校、学校からの認知報告は卒業後 保護者は再調査求める

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.4

 一体、いつになったらこの手の問題が無くなるのだろうか。この種の問題が執拗に繰り返されている現状こそ、被害者側が学校や教育委員会に期待しているうちは問題解決がほとんど不可能だということを物語ってはいまいか。教師だけではなく、保護者もまた教育行政への過剰な期待を捨てるべきなのではあるまいか。

 

イメージは「しんどそう」だけど…将来の夢を「先生」にしてね 兵庫県教委が高校

   に職員派遣、やりがい語る 

  神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.7.7

 学校のブラック化を主因とする教師不足が深刻化する中で若者の教職離れを食い止めようと各地の教育委員会が躍起になるあまり、恥も外聞もなく教員採用試験のハードルをひたすら下げてしまおうとしている。これは言ってみれば教職の大安売り、たたき売りを全国規模で展開しているようなものであろう。

 

   この状況がどんなに酷く、みっともない話なのか、極端な例だが、分かりやすいので医者で例えてみよう。仮に深刻な医師不足を理由に医師会の判断で医師の免許を持たない人が医師として病院に勤められるようになったとしたらどうだろう。さて、免許を持たない人が今、あなたの目の前で不安げにメスを握っていて、これから震える手であなたの心臓を手術する…患者の立場からすれば身震いするほどおぞましい光景ではないか。

   実際、地方によってはほとんど教師養成教育を受けておらず、免許すら持たない人まで教壇に立たせる動きが出ているのだ。医者ほどの高度な専門性を要求されない教職ではあるが、それでも児童生徒の命を預かり、将来の進路にまで深く関わってしまう仕事ではある。

 

   「国家百年の大計」を委ねられた教師が今や希望すれば誰でもなれてしまう…どう見ても正常な事態とは思えない。しかしうがった見方をすれば現在の教職価値の暴落は軍拡のために教育予算を削減すべく、教師の賃金を低く抑え、待遇をさらに悪化させる口実には利用できるだろう。案外、政府や文科省、県教委の狙いもそこにあるのかもしれない。

   ただし教師に将来を左右されかねない児童生徒の立場から見ればこの新規採用を巡る人事はまさに噴飯物となる。今、教育委員会に蔑ろにされ、心底馬鹿にされているのは現場の教師だけではない。むしろ児童生徒やその保護者側なのである。

 

   しかも教師間のイジメやイジメ自殺事件の隠蔽などの悪質な不祥事が繰り返されてきた兵庫県では「やりがい搾取」の実態を放置してきた張本人の県教委がついに自ら高校へ乗り込み、無反省にも教職の「やりがい」をエサにして生徒たちをブラック職場に勧誘するという詐欺まがいの行為を行っているらしい。

   おそらく彼らからすれば学校というブラック職場は悪意ある第三者が作り出す間違った「イメージ」、すなわちマスコミが作り出した幻想に過ぎないのだ。現在の教師不足は無責任なマスコミが垂れ流した風評のもたらした被害の一つであり、我々はその後始末に追われている可哀そうな被害者…

   しかしもういい加減、騙されてはなるまい。これは有為な青少年の将来を徒に毀損し、人生をブラック化させかねない、まさに教育の名をかたる詐欺的犯罪行為そのものと見るべきなのである。これまで学校というブラック職場で心身を破壊され、命まで奪われた数多くの教師や生徒たち、その遺族の痛みを、実際、彼らはこれまでずぅーっと世間から見えないよう、巧妙に隠蔽してきたのだから。

参考記事

校長、教頭、教職員計78人を懲戒 異例の大量処分…出張旅費の不正受給が横行、服務規程も守られず 

 東京新聞 2024.2.15

 まさに公教育のメルトダウン、末期的症状とはこのような現象をさすのかもしれない。おそらくこれでも今回表沙汰になったのは「氷山の一角」に過ぎないだろう。これは川崎市における市立学校の多くが校長以下、全職員規模で完全にコンプライアンス無視の暴走を常態化させてしまい、どうにも止まらなくなってしまった結果だと思われる。

 ほとんど土砂崩れ状態でいったん足元から地盤ごと滑り出してしまうと、多くの人は踏ん張りが効かず、ひたすら状況に流されるままとなる。ここまで来てしまうと土砂崩れ現場の人間ではもはやどうにもなるまい。

 漫然としているといずれ千葉県でもいくつかの学校がこのような事態を招くのではあるまいか。こうした事件の背景にあるのは全教師レベルに蔓延する打ちのめされそうなほどの無力感だろう。多くの職員に共有される極めて低い自己効力感、組織効力感がついには学校の隅々まで沈滞させ、どんよりとさせてしまっているのではあるまいか。

 一体、何が彼らをここまで駆り立ててしまったのか…教育行政の責任は重大である。末端の職員をどんなに処罰しても事態は悪化するだけかもしれない。そもそも上級責任者が自分の責任を棚に上げて下々を処罰するだけの醜い人事が横行するような組織に明るい未来が来るわけはない。

「傍聴ブロック」なき今、強制わいせつ罪に問われた元校長に判決 被害者の不信を強めた横浜市教委

   のやり方 東京新聞 2024.5.25

 

・学校教育と政治

参考記事

京大総長からの学位記「受領は拒否いたします!」 学生のスピーチがSNSで話題 伝

    えたかったことは withnews 2025.5.31

※参考動画

トランプ政権が圧力 ハーバード大学で卒業式 「政府が何をするかわからず、なす 

    すべもない」日本の留学生ら不安ぬぐえず

    TBS NEWS DIG Powered by JNN  2025/05/30  3:22

【ハーバード問題】日本人教員「大半が大学を支持」分断が加速?入山章栄氏「米

    の反知性主義VS学費4000万円の超エリート」|アベヒル

    ABEMAニュース【公式】 2025/05/26  20:14

    政治と教育との密接な関係性が日本の京都大学とアメリカのハーバード大学での動きを巡って露わとなってきている。学校教育に対して政府が強い影響力を及ぼそうとすることは世界中で見られてきた。今回の件では大学における学問の自由が政府によって脅かされている点で共通しているが、日米では大学の動きが対照的である。ここではトランプへの批判よりも、日本の学校教育が政治や経済にひたすら従属してきこれまでの教育の在り方を根底的に問い直したい。

 

・横浜市教委裁判傍聴動員

形だけでは意味はない いじめ自殺対応で横浜市教委が失った信頼 神奈川 ノートの

   片隅で 産経新聞 2024.9.3

  「市教委が地に落ちた信頼を取り戻すには、子供を守る心からの行動を積み重ねるしかない」との指摘だが、この程度の精神論でイジメ隠蔽体質が改善できるわけは無かろう。教育委員会での人事評価の基準と画一的な管理主義を具体的に見直していく手順を自ら示せない内は何をしてもダメ。

 しかしこの組織に自浄能力を期待するのはもう辞めておこう。それに文科省自体が変わらなければ地方が変われる部分は小さいに違いあるまい。教育行政全体において上意下達の長老支配が終わらない限り、失われた信頼を取り戻すことは無理である。

横浜市教委、5人懲戒処分 裁判傍聴に職員動員問題、いじめ対応巡り

   毎日新聞 によるストーリー 2024.8.24

   横浜市立中2年の女子生徒が2020年、いじめを受けて自殺した件で、横浜市教育委員会が学校に対していじめを認知したことを報告する文書を取り下げるよう指示していたことが判明したという。神戸市でも似たような事件があり、学校以上に教育委員会の隠蔽体質が問われる結果となった。教師たちの中でどういう人物が校長や教頭になっていくのか…世間から疑われても仕方あるまい。

   裁判傍聴への動員問題でも隠蔽体質の根深さが表面化してしまっている。彼らが教員採用を行っているのだから、彼らに採用された横浜市の教師全体の資質にまで疑問が生じてしまいかねない由々しき事態である。この程度の処分で済ませられる問題だとはまったく思えないのだが、いかがか。

被害者側からの要請「明確な記録なし」 横浜市教委、傍聴動員問題で

 朝日新聞デジタル記事 堅島敢太郎 2024年5月22日 21時18分

 教員によるセクハラ等の事件を裁く裁判で大勢の教職員を法廷に送り込み、一般の人々の傍聴を阻止しようとした横浜市教委の件。教委側が保護者の要請によってこうした事態を招いてしまったという言い訳が実は自己保身のためのウソであったという可能性が出てきている。「明確な記録」が残されていないのに、被害者側の要請があった、とする往生際の悪さ…もしもウソという事になれば重大な責任問題に発展するだろうし、前教育長が法廷侮辱罪等で訴えられてもおかしくはあるまい。本来ならばこの時点で横浜市や神奈川県教委は前教育長及び関係職員への厳しい罰則を科すべきではなかろうか。

横浜市教委の「傍聴ブロック」、外部検証チームを立ち上げ 弁護士3人で6月中に対

 応へ 東京新聞 2024.5.27

   どうやら保護者の要請があったことは文書で確認できたそうだが、横浜市として弁護士を3人外部から招き、調査することになったらしい。詳しい調査結果が公表されるのを待ちたい。

監査を重く見ていただきたい」市教委に委員が指弾 横浜市裁判傍聴妨害めぐる監

 査請求 産経新聞 2024.7.5

 鹿児島県警と似たような、身内をかばうための隠蔽の可能性を強く感じる。

わいせつ教員裁判の傍聴動員を決めた前教育長、その後は「安易な前例踏襲や追

 随」で計11回 読売新聞 によるストーリー 2024.7.28

 やはり隠蔽としか思えない。

 

・鹿児島県警内部告発事件

 軍隊や警察と学校とは本質的に似た者同士と昔からよく言われてきた。この事件は学校でのイジメ隠ぺい事件が多発する中で軍隊や警察と学校とが実際に「同じ穴の狢」であることを確認できる格好の事例であろう。授業では学校と軍隊や警察が体質的に似通っている点を生徒たちに考えさせたい。まずこれらの組織が共通して引き起こしてきた隠蔽事件について様々な事例を生徒たちに挙げさせ、その背景にある恐ろしい非人権的な組織的体質を考えさせてはいかがか。

公益通報潰しに報道弾圧…前代未聞の「警察不祥事」、告発文書「返還」求めた鹿

 児島県警からの通話全容弁護士ドットコムニュース  2024.6.17

 …いくらなんでも鹿児島から札幌まで強制捜査に乗り込んでくることはあるまいと高を括っていたが、なにしろ相手は平気で報道機関を家宅捜索して取材の秘密をあっさり侵害してしまう組織。せめて問題の文書だけでも万が一の押収を回避したいと、札幌市内の弁護士に管理を委任することにしたのだった。もちろん、弁護士の名前は県警に伝えていない…という件に戦慄を覚える。鹿児島県警の隠蔽体質と人権軽視の強硬姿勢が露呈してしまっているからだ。

※参考動画

 〇容疑者コメント「本部長でなければ誰でもよかった」名指しの幹部を変えた理由 鹿児島県警情報

  漏えい事件 (24/06/10 19:20) 鹿児島ニュースKTS  2024/06/10 2:41

 ◎鹿児島県警元幹部「闇を暴いてください」元キャリアも指摘する異例さ【サタデーステーション】 

  ANNnewsCH  2024/06/08 10:31

 ◎文書受け取った記者『闇を暴いてください』と 県警本部長が議会で改めて「隠蔽」否定【報道ス

  テーション】(2024年6月11日) ANNnewsCH  2024/06/12 6:34

 ◎「証拠の返還を」鹿児島県警“情報漏えい”内部文書を受け取ったライターが証言 電話やりとりか

  ら浮かぶ捜査の一端【news23】TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/06/12  11:10 

  これが公益通報なのか、情報漏洩、守秘義務違反なのか、今のところ不透明ではあるが、いずれに

  せよ第三者機関がきっちりとした事実確認を行う必要はあるだろう。この件に関して県議会の及び

  腰がほぼ明らかなので議会による追及はまず期待できない。当然、県警の調査は信用できそうもな

  いので、検察が動けるのかどうか…今後の動向を注視したい。

 〇#656 【塩ちゃんねる】鹿児島県警の隠蔽がついに~長くかかりましたが、ようやく始まったばか

  り~ 塩ちゃんねる 2024/06/06 4:41

  国会議員も以前から注目してきた鹿児島県警の隠蔽体質、なかなか根深いものがありそうだ。

 

その3.沖縄戦~学校とマスコミ~

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

皇民化教育の徹底と戦時中の報道統制が生んだ沖縄の悲劇

・戦時中のプロパガンダ

参考記事

戦時下の主婦に行われた「国防の躾」とは…旧日本陸軍が2000万人もの女性に強制し

    た「相互監視網」の恐ろしさ    プレジデントオンライン 一ノ瀬 俊也 2025.10.8

    銃後の女性たちが戦争遂行に果たした役割も見過ごすことは出来ない。

「あめりかに負けるものか」軍国少年の日記…寄贈の92歳「大人の言うまま、本

    心から思っていた」 読売新聞 2025.9.25

 学校教育の負の側面がよく分かる史料。

音楽と戦争の「深いつながり」とは?歴史学者に聞く 上田誠二・日本女子大准教授

 #戦争の記憶47NEWS 2025.8.21

 NHKの朝ドラ「エール」(2020)でも話題に挙げられた音楽界における戦争責任の問題。他には見聞することの難しい貴重な記事である。

【戦後80年】NHKスペシャルで話題に本誌が報じた昭和16年「総力戦研究所」が 

 予言していた「日本必敗」の道筋 SmartFLASH 2025.8.19

 ここでポイントとなるのは政府首脳が日米開戦によって間違いなく日本は敗戦の結末を迎える、という予測を様々な統計的データに基づいてこれでもかと突きつけられていたこと。にもかかわらず彼らが日米開戦を決した理由であろう。

 緒戦におけるドイツの快進撃に酔いしれ、「バスに乗り遅れるな」という合言葉に閣僚たちはまんまと乗せられてしまったのだろうか。だとしたら国際情勢への彼らの読みが甘過ぎたというほかあるまい。あるいは接戦となった日露戦争の奇跡的勝利の記憶が閣僚たちの判断を歪めさせてしまったのか。はたまた最優先していた国体護持のためには日中戦争の継続が不可避だったからか。それとも米英への激しい敵愾心を執拗に植え付け、日米開戦やむ無しと国民に思わせんとする洗脳策の効果が余りにも絶大であったため、戦争回避という選択肢の可能性を政府みずから潰してしまっていたからか。

 生徒たちにできるだけ多くの要因を考えさせたい。

参考動画

連勝に国民熱狂も…“国策映像”の裏に隠された敗北 映像は戦争をどう伝えた【報

    道ステーション】 ANNnewsCH 2025/08/15 9:17

    軍部が国威高揚のために様々な報道規制を行い、国民を騙し続けた動きが簡略に示されていて分かりやすい。まずは「日本ニュース」の果たした役割を整理させたい。

“破竹の快進撃”隠ぺい・捏造…なぜウソは膨れ上がったのか 映像は戦争をどう伝

    えた【報道ステーション】(ANNnewsCH 2025/08/16 17:42

    やや突っ込みが甘いが、最低限の事は触れている。ただしこの動画だけでは役に立たないだろう。上の動画を補足するために一部、視聴させたい。

戦渦の「学校日誌」奪われた日常…80年前の現実【バンキシャ!】

    日テレNEWS NNN  2025.8.3 9:28

    学校の兵営化、軍事工場化が米軍機の襲来を招き、多くの教職員や児童生徒の命を奪うことにつながった。軍事教練の導入も学校の軍隊化に一役買っていただろう。

 学校日誌には毎日、御真影に関して「御安泰」などとその安否を記す箇所が設けられていた点も興味深い。小磯内閣の打ち出した本土決戦作戦は、当然のことながら児童生徒をも戦争に巻き込む狂気の作戦であり、この狂気の作戦を現実のものとした国民の精神的な基盤には「一億火の玉」といったマスコミが流すスローガンや国民学校での錬成教育があったに違いない。国体護持のためにはすべてを犠牲にする覚悟が国民全体に刷り込まれていたのである。天皇制の罪深さを思わずにはいられない。

太平洋戦争末期に兵士不足により招集された14歳以上の少年兵「鉄血勤皇隊」の実

    態とは? 春日陽のレトロ近現代史 2025/04/09  25:44

 やや視聴時間は長くなるが、生徒たちと同じような年代の少年たちが過酷な戦場に動員され、多くの犠牲が生じていたことは知っておきたい。少年たちの戦地動員の背景に何があったのか、要領よくまとめられている。沖縄戦学習の導入部で視聴させておきたい。

戦中の日本に張り出されていたプロパガンダ・ポスターには何が書かれてのか?  

    春日陽のレトロ近現代史 2025/03/22  24:18

戦時中のトンデモないスローガン・国策標語9選

    春日陽のレトロ近現代史 2024/06/15  25:22

 以上の二つの動画は必ずしも授業で視聴できなくとも興味深い内容が多く含まれており、資料として十分に活用できる。戦時中の代表的なスローガン、プロパガンダを知るにはうってつけの動画。ただしナレーションなどに読み間違いなどが目立つので事前のチェックは欠かせない。

【終戦企画】戦時下の戦争アニメ映画

 小林彩のほんのり昭和回顧  2024/08/10 19:35

 やや視聴時間が長くなるが、戦時中のマスコミ、学校の果たした役割をつかみ易いだろう。ぜひ授業で利用したい。

こうして権力者は戦争を始める【プロパガンダの法則】

    原貫太・フリーランス国際協力師 2024/11/02  16:51

いま戦争が始まったら、あなたはどう「心理操作」されるのか?【プロパガンダの

    法則】 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/11/05  17:02

    ここで示されている戦争を始めるための四つのプロパガンダは他の戦争プロパガンダに関する動画の内容と結び付けて生徒たちに考察させてみたい。特に戦争プロパガンダにおいてマスコミだけではなく、学校が果たす大きな役割にも注目させたい。

戦時中の少年少女倶楽部【雑誌の昭和史】

  小林彩のほんのり昭和回顧 2025/03/19 19:41

 戦時色の強いイラストは資料として印刷し、授業で配布しても良いだろう。

【終戦企画】戦時中のプロパガンダソング【歌謡の昭和史】

 伊東彩のほんのり昭和回顧 2024/08/15 20:07

 3曲、紹介されているが、授業では2曲目の「爆弾位は手で受けよ」だけ視聴してみたい。この曲だけなら解説が4:25~7:20、曲が13:25~16:20で視聴時間は計6分弱となり、授業中に利用しやすい。

【終戦企画】昭和20年の戦争映画【映画の昭和史】

    伊東彩のほんのり昭和回顧2024/08/09 21:20

昭和19年の日本の戦争映画【映画の昭和史】

    伊東彩のほんのり昭和回顧 2025/02/21 25:57

 伊東氏の動画はいずれもバランスのとれた解説であり、授業において安心して視聴できるものだと感じている。やや視聴時間が長いが、アメリカの映画なども紹介していて大いに参考となるだろう。

 

・ウクライナ戦争から見えてくる戦争の実際

ウクライナのロシア領侵攻をどう思う?

 ロシア人にインタビューしてみた 2024/08/21  5:43

 短いが非常に興味深く、刺激的なインタビューであり、ぜひ授業で視聴させたい。ここから日本人である私たちはどんな教訓をくみ取れるのか、問うてみよう。

【これまでの反政府運動と違う】プーチン政権を公然と批判する動員兵の妻たち”プ

 ーチ・ダモイ”に広がる共感 ロシア当局が彼女たちを弾圧しない理由とは

 【クロ現】| NHK   2024/04/15 10:08

 戦争を続けようとする国家を動かすために国民は何ができるのか、独裁者は戦争中、どうふるまうのか、など考える上でヒントとなる動画だろう。

ナワリヌイの死 ロシア人にインタビューしてみた  2024/02/19  4:22

反プーチン急先鋒…ナワリヌイ氏“謎の獄中死” 専門家が読み解く「3つの可能

   性」【スーパーJチャンネル】ANNnewsCH  2024/02/19 5:01

 上の二つの動画を視聴させてロシアでの政治についてどう思うか、日本の戦前との比較(小林多喜二の拷問死)や日本のマスコミの現状も念頭に置きたい。

反対派の「不審死・牢獄入り」をロシア人はどう思う?

 ロシア人にインタビューしてみた 2022/09/20 6:34

ロシアは、敗けますか?

 ロシア人にインタビューしてみた 1420 2023.6.11 6:14

9人目のロシア実業家の不審死が確認された直後のインタビュー。ナワリヌイ氏、

 ムラトフ氏への襲撃も噂されるが、ロシア人の反応とは。2022年8月29日頃撮影

 非常に刺激的なインタビュー。質問する側も答える側も命懸けの緊迫感が伝わって

 くる貴重な動画。国家による言論弾圧がロシアでは一層強まっている。日本は今、

 国民の知る権利が十分保障されているのか、きちんと点検すべきである。キナ臭く

 なってきた現在だからこそ、是非視聴させたい動画。

【制能権】あなたの意見って何だ?自由意思はある?脳をハックするハイブリット

 戦争と情報社会 2022/05/19 

 ABEMA 変わる報道番組#アベプラ【公式】34:26

 「智能化戦争」を仕掛けてくる中国への脅威が増してきた現在、「制脳権」という言葉が脚光を浴びてきている事の重大さに気付きたい。「洗脳」に弱い国民性を持つと考えられる日本国民にとってきちんと正対すべきテーマであろう。敗戦によって「マインドウォーズ」の恐怖を痛感したはずの日本人が戦後、どれだけその事を反省できているのかが、未だに問われている。SNSの普及にともなって生まれてきた「エコーチェンバー」「フィルターバブル」という新規な言葉の現代的意義に注目したい。視聴時間が長いので幾つかに区切りながら、その都度、丁寧に議論していく必要があるが、極めて重要な番組。

【ベストセラー】「テレビは見るな! 新聞は取るな! (日本の真相!) 」を世界一わか

 りやすく要約してみた【本要約】 2022/05/11 本要約チャンネル 33:50

 この本自体がただのデマなのか、直ちに確認すべきであろう。

戦争はマスメディアが作り出す!?人々を洗脳する「戦争広告代理店」とは

 原貫太国際協力師 2021/04/21 16:36

【知らないとダマされる】なぜ大衆は戦争に煽られてしまうのか?(前半)

 2022/03/25 原貫太・フリーランス国際協力師 13:28

戦争で「広告代理店」が儲かるのはなぜ?【情報操作の闇】

 2022/04/09 原貫太・フリーランス国際協力師 17:13

ウクライナ危機で大儲けする「軍需企業」とは!?

 2022/04/22 原貫太・フリーランス国際協力師 16:15

【メディアの黒歴史】戦争反対を訴えていた新聞が180度方針を変えた話

 2022/04/15 原貫太・フリーランス国際協力師 14:36

メディアが「戦争の真実」を伝えられない本当の理由

 2022/04/06 原貫太・フリーランス国際協力師 14:42

【先進国最下位】日本の「報道の自由度」が低い3つの理由

 2022/02/05 原貫太・フリーランス国際協力師 13:30

元CIA諜報員がプーチン氏の心を読む(2022年5月7日)

 2022/05/07 ANNnewsCH 11:39

 侵略戦争を行う国家のあり方についてはウクライナ侵攻を強行したプーチン政権を

 具体例にして理解できるだろう。習近平政権と類似した洗脳政策は中国による台湾

 侵攻、尖閣諸島占領が現実に起こりうることを示唆しているかも。

【賛成420票vs反対1票】たった一人で「戦争反対」を唱えた女性議員の物語 

 2022/04/21 原貫太・フリーランス国際協力師 13:24

知って欲しい、教科書で“いま”何が起きているのかを/映画『教育と愛国』予告編

 2022/03/22 moviecollectionjp 2:16

映画「教育と愛国」が示すもの 「政治の道具」迫る危機 ディレクター・斉加尚

 代さん 2022/04/13 毎日新聞 5:44

【白井聡 ニッポンの正体】~映画 「教育と愛国」 から考える~ 歴史を私物化す

 る愛国者 2022/04/15 デモクラシータイムス. 1:27:00

 

参考記事

ロシアで「過激派」情報をネット検索しただけで…最大9300円の罰金、プーチ

    ン氏が法案署名 読売新聞 2025.8.1

佐藤優「ニッポン有事!」国家総動員体制の日本に似たプーチン大統領「教育と国

   益」論 アサ芸biz  2025.2.9

   ロシアの現状だけではなく、変な愛国論がまかり通る日本のネット社会も考え合わせると、戦時中の皇国民教育をただの過ぎ去った出来事として忘却してはいけない、現代日本への警鐘となっている点にぜひ注目したい。

「この8年間プーチンは国民を洗脳してきた」...政府系メディアに乱入した女性が

 捜査官相手に吐いた反戦抗議の「納得の理由」 現代ビジネス

 マリーナ・オフシャンニコワ によるストーリー  2024.5.10

「ウクライナ侵攻は住民保護」ロシアが刷新した「歴史教科書」に書かれた問題部

 分 アサ芸biz の意見 2023.8.15

ロシア、統一教科書で侵攻正当化 歴史教育見直し進める

 共同通信社  2023.5.15

 この記事は討論のネタに使えるだろう。突っ込みどころ満載で利用価値は高い。特にプ-チン発言のどこに突っ込みを入れるか、まず問うてみたい。また中国のネット上でのコメントも突っ込み材料豊富。国定教科書の怖さと検定教科書の危うさを知っておきたい。他方で戦争に関する日本の教科書の記述がどこまで信用できるのか、生徒にアンケートをとってみたい。

プーチン氏「日本人は教科書に真実を書かない」=中国ネット「ユーモアある」

 「そもそも教科書には…」 Record China 2022/10/31 21:46

参考動画

幼い子どもが軍服姿で「奉仕できます!」ロシアで加速する“軍国教育” 高校生の

 軍事訓練映像を独自入手【戦争と子どもたち】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/08/12  9:39

 上の参考記事と併せて学校と戦争との関係を考えさせたい。ロシアでの軍国教育を例とすれば、比較的、意見が出やすく、導入にうってつけの動画。かつての国民学校での教育と非常によく似ており、この動画から日本の学校教育の問題へとつなげていく展開がオススメ。

戦死者数わかってますか? ロシア人にきいてみた。

 ロシア人にインタビューしてみた 2022.10.1 9:19

今でもTVを信じてる? 若いロシア人にきいてみた。

 2022/10/16 ロシア人にインタビューしてみた 17:09

ロシアが負ける時、どうなりますか? ロシア人にインタビューしてみた 

 2022.10.21 11:01

 戦争中の政府による報道統制が国民の認識を歪めてしまう現象は古今東西を問わず、どの国でも起こりうる危険な現象。知る権利、報道の自由が今の日本ではどれだけ保障されているのか、しっかりと調べさせた上で考えていきたい。いきなり日本を素材にすると反発も予想されるテーマなので比較的、意見を言いやすいウクライナ戦争は討論の素材としてはタイムリーであり、ぜひ授業で使ってみたい素材の一つ。

NHK | ロシア少数民族が集中的に動員され戦死者も 動員はジェノサイドだ

 ーチン大統領の狙いは? 少数民族ブリヤート人の苦悩| BSキャッチ 世界のトップ

 ニュース 2022/10/13 NHK 10:21

これからも、政治に無関心でいますか? ロシア人にきいてみた。

 ロシア人にインタビューしてみた 1420 2022.11.10 6:54

プーチンどう? 顔、声を隠してきく。ロシア人にインタビューしてみた 1420   2023/03/05  MOSCOW 撮影1月と2月 17:30

 匿名を条件にするとプーチンに対してかなり批判的な意見が表出してくる。

参考記事

ロシア国民はなぜ今も“間違いを犯した自国”を支持するのか。「国民感情」の国際

 比較から考える mi-mollet 加谷 珪一 の意見  2023.7.15

 重要な観点からの指摘。ただし日本の場合も教育や報道の自由度が極めて低い点に大きな問題があるだろう。対岸の火事、と悠長に構えている場合ではあるまい。

中村逸郎氏が警鐘 広島G7開催のタイミングでロシアが核攻撃の可能性

 東スポWEB の意見 2023.5.7

米小学校乱射を否定し巨額賠償命じられた陰謀論司会者、自己破産申請

 BBC News 2022.12.3

 陰謀論をまき散らしたトランプ政権下での出来事である。陰謀論の拡大は戦前の日本でも「満蒙は日本の生命線」などと言った危機感を煽るスローガンによって生じていた。近年ではウクライナ戦争でもこの手の陰謀論はネット上で種々観察できよう。ネット社会の進展もあって大統領や国家が平気で陰謀論をばらまく時代が来ている。瞬時に大量の情報が飛び交う中で信頼できる情報源を探すのは極めて難しい。確実に言えることは「情報の信頼性を確認できるまでは結論を急がない」事であろうか。多様な意見にじっくりと耳を傾けつつ、粘り強く自分なりに信頼できるデータを積み上げていき、データに裏付けされた意見を自らの力で構築していく…そうした姿勢を幾度もの討論を通じて繰り返し養っていくことが求められているようだ。

「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落

 とされている“問題の本質” 文春オンラインプチ鹿島 によるストーリー 2023.4.4

堕落した大新聞ついに自ら“言論統制”の自殺行為 朝日新聞が社員の書籍出版を「不

 許可」日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.6.5

朝日新聞に著書“出版禁止”を出された社員が語る「新聞社の言論規制」調査で明ら

 かになった「臆病になる新聞」 SmartFLASH によるストーリー 2023.7.4

 

・少国民錬成教育の実際

日本軍が真剣に考えた愚策「松の油を戦闘機や戦車の燃料にする計画」を小学生た

 ちも手伝った 現代ビジネス 若尾 淳子 2025.8.20

 …戦前、日本は「神の国」でしたから神である歴代天皇の系譜を小3のときに暗記させられました。朝礼では毎朝、軍人勅諭の朗読があり「戦陣訓5ヵ条」というのを全校で暗誦しました。「軍人は礼儀を正しくすべし」「軍人は武勇を尊ぶべし」……「軍人は質素を常とすべし」だったかな。もちろん教育勅語も暗誦させられました。

 そのころ校庭には”奉安殿“という小さなお宮みたいなものがありました。当時はどこの学校にもあったのではないですかね。中には天皇皇后陛下(明治天皇と昭憲皇太后、大正天皇と貞明皇后、昭和天皇と香淳皇后)のお写真や教育勅語が納められていて、登校時や近くを通るときは、必ず最敬礼するのが決まり。奉安殿の横には二宮尊徳の像もありましたね。…

 貴重な証言だろう。学校教育が抱えている重大な戦争責任が、こうしたことからも少しは伺えるはず。

「死ぬための教育は、教育のまさに逆転現象」子どもたちを支配した軍国主義は教

 室だけでなく少年向け雑誌にまで【報道特集】

 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.8.17

参考動画

“故郷を護るため”ゲリラ戦を強いられた沖縄の少年たち 戦後PTSDになり…閉じ込

    められた2畳の座敷牢【報道特集】

    TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/08/15  27:50

 少国民教育の実態を理解できる動画は数が極めて少ない中で、沖縄戦も視野に入れたこの動画は非常に貴重であろう。今の教師たちにもまだ学校の戦争責任を問い続けていく必要があるに違いない。とりわけ現在の日本の学校教育にはびこる行き過ぎた集団主義の恐ろしさはもっと強調されるべきだと思うが、いかがか。

初めて日本の電車に乗って北朝鮮の女性たちが衝撃を受けました...! 毎回止まる

   し、遅れたのに全く違う... IKITERU【イキテル】  2024/11/27  14:27

   ロシアだけではなく、北朝鮮でも国家による洗脳策が行われている。では日本の学校教育は大丈夫なのか、問い返したい。

反日教育について北朝鮮の友達から本音を聞いて泣いてしまいました...教わったこ

   とと全く違う日本 IKITERU【イキテル】 2024/11/29  24:56

   やや視聴時間は長いが、ぜひ生徒たちに視聴させたいイチオシの動画。国家が強制する学校教育の悪しき影響力を思い知ることは絶対に必要である。戦後の北朝鮮出身者の動きや拉致事件など、解説が必要なポイントが幾つかあるので視聴する前に解説文をプリントし、配布しておきたい。

長井暁×神保哲生:権力からの圧力で番組内容が歪められてしまうNHKのままでは

 いけない videonewscom  2023/07/22 1:02:02

 NHKが安倍政治による人事介入によって公共放送としての役割を果たすことが瞬く間に難しくなってきた経緯が分かる。マスメディアへの政治介入とマスメディア側の政府への忖度体質がしっかりと根付いてしまった日本の現状は異常であり、検定教科書制度含め、国民の知る権利への侵害(→「教育と愛国」)がどれだけ深刻なのか、まず知らなければなるまい。

山田健太×宮台真司×神保哲生:どうするNHK。これからも公共放送を続けたいの

 なら統治体制を根本から変えるしかない【ダイジェスト】

 videonewscom 2023/07/22  7:33

 授業で視聴するには中途半端な内容だが、フルバージョンの方を教師が予め整理しておき、足りない分を板書なり、プリント資料で補うならばOK。NHKの放送内容に政府が介入するという放送法違反が堂々と行われてきた事は重大であり、決して看過できない状況が続いていることに注目したい。

【高市早苗氏と総務省文書①】放送法の“政治的公平”を巡る問題…どんな文書が流

 出したのか?中田敦彦のYouTube大学 -  2023/03/28 29:49

【高市早苗氏と総務省文書②】流出した文書を徹底解説!テレビが政治にコントロ

 ールされやすいのはなぜか?中田敦彦のYouTube大学  2023/03/29 33:42

 安倍政治と日本の放送業界が抱えていた問題点(クロスオーナーシップ制、NHK会長の人選方法…)に対する理解は必要だろう。

 ※なお「アベノマスク」を巡る訴訟によって政府の隠蔽体質の根深さと業者によって2倍を超える不自

  然な単価が設定されていた事が判明(→アベノマスクの契約単価、調達業者によって2倍超の差 国

  敗訴で開示朝日新聞社 によるストーリー 2023.4.8)。国民の知る権利がしっかりと保障されて

  いなければ民主主義は機能不全になる虞があるだろう。

オリヴァー・ストーン製作総指揮!映画『すべての政府は嘘をつく』予告編

 2017/02/17 シネマトゥデイ 2:49

監視技術、米が日本に供与 スノーデン元職員が単独会見

 2017/06/01 KyodoNews 4:06

 ◎の二つの動画は質問を挟みながらも是非、連続して視聴させたい。戦争を巡っては何が真実かを私たちが知ることはほぼ絶望的であるという、恐ろしい現実とまず向き合うことから沖縄戦についても議論を始めるべきであろう。謙虚さを欠く、扇動的で断定的言論の多くは信用できない、と心すべきである。

【太平洋戦争】大本営よりサイパン玉砕の発表 直後の日本の様子【字幕付き】

   Tの宝探し冒険記  2024/08/09 7:28

 非常に貴重な動画であり、ぜひ視聴させたい。太平洋戦争での重大局面だったサイパン陥落直後の状況をうかがい知ることができるだろう。特に国民学校の場面では厳しい国家統制下での「やらせ」的情報操作、洗脳策が露骨に観察できる。学校とマスコミの戦時における役割について時間をかけて議論させたい。

【戦争報道】国民も加担?誰が主導したのか?日本には無責任がまん延?戦後より

   戦前にヒント?辻田真佐憲と考える|アベプラ

   ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/08/22  16:32

 特定個人の犯人捜しではなく、日本社会の制度や構造への眼差しがポイントになるだろう。天皇制という特殊な体制がもたらした負の側面としての集団的指導体制が抱える無責任体質と村社会的相互監視システム、マスコミや学校教育…無謀な戦争を生み出した要素は数多く、複雑に絡み合って存在している。ただカッパはそうした負の側面を持つ戦前の体制、体質が一部、戦後も延命している点を問題視したい。それが戦後日本を戦前の日本に後戻りさせかねない危険因子だという点を授業では強調すべきではないか。いかがだろう。

【1940アーカイブス】戦後抹消命じられた「戦争ごっこ」 80年前の映像記

   録 朝日新聞デジタル  2019/05/05 1:34

   戦時中に流行った戦争ごっこは日本の敗戦後、なぜか一時期だけ復活している。それはいつのことで、なぜ、その時流行したのだろう?

沖縄戦•戦時前の舞台裏: 戦争支援組織の誕生と戦場に直結した暮らしはどのような

   ものだったのか? OKINAWA a la carte  2023/09/20  7:06

 貴重な写真を通じて民衆視点から戦時体制を概観できる。授業では必見の動画。特に戦時中における学校での様子がよく分かるだろう。

元学徒兵が語る 戦争前夜への危機感(沖縄テレビ)2023/6/19

 OTV沖縄テレビ  2023/06/22 7:11

 戦時中の報道統制と軍国主義的教育の危険性がよく分かる。

不都合な真実隠した歴史 沖縄戦に突き進んだ背景に迫る企画展

 沖縄テレビ によるストーリー 2023.6.9 1:03

【沖縄戦本島米軍上陸】米軍が沖縄本島に上陸して2日後にチビチリガマ(読谷

 村のガマ)で凄惨な出来事が起こりました。

 阿波根あずさの沖縄観光チャンネル  2021/10/23  18:35

揺らぐ① やんばるの戦争 民間人殺害の背景

 【琉球放送】RBC NEWS  2023/06/19 7:46

【ドキュメンタリー】「沖縄戦の縮図」といわれる伊江島~知られざる悲しい記憶

 ~令和こそ平和の時代に…日刊ゲンダイ 2019/05/01

 伊江島民泊を予定する学校では必見。沖縄で最も死亡率の高かった激戦地が実は伊江島であったことを知るべきだろう。

ドキュメンタリー 今も続く沖縄戦の傷「晩発性PTSD」QABドキュメンタリー

 扉2014 2014/03/02 

 全部で46分近くを要する。11分10秒までの視聴で可だが、教師としてはぜひすべて視聴しておきたい。

[クロ現+] 戦場のトラウマで精神疾患に 戦後も続く元兵士や家族の苦しみ |

  NHK 2021/09/24 

 5分に短縮されており、授業で利用しやすい。

[目撃!にっぽん] ずっと父が嫌いだった 家族が向き合う戦争の傷痕 | NHK 

 2022/01/25 6:35 

 戦争が心に残した傷跡は家族すら理解できない。

年間6500人自殺者も...米軍が抱える"深い闇"

 NEWS23 2012/02/19 6:06 

 戦争を繰り返してきたアメリカの闇を感じておきたい。

【平和教育】戦争の悲惨さどう伝える?原爆や沖縄戦ばかりで良い?「はだしのゲ

 ン」削除を考える|ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/02/23  16:45

【戦後76年】被爆者なき時代を見据え「実物展示」に転換 広島・原爆資料館【報

 道ランナー】関西テレビNEWS   2021/10/01  13:55

 こだわるべきは実物展示そのものではあるまい。「展示物」が何を物語るのか、そこにどんなストーリーが隠されているのか、今、読み取れることは何なのか…物との対話力こそ、問われているはず。見る側の想像力を多様に刺激する展示の仕掛けをどう工夫していくかは、技術的な進歩や人々の価値観の変化にも左右されるだろう。資料館に「完成形」などあろうはずがない。ひめゆり平和祈念館にも通じる、新たな展示のあり方を常に模索する姿勢が大切だと思うが。

昔話】さるかに合戦&桃太郎にもコンプラの波?ストーリーもオチも全然違う? 

 ひろゆきと考える ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2023/02/19  19:54

 伝承は時代や地域の在り方とともに変わっていくものであり、現在の価値観が反映されていく事自体は問題ではない。とはいえ「はだしのゲン」の教材からの削除はまた別の問題をはらんでいるかもしれない。この作品を通じて色濃く漂っている作者の鋭い天皇制批判、戦争責任への執拗な追及の姿勢が教育行政側からは早くから問題視されてきた。実際、30年以上前のことであるが、中沢氏の講演が千葉県教委の指導で取りやめになっている。ついに広島県でもそういう時代になってしまったのか…

・チビチリガマとシムクガマ(読谷村)の明暗

戦世から80年 チビチリガマ 真実明らかにした調査(沖縄テレビ)

 2025/4/04 沖縄ニュースOTV 2025/04/10 14:57

 読谷の住民の間でタブーとされていたチビチリガマの集団自決(集団死)を戦後38年にして掘り起こした下嶋氏の取り組みに感謝したい。戦前、戦時中の学校教育こそが最大の加害者であった、という沖縄の人々の思いを今のヤマトンチュはどこまで汲み取ることが出来るのか、ぜひ、考えておきたい。

 なお、動画内で登場した知花昌一氏は1987年10月26日、読谷平和の森球場において開催された第42回国民体育大会のソフトボール競技会の開会式で、掲揚台から日の丸を引き下ろし焼き捨てたことで有名。1995年の控訴審判決において、建造物侵入罪・器物損壊罪・威力業務妨害罪により懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定している。このことの是非についても議論させたい。

 戦前、戦時中の学校教育には「生きて虜囚の辱めを受けず」とする東條英機の戦陣訓や「鬼畜米英」をスローガンとする欧米への敵愾心の醸成など、集団自決に強く結び付く内容があったことは厳然たる事実。ならば戦後、日本の学校教育はどう変われたのか、変われなかった事とは何か、冷静に振り返ることが必要であろう。

戦後70年の地平から「2つのガマから見えるものは」
 RBC 2015/05/04 6:41

 チビチリガマとシムクガマの運命を分けたものとは何だったのか?ウソをつき続けた当時の戦争指導者や学校とマスコミの責任は重い。
【戦争を知る】集団自決・運命を分けた2つのガマ ~日テレ戦争アーカイブス~ 
 2021/08/13 11:42

 沖縄戦の悲劇として知られるチビチリガマ(読谷村)での集団自決(1945年4月)は親が子を殺すという、凄惨なものだった。村人の総人口194名のうち139名がガマに入ったが、自決者数は83名(85人とする場合あり)、死亡率は60%に上り、その過半数が子どもであった。サイパン島陥落の際(1944年6~7月)にも、投降を嫌って断崖から多くの人々(1万人余)が投身自殺していた。しかしチビチリガマ近くのシムクガマではハワイ帰りの住民が必死に住民を説得し、米兵と交渉したお蔭で1000人近くの村人が全員米軍に投降して生きながらえることが出来ている。

 ※参考記事

  ◎沖縄戦、新版教科書は集団自決の日本軍関与触れず 市民団体調査

   毎日新聞 によるストーリー 2023.6.22

 

 

⑲北欧の教育と日本

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・「小学校 それは小さな社会」が持つ盲点

「集団行動が全て」給食・掃除当番が生み出す、規律重視の日本型教育。世界

   今、必要とするワケとは?【山崎エマ・蓑手章吾/加藤浩次】2Sides

   NewsPicks /ニューズピックス  2025/03/11 16:10

「不登校になるのは学校のせい?」自主性を育むオルタナティブ教育とは?公立の

   特別活動の意義について議論【山崎エマ・蓑手章吾/加藤浩次】2Sides

   NewsPicks /ニューズピックス  2025/03/17  14:01

Instruments of a Beating Heart | An Oscar-Nominated Op-Doc

   The New York Times  2024/11/24 23:23

【ノンストップ!サミット】アカデミー賞ノミネート監督生出演!日本の小学校教

 育「ココがスゴイ」フジテレビドキュメンタリー  2025/03/14 34:38

【日本の小学校の映画が世界で大反響】ドキュメンタリー監督・山崎エマ/公立小

   学校が「日本をつくる」/“個性重視”教育の北欧が日本の小学校を再評価したワケ

  【CROSS DIG 1on1】

   TBS CROSS DIG with Bloomberg  2025/02/04 28:05

【異例の快挙】小学校 それは小さな社会〈監督〉山崎エマ/日本人は小学校で作ら

   れる?/フィンランドで大ヒット!日本でも口コミ拡大

    IMAGINE イマジン大学 2025/02/04 34:30

 山崎氏が様々な動画内で繰り返し指摘してきた小学校での学級会における合意形成の訓練は、本当に民主主義的な意義を持つ合意形成だったのか…それは蓑手氏が暗に示唆した通り、極めて疑問というほかあるまい。中学校や高校のホームルームでの実態を見れば明らかである。生徒たちの多くが今も何かを決める際、合意形成の作法を全くと言って良いほどに身についていないことを随所で露呈させているではないか。たとえば多くの高校でクラスの文化祭の出し物を決める際、生徒たちに任せておくと多数決という最悪の方法に頼るケースが圧倒的になってしまう。そうした現実が義務教育段階における児童生徒の合意形成の訓練の欠如をむしろ雄弁に物語っていると私は感じてきたのだが、いかがだろう。

  ※この辺りは工藤勇一氏の安易な多数決を否定した民主主義を巡る議論を参照していただきたい。こ

  れは工藤氏が自主性(空気を読み、忖度して相手の期待に応えることも自主性に入る)と主体性

  (自主性と異なり、自分で考え、判断することを最優先する)との根本的な違いを強調しているこ

  とと深いつながりがあるだろう。

   また山崎氏のドキュメンタリーには学校行事や給食、清掃に重点を置く一方で、授業風景が意図的に多くカットされている点にも疑問がある。日本の小学校における一斉講義形式中心の授業の問題点が個別最適化からは程遠く、無視できないほどに低劣なレベルであるとすれば、授業をカットした点は日本の学校教育のリアルな姿を伝えるドキュメンタリーとしてかなり片手落ちと言えるだろう。とりわけ蓑手氏の様に不登校に注目しているフリースクールの立場からは、日本の小学校教育の良さを再評価することに重点を置くような映像の切り取りに強い警戒心を抱くのは当然であろう。

 他方で山崎氏が日本の教育の欠点ばかりを上げ連ねて欧米の教育を持ち上げる風潮に警鐘を鳴らしたい気持ちも分からなくはない。当たり前のことではあるが、日本の学校教育には清掃や給食当番など、大きな社会的意義があり、かつユニークな取り組みが数多くある。日本人の規律正しさ、きれい好きといった長所の多くは学校教育に由来する側面もかなり大きいに違いない。それらを犠牲にしてまで日本が欧米の教育を見習う必要はもちろん無い。

 ただし蓑手氏が指摘したように、日本の児童生徒の幸福度、自己肯定感は国際調査の比較では極めて低く、山崎氏が指摘する小学校での行事などを通じて得られる達成感が、実は多くの児童には必ずしも共有されていない、厳しい現実がある。撮影する側に、日本の児童生徒の自己肯定感の欠如が一体、何に由来するのかといった批判的視点を当初からイマイチ欠いている点で、やはりこの作品はドキュメンタリーとして片手落ちの感は否めない。

 一年間もの長期取材を行い、膨大な撮影量で出来上がった力作ではある。しかしこうした本格的な撮影を従来、許可しないはずの教育委員会や校長らが珍しく許可したのは、その学校の負の側面をできるだけ映像化しないという前提条件があったからではないのか…疑り深い私としてはそう勘繰ってしまう。だからこそ、結果的には「片手落ち」の作品となっているのではないのか。

参考記事

「世界一幸福な国」フィンランドに行って分かった「なぜ彼らは幸せなのか」 住み

 たいまち、を調べてわかったこと

 現代ビジネス FRaU編集部 によるストーリー 2024.1.10

 なぜ北欧は政策として教育を重視し、日本は重視しないのか、この記事を通じて生徒に考えさせたい。

ノーベル賞受賞者3氏が緊急会議「日本の科学技術はなぜ苦境に陥ったのか?」

    坂口志文氏、北川進氏が受賞しても安心できない研究現場の問題点

    文春オンライン 「文藝春秋」編集部 2025.10.11

 今後の日本がいよいよじり貧になっていく流れが見えてくる。学術研究の意義を蔑ろにして目の前の「儲け話」にしか興味を示さない、近視眼的な日本政治の在り方が厳しく問われるだろう。

 

参考動画

【財務省】授業で四則演算やbe動詞義務教育の内容?大学側は?教育の質”は検

    証可能?中室牧子氏「人に投資・リターンの確認を」|アベヒル

    ABEMAニュース【公式】  2025/04/23  26:58

    財務省の学校に対する古臭い認識、無知さ加減には呆れるばかりだ。義務教育における「落ちこぼれ」の大量発生が有効な救済措置もとられないまま高校教育に引き継がれ、高校でもほとんどが救済されないまま大学にまで引き継がれている。大学進学率が50%に達した現在、大学生でアルファベットや割合、分数が理解できない者は決して少なくあるまい。

    学力どころか出席をも軽視する形式進級、形式卒業を当たり前とする義務教育の在り方が変わらない限り、日本の高校教育や大学教育を変えることはできないだろう。にもかかわらず、トップダウン的発想から高等教育、大学教育を変えるだけで教育の質の向上を図ろうとするのはまったくのナンセンスであり、教育全体を見渡すことの出来ない偏頗な発想に過ぎない。

 いわゆるFラン大学の存在は、大卒という学歴を偏重する日本企業の、あからさまな手抜き採用人事のあり方にも起因するのであり、「営利追及に走っている」とばかりに難癖をつけて一方的に大学側の責任を問うのは的外れであり、余りにも片手落ちだろう。たんに需要があるから供給が生じているだけではないのか。

 財務官僚のようなエリート進学校の卒業生たちに、日本におけるFラン大学の社会的な存在意義への理解がイマイチ足りないのは当然と言えば当然ではある。しかし自分たちのエリート主義的認識に大きな偏りがある事への自覚が不十分であることは認めるべきであろう。そして98%の進学率に達した日本の高校に存在する数多くの教育困難校もまた、それなりの存在意義はあるのだ。

    仮にFラン大学が日本から消えてしまうと、一体どんな不都合な事態が発生してしまうのか、少しでも想像してみればよい。若者の失業率と犯罪発生率、貧困率は急激に高まり、いわゆる「無敵の人」が急増してしまうに違いない。

    40年近く前に高校における教育困難校を「未成年失業者収容所」と表現した方(「当節定時制高校事情」佐々木賢 有斐閣新書 1987)がいたが、Fラン大学の存在意義もまたしかり、である。下手をすれば犯罪予備軍たりうる社会的弱者の若者たちを収容する「予防拘禁施設」という社会的機能の側面から見れば、Fラン大学の存在価値を現状のままでプラスに評価することも可能なはずなのだ。

 確かに日本の場合、「高校」とか「大学」とはあくまでも名ばかりで、実態としては一部、義務教育のやり直し施設、果ては一部、少年院、鑑別所兼職業訓練施設と化している学校も無いわけではあるまい。

 西欧や北欧のように高校レベルでの職業教育が発達していて、職人、技術者の社会的地位がさほど低くない社会では、大学に進学しない若者が路頭に迷い、犯罪に走る危険性は日本ほど高くはあるまい。リカレント教育が一般化した西欧や北欧ではいったん就職した後で大学進学する者が決して珍しくはない。

 しかし日本では職業高校が低迷しがちであり、職人の社会的地位も決して高くはない。中卒や高校中退の学歴で就職した若者が社会的地位を高めていく方途は、プロスポーツや芸能界などを除くと日本では極めて限られている。この問題を放置しておいて、特定の学校教育ばかりに責任を転嫁するのはいかがか。

北欧子育て7つの鉄則!自己肯定感を高める育児とは?| 北欧在住ゆるトーク 

 2022/04/02 Nord Labo -北欧研究室- 19:00

 ほめない、比較しない、見た目について評価しない。「走るのが速いね」ではなく「走るのが好きなんだね」と話しかける・・・非常に参考となる話。やや視聴時間が長いが、ぜひ、生徒に視聴させたい。

 1970年代までフィンランドの教育はアメリカと同程度のかなり低いレベルにあったという。しかし1980年代、フィンランドは独自の視点から学校教育の大胆な見直しを進めていく。教科書検定制度の廃止や教員資格制度の改正(教師養成教育の充実化、教員の大学院卒義務づけ等)、宿題の廃止、テストの削減、授業時数の削減。これらは保護者の労働環境の改善を伴い、子供達が家で両親と過ごす時間を劇的に増やした。しかも授業時数を減らす一方で体育や芸術関係は減らさず、知育に偏る事を避けたバランスの良いカリキュラムを作り上げている。にもかかわらずPISAの得点は世界トップクラスとなった。

 一方、アメリカは人種、民族、信仰の異なる雑多な移民から形成された国家の土台を基に、多様性を前提とした多彩なカリキュラムを用意して個性を尊重する学校教育を作り上げていた。しかし1970年代から中等教育を中心に非行少年の荒れが目立ち始め、生徒の学力低下が話題となったことを契機に学校教育の見直しが進む。その際、低予算でありながら国際比較で常に学力がトップレベルであり、治安も良かった日本の学校教育を参考にした改革が進んだ。このため学力向上、知育中心に偏った教育がアメリカに浸透していった。

 ここ50年近くの間にアメリカ、フィンランド両国の学校教育が目指すその方向は完全に乖離してきたのである。このことは常にアメリカの後を追いかけてきた日本の学校教育に対しても深い反省を迫る点であろう。

 今や、学校教育に関しては自由や個性・多様性の尊重という観点を除けば、日本とアメリカとの違いは意外にもその差が縮まってきているという。しかしフィンランドと日本との違いは驚くばかり。それでも社会の同質性の高さに守られて日本の児童生徒の学力は国際的には高い方であるが、児童生徒の幸福感、自己肯定感は先進国で最低の部類に属する。

 北欧の動きを踏まえた、日本の教育への抜本的な見直しが待たれるところである。

【日本の中学教育は世界的に超優秀】日本の高校までの学力は世界トップクラス/

   「掃除」「給食」「部活」に日本教育の特徴がある/大学は海外に行った方が良い

   理由 PIVOT 公式チャンネル  2024/03/09 37:31

 松田氏が上意下達式の教育行政の効率性や日本の初等中等教育の優秀さを持ちあげすぎている側面はやや気になるが、日本の学校教育を世界の中でバランス良く位置づけるためには有効な動画だろう。フィンランド、アメリカ、韓国の学校教育と比較できる点でも貴重な動画。

 

オランダのイエナプラン教育 :2015/01/26 リヒテルズ直子

 イエナプラン教育(イエナプランきょういく、ドイツ語 Jena-Plan)とは、ドイツのイエナ大学の教育学教授だったペーター・ペーターゼン(1884 - 1952年)が 1924年に同大学の実験校で創始した学校教育。 子どもたちを『根幹グループ(英語ではファミリー・グループを訳されることが多い)』と呼ばれる異年齢のグループにしてクラスを編制したことに大きな特徴がある。現在はドイツよりもオランダで広く普及している。

※ちなみにオランダでは小学生でも本人の要望があれば留年できる。日本のような「形式卒業」の悲劇

 は起きない。

 

 なおオランダは2020年の最新調査(ユニセフ)でも子供の幸福度世界一である。ユニセフが9月3日に公表した最新報告書では、「精神的幸福」、「身体的健康」、学問や社会的な「スキル」の3つの分類で幸福度を算出。結果、日本の子どもの幸福度は38カ国中、20位だった。

 日本の順位で特徴的なのは、子どもの肥満や過体重の割合、死亡率から算出する「身体的健康」では1位だったにも関わらず、15歳〜19歳の自殺率や生活の満足度からランク付けした「精神的幸福度」は最低レベルの37位だった、という点だ。「スキル」では、日本のランクは27位。読解力と数学の基礎的学力では上位に入ったが、「新しい友達を作る」などの社会的なスキルの調査ではワースト2位だった。

 

参考動画

 個人情報丸見え社会のスウェーデン|どこまでマイナンバー管理?犯罪は?| 北欧

 在住ゆるトーク Nord-Labo 北欧研究室  2023/09/23  16:52

 やや視聴時間は長いが、考えさせられる場面が多く、討論にもっていくにはうって

つけの動画。情報公開の原則、知る権利の保障と個人情報保護、プライバシーの保護との調整は難しい問題だが、スウェーデンでは200年以上も昔から取り組んできた大きなテーマの一つだったことに驚かされる。政府や政治家、学校などでの各種隠蔽、改ざん、金銭面での不透明さ…が目立ってきた、閉塞的な日本社会を変えるには参考とすべき部分が多いと感じた。

なぜアフリカの子供は「自殺」しないのか?【日本と比較して考える】

 原貫太・フリーランス国際協力師 2024/01/12  22:30

 同学年でも異年齢が同じ学年、クラスに数多くいるアフリカではたとえイジメが生じても逃げ場が多く、歯止めも効きやすい。児童生徒が所属している集団は学校でのクラスだけではなく、親類や地域の集団もある。学校が嫌ならば行かなければよいだけで、実際、学校に来なくなる児童生徒は少なくない。したがってアフリカでは学校でのイジメが児童生徒の自殺を引き起こすことはほとんどない。

 子どもたちの居場所を学校や家庭、塾以外にも設けていく工夫が日本には必要なのだろう。そのためには子どもたちが学校にいる時間を少し減らすことも考えてよいだろう。フィンランドの授業時数は日本よりもずっと少ないという。長時間、子どもたちを退屈で窮屈な学校に閉じ込めておきながらイジメや不適応、学習障害を野放しにするしかできない日本の学校の無力ぶりを真っ当に評価すれば、学校以外の居場所確保こそ、学校改革そのものなのではあるまいか。不当な長時間労働から教師たちを解放するためにも大胆な時間割の見直しは必要不可欠の改革であろう。

 

 

⑧インクルーシブという美名の陰で

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 私はかつて統合教育と呼ばれ、今はインクルーシブ教育と呼ばれている教育の理念そのものに反対するものではない。しかし、学校教師の業務の大胆な削減抜きで理念ばかり先行することへの懸念が現状ではきわめて大きいと感じている。

 今から8~9年前のことになるが、クラス担任として障がいを抱える生徒を4年間(秋入試で入学してきたので年度で言えば5年度にまたがる)受け持っていた。週に16~18時間、2~3科目の授業、2時間のLHRと総合(実態としては進路指導の時間)を担当しつつ、週に5~6時間ほど、空き時間に当該生徒とつきっきりの対応をしてきた。突発的に奇声を発し、席を立って教師の妨害をし、女子生徒や女性教師に抱きつこうとしたりするので他の生徒たちとともに授業を受けることは難しかった。驚くほど瞬発力と体力があるため、副担任と私の二人がかりで制止する必要もあった。

 担当してから4年目、疲労困憊の末に自分の心身の異常を感じ始めた。まず驚いたのは毎朝、何千回も繰り返してきてすっかり身に付いていたはずのコーヒーの淹れ方がふと分からなくなったのだ。突然のことでしばらく戸惑っていたが、ゆっくりと手順を思い出し、最終的にはコーヒーを淹れることができた。これが一度ならず、間をおいて数回、起きた。

 しかし異変はこれだけに留まらなかった。休日に二階のベランダで干していた布団や毛布を一階の寝室に運ぼうとして階段を降りようとし、ふと自分の違和感に気付いた。普段、何気なく階下に降りれていたはずの階段が妙にしっくりとこない。リズムが合わないのだ。慣れていたはずの段差が今までと違うような気がする。もしかすると一段、とばして降りてしまうかも…そして最後の一段を降りようと一階の廊下に足を下した、と思った刹那、ふと気づいたら体は廊下に横倒しとなっていた。頭を打っていそうなものだが、ボォーとしていたのか痛みは感じず、何だか悪い夢を見ているようだった。これは二度、起きた。

 おそらく脳に多少の異変が起きていることは確かだった。手続き記憶の障がいとバランス感覚の一時的喪失…ととらえれば小脳でのちょっとしたトラブルが考えられよう。本来ならば病院で精密検査を受けなければならない症状だったが、四年生の担任と就職指導の責任者であったため、病院には行かなかった。翌年は進路部長であったため、余計に病院に行くことは出来なくなった。

 当時の勤務校に強いやり甲斐を感じていたことも病院へ行かなかった理由である。定時制、それも三部制というユニークな試みには問題も数多いが、やり甲斐もまた大きかった。私自身が大変な学校嫌いであり、長期間、場面緘黙症であったため、とりわけ不登校の生徒には少しでもプラスの存在となれるよう、努力したかった。そのためには授業を興味の湧く、面白い時間にしたくてできる限りの方法を駆使してきた。だからそう簡単に学校を休みたくはなかったのだ。

 これは58~60歳の時の状況である。当然、加齢もこうした出来事の背景にあるだろうが、もちろん、それだけではあるまい。事の発端が一人の重い障がいを持つ生徒を担任した件であることは間違いない。明らかにそれに伴う過労と過度のストレスが主な原因である。今、当時の症状を思い返すと、小さな梗塞が小脳などに出来始めていたのかもしれない。アノまま勤務していれば大変な事態を招いていたはずである。

 ただ、60歳での定年退職が私の健康を取り戻す大きな時間的、体力的ゆとりを与えてくれた。その結果、今、こうしていられるのだと思っている。65歳までフルの再任用をしよう、と以前は考えていたが、結果的に2年だけのそれもハーフ、という極めて軽い勤務で済ませ、ただちに完全退職したのは正しい判断であったと思う。

 今や、学校現場の実情を知ろうとすらしない、政治家や文科省の官僚たちの教育に対する無責任な「きれいごと」には嫌悪感と反発しか覚えない。もう教師たちは断固として騙されてはなるまい。

 

参考記事

車椅子の子も、全盲の子も、知的障害の子も…障害のある子とない子とを“分けない

 教育”を貫く、大阪・南桜塚小の実践とは AERA DIGITAL 仲藤里美 2025.10.1

 たった一人、それも校長だけの、手抜き取材で作られた記事を一体、誰が信用するというのだろう。

 支援学級の教師にどの程度の負担感があるのか、障がいのある児童の学級担任がどの程度、苦労してきたのか、仲藤氏はしっかりと聴いて回ったのだろうか。子どもたちにも取材したのだろうか。この校長の自慢話を、一切、疑うことなく記事にする無責任さ…ジャーナリストとして恥ずかしくないのだろうか。

 基本的に日々、苦労するのは障がい児に関わっている教師たちであり、管理職ではない。自分は大した苦労をせずに、部下に仕事を丸投げしておきながら、すべての手柄を独り占めし、平気で偉ぶる管理職は全国的に見ても決して少なくあるまい。

 これは典型的なマスゴミによる無責任なクズ記事でしかない。

公立高のバリアフリー格差、調べた千葉の高校生「こんなに違うなんて」 エレベー

 ター設置率が東京と段違い 東京新聞 2025.7.6

 東京都立高・中等教育学校は85.9%、埼玉県立高の設置率は29.1%、神奈川県立高・中等教育学校は32.4%、千葉県立高では14.8%らしい。…東京と3県との格差について、千葉県教委の担当者は「財政的な違いではないか」と推測。2028年度までに設置率40%を目指し、車いすの生徒がいる学校への優先設置や、初期費用を抑えられるリース方式で導入を進める…らしい。

 千葉県教委の担当者のおとぼけぶりには怒りを覚える。「財政的な違い」だけで埼玉の29.1%と千葉の14.8%、すなわち倍近くの格差をはたして説明できるのだろうか。財政的格差以上にバリアフリーへの意欲に格差があったに違いない。相変わらず上辺だけ改革するふりをして、その実、面倒なことは学校現場に丸投げする千葉の公教育の伝統が見事にこの格差に表れている、と思うが、いかがか。

 他の46道府県と最初からケタ違いに財政状況の違う東京都なんかと比べるよりも、財政規模にさほど大差ない埼玉との格差「2倍」、にここは注目したい。財政の問題にすり替えてバリアフリー実現を埼玉よりも「2倍」サボり続けてきた、責任逃ればかりの千葉県教委こそが公教育における差別残存の黒幕である。

参考動画

【車いす生徒】合格しても入学しない約束で受験?入学拒否に波紋…設備面の配慮

 すべき?|ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2025/04/16  20:00

 災害時の避難場所とされている公立高校には本来、備えられてしかるべき冷房設備やエレベーター、バリアフリーの各種設備、障がい者用トイレがまったく無い、あるいは不足しているケースが決して少なくない。とりわけエレベーターは多くの公立高校に存在していない。日本の公教育の圧倒的な「古さと貧しさ」がその背景に広く存在しているのだ。根本的にはGDPに占める教育予算の割合が先進国の中で長く最低レベルであり続けたことに無頓着でいられる日本の政治の問題である。にもかかわらず設備の不備をもっぱら個々の学校や各教育委員会の責任と見なすこと自体、議論としてあまりにもズレ過ぎていると考えるが、いかがか。

 高校の場合、ほとんどが4階建の校舎である。4月に重い教科書や機器などを幾度も往復して4階の教室まで運ぶ労力は並大抵のものではない。春を迎えるたびにエレベーターを備えている他校をうらやましく思う教師は今も圧倒的に多いだろう。

 生徒の保護者にも車いすの利用者、杖などを必要とする人はいる。生徒だけではなく、障害を持つ教師や保護者、来校者、とりわけ避難時の住民たちの中には特別な配慮を必要とする人が少なからず存在する。だとすれば、元来がインクルーシブ教育を担い、避難先をも引き受けた学校にはバリアフリーの設備が当然のごとく備わっていなければならないはず…なのにこの有様だ。

 日本の公教育の余りの古さ、貧しさに深く頭を垂れるほかあるまい。

参考記事

県内の「定員内不合格」考える 「障害あっても高校へ」自主登校の男性の映画 千葉

    市で上映会 東京新聞 2025.9.22

 こうした聞こえの良い綺麗ごとを、予算も人手も圧倒的に不足する千葉県の公立高校に押し付けるだけの、薄っぺらな正義漢ぶった報道はもういい加減にやめた方が良い。都立高校には千葉県とは比較にならないほどの予算がついている、この点を記者は一体どこまで認識できているのだろう。記者の取材不足、手抜き、恐ろしいほどの怠慢をまずは糾弾したい。

    厳しく批判されるべきなのは長年にわたって教育予算をケチり続けた千葉県と国家の方、文科省や教育委員会の方であろう。疲弊しきった学校を一方的に被告と見なしてやり玉に挙げるような報道ぶりは、むしろ「マスゴミ」による人権軽視の、弱い者イジメそのものではないか。

     5階建ての校舎ですらエレベーター無し、電気代が足りずにクーラーの使用時間は厳しく制限され、教員は人手が足りずに複数の科目を担当し、最悪、複数の部活まで担当させられる…千葉県の公立高校のこうした貧しすぎる実態を東京新聞はどこまで知っているのだろうか。どこまで千葉県の学校現場を密着取材してきたのだろうか。現場をろくに取材しない腐れ切ったマスゴミの罪こそ、真っ先に糾弾されるべきだろう。

手取り月45万円、59歳・経験豊富な「公立中学校教師」が虚無感を覚えた「静か

   な学級崩壊」【社会保険労務士が解説】 THE GOLD ONLINE  2024.12.19

   多様性尊重の掛け声のもとに、特別な支援を要する児童生徒が数多く普通の学校にも入学するようになってきている。このために「静かな学級崩壊」が生じてしまうこともあるという。

 ただでさえ学級定員が多い日本の学校では教師が一人一人に注げる時間は限られており、特別な支援を要する児童生徒であっても、その子にかかりきりになれるほど他の児童生徒が教師に協力的である保証はない。しかも指導が難しいと予想される学級ほど、新任の教師を担任にあてがう、といった非常識なトンデモ人事が横行している現在、下手な「多様性の尊重」は学級崩壊の大きな一因にもなりかねない。

 きれいごとを並べ立てる前に、文科省や教育委員会はブラック化した学校現場の改善に努めるべきだろう。さもなくばいよいよ教員不足は増進するのみである。

「障害の無理解による判定」 定員内不合格で千葉県を提訴 原告の母親、憤り 地裁

   初弁論 東京新聞 2025.1.29

「定員割れ」高校なのに不合格…知的障害の生徒が撤回求めた訴訟、千葉県側の反

 論は? 東京新聞 2025.1.28

 この問題のポイントは当該生徒の障がいが、一体どの程度まで授業進行の妨げとなるのか、妨げが生じたときに学校側は実際、どの程度まで対応が可能なのか、という一点に尽きるであろう。授業中、突然、叫び声を上げてしまう生徒は過去にも何人かいたが、叫び声は多くの場合、一時的に過ぎないので、さほど授業の妨げとはならなかった。しかし、常時、叫び続けてしまうとなれば話は別である。

 当該高校ではかつて学習の障がいがかなり大きく、高校のどの教科もほぼほぼ理解できていない生徒は何人かいたが、基本的に授業中、大人しくしていればさほど学校としての支障は生じないはずである。元来が定時制なので日本語自体、ほとんど理解できていないケースだって少なからずある。中学校では長期間、不登校だったため、学力や学習意欲が相当不足していても、それを合否の判断基準には必ずしもできないだろう。とりわけ秋入試の場合には倍率が極めて低い。当然のことながら受験生を不合格とする基準は他校と比べてかなり「曖昧」となるほかない。

 当該校は以前から「やり直し」を可能とする高校を謳ってきた。したがって入試の際、過去の成績や生活を過剰に問うことは、多少の例外はあるものの、原則としてできない(ウツ傾向の強い生徒が少なくないため、反社会的な傾向がある生徒を不合格とすることはある程度やむをえまい)。問われるのはあくまでも当該生徒が周囲に及ぼす影響の内容と程度、及びそれに対応する学校側がとりうる条件整備とのバランスである。そのバランスがとれない、との学校側の判断であったとして、その判断の根拠にはたして合理性、妥当性があったのか否かが、裁判では問われるであろう。

   何はともあれ東京新聞のこの件に関する一連の報道は学校の現状に対する無理解、無関心に基づく偏見が極めて目立つと思うが、いかがか。ご指摘のように「障害の無理解」が高校側にあるのは決して否定できないが、同時に高校に対する圧倒的な無理解が東京新聞にはある、と考える。学校が置かれた現状に理解を示そうとしない報道は学校教育のさらなる崩壊に加担せんとする、極めて破壊的なものではないのか。

定員割れの県立高なのに不合格、「教育受ける権利を侵害」…難病の少女が入学許

 可求め提訴 読売新聞 2024.12.13

 まず「定員内不合格」の是非について考えたい。その際の前提として「教師はスーパーマンではない」という常識を改めて認識していただく必要がある。つまり出来ないことを出来る、と言うような無責任で欺瞞に満ちた言動は、数多くの児童生徒の安全及び教育を受ける権利を保証する立場にある教師として決して許されることではない。そのことへの共感的理解をまず前提としなければこの議論は一歩も前進しない。

 それはあたかも「あなたは医者なのだから癌患者の治療ができるはずだ」と歯科医に迫ることが不合理そのものであるように、教師にも出来ないことが山ほど存在するのは当然のことなのである。高校教師だからと言って、社会科教師に数学科の授業がなぜできないのか、と文句を言っても的外れであるのと同様、それなりの専門的知識と技能を持つ職員と施設が整った特別支援学校が既にあるのに、それをほとんど備えていない普通科の学校に重い障がいを持つ児童生徒を入学させようとするのは基本的には筋違いであるとすべきなのだ。最悪の場合、当該生徒のみならず、他の生徒にも何らかの危害が及ぶ可能性を否定できず、その生徒の入学が他の生徒の「教育を受ける権利」を大きく侵害しないとも限らない。この点に同意してくれないと何一つ生産的な議論にはなるまい。

 ただし障がいと言っても当然のことながら様々な種類がある。また障がいの程度にも差異がある。それらの要素については合否を決める際にそれぞれ一定の検討を要するだろう。実際、普通科高校にも軽い自閉症や肢体不自由といった障がいを抱えた児童生徒が入学することはこれまでも少なからずあった。つまりたとえ普通科の教師であっても、また通常の施設、設備であっても対応可能なレベルでの軽い障がいであるならば受け入れに大きな問題は生じないだろう。したがってここで問われるべきなのは当該生徒の障がいが当該高校において受け入れ可能なタイプやレベルでの障がいなのかどうか、という一点に絞られる。

 実は同じ普通科の県立高校であっても施設、設備、あるいは組織体制にはかなりの差異がある。たとえ同じ県立高校だからと言って乱暴に一括りされては困ることも多いのだ。千葉県では同じ三部制の定時制高校であっても、ある学校にはエレベーターがあり、車椅子の生徒でも受け入れ可能だが、別の高校では5階建てであるにも関わらず、エレベーターは無い。エレベーターが無ければ車椅子の生徒、まして寝たきりの生徒はほぼ受け入れ不可能であろう。

 あるいは同じ三部制の定時制高校であっても、ある学校には全日制が併置されておらず、学校全体での定時制としての共通理解がある程度、出来上がっているが、別の学校では全日制が併置されているため、教師間に一つの学校としての共通理解が極めて成立しがたい状況にある。つまり特別支援を要する生徒を普通科高校が受け入れるためには当該生徒の障がいの内容とレベルの問題に加えて、受け入れる側の高校の協力体制、様々なキャパシティをも注意深く勘案する必要があるのだ。

 これまでの報道では残念ながらその点に関して第三者が判断できるほどの具体的な情報が見られず、今のところ、どうにもコメントしがたい状況であると思うが、いかがか。特に高校側の現状に関する情報が全くと言って良いほど欠失しており、基本的には公平性を欠く報道というほかあるまい。少なくとも今回の定員内不合格に関してはこの記事の内容をもって「教育を受ける権利」への侵害だと一方的に決めつけるだけの十分な根拠はどこにも見られない、と一般論としては判断できるだろう。

   もっともこの件に関してはこれまでの歴史的経緯があるため、不合格への評価はまったく異なってくる可能性があるので実は要注意である。定員内不合格を出したこの高校ではかつてもっとはるかに重い障がいを持つ生徒を受け入れ、かつ無事に卒業までさせている、という重い事実の存在がある。したがって過去との整合性を重視する立場からは、今回の不合格について納得しがたいものがある、と抗議するのはある意味で当たり前なのだ。

 私は当時を知る立場にあるので、個人的には今回の不合格についてやはり不可解な印象を受けないわけではなかった。ただし、繰り返しにはなるが手放しでインクルーシブ教育に賛同しているわけではない。あくまでも受け入れる学校側のキャパシティ及び受け入れ態勢整備の可能性をこそ問うべきなのだ。

 問題はかつてこの学校が重い障がいを持つ生徒を受け入れた理由に潜んでいる。学校側には受け入れるキャパシティがほとんど無い、というのが当時の判定会議におけるほぼ教師たち全員の意見であった。しかし校長一人の独断で教師たちの意見は完全に無視され、受け入れが決定してしまったのである。したがってこの受け入れに至る経緯は、とりあえず民主主義を標榜する日本の学校としては決して前例として踏襲すべきものではあるまい。

 加えてもう一つ無視できない重大な問題となるのが受け入れ後のキャパシティの整備がどうだったのか、という点であろう。半年間は若い非常勤講師を一人、特別にあてがわれて対応していたのだが、残りの卒業するまでの三年半は若い講師の副担が生徒の付き添いをしただけである。副担は重い障がいを持つ生徒へのほぼマンツーマンの対応に追われ、副担や教科担任としての業務がほとんどまともにできない状況に置かれてしまっていた。つまり、たちまち特別な対応は消えてしまったということ。この後の、担任としての苦労は到底、言葉では言い尽くせない過酷さがあった。

 こうした悲劇的な事態を二度と繰り返さないために学校として出来る事は、実は極めて単純で簡単な事であろう。とりあえず県教委としては管理職が独断で学校のキャパシティを無視した受け入れを二度とさせないよう、責任を持って管理職を指導することに尽きる。今回の決断が判定会議の中でどんな議論の中で出てきたのか、今後の裁判の中でしっかりと明らかにされることを切に期待したい。これは本質的には個の学校の問題ではなく、県全体としての取り組みの問題なのだ。

知的障害の娘は、屈辱で泣いた…定員割れ高校に不合格 学校側は「学ぶ意欲なし」

   と言うけれど【作文全文】 東京新聞 2024.11.26

障害児の「定員割れ不合格」なぜなくならない? 98%超が高校進学する時代、全て

 の子に学業のチャンスを 東京新聞 2024.11.26

 誰がこの問題の本当の責任者なのだろう。それは教育予算を長い間ケチり続けた歴代内閣ではないだろうか。新聞ならばGDPに占める教育予算の割合を国別に表示した資料を使ってそのことを明確に示しておくべきだろう。でなければ教師の疲弊は募るばかりとなってしまうに違いない。

 また、過去、障害を持つ児童生徒を受け入れたケースがあるのだから、今回も受け入れるべきだ、などと思わせるような記事を載せるべきではない。低予算と人手不足の中でひたすら業務量が増えてきた学校の現状をまずは強調すべきであろう。今、インクルーシブ教育を担えるほどに余裕のある学校が一体全体、日本のどこに存在しうるのか、ひとまずしっかりと検証してから記事にするべきであると考えるが、いかがか。教師は何でも屋のスーパーマンではないのだ。

 この手の表面的できれいごとの記事が、結果的に学校の業務量をさらに増やして学校教育をいよいよ破綻させつつあることを、加害者としてのマスコミは厳しく自戒すべきであると考える。こんな一面的な報道が続く限り、若者は教職を避け、教員の中途退職や長期休職は増えるばかりとなるだろう。

「定員割れで不合格」知的障害のある少女、裁判でも入学を認められず 住民票を千

   葉から移して都立高に進学 東京新聞 2025.3.4

 いかにも正義派ぶった、マスゴミらしい記事であり、批判的な文脈において授業でぜひ取り上げたい内容である。まずは一読させて生徒から感想、意見を募りたい。

 都立高校ではどのような条件を付けて入学を認めたのか、知的障害などを抱える浜野さんに一体どのような特別対応をする予定なのか…この記事では肝心なことがまったく分からない。東京都では定員内不合格を出さない原則があるようだが、ならば入学前に深刻な傷害事件を引き起こした生徒でも入学させているのだろうか。

   かつて中学生の時に二度、危険な刺傷事件を起こしていた生徒が高校入学直後に同学年生徒をナイフで切り付けてしまった事件が千葉県であった。東京都では同様の事があった時、これまでどのように対応してきたのだろうか。そのような生徒が再び事件を起こさないような、特別な働きかけを都立高校はしてきたのだろうか。

 定員内不合格を出すこと自体が必ずしも悪いわけではないだろう。単純で機械的な決めつけは大きな誤りの元となる。他の生徒や教師たちに危害を及ぼす可能性が極めて高いと判断した時には、入学試験を不合格としても決して悪くはあるまい。高校は決して少年院や鑑別所ではない。凶悪な事件を起こしてきた少年たちを何人も受け入れられるだけの施設や人員、権限を、普通の高校では確保できていない。

 障がいを持つ生徒の受け入れもまた、高校の施設やスタッフの状況に応じて柔軟に判断すべきであり、そうした条件が整っていないにもかかわらず、一律に受け入れようとするのはむしろ無責任過ぎるであろう。この新聞記事は一方的で片手落ち、内容的にあまりにもお粗末であろう。千葉県の高校実態に関する十分な知識もないまま、当該校への事実確認、現場への取材をサボっていることにすら記者は気付いていないようだ。単純に都立高校を判断基準にして千葉県の高校を一方的に断罪しているだけの軽薄な煽り記事…と感じてしまうのだが、いかがだろう。

公立高校「定員内不合格」 ダウン症の男性らが人権救済申し立て

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.13

 インクルーシブ教育について考えるための導入にはうってつけの記事。障がい者を定員内不合格とした公立高校を糾弾するかのようなこうした上から目線のご指摘は、いかにも学校側が障がい者差別を助長しているかのような悪印象を与えかねず、陳腐きわまりない報道と言えよう。公立高校のブラック化した状況への取材をサボっておきながら、「定員内不合格」という公立高校として不適切な対応をとった学校を一方的に悪者にするかのような、こうした悪意に満ちた皮相な報道が公立高校のブラック化を一層、招いてきたと私は考えている。

 確かに「定員内不合格」を出すことは公立高校として明らかに好ましくない。そんなことは分かり切っているのに不合格とせざるを得ない学校側の切羽詰まった窮状があるのだ。残業だらけで疲弊する教師たちに余力はほとんど残っていない。学校の予算もギリギリ。そんな中で管理職は何一つ動こうとせず、結果的に県からの支援がまったく無い中、一握りの教師にばかり重い負担がのしかかる。こんな光景はもうすっかり見飽きてしまった。だから千葉県では本音の部分で定員内不合格を容認する教師は極めて多い。潤沢な予算と障がい者対応が多少整えられている東京都とは事情がまったく違うのだ。

 一言でいえば千葉県では多くの教師が公立高校の現状に絶望している。希望の光がどこにも見いだせないのだ。2023年度、千葉県で生じた教員の不祥事は過去最高の数に達した。2023年度入試の採点ミスが930件を超えた。2025年度教員採用試験の志願者状況は過去最低の倍率となっている。すべては起こるべくして起きている。そして今、二件の「定員内不合格者」が非難されている。個人的な本音を言えば、こんな県でまだ教師になりたい若者がいること自体、不思議でならない。

 重い知的障がいを持つ生徒を受け入れた教師側は当然のことながら突発的な事故や授業妨害の恐れを最も警戒する。しかしそうした対応を一人の教師がとるヒマはまったくない。体力も精神力も技術もない。障がい者に対応できる支援員が千葉県の高校には派遣されないのだから当然である。精々が教員採用試験合格を目指して奮闘中の若手講師が割り当てられるだけである。そのような採用試験を控えた、しかも障がい者対応未経験の講師に重い知的障がい者の面倒を丸投げするバカはいないだろう。しかし千葉県ではそうした対応しか行ってこなかった。

 糾弾されるべきは管理職であり、県教委であるはずなのに「定員内不合格者」を出した現場の教員たちばかりが責められる。明らかに公立高校の崩壊は近い…

「学ばない教師」が学級崩壊を招く! いま中学で求められている「特別支援教育」

 のスキルとは 現代ビジネス 長谷川 博之 によるストーリー 2024.4.13

 いちいちお説ごもっともだが、長谷川氏の言うような、一人一人に寄り添う特別支援教育を実行に移せる能力と時間的、体力的余裕を持つ教師がどれほどこの世の中にいるのかは疑わしい限りであろう。問題は「学ばない教師」なぞではなく、「学びたくとも学ぶ余裕のない教師」であり、教師になる以前に「肝心なことをほとんど学んだことの無い教師」たちではないのか。

 まず急がれることは私たちがすっかりブラック化した学校現場において発達障がい児との触れ合いを十分に持ててこなかった、現在の未熟な若手の教師に山のような仕事と割に合わないレベルの大きな責任が押し付けられている…そうした学校の過酷な現状をしっかりと把握することだろう。まずはこうした現状認識を多くの人が共有しない限り、どんな提言も意味をなさない。いや、むしろ百害あって一利無し、の有害な議論に過ぎない。

 教師の業務の大胆な削減抜きに特別支援教育を特別支援学校以外の学校で導入することには猛反対すべきである。インクルーシブ教育といった言葉に幻惑されてはなるまい。優先順位の議論を抜きにしたきれいごとの教育改革に学校の未来は無い。

「子どもたちのためなら常識にとらわれない」狛江第三小学校が挑むインクルーシ

 ブへの道 学校に行きたいけど行けない子どもたち3

 現代ビジネス 太田 美由紀 によるストーリー  2023.7.8

 この取り組みでいつまでも笑顔でいられるのは教育長や管理職、そして管理職を目指す一部の教師に過ぎない、と疑ってしまうのは私だけであろうか。おそらくこの取り組みのために下々が作成しなければならなかった文書の量は膨大であり、教育委員会への報告書の類だけで誰か一人は過労死するレベルの量になっているだろう。私が預かった障がい者の記録は副担が記したものだけでわずか半年の間に段ボール箱の半分にも達していた。

 当然、インクルーシブ教育導入のためにこの学校で実施された数々の研修は多くの教師たちの時間と労力を奪うことで辛うじて成り立っていたはず。この記事ではそうした闇の部分は一切語られず、笑顔の管理職と特別支援学級の先生が登場するだけ。どう見てもこの記事、上滑り気味でしかもきれいごと過ぎる。日本の学校教育の現状においては今やきれいごとほど質の悪いものはない。

 

 本来、障がい者や不登校児童を受け入れる普通学級の担任こそが一番の苦労を背負わされる主役であるはず。しかし肝心の教師たちは縁の下に隠れていて当然、本音は言えず、素の姿を見せることがほとんどない。

 この小学校がリーダーシップのある優れた校長の尽力によって実際に教師の事務仕事などが激減し、本当にすべての教師たちがゆとりをもって笑顔でいられる学校ならばインクルーシブ教育の導入があったとしても別段、文句は出ないかもしれない。

 だが私が抱く学校のイメージではそんなことはありえない。もしかすると校長は配下の教師たちの疲弊ぶりをよそに、自分がより良い再就職先にありつく上での手柄作り、点数稼ぎのためにきちんとした話し合いの場を設けることなくほぼ独断でインクルーシブ教育の研究指定校に名乗りを上げたのかもしれない。

 少なくとも私が経験した千葉県では凡そそんな具合であった。表面的な取材できれいごとばかり並べ、教師の仕事を増やすだけの報道は学校にとって百害あって一利無しであると思うが、いかがか。

学校施設のバリアフリー化…トイレ70.4%、エレベーター29.0%

 リシード 2022.12.28

 十分な施設も無い、人員も圧倒的に不足する中でインクルーシブ教育という美名のために普通科の教師が車椅子や生徒を抱えて階段を上り下りし、さらには通学途中、突然歩行できなくなった生徒のために幾度も駅まで出迎えに行き、生徒を背負って帰ってくる…そんな担任がいた。

   時と場合によっては命の危険があるため、常時マンツーマンの対応が不可欠な生徒を抱えた担任は副担任と共にクラスの他の生徒達をほぼ放置して修学旅行、遠足、球技大会などをこなす。当然、自分の授業が無い時には週6~8時限程度、一人の生徒につきっきりで同伴しつつ、週16~18時限の授業もこなしている。それでも割り当てられた自習監督や分掌の仕事は引き受けざるを得ない。

   授業中、泣き叫んでリスカを試み、教室を血まみれにした挙げ句に窓から飛び降りようとする生徒を必死で制止し、授業を中断。結局、自殺予防のためにその都度、担任が現場に呼ばれ、最後は責任を持って担任が家まで送ることになる。

 

 以上は特別支援学校での出来事ではなく、とある定時制普通科高校で私自身が目撃した事、あるいは自ら体験した事である。

   文科省や教育委員会はきれい事を並べる前に、設備や人員の配置を見直すなど、障がい者の受け入れを可能とする条件整備にまずは着手すべきであった。

   バリアフリーやインクルーシブ教育が進まないのは学校現場、とりわけ教師の無理解や怠惰によるもの、とされてしまうのであればそれは現場で悪戦苦闘する教師にとってあまりにも酷すぎる仕打ちである。

 

【教育困難校】授業が成立しない?児童生徒に合わせた教育とは?境界知能&グレ

 ーゾーンが広がる?現役教師と考える|アベプラ

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2023/12/19  14:01

 この動画からも高校教育の現場を全く理解していない人たちが世の中にいかに多いか、痛切に感じざるを得ない。特にインクルーシブ教育を推進する中谷氏の意見には反発しか感じない。今、なぜ若者の間で教職離れが進んでいるのか、精神的に追い詰められる教師がなぜ増えてきているのか、この方には理解の欠片もないことがよく分かる。

   これまで教師が文科省や教育委員会の「教育改革」にどれだけ振り回されてきたのか、35人以上の集団を相手に一人の教師が一体どのような指導が可能なのか、教師の仕事がどれほど多岐にわたっているのか、中谷氏がその一端ですら分かって発言しているとは到底思えない。無意味な研修や部活動などの負担による学校のブラック化を多少とも理解できているのは番組出席者の中では不登校問題に詳しい大空氏だけのように見える。

 そもそも教育困難校問題を論ずるにあたって二年目の若手教師一人だけの発言で一体、困難校の何が分かるというのだろう。困難校の実態も多様であり、困難さの度合いだって学校や教師の置かれた状況によって大きく違う。この教師はわずか二年目にして授業がうまく進むようになった、と言っているが、この言葉を真に受ける困難校の教師はおそらく少ないだろう。若手がわずか二年目でうまくいくようならそこはもはや困難校とは言えまい。そもそも彼がどんな教科を何科目、週何時間教えているのか、一クラス平均何人の生徒たちが教室にいるのか、部活動は何を任され、どんな校務分掌を任されているのか、何学年に属し、何学年を教えているのか、全日制普通科なのか、そうではないのか、中退率はどの程度か、警察がかかわる事件は年間平均でどの程度の件数なのか…こうしたことの違いによって教師の負担は大きく異なってくるはずだ。

 司会者自身が若さもあるのだろうが、高校教育に対して相当無知であるがゆえに、多様な意見をバランス良くさばけていない。そのため、議論がまったく深まっていない。

 もしも中谷氏の言うように教師のインクルーシブに関する研修がさらに増やされてしまえばいよいよ教師志望者は少なくなると思うのだが、いかがだろう。教師の負担軽減が実行されないうちはインクルーシブ教育など前に進むわけはない。現状を知らぬ者の理想論ほどはた迷惑なものは無いのだ。

 ただしある意味で極めて突っ込みどころの多い動画なので、ぜひ生徒に視聴させて意見を募りたい。

その4.不安や恐れと向き合う(前編)

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 前回に続きまして心理学ネタ編その4となります。青年期は自分の将来や人間関係などの「不安や恐れと向き合う」時期でもあります。それにうつ病の発症は青年期が多いとも言われますので社会科として少しは触れておきたいテーマです。

 不登校の多い三部の定時制に6年間いたので、ウツ傾向にある生徒とは毎年、授業で出逢います。うつ状態の人にどう向き合うべきなのか、今はウツではない生徒でもいつか必要とされる知識だと思い、何度か授業で扱いました。また親や親戚、友人や同級生に自殺している人がいる生徒、生徒に自殺されてしまった教師は日本の場合、決して少なくありません。そこで最後に、自殺者と親しい関係にあった人達(サバイバー)の心理にも触れておきました。

 

・導入として:「別れ」と向き合う唄を聴いてみよう。

 (少しばかり「押し活」してしまいますが悪しからず。)

余命宣告、末期癌患者が伝える人生で一番大切なこと。 | ライフソング #朝倉さや

 MusicVideo 2022/04/03 4:18

Q.もしも余命半年とあなたが医者から宣告されたなら、残された日々をどう過ごして

 いきたいか?

Q.この曲が私たちに投げかけている「末期癌患者が伝える人生で一番大切なこと」と

 は一体何だろう?

Q.大切な人との別れに直面した時に、私たちはそれをどう受け止めていけば良いのだ

 ろう?

※以下、本動画の概要欄より引用

 「癌再発転移。プロデューサーsolayaが35歳時に受けた余命宣告1年。残り少ない1秒を音楽に託すメ

 ッセージ「一緒に生きてる。」最上川舟唄 Life Songから始まった、Another Story。計100万回再生

 を超える、ライフソングシリーズに書き込まれた「胸を打つそれぞれの人生」「励ましの言葉」 選択

 肢のなくなった抗がん剤治療、医療用麻薬、残り時間の使い方。末期がん患者が伝える、人生で一番

 大切なこと。」

※朝倉さやオフィシャルホームページの「プロフィール」によると・・・

 朝倉さやさんはシンガーソングライター。 1992年6月29日生まれ山形県山形市出身。民謡日本一に2

 度輝き、18歳で上京、2013年デビュー。rystal KayやJUJU、東方神起、坂本真綾など著名アーティ

 ストを手掛ける音楽プロデューサーsolayaと出会い、オリジナル曲の制作を開始。 また動画サイトで

 名曲を民謡調•山形弁に 編曲カバー、話題に。・・・

 

参考記事

世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生は「人生観」を学んでいる。セレ

 ンディピティの概念や不公平への視点…人生を切り拓く教育とは

 婦人公論.jp 岩竹美加子 によるストーリー 2024.11.2

 …調査によると「私個人の力では、政府の決定に影響を与えられない」という考えについて、日本の高校生の83%が「全くそう思う」、または「まあそう思う」と答えたという。それは米国76.2%、韓国64.4%、中国59.4%の回答と比べて高い。フィンランドの教育は社会や政治に影響を与えることを非常に強調するが、日本でそうした教育はされていない。自分の力で政府の決定に影響を与えられるという感覚が低いのは、当然の結果であり不思議はないだろう。…

 日本の若者が投票に行かず、政治への関心や知識が不足し、自己有効感、当事者意識、主権者意識などに欠けてしまいがちなのも、抑圧的で管理主義的、画一的な日本の学校教育が生み出す弊害と考えられる。

 また心理学の有益なポイントを高校生の時から学習しているフィンランドに対してほとんど教えていない日本ではストレスなどへの対処法に習熟していない生徒が多い傾向が見られるようだ。加えて日本の学校では子どもから自己肯定感を奪うような規律遵守の指導が目立つ。こうした事などから日本では過去2年間連続で小中高の年間自殺者数が500人を超えている。時に児童生徒を委縮させかねない日本の道徳の授業よりも科学的な見地から生き方を学び取るフィンランドの授業の方が子供たちの幸福感を高める効果があるのだろう。

がんになった音楽プロデューサー 「余命1年」告げられ、考えたこと

 withnews 田中紳顕 2018.12.15

 朝倉さんはsolayaさんの全面的バックアップを受けて10年近く、プロ歌手としてのメジャーデビュー目指して二人三脚で頑張ってきたようである。しかしYouTubeなどでの視聴回数自体はそこそこ稼げていたが、横浜でのコンサートがコロナ禍に阻まれるという不運もあってプロとしてメジャーな存在にはなかなか到達できない現状が続いていた。そうした中でのsolayaさんの癌の再発と転移…治療の甲斐もあって余命宣告1年から5年余り経つがさすがに治療の限界が迫ってきた中で、この歌が二人にとっての最後の曲となる…そういう思いでこの動画は公表されているようである。動画内での映像やテロップはsolayaさんが手がけたものらしく、自己の死を目前にして本当に大切な物とは何かを自問するような言葉が続く。朝倉さんはMVを見た時に初めてsolayaさんのテロップに込められたメッセージを確認できたようである。

リアクション動画 | 泣いた理由、涙で本音を語る。【ライフソングのPV初めて見

 る】朝倉さや (アルバム - Life Song) 

 2022/04/03 朝倉さや , Saya Asakura 6:02

旅する民謡、人生が終わっても唄は終わらない / 北海鱈つり唄 

 MusicVideo (ライフソング) 2021/06/05 朝倉さや  3:36

朝倉さや生配信 2022.9.27 朝倉さや , Saya Asakura 24:58

  2022年9月11日のsolayaさんの死を伝える生配信。

ドーナツ | ラジオ深夜便「深夜便のうた」放送中 #朝倉さやMusicVideo

   朝倉さや , Saya Asakura  2023/10/19 4:42

 この動画を一つの手掛かりとして大切な人を失った時にそれをどう受け止め、残された時間をどう生きていけば良いのだろうか、もう一度考えてみよう。

 

 以上で「押し活」終了です。

 

[とちスペ] 残された時間を精一杯生きた女子高生のメッセージ 白血病と闘った日々

 の記録 | NHK 2022/12/06 6:51

【脳腫瘍】病と闘った7年間 絵を描き問い続けた“生きる意味” #中京テレビ

 ドキュメント中京テレビNEWS  2022/12/22 14:28

【2年間の密着取材】亡き人と紡ぐ『未来の思い出』「絆画」‥故人と遺族の絆を

 繋ぐ絵師  CBCドキュメンタリー 2022/03/22 CBCドキュメンタリー 50:00

 13:30までを視聴させても良いだろう。「絆画」について生徒達の感想を確認してみたい。

【漫画】「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」をわかりやすく解説【要約/小

 澤竹俊】 2021/11/23 フェルミ漫画大学 14:08

 「やりたいことリスト」「自分が誰かを喜ばせられる事とは何」「家族との時間を大切に出来るか」

  等、アンケート形式で自由記述させたい。

「おくりびと」 予告編 2008/09/05 toshiakikuwajima

 大切な人の死にどう向き合うのか、考えさせられることの多い映画。カッパが倫理や現代社会でよく

 利用してきた傑作。時間が許すなら全編、視聴させても良い。

知らないと損。精神科医が教える、治療的に正しい不安との向き合い方

  2021/07/01 精神科医がこころの病気を解説するCh 19:18

 不安と向き合うための方法論。

[NHKスペシャル] 東日本大震災 親を亡くした子どもの「心の声」 | 震災遺児 | 

 東日本大震災から10年 | Nスペ 5min. | NHK 2021/03/13 5:08

 大切な人の死をどのようにして受け入れていくのか、遺された人たちの心のケアをどうしたら良いの

 か、考えてみたい。

自死遺族 のこされた家族の日常 はしもと ゆっこ 2021/02/18 8:45

参考記事

精神科医が「高校生の患者」にする質問の中身 心理的な葛藤が体の症状に出ている場

 合には… 東洋経済オンライン 尾久 守侑  2024.6.17

 高校教師にとっても非常に役立つ、高校生と接するときの心構えであろう。「心から心配する温かさを持ちながらも、ああ、このやり方はちょっと近間すぎるなとか、遠間すぎるなとか、役割を演じる冷たさも同時に必要で、心が温かいだけでは巻き込まれてしまうし、役割を演じていること、装っていることに関しては、思春期の子のほうが大人よりもよっぽど敏感だから冷たいだけでも勘付かれてしまう。自然な間合いまで自分を晒し、本当に心配していると同時に、大して心配していないという矛盾した心理状態を保つことが、比較的普遍性のあるスタンスとして多くの治療者に受け入れられやすいのではないかと思う。」

 絶妙なバランス感覚ではあるまいか。

・うつ病と双極性障害

参考動画

【危険】疲れの限界サインTOP5!この症状増えたら早急に休んだ方がいい(うつ

   病 双極性障害) 睡眠専門医渥美正彦  2024/12/08 7:01

 ストレスと過労による心身の失調には敏感でありたい。心と体の関係に注目し、自他ともに最悪の事態を招かぬ努力が必要である。

【驚愕】人はなぜうつ病に苦しめられるのか?

   VAIENCE バイエンス  2023/11/19  10:00

 うつ病に関する基本的な事柄を概観するには最適の動画。10分間という視聴時間も使用しやすいポイント。まずこの分野の導入として利用してみたい。

双極性障害 発症から15年の浮き沈み全て教えます。【躁うつ病 患者さんの実体

   験】 睡眠専門医渥美正彦  2024/10/30 7:58 

 かつて「躁うつ病」と呼ばれていた双極性障害は発症が思春期であることが多く、緊急性もあるため、教師としては必ず知っておくべき知識である。専門家でも「うつ病」と誤診することが少なくないため、発見・治療が遅れがちになり、自殺などの重大事態を招きやすい病気と考えられている。

   気分が高揚し、浪費に走る、衝動的になりやすい、激高する、自傷行為に走る…といった問題行動は本人に気分の落ち込みが無く、むしろハイになっている時に生じがち。しかし患者の多くはハイの状態を問題視できないため、患者自身、病態を自覚できない傾向が強い。患者は抑うつ状態ばかりを問題視してしまい、うつ病の治療薬を服用しがちになるため、症状をこじらせてしまうケースが多いという。

 教師としても要注意の病気。

【衝撃】うつ病の人に絶対やってはいけない5つのこと【危険すぎるよ…】

   睡眠専門医渥美正彦 2024/11/10 7:24

   重要ポイントがよく整理されていて理解しやすい。

※こんな会話をしていたらうつ病かもしれない5選【初期症状】

   睡眠専門医渥美正彦  2024/10/13 6:23

   うつ病患者は過去への後悔と未来への不安に心を占領されていて、同じ話を繰り返し勝ち…という指摘は特に重要かと思う。

うつ病の知られていない10の症状【精神科医が徹底解説】

   睡眠専門医渥美正彦  2024/12/15  10:05

   一割近くの人が生涯において一度は罹患すると言われるうつ病の基礎知識は教養としてぜひ若いうちに身につけておきたい。

うつ病の人が見る6つの変な夢【悪夢障害】

   睡眠専門医渥美正彦  2024.12.29  5:58

 子供のころによく見た悪夢がかなり含まれているかもしれない。ポイントはここで例示された内容の悪夢を繰り返しみる場合はうつ状態にある可能性が高い、という点にある。ただの夢占い、夢分析は非科学的であり、信じてはなるまい。

   悪夢への関心は高く、夢占いを信じている児童生徒は少なくあるまい。このテーマを扱う際には彼らに変な暗示をかけてしまい、不安がらせる結果にならないよう、科学的で慎重な説明が必要とされる。

   なお、渥美先生の動画は特に睡眠障害、うつ病、睡眠薬などを10分以内の短時間で丁寧に分かりやすく解説してくれているので授業で視聴するには一番のオススメ。

参考記事

「うつ」になる確率も低下する…メンタルの不調から私たちを守ってくれる「3つの

   要素」現代ビジネス 飯田 一史 によるストーリー 2024.2.16

 この程度は全員知っておくべきだろう。

冬はセロトニン分泌が激減 「冬期うつ」は一般的なうつ病と何が違う?

   ウェザーニュース によるストーリー 2024.1.21

 気分や感情が基本的にはセロトニンといった物質的基盤の上に成り立つ現象であることは十分に理解

   しておきたい。とりわけ日本海側や東北、北海道の人たちは秋から冬にかけてそのことを強く意識し

   て生活する必要があるだろう。

他人を思いやる行為は抑うつや不安の症状を軽くする?

   HealthDay Japan Translation によるストーリー 2023.1.16

 他者への思いやりが抑うつや不安を軽減する可能性があることは以前から指摘されていたことではあ

   るが、改めて確認しておきたい重要ポイント。

太古より「不安」こそが生き抜くための人間の武器だった? 未来の不安を予想して

 も「95%」は当たらないもの 集英社オンライン オピニオン 2023.6.9

 「不安」とどう向き合うべきなのか…その基本的スタンスが極めて分かりやすく記されている。「今

  を生きる」マインドフルネスの考え方にも通底するものを感じる。

子供のうつ病、大人との違いは 小中高生の自殺者数「過去最悪」で対策急務に

 産経新聞 2023.4.3

 日本における精神医療分野での法整備の遅れはかなり深刻なレベルにあるのかもしれない。

日本人が知らない「感情」が果たす超重要な役割 世界中の研究機関が注目する「感情

 神経科学」東洋経済 オンライン レナード・ムロディナウ の意見 2023.6.14

 感情はこれまでもっぱら理性的判断を狂わす非理性的役割を果たすものとして捉えられる傾向があ

 り、「感情的になるな」といった忠告が繰り返されたりもしてきた。しかし脳の働きがミクロなレベ

 ルから解明されつつある中で次第に感情の果たす役割が見直されつつあるという。

いじめでも、家族関係でもない…子どもが自殺を考える「1番の理由」の正体

 文春オンライン 末木 新 によるストーリー 2023.7.3

 家族関係や学業・進路の悩みが若者の自殺の原因として最も多い、ということは教師として弁えてお

 きたい。特に進路指導にあたる教師は要注意。

「まさか」と「またか」 人を自殺に追い込む「危機経路」に“一定の規則性 「全

 体」通じた支援を FNNプライムオンライン によるストーリー 2023.9.10

 自殺に至るプロセス全体を通じての予防策が必要であり、その予防策はすべての 人々にも役立つも

 のとなる、という指摘はこの問題を考える上で踏み外してはならない基本中の基本だろう。

小中学生の自殺“過去最多” 近年増加「市販薬のオーバードーズ」による死が統計に

 含まれない事情 弁護士JPニュース によるストーリー 2023.10.5

 「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患実態調査」によると、10代の薬物使用における「市販薬」の割合は14年には0%だったが、16年には25%、18年には41.2%、20年には56.4% 、22年には65.2%と増加している。その結果として、市販薬のオーバードーズによる死亡が後を絶たない…という。しかもオーバードーズによる死亡は自殺としてはカウントされていない可能性があるらしい。

 とすれば児童生徒たちの「自殺」件数は厚生労働省のものですら信用できない。

女子高生に広がる市販薬の乱用、その背景にある“深刻な現実”とは?

    ダイヤモンド・オンライン 渋井哲也 2025.9.16

 この動きは高校教師にとって最も緊急性があり、強く警戒すべきものだろう。合法的に手に入る市販薬の危険性を一体、どのように授業で扱ったらよいのか、どういう点に注意すべきなのか…自殺防止の観点からも、しっかりと研究して一刻も早く授業で取り上げたい記事である。

思春期女子の心の健康悪化「深刻」 若者の自殺、女子が男子を上回る

     朝日新聞社 2025.9.30

…女子が昔ながらのジェンダー規範に沿って期待されるだけでなく、学業や社会で成功することも同時に求められるプレッシャーを受けているほか、SNSなどインターネット利用の悪影響、対面だけでなくネットを介した性的搾取過剰なやせ願望、思春期の早期化などの様々な要因が複合的に関与している可能性があると指摘…

     この記事の太字に注目すると女性に対して社会進出が煽られる一方で男女平等度が低く、女性差別が強く残存している事が若い女性の自殺を増加させている…と読み取れそうなのだが、いかがか。

 ところが…

     …研究チームによると、思春期の、特に女子でメンタルヘルスの問題が深刻化している傾向は世界的にも共通で、男女間の格差が広がっている。43カ国を調べた国際調査では、男女平等度の高い国で格差が拡大しているという…

     とのこと。研究チームの指摘はかなり矛盾した内容のように思える。自殺報道には慎重な姿勢が強く求められている現在、このような論理的に大きな矛盾のある、いい加減な記事を平気で発信する朝日新聞の気が知れない。

     とはいえ、日本での若い女性の自殺が急増している点は確かだろう。文科省や厚生労働省はこの動きの背景にあるものは何なのか、どのような対策が必要なのか、研究チーム任せにせず、一致協力して国家としての責任をもって一刻も早く究明すべきである。

 

戦争トラウマ、初の実態調査 国が旧陸海軍病院の資料など照会へ

   毎日新聞 によるストーリー 2024.8.16

 戦争経験者がほとんどこの世を去った段階での、あまりにも遅すぎる取り組みにむしろ驚きを隠せない。日本の精神医療体制の遅れはこうしたところにもあからさまに露呈しているのだ。欧米では第一次世界大戦のころから注目されてきたこの問題が日本では何と一世紀遅れで話題になる…日本における学校教育行政の遅れと精神医療行政の遅れは密接に絡み合いながら全国各地にイジメ自殺事件の発生を招き、青少年の自殺率を高止まりさせてきた。厚生労働省と文科省の抱える闇は深い。

   ※参考動画

  【落合陽一】日本の死因はウソだらけ!見逃される殺人も?「異状死の解剖率わずか1割」法医学

   者の岩瀬博太郎がヤバすぎる現状を告白、なぜ解剖率低い?心不全が多い謎、野生型ガン、買う

   なら「高い車」が良いワケは NewsPicks /ニューズピックス  2024/08/08  17:36

   「異状死の一割しか解剖されない」現状では自殺統計も信用できるわけがない。死因の特定が解

   剖無しで「心疾患」という安易な診断が下されがちな日本では殺人ですら見逃されがち…という

   解剖医の指摘に驚かされる。原因究明の努力が何事においてもいい加減な日本の行政のあり方に

   大きな問題がありそうだ。

 

 このテーマでぜひとも視聴させたいのが「受け入れるという生き方 」佐々木 美和 (TEDxNagoyaU2015/08/28 17:50)です。この講演ではウツを扱ってはいません。重い病気で死に直面し、「不安や恐れと向き合う」若者に最後の限られた時間をどう送らせていくのかがテーマとなります。ちょうど高校生の話であり、話者の佐々木さんも話上手なので生徒の集中力が切れることはないでしょう。

 いきなり自殺の問題から入ると展開が余りにも重苦しくなります。とはいえ軽く冗談からはいるネタでもありません。このような、真剣に耳を傾けたくなる講演から入るのがベストと感じています。真剣に聞いてくれた生徒達はやがて「ウツの人」に対しても、また誰であっても「受け入れるという生き方」が必要であることに気付いていくはずです。

 関連してご紹介したい動画は「がんになって良かった」と言いたい 23歳でこの世を去った京大生の決意 AYA世代のがん患者たちと共有する想い」(関西テレビNEWS 2022/03/10 10:23)です。「がんになって良かった、と言いたい」との発言になぜ批判が多かったのか、討論させてみたいですね。また「人が死ぬ前に本当に後悔すること5つ 2000人を看取った医者がお伝えします」(緩和ケアちゃんねる・かんわいんちょー 2022/07/13 19:24)もオススメ。死を前にして後悔しない生き方、亡くなり方とは何だろう・・・しっかりと考えておきたいテーマです。

 

 以下は10年以上前ですが私が授業で用いたプリントの内容を教材の一例としてご紹介いたします。

 

はじめに

 心因性の問題に対してはカウンセリングを中心とした心理療法が試みられています。心身に悩みを抱えて憂鬱な日々を送っている人達を薬に頼らずに少しでも楽な気持ちで過ごせるよう、働きかけるのが心理療法です(なお薬の投与をともなう治療行為はお医者さんの資格を必要とし、普通の心理療法家では薬は扱えません)。精神科に対する偏見や心理療法に対する誤解が少なくなってきたせいか、特に気がねすることも無く精神科の外来やカウンセラーのもとを訪れる若者が徐々に増えてきたといいます。臨床心理士の資格があれば実際、就職にも事欠きません。今や、学校カウンセリング自体が小学校や中学校段階ではかなり軌道に乗り、特にカウンセリングへの興味関心は青少年の間にも非常に高まってきているようです。そこで今回はカウンセリングを中心に今、最も「ホット」な心理療法の世界を少しだけ覗いてみましょう。

1.カウンセリングの基本的考え方:来談者中心の発想とは?

 カウンセリングはアメリカのカール・ロジャースが1940年頃に来談者中心療法を確立して以来、様々な療法に枝分かれして現在に至っている。しかし来談者とカウンセラーが一対一で向かい合ったときの基本的な心構えはロジャースの唱えた原則がほぼ踏襲されているといってよい。それは「来談者中心」という言葉に表されているもので、かつての治療が治療者中心のものであったことへの反省から生まれてきた原則である。

 普通の病院を例に「来談者中心」の意味を考えてみよう。患者である我々は医者に吐き気やら痛みといった症状とその部位を告げ、医者はそれに対して触診したり、さらに詳しく症状を聞きだしたり、場合によってはレントゲンなどの検査を行うだろう。そして「ただの風邪のようです。」といった診断を下し、薬を与えたりして治療を終える。患者は普通、症状を訴えるほかはすべて医者の指示に従うのみである。専門的知識を持たない一般の人たちはこうした「治療者中心」の一方通行的な治療を当然のこととして受け入れざるを得ないのが現状である。

 身体的な症状を解決してもらうだけなら、我々も上記のような治療者中心の治療に我慢できるかもしれないが、心の異状を解決してもらうとなると話しは別であろう。何よりも自分の心の奥底を他人に見せること自体、我々に抵抗感が強い。加えて心は身体のような物体ではないから、他人が直接見ることも触れることもできないし、患者の心は結局、患者自身が主体となって変える以外に方法はあるまい。そもそも患者が主体とならなければ治療自体が成り立たないのだ。カウンセリングにおける患者中心の発想は治療における身体と心とのこうした違いから必然的に生まれてきたと思われる。

 ロジャースが来談者中心の発想を重点に置いたときに、それを具現化するための手法として最も重視すべきものとしたのが来談者に対するカウンセラーの受容的な姿勢(非指示的姿勢)であった。カウンセラーは来談者に対してできるだけ批判的な言動はとらずに共感的理解に努め、相手への無条件で肯定的な関心を持ち続けなければならないとされた。そのためカウンセラーは「…したほうが良いのでは」といった指示的なアドバイスを避け、来談者の言葉を反復して投げ返したり、不明瞭な部分を明確化してあげることに努めることになった。

カウンセラーはあくまでも相手を暖かく全面的に受け入れるという姿勢を貫き、その言動で来談者の主体性を損なわないよう、細心の注意を払った。そうすることで来談者の心理的抵抗感をなくし、来談者自らが問題の所在と解決法を気付くように仕向けられるとロジャースは考えたのである。すなわちカウンセリングとは専門家から来談者が何らかのアドバイスを受けるもの…といった通常の観念はここでは否定された。問題の発見と解決はカウンセラーが行うのではなく、来談者自らが行う、だからこれを来談者中心療法と呼ぶのである。

※ただしカウンセラー自身が自らをありのままに呈示する姿勢も無いと、来談者も安心して自由に感

 じ、考えたことを表現できなくなるかもしれない。したがって場合によってはカウンセラーが来談者

 への不満や攻撃的な感情をあえて表現することも許されるという。確かにカウンセラーが自らの感情

 を偽ってうわべだけで「受容的」な雰囲気を作り上げても、それはかえって「うそ臭さ」を伝えてし

 まい、来談者が真の自分自身に迫ることを妨害しかねないかもしれない。

2.行動療法

 カウンセリング理論とかなり対極的な立場をとるのが、この行動療法である。1959年、伝統的な心理療法に対抗し、学習理論(「学習心理学入門」参照)にそくした療法としてH.J.アイゼンクにより提唱された。彼は来談者の主観のような、科学的に実証できない曖昧なものには依拠できないとロジャースらを批判し、さらに無意識もまた実証不可能としてフロイトらの精神分析学をも批判した。行動療法ではあえて心を直接の治療対象とはせず、問題とされる行動の修正をはかり、「眠れない」といった症状の除去を最大の課題とする。問題とされる行動は過去に学習されてしまったものと捉え、その消去と好ましい行動の学習をはかるのが治療の基本となる。治療の具体例を見てみよう。

例1.「アルコール依存症に対する嫌悪療法」

 いわゆる「アル中」の患者を治療するためにまず吐き気を催す薬物を患者に投与し、吐き気(=嫌悪)が生じてきたら直ちに酒を与えるというもの。これを繰り返すことでアルコールにたいして「吐き気」を条件付け、飲酒行動の消去をはかろうとする療法である。

例2.「高所恐怖症に対する系統的脱感作療法」

 高い所が極端に苦手な患者に対して、少しずつ高所に慣らしていくと同時にその都度リラクセーションを施して、「高所」(刺激)→「恐怖感」(反応)という結びつきを消去していく治療法。ただし最近ではリラクセーションを施さずとも少しずつ恐怖場面にさらしていくエクスポージャー(曝露)だけでまったく同等の治療効果が得られるとされてきている。

 まずは不安階層表を十段階程度、作成。最初は不安の低い刺激から階層順に患者を刺激にさらしていく。その際、自覚される恐怖感を10点満点で自己採点させる。曝露される時間が経つにつれて恐怖感は必ず逓減されるので、理想的には0点になるまで曝露を続ける。0点となったら次の階層に進む。最終的には恐怖感が最高となる階層でも0点となったら治療終了。アメリカではさらにVR技術を使ったVRエクスポージャーも出現し、大きな治療成果を挙げているという。

 一般的に行動療法は精神分析と違って患者に対し過度な精神的負担を与えずに、しかも症状によっては短期間で改善されるというメリットがあるという。つまり特定の症状に対して自分の心の奥底に原因を求めていく分析的手法はヘタをすると自責の念の「アリ地獄」へと自分を追い込んでしまいかねない。しかし行動療法はどちらかといえば身体的な側面に原因を求める傾向がある分、治療を受ける際の精神的な負担が軽く済むようである。

 そもそも行動療法では自分の心の奥底を他人にのぞかれるという不安が少ない。ただし、「アル中」患者の場合でいえば確かに行動療法では短期間で症状の改善が見られるようであるが、中長期的に見た場合、やや気になる点も出てこよう。つまり、「アル中」患者の飲酒行動が嫌悪療法によって一時的に抑えられたとしても、彼が飲酒行動に耽るに至った原因(夫婦関係の破綻、仕事の失敗…etc)は未解決のままであろう。したがってたとえ嫌悪療法で一時的に症状の改善が見られたとしても、その原因が解決されない限り、やがては再発してしまう危険が残りそうである。

 重症の薬物依存のように一刻を争う場合には、行動療法で早期の症状改善をはかって健康の回復を待ちながら、折をみて根本的な原因の解決をカウンセリングや行政側の対応によって進めるという二本立ての解決法も考えられるだろう。実際、折衷的立場で治療する人も多い。ただでさえ、心の世界は謎だらけである。行動療法かカウンセリングか、それとも精神分析か…といった硬直した二者択一の発想ではなく、それぞれの長短をふまえたうえでの柔軟な発想で心理療法を捉えることが必要なのだろう。

3.認知行動療法の考え方

 アメリカのアーロン・ベックが1970年代に提唱し、デイビッド・バーンズらが普及に努めた精神療法。それまで対立的だった行動主義的立場と認知主義的立場を折衷して統合。日本でも2010年からうつ病の治療法の一つとして公的に認められ、医療保険の適用を受けられるようになりました。この治療法が普及したことでそれまでの不毛とも見えた行動主義と認知主義との激しい対立に終止符が打たれたことの功績は大きいと考えます。つまり認知行動療法は行動と認知の双方に働きかけ、二つとも好ましい方向へと変容させていく、折衷的な立場をとる治療だと考えて間違いないでしょう。

※実は私が卒業した大学の臨床心理学においては行動主義の立場が強く、精神分析などには極めて批判

 的な先生が中心にいました。個人的にはユングの思想に興味を持ち、河合隼雄氏の昔話の分析などを

 喜んで読んでいた自分にとっては正直に言って居心地の悪さを感じる環境でした。しかし、今、思う

 と確かにユングの立場は神秘思想的過ぎて科学から遠ざかっていく要素があるのは事実でしょう。と

 はいえ、夜尿症の子供に対し、治療と称してシーツから微弱な電気ショックを与えて覚醒させ、排尿

 させるという当時の行動主義の治療法にも違和感は拭い去れませんでした。双方の考え方の谷間に落

 ち、先の見通せない暗闇の中で心理学そのものから遠ざかっていた自分にとって認知行動療法の登場

 は絶妙の落としどころを自分に与えてくれたのです。

 

 認知行動療法の魅力は再発率の低さにあると言われます。薬物依存の心配も不要で短期間で一定の効果を上げられるとも喧伝されました。特に自己洞察を深め、行動を変えていく過程で自身を自分にとっての最良のカウンセラーとして訓練していく側面は再発を防ぐ上でもとても重要な発想であると感じます。

 治療としては来談者がまず自身のうつ病特有の考え方、認知の歪みに気づくことから入ります。うつ病患者には瞬間的に浮かんでくる特有の自動思考思い込み・決めつけ、白黒思考、べき思考、深読み、先読み、自己批判・・・)とスキーマ(後ろ向き、内向的・・・自動思考の根底にある思考の強固なクセ、信念)が共通して見られるため、患者自身にそのことを気付かせるのです。気付いてもらうには「認知の歪み発見スケール」(→「悩み・不安・怒りを小さくするレッスン・・・」中島美鈴)や「下向き矢印法」などがあります。両方とも授業で活用できます。

・下向き矢印法:たとえば相手からメールの返信をもらえない時、誰でも多少は不安になります。そこであなたは「その相手から自分の言動が原因で機嫌を損ねてしまったかもしれない。」と考えたとします。そこから先は「それがもし事実だとしたらどうなるのだろう?」と自問自答を繰り返させるのです。「私は相手から嫌われているのだろう」が次の答えなら、また「それがもしも事実だとしたらどうなるだろう。」と問い続けていきます。結果的に「私は多くの人から嫌われている」「自分はダメな人間だ」という答えが出たならばその答えには明らかに「思い込み・決めつけ」や「先読み」「自己批判」などの自動思考が絡んでいます。

 ベックらが指摘したうつ病特有の認知の歪みを示す自動思考は非常に重要な知見になりますのですべて紹介しておきましょう(→「いやな気分よさようならコンパクト版」D.バーンズ 星和書店)。

すべてか無か思考(白黒思考):物事を極端に、白か黒かどちらかに分けて考えよ

 うとする傾向(=二分法思考)。

一般化のしすぎ:たった一回の失敗をしたことだけで今後は常に失敗すると考えた

 りする傾向。

心のフィルター:ネガティブな「色眼鏡」をかけて物事をマイナスに見てしまう傾

 向。

マイナス化思考:何でもない普通のことや良いことですら悪いこととして考えてし

 まう傾向。

心の深読み:他人の心を確かめもせずに自分に対して負の感情を持っていると予想

 してしまう傾向。

誤った先読み:ちょっとした事を不幸の前触れと信じ込む傾向。これからは悪いこ

 としか起きないと決めつける傾向

拡大解釈と過小評価:自分のマイナス面は拡大解釈し、自分のプラス面は過小評価

 してしまう傾向。逆に他人の長所を過大評価し、他人の欠点を過小評価する傾向。

感情的決めつけ:自分のマイナス感情によってすべてを決めつけようとする傾向。

べき思考:物事をすべて「・・・すべき」「・・・しなければならない」と自分自

 身に必要以上のプレッシャーをかけてしまう傾向。自罰的傾向を生み出す。

レッテル貼り:一般化のしすぎと同様に一つの出来事で自分にマイナスのレッテル

 を貼ってしまう傾向。他人への偏見や攻撃的言動を生み出す。

個人化(自己批判):マイナスの出来事の責任、原因をすべて自分個人の責任に期

 してしまう傾向。

 ※以上の自動思考は重なる要素が多いので、どれか一つに当てはめる必要は無い。

 

 来談者の自動思考やスキーマを批判してはならず、来談者自身に気づかせ、評価させる。これはきわめて認知主義的な考え方。しかし行動を変えていくという指示的行動療法の側面も持っている(ソーシャルスキルトレーニング等)。たとえば抑うつ的で非社交的なタイプに対してD・バーンズは敢えて来談者に一人暮らしをさせて孤独の中でも自分自身を楽しませる訓練をさせている。

 自分をいたわり楽しませる訓練→人間的魅力の向上+孤独を楽しむ心のゆとり→大切なパートナーとの出会い→他人をいたわる気持ちと能力が向上→積極的な他者への関わり→人間関係の拡大と深まり=抑うつ気分からの回復

※ただしプラグマティックで理屈っぽい面があり、日本人向きでは無い、重症者にはあまり適さないと

 いう批判もある。

 

4.マインドフルネスの考え方

 認知行動療法から派生し、1990年代以降注目される。禅宗の教えに影響されて成立:「座禅呼吸法」を重視。理屈や言葉よりも体験、体感を重視(初期の理屈っぽい認知行動療法との違い)。

 「今を生きる」:過去の悲しみを反芻して落ち込み、将来への不安を先取りして落ち込む自分から・・・現在のありのままの自分の大切さ、今生きていることの素晴らしさに気づく。「マインドフルネス」とは「今この瞬間に、判断を加えることなく、能動的な注意を向けること」。呼吸法(吐くことに重点、腹式呼吸)と漸進的筋弛緩法がリラクセーションのポイント。生き生きとした五感を取り戻す。

 負の感情にも居場所を与える。恐れや不安にも存在価値。メタ認知(第三の自分)を鍛える。感情の渦に巻き込まれず、そこから距離をとってしばらく自分の感情の動きを眺めるうちにいつの間にか 負の感情は弱まってくる(脱フュージョン)。負の体験や感情に対して戦いを挑むのでも回避するのでもなく、冷静に観察し続ける目を養う。

参考動画

感情を切り離す、マインドフルネスを解説 #早稲田メンタルクリニック #精神科

 医 #益田裕介 2022/03/12 精神科医がこころの病気を解説するCh 15:08

【自己肯定感の育て方】スタンフォード式 親子でできるメンタルトレーニング/危

   険な自己肯定感・求めるべき自己肯定感/最新の脳科学・心理学200以上の研究論

   文に裏打ちされた子育てメソッド PIVOT 公式チャンネル  2023/10/31  34:41

【驚愕】現代に発達障害が爆発的に増えている理由【精神科医・樺沢紫苑】

    精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル 2025/09/07 16:23

    精神科医で早くから数多くの動画を配信している樺沢氏であり、この動画は特にオススメ。最近、よく耳にする発達障害とは何か、スマホや食事、運動との関係がバランスよく説かれている。非常に分かりやすく整理されていて、さすがに斯界のベテランだけある。

  後編に続く

 

④公立高校の独立行政法人化?

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考記事

東京都立高の一般入試スタート 全日制の倍率は過去最低1・29倍 無償化が影響か 

   産経新聞 2025.2.21

 大方の予想通り、東京都も大阪府と同様、公立高校の入試倍率が低下している。しかし、それ自体は高校教育の改善に関してプラスでもマイナスでもないだろう。府立高校や都立高校が多少、統廃合されたとしても高校教育の改善には必ずしも結びつかない。問題は教科書検定制度と共通テストによる授業内容の過剰な画一化や統制強化、教育行政の過剰な管理主義化、知識偏重主義の横行、一斉講義形式の蔓延、肥大化するばかりの学校業務、大学での教員養成教育の遅れ、旧態依然の教員採用試験と管理職登用試験、各高校における不公平な校内人事…などなど数多ある。

   これら、山積する難題を学校間や教師間の新自由主義的競争、単純な市場原理だけで解決できるわけがあるまい。法制度の大幅な見直しを前提とする、1980年代の臨時教育審議会並みの、腰を据えた本格的で中長期的な展望に立った議論が、今後は避けて通れない、と考えるべきだと思うのだが、いかがか。

高校無償化巡り、教育の質の重要性を石破首相強調「卒業証書さえもらえばよいと

   いうものではない」 読売新聞 2025.2.26

県立高校一般入試、最終倍率は0.82倍 志願者は3159人 朝日新聞社 2025.2.26

   県立の全日制普通科高校の受験倍率が県単位で平均1倍を割り込んだのは宮崎県だけではない。富山県では史上初めて0.99倍となっている。高校教育全体の無償化が検討されている中で、公立から私学へと受験生がかなり流れてきているのだろう。このようなことは大阪府や東京都では以前から表面化していた。当然、これは早くから予想されていた事態である。

   競争原理が働かない上に「金太郎飴」のような没個性の公立を、できるだけ数多く淘汰し、激しい競争を通じて高校教育全体の質を向上させる…こうした維新の会の目論見はいよいよ全国レベルで進んでいくだろう。しかし、長い事、無競争もあって停滞気味の公立高校の没落を今後、加速させていくことが、実際に高校教育全体の質を上げていく…という保証は必ずしもない。私学の教育の質があらゆる面から公立よりも本当に高いのかどうか、は多少、議論の余地があるからだ。もちろん、公立高校の質は全体として決して高いレベルではないが…

  真っ先にここで問われるのは学校教育における「質の良さ」とは一体、何なのか?ということだろう。石破首相が言葉にする「質の良さ」とは具体的に何を意味しているのか、詳細に問うべきである。学校教育を語る際、下手な美辞麗句、抽象的な理念は誤魔化し、誤解、曲解を避ける上でもできるだけ口にすべきではあるまい。

日本の公的教育支出は、GDP比で見ても子ども1人あたりで見ても他の先進国より低

    い ニューズウィーク日本版 舞田敏彦(教育社会学者)2025.9.22

 この厳然たる事実は手を変え品を変えて繰り返し、指摘されるべきである。「教育立国」というまやかしのスローガンに騙されてはなるまい。政府はさらに教育予算を削るべく、大学のみならず高校まで独立行政法人化を図ろうとしているに違いない。

 こんなまやかしの政府を支持し続ける国民のお人好しさ加減に呆れるほかない。

50校中40校が定員割れ 熊本県立高校のあり方検討会が2034年度までに学級約2割減

    を示す 県立高校の魅力づくりに自治体や企業との連携も

    FNNプライムオンライン 2025.9.15

 「2027年度から熊本市内の高校も含め全校で計画的に学級を減らし、2034年度までには現在の約2割に当たる62学級を減らすことなどを示した。また、学校の魅力づくりのため、自治体や地元企業との連携を推進することも提言した。」とのこと。

    松下琢会長(崇城大学教授)は「高校は地域にとっては活力の源。地域創生の要。(学校存続を)目標にして地域で努力してほしい」と述べたという。

 この無意味な検討会の不気味なまでの無意味さは会長の言葉で際立ってしまっている。ただでさえ学校のブラック化が進んでいるのに、学校を地域創成の道具として地域社会で盛り立てよ、とのご託宣である。急速に少子高齢化が進む地域社会に県立高校を盛り立てていくだけの力が残っているはずがない。

 県立高校の不信は熊本県に限ったことではない。中学生たちから進学先として見放されている県立高校の問題点を全国レベル、県レベルでまずは縷々指摘し、その改善点を考えた上で熊本県における県立高校の魅力づくりに関する提言は行われるべきだろう。

 県立高校の魅力が乏しくなった背景に何があるのか、その責任はどこにあるのか…県教委の責任と国レベル、文科省の責任をも詳細に論ずることなく、高校再生の努力を地域社会に丸投げするだけの提言に一体何ほどの価値があるのだろう。呆れてものが言えなくなるほどに噴飯物の、意味不明な検討会の提言である。

 この記事からも分かるように、学校改革をめぐる議論のレベルの低さはもはや絶望的なものではあるまいか。なぜ教育を巡る議論がここまで劣化してしまったのか、マスコミや教育行政側、研究者側の責任も決して軽くはあるまい。

山内省二の一筆両断 公立高校の独立行政法人化? 変化し過ぎた「何でもあり」を

 危惧 産経新聞 2023.7.24

 公立中学校や公立高校の独立行政法人化を構想する政治家グループがいるらしい。明らかに少子高齢化に直面する地方の実情を無視する噴飯物の暴論である。これでは地域間格差の更なる拡大は不可避となるに違いない。

 かつて国公立大学で実施した政策をきちんと検証し、まともに反省しないうちに中等教育段階にも適用するという極めて無責任で安易極まりなく、かつ危険な構想。これ以上、学校現場を混乱させ、学校のブラック化を推し進めて何をしようというのだろう。

 競争原理を公立学校に導入して学校の淘汰を推進する試みの一部は大阪府で進められているが、大阪府での隠蔽問題を中心とする学校の不祥事は相変わらず続発している。特に表では学校の業績ばかりを喧伝する裏側で不祥事の隠蔽を進めかねないのがいかにもポピュリズムらしい「人気取り政策」の大きな欠点だと思われる。

 そもそも学校教育の質を向上させるにはまず教師養成教育の見直しを先行させる必要があるはず。それに仕事量の軽減と教師の授業力向上こそが喫緊の課題なのであり、余分な仕事を増やしかねない構想は百害あって一利無し。

 また山内氏は学校を保守的な任務を帯びるものと決めつけているが、大切なのは保守と革新のバランスであり、学校の保守的機能ばかりを強調するのは合点がいかない。こんな珍妙な議論が存在していること自体、今の日本の教育が腐敗しきっていて、まさに存亡の危機にあることを示しているのだろう。

高校無償化で公立離れ!? 「高校教育改革」を自公維が提案

    朝日新聞社 2025.6.13

 給特法改正や高校無償化が高校教育の改善と結びつく保証は無いだろう。もちろん、保護者にとって無償化は歓迎される。しかしそれは教育内容の改善とはほぼ無関係である。学校のブラック化やブラックボックス化を押しとどめるものでもあるまい。給特法改正に至っては教師の待遇改善すら望みようのないただのゴマカシに過ぎない。さも「教育改革」を進めているかのように見せかけ、その実、教員の持ち帰りサービス残業を増やすだけである。

    当然、教育内容のみならず、教育方法、教員人事を含む教育行政、教員養成…それらをすべて根底から見直すべきである。改革の目指すべき方向は部活動の地域完全移行を軸とする教師の職務削減、授業改革、授業改革を軸とする教員養成教育の見直し、画一的で管理主義的かつ不透明な教育行政の民主化、透明化などであろうか。

    「公立離れ」は主たる問題ではあるまい。場合によっては公教育の縮小すら視野に入れるべきかもしれない。いかがだろう。

「大阪ではタダなのに…」大阪で私立人気高まり公立70校定員割れ 兵庫県の県立高

   は独自策で志願者増 高校無償化巡る維新・与党議論は平行線

   FNNプライムオンライン   2025.2.11

   高校の授業料を完全無償化すること自体に反対する人は少ないだろう。現状として義務化と言って良いほどに高校の進学率は高い。同調圧力の強い日本である。高校への通学を半強制的に強いる日本社会ならば保護者の経済的負担は少ない方が好ましいに決まっている。しかし高校授業料の無償化自体は授業改革を柱に据えた、高校教育の質を高める経営努力に直結するわけではあるまい。

   もちろん授業改革を軸に据えて学校の個性化を大胆に推進し、教育の質を高める経営努力を行えるような環境がしっかりと公立高校に存在していれば、授業料の無償化は教育の質を上げていく可能性が出てくるだろう。授業料という公私の壁が取っ払われる分、授業の良し悪しを巡って公立と私立との競争が激化し、授業の質が良くない高校や教師は淘汰され、質の良い教師や高校は生き残る…結果的に高校教育全体の質は向上する…といったように市場の競争原理が健全に働く事態は考えられなくもないからである。

 問題ははたして公立高校が授業改革を軸とした独自の経営努力を行えるほどに自由な環境にあるのか否か、という点。あたかも金太郎飴みたいに授業内容から授業方法まで均質で、共産主義社会の様に厳重に管理されてきてしまった伝統を持つ多くの公立高校は、決して民間企業のような、独自の経営努力を行えるような環境に置かれてはいない。そもそも校長を含めた教師自体、自分の所属する学校への帰属意識は極めて低いのが現実であろう。

 社員ならば企業の成長が自分の生活に直結するため、管理職を含め、多くの社員たちは会社の経営状態に無関心ではいられない。他方で公立高校の多くの教師は、勤務校の定員割れや中退者の増加に、我、関せず、である。公立高校教師の多くは運命共同体的帰属意識など勤務校に対してほとんど持っていない。学校経営の責任者たる管理職自体がそもそも勤務校の経営に無関心であるばかりか、授業の質を高める事への意欲、知識すら皆無の人物は少なくない。

 第一、勤務校へ3年間しか在職しない管理職に独自の学校経営など出来るわけが無いのだ。彼られのほとんどは自己保身に走り、ひたすら不祥事が起きない事だけを欲している。ゴールはあくまでも自身の円満退職とその後の好条件な再就職先の確保なのであり、本音では目の前にいる生徒たちの人生など知ったこっちゃない…

 管理職に学校改革、授業改革の意欲、資質すらほとんど存在しないような公立高校と、少子化の中で生き残ろうと必死にあがき、独自の経営努力、授業改革を強いられてきた私立高校とがこれまでのような公私の「棲み分け」をやめて生徒募集で激しい競争を行うことになれば、その勝敗は明白である。大阪府や東京都の様に公立高校の過半は淘汰されていく他あるまい。

 もちろん、それは好ましくもあるのだが、視聴率稼ぎに奔走するあまり、不祥事を招いてしまったフジテレビの例もある。中学生の人気取りに走るだけの高校は大きな危険性も秘めているだろう。

 特に管理主義的傾向の強い千葉県などでは学校経営という言葉が教師や生徒たちへの管理統制、というマイナスの意味合いでしか用いられてこなかった伝統が濃厚に受け継がれてきた。だからこそ入学試験の志望者が入学定員の3割にも満たないような県立高校が毎年のように複数、存在しているのだ。そうした高校を含めて授業の見直しを軸とした独自の経営努力を目に見える形で行っている県立高校を、私自身も見聞したことは無い。

 つまり、今、根本から見直すべき重要案件は公立高校の硬直した管理主義、画一的教育の在り方なのである。もちろん、授業料無償化は直ちに実現すべきであるのだが、授業改革もまた別途、真剣に検討されるべきである。ただし、授業改革にあたっては大きな障がいが立ちはだかっている。学校のブラック化である。

 授業料完全無償化と教師の仕事の削減は喫緊の課題であり、どちらも蔑ろにはできない。授業料の無償化に加えて、教師たちが自己の授業改善に取り組めるだけの時間的体力的余裕を生み出す…すなわち学校の仕事量の大幅な削減こそが、現在、真っ先に求められていると考えるが、いかがか。

N高・S高の生徒数が3万人突破8年5か月で20倍に リセマム 2024.9.2

 なぜこの学校が急速に生徒数を増やしてきたのか、その理由について生徒たちに考えさせたい。また全日制普通科の公立高校が入学希望者数を増やすには今後、何が必要なのかも考えさせたい。

大学院卒なのに…「国立大教員の求人募集」で示された年収が驚きの低さだった

 ダイヤモンド・オンライン 朝日新聞「国立大の悲鳴」取材班 2024.12.1

「日本の研究力」は韓国・イラン以下…20年で順位を急落させた「犯人」とは?

 ダイヤモンド・オンライン 朝日新聞「国立大の悲鳴」取材班 2024.12.2

 国立大学の法人化から20年、その弊害が日本の研究力の低下と大学院進学者数の減少となって表面化しているという。日本の場合、大学院進学がかえって経済的なデメリットとして機能してしまうのだから、当然の結末ではある。若手研究者への待遇悪化はもっぱら人材力に頼ってきた日本経済をさらに悪化させるだろう。何せ、教育予算をずば抜けてケチり続けてきた日本である。当然の報いというほかあるまい。

 これは高等教育だけの問題ではない。高校以下、すべての学校が抱える問題でもある。講師の増加と正規教員の不足はすべての学校種で生じている。人材育成をケチってきた政策はいよいよ少子高齢化の極致に向かう日本をどん底の奈落に突き落としていくだろう。このことは何十年も前から指摘されてきたはずなのに、なぜ、政府はひたすら経済力を低下させる政策をわざわざ取り続けてきたのか、文科省はなぜこの動きを阻止できなかったのか、見直すべき点は余りにも多い。

 優秀な日本の若者はいち早く日本に見切りをつけて、いよいよ海外に飛び出していくだろう。中高年も同じように海外での再就職を目指すだろう。そして賃金が低く、外国人の受け入れに後ろ向きな日本には観光目的以外に外国人が来てくれる可能性は極めて低くなるだろう。日本における良質な労働力の、致命的レベルでの不足が生じてしまうのは最早、時間の問題なのだと思うが、いかがか。

 かつて「国家百年の大計」と言われて重視されてきた日本の学校教育はいまや瀕死の状態にある。目先の損得ばかりを優先し、教育や研究を散々冷遇してきた日本の今後に果たして明るい兆しはあるのだろうか。

 規律正しく、親切でサービス満点かつ安価な接客、独自のエキゾチックな伝統文化と世界最高レベルの料理、最高に安心・安全で清潔な社会、世界に冠たる日本の漫画・アニメ、伝統と共存する近未来的な東京の都市景観、時刻表通りに縦横に走る公共交通機関…少なくとも観光資源においては様々な観点においても断然、世界トップクラスを誇り、年々、日本を訪れる観光客は増えている。確かに現時点での日本は表向き、最も魅力に満ちた国ではあるだろう。

 ただし、それはあくまでも海外の観光客の視点に限られることはしっかりと認識しておきたい。今やネトウヨのごとく、もろ手を挙げて「日本万歳」を唱えている状況ではないと思うのだか、いかがだろう。

 もうしばらくすれば海外に雄飛できなかった日本の若者の多くが「無敵化」し、闇バイトは一層はびこるだろう。となればかつて日本が誇ってきた安心安全神話がたちまち崩れ出すに違いない。これまでは時間通りに運航出来ていた公共交通機関などでも、労働力不足等により遅延し始める。故障や事故も増えてくるだろう。橋や道路、ダム、高層ビル、港湾施設などの一部は老朽化し、深刻な人口減少に直面する地方では急速に廃墟が目立ってくるはずだ。

 研究力の後退によって日本企業の多くは競争力を失い、少子高齢化が進む中で国家の財政はいよいよ危機に瀕する。そして防衛費は倍増すれども教育予算は相対的に目減りしていく一方となる。これからの日本はこうした悪循環の中でひたすら落ちていく運命にあるのではないか。閣僚の選定からして石破内閣にそうした危機感はどう見ても感じられまい。

東京都立高校の4分の1が定員割れ。授業料の実質無償化で私立or都立のどちらを選

   ぶべき? ダイヤモンド・教育ラボ 2024.12.5

   いわゆる公立高校民営化の動きは、公立高校の独立行政法人化構想の改変バージョンとして大阪府、東京都で真っ先に先鋭化してきていると考えられるが、いかがか。いずれにせよ少子化への強い危機感をバネにして柔軟かつ大胆に改革を進める私立校の人気は今後、一層増大していくだろう。他方で硬直した官僚主義のシステムに縛られがちになり、改革が遅れ気味な公立校の人気はさらに低下していく。これは教育予算のさらなる削減を狙う都道府県としてはまことに好都合な状態であろう。

 少子化に便乗して学校の統廃合を推進し、厄介な教職員のリストラも同時に実現できれば、行政としては願ったり、かなったり。確かに地方財政の赤字は緩和されるだろう。しかし選択肢の多い都市部はともかくとして、公立しか選択肢の無い地方はどうなっていくのだろう。実はこの問題もスマートシティ構想の枠からすれば想定内であり、財政的に重荷となってきた地方が今後はさらに情け容赦なく切り捨てられてていくことになるのだろう。地方もどんどん「スマート」になっていくのだ。

 動きの取れない高齢者も切り捨てられ、公教育の改革は中途半端なまま、公教育の衰退だけが進行していく。現今の教員不足も、都道府県の財政からみれば人件費節約につながり、実に好都合。だからこそ文科省も都道府県も市町村も、軒並み、本音の部分では公教育の改革に消極的なのではないか。

 行政側は表向き、批判をかわすために「教育改革」を声高に叫ぶが、実際に改革する気は無い…とすればこれまでの文科省の的外れな弥縫策の連発も、実は本当の意図を知られないための、国民への「目くらまし」戦法として極めて有効なのかもしれない。何よりも目先の損得勘定を優先すれば、確かにこうしたプランが生まれてくるかもしれないのだが、はたしてこれで良いのか、疑念は尽きない。

なぜ今になって…? 教育研究者が「日本の公教育の崩壊が大阪から始まる」と嘆

 く“納得の理由” 文春オンライン 鈴木 大裕 2024.12.5

 新自由主義的な観点から導入された全国学力テストの点数争いと入学希望者数を軸とした学校間の競争が一体、学校現場に何をもたらしているのだろう。大阪府民の多くはこのことにあまり関心が無いようだ。

 公教育の解体と教育予算の削減、節約が文科省の真の狙いならば大阪府の取り組みはモデルケースとしてかなり高く評価できるだろう。実際、大阪府の公教育は衰退の道を順調に辿っている。維新の会が大阪府政を掌握してから廃校に追い込まれてしまった府立高校は既に20校以上にも上っているのだ。東京都も大阪府に追いつけ追い越せとばかりに新自由主義的立場からの都立高校再編を矢継ぎ早に進めている。

 事は大阪や東京に限るまい。少子化という追い風に乗って全国的に公立高校の多くが定員割れを続け、各地に統廃合の嵐が吹き荒れている。はたしてこれで本当に良いのだろうか、真剣に問い直すべき時だろう。

「部活動は教員のボランティア」のままでよい? 学校部活動が「地域移行」するこ

    とで生まれる格差とは…今後保護者がお金で買うべきサービスに

    集英社オンライン 2025.5.14

 学校現場からこういう根拠の乏しい発言が出てくることに驚きを禁じ得ない。まず「…日本では、政治が教育に介入し、教育が戦争に加担してしまった第二次世界大戦の歴史から、政治が二度と教育に介入できないよう、教育の独立性が保障されてきました。」というが、この間違いだらけの歴史認識には明らかにファクトチェックが必要であろう。

  戦後はアメリカの占領下、GHQによって日本の教育はアメリカの政治的影響を強く受けるようになっていた。そしてサンフランシスコ講和条約後にはたちまち戦前への回帰、「Uターン」が始まり、戦前、戦時中の勢力が教育の世界にも復活してくる。そもそも学校現場では戦前と大差なく、画一的な一斉講義形式の授業と管理主義、そして体罰が横行していた。1960年代にはアニメ、漫画の世界にチャンバラや戦争物が再登場し、柔道、剣道が学校体育に復活してくる。

 いずれにせよ日本の学校教育では政府や財界による教育への干渉が排除され、「教育の独立性が保障」されてきた…などといったことは、過去、一度たりとも無かったと言って良い。学校教育には時々の政治や経済の論理が現在に至るまで途切れることなく、強く、露骨に反映されてきたのだ。

 戦後、教育の憲法とも言われる教育基本法にズラリと掲げられている理想的建前はほとんどがただのきれいごとに過ぎない。戦後における学校現場での体罰の横行などを見れば分かるように、学校は戦前からの伝統的な慣習と戦後の新たな法律の共存に対して、常にダブルスタンダードな、矛盾した姿勢を取り続けていたと言っても過言ではあるまい。

 したがって教育基本法に定められた「教育における政治的中立性」などは、公教育ですらまともには守られて来なかったと言うべきなのだ。ただし私は公教育が政治や経済の影響を受けてはいけない、とは一切思わない。シンギュラリティの到来が目前に迫ってきたと指摘する識者が増えてきた現在、学校での生成AIの利用は必須である。それは児童生徒たちに対して、個別最適な学習の保障にもつながるだろう。

 ほとんど自浄能力を失い、自己改革の意欲にも欠ける公立学校は多い。児童生徒たちが時代の進展に取り残されないようにするためにも教育産業のみならず、特定の業界とのつながりが学校としては不可避となるであろう。学校業務や授業のDX化を推進する上でも業界のバックアップは必要となる。

 授業は今後、一斉講義形式中心から議論を通じた多様性の理解と学習者主体の、個別最適化を軸とする授業へと大きく切り替えていくべきである。ただしこうした授業方法の大きな変化は教師の負担を一時的にせよかなり重くする。結果的に多くの教師たちは部活動指導を行うヒマなどほとんど無くなるに違いない。そうした点でも部活動の地域社会への移管は不可避であり、地域移管のためにも学校と地元の公民館などの社会教育との連携をさらに強めていくべきであろう。

㊻千葉県の公教育はオワコン?

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

参考動画

千の葉の先生たちの一歩目【千葉県教員採用プロモーション動画】

 千葉県公式PRチャンネル 2025/01/15 8:57

 この動画の薄気味悪さに辟易するのは私だけだろうか。教師不足に対応するために教職の魅力を分かりやすく動画で発信する、というコンセプトは多少ともその意図を含めて分からなくはない。が、やはり現役の教師たちが徐々に募らせてきた学校教育への不安や不満、苦悩とまったく向き合おうとしない県教委の、相も変わらぬ無責任で厚顔無恥な姿勢ばかりが目立つ動画…などと感じてしまうのは、はたして私のヒガミ根性が過ぎるのだろうか。

 これらの動画を視聴していると、なぜ今、教師不足が生じているのか、その原因について県や市(千葉市も同様な動画を発信している)がまともな分析をしているようには到底思えない。そもそも現状として、今の若者たちに教職の魅力が広く理解されていない…などとはどうみても思えないはずである。

 多くの教師たちはこれまでも児童生徒の力になろうとして悪条件の下でそれなりに奮闘してきたはずである。それを10年以上の長期間、児童生徒の立場で教師のすぐ傍から見て育ってきた今の若者たちは、当然のことながら教職の魅力、やりがいについてそれなりの理解を持っている。そうでなければ児童生徒の将来就きたい職業の上位に長期間にわたって教師が登場し続けるわけがない。

 明らかに教師不足の問題は若者たちの教職のやりがいへの無理解、無知にあるのではない。したがってこの程度の薄いつくりの動画で既に分かり切ったことを敢えてプロに依頼して動画編集を重ねても、教員志望者数を増やす面での効果はほとんど期待できまい。いや、これはむしろ美辞麗句を連ねたブラック企業の新入社員募集広告に酷似する、詐欺まがいの怪しさすら漂っている。一言でいえばまさに前途有望な若者たちをたぶらかす、悪質な詐欺広告に過ぎまい。

 どうやら動画に実名で登場する二人の新人教師たちは自分たちの勤務校までネット上に晒されている恐ろしさにまだ気づいていないようだ。初任なので彼らがその恐ろしさに気付けないのはある程度仕方ないのだが、そうした彼らの無知さと立場の弱さに付け込み、ただの詐欺まがいの広告に利用する教育委員会の狡猾さには怒りしか覚えない。

 管理主義教育先進地で悪名高い千葉県のことである。数年後、彼らは厳しい労働環境に耐えかねて早くも休職や退職に追い詰められているのかもしれない。いや、さほど遠くない将来、彼らが自分たちの動画を一刻も早くネット上から削除して欲しいと願う日さえ来るかもしれない。

 なぜならば小学校に赴任した女性教師は初任であるにもかかわらず、いきなりクラス担任を任されている。初任者研修の厳しさからすればこれは決して好ましくない人事であり、初任をいきなりクラス担任に据えることは本来、学校として極めてみっともない人事であるし、決して世間に晒してはならないはずの異常で残念な事態であるべきだろう。公にされたら恥ずかしいレベルの人事が千葉県の場合、平然とネット上でさも自慢げに晒されている…これは残念極まるこのような異常な人事がこの地では既に常態化している証拠なのである。こうした「恥知らず」の人事が横行しているのは間違いなく木更津市だけではあるまい。

 そして男性の高校教師の方は県内でも有名な教育困難校に、可哀そうにも初任で赴任している。こうした初任教師に対する慎重な配慮の欠片も見られない人事は、ベテラン教師が異動先として嫌がる困難校での人手不足を無理やり補うべく千葉県でも古くから常套手段と化していた。これもまたどんな赴任先でも「ノー」とは言えない初任者の弱い立場に付け込んだ卑劣な人事というほかない。ところがこれも常態化してしまっているがゆえにその異常さ、卑劣さに県の誰もが気付けていない。

 非常識な異常事態を常識的人事であるかのように押し付けてくる、恐ろしい教育風土が千葉県には根深くかつ幅広くこびりついているのだ。そしてそうした残念な人事が千葉県の公立高校では一切の反省すらされないまま、いまだに横行している…という極めて情けない実状を千葉県自ら「恥知らず」にもネットを通じて堂々と全国に晒しているわけである。あまりの厚顔無恥さに呆然とする他あるまい。

 千葉県や各市町村が学校の実情をどこまで直視し、学校のブラック化にどう対処していくつもりなのか…学校の労働環境の改善目標をいくつか的確に明示し、どのような見通し、スケジュールを持って事態の改善にどの程度まで真剣に取り組もうとしているのか…こうした事を赤裸々に開示し、一見キラキラした教職の魅力の裏側に隠された学校のブラックな実情への改善への道のりを教員志望者に対してしっかりと示していく…この事こそ、今の若者が教育委員会に対して真に求めている情報であると思うのだが、いかがだろう。

 こんなゴマカシ動画が今もまかり通ると信じている教育委員会の方々、若者を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。

参考記事

いじめ問題、教育委員会の「隠蔽体質」あちこちに 資料破棄、議事録作らず、虚偽

    答弁…習志野市議会で批判相次ぐ 東京新聞 2025.9.18

 これだけ数多くの悪質な法律違反を繰り返していたにもかかわらず、校長や担任、教育長以下教育委員会側が今後、厳しく処罰されないとなれば、同じ過ちはたちまち繰り返されるに違いない。監督官庁の判断が注目される。

    それにしてもその堂々たる法律違反ぶりには驚き呆れるばかり。さすが、かの千葉県である。コンプライアンスなどという言葉がすっかりかすんでしまうほどの、この地域の旧態依然たる教育風土は一体、何に由来するのだろう。ぜひ、生徒たちにも推理させたい。

公立高のバリアフリー格差、調べた千葉の高校生「こんなに違うなんて」 エレベー

    ター設置率が東京と段違い 東京新聞 2025.7.6

 東京都立高・中等教育学校は85.9%、埼玉県立高の設置率は29.1%、神奈川県立高・中等教育学校は32.4%、千葉県立高では14.8%らしい。…東京と3県との格差について、千葉県教委の担当者は「財政的な違いではないか」と推測。2028年度までに設置率40%を目指し、車いすの生徒がいる学校への優先設置や、初期費用を抑えられるリース方式で導入を進める…らしい。

 千葉県教委の担当者のおとぼけぶりには怒りを覚える。「財政的な違い」だけで埼玉の29.1%と千葉の14.8%、すなわち倍近くの格差をはたして説明できるのだろうか。県教委においては財政的格差以上にバリアフリーへの意欲に格差があったに違いない。相変わらず上辺だけ改革するふりをして、その実、面倒なことは学校現場に丸投げして平気な千葉の公教育の伝統が見事にこの格差に表れている、と思うが、いかがか。

    他の道府県と最初からケタ違いに財政状況の違う東京都なんかと比べるよりも、財政規模にさほど大差ない埼玉との格差「2倍」にここは注目したい。財政の問題にすり替えてバリアフリー実現を埼玉よりも「2倍」サボり続けてきた、厚顔無恥で責任逃ればかりの千葉県教委こそが公教育における差別残存の黒幕である。

千葉県の小学教員倍率、平成以降最低1・5倍…欠員補充できない「未配置」など

    教員不足深刻化 読売新聞 2025.6.28

 都道府県によってはわずかながら試験倍率引き上げに成功したところもある。なぜ千葉県での倍率が上がらないのか、その理由はあまりにも単純であり、今更繰り返すまでも無いが、念のため最大のポイントだけ指摘しておこう。

    明確なレベルでの教員の負担軽減こそが第一の決め手である。初任にいきなりクラス担任を任せるような、思いやりの欠片も無い人事を千葉県は続けておきながら、大学生の「青田刈り」や試験のハードルを下げることで教員採用試験の倍率を上げようとすることがどれほど卑劣なイカサマに過ぎないか…そんな事は大学生でも自明のことだ。学生たちを馬鹿にするのもいい加減にしろ!

教員の病気離職者が、21世紀に入って右肩上がりに急増している

    ニューズウィーク日本版 舞田敏彦(教育社会学者) 2025.6.25

    ここ最近の若い教員の病気離職者の急増ぶりに注目したい。特に20代の病気離職者率は2000年度にくらべて2021年度は何と11倍を超える上昇を見せている。現在の大学生の教員志望者数減少と併せて考えれば、これはかなりの危機的状況と言って良いだろう。ただでさえ千葉県を含めて多くの都道府県では学校の中核となるべき40代後半から50代前半の教員数が相対的に少なく、かつ過去に大量に採用された60代の教師がここ数年の間に続々と退職してきている。この急速に拡大してきた教員不足の大穴を一体、誰がどう埋めるのか。

    穴を埋めるべく、若手をいきなり主任等に任命するといった、極めて安易で乱暴な校内人事はその副作用として若手教員の病気離職者を急激に増やしてきた…と私は考える。したがって今後、同じ轍を踏むことは許されまい。

 教師の数をすぐに増やすことはできない、若手で穴を埋めることもできない…となれば教師の仕事をできるだけ迅速にかつ大胆に削減するほかに手はないだろう。こんな状況で教員の給与をわずかばかり引き上げたところで、仕事の大幅な削減が進まぬ限り、何の効果も期待できないのは火を見るより明らか。今、文科省や千葉県教育委員会に、教員負担削減策断行に向けての決死の覚悟が求められている。

女子生徒に訪問看護師が付き添えるよう「検討する」 高校での利用断った千葉県教

    委、ガイドライン見直しへ 東京新聞 2025.4.17

    特別な医療的処置を必要とする生徒や日常的な介助や配慮を要するような障がいを持つ生徒の入学を認める方向で国家は今、全国の普通科公立高校にしっかりと働きかけているのだろうか…何はともあれ、相変わらずやる気のない千葉県教委はひたすらサボルことしか考えていないようだ。たかだか一人の訪問看護師の派遣すら文科省から言われるまでは検討すらしない。そのようなレベルの県教委に新しい取り組みを期待する方が間違っているのだろう。

 他方で教師の総意を無視して校長の独断で障害を持つ生徒の入学を続々と許可し、何らの人的サポートもロクにしないまま、担当の教師たちに丸投げする、無責任極まる校長の得点稼ぎを黙認してきた県教委…こんな矛盾だらけの無気力な組織にまともな事ができるとは思えまい。

「教員不足にオール教委で」杉野可愛・千葉県新教育長が抱負

   産経新聞 2025.4.2

 「教員の成り手不足対応や教育現場の働き方改革にはオール教委として、全力で取り組みたい。特に、県立高校を強化し、魅力ある高校にすることは優先課題だ。やれることは全てやる覚悟だ」と強調したらしいが、この発言にはどうにも不安しか感じない。特に太字の部分はむしろ恐ろしささえ、感じてしまう。「県立高校を強化」することが結果的には教師の労働強化、管理強化…すなわち学校のブラック化に直結しやしないか。この方の言う「教育現場の働き方改革」とは、実は県立高校のブラック化を一層推進することなのではないか。

 「無償化で県立高校が衰退し、逆に選択肢を減らすことにならないよう県立高校も引き続き、私立と変わらず魅力的な選択肢としてあり続けられるように力を入れて取り組む」とも語ったという。この方、本当に大丈夫だろうか。余計に心配を募らせる発言でしかあるまい。高校の無償化によって大阪府や東京都の様に公立高校が衰退してしまうのはもはや必然的ではないのか。他と違って千葉県だけがなぜ公立高校の衰退を免れると思えるのか、その根拠をぜひ具体的に示していただきたい。

 そもそも公立高校の魅力を一体、誰がここまで貶めてきたのだろうか。もしかすると教師たちにすべて責任転嫁するつもりだろうか。真っ先に「改革」されるべきは文科省であり、県教委の方ではなかったか…正直言ってこの方の発言、あまりにも無邪気過ぎて不安と恐怖しか覚えない。

   千葉県に限らず、まず看過できない悪性の症状として挙げられるのが各学校での正規教員の不足であろう。これに休職者や中途退職者数の増加も加わり、一人一人の教師にかかる負担は重くなる一方…という学校が特に義務教育中心に増えてきている。さらに教師志望者の減少も教員不足と学校のブラック化という事態の悪化を加速させているに違いない。しかも教員不足がさらなる休職者や退職者の増加につながるという、恐ろしい悪循環が生まれてきている現場もあるようだ。

 なお、教師不足の一因としては景気回復傾向がもたらした民間企業への就職志向の高まりに伴う若者の公務員離れが考えられなくもないが、それは主因というほどのものではあるまい。最大の原因と考えられるのは教育行政の画一的管理主義の息苦しさに加えて、止まることの無い仕事量の増大による学校のブラック化であり、それらがもたらした若者の教職離れであると考える。

 残業手当や休日手当がつかない部活動指導の過熱化、数が多過ぎる上にそれぞれが過重な負担となっている学校行事、不登校やイジメの多発とそれに伴う保護者対応の増加、新教科・科目の設置などによる仕事の量と難易度の上昇、説明責任を果たすためだけの記録作成等のアリバイ作り(管理職や教育委員会への報告書、提出書類の増加が顕著でその多くは煩雑かつ形式的なものに過ぎず、教師の力量を向上させることにはほとんどつながらない。つまりほとんどがブルシットジョブ)の増加、教育行政による教員への過剰な統制・管理強化がもたらす心身両面への重圧(教師の創意工夫を挫く無意味な官製研修の増加、授業内容・方法への過剰な介入等)、残業時間短縮による持ち帰り仕事の増大、年齢構成の偏りや管理職の能力不足による職務分担の不均衡、進路の多様化による進路指導の煩雑さ、職員会議の形骸化や教職の階層化などによる職員集団の分断と対立、教師の社会的地位の低下、管理職のパワハラや教師間のイジメの横行等々、数え上げればきりがない。

 こうした事態に対して文科省や都道府県教委は上辺だけの対症療法、その場しのぎの誤魔化しをひたすら繰り返してきた。教育行政による対応を医療行為になぞらえれば、高熱を発した患者に漫然と解熱剤を処方するだけの藪医者のようなものである。

医者の職務は本来、高熱の原因を様々な検査結果から割り出していき、症状を抑えるだけではなく、症状の主な原因となっている病気などを治療対象としていくべきであろう。しかし文科省、都道府県教委は教員不足という症状に対して、揃いもそろって教職の魅力をアピールし、採用試験回数を増やしたり、日程を早めたりして採用試験のハードルを下げることに専念してきた。

 もちろん文科省が「働き方改革」を推進して部活動の地域移行と残業時間の短縮を通じて学校のブラック化を押しとどめようとしているのも事実ではある。が、「持ち帰り残業」の問題などを見ると、学校現場ではさほどの効果をまだ実感できていないのではあるまいか。

 なぜ教職の魅力が低下してきたのか、教員が不足してきたのか、その原因には高熱の原因と同様、様々な要因が考えられるに違いない。ただ兎にも角にも教育行政側の最大の過ちは、その原因が自分たちにも少なからず存在する、という自覚を決定的に欠いてきた点であると思うが、いかがか。不登校の増加やイジメ事件の隠蔽、教員の不祥事の多発、教師の疲弊、授業における児童生徒の落ちこぼれ、吹きこぼれ…どれをとっても教育行政の過ち、不備に淵源する側面が大いにあるだろう。そのことの反省と改善を抜きに、ただ教師のやりがいと就職しやすさを追求しても、若者は二度と騙されないに決まっているのだ。

「部活も修学旅行も運動会も生徒会も廃止せよ!」教員の負担軽減で、学校が“AI

   教師に乗っ取られる未来   ダイヤモンド・オンライン 鈴木大裕 2025.3.17

   鈴木氏の考えをどう捉えるかで、学校教育の方向性はおそらく決定的に変わってしまうだろう。そうした点でこの記事には慎重な議論が必要である。

 個人的には「部活も修学旅行も運動会も生徒会も廃止せよ!」という発想がすっかりブラック化した日本の学校を立て直すにはどうしても必要不可欠だと考える。ただし生徒会は無くしてはなるまい…が、他の三つは今後、学校の業務としてはほぼほぼ不要である思うが、いかがか。

 この判断は日本の学校の現状をどう捉えるのか、学校教師は一体、何をなすべきなのか、学校は一体、どこまでの任務を担うべきなのか、をめぐる考え方によって決定的に違ってくるだろう。すなわち、鈴木氏の認識と私の認識とは以上の観点においておそらく決定的に異なっているのだと感じている。

 まず、鈴木氏も私も日本の教師たちがあまりにも多くの職務を背負い、極めて疲弊してきていると認識している点では一定程度、共通している。しかし鈴木氏と私とではこの状況がどれほど切迫し、もはや一刻を争うレベルに達しているのか、それとも多少のゆとりが残されているのか、といった切迫感において大きな差があるのではあるまいか。

 問題解決のために時間をたっぷりとかけても大丈夫なまでに、教師たちに余力が残っていると見れば、鈴木氏の考えに一理あるかもしれない。しかし私は教師たちに残されている時間的、精神的、体力的余裕はもはや底をついてきていると感じている。

   もちろん各教師が直面している状況には個人差、学校差、地域差が大きく、必ずしも一概には言えないだろうが、教職志望者の不足、中途退職や休職の深刻な状況などから見て、教師の働き方改革は既に一刻の猶予も許さない状況だろう。まずは部活動という教師たちの休日や放課後の時間を奪う最大の重荷こそ、一刻も早く取り去るべきであると私は考える。

   しかしそれは教師たちにただ楽をさせたい、という事ではない。かつてOECDの調査で指摘された、日本の教師たちの授業準備にかける時間の少なさはいまだに大問題である。この問題を部活動の廃止によって解消させ、より一層授業の充実を図り、授業という教職の本務におけるやりがいや達成感をもう一度教師たちに取り戻すことが最も緊急を要する大切な取り組みではないのか。

   もちろん部活動の持つ教育的意義は決して小さくはない。したがって児童生徒は学校外で部活動の体験を続ける事が必要だ。そのための施策は公民館の利用や統廃合されて使われなくなった学校の施設の再利用、民間施設の利用などが考えられる。

 指導者の不足は最終的に高校での体育や芸術といった教科を廃止して一日の授業時間を4~5時限に減らし、体育科や芸術科の教師たちを指導者に回すなどで補うしかあるまい。つまり部活動は鈴木氏が指摘するように誰かが大きな犠牲を払わなければ成り立たない業務である。だからこそ私は部活動を現状において今の学校教師が背負いきれる業務ではないと判断している。

 もちろん上に挙げた対策には法制度の改正などに時間を要するので、これまでと同様、当面は徐々に部活動を地域に移行していくしかないが、地域によっては受け皿の不足が生じてしまうのは不可避である。当分の間、学校、教師たちが請け負う部分は出てしまうだろう。また部活動の種目によっては多少、削減されてしまうのも仕方ないだろう。とは言え、今、何よりも優先されるのは目に見えるレベルでの教師たちの負担軽減であり、それを最優先すべきであると私は考える。

 教職志望者の減少と現職教員の減少、とりわけ正規教員の減少とが同時進行している現状は間違いなく、学校教育の崩壊を一気に加速する。今、まさに一刻を争う緊急事態であると私は認識している。たとえそれが児童生徒に極めて必要であり、成長するために役立つ業務といえども、その業務従事者自体が今後、致命的に不足してしまっては元も子もないのだ。

 さらに決定的な問題は日本の教員養成制度と教員採用制度、および管理職の登用制度にあると私は考えている。日本の大学における教員養成教育の実態は必ずしも学校現場で生じている各種問題や学校現場で要請される各種課題に向き合えるに十分な内容ではない、というのが私の考えである。もちろんこれには大学間格差が大きな問題として存在している。が、そもそも日本の教員養成教育の在り方自体に制度設計上の大きな欠陥があると私は捉えてきた。教員採用や管理職登用を含めたこの問題は別の箇所である程度論じているので、ここでは問題の所在を指摘するにとどめる。

 修学旅行や遠足、運動会、文化祭などの学校行事については当分の間、その多くを廃止すべきだろう。また入学式、卒業式なども簡素化すべきだと考える。もちろんそれらが児童生徒の成長にとって極めて重要であることは疑いようもない。しかし文科省がいつまでも迷走を繰り返し、グズグズしている内に事態はとうとう「ここまで」切迫してしまった。もはや「背に腹は代えられない」のだ。

 これまでのように文科省の失敗をひたすら学校現場に責任転嫁するのはもうやめていただきたい。「ここまで」事態を甘く見て問題をこじらせてしまった政府、とりわけ文科省の責任は「万死に値する」ほど重い。今、財務省解体を求めるデモが発生しているが、文科省もぜひ解体していただきたい…というのが疲弊しきった日本の教師たちの、現時点における偽らざる思いではないのか。

千葉県、教員の勤務実態調査…月45時間超過勤務は約3割に減

   リシード 2025.3.11

   千葉県教委がまたいい加減な調査で千葉県での働き方改革の推進を自画自賛しようとしている。校長や教頭が先頭となって教職員に勤務時間の過少申告を強いているような状況で、この調査結果を一体、誰が信用できるというのだろうか。冗談もいい加減にしてほしい。どうせ校内での勤務時間を減らしてわずかばかりの光熱費の削減を狙うのが県の本当の目的であろう。

 働き方改革の本丸は仕事量の削減であって、表面的な勤務時間の削減では無い。仕事量の削減を伴わない校内勤務時間の削減はひたすら残業の自宅持ち帰りを増やすだけである。自宅での勤務時間は一切、調査されないだろうし、勤務時間としてまったくカウントされないのだ。一体、いつまで教師たちと世間を欺くつもりなのだろう。

 こうした各県教委からのデタラメだらけの情報を基に文科省が政策を決めてしまうから、いつまでたっても本当の働き方改革は進まないのだ。しかもあろうことか、これから千葉県教委は教師の意識改革を進めていくという。

 まるで教師の働き過ぎはあくまで教師たちが自分たちの好き勝手放題に行っている結果だと言わんばかりの物言いではないか。どうやら残業時間の多さの責任はもっぱら教師たちの間違った心構えにあるらしい。

 千葉県では「やりがい搾取」と揶揄されたことへの振り返りは一度も行われてこなかったようだ。つまりは「やりがい」を勝手に感じて、勝手に残業してきた教師たちこそが一番の悪者と考えているのだ。その傍らで教員志望者には教員のやりがいを宣伝するというのだから呆れる。若者や教員を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。

「中学生の娘が先生から無視されて…」教師からのいじめ被害に「学校に訴えると

   隠蔽されるかもしれない」と考える親の不安 どこに相談すればよいのか、弁護士

   が解説 マネーポストWEB 2025.2.27

   「学校に訴えると隠蔽されるかもしれない」という保護者の不安は、過去の学校における隠蔽事件の数々を思い返せば素直に同感せざるを得ない。すっかりブラックボックス化した現在の学校社会を保護者や児童生徒が下手に信用してしまうと、どんな災いが身に及ぶか、あらかじめ想像しておいた方が良いだろう。

 もはや日本の学校はこれまでのような無防備さで子どもたちが安全、安心に通学できるほど、牧歌的な世界ではなくなっている。

「決まったことが伝達されるだけ」になってしまった学校の「職員会議」。「学校

 運営にかかわりあいたくない」という若い教員も多数派に

 日刊SPA! の意見 2025.1.7

 児童生徒の当事者意識、主権者意識を育む立場の教師たちの間でほとんど所属する学校への当事者意識が見られない点は、学校がガラパゴス化の道を歩み続けてしまう大きな原因の一つであろう。2000年から職員会議は校長の仕事をサポートすることと位置付けられた。これは確かに大きな変化を職場にもたらしてしまった。この結果、職員会議で多数決を取る場面がなくなり、職員の意向を無視して校長の独断が横行するようになったのは千葉県だけではあるまい。

 個人的にはかつて企画委員会のメンバーになったことがあるが、その企画委員会ですら、校長らの諮問機関に成り下がっている学校は少なくないのではあるまいか。意見は言えても結論は校長任せ…これで当事者意識が生まれるわけがあるまい。

 こうした結果、様々な問題を抱えて学校が定員割れを起こし、地域住民の信頼をすっかり失っている状況であっても、教師たちの多くは「外れくじを引いた」とばかりに他校への転勤希望を出すだけとなる。自分たちが学校を改善しようとする意欲は近年、ほとんど見られなくなっている。むしろ下手に意見を言えば、多くの学校では「あいつはきっと管理職を目指している」と後ろ指を指されるのがオチである。

 千葉県の公立高校受験の志願状況などをみると新学年2クラス、新入生80人の募集なのに20人台の志願者しか集まらない高校が複数、存在している。つまり1クラス分すら集まらない、大規模な定員割れが生じている。確かに少子高齢化の中で過疎地の学校は非常な苦戦を強いられている。しかし中には比較的、都市部に近い立地にありながら、20年余りも危機的な状況に置かれている高校がある。そこでは少子高齢化を定員割れの口実にするわけにはいくまい。あきらかに学校経営の失敗がその高校には見られるはずである。

 かつてはそうした教育困難校でも危機感を持った管理職や教師たちが中心となり、どうすれば少しでも志願者を増やせるのか、学校の荒れを沈静化できるのかについて各種会議で白熱した議論を続けていた。私も20年近く前に学校改善委員会を組織して教師や生徒たちを対象にした質問紙調査を行い、その結果を踏まえた改善案を職員会議で幾度か示した経験がある。こうした動きは当時、どの学校でもごく自然発生的に見られていたはずである。

 しかし、今や誰もが普段は押し黙ったまま、大して文句も言わずにただその時期がくると転勤希望を出し続ける。管理職側も、定員割れに対して何ら責任を問われることが無いため、定員割れはいつまでたっても放置されたまま。他方で自分の管理責任が問われてしまう教師の不祥事を管理職は極度に恐れている。結果的に厳しく教師たちを隅々まで管理しようとしているのが多くの管理職の実態である。

 こんな状況で学校現場から改革に向けてのインセンティブが生まれるわけはあるまい。児童生徒の当事者意識の薄さを問う前に、教師たちの学校運営者としての当事者意識を高めていく工夫とは一体何なのか、文科省はぜひ熟考すべきだろう。

【高校受験2025】千葉県公立高、一般選抜の志願状況(確定)東葛飾2.05倍

 リセマム 2025.2.14

 千葉県内の全日制普通科の公立高校で志願倍率が0.5を切る高校が6校、0.3を切る高校が2校あった。これらの高校の中には深刻な少子高齢化、過疎化が進んでいてそもそも学区内の中学生の数が激減している地域に立地する学校が少なくない。他方でそれほど人口減少に直面している地域の学校ではないのに、大きく定員割れを起こしている学校もある。

 ただ、いずれにせよ、大幅に定員割れを起こしている高校が、かなり以前から定員割れを起こし続けてきた学校であることに変わりはない。そして大幅な定員割れは出来れば避けたい現象であり、避けるべき現象でもある。ではなぜ、同じ高校で大幅な定員割れが何度も繰り返しされてきたのか、が疑問となるだろう。

 どの高校がどれほどの志願者を集められるのかについての予想は素人でも決して難しくはない。ここ数年の志願者状況と学区内の中学卒業予定者数の予測を見れば、およその予想は出来るだろう。20人台の志願者しか集められなかった2校もそうなること位、当該校の教師たちのほとんどはあらかじめ察しが付いていたはずである。問題は、定員割れの予想がついていたにもかかわらず、当該校ではなぜ一学年のクラス数をあらかじめ一クラス減らしておかなかったのか…という点にある。

 この点について、生徒たちに考えさせ、議論させると面白い授業になるだろう。

千葉県教委が高校入試を改善 調査書の記載内容簡素化、国語の聞き取り問題廃止へ

 産経新聞 2024.12.18

   ようやく調査書の記載内容の簡素化が実現した。これで中学校、高校共に、わずかながらではあるが、入試の際の負担は軽減するだろう。国語の聞き取り問題も放送のチェックや難聴者、周囲の騒音への対応に多少の困難が生じていた。

   しばらく前の千葉県高校入試における採点ミスの大量発生事件への反省が少しはあったのだろう。あまりにも遅過ぎたきらいはあるが、一つの前進として評価したい。

高2が東京都知事選で考えた 「投票しなければ、何も変わらない」 柏・東葛飾高で

 主権者教育 東京新聞 2024.7.6

 制服が無く、リベラルアーツといったユニークな授業で知られる同校での試みは、ヨーロッパからすれば何一つ新しさを感じないレベルのものだが、古臭い教育がはびこる千葉県では極めて先進的に映る。私自身、同校のリベラルアーツの授業に幾度か参加してきたが、20年近く前からのこうした試みが他の公立高校に広がることはほとんど見られなかった。子どもの権利条約を知ろうともしない管理職や年配の教師たちが生徒たちに主権者教育などできるわけがない。

 まずは千葉県の公教育の体質を変えなければ「何も変わらない」のだ。

「忙しいはありがたい」? 新採用教員にブラック職場「肯定」冊子 千葉県総合

 教育センター 東京新聞 2023年3月20日

 千葉県の学校教育と教育行政がいかにダメなものかをこれだけ堂々と発信してしまって良いのだろうか?通常はタダで済まされないような暴言に等しい内容であろう。これからの千葉県の学校の大躍進を願うばかりである。

教員未配置が深刻、過去最多の449人 過重勤務・自習授業増

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.30

 千葉県の公教育の土台が予想通りに崩れつつあるようだ。

千葉県公立高の入試採点ミス 7月にも改善策提示 教育長「人為的ミス防止が第一

     の視点」  千葉日報社 によるストーリー 2023.5.20

「デジタル採点導入を」 千葉・公立高入試で有識者会議が提言 

  産経新聞 2023.6.14

【高校受験】千葉県公立高、デジタル採点導入など…採点ミス改善策で提言

  リシード 2023.6.19

 2022年度の千葉県における公立高校での入試採点ミスが98校、933件にも達してしまった件に関して県の教育長は「…各県立高へのアンケートで不注意や解答用紙の様式などが採点ミスの原因として挙げられた」との認識を示し、専門家からなる改善検討会議を設置してその提言に基づく改善を検討していくとのこと。

 しかしながら直近まで高校入試の現場にいた自分としてはなぜもっと早くから改善策がとられなかったのか、不思議でならない。そもそも「解答用紙の様式」と「模範解答の様式」が異なることが採点時のミスを招く、との指摘はかなり昔から存在していたし、アンケートでも繰り返し指摘されてきたはず。ところがこれまでまったく改善されることは無かった。

 加えて入試の前後は3年生の追試、成績処理、卒業式の準備、就職指導などと重なり、3学年に関わる多くの職員は極めて忙しい。殺人的な忙しさに振り回される中での不注意を一体、誰が咎められるのだろう。「入試」は別格の重要な仕事であることなぞ、とっくの昔に承知している。別格の仕事ならばその時期に他の仕事を集中させてはならぬはず。

 採点ミスの責任の一端は教員の多忙化を加速させ、アンケートの結果、すなわち現場からの提言を黙殺してきた県教委にあることは明白だろう。これこそが「人為的ミス」の最たるものなのに、相変わらず自らは反省せず、ミスの責任を現場に転嫁する無責任な弱いもの叩き…いかにも千葉県らしい対応ではある。入試という重大な場面でのこれだけの大失態を招いた責任を本来、真っ先に負うべきは教育長以下、県教委の幹部たちであるはず。ならば教育長が率先して引責辞任をしてみせてから現場への指導を行うのがスジではないのか。

 とはいえ高校入試の受験者数が年々、減少の一途をたどり、採点すべき答案の枚数は以前よりかなり減ってきているはず。しかも千葉県では年2回の入試が1回に軽減されたばかりの段階であるにも拘わらず、ミスがこれだけ多い…となると、この件がはらむ問題は意外に根深く、相当に深刻なのでは。

 おそらく採点ミスの件数は実際には数千件に達しているものと考えてよい。近年、生徒や保護者から自分の入試答案の開示請求が多くなり、開示請求で採点ミスが発覚してしまうという悩ましい案件が生じてきていた。こうした事態にようやく重い腰をあげた県教委が本格的に抽出答案(実際の答案枚数のほぼ1割に相当する答案で、毎回、各高校から県教委に提出されている)のチェックを行ってみたところ、今回の件が不覚にも「発見」された…という事件発覚の経緯が推測される。つまり県教委側も抽出答案のチェックがこれまで不十分だった可能性を指摘できるだろう。

 とすればもはやミス多発の原因を単なる教員の過労や県教委の怠慢…といった分かりやすい要因だけでは十全に説明できないようにさえ感じられるのだ。少なくともそう思えるほどに千葉県の高校教育現場の疲弊ぶり、破綻ぶりは今や切迫してしまっているのではあるまいか。

 では現今の入試採点ミス多発が意味することとは一体何だろう。もしかしたらこれは学校運営の中核たる40代後半から50代前半の教員の異常なまでの少なさと校務全体の複雑化、多忙化などによって千葉県公立高校全体が徐々に自らを教育機関としてまともに運営する力を失い、まさに今、地滑り的崩壊が始まろうとしている…すなわちこれは公教育としての破局的な局面に移行しつつある一つの予兆なのかもしれない。

 現に大学生は「沈もうとする船に乗りたくない」と言わんばかりに教職を忌避するようになっている。教師不足が叫ばれる一方で今や再任用を断る退職予定の教師だって少なくない。一番悲惨なのは職場から長期離脱したり、早期離職に追い込まれる働き盛りの教師が増えていること。加えて生徒たちもまた学校への忌避感が増大し、不登校児童生徒数は増える一方である。これらの問題ばかりは「人為的ミス」という表現でアッサリと説明してしまうことは許されないだろう。

 従って私としてはせっかくの有識者の提言もおそらく時すでに遅し、入試を含めたあらゆる事態の悪化が容赦なく加速度的に同時進行し、視野の狭い部分的改善など現時点に至っては近い将来、何の意味もなさなくなる…と考えるが、いかがか。

異例の196人処分・指導措置 千葉県教委、入試で採点ミス相次ぎ

 毎日新聞 によるストーリー 2023.7.20

 結局はトカゲの尻尾切りである。これで教師の意欲はさらに低下し、千葉県の公立高校における機能不全はさらに進行するだろう。マークシート方式の導入など、採点業務に絞られたミクロな観点からの改善策だけでは高校現場の働きやすさの向上には何一つ、つながるまい。採点ミスが減ったとしても教員採用試験の倍率が上がるわけではない。県の対応は対症療法でただのモグラたたきに過ぎず、今度は別の事件事故が頻発するだけ。

教員の魅力を動画でPR 千葉県教委作成、来月にも公開

  東京新聞 2023年9月10日

 教員採用試験の倍率低下、教員不足に危機感を抱いた文科省と各地の教育委員会は恥も外聞もはばかるこ となく、「青田買い」どころか教職のバーゲンセールまがいの詐欺的商法にまで手を伸ばし始めている。ずいぶんと落ちぶれたものだ。

 さしずめ千葉県の場合はこう言った塩梅ではなかろうか。これまで堅調に売り上げが出ていた人気商品がこのところ何だか少しずつ、売り上げが落ちている。宣伝広告にもっと力を入れればきっと売り上げは回復するに違いあるまい。だって商品の質にはそれなりの自信があるし、老舗としての伝統の力もある、問題はあくまで宣伝不足にある…そこで思い切った新機軸を打ち出そう。そうだ、若者に訴求力のある動画作成を業者に依頼し、商品の魅力を分かりやすく、かつガッツリとアピールしてもらおうではないか…

 しかし本当に商品の品質は保たれてきたのだろうか。肝心のお味の方は時代の流れに取り残されていないだろうか。今どきパッケージだけ飾り立てても胡散臭いだけ…箱の中身は実際、いかがなものだろうか。とっくの昔に賞味期限が切れていないだろうか。どうみても強烈な腐臭が漂っているはずなのだが、なぜ、売り場の誰一人としてそれに気づかないのだろうか。

 そもそも商品が劣化していないか、誰か定期的にきちんとチェックしてきたのだろうか。腐り切った商品を30年以上の歳月と交換に若者へ売り渡し、彼らをたちまち過労死や精神障害に追い込む…こんなブラック企業のような悪徳商法を国と千葉県はいつまで続けるつもりなのだろうか。

 完全なブラックボックスと化している学校の中身は意外なほどに闇が深い。箱の中身が見えにくかったからこそ売れてきただけのインチキ商品に未来ある若者が騙されて手を出してはなるまい。

飲酒、わいせつ、セクハラ…千葉の先生のモラルはどこへ? 懲戒処分、最悪のペー

 ス 産経新聞 2023.12.20

令和5年度の教職員の懲戒、過去最多の52件 千葉県教委 

 産経新聞 2024.3.21

 案の定、千葉県での教員の不祥事が多発してきている。明らかに千葉県の教育界は機能不全に陥っているのであり、その原因は多岐にわたるだろう。しかし最大のポイントは県の教育界の頂点にいるはずの教育長に責任を問う論調がマスコミにおいて皆無であること。

 指導的立場にいる人物が部下たちの不祥事の責任を一切、とろうとしないような組織に自浄能力は一切期待できない、と考えるのが世間の常識であろう。マスコミの機能不全は今に始まったことではないが、やはりマスゴミには今後も一切、期待してはなるまい。

25歳の女性、県立高の教育実習で教員から暴言・暴力を受け「今でもつらい」と

 県を提訴…抑うつ状態で働けず 読売新聞 によるストーリー 2023.11.6

 鍛錬と協調を旨とする抑圧的な精神主義がいまだにはびこる学校ではありがちな事件。また本格的な教員養成教育を受けなくとも高校教師に採用されてしまうシステム上の問題も背後にはあるかもしれない。それに加えて学校現場のブラック化による慢性的なストレスで精神的に追い詰められた教師による感情の暴発、といった要素も十分考えられる。ただ県としてはこうした事件によって教員志望者数がさらに減ってしまうことこそ、避けなければならない事態なのだろうが、いずれにせよ、千葉県の公立高校が抱える問題の深刻さを予感させる事件の一つとして捉えたい。

教育実習生に「お前みたいなやつがいるから、くずな教員ばっかり」と指導教諭が

    暴言…千葉県が和解へ 読売新聞 2025.9.28

  指導教師のパワハラ問題はさておき、「…県はパワハラと抑うつ状態の因果関係について争ったが、県精神保健福祉センターから因果関係があるという意見を受け、和解を受諾した。」という経緯にどうも釈然としないものを感じる。県教委の対応自体に大きな問題は無かったのだろうか。

     なぜ、この女性と「パワハラと抑うつ状態の因果関係」について県が争うことになったのか、争うに至った判断の根拠をまずは知りたい。ただでされ、心に深い傷を負っている女性に対して、敢えて裁判で争う、という強硬姿勢を県教委が打ち出したからには、それ相当の盤石な根拠があったはずである。

     仮にその根拠が極めて脆弱なものであったとするならば、パワハラ教師のみならず、争う判断を下した県教委の担当責任者への厳しい対応が求められるに違いない。これは県教委が裁判で争うとして女性を脅した、二次的パワハラ加害に該当するかもしれないからだ。

 仮にそうだとすれば、3000万円を超える損害賠償金はパワハラ教師一人に丸投げして負担させるわけにはいくまい。組織をバックにして女性を追い詰めようとした、パワハラ県教委のメンバーにもそれ相応の負担義務が生じてくるはずである。県議会はこの点をも厳しく追及すべきではあるまいか。

 この件、記事だけでは明確には見えてこないが、女性に対する県教委の、相も変わらぬ極めて不適切で不誠実な対応が見え隠れしている。

教員の精神疾患による休職・病休は依然として多く、20代30代で増加:背景になに

 がある? 妹尾 昌俊教育研究家、学校・行政向けアドバイザー

 YAHOO!ニュース JAPAN 2021/12/22(水) 15:00

教員免許の授与数、20万件割れ 「過労死ライン」の労働環境影響か

  朝日新聞社 2022/08/01 06:00

 高校での教員免許授与数が特に激減していることの背景を問いただしたい。文科省は教員免許取得条件の緩和による取得免許数の増大を検討しているようだが、ただの数合わせ、泥縄式の発想に過ぎず、かえって学校現場の混乱を深めるだけであろう。 

 このような短絡的発想しか出来ない教育行政の側こそが最早オワコンなのだとつくづく思う。

精神疾患による休職者増加中、教員の復職支援や学校現場でのメンタル対策の手引

 を文科省作成 読売新聞 2025/06/02 15:00

 教師の負担軽減を進めてきたと文科省は再三、言い訳ばかりしてきたが、現場の負担が決して軽くなってはいないことをこの記事は示しているだろう。

千葉県・市の教員採用、2,037人合格倍率2.24倍

 リシード 2024.9.26

 「千葉県教育委員会は2024年9月24日、2025年度(令和7年度)千葉県・千葉市公立学校教員採用候補者選考の第2次選考合格者を発表した。2次選考の合格者は全校種あわせて2,037人となり、前年度に比べて39人減となった。」とのこと。全体で2.24倍の倍率となるが、小学校に限定すると1.38倍。合格者の辞退、中途退職者、休職者などの発生なども考慮すれば、受験すればほぼ誰でも合格、となるとみて良いだろう。千葉市分を入れると全体で2.4倍、小学校は1.6倍となる。

千葉県・千葉市 志願状況を公表。平均倍率は2.5倍 大学3年次等対象の特別選考

 には1,498名が応募 教員採用試験対策サイトPowered by 時事通信

 出版局採用試験関連 2025.06.12

 千葉市を入れた全体では2.5倍、小学校は1.5倍の倍率となっている。小学校での低倍率問題は依然として改善されていないという残念な現状が読み取れる。

「業務断れず限界まで」「眠るのが怖い」20代教員に心の病増加…過重業務で適

 応障害、自殺も 読売新聞 2022/10/24 05:00

千葉の中学3年の過半数は公立高校志望、でも「学費が同程度なら私立」選ぶが7

 6% 読売新聞 によるストーリー  2023.11.24

 確かに公立高校の改革はすでに手遅れであり、もはや多くの公立高校が時代の急速な進展にまったくついていけなくなっていることは明白だろう。とりわけ千葉県の場合、公教育における制度的、組織的欠陥、束縛の多さや頑迷な保守的体質、予算の圧倒的少なさが教育の改革、改善の足を引っ張る…そうした現象があまりにも目立ち過ぎてはいないだろうか。

 今後は東京都や大阪府のように高校改革の多くを私立校の努力に委ねる方向に動いていくのが多くの民意に沿い、現実的であるように思えるが、いかがだろう。すなわち公教育の民営化を進め、市場原理を導入して高校間での競争を煽ることで時代の変化に即応できる高校教育の実現を目指した方が現在の高校教育の、残念なまでの行き詰まり、閉塞状況を打開するにはどう見ても手っ取り早いように思えるのだ。

 中学生の4分の3以上が私立進学希望であるならば、今後は中学生の進路希望に応えて私立高校の数を増やすとともに私立高校の入学定員を大幅に拡大していくべきだろう。私立における保護者の学費の減免はある程度必要になってくるだろうが、公立高校の予算を削った分をまわすことで相当程度、家計負担の軽減は可能となるはず。そのためには当然、公立高校の職員数の大幅な削減も進める必要はあるだろうが、現今の教員不足がむしろ追い風となっており、文科省や県教委の管理主義的妨害さえ排除できれば公教育の縮小は思いのほか順調に進むのではないか。 

 公教育の大幅な民営化こそ、保護者、児童、生徒の要望にこたえる方途であり、文科省は学習指導要領や学校設置基準等による下らない縛りを緩めてより自由で多様性に満ちた高校教育の実現を推進するためにまずは徹底的な自己変革を行うべきであろう。

 1980年代以降、鉄道や郵政など多くの分野で民営化が進み、その都度、様々な議論を呼んできた。もちろん民営化に大きな犠牲が付きまとってきたのは事実であろう。教育の民営化に反発する人は少なくあるまい。しかし日本の公教育は既に日本の経済力、政治力を酷く毀損させてきているほどに深刻な機能不全に陥っているのではあるまいか。今後、「公」の力に期待できないとすれば民活導入は不可避であろう。それほどに文科省以下、千葉県教委、公立高校の弱体化は深刻であり、公立高校が自身の力だけで悲惨な現状を打破できる可能性は決定的に低いと言わざるをえないほど、厳しい現状があると私は考える。

 したがって千葉県教委はこれまでの公立高校の入学定員を今後は大幅に削減させていき、私立高校に高校教育の主導権を委譲する決断をすべき段階にきていると思うが、いかがだろう。

    昨今のパーティー券販売による裏金問題では関係する自民党所属の閣僚が相次いで辞任している。当然、岸田首相もまた任命責任を厳しく問われることになろう。相変わらず腐敗を極める政界ですら、多少のケジメはとろうとしている。ところが千葉県の教育界では令和4年度の高校入試における採点等のミスが千件近くも発覚するという、未曾有の不祥事を引き起こしてもなお、教育長は自ら責任をとることを一切せず、末端の教員ばかりを処罰するにとどまっていた。そしてたちまち令和5年度の教員による不祥事多発である。

 残念ながら教育次長は何と学校現場に綱紀粛正を求める通達を出すだけで事足れりと考えているようだ。しかも教育委員会として他に出来ることは無い、というみっともないほどの言い訳がましいセリフを残しているという。あまりにも無責任であり、恥知らずであり、無能すぎるのではないのか。この発言は教育困難校で授業中に騒ぎ出した生徒たちに対して「静かにしろ」と切れてみせるしか能の無い問題教師とまったく等しいレベルではないのか。真っ当な教師ならば自分の授業のつまらなさ、分かりにくさを反省して授業をより魅力的にするための努力を重ねていくはずであろう。

 仮に教師が授業中の騒がしさをひたすら学習意欲に欠ける無作法な生徒たちの責任であるとして自身の授業改善に一切取り組まないようなら、校長はその教師を厳しく指導するのが管理職としての当然の責務である。同様に部下の不祥事多発に対して教育長らが綱紀粛正を口先だけで求めても何らの意味が無いどころか、それはむしろ職務放棄に近い愚挙なのである。

 教育長、教育次長らが率先垂範、示してしまったこうした自浄能力の欠片も感じさせない無気力な姿勢はただでさえ問題の山積する千葉県教育界の隅々まで行き渡り、次年度以降のさらなる不祥事多発を呼び込むに違いない。

 一体、県の教育長は何のために存在しているのだろう。よくありがちな文科省の官僚が天下る高給取りの名誉職という、ただの肩書だけの役職に過ぎないならばいっそのこと無くしてしまった方が良いに決まっている。いよいよ兵庫県などに追いつき、追い越せとばかりに学校不祥事多発の県としての悪名を全国に轟かせようと勢いづいてきた千葉県の教育界からは今後、片時も目を離してはなるまい。

副校長・教頭の時間外勤務の多さ浮き彫りに…千葉県調査 リシード 2024.3.22

 これはかなり以前から指摘されてきた事態である。何をいまさら…という感は否めないが、学校の危機的状況の一端ではあり、世間にも周知された方が良いのは確か。

千葉県の7年度教員選考 志願者数と倍率ともに過去最低 見えぬ妙案

 産経新聞 2024/6/26 18:34

 「令和7年度採用の教員選考試験の志願者は計4560人と2年連続で減少し、平成以降で過去最低を更新した。志願倍率も2・4倍で最低」だったらしい。当然の報いであろう。いよいよ千葉県の学校教育は自ら破滅に向かってまっしぐら…傍から見れば誰もが分かるほどに危機的な状況がこれまでも続いてきたのに県教委の対応は相変わらずトンチンカンそのもの。

 …県教委は今後、志願者増のため、「教員免許を持つが、民間企業に勤めるなど教職には就かない『ペーパーティーチャー(先生)』にアプローチしたい」(担当者)として、教職の仕事の魅力発信に力を入れる…というのだから驚き呆れるほかあるまい。教員志望者の減少を「教職の魅力」のアピール不足とする、陳腐な発想があまりにも情けなさすぎる。

 商品の品質が悪いのに誇大広告で買わせようとするが如き詐欺まがいの対策は直ちにやめた方が良いだろう。時間の無駄であるばかりか、それ自体、若者に対する犯罪行為である。進めるべきは見せかけの、偽りだらけの「働き方改革」ではなく、真の意味での「働き方改革」であり、教師が本来の職務の中心におくべき授業準備に専念できるだけの時間的余裕の確保なのだ。すなわち授業準備を除く大幅な職務の削減を抜きにして、一切の対応は意味をなさない。一体、いつまでこの不毛な茶番劇を千葉県教委は続けるつもりなのだろうか。厚顔無恥も甚だしい。

千葉で教員志願者減少 その背景は? 教育現場に余裕なく、ほど遠い理想像

 産経新聞 2024.6.26

 …管理職の男性は、教員志願者が減少する要因を「『ブラック』という現場のイメージが先行し過ぎている。確かに現場の負担は増えているが、『子供たちのために頑張る』という前向きな声があるのも事実だ…という。こうした現実離れした幼稚なレベルの分析しかできない管理職のいる学校に勤めたいと思う若者ははたしてどのくらいいるのだろうか…

 この管理職にとっては「ブラック」はあくまでマスコミが勝手に作り出した悪しき印象操作であり、一部の怠け者の教師たちの被害妄想に過ぎないらしい。この程度の貧弱な認識しか持てない管理職が千葉県には沢山存在している。だからこそ千葉県での教員志願者が減少し続けているのだが、こういう人たちはそれに気付こうとしない。あるいは気付かないふりをしている。

 …北総地域の小学校の40代女性教員は、現状について「児童のために何かしてあげたいと思っても、働き方改革で『早く帰れ』と言われ、報告書作成や保護者対応など最低限の仕事をこなす毎日」と、時間的な余裕のなさを嘆く…と記事にあるように、現状では表面を取り繕うだけの管理職による強制的な「働き方改革」が一層、現場の教師たちを圧迫している側面にも注目すべきだろう。

 一刻も早くブラックな学校の現状を変えていかない限り、教員不足による学校のさらなるブラック化は不可避である。しかしそのことへの認識を欠く管理職の存在が学校をさらなるブラックな世界に陥れている…それこそが千葉県教育界の大きな不幸の源なのだと思うが、いかがか。

若者に「教員になること」勧めたい日本人19%ワースト2位

  リセマム オピニオン 2023.9.22

まじめな教師を休職に追い込む4つの深刻問題 心の不調を抱えながら勤務する先生

 も多い 諸富 祥彦 : 心理カウンセラー    2020/06/16  東洋経済オンライン

文化部もブラック化「本末転倒」な部活動の実態 文化とは、教員とは忘れ去られ

 るその「本分」 2022.3/29(火) 8:02配信 東洋経済education×ICT

「82歳の講師」が教壇に立つ深刻すぎる教員不足 教員の自己犠牲で成り立つ公立学校

 は崩壊寸前 井艸 恵美,野中 大樹 2022/07/19 07:30 東洋経済オンライン

1年目の非正規教員が「自己流」で教壇に立つ異常 初任者研修すら受けられず担任を

 持つ教員たち  佐藤明彦 2022/07/30 08:00 東洋経済オンライン

生徒の動画を撮る"問題教師"もクビにならぬ背景 深刻化する「教員不足」の影響が各

 所に 東洋経済オンライン 小林 美希 によるストーリー 2023.9.29

公立校教員の採用試験、数カ月前倒しを検討 成り手不足が深刻

 毎日新聞 2022/10/19 20:15

 こんな小手先の改善では教師のなり手不足の解消など不可能。教員不足への対応があまりにもその場しのぎの「泥縄式」。中には教員免許状も不要とする採用まで登場してきた。まるで教職の大安売り、たたき売りのような状況が各都道府県で一斉に始まったかのようだ。こんな対応で教師の社会的地位は向上するわけもなく、むしろ不祥事の多発を招くに違いない。そしてその尻ぬぐいはまたもや現場の教師に丸投げされるだろう。

 しかしパンドラの箱は開けられてしまった。この悪循環を誰がいつ、どのようにして止められるのか…絶望感だけが募ってくる。もはや公立学校のメルトダウンはまじかに迫っているのか…

参考動画

“良い先生”が、学校を壊す?|元校長・国会議員が語る教育現場のリアル【前編】 

 #7 東修平の対話チャンネル【公式】  2025/04/22  33:56

【問題提起】半径2メートルの教育観を壊せるか|元校長が、教育は宗教”と語

 る理由【後編】#8 東修平の対話チャンネル【公式】 2025/04/25  38:24

 高校教育の改革を主題とした記事や動画はこれまで極めて少なかったと思うが、いかがか。昨今の高校教育無償化を巡る論議によってようやく高校教育への注目度が高まってきたのだろうが、この二つの動画は高校教師にとっては貴重な動画だと考える。

 元高校校長の荒井氏の指摘の中で都道府県立高校の一部を市町村立にして地域社会活性化の核としていく案は極めて興味深い。公民館や小中学校、高校などが一体化して地域社会の核となれれば、部活動の地域社会への移管も進むだろうし、児童生徒の異年齢間の交流も活発化するだろう。また都道府県立高校が抱える均質化、同質化の圧力を低め、各学校の個性化、自由化が進むかもしれない。

 千葉県の公教育を変えていく上で大いに参考となるだろう。