§5.日本の進路その1.政治と経済の混迷③

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 以下は多くの部分が過去の投稿(「政治と経済の低迷①、②」を中心に他の投稿も含む)と完全に重なりますが、今回の総選挙(2024.10.27)での与党の歴史的敗北という結果を受け、与党過半数割れの原因や今後の日本政治のあり方を授業で議論する際に役立つであろう内容に絞って敢えて再掲載することにしました。以前の投稿の内容も含めて改めて「政治と経済の低迷③」と題し、かなり重複することを承知の上で今回は投稿しております。

 過去の投稿の再掲載の件、以上の趣旨をご理解の上、ご了承ください。

 

・若者の政治離れ、それとも政治の若者離れ?

参考動画

旧日本軍731部隊の公文書について  日本共産党 2025/03/21  21:43

 かつてその存在すら日本政府が否定してきた731部隊の人体実験、細菌兵器の開発等の犯罪行為は、敗戦時の証拠隠滅のためその多くが散逸し、焼却されてしまったと思われる。しかし部隊長の石井史郎らと接触したアメリカ側は敗戦後、すぐに石井から多くの資料を入手しているとも言われた。つまり、資料の多くはアメリカ側に保管されている可能性が高いと思われる。

 731部隊に関しては、本来ならば東京裁判で裁かれるべき戦争犯罪がアメリカと石井との取引によって歴史の闇に葬られてしまった、と言われてきた。確たる資料の不在を盾にそ知らぬふりをして卑怯にも日本は平和国家を気取ってきたのではあるまいか。だとすればこのこと自体、世界や自国国民をも欺く国家的隠蔽そのものであり、隣国からの根深い不信を買う大きな歴史的汚点であろう。

 この際、日本政府はアメリカが保管している資料の公開をアメリカ大統領に強く要求し、それらの資料を通じて731部隊の戦争犯罪の有無をしっかりと検証していくべきではあるまいか。山添氏は国会内でわずかしか存在しない国内の資料解釈に拘るよりも、資料開示に向けてアメリカへの強力な働きかけを行うよう、石破首相に要求すべきだと思うが、いかがか。戦後80年経ってしまった。政府はいい加減、過去から目を背けずに自国の犯罪行為を直視すべきであろう。

 アメリカでは遺族の意向すら確認せず、トランプ大統領の一存で故J.F.ケネディ大統領の資料開示を強行している。今こそ戦後日本の最大の闇を暴く千載一遇のチャンスであり、この機運を利用しない手はあるまい。一刻も早く、731部隊の資料、併せてなぜか無罪放免された元A級戦犯容疑者らの資料をしっかりと開示してもらい、自国民および他国民からの不信を一気に解消していただきたい。

【都議選前に知るべき】石丸伸二が元都議に聞いた“知られざる都議会議員の実

    態”【暴露】 ミライにっぽん研究所 2025/05/06  23:41

 都議会議員の活動と収支の実態はこれまで公にされてこなかった部分が大きいと思われ、非常に貴重な動画となっている。政治の透明化と政治参加の意欲を高めていく上でこのような情報を公開することには大きな意義があるだろう。

    石丸氏は再生の道を創設して都議選の立候補者選びから動画を公開し、政治の透明化を図っているが、そうした試みをこれからは政治の世界にとどめず、多方面で行っていく必要があると思うが、いかがか。

 授業では特に前半部分の都議が割いている活動の内訳を紹介したい。選挙区の新年会に100回近く顔を出し、その都度、一万円を渡す…これはどう見ても禁止すべき風習であり、政治改革の先頭に位置づけても良いほどの悪習であろう。その結果、本来、政治家として力を入れるべき広聴・広報や政務調査などの時間が制約されてしまう事が、どれほど地方政治にとって非生産的、非効率的なのか、考えたい。

【再生の道 最終選考】「ケチってる自治体が...w」補助金と教育の闇に石丸伸二が

   激しく同意!深く頷く...【東京都墨田区/坪田幸典/東京都議会選挙】

   石丸伸二と日本を動かそう 2025/03/29  27:15

   石丸氏が2025年1月15日に立ち上げた「再生の道」がいよいよ6月の都議選にむけて動き出した。党議、党則を持たない、都議としての任期は2期までとする、他の政党に所属することも可等、異色の地域政党であり、今後の動きが注目される。この動画は石丸氏公認の切り抜きであり、授業でも視聴しやすく編集されている。とはいえ、視聴時間はかなり長い。さらにポイントを絞って部分的に視聴させたい。

   都議選立候補者の絞り込みを三次選考まで行っている。本動画は候補者がかつて教員志望者であった点、教育政策への関心が高い点など、高校生が親近感を抱きやすい人物であり、授業で取り上げるには最適かと思う。ただし残念ながら公募した面接官(16~24歳)が不在である。

   選挙のエンタメ化を図りつつ、若い人の政治への興味関心を高め、かつ有為な人材を発掘して地方議会に送ることで、地方から新しい政治の動きを広げていく…こうした石丸氏の戦略が今のところ、多くの人を捉えているようだ。

    重要なポイントとして面接官に敢えて若い人を公募し、ヒリヒリするような選考の場に招いて政治に関わる貴重な体験を積ませたこと。さらにこれまでの選挙のあり方では決して立候補しなかっただろう優秀で即戦力となりそうな人材を広く公募し、何と1000人以上が一次選考に応募した事、三次選考では石丸氏との面接場面を生配信して候補者の人となりを直接的に視聴者へ伝えるとともに、候補者選考の過程を広く開示し、出来る限り透明化した事…などであろうか。

 各生配信の視聴回数が10万回越えしており、今からでも6月の都議選が待ち遠しくなる動画内容となっている。立候補者の事をあまり知らないまま、ただ所属政党だけで選ぶ、地元の有名な議員へ機械的に投票する…高齢者にありがちな投票行動の繰り返しとは一線を画し、立候補者を絞る段階からスリリングな選考が始まる展開に心躍らされる。

 「再生の道」が若者の政治参加を促し、若者の投票率を実際に上げていけるのかどうか…6月の選挙結果を待ちたい。

【速報4/6】記者「社会的成功者ばかりで大丈夫?」石丸氏「ダメな理由とは?」 【石丸伸二 切り抜き】 炎の石丸伸二 2025/04/07  30:15

 政治の行き詰まりをどう打開していくのか、石丸氏の戦略は徹底して考え抜かれたものであることが分かるだろう。「再生の道」に期待するところ大である。

【速報4/13】全面接が終了、記者と共に20分の延長戦が始まる【石丸伸二 切り抜

    き】炎の石丸伸二 2025/04/14  22:58

    マスコミと政治との新しい関係性を創出しようとする石丸氏の試みの意義がよく分かる動画となっている点で極めて貴重な動画であろう。この場にいるマスコミ関係者がわずか3人に過ぎない点に、あらためてマスコミの問題点が露わになっている側面と石丸氏の試みの、容易には理解されないほどの斬新さが明瞭に見えてきているように思えるが、いかがか。

    日本の政治とマスコミに対してこれまでひたすらフラストレーションを溜めてきた人々が挙句の上に日本社会の変革を諦めつつある流れを、ようやくにして変えられるタイミングが来ているのかもしれない。国民の胸の内に長年わだかまり続けていたモヤモヤが再生の道を通じて少しずつ晴れていく感覚を覚えている人は少なくあるまい。どういう戦略が「政治屋の一掃」につながるのか、道筋はわずかでも見えてきていると個人的には感じている。再生の道の今後に注目していきたい。

これぞ政治家の鑑!全てがド正論!さいたま市議会議員吉田一郎の討論 #吉田一郎 

    政界ツッコミ道場 2025/06/01

 3:58~5:34の箇所だけ視聴すればよいだろう。短時間で済むので中学校の授業でもぜひ視聴させたい動画。さいたま市議会の様子であるが吉田議員の指摘が秀逸。

  「エッフェル姉さん」と揶揄された女性国会議員のフランス研修の実態が極めて怪しく、ほぼほぼただの観光旅行をかなりの割合で政務活動費、すなわち公費で行っている事への疑念が噴出したことは記憶に新しい。こうした「海外研修」と称する怪しげな議員たちの海外視察、旅行が国会だけではなく、頻繁に地方議会でも税金で賄われているのは周知の事実である。

    他方で、姉妹都市との交流のためにニュージーランドまで出かけた中学生は半額以上を自己負担させられている。もちろん中学生らは現地でそれなりに楽しい思いをしたであろうし、「視察、研修」ばかりではなかっただろう。しかし、その点では議員たちも大差あるまい。加えて議員、中学生どちらも「姉妹都市との交流」という公の目的を帯びている点で大差は無い。

 議員たちの海外旅行が公費で賄われ、なぜか中学生たちは過半を自己負担とさせられている…この理由についてぜひ生徒たちに考えさせたい。

参考記事

「仕事は多くて年間60日」「仕事しないが議員報酬アップ」「頑なに情報発信しな

   い」SNSの”自虐投稿が大反響…埼玉県加須市議が明かす《地方議員のヤバすぎる

   実態》現代ビジネス 週刊現代 2025.3.15

 地方議員の成り手がいない、との情報もある中でこの「自虐投稿」は実に衝撃的である。加須市だけがこうなのだ、とは到底思えない。議会の閉会時、年間300日以上をどのように過ごすのかは議員次第。中には副業感覚で議員としての広報活動すらしていない人が多いという。それでも再選されてしまう住民たちの政治意識の低さは一体どこから来るのだろう。

 おそらくそれは学校教育に多く由来するに違いない。生の地方政治の課題を討議させるといった欧米型の授業が、日本では一貫して禁止されてきた。実際、国政に文句のある高齢者は少なくないだろうが、地方となると恐ろしく無関心…そうした有権者は極めて多いに違いない。日本の学校教育が長い時間をかけて育んできた地方政治への徹底的とも見える無関心…安芸高田市で石丸氏が本当は何と闘ってきたのかが偲ばれる。改めて抜本的な教育改革の必要性を感じるが、いかがだろう。

日本復活に「経済政策」は不要どころか、逆効果だ 石破政権が今本当にやるべきこと

   とは何なのか 東洋経済オンライン 小幡 績 2024.11.1

    国立大学への偏重策は文科省の体質が変わらない限り、教育の国家統制を強める可能性が強くなる恐れがあり、どうなのかな、と思う部分がある。しかし中長期的には経済政策よりも教育政策を重視せよ、という主張には概ね賛成である。

 教育は「国家百年の大計」であり、人材の優秀さを最大の武器として今まで発展してきた日本が今、直面している学校教育の危機(教員不足、イジメ、不登校の増加…)は、日本の将来をいよいよ暗いものにしてしまうだろう。ただでさえ、猛烈なスピードで進んでいる少子高齢化が招くであろう深刻な事態を、現今の教育危機が深まることで絶望的なレベルにまで悪化させてしまうのではあるまいか。

 現政権が急ぐべきは学校教育の抜本的な改革であり、税金のバラマキ策による景気対策は急場しのぎとしては当面、仕方ない側面があるものの、事態の本質的な改善にはつながるまい。

 若者の絶望感が深まり、闇バイト事件が頻発する中で「無敵の人」が急増しつつある現在、若者対策の一環としての教育改革は後回しにして良いはずがなく、むしろ一刻を争う課題であろう。そして教育改革を断行するには現政権の顔ぶれでは完全に不可能であり、その場しのぎのバラマキ策が終われば直ちに総辞職に追い込んで政権の交代をはかる…とりあえず、これくらいしか今の日本の危機を打開する手はどこにも見当たらないように思えるのだが、いかがか。

衆議院選挙の18・19歳の投票率43・06%…全体を10・79ポイント下回

   る 読売新聞 によるストーリー 2024.10.31

     18歳の投票率が19歳よりも高い理由として高校などでの主権者教育の成果が出ているという読売の評価はいかがなものだろう。仮にそうだとして、主権者教育の影響がわずか1年で急校下してしまうということは、むしろ主権者教育が若者の意識を十分には捉えてはいなかった証拠なのではあるまいか。この点は生徒たちにアンケートをとって授業で確認してみても良いだろう。

 私としては教育や「政治の若者離れ」がとうとう「若者の政治離れ」、教育離れを引き起こしてしまったのではないか、と思うのだが、いかがだろう。

    …選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられてから初めて行われた16年参院選以降、6度目の国政選挙だった。制度導入以降、18、19歳の投票率は全体の投票率を大幅に下回り、30~40%台と低水準が続く。最も高かったのは16年参院選の46・78%で、最低は19年参院選の32・28%。今回の衆院選では、全体投票率との差が、16年参院選に次いで小さかった…とのこと。

    これらのデータは高校などでの主権者教育が相変わらず不十分のまま、格好だけつけて選挙権年齢の引き下げを行ったに過ぎない、という、日本の学校教育と政治の、ゴマカシだらけで古色蒼然たる惨めな状況を示していると捉えるべきであろう。

杉村太蔵氏「1票で日本は変わらない」発言 元放送作家が批判「この失言の罪は重

 い」 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.10.29

 杉村氏の刺激的な発言は若者の政治離れ、政治の若者離れ現象を理解し、今後の民主主義のあり方を考える上で極めて重宝する内容だろう。ぜひ、授業で取り上げて賛否を問いたい。まず前半の「1票で日本は変わらない」という発言と後半の「日本は良い国なので何も変える必要は無い」という趣旨の発言とに分けて、それぞれ生徒たちから意見を募りたい。

世界幸福度ランキング1位・フィンランドの高校生は「人生観」を学んでいる。セレ

 ンディピティの概念や不公平への視点…人生を切り拓く教育とは

 婦人公論.jp 岩竹美加子 によるストーリー 2024.11.2

 …調査によると「私個人の力では、政府の決定に影響を与えられない」という考えについて、日本の高校生の83%が「全くそう思う」、または「まあそう思う」と答えたという。それは米国76.2%、韓国64.4%、中国59.4%の回答と比べて高い。フィンランドの教育は社会や政治に影響を与えることを非常に強調するが、日本でそうした教育はされていない。自分の力で政府の決定に影響を与えられるという感覚が低いのは、当然の結果であり不思議はないだろう。…

 日本の若者が投票に行かず、政治への関心や知識が不足し、自己有効感、当事者意識、主権者意識などに欠けてしまいがちなのも、抑圧的で管理主義的、画一的な日本の学校教育が生み出す弊害と考えられる。

 また心理学の有益なポイントを高校生の時から学習しているフィンランドに対してほとんど教えていない日本ではストレスなどへの対処法に習熟していない生徒が多い傾向が見られるようだ。加えて日本の学校では子どもから自己肯定感を奪うような規律順守の指導が目立つ。こうした事などから日本では過去2年間連続で小中高の年間自殺者数が500人を超えている。時に児童生徒を委縮させかねない日本の道徳の授業よりも科学的な見地から生き方を学び取るフィンランドの授業の方が子供たちの幸福感を高める効果があるのだろう。

杉村太蔵“あなたの一票で日本は変わらない”と発言したのはなぜ?2500字の長文

   で説明 スポーツニッポン新聞社 の意見  2024.10.29

31歳俳優が政治への無関心で私見「見てても見てなくても他のことやった方が」 

 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.10.6

 今時の若者らしさが伺える率直な発言で、非常に興味深い。発言したのは31歳の俳優であり、既にそれなりの人生経験を積んできているはずの人物が、政治に対する無知と無関心ぶりをこれほどまで物おじせず、あからさまにさらけだした勇気に対し、私たちはむしろ感謝すべきなのかもしれない。

 もっとも彼は俳優であり、本当に彼が政治に対して無知であり、無関心ではあるのかは不明としておくべきだろう。ただし敢えて炎上覚悟で語った彼の真意が一体どこにあったのかは十分に斟酌すべきだと考える。

 彼の発言を通じて日本の若者の政治に対する無関心の裏側にある政治に対する深い諦め、絶望感を私たちは明確に感じとることができるはず。同時にいよいよ日本の将来が極めて危機的であることを私たちは予感せざるをえないのではあるまいか。

 彼の発言はその表層だけを捉えると多くの大人たちにとって呆れるほど無知で脆弱なものに響くかもしれない。しかし彼の発言の底に漂う尋常ならぬ絶望感は今の若者を理解し、今後の日本社会を考える上で指導的立場にある大人たちこそしっかりと共有すべき感覚なのではあるまいか。

 実際、今回の石破内閣のメンバーがヒナ壇に並んで写った写真を見たならば直ちに絶望しない人々の感覚の方こそ完全におかしいのかもしれない。そういえば私たちはこれまでの長い間、こうしたヒナ壇上の閣僚たちの、酷く加齢臭漂う男ばかりの集合写真を嫌になるほど繰り返し見させられ、すっかりならされてきてしまった。しかしそれは大抵の場合、年功序列、男尊女卑の、日本の差別的構造の、おぞましいばかりの残存ぶりを象徴したかのような写真たちではなかったのか。

 石破内閣の最前列に並んだ、良く言えばいかにも恰幅の良い、何だかふんぞりかえって妙に偉そうな、ズボンがたるんでだらしなく腹の出たおじいちゃんたちの一群。その後方のおじいちゃんとおじさんたちの大群の中にいかにも目立つように配置された、しかしたった二人の女性閣僚…

 これが日本国の「顔」役としてしばらくの間、国内外に流通してしまう、そのことの猛烈な恥ずかしさと虚しさ、恐ろしさ…一体、どこのどいつがこの顔ぶれで「裏金問題」で揺れた政局を無難に乗り切れる、と言語道断にも自分勝手に判断してしまったのだろう?…たった一枚のひな壇写真で現内閣が日本の若者や女性たちの不満、政治不信に何一つ興味、関心が無いことだけは、恥ずかしげもなく、一切隠すことすらせず、ハッキリと内外に大声で叫んでしまった!

 初入閣が13人もいるはずなのに、写真では若さの欠片も見えてこない。それもそのはず、40代以下はゼロの閣僚たちであり、最年少が51歳、平均年齢は63.55歳…しかも最前列のどんよりとした顔つきと右端の一人の視線があらぬ方向に彷徨うありさまを見ると若者が日本の政治に絶望したくなるのも無理はあるまい。おそらくプロの演出家がサポートしていれば、この写真は間違いなく日の目を見ずにお蔵入りになっていたはずだ。こんな写真を惜しげもなく国内外に発表してしまう石破内閣の、突拍子もない、あまりにも図太すぎる鈍感さに通常の人ならば恐怖すら覚えるだろう。

 今回もヒナ壇にのぼったのは日本の少子高齢化と年功序列の男性中心社会をものの見事に象徴したかのような、すっかり見飽きた、いつも通りの構成メンバーであり、このメンツで急変する時代の荒波を日本が無事乗り切れると信じられる方こそ、完全にピントがずれている…

 ひるがえってみれば、児童生徒の自主性を軽んじ、暗記中心の詰め込み教育を延命させて児童生徒たちの多くをひたすら受け身の忖度マシーンに作り替え、少なからぬ児童生徒たちを絶望させてきた日本の学校教育の、とどのつまり、日本社会にもたらした害毒がついには彼の発言と石破内閣の顔ぶれに臆面もなく表れてしまっている…そのように思えるのは私だけであろうか。

 授業ではまずアンケートを用いてこの記事と石破内閣のヒナ壇写真に対する生徒たちの素直な感想を様々な角度から引き出してみたい。次にその結果を踏まえて議論を展開してみると面白いのでは?良かれ悪しかれインパクトのある記事と写真であり、上手に使えば生徒の発言はそうとう活発になることが期待できるはず。また歴代内閣の集合写真や北欧の政府閣僚の写真も確認させてみるとより理解が深まるだろう。

柴田淳「どれほど恥知らずなんだろう」政治に全く“無関心”の人気俳優に大あきれ

 スポーツニッポン新聞社 によるストーリー 2024.10.7

    柴田氏の発言は最もよくありがちな大人たちの反応であろうが、石破内閣のヒナ壇写真の方こそ国民の政治に対する、まさに「恥知らず」なレベルでの無関心さを強烈に感じてしまうのだが…いかがだろう。女性蔑視の男性高齢者による政治があれほど「老害政治」とさんざん揶揄されてきた「人権後進国」日本であるにもかかわらず、石破内閣の顔ぶれは相も変わらぬ旧態依然の政治が延々と続くことを国内外に強烈にアピールしてしまった…と思う方が常識的な解釈ではあるまいか。まずは高校生らにヒナ壇の写真をじっくりと見ていただき、その素直な感想を聞いてみたい。

     一応、これでも日本は民主主義国家である。彼らを選んでしまった国民の方こそ、本来ならば一番の責任を問われるべきだろう。国民主権の国家であるはずだし、代議制民主政治の国なのだから、石破内閣の、明らかに特定の方向に偏った異様な顔ぶれは主権を持つ日本国民の総意を代表していると諸外国から捉えられてしまったとしても致し方ないはずだ。現状の政治を主権者として他人事ではなく自分事として捉えようとするならば、石破内閣の顔ぶれこそが現状としての日本国民の政治意識の忠実な写し鏡、象徴なのであり、それ以外の何ものでもないはずである。

 笠松氏の発言は不器用で不用意なものにも聞こえるが、むしろ若者たちの思いを正直に代弁しているのであり、私たちが嘆くべきは笠松氏個人に対してではなく、国家の主権を握っているはずの日本国民がどれほど酷く政治に対する意欲と関心を心底まで喪失してしまったのか、そして日本の政治がいかにして若者たちの意思を延々と無視し続けてきたのか…というこれまでの日本社会の歩みの方ではあるまいか。

 すなわち官僚と組んだ歴代政府が長年にわたって国民の知る権利を踏みにじり、マスコミと学校教育をただの洗脳道具として政治利用しようと企んできた結果がこの惨状を生み出してきた…そうした側面が実際にはあるのではないか。

 おそらく真剣に問われるべきは現在の日本国民の主権者としての自覚の、深刻なレベルでの形骸化と喪失、そしてその現象が一体何に由来しているのか、何が国民の政治的関心と意欲をこれほどまでに奪い去ってきたのか…といったような事であろう。

 主権者である国民は一旦、冷静になるためにもまさに自分たちの現状、ありのままの自画像として、目をそむけたくなるのを我慢してでも石破内閣の顔ぶれを何度でも何度でも自問自答しつつ、十分な時間をかけて繰り返し凝視すべきだろう。本当に日本の顔はこのメンツで良いのだろうか、と…

 そう考えてみると柴田氏の発言を単純に鵜呑みにするわけにはいくまい。彼の発言は余りにも表層的できれいごと過ぎるのではあるまいか。「けしからん」とばかりに批判されるべきは笠松氏ではなく、またもや絶望的な顔ぶれとなった石破内閣とそうした顔ぶれを性懲りもなく選び続けてきた主権者である日本国民の方であろう。

 だとすれば日本を民主主義の国家として捉える限りは、「けしからん」とばかりに笠松氏を批判するのはまさに天にむかって唾を吐く行為そのものとなる。結果としてその発言は「主権者」たる日本国民への面汚しになってしまうのではあるまいか。

 ただし以下の疑問を持つとき、この問題は笠松氏、柴田氏のどちらに与すべきなのか、といった二者択一の単純な話ではなくなってくるだろう。

 本当に日本は民主主義国家なのか、日本国民にまともな主権はあるのか、日本国憲法は本当に民主主義的なのか、日本国憲法は校訓と同じただの謳い文句に過ぎないのではないか、日本政治が悪いのは本当に国民の政治意識が低いからなのか…

 笠松氏の破壊的とも感じられる真っ正直な発言は深堀していくと日本の現状を根底から問い直すベクトルをも内包しているかもしれない。

 授業ではこの記事も紹介しておくと議論がかなりヒートアップすること、間違いなしだろう。

女性の当選、立民が最多30人…次いで自民19人・国民6人

   読売新聞 によるストーリー 2024.10.28

    女性の当選者が「73人に上り、2009年衆院選の54人を上回って過去最多となった。21年の前回選(45人)から28人増えた。全当選者に占める女性の割合も15・7%と過去最高で、前回選の9・7%から6ポイント増えた」という。この結果に民意が反映しているはずである。

     ただし自民党も女性候補者を数多く擁立したが、「自民は政治資金問題で比例選との重複立候補を認めなかった候補の代わりに女性を積極的に擁立したが、比例名簿の順位が低く、当選に届かない候補が多かった。」とのこと。「裏金問題」への対応の悪さに加えて、石破政権の隠しようもない女性蔑視の姿勢が総選挙の大敗を招いた一因ではないだろうか。

 しかも過去、自民党の女性議員たちが引き起こしたフランス研修旅行騒動と杉田議員による再三の差別的言動、さらには彼女たちの多くが実は裏金議員だった点も相まって、自民党の女性候補者への信用が失墜していた可能性も考えられなくはない。

   「女性の当選者が最も多かったのは立憲民主党の30人で、自民党の19人、国民民主党の6人が続いた。」という。立憲民主党の躍進を支えたのは新鮮な女性候補者の数の多さでもあったと考えられるが、いかがか。

参考動画

【NNN世論調査】衆院選の結果 「よかった」58% 「よくなかった」25%

 日テレNEWS  2024/10/29  1:53

 石破政権がいかに民意を読み違え、独りよがりの方向に突っ走っていこうとしていたかがわかる調査結果だろう。

【菅義偉】衝撃の変わり果てた姿6連発!

 世間を賑わすニュースあれこれ 2024/10/28  8:08

 菅氏の近影をまとめたもので、菅氏の病状が懸念されるとの指摘にはやはり同意せざるを得ないだろう。下の動画とともに視聴させたい。

首相経験者Sさんは認知症〜認知症専門医・長谷川嘉哉〜「ボケ日和 転ばぬ先の知

 恵」チャンネル  2024/10/16 8:29

 石破政権樹立をサポートした元首相菅氏のうつろな表情には確かに多少の違和感があったものの、実はこれまであまり気にしていなかった。しかし専門家に指摘されて改めて動画を確認(上の動画)してみると実際、症状が相当程度、進行しているように見受けられたが、いかがだろう。既にここまで症状があからさまになっていたとすれば、菅氏の周囲にいる人たちは彼ら自身の認知的な問題が無い限り、とっくの昔から症状の進行に気付いていたはずである。

 にもかかわらず認知的な問題を抱えている人物に後押しされて辛うじて成立してしまった石破政権の現状における、当然の報いとしての危うさ…やはり石破氏とその周りにいる政治家たちの政治的言動に対しては、菅氏の症状よりもはるかに重大な認知的深刻さを覚えてしまうのだが、いかがか。

 アメリカ大統領のブッシュ氏も早くから認知症の症状が顕著であった。にもかかわらず民主党はブッシュ氏に引導を渡すことなく、ズルズルと同氏に政権運営を委ねてしまった。その責任は極めて重大であろう。現在、大統領選でハリス候補がトランプ氏に苦戦を強いられている背景にはいつまでもブッシュ氏を担いできた民主党に対するアメリカ国民の強い不信感がくすぶっているのかもしれない。

 もちろん、誰かが認知症だからと言ってそうした人物が直ちに仕事を辞めるべきだ、ということではない。ただキングメーカーあるいは一国の宰相としてはいかがなものか、という疑念を持つとともに、そうした人物の後押しを受けて総裁選に臨んだ石破氏の見識を問うているだけである。どう見ても石破氏およびその周囲の政治家たちに、かなりの程度で「転ばぬ先の知恵」が足りていなかったのではあるまいか。

参考記事

「政治的活動なので、ポスターをはがすように」高校時代の経験から… 20歳が見た

 総裁選の「内輪感」 withnews2 2024.9.24

 若者の政治離れの原因は他にも数多く挙げられよう。しかし日本の政治システムが若者の意見をほとんど反映させない装置として機能していることに絶望し始めた点こそが若者の政治離れの要因として極めて大きいと思われるが、いかがだろう。

 若者の政治への絶望感は「少子高齢化」の進展による若者の一票の重さが悲惨なレベルまで軽くなってしまっていることだけに由来しているのではあるまい。成田氏が指摘しているように現代では急速に学問の高度化と専門分化が進み、科学技術が急ピッチで進化し続けている。こうした現状に対して従来の代議制が不適応を起こし始めている可能性は決して低くあるまい。

 成田氏の指摘する通り、高度に複雑化し、多様化する現代社会においては政治全般に対する議員一人一人の知識、理解、政策立案能力には大きな限界があり、すべての議題、政策、法律に通じている者などもはや一人もいない。にもかかわらず、有権者が一人の立候補者にだけ投票してすべての政策、立法をたった一人の代議士に委ねてしまうシステムは既に時代遅れなのかもしれないのだ。

 まずは参政権を付与する年齢の上限を決めて若者の不利な状況を少しでも解消していくことが急がれよう。さらには成田氏が提案しているように、議題によっては政策ごとにその賛否等をネットで投票して方向性を決定するような、現状の代議制に代わる新しいシステムの導入が検討されてしかるべきだと思う。

 具体例を考えてみよう。これまでの教育政策は実際には学校現場にほとんど無知な政治家と官僚が大き過ぎるほどの政策決定力を行使してきた。その害悪は今や計り知れないほど大きなものになりつつある。しかし、今後は新しい教育政策の導入や旧来の政策の見直しなどにおいては学校関係者(高校生以上の生徒・学生と教師)にネットを通じての投票を義務化して現場の意見を重視させる路線を打ち出す一方で、他の有権者にも同等の投票権を与えて政策の是非を決定していく。ただし政策の立案や細則などの専門性を要する部分は、国会や内閣、文科省などの配下に置かれた審議会ではなく、開かれた公正な選挙で選ばれた高い専門性と経験値の高いメンバーからなる新設の教育審議会に委ねる。

 以上のようなことが実現すれば教育政策において教師だけでなく高校生にも主権者としての当事者意識が多少は湧いてくるだろうし、政治家や財界からの時代錯誤な介入、下手な横やり、改革への妨害を少しは防止できるかもしれない。

 

・老害発言は年齢差別?

「もう出馬してほしくない」高齢議員ランキング…3位小沢一郎、2位麻生太郎を抑

   えた1位は? 女性自身 によるストーリー 2023.10.25

    高齢の政治家が年功序列によって指導層にいつまでも居座る日本の政界こそが、時代の流れに取り残されがちな、停滞し、低迷する日本の現状を引き起こしている元凶の最たるものであろう。財界もしかり。成田氏が指摘するような「集団切腹」ならぬ潔い「勇退」制度、年齢制限が求められているだろう。少子高齢化の中で不利な立場に置かれている若者への優遇措置も同時に必要となっている。

参考動画

「松本人志を本当に超えたい?」成田悠輔が”世代交代できない芸能界”を斬る【中

 田敦彦】 NewsPicks /ニューズピックス  2023/08/18  14:02

 「老害問題」と若者との関係をどう捉えるか、過激な発言で知られる二人の対談は非常に興味深い。キーワードは「世代交代」のあり方であろう。高齢化する日本社会の世代交代のあり方についてぜひ討論させてみたい。

若者よ、選挙に行くな 2019/07/12 たかまつななチャンネル 1:27

 辛口ではあるが、討論に使えるだろう。シルバー政治に対抗する手立てはあるのだろうか?日本の年齢別人口ピラミッドや世代別投票率のデータを示しつつ、ぜひ時間をかけて討論させたい。

「若者の政治離れ」と言ってる人に一言 2019/07/04 ワラしがみ 4:58

 「政治の若者離れ」という表現はお見事。

今後のことで画期的なアドバイスがあるから聞いてほしい

 2022/05/21 ワラしがみ 3:29

 税金の使途についてもう少し厳しい監視の目が必要だろう。

文通費問題の全部を丸く収める超絶アイデアを思いついた

 2021/12/18 ワラしがみ 5:00

 文通費の「クーポン券」配布はかなり有効なアイデアに思える。

【ひろゆき】爆笑問題太田が大炎上。これ理解できないバカが日本を滅ぼします。

 爆笑問題太田光の二階幹事長への炎上発言についてサンジャポファミリー

 ひろゆき【切り抜き】2021/12/11 3:05

【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化よ

 り無人化の方がマシ」少子化&人口減少前提で考える日本の未来|#アベプラ《ア

 ベマで放送中》 2021/12/19 20:28 

 過激だが説得力のある提案。

【名作】ネットで話題騒然となった問題発言の発端!!今の日本の現状を痛烈に批

 判!!居座り続ける老人達に成田悠輔が警告を放つ!!

 成田悠輔の動画  2023/08/06  7:14

 【改造論】成田悠輔「消えるべき人に消えてと言える状況を」ひろゆき「過疎化よ

り無人化の方がマシ」ABEMA Prime (2021/12/19)において高齢者の集団切腹」といった過激な表現だけが切り取られ、高齢者差別を煽る暴言と決めつけられて一時、大炎上した成田発言だが、実際には物理的切腹という意味ではなく社会的切腹(過去の功績をもって上のポジションに居座り続ける高齢者に潔く引退を促す、というほどの意味)であるとの発言であったことが分かる。この炎上騒ぎが成田氏に悪意を持つ勢力の扇動である可能性は高いだろう。成田氏が社会的切腹をイメージしたのはおそらく二階元幹事長や森元首相の発言をめぐる一連の騒動であったと思われる。

女性めぐる発言「深く反省」森喜朗会長が発言撤回 辞任は否定

 2021/02/04 FNNプライムオンライン 4:35

森喜朗を救いたい 2021/02/06 ワラしがみ 12:51

【成田悠輔】誰もが興味を持つ話題にぶっ飛び発言!政治家になる可能性は?ひろ 

 ゆきと成田悠輔に聞く【成田悠輔切り抜き/成田祐輔/ひろゆき/日経テレ東大学/リ

 ハック/Yusuke Narita】2022/01/01 3:04

「僕らは武器を与えられず大人になっている」20代の若者が日本経済への心情を吐

 露 2022/08/15 NewsPicks /ニューズピックス 14:30

【衝撃結末】収録直後…天才がまさかの告白【選挙ってなんだSP】

 2022/06/21 日経テレ東大学 40:32

 ランク付けの投票は検討に値する投票プランの一つと思われる。

【22世紀の民主主義】成田悠輔が提唱する「政治家不要論」アルゴリズムが政

 策を決めていく時代 2022/07/26 中田敦彦のYouTube大学 – 40:40

22世紀の民主主義②】日本の停滞感を根本から変える「成田悠輔の新構想」とは?

 2022/07/27 中田敦彦のYouTube大学  42:00

 SNSの普及がポピュリズムをはびこらせ、民主主義の停滞を招いたとする成田氏の指摘は参考になるだろう。SNSの普及は他方で民主主義を再生するには「選挙」という古臭い、雑なシステムから離脱し、政治家を不要とする新しい社会を招く可能性を有している、という指摘も刺激的だが非常に面白い。本当の民意を反映させる方法としてAIを用いた政治を構想することも必要。「選挙に頼らない民主主義」という意表を突いた発想に注目したい。

【激論】成田悠輔×西田亮介 ニッポンの民主主義は限界?改良の余地は【参議院選

 挙】2022/06/24 ABEMAニュース【公式】 31:27

 二次投票のアイディアも現実的改善策としては検討に価するだろう。

参考記事

日本の「重症の民主主義」を再生させる3つの手段 「#投票に行こう」では変わらない

 現実を変える  成田 悠輔 2022/08/04 15:00 東洋経済オンライン

「若者の非婚化」を後押しする日本の絶望未来 実は「晩婚化」なんて起きていないとい

 う衝撃 荒川 和久 2022/08/14 07:30 東洋経済オンライン

成田悠輔氏の広報起用批判受け 内閣広報室、各省庁に「人選慎重に」

 毎日新聞 によるストーリー 2024.3.22

 まさしくこうした動きの背後に老害政治家たちの狡猾な動きが潜んでいるように見える。

キリン「氷結無糖」の“成田悠輔氏”広告取り下げが起こった本当の理由

 日刊SPA! の意見 2024.4.6

 上の記事とあわせて利用するとこの問題への理解が深まるだろう。

参考動画

【貧困大国ニッポン①】円安・賃金の停滞・国際競争力の低下…日本はなぜ貧困に

   なってしまったのか?その原因を徹底解明します

   中田敦彦のYouTube大学  2023/11/11 38:27

【貧困大国ニッポン②】官邸一強によって生まれた忖度…「内閣人事局」の功罪と

   は? 中田敦彦のYouTube大学 2023/11/12 34:48

 「失われた30年」がどのようなメカニズムで生じたのか、非常に明快な論理で解き明かした傑作動画。特に安部政治の負の側面を抉り出し、処断する論説が展開されている。確かに中田氏が強調するように、2012年に一人当たりのGDPが13位だった日本が、10年後の2022年に27位に転落した責任の過半は安部政治にあるだろう。

 失われた30年は小選挙区比例代表制と政党助成金が導入された細川護熙内閣から始まるという指摘は面白い。本来は金権政治への批判から導入された政治改革のための制度が政治の意思決定の面で族議員や大企業の力を弱め、相対的に首相官邸の指導力が高まる流れを創り出した点は確かに否めないだろう。加えて1996年に官庁が再編され、省庁の数がほぼ半減されたことで官僚の力も一気に後退し、これまた相対的に首相、及び官邸の力が伸長することにつながる。

 そしてこの流れが決定的になったのが安倍内閣による内閣人事局の設置(2014年)であったという。これによって政府は各省庁の幹部クラスの人事権を握るのみならず、日銀やNHKのトップを決める人事権まで握ってしまった。この人事は首相とそのお気に入り官僚(通産省出身者が多いらしい)とでほぼ決められてしまい、左遷、降格人事を恐れる官僚たちの過剰なまでの政権への忖度を生み出した。もちろんNHKや日銀も同様となる。安倍首相は検事総長の人事にも介入し、モリカケ問題や桜を見る会の隠蔽に走った。つまり首相のやりたい放題の政治が官邸主導で実現されてしまったことになる。総務省を通じてマスコミの統制にも成功した政府はついには政権に批判的なテレビキャスターを引きずり下ろす蛮行まで行うようになってしまった。

 他方で日本経済の立て直しはもっぱら日銀による異次元の金融緩和、すなわち莫大な通貨の市場への放出を行ったのみで、その効果は極めて一時的なものであったにもかかわらず、政策の検証を行わないままとうとう10年が経ってしまった。むしろ景気が後退する中でひたすら円安が進み、輸入価格の高騰に伴う物価上昇に対して賃金の上昇が間に合わないという、悲劇的な状況が日本の現状を覆っている。

 中田氏はこの「失われた30年」を取り戻し、「貧困大国」と揶揄される政治と経済の停滞から脱出するには「情報の透明化」が最大のポイントとなると指摘している。確かに過去30年間のしっかりとした検証抜きではいつまでたっても真剣な反省ができないまま停滞の沼につかっていく一方となるかもしれない。この状態はおそらくカッパが再三指摘してきた教育行政の停滞だけに限らない、極めて広範で根深い現象なのだろう。とりわけ「情報の透明化」は学校の強固な隠蔽体質の改善にもつながる、重要なキーワードであると感じた。

【成田悠輔 下村博文】そもそもの制度、構造の問題を指摘し続ける成田博士の視点

   は必要だと思う。

   天才博士の見る世界【成田悠輔 切り抜き】  2022/02/25  5:49

   成田氏の高齢政治家に対する一貫した主張が理解できる、貴重な切り抜き動画。ぜひ、この動画から「老害政治家」の問題や若者の閉塞感を明らかにしていきたい。

参考記事

 Z世代の約7割が日本社会の未来に「希望を感じていない」…理由2位「少子高齢

   化」を超えた1位は? まいどなニュース の意見 2023.10.6 

    やや調査対象の人数が少ないと思われるが、この分野の最初で使いたいデータである。なぜ、日本社会の未来に希望を感じられない若者が多いのか、その理由を出来るだけ多く考えさせたい。同時にどうしたら未来に希望を持てるようになるのか、その条件もできるだけ多く挙げさせたい。

二階元幹事長「不出馬」で考える スウェーデン82%、日本36.5% これが日の“

 じさん政治”を生む【報道1930】

   TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.3.26

   老害政治家が跋扈するする日本では若者の政治に対する無関心と諦めが蔓延している。とりあえず政治家の定年制と被選挙年齢の引き下げが同時に実現しないと若者の政治参加は進まないだろう。と同時に学校での政治的話題に関する議論形式の授業が小学校を含めて広く行われなければなるまい。日本の学校教育がいかに若者を政治的無関心に陥れているのか、特に社会科教師は深く自省すべきであろう。

「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選

 挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25

岸田首相「責任は国民判断」波紋=自民反発、野党は解散要求

 時事通信 2024.4.5

二階元幹事長に新疑惑 3年間で3400万円以上の書籍代 裏金で出版かさらに

 「本もらった」と話す住民たち 禁止される寄付にあたる可能性

 FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.5

 パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、ついには安倍派などによるこれまでの派閥政治への批判、安部派を中心とする自民党幹部の辞任に発展している。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が高まる中で、一見、安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。

 大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考えられるだろう。こうした事案に対して国民には選挙で政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙を通じて国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。

 ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制だったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズムを生み出す母胎の一部ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せた過去があったとすれば、多数派の発言力、優位性はある程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に判断することは避けるべきだろう。

 選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、出来る限り厳密に問うべきだろう。

 しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題、すべてこれまで証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分というあいまいさを払しょくできずに不透明なまま過ぎてきている。どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに広く浸透してしまっているのではあるまいか。

 つまり国民は民主主義が健全に機能する上で不可欠なはずの知る権利が常に侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持っていないのが実情だと私は考えている。

 このような状況で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りである。しかも比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが出来ないシステムである点も、選挙制度の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない一つの原因となっている。

 さらに日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が極めて限定的にしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているに違いない。

 要するに大西議員や岸田首相の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及ばない、いかにも今、ありがちな、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない、と判断するが、いかがだろう。

 

・2024年の都知事選を考える

参考記事

【2024荒れた都知事選】「恥ずかしい」「これが民主主義」 ポスター掲示板、

   有権者はどう見た?日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.7.10

    討論型授業に使うのならこの記事が良いかもしれない。ポスターを巡る意見の多様性に気付けるだろう。この問題をどう捉えるのか、議論百出してまとめるのは難しいのでここでは無理やりまとめるよりも、出来るだけ多様な意見を引き出してみることを最優先したい。考え方の多様性に気付くことの重要性について考えを深めるチャンスとなれれば結論が出なくとも議論する価値は決して小さくあるまい。

橋下徹氏 都知事選のポスター掲示板問題は「ある意味、今の都民の民主主義のレベ

 ル僕は事前規制に反対」 スポーツニッポン新聞社 の意見 2024.6.24

 「都民の民主主義のレベル」が低い、とのことだが、民主主義のレベルがとりわけ東京都に限って低いとは思えない。今や安芸高田市などを筆頭に地方議員のレベルの低さはあまねく知れ渡っている。今後、取り組むべきは国民の政治意識の低さがどの程度なのか、国際比較等を通じて明らかにし、日本での意識の低さがどのようにして生み出されてきたのかをまず明らかにすること。次に国民の政治意識を高めるには今後どうすべきか、その方策を練ることだろう。

車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元

 が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21

ひろゆき氏 都知事選わいせつポスターに「本人以外の写真載せた人みんな…」番

 組で持論述べる スポニチ 2024/6/22 10:36

 ポスターへの対応という目先の観点では妥当な意見であるが、本質的に問うべき点はなぜこのようなことが今の日本で生じているのか、であろう。ぜひ生徒たちには事の本質、事件の背景を推理させたい。

有権者「ばかにしている」 都知事選の掲示板に大量の同じポスター

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.21

 今、最高に刺激的なニュースであり、授業で取り上げないわけにはいくまい。生徒たちの意見、感想をまずアンケートで募りたい。ある程度、対立的な意見にまとまりそうならば、討論に持ち込めるだろう。相当、ホットな議論が展開できそうな内容だが、特にNHK党の立花氏の見解が興味深い。この意見をどう評価するのか、多角的に考えることで日本政治の現状についてかなり深掘り出来そうである。またアンケートでは誰が当選するのか、予想させるとさらに面白くなるだろう。予想の根拠、理由もぜひ書かせたい。

 ※参考記事

  〇「YouTubeでバズってる」オリラジ中田 明かした都知事選で注目する候補者”コメント欄では

   対談求める声が 女性自身  2024.6.21

小倉智昭「言語道断だよ」都知事選のポスター問題&大量擁立「何か手を打った方

 が将来のため」日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.24

73歳大物タレントが苦言「いまの日本には一般常識が存在しないのか?」都知事選

   ポスター騒動に 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.22

     高齢者による苦言には真剣に耳を傾けなくとも良いケースが少なくないだろう。いかにも「昔は良かった…」的な、高齢者のあやふやな記憶に基づく発言ほど「老害」臭が漂うものはない。堀江氏が指摘するように、昔から日本の選挙と政治は腐敗しており、残念な部分や滑稽な要素をいっぱい抱えてきたはず。それを今回の、児戯に等しいポスター騒ぎをもってして「今の日本には一般常識が存在しないのか」と大仰に嘆く方が滑稽だろう。何を今さら仰いますやら…なのである。

     昔から日本の選挙と政治は酷くねじ曲がっており、腐敗していた側面を持っていた残念な歴史がある。それを自覚できないでここまで来てしまったのか、それとも高齢者特有の記憶の揺らぎが生じてしまっているのか…現状を変える力を持たない、無意味なボヤキを発する前に、かつての日本の政治の闇と今の政治の闇との間に横たわり続けているどす黒い「何か」にしっかりと目を凝らし、向き合う方がはるかに有意義ではないのか。

 もちろん選挙のあり方について「何か手を打った」方が良いのは当然であり、むしろ言わずもがな、である。当たり前すぎて耳を貸したくもないし、問題の核心は選挙のあり方には存在しないだろう。

 どんな選挙に変えたとしても、おそらく別の弊害を生み出すやもしれず、どんな法にも抜け道はあるに違いない。つまり選挙どうのこうのは日本の政治を変える上ではあくまで対症療法に過ぎず、根本的な解決にはまったくつながりそうもないと思うがいかがか。

 そもそも地方政治から国政まで様々な問題が噴出している現状を許容してきたのは国民そのものであろう。議員や首長を選んだのは国民であり、国民が変わらなければ政治が変わらないのは民主主義の鉄則ですらある。今、問われるべきは民意の方なのだ。したがって都知事選のポスター問題は主権者たるべき国民が生み出している側面があると考えるべきであろう。

 では現状の無様な騒動を生み出す基盤たる国民の政治意識がどのように形成されてきたのか…問題の核心はそこにあると考えるが、いかがだろう。そして民意形成の要となっているのは学校教育とマスコミのふたつであることはほぼ議論の余地があるまい。すなわち私たちはこの騒動を機に、この騒動の主犯格たる戦後の学校教育とマスコミの歩み、学校とマスコミが高々と掲げてきた理念の裏側で実際にはたしてきた社会的機能の方をこそ、しっかりと振り返ってみるべきではないのか。

参考動画

【成田悠輔】評価と仕事と学校教育|好き勝手なことをやる意志|他人の評価、分

   類、肩書きに捉われない生き方|無感覚観

   日本経営合理化協会  2022/08/20  8:23

    少子高齢化の下で若者がどのような心構えで生きていくべきなのか…重要なヒントが潜んでいるだろう。他者による評価、自己承認欲求に足を掬われない事が最も重視されるという指摘は成田氏以外でも多くの識者が行っている。

成田悠輔&石丸伸二&ひろゆき※絶望的なデータが明らかに「石丸さんへの支持

 は希望というより絶望。政治家には死んでもなりたくない」

 成田悠輔の部屋【yusuke narita】  2024/07/12 11:22

 議員候補者に投票して政治を委ねる代議制度全体がそもそも時代的に見て限界にきており、少子高齢化は制度の機能不全を招いている要因の小さな一つに過ぎない…とする成田氏の指摘は鋭い。都知事選を巡る動きの背後で急激に進行する日本政治の危機は「若者の政治離れ」といった限られた世代の問題ではなく、もっと本質的で大規模な領域に及んできている…とするならば、一体、私たちは今何ができるのか、政治システムの根本から真剣に問い直すべきだろう。

 とりあえず教師としては地道に自分の授業のあり方を見直すことから始める他に手立ては無さそうだが…

車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元

 が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21 7:39

【石丸伸二最新】※衝撃の支持率が発表され驚きを隠せない…当選確率の高さに腰

   を抜かしました ホリエモンのお前が終わってんだよ!【堀江貴文 切り抜き】

   2024/06/22  10:29

【石丸伸二】オールドメディアに厳しい石丸氏が入党を打診?新党『再生の道』の

   結党会見で石丸氏が記者をベタ褒め!?

   政治のミカタ  2025/01/15 19:42

     安芸高田市で高めた政治家としての経験値を、いよいよ全国的に生かしていく方途をかなり分かりやすく提示してくれる動画。今後の政治の行方を左右する重要な一人となるだろう石丸氏の動向に今後も注目していきたい。

日本の若者、自国の将来「良くなる」15% 米英中など6カ国中最低

   毎日新聞 によるストーリー 2024.4.9

 議論の材料としてうまく利用できれば面白いだろう。同じようなアンケートを事前に生徒に行ってから、結果を比較させて議論に持ち込みたい。

 

 

現代日本における公教育の病状と原因についての私見

 

参考動画

「社会性のない子どもを育てたい」データ×教育の専門家・成田悠輔の子育て論

 新R25チャンネル 2022/04/02 28:32

【究極の問題提起】『生きて行く上で社会性は本当に必要だと思いますか?』人生で

    一番大切なコトとは。。。 成田悠輔の教育論    半熟仮想 2024/06/14  13:27

   疑うことなく子供たちの社会性を高めることを至上命題にしてきた教師は今も少なくあるまい。学校で集団生活することを通じて社会性が涵養される、との信念は日本の場合、社会全体に行き渡っているとさえ感じるが、いかがか。

 社会性を身に付ける、という口実の下に資本主義的市場競争を軸とする競争社会への積極的参入をすべての児童生徒に促す…公教育の本質的狙いは、実はそこにあるのかもしれない。つまりある種の「社会性」の涵養こそが、現代の学校における社会化機能の中心なのかもしれない。

 国民の「社会性」の涵養を通じて全国民を同じ土俵に乗せ、競わせる。すなわち人材の選別と配分を効率的に実現する…という古典的な社会的機能を相変わらず公教育は果たしているわけだ。「社会性の涵養」というキレイごとを掲げていれば国家的には日本の経済競争力を高めつつ、社会秩序も高い水準で保てる…

 実際、強い協調性と没個性を強要しかねない同調圧力との境は私たちにとってかなり曖昧に見える。ある種の集団主義的社会性を身に付けさせることが明治期以降、日本の学校教育の究極的な目標として設定されてきた。しかしこの教育の流れは、ネット社会の進展の中でそろそろ見直されるべきかもしれない。多様性の尊重、という価値観を否定的に見る風潮が出てきている昨今、成田氏の主張は強烈なアンチテーゼとなっているように思える。

 個別最適化の教育と多様性の尊重とは重なることの多い重要な教育目標だ。これらはこれまでの一斉講義形式の授業に代表される画一的で管理主義的な公教育を少しでも多様性に満ちた柔軟な形に変えていく上で、高く掲げべき大切な理念であり続ける。成田氏のややトゲのある過激な口調に反発する前に、まずは学校がこれまで果たしてきた社会的機能の光と影の両面を見極めておきたい。

【日本の公教育は、古くて貧しい】東京と地方の差が大きい/不登校34万人/知識

 の詰め込み方も多様/学校のWiFiが繋がらない/フリースクールの月謝補助を/教

 育機会確保法による変化/軍隊教育マインドの名残

 PIVOT 公式チャンネル 2025/03/22  29:56

 白井氏が指摘しているように公教育の古さと貧しさは確かに日本の学校教育における大問題であろう。そしてフリースクールを含む学校の多様化を生み出すにはまず国家による学校教育への統制を緩めることが必要である。

 公教育だから統制を厳しくするのは不可避だ、とするのは教育観の古さと貧しさに由来する側面が小さくないのではあるまいか。教育行政の画一的管理主義こそが学校教育の管理主義を蔓延らせている根源ではないのか。

 軍隊教育のマインドが残存する学校教師の問題は確かにあるが、そもそも軍隊教育のマインドを持つ政治家と官僚の責任こそ、強く問われるべきであると考えるが、いかがか。教師の質の低下を問う以前に、問われるべき問題は数多くあるはずだ。

【車いす生徒】合格しても入学しない約束で受験?入学拒否に波紋…設備面の配慮

 すべき?|ABEMA Prime #アベプラ【公式】 2025/04/16  20:00

 災害時の避難場所とされている公立高校には本来、備えられてしかるべき冷房設備やエレベーター、バリアフリーの各種設備、障がい者用トイレがまったく無い、ないしは不足しているケースが千葉県の場合、決して少なくない。とりわけエレベーターは多くの公立高校に一台も存在していない。日本の「公教育の古さと貧しさ」がその背景に広く存在しているのだ。根本的にはGDPに占める教育予算の割合が先進国の中で長く最低レベルであり続けたことに平気でいられる日本の政治の問題である。にもかかわらず設備の不備をもっぱら個々の学校や各教育委員会の責任と見なすこと自体、議論としてズレ過ぎていると考えるが、いかがか。

 高校の場合、ほとんどが4階建の校舎である。4月に重い教科書や機器などを幾度も往復して4階の教室まで運ぶ労力は並大抵のものではない。春を迎えるたびにエレベーターを備えている他校をうらやましく思う教師は今も圧倒的に多いだろう。

 生徒の保護者にも車いすの利用者、杖などを必要とする人はいる。生徒だけではなく、障害を持つ教師や保護者、来校者、とりわけ避難時の住民たちの中には特別な配慮を必要とする人が少なからず存在する。だとすれば、インクルーシブ教育を担い、避難先をも引き受けた学校にはどこであれバリアフリーの設備が当然のごとく備わっていなければならないはず…なのに、この有様だ。

 日本の公教育の余りの古さ、貧しさにうなだれるほかない。

【財務省】授業で四則演算やbe動詞義務教育の内容?大学側は?教育の質”は検

 証可能?中室牧子氏「人に投資・リターンの確認を」|アベヒル

 ABEMAニュース【公式】  2025/04/23  26:58

 財務省の学校に対する古臭い認識、無知さ加減には呆れるばかりだ。義務教育における「落ちこぼれ」の大量発生が有効な救済措置もとられないまま高校教育に引き継がれ、高校でもほとんどが救済されないまま大学にまで引き継がれている。大学進学率が50%に達した現在、大学生でアルファベットや割合、分数が理解できない者は決して少なくあるまい。

 学力どころか出席をも軽視する形式進級、形式卒業を当たり前とする義務教育の在り方が変わらない限り、日本の高校教育や大学教育を変えることはできないだろう。にもかかわらず、トップダウン的発想から高等教育、大学教育を変えるだけで教育の質の向上を図ろうとするのはまったくのナンセンスであり、教育全体を見渡すことの出来ない偏頗な発想に過ぎない。

 いわゆるFラン大学の存在は、大卒という学歴を偏重する日本企業の、あからさまな手抜き採用人事のあり方にも起因するのであり、「営利追及に走っている」とばかりに難癖をつけて一方的に大学側の責任を問うのは的外れであり、片手落ちだろう。たんに需要があるから供給が生じているだけではないのか。

 財務官僚のようなエリート進学校の卒業生たちに、日本におけるFラン大学の社会的な存在意義への理解がイマイチ足りないのは当然と言えば当然ではある。しかし自分たちのエリート主義的認識に大きな偏りがある事への自覚が不十分であることは認めるべきであろう。98%の進学率に達した日本の高校に存在する数多くの教育困難校もまた、それなりの存在意義はあるのだ。

 仮にFラン大学が日本から消えてしまうと、一体どんな不都合な事態が発生してしまうのか、少しでも想像してみればよい。若者の失業率と犯罪発生率、貧困率は急激に高まり、いわゆる「無敵の人」が急増してしまうに違いない。

 40年近く前に高校における教育困難校を「未成年失業者収容所」と表現した方(「当節定時制高校事情」佐々木賢 有斐閣新書 1987)がいたが、Fラン大学の存在意義もまたしかり、である。下手をすれば犯罪予備軍たりうる若者たちを収容する「予防拘禁施設」という社会的機能の側面から見れば、Fラン大学の存在価値をプラスに評価することも可能なはずなのだ。

 確かに「高校」とか「大学」とはあくまでも名ばかりで、実態としては一部、義務教育のやり直し施設、果ては一部、少年院、鑑別所兼職業訓練施設と化している学校も無いわけではあるまい。

 西欧や北欧のように高校レベルでの職業教育が発達していて、職人、技術者の社会的地位がさほど低くない社会では、大学に進学しない若者が路頭に迷い、犯罪に走る危険性は日本ほど高くはあるまい。リカレント教育が一般化した西欧や北欧ではいったん就職した後で大学進学する者が珍しくない。

 しかし日本では職業高校が低迷しがちであり、職人の社会的地位も決して高くはない。中卒や高校中退で就職した若者が社会的地位を高めていく方途は、プロスポーツや芸能界を除くと日本では極めて限られている。この問題を放置しておいて、学校教育ばかりに責任を転嫁するのはいかがか。

【問題提起】半径2メートルの教育観を壊せるか|元校長が、教育は宗教”と語

 る理由【後編】#8 東修平の対話チャンネル【公式】 2025/04/25  38:24

 高校教育の改革を主題とした記事や動画はこれまで極めて少なかったと思うが、いかがか。昨今の高校教育無償化を巡る論議によってようやく高校教育への注目度が高まってきたのだろうが、高校教師にとっては貴重な動画だと考える。

 元高校校長の荒井氏の指摘の中で同府県立高校の一部を市町村立にして地域社会活性化の核としていく案は極めて興味深い。公民館や小中学校、高校などが一体化して地域社会の核となれれば、部活動の地域社会への移管も進むだろうし、児童生徒の異年齢間の交流も活発化するだろう。また都道府県立高校が抱える均質化、同質化の圧力を低め、各学校の個性化、自由化が進むかもしれない

【教員とは】新任教師の退職が過去最多に?負担が大きい?給料が安い?

 ABEMA Prime #アベプラ【公式】2025/04/29  21:04

 職員会議の非民主化、教育内容への過剰統制、教員人事の歪み、学校の不透明性(隠蔽体質、ブラックボックス化、発信力の弱さ…)、管理主義的で画一的な教育行政、大学での教員養成教育の不十分さ、公教育全体の貧しさと遅れ…日本の学校教育が抱えている問題を挙げればキリがない。

 教員の中途退職や志望者数の減少は、そうした数多くの問題の上に次々と生起する沢山の症状の内の一つに過ぎない。教員の過剰労働ばかりに焦点を当てて教員不足の解消のみを目指す軽薄な議論では効果の極めて限られた、表層的な対症療法しか浮かんでこないだろう。

 それだけ根深い問題を数多く孕むこのテーマについて、まともな識者、専門家すら招いていないこのメンバーでしっかりとした議論が尽くせるわけはない。せっかく採用試験合格を辞退した人を二人呼んだのだから、もう少し議論を深められる発言の出来る人を複数人、ゲストに呼ぶべきだろう。にもかかわらず、このレベルの軽薄な企画しか思いつかないスタッフの学校教育に関する無知無理解ぶりにはただただ呆れるほかない。

参考記事

「休憩ほぼなし、休日勤務が当たり前」 教員5200人調査が映す過酷すぎる日常” 

    ITmedia ビジネスONLiNE 2025.8.29

   なぜこんな雑な記事しか書けないのか、不思議。せっかく5000人を超える本格的な調査なのに、学校種別、年代別、性別などによる細かい分析が記事にされていないことに呆れる。おそらく調査を行った係の人たちはt手間暇かけてきちんと分析をしているはずである。編集側に問題があるのかもしれない。

    学校を巡る深刻な問題の一つが学校のブラックボックス化であろう。それは頑固な学校の隠蔽体質に加えて、文科省のいい加減な調査のせいで学校の内部事情が酷くゆがめられた形でしか世間に知られてこなかった点に起因するだろう。したがって文科省や教育委員会以外の、第三者による調査結果の公表は極めて貴重であり、期待するところが大きい。しかし期待は完全に裏切られてしまった。残念の一言に尽きる。

    教員は休憩無し、休日勤務が当たり前…このレベルの事はとっくの昔に周知されている。だからこそ教員志望者が減ってきているのだ。なぜ5000人を超える教員への大規模調査を行ったのに、この程度の杜撰な分析しか記事に出来なかったのか…編集者の意図がまったく理解できない。まさに「マスゴミ」そのものの稚拙な記事である。

日本人は世界の中でも「人を信頼する傾向が極めて低い」人種…その背景にある残念

    な社会構造 プレジデントオンライン鈴木 裕介 2025.7.30

    数多くのテストや試合を通じて競わせることが、必ずしも自己肯定感を高める事には通じず、むしろ自他への信頼感を損ね、自己肯定感を下げる危険性があるかもしれない…という指摘は日本の児童生徒の自己肯定感、幸福感の低さを説明する観点かもしれない。

    相互監視の窮屈な社会が生み出す「安心」感は自他の効能感によって生み出され、裏切り者の排除という厳しい罰則で支えられている…という指摘は日本社会でのイジメ、パワハラ、不登校、引きこもり、自傷行為の発生要因を説明する重要な観点かもしれない。

    自己犠牲を美化し、自己効能感と協調性、集団の結束力ばかりを高めようとする日本の集団主義的学校教育風土を根本的に見直す上で、これらの観点は極めて有効ではあるまいか。

教育現場のリアルな実態…教員の8割が10時間以上勤務    リシード 2025.7.29

 …出勤してから退勤するまでの教員の勤務時間は平均11.17時間であることが2025年7月29日、小学館が運営する教員向けWebメディア「みんなの教育技術」の調査結果から明らかになった。8割を超える教員が10時間以上、4人に1人が12時間を超えて勤務している状況にあった。

 教員の勤務実態に関するアンケートは、5月20日から6月30日にかけて全国47都道府県の教育関係者を対象に実施。Webメディア「みんなの教育技術」でのアンケート形式で実施され、有効回答数は5,412人だった。…

 この調査は文科省や各教育委員会による同様の調査よりも、はるかに信用できるだろう。

教員悲鳴、プールは限界……学校水泳、持続可能な「令和モデル」は?

 All About 滝口 隆司 2025.7.25

 まずはプールでの水泳授業のための維持費用が一校につき平均して年間いくらかかるのか、明確に公開して欲しい。消毒や水道代だけで明らかに他分野の教育予算を大きく圧迫するほどの費用となっているはずである。冷暖房費だけでなく、印刷やコピー代すらケチるのが公立学校である。ただでさえ先進国において最低レベルの教育予算しか計上してこなかった日本が、なぜ水泳にだけはそれだけの潤沢な予算を用意したのか、まったく理解できない。水泳は戦前からオリンピックでメダルを狙える数少ない種目であり、国威発揚に役立つ…これが本当の狙いだったのではあるまいか。

 マリンスポーツのメッカ沖縄県では意外にもプールのある学校が少ないそうだ。実際、美しい海が身近にあってもそれなりに泳げる沖縄の人はあまり多くないと言われている。しかしかつては糸満スイミングスクールの選手がオリンピックに出場していた時もあった。学校にプールがなくとも水泳選手が誕生している過去は確かにあるのだ。やはり学校での水泳に特別な意味があるとは思えない。

 現に私の周辺ではコナミなどで水泳を習う児童が少なくない。室内温水プールなので天候や季節を問わず、安心して水泳を習うことが出来る利便性がある。水泳習得の希望者には都道府県から補助を出して民間施設で習わせればよい。全校にプールを完備する費用を考えればその際の補助の金額などとるに足らぬ。水泳授業における学校の甚大な経済的、労力的負担と事件(盗撮等)、事故の危険性などを考えれば、一刻も早く学校から水泳授業とプールをなくすべきだと思うが、いかがか。

小規模私立大の定員充足率が急降下 強まる著名大学志向、淘汰加速か

    毎日新聞 2025.7.26

 少子高齢化の度合いが進んでいる地方ではとりわけ地方私大の定員割れが激しいだろう。私大が無くなってしまえば若者の流出に歯止めが利かなくなる。地域経済がいよいよ立ち行かなくなるのは目に見えているが、残念ながらそれは仕方のないこと。そもそも大学に地域経済の活性化を期待すること自体、完全な筋違いである。

    むしろ他の教育予算の充実を図り、同時に国庫負担の軽減のためにもさらなる私大の淘汰は必要ですらある。結果的に、地方によっては荒廃が劇的に進むかもしれないが、その問題に関しては高等教育の社会的役割とは分けて考えるべきである。地方経済の活性化はもっぱら政治の問題であろう。

 問われるべきは高等教育の存在意義であり、中等教育や初等教育とのつながりの在り方である。初等教育から高等教育まで、いずれの段階においても日本の学校教育は今や問題だらけであり、根本的な見直しを迫られている。小手先の対症療法でどうにかなるものではあるまい。

    今まで「地方創生」の一環として私大を誘致し、経済の活性化に成功した自治体が一つでもあるのなら、ただちに貴重なモデルケースとなるはず。ぜひ政府においてはその詳細を広く国民に知らせて欲しいものである。

内申点の評価実態、名古屋市が全中学校調査へ 教育長「非常に驚き」

 朝日新聞社 2025.3.25

 この記事の内容には驚愕させられる。名古屋市内の中学校で一部、相対評価的性格の評価方法が適用されていることに、教育長や市長が憤激しているというのだ。

 中学校の内申点は進学校以外では高校入試の際に大きな評価ポイントとされることがある。したがって中学校では内申点ができるだけ公正な観点から評価され、かつ保護者や生徒にそれなりの説明責任を負えるよう、あらかじめ用心深く工夫されているはず。

 教師の立場からすれば、特に五段階評定に関してはできるかぎり教師の主観を排除し、明確に数値化された客観的基準によって機械的に算出された結果であると児童生徒や保護者に説明しておきたいだろう。自分が下した評価に対して、教師ならば誰であっても他者から特定の児童生徒へのエコ贔屓を疑われたくないに決まっている。

 なぜこの評定になったのか…これも観点別に細かく数値化すれば誰に対しても説明しやすい点においていかにも公正に見える。だから部活動の実績も数値化することは好ましい…少なくとも一般的にはそう考えられているはずだ。

 とはいえ、数値化できることが評価のすべてではない。しかも部活動の実績や平常点の数値化がどこまで妥当性、信頼性があるのかは極めて疑問である。いったん数値化されてしまうと、外部からは数字が独り歩きして公平性や客観性を帯びて見えてしまうが、教育的評価として怪しいケースは決して少なくあるまい。部活動で県大会に出場できたとしても、種目の状況、ブロック内の他校の状況等によってその難易度には大差があり、単純に一律、内申点として加点するのは明らかに不公平なのだ。

 評価には絶対評価と相対評価に加えて他にも形成的評価のような、よりきめの細かい、かつ児童生徒個々人の学びと成長に寄り添った評価の考え方が世界にはある。どちらが真の意味での教育的評価なのか、といえばただの絶対評価や相対評価よりも形成的評価の方であるのは一目瞭然である。しかし、大勢の生徒を相手に画一的で一斉講義形式の授業を続けてきた、旧態依然の日本の学校では多様性と個性を重視した形成的評価を行うこと自体まず不可能である。

 加えてこの記事も市長も教育長すらも、評価のあり方には多様性がある事、それぞれに長短がある事にきっちりと向き合おうとはしていない。単純に絶対評価が好ましく、相対評価が「悪い」と一方的に決めつけているだけである。しかもこうした人々の多くはおそらく、日本の画一的な一斉講義重視の授業と硬直化した評価方法という現実を疑うこともせずに自明の前提としている。

 そもそも相対評価は「悪」なのだろうか。そんなことはあるまい。教師がこの単元の達成目標をどのあたりに設定し、これまでにどんな授業をしてきたのかによって、テスト問題は学校間、学年間、教師間で大きく異なる場合が出てくる。もちろんその年の学校やクラスの様子によって、授業のレベルや内容、テスト問題の内容や難易度を少しばかり変えることはやむを得ない時もあるだろう。テスト問題作成者が問題を簡単にしすぎたり、難しくしすぎたり、出題分野が偏り過ぎたりしないよう、状況によってテスト内容を柔軟に変えていく事自体はむしろ教師の腕の見せ所ですらある。

 しかし厳密に考えれば、そうした工夫が場合によっては学年間に不公平を生み出すかもしれない。実際、教師たちの児童生徒の現状に合わせようとするそうした柔軟な工夫こそが、実はかの「悪の権化」とされがちな相対評価の考え方に通ずるものなのだ。ただ相対評価を排除し、上辺だけ絶対評価を取り入れれば事が済むほど、教育評価は単純ではない。

 一方で毎年、同じ問題を出題することは一見、公正に見えるが、当然、生徒の先輩から当該教師の出題傾向が後輩に伝授されることもあり、それがどんなに優良な問題だからといって結果的に公正とは限らない。したがってどうしても教師は毎年、出題内容を多少、変える必要を感じている。そしてその都度、教師たちは悶々として頭を悩ませるのだ。

 昨今の思考力を育てようとする試みは、場合によっては評価のあり方を、どうしても相対評価側に偏らせていくだろう。思考力育成のために論述問題を導入しようとすれば、その採点基準は大抵の場合、特定の集団の中での位置づけ、すなわち相対的評価となるほかあるまい。仮に絶対評価を絶対的な「善」と見なすのならば、社会科や国語科では論述問題の出題自体をためらうことになるはず。そして正解が一つに限られる選択問題や単語穴埋めの客観テストにいよいよ偏りがちになるだろう。説明責任を果たしやすいからだ。授業もこれまで通り、必然的に暗記中心に偏らざるを得ないはずだ。これらは論述の採点基準を誰もが納得できるように標準化して他者に説明できる余力を、ほとんどの教師が持たないのだから、仕方ない。

 定期考査の重みを考えれば、評価はテスト点を評価の7割程度にして、残りの3割程度は普段の提出物や発表などをいわゆる「平常点」として加味する、といったささやかな工夫を個人的には行ってきた。テスト問題も400字程度の論述問題を1~2問出すことで思考力も問うてきた。ただし、これが必ずしも評価の理想形でないことは百も承知である。一クラス35人を基準とするクラスで様々な雑務に追われる教師が出来ることは極めて限られている。

 ブラック化した学校を放置しておいて、無責任にも上から目線で自ら現場教師を「相対評価」し、一方的に責め立てている名古屋市の教育長様、かの名古屋市教育会の責任問題はどうなっているのでしょう?世間を唖然とさせたあれだけの不祥事を、ただ会を解散する事だけで済まそうとする市教委の厚顔無恥さには誰もが呆れるほかあるまい。

公立学校の廃校、延べ数は8,850校現存廃校の活用は7割超

 リシード 2025.4.10

 このデータが意味しているのは、かつて白井智子氏が指摘したごとく、まさに日本の公教育の古さと貧しさそのもの、であると考えるが、いかがか。

 将来的に児童生徒数が大幅に減少していけば、やがて学校の施設や教職員にゆとりが生まれる、一学級の児童生徒数が劇的に減少し、一人一人の児童生徒へのきめ細やかな配慮が可能となってくる…などといった30年ほど前の教師たちの期待は無残にも悉く裏切られてきた。

 むしろかつてよりも教師の負担が増大し、しかも不登校やイジメ件数は増加している。一クラスの児童生徒数が最悪の50人から35人程度まで減少したにもかかわらず、教師たちの中途退職や休職は増える一方となり、教員志望者数と正規教員数とが同時進行で急速に減少し、地方によっては学校としての体裁が危ぶまれるレベルにまで不足してきている。

 今後、高校の無償化が進むにつれて、公立を中心に高校の統廃合は一層加速していくに違いあるまい。そして東京や大阪に限らず、将来的に公立高校はいよいよジリ貧となり、全国規模で一気に縮小、削減されていくのかもしれぬ…

 児童生徒数の大幅な減少という、少人数教育、個別最適化教育実現に向けてせっかくの追い風を有効に生かせなかったばかりか、かつて以上に負担増という形で教師への逆風を強め、教師の疲弊と若者の教職離れを徒に加速させてしまった教育行政の責任は、今こそ間違いなく「万死に値する」ほど重い…と言うべきではないのか。

都の新任教諭239人が1年以内に退職 過去10年で最高の5.7

 朝日新聞社 2025.4.24

 「都教委によると、昨年度に採用した公立小中高、特別支援学校などの新任教諭は4237人。うち、239人が1年以内に退職した。内訳は小学校146人、中学校46人、高校18人、特別支援学校28人、義務教育学校1人だった。懲戒免職も1人いた。9割にあたる217人が自己都合退職で、理由別には、精神面での不調が4割、転職などによる進路変更が3割、介護や転居など家庭の都合が1割だった。指導力不足などから正式採用に至らなかったのは22人だった。」という。

 学校のブラック化がどれほど酷いものか…特に小学校は深刻である。精神面の不調による退職者の多さにも注目したい。

財務省VS文科省バトル再び 中学程度の私大授業に財務省「助成の在り方見直しを」

    求める 産経新聞 2025.6.7

 私大によっては小学校レベルの授業も必要となるはず。おそらく分数や比の問題が解けない大学生は少なからず存在しているはずだ。財務省の認識に学校教育の現実との大きな乖離を感じてしまうのは私だけではあるまい。

    基礎学力の欠如した大学生が発生してしまう背景には基礎知識や基礎学力を身に付けないまま児童生徒が進級し、形式卒業していく義務教育の在り方自体により大きな要因が潜んでいると見て間違いない。

    したがって財務省が「助成の在り方」の見直しを文科省に求めるのはお門違い。たとえ教育内容が大学にふさわしくないレベルだとしても、それだけで助成金をケチるほどの口実にはなるまい。社会全体から見れば「Fラン」大学にもそれなりの存在理由はある。

 要は「落ちこぼれ」を黙認し、学力の底上げを怠ってきた日本の学校教育全体の制度面の欠陥から生じた問題である。特定の大学の問題ではあるまい。需要があるから供給も生まれてきたのだ。そしてこの問題においても歴代内閣が長期にわたって教育予算をケチり続けてきた政治責任の方こそ、厳しく問われるべきなのだ。

「部活動は教員のボランティア」のままでよい? 学校部活動が「地域移行」するこ

    とで生まれる格差とは…今後保護者がお金で買うべきサービスに

    集英社オンライン 2025.5.14

 学校現場からこういう根拠の乏しい発言が出てくることに驚きを禁じ得ない。まず「…日本では、政治が教育に介入し、教育が戦争に加担してしまった第二次世界大戦の歴史から、政治が二度と教育に介入できないよう、教育の独立性が保障されてきました。」というが、この間違いだらけの認識には明らかにファクトチェックが必要であろう。

    戦後はアメリカの占領下、GHQによって日本の教育はアメリカの政治的影響を強く受けるようになっていた。そしてサンフランシスコ講和条約後にはたちまち戦前への回帰、「Uターン」が始まり、戦前の勢力が教育の世界にも復活してくる。そもそも学校現場では戦前と大差なく、画一的な一斉講義形式の授業と管理主義、そして体罰が横行していた。1960年代にはアニメ、漫画の世界にチャンバラや戦争物が再登場し、柔道、剣道が学校体育に武道として復活してくる。

    いずれにせよ日本の学校教育では政府や財界による教育への干渉が排除され、「教育の独立性が保障」されてきた…などといったことは、過去、一度たりとも無かったと言って良い。学校教育には時々の政治や経済の論理が現在に至るまで途切れることなく、強く、露骨に反映されてきたのだ。

    戦後教育の憲法とも言われる教育基本法にズラリと掲げられている理想的建前はほとんどがただのきれいごとに過ぎない。戦後における学校現場での体罰の横行などを見れば分かるように、学校は戦前からの伝統的な慣習と戦後の新たな法律に対して、常にダブルスタンダードな、矛盾した姿勢を取り続けていたと言っても過言ではあるまい。

    したがって教育基本法に定められた「教育における政治的中立性」などは、公教育ですらまともには守られて来なかったと言うべきなのだ。ただし公教育が政治や経済の影響を受けてはいけない、とは一切思わない。シンギュラリティの到来が目前に迫ってきたと指摘する識者が増えてきた現在、学校での生成AIの利用は必須である。それは児童生徒たちに対して、個別最適な学習の保障にもつながるだろう。

    ほとんど自浄能力を失い、自己改革の意欲にも欠ける公立学校は多い。児童生徒たちが時代の進展に取り残されないようにするためにも教育産業のみならず、特定の業界とのつながりが学校としては不可避となるであろう。学校業務や授業のDX化を推進する上でも業界のバックアップは必要となる。

    授業は今後、一斉講義形式中心から議論を通じた多様性の理解、さらに学習者主体の、個別最適化を軸とする授業へと大きく切り替えていくべきである。ただし授業方法の大きな変化は教師の負担を一時的にせよかなり重くする。結果的に多くの教師たちは部活動指導を行うヒマなどほとんど無くなるに違いない。部活動の地域社会への移管は不可避であり、そのためにも学校は地元の公民館などの社会教育との連携をさらに強めていくべきであろう。

【独自】教職課程の必要単位見直しへ 免許取得の負担軽減、文科省

    共同通信 2025.5.23

    どうして文科省はこんなトンチンカンな政策を繰り返してしまうのだろう。官僚としての資質を根本的に疑わざるを得ない。教員免許取得のハードルを下げれば教員志望者が増える…という安易な発想はいい加減、やめてもらおう。これは教員採用試験の倍率低下、さらに免許を持たない人を教師に採用する動きと相まって教師の質をひたすら低下させることにつながる明らかな愚策である。各地ではやり始めた教員採用試験の早期化も有害な弥縫策の一つに過ぎない。

    教員の労働負担の軽減こそが最優先させるべき課題であるはず。こちらは給与引き上げよりもはるかに重大な案件である。したがってこれからは高校においても真っ先に部活動の地域社会への移管を進めて校内での部活指導を全廃し、教員の力を授業力向上に全集中させるべきではないのか。

    部活動の学校から地域への移管は間違いなく人員と経費の負担が大きく増大する政策である。そして現政権が続く限り、そのための予算がまったく確保されそうもない。そこでほとんど予算をかけないで済む安易で安価な政策を文科省は立て続けに打ち出しているのだろう。

    くどいようだが、そうした「泥縄式」のゴマカシに過ぎない政策はもはや、百害あって一利無し、であろう。ただ単に旧態依然の学校教育の延命を図るに過ぎないような種々のエセ改革は、いたずらに貴重な時間と労力を空費し、いよいよ日本の教育を手詰まり状態の袋小路に追い込むだけに違いない。

    これからの高校教育の改革に必要不可欠で最も急がれる重要課題とは、教師の労働条件の劇的な改善(部活動の地域社会への移管に加えて学校行事の精選、学校事務のDX化、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー及びガイダンスカウンセラーなどの加配と待遇改善…)、それに加えて授業技術の高い教師の育成(授業技術の向上に力点を置いた大学での教員養成教育と教員免許取得要件の見直し)と採用(授業技術評価に重点を置く採用試験)、以上の二点であると考えるが、いかがか。

 もちろん、こうした改革を実現していくには、根本的な改革をひたすら妨げ続け、長期にわたって教育予算をケチってきただけの自公政権の、一刻も早い退場が前提となるのは言うまでもないことなのだが…

避難所となる公立学校の防災機能…冷房85.5%、断水時トイレ75.1%

    リシード 2025.6.26

    避難所に指定されている公立学校の防災機能が急速に高まっている…こう受け止められかねないような文科省の調査結果は本当に信用できるのだろうか?

    この記事では「別の調査(公立学校の体育館等における空調<冷房>設備の設置状況に係る調査)では2025年5月1日現在、公立小中学校における体育館等への冷房の設置は約2割にとどまっている今回の調査では、災害時に避難者が滞在することを想定している部屋等(体育館のほか、会議室や教室等を含む)のうち1部屋以上、利用可能な冷房機器を保有している部屋があれば保有しているものと取り扱っているためと考えられ、災害時におもな避難先となる体育館への設置を、引き続き推進していく必要があるという。」とある。

    ならば「冷房85.5%」という数字は現実的な防災機能のレベルを決して示してはいない、という事になる。よくよく注意して読めば、むしろ35度を超える猛暑日でも冷房施設のまったく無い学校=避難所がいまだに14.5%も存在している、という残念過ぎる実態の方が逆に浮かび上がってこないだろうか。

    学校での避難では教室よりもまず体育館の利用が優先されてきた経緯がある。体育館では冷房どころか暖房すら不十分であることはこれまでの報道でも明らかである。

    たとえジェットヒーターが数台、用意されているとしても、はたして燃料は何日分用意されているのだろう?おそらく多くの学校ではせいぜいが2~3日分に過ぎないのではあるまいか。保管上の安全面などを考慮して卒業式などに間に合う程度の燃料しか保管していないのかもしれない。

 自衛隊等による燃料の補給を当てにし、防災に必要な用意をしていない学校がどれほどあるのか、文科省には学校現場に踏み込んで本当の状況を調べる意欲がなさそうだ。回答者がいくらでも嘘をつける、盛ることの出来るアンケートごときで実態が把握できる、と思うこと自体、馬鹿げているだろう。ならば実際に避難を強いられ、惨めな思いをするだろう市民自身が厳しく学校の取り組みを監視するほかあるまい。

    いかにも防災にしっかりと取り組んでいます、と虚栄を張り、見栄えばかりを取り繕うとする公立学校の管理職たちの悪しき性癖を文科省が知らぬわけはあるまい。こんな杜撰な調査をして事足りる、と高をくくり、学校現場での欺瞞を平気で看過してきた文科省ごときにケチな財務省が防災に必要なだけの予算を用意してくれるとは到底思えない。馬鹿を見るのはいつでも避難する住民であることを忘れてはなるまい。

猛暑と熱中症対策で夏休み延長の学校が全国に拡大中!教育現場のホンネは

    アサ芸biz 2025.7.10

 ろくに自分で現場を取材せずに教育専門誌の記者の言葉を鵜呑みにするような記事を「アサ芸」はネット上に晒していても良いのだろうか。そもそも記者はどんな調査結果を元にしてこんなにも無責任な事を語っているのだろうか。

    …文部科学省が昨年発表した『公立学校施設における空調(冷房)設備の設置状況調査』によると、教室冷房設置率は小学校99.1%・中学校98.9%・高校99.4%といずれもほぼ100%近い。学校関係者からは、『気温の高い日は屋外での体育の授業を避ける必要はあるが、わざわざ夏休みを延長しなくても対応できる』との意見もあります…とのご指摘、呆れるほかない。真面目に取材する意欲の欠片も見えないような、いい加減極まりない杜撰そのものの記事であろう。

    暑い日にわざわざ児童生徒たちを学校に来させるのならば、学校はせめて普通のご家庭並みの冷暖房を完備できていなければなるまい。しかし体育館に冷房が備わっているのだろうか、芸術科目の教室などの特別教室にも冷房は完備しているのだろうか、冷房費を節約するために、教室内の気温を無視して冷房時間を厳しく制限していないだろうか…児童生徒の命にもかかわりかねないほどの猛暑が続く現状の中で、「わざわざ夏休みを延長しなくても対応できる」という、誰のものとも分からない発言をあたかも教育現場のホンネであるかのように紹介する、その鈍感で無責任な報道姿勢には怒りすら覚える。

公立中35人学級、教員1万7000人増必要 400億円の予算見込む

    毎日新聞 2025.6.17

 少子化が急速に進む先進国であり、いまだに経済大国の端くれであるはずなのに、何とした事か、デレダラと何十年もの間、40人学級を放置してきた国があった…この日本と言う国は少子化という、学級の定員削減に絶好の追い風が吹き続ける中で、学級定員の見直しすら、まともに取り組もうとはしてこなかった。その国力から見ても35人学級程度の事くらい、とっくの昔に実現できていたはずである。マスプロ教育の弊害が叫ばれてから一体どれほどの歳月が経ったと思っているのだろう。

    にもかかわらず、21世紀に入って四半世紀が過ぎ、マスプロ教育という言葉自体が既に死語となった今の今となってようやくにして法改正を行い、35人学級を徐々に実現させていくのだという。かねてから口では「個別最適化」を唱えて生徒の個性、多様性に応じた丁寧な教育の実現を謳ってきたクセに、「個別最適化」の足を引っ張る張本人たる40人学級を文科省は長らく放置してきた。

    何という怠慢であろう。何という欺瞞であろう。国家百年の大計たるべき学校教育ですらこのザマである。この国の無策ぶりに呆れ果てるしかあるまい。しかも政府の無策ぶりが祟って学校のブラック化が進行し、近年は教職離れが顕著となって深刻な教員不足が慢性化している。

 こうした状況下、一体、どうやって公立中学校の教員を17000人も増やそうというのか。文科省はこれまで通り、自らの責任は棚に上げて厚顔無恥にも各教育委員会に、ひたすら困難を極めつつある教員募集という難題を平気で丸投げするつもりなのだろうか。このニュース、個人的には絶望しか感じられないのだが…

【参院選】「再生の道」またしても全敗! 石丸伸二氏の〝戦略ミス〟を指摘する声続

    出 東スポWEB 2025.7.21

 都議選に続く大敗であり、ついに再生の道の致命的な欠陥が露呈してしまったようだ。女性候補者を数多く送り出した国民民主党や参政党、立憲民主党とは違い、吉田氏以外は男性陣ばかり。しかも若さにやや欠けるという再生の道の顔ぶれには不安を感じた人は少なくあるまい。またひろゆき氏の指摘した通り、石丸氏の不出馬も敗因の一つである。が、それらは戦略としての欠点に過ぎず、敗因の大きなポイントではないだろう。本質的な敗因は以下の二つに集約できると考えるが、いかがか。

 一つは人選ミス。比例で石丸氏が選出した候補者は本当にこれで良かったのだろうか?都議選の際には「シゴデキ」を強調し、地方議会での財政チェック機能における候補者の優秀さをアピールしていた。

 しかし今回の参院選では国政であるため、外交から内政にわたる各種の政策立案能力といった、地方議会議員とは相当異なる能力が候補者には必要となる。とりわけ党が公教育の再生を訴えていたからには、再生の道独自の公教育に対する現状分析と具体的な改革案を各候補者がそれぞれ繰り返し明確に示すべきであった。候補者の主張が石丸氏の主張の二番煎じ、コピーの劣化版に過ぎないとすれば、政治家としての能力や適性が疑われてしまっても仕方あるまい。全員落選の原因は決して候補者の知名度の低さだけではない、と考えるが、いかがか。

 教育への投資額を増やす、といった程度の、実にボンヤリとした、精度に欠けるアピールなど、教育に関してほとんど無知な人間でも主張できるだろう。公教育のどこに問題があるのか、どこをどう変えていけば良いのか、候補者らは修正すべき法制度や改革へのキメ細やかな道筋を具体的に指摘できていただろうか…石丸氏らしさのある鋭い指摘が実際に候補者から公教育に関してなされてきたのだろうか…極めて疑問である。そもそも政策立案の基本的前提となる日本の公教育の実態把握すら、候補者によっては十分に出来ていたと感じられることがなかった。

 こうした疑問や不信を国民に抱かせてしまった責任は石丸氏にもあるだろう。再生の道の立ち上げから国政選挙までの日程の短さが、各候補者の主張に潜む公教育に対する知識、理解の底の浅さをあからさまに露呈させてしまった、と私は考えている。教育に関する勉強会を地道に繰り返してきた、とは到底思えないほどに、陳腐で皮相な綺麗ごとを並べただけの候補者たちを、私は結局、最後まで信用できなかった。

 もちろん石丸氏と再生の道が候補者の公募と選考のプロセスの透明化によって国民の間に広く政治への関心を高めてきた、その功績には計り知れないものがある。候補者らの勇気と努力に応えようとひろゆき氏が応援に駆け付けた理由も十分に理解できる。しかし致命的に足りなかったのは候補者の公教育に対する知識と理解の、それなりの広がりと深さだったのではないのか…

 せっかく立ち上げた再生の道がこのまま沈んでしまって良いはずがない。今後はぜひとも日本の公教育に関する学習会、学校現場への視察を地道に繰り返していき、しっかりとした教育政策を練り上げ、いつの日にか問題だらけの日本の公教育を再生していく、一つの現実的な力になっていくことを祈念してやまない。

【参院選】「再生の道」また議席ゼロ 石丸伸二氏が出馬しなかった理由 & 敗因を参

    謀が告白 東スポWEB 2025.7.22

 参謀たる者がこの程度の敗因分析しかできないのであるならば、今後、再生の道に期待できることは少ない。有権者の教育に対する関心の低さを敗因に挙げる時点で既に失格である。そもそも各候補者が日本の公教育の危機をどれだけ切迫したものであるのか、十分な説得力をもって語れたか否か…が、まず問われるだろう。私はこの点で候補者たちに大きな不満を感じていたが、いかがか。

「授業なんてできません」控室にひきこもった実習生…教育実習で心が折れた若者

    たちのリアル「同じような授業の繰り返しのはずなのに、毎日が本当にしんどかっ

    た」集英社オンライン 2025.7.20

 授業の実習に恐怖を感じる実習生は少なくない。そもそも多忙にあえぐ教師の中には教育実習生を邪魔者扱いする先生が実際、かなりの割合で存在していた。数は多くないが実習生に敵意さえ抱く教師すらいた。個人的な感想にはなるが、教師の過半は教育実習生を担当したくない、という本音を隠そうとすらしていなかったと思う。これは教育実習生にとっても不幸な状況であり、教育実習をきっかけにして若者が教職を諦めてしまうといった事態は教師不足の解消を相当難しくしているに違いない。教師の負担軽減が急がれる所以である。

 しかしここにはもう一つ大きな問題が隠れているはずだ。なぜ、教育実習生は授業の実習に対して大きな不安や恐怖を覚えてしまうのか、その原因をしっかりと考えてみるべきなのだ。もちろん指導教官の多忙感に由来する指導の厳しさ、威圧感も実習生が委縮してしまう原因の一つではあるだろうが、はたしてそれだけであろうか。

 個人的に再三にわたって指摘してきた事なのだが、実習生が委縮する最大の原因は教育実習前の大学における事前指導の欠陥、不十分さにあると思うが、いかがか。仮に教育実習前、ゼミ形式で実戦さながらの授業体験を大学で幾度も積み重ねていたならば、実習本番での不安や緊張はかなり軽減されるはずである。すなわち大学での的外れで非実戦的な教員養成講座の欠陥こそが、実習生の教員志望を挫けさせてしまう最大の要因であると私は考える。したがって教師負担の軽減とともに大学での教員養成教育の徹底的な見直しも同時に急がれるはずである。いかがか。

名古屋の教諭死亡で和解 市が5600万円支払い    共同通信 2025.7.17

 はたしてこれで良いのだろうか…どうも釈然としない。自殺してしまった教諭に対する仕事の集中はうつ病による休職後も続けられてしまっている。復職後に部活動や教育課程の編成にあたらせる、と言う明らかに非常識な校内人事を行った(あるいは許容した)校長ら、管理職の責任は一体どこまで追求されたのだろう。管理職だけではなく、関係した他の教師たちにも多少の責任はあるはずだ。にもかかわらず「市側に安全配慮義務違反があった」と監督庁の名古屋市の責任ばかりをクローズアップするような報道がなされるのは実に解せない。

 うつ病を理由に休職した教師に対しては管理職や周囲の教師たちが特別な配慮をすべきであることは言をまたない。しかし校務の分担を巡っては学校として特別な配慮がなされたとは思えない。なぜ配慮しなかったのか、故人に配慮できなかった理由をしっかりと公に明らかにしない限り、同様の事件が繰り返されても不思議ではあるまい。

 一義的に責任を問われるべきは当該学校の管理職たちであろう。したがって賠償義務は当時の管理職らにもあると考えるのが世間的に見ても筋なのではあるまいか。いずれ多額の退職金を受け取れる管理職の責任が厳しく問われるのは当然の理である。当事者に一義的な責任を問うことなく、徒に血税を賠償金に充てる今回の決定は、事件の真相を曖昧にしてしまうと同時に、当該管理職たちの逃げ得を許してしまうことにもつながるのではあるまいか。

 校務分担を巡っての問題はあくまでも当該校の管理職が責を負うべきであり、二度とこのような悲劇が繰り返されないようにするためにも、管理職への厳しい責任追及とそれなりの処罰を行うべきであると考えるが、いかがか。

日本の高校生が「社会に出たら理科は役に立たない」と考える理由

    ニューズウィーク日本版 舞田敏彦(教育社会学者) 2025.7.16

 最も実験を必要とし、討論などを通じて児童生徒たち自身で仮説を練り上げ、検証していくことを授業の軸とすべき理科の授業実態が日本の場合、いかにお粗末なものであるのか、改めて痛感させられる。探究的な授業展開は何も理科だけのものではあるまい。社会科においても、探究的展開は興味関心を高めるために極めて有効な授業方法であろう。

 社会科の授業でも理科のような実験や調査を用いて探究的な授業が数多く展開できたなら…と常々考えてきた自分としてはこの調査結果は残念でならない。間違いなく理科以上に日本の社会科の授業は「社会に出たら役に立たない」教科となっているはずである。授業の在り方の改善はもはや日本の政治的課題であり、一刻を争う焦眉の急であろう。「国家百年の大計」である日本の公教育の現状はお寒い限りなのだ。

「えっ、体育の先生が技術の授業するの?」教員不足の学校の裏技“免許外教科担任

 制度”は違憲の可能性も…いちばんの被害者は生徒たち

 集英社オンライン 2025.7.8

「教員は減っても行事は減らない」全国で約200万人の子どもたちが無免許の臨時教

    員に教わっているという実態…教員免許の存在意義はいずこに

    集英社オンライン 2025.7.9

 昨今、教員の不祥事が性加害問題を中心に数多くマスコミで取り上げられている。教員による不祥事発生の背景を深堀せずに、ひたすら「学校叩き」「教員叩き」につながるような、偏ったマスコミの取り上げ方も結果的には教師志望者の減少につながっているように個人的には思える。

 もちろん、教師による不法行為はあってはならない事である。しかし学校現場では明らかな不法行為が以前から野放し状態であった。体罰は明治時代から違法であったが、この法律がまともに守られた形跡は戦後に至るまで無かった。もちろん、昭和の時代は戦後も1980年代まで、教師や保護者による体罰が公然と認められてきたはず。

 違法行為は教師に対しても横行してきた。教師の違法レベルの過重労働問題を日本政府、教育委員会は違法にも漫然と放置してきた。授業負担に限ってみても、自分の専門教科以外の教科や科目を受け持たされることは普通であった。決してそれは特別な事ではなく、特定の学校(例えば生徒数の少ない小規模校や、職業高校、定時制高校など)ではとっくの昔から常態化していたとすら言ってよいだろう。さすがに高校の場合には専門外の教科を担当することは滅多にないだろうが、中学校では3教科の授業を担当することもあったと聞いている。

 これらは明らかに違法状態であり、学校現場にはとっくの昔から違法を違法と感じられないレベルに至るほど、正常なコンプライアンス機能が存在していなかった、とみるべきであろう。根本的には違法、合法よりも優先されてきたある種の教育への偏った、アンバランスで強固な信念、教師聖職論の残存が敗戦後、より厳しく問われるべきであったのではあるまいか。

 少子化の中で小規模校が増えている。現状の規定で教員の数を減らしてしまえば、今後は高校においても複数科目どころか、複数教科を担当することになるだろう。生徒数が減った分に比例して授業の教科数や科目数が減るのならば特に新たな問題は生じない。しかし機械的に教員の数が減らされてしまうのが、現在の規定である。

 せっかく少子化が進み、ようやく生徒一人一人に目が行き届く環境が整いつつあるのに、政府はひたすら少子化を口実にした教員の削減、すなわち教育予算の削減を進めてきた。教員の数が減ってしまっては生徒一人一人に目が行き届く手厚い教育の実現は不可能である。そればかりか、複数教科や複数科目を負担する、となれば今まで以上に教師の負担は重くなる。ただでさえ情報、英語、金融教育、探究学習…と教科数や科目数が一気に増えてきていた。この状況は教師にとって地獄そのものなのだ。

 生徒数の減少に応じて学校行事も削減されるならばよいのだが、授業の教科数や科目数と同様にこちらも減らされていない。とすれば学校現場はいよいよ極限までブラック化が進むだろう。せめて部活動の地域移行くらいは一刻も早く実現してくれないと、教員志望者の減少と教員の休職、中途退職が増える一方となる。つまり日本の公教育は既に致命的な人手不足によって一気に破綻しつつある、と見るべきなのだ。

・教師不足

 まず看過できない悪性の症状として挙げられるのが各学校での正教員の不足であろう。これに休職者や中途退職者数の増加も加わり、一人一人の教師にかかる負担は重くなる一方…という学校が特に義務教育中心に増えてきている。さらに教師志望者の減少もこうした事態の悪化をもたらしているに違いない。しかも教員不足が休職者や退職者の増加につながるという、悪循環が既に生まれてきている現場もあるようだ。

 なお教師不足の一因としては景気回復傾向がもたらした民間企業への就職志向の高まりに伴う若者の公務員離れが考えられるが、それは主因というほどのものではあるまい。最大の原因と考えられるのは画一的管理主義の息苦しさに加えて、止まることの無い仕事量の増大による学校のブラック化がもたらした若者の教職離れである。

    残業手当・休日手当がつかない部活動指導の過熱化、数が多過ぎる上にそれぞれが過重な負担となっている学校行事、不登校やイジメの多発とそれに伴う保護者対応の増加、新教科・科目の設置などによる仕事の量と難易度の上昇、説明責任を果たすためだけの記録作成等のアリバイ作り(管理職や教育委員会への報告書、提出書類の増加が顕著でその多くは煩雑かつ形式的なものに過ぎず、教師の力量を向上させることにはほとんどつながらない。つまりほとんどがブルシットジョブ)の増加、教育行政による教員への過剰な統制・管理強化がもたらす心身両面への重圧(教師の創意工夫を挫く無意味な官製研修の増加、授業内容・方法への過剰な介入等)、残業時間短縮による持ち帰り仕事の増大、年齢構成の偏りや管理職の能力不足による職務分担の不均衡、進路の多様化による進路指導の煩雑さ、職員会議の形骸化や教職の階層化などによる職員集団の分断と対立、教職の社会的地位の低下、管理職のパワハラや教師間のイジメの横行等々、数え上げればきりがない。

    こうした事態に対して文科省や都道府県教委は上辺だけの対症療法、その場しのぎの誤魔化しをひたすら繰り返してきた。教育行政による対応を医療行為になぞらえれば、高熱を発した患者に漫然と解熱剤を処方するだけの藪医者のようなものである。

医者は本来、高熱の原因を様々な検査結果から割り出していき、症状を抑えるだけではなく、症状の主な原因となっている病気などを治療対象としていくべきであるのは言うまでもない。しかし文科省、都道府県教委は教員不足という症状に対して、揃いもそろって教職の魅力をアピールし、採用試験日程を増やしたり、早めたりして試験のハードルを下げることに専念してきた。

    もちろん「働き方改革」を推進して部活動の地域移行と残業時間の短縮を通じて学校のブラック化を押しとどめようとしているのも事実ではあるが、「持ち帰り残業」の問題を見ると、さほどの効果は上がってきていない。

    なぜ教職の魅力が低下してきたのか、教員が不足してきたのか、その原因には高熱の原因と同様、様々な要因が考えられるに違いない。ただ兎にも角にも教育行政側の最大の過ちは、その原因が自分たちにも少なからず存在する、という自覚を決定的に欠いてきた点であると思うが、いかがか。

    不登校の増加やイジメ事件の隠蔽、教員の不祥事の多発、教師の疲弊、授業における児童生徒の落ちこぼし、吹きこぼし…どれをとっても教育行政の過ち、不備に淵源する側面が大いにあるだろう。そのことの反省と改善を抜きに、ただ教職のやりがいと就職しやすさを追求しても、若者は二度と騙されないに決まっているのだ。

 

    教師不足以外の公教育における主な病状を以下に列挙しておく。

・不登校児童生徒の増加

・イジメ事件とその隠蔽、加害者側への指導不足、被害者側への配慮不足

・過剰な管理主義、画一主義

・一斉講義形式の残存による落ちこぼれと吹きこぼれ現象、形式卒業の弊害

・DX化の遅れ

 

 さらに各症状の主な原因として考えられるものを以下に列挙しておく。

・学校教育行政の体質悪化:悪しき前例主義と年功序列社会、上意下達の横行

・教員養成教育の貧弱さ:授業技術の向上への努力不足

・職務、職責の曖昧さ:教師の「何でも屋」化による弊害

・教育予算の貧弱さ:圧倒的な施設設備、人員の不足

・画一的管理主義の弊害:横並び主義(自らの頭では考えない…が習慣化)

 

 他にも論ずべき点は多いが、いったんこれで切り上げておく。

 なお石丸氏が立ち上げた再生の道が「公教育の立て直し」を基本政策として動き始めている。今後は日本の公教育をどうすべきかをめぐる議論が活発化してくるに違いない。ただ、残念ながらこれまでの再生の道が打ち出している公教育の「再生」プランにはまだまだ突っ込みが足りないように感じている。

 公教育において何が問題であり、何をどうすべきなのか…今後も再生の道の歩みを追っていきたい。

その5.②金八先生と脱学校論

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

本論

 私が教師となったのは1985年のことである。そこでまずは1970年代、1980年代を賑わしていた学校教育に関する教師、元教師の言説を取り上げてみよう。まず数多くの著作がある村田栄一氏(1935~2012)の活躍がこの時期は目立つ。村田氏は1958年から1980年まで川崎市立小学校勤務。退職後はしばらく著述活動に励んでいたが1996年から2004年まで国学院大学講師(教職課程/教育原理)であった。組合活動に熱心な左翼系言論人として反権力の立場から盛んに学校教育について発言し、かつてフレネ教育を推奨していたことを覚えている。

現在、私が所有している村田栄一氏の本は以下の通りである。

 ・「戦後教育論~国民教育批判の思想と主体~」(社会評論社 1970)

 ・「学級通信ガリバー」(社会評論社 1973)

 ・「飛べない教室」(田畑書店 1977)

 ・「じゃんけん党教育論」(社会評論社 1978)

 ・「戦後教育の現在」(教育出版社 1981)

 ・「生きているこども共和国~ドンキホーテの末裔たち~」(風媒社 1981)

 ・「教室のドンキホーテ~ぼくの戦後教育誌~」(筑摩書房 1982)

 里見実氏との共著「もう一つの学校へ向けて」(筑摩書房 1986)や村田氏が編集に加わった「教育実践の記録1 ことば教育」(筑摩書房 1981)もある。村田氏の著作は大学時代に課題として出されたことがあったため、就職後も読み続けていた。当時は「カバゴン」こと阿部進氏(1930~2017:やはり川崎市立小学校に勤務後、教育評論を手がける。村田氏の大学での先輩)や「山びこ学校」((1956)で知られる無着成恭氏(1927~)、灰谷健次郎氏(1934~2006:「兎の眼」、「太陽の子」などで知られる児童文学者)ら、なぜか小学校教師の経歴を持つ人物がマスコミなどにもよく登場していた時代である。

 村田氏の系列の本では他に中学校教師の相川忠亮氏(1934~2011)の「きまぐれ月報学級通信上・下」(社会評論社 1975)や同じく中学校教師の川津皓二氏(1935~)の「日常と幻視~学校空間から~」(社会評論社 1975)がある。彼らの影響もあったのか、当時は学級通信を発行する教師が私の周囲にもかなり多かったような気がする。

 先行する1970年代は校内暴力が荒れ狂った時代であったため、運動部の指導に熱心な体育会系熱血教師が学校の規律回復上の観点からもてはやされていた。実際、「校内暴力事例の総合的研究」(学事出版 1984)や「校内暴力問題講演集」(学事出版 1984)によると校内暴力で荒れた中学校の多くが秩序の回復を最優先して運動部の指導に熱心で強めの生徒指導が出来る教師を他校から数多く集めるという人事方策を取っている。

 しかしその管理主義的指導への反発からか、テレビドラマ「金八先生」(1979~2011)の影響も加わり、生徒に粘り強く、優しく寄り添う非体育会系タイプの教師が世間では次第に理想化されていく。1981年のテレビドラマ「父母の誤算」(原作は若林繁太「教育は死なず」1978)も金八先生と同じく、小山内美江子氏を脚本家として用い、金八に近い教師像を描いている。村田氏らはこの金八路線にやや近い立場と言えようか。

※参考記事

   〇日曜劇場『御上先生』の学校教育監修・工藤勇一先生が語る教育問題 金八先生以後に生じた「学校

      =悪という構図」「学校が良いサービスを提供して当たり前という考え方」…工藤勇一校長が指摘

      する<近年の教育現場が抱える問題点>とは 婦人公論.jp工藤勇一 2025.1.26

 ○金八先生以後に生じた「学校=悪という構図」「学校が良いサービスを提供して当たり前という考

      え方」…工藤勇一校長が指摘する<近年の教育現場が抱える問題点>とは 

      婦人公論.jp 工藤勇一 によるストーリー 2024.2.19

 

 ちなみに私は大学の授業で出された夏休みの課題で灰谷健次郎氏の「兎の眼」(1974)や「太陽の子」(1978)を読み、教師の道を選ぶことになった。こうした経緯から村田氏のものに加えて就職後もしばらくは灰谷氏や上野瞭氏、山中恒氏、あるいはミハエル・エンデといった児童文学作家の作品を読み続けていた。そしてもちろん灰谷氏らも金八先生と同様、徹底して子供の目線に立ち、子供に寄り添う姿勢を重視した作家であったと言えよう。

 他方で私は他の同世代の教師と同様に國分一太郎(1911~1985)氏、斎藤喜博(1911~1981)氏、特に教育困難校での授業実践で知られる林竹二氏(1906~1985)の「教育の再生を求めて 湊川でおこったこと」(筑摩書房 1977)、「教育亡国」(筑摩書房 1983)などからも授業のあり方に関して多少とも影響を受けている。加えてベテラン教師となった段階で読んだ大村はま(1906~2005)氏による国語の授業を論じた「教えることの復権」(苅谷剛彦・夏子 ちくま新書 2003)は、大村氏による単元学習を軸とした教科書を独自の視点から徹底的に「使い倒す」独特の授業手法が非常に興味深かった。

 國分氏や斎藤氏、大村氏は無着氏、阿部氏、村田氏らの先行世代に属する先輩教師でもあり、1980年代の教師にとってはまだまだ影響力の大きな存在であった。他方、学者の林氏は当時、猛威をふるっていた校内暴力との絡みもあってか、マスコミから大きな注目を集めていた教育哲学者である。彼は学者にありがちな「机上の空論」を潔しとしない、優れた授業実践家でもあった。また大村はま氏の著作集は当時、どの学校図書館でも一際、目立つ存在であり続けていた。確かに彼らの世代の影響を無視しては1980年代の教育論を語ることが出来ないだろう。

 とは言え、特に林氏の授業実践に関しては早くから学校現場からの根強い反発があった事は事実である。私自身、教職に就いてからはこの二人の感嘆すべき実践について「金八先生」に対するのと同様の違和感も同時に抱いてきた。金八先生を含め、彼らは運動部の指導をしていないではないか…多忙な学校教師にとって明らかに実践不可能なまでに難易度の高い、準備に骨の折れる教育実践をモデルとして示されても、現場は困惑するだけであろう。

 難易度の高すぎる授業を普通の教師に要求することはむしろ学校のブラック化を推し進めることに他ならない。これらの希有な実践が世間で賛美されればされるほど却って教師達の無力感を深めはしないのか。そうした疑問が止めどなく湧いてくるような学校現場の過酷な労働環境が私の勤め始めた1980年代には既に広がり始めていたのである。もちろん今の学校の絶望的な状況と比べれば当時はまだまだ牧歌的レベルではあったのだが…

 もう一つ、私にとって当時、見逃せなかった論考は児童読み物作家と自称していた山中恒氏(1931~)の「ボクラ少国民シリーズ」(辺境者 全5巻、補巻1、別冊1 1974~1982)など、戦時中の学校教育を論じた著作であった。「疑問だらけの中学教科書」(森本真章・滝原俊彦 ライフ社 1981)が世情を賑わせ、中曽根内閣によって臨時教育審議会が設置されてついに戦後教育の流れが大きく変えられようとしていた1980年代当時、教育方法論、授業論以上に教育内容それ自体の是非を強く問う傾向が家永教科書裁判の経過(1965~1997)と共にしぶとく学校教育の底流に残存していたように記憶している。

 戦時中の国家総動員体制下、教育者や学者、文化人がどのように戦争に加担していたのか…そして敗戦後、彼らは戦時中の言動をどのように反省し、戦後はどのように振る舞ってきたのか、吉本隆明氏の「叙情の論理」(未来社 1963)をはじめ、数多くの研究者がこのテーマに関心を持ち、これに関連する多くの著作が発表されてきた。ある意味では「疑問だらけの中学教科書」もそうした著作の一つと言えるだろう。森本氏とは対極にあって、個人的に最も注目したのが山中氏の「ボクラ少国民シリーズ」であった。国民学校を少国民として体験した山中氏が自ら精力的に資料収集に当たり、膨大な資料を元に国民学校における教育の実相を解き明かそうとした、大変な労作である。

 他には山中氏の「子ども達の太平洋戦争」(岩波新書 1986)、中内敏夫氏の「軍国美談と教科書」(岩波新書 1988)や櫻本富雄氏の「日の丸は見ていた」(明石書店 1982)、長浜功氏の「国民学校の研究~皇民化教育の実証的解明~」(明石書店 1985)、同「教育の戦争責任」(明石書店 1984)なども同様の関心に基づいた著作であった。これらの著作を通じて文学者や教育者の多くが戦時中は熱烈に戦争を賛美しておきながら、戦後はほとんどまともに反省することなく、熱心な民主主義者、平和主義者になりすまして戦後も活躍を続けている事に気付かされた。中には公職追放を受けた人々もいたが、追放はたちまち解除され、かつての政治家、財界人、特高、右翼、暴力団も含めて多くの指導者層が戦後も同様に日本の指導的な立場に復帰しているのである。

 敗戦によって教科書自体は国定教科書から「墨塗教科書」を経て検定教科書に変わったものの、とりわけ社会科教科書の内容面での信頼性、妥当性には未だに大きな問題が残り続けていると私は感じている。

※最近の著作では「帝国日本のプロパガンダ~戦争を煽った宣伝と報道~」(貴志俊

 彦 中公新書 2022)や「大東亜共栄圏のクールジャパン~協働する文化工作~」

 (大塚英志 集英社新書 2022)も興味深かった。

 

 大学院の授業では戦後の学校教育の歩みを辿ることをテーマにした門脇先生の授業があり、大田堯(1918~2018)編「戦後日本教育史」(岩波書店 1978)が主なテキストであった。憲法などの法制面の字面だけを見れば戦前と戦後の間には確かに大きな断絶と変化があった。しかしその変化を担った人々の顔ぶれはさほど変化していなかった。この途絶えることのなかった戦前からの人脈がアメリカ軍の占領下、戦後日本の形成期において決定的とも言えるような役割を果たしていた事の持つ意味は現在においても決して小さくあるまい。

 

 学者からの発信も見てみよう。1980年代、教育社会学における学校教育研究は日本では東大が中心的役割を果たしており、清水義弘(1917~2007)氏、天野郁夫(1936~)氏や藤田英典(1944~)氏、久冨善之氏(1946~)らが大きな存在であった。彼らの門下生である苅谷剛彦氏、耳塚寛明氏、岩見和彦氏らも盛んに研究論文を発表していた時代である。当時は社会学理論の一つの柱となってきたタルコット・パーソンズ(1902~1979)の構造機能分析を手法とする社会システム理論が批判され始め、「パラダイム転換」が世に叫ばれていた。イヴァン・イリイチらの脱学校化社会論、脱専門家社会論もそうした風潮の中で注目を集めていたのである。

 私は大学時代、教育社会学のゼミを受講しており、教育社会学で論文を書くために専ら苅谷氏らの論文が掲載されていた東大の研究紀要と自分の恩師門脇厚司先生の研究に注目していた。このため教職に就いてからもしばらくの間は、教育社会学の学会員ではないにもかかわらず東洋館出版の日本教育社会学会編「教育社会学研究」を定期的に購入し、教職の仕事に日々忙殺されながらも教育社会学の研究動向の把握に努めようとしていた。

 幸い私の初任校では社会科教員が月に一回、社会科会議の時間を割いて自分の好きなテーマを選び、社会科内で発表するという自主的研修が行われていた。その準備を兼ねて大学時代の学習を続ける事が出来ていたわけである。さらに年に一回、宿泊を伴う社会科の研修旅行が行われており、足尾銅山や東海村原子力発電所、長野の松代大本営跡などで貴重な見学が経験できるなど、若手教師の成長には欠かせない職場での自主的で有意義な取り組みが幾つか存在していた。

 ただし学校現場でこのような素晴らしい取り組みが行われていたのは残念ながらこの初任校のみであり、二校目などは社会科準備室がただの教科書や資料集等の書庫と化していて誰も常駐しておらず、研修も日帰りだけの貧弱なものに過ぎなかった。部活の指導や進路指導の仕事があった上に通勤時間も長かったため、帰り際に書店に立ち寄ることすらほとんど出来なくなり、この二校目でたちまち「教育社会学研究」の購入がほぼ途絶えてしまった。

 また三校目は教育困難校ということもあって時間的、体力的、精神的余裕が無くなり、思ったような自主研修を行えない状況が続いた。しかし毎年秋には僅かな数の有志で京都、奈良旅行を実施していたのは当時、日本史担当者としてせめてもの救いだった。また社会科有志で社会科教室を舞台に文化祭での展示を行える機会も僅かながらあった。こうした点は教師による自主的な取り組みの伝統がギリギリではあるものの辛うじて高校に生き残っていた証しではあるだろう。

 恐ろしい事に四校目以降(およそ20年前以降)、そうした教科単位での自主的試みは皆無となってしまった。これはもっぱら県教委が国の施策に基づき、初任研(1989年導入)や経験者研(2003年導入)、管理職の指導による校内研修(四校目の学校では何と年に20回以上!)などを次から次へと設置、拡充してみっちりと日程を組んでしまったことにより、現場での自主研修の機会がほとんど奪われてしまったからである。なお私の学校教育に関する読書習慣もこの四校目でほぼ完全に断たれてしまった。

 県教委や管理職が実施する校外、校内での強制的研修が授業力向上に繋がる有意義なものであるならばまだしも、その多くは現場感覚からズレまくった完全にトンチンカンな内容であり、総花的で時間の無駄と言えるものが多かった。現在の若手教師の研修はそうした官製研修ばかりとなってしまったため、特に勤務校の実情に沿った授業に関わる研修の薄さは教師の中途退職や精神疾患の増大などの問題を生み出す大きな原因の一つにさえなっていると私は考える。

 こうして生徒に寄り添う時間や楽しく分かりやすい授業を創り出すための現場での創意工夫のチャンスを教師達から根こそぎ奪い去っておきながら自らの責任を棚上げし、学校の不祥事を他人事のように騒ぎ立てて「不適格教師」のレッテル貼りに専念する、極めて冷酷無比な教育行政がこの20年余りの間に確立してきたと言えるのではないか。肝心の授業を蔑ろにして生徒指導や進路指導、部活指導に現を抜かす学校のブラックな体質は上からの的外れでお粗末な官製研修の一方的な押しつけによるところが決して小さくはないと考えるがいかがだろう。

 

 さて学者による発信の中で私が特に魅了されたのは久冨氏の著作の随所に見られた、現場の教師に寄り添うようなきめ細やかで温かい教育者の視点であった。教育社会学の立場から久冨氏(「教員文化の社会学的研究」多賀出版 1990年)は教員の置かれている、傷つきやすい不安定な立場をこう説明している。「学校という所は、少数ないし一人の教員が、多数の生徒たちを相手にし、彼らがもともと必ずしも好んでいない学習活動へと導かねばならない。その状況が教員の特別の権威と、教員の生徒に対する統制を不可避にしている。したがって、ディシプリン(統制の生徒への内面化過程)に失敗すると、教授活動においても失敗するだけでなく、父母・住民からの信頼を決定的に失う原因となる。…その意味では、教員がディシプリンに特別の関心を示すのは、その仕事の性格に起因する当然のことであり、そこに教員たちの苦心があり、苦悩もあるのだ…」

 すなわち学校現場でいたずらにマンツーマン的対応を前提とした「カウンセリング・マインド」(20数年ほど前の学校では一世を風靡した流行語だった)を唱えることは教師の依って立つ基盤を自ら突き崩す危険性を孕んでいたのである。久冨氏のこうした学校現場への深い洞察と共感的理解は教育困難校で苦悩する教師にとってまさに得がたい魅力であった。そして氏の著書の多くが実は編著であるのだが、これは若手研究者に発表の機会を出来るだけ多く与えることに尽くしてきた、優れた教育者としての久冨氏の人柄が偲ばれる証左だ…と当時の私は感嘆のまなざしで捉えていた。

 久冨氏に加え、天野氏の後継者と目された苅谷氏の広い視野から下される鋭い洞察力にも私は圧倒されていた。もちろん恩師門脇厚司先生の著作は主に高校教育を対象としていたため私にとって必要不可欠なものであった。以下、この3人が執筆された、私が所有する著書を一部だけ紹介してみる。おそらく本のテーマからだけでも一定の傾向、時代の風潮が伝わると思う。

 なお以下に紹介した著作(特に21世紀になってから出版された本)を私はすべて読了してはいない。その事情は既に記したとおりである。

久冨善之(1946~)氏

 編著「教員文化の社会学的研究<普及版>」(多賀出版 1990)」

 編著「豊かさの底辺に生きる~学校システムと弱者の再生産~」(青木書店

   1993)

 「競争の教育~なぜ受験競争はかくも激化するのか~」(労働旬報社 1993)

 編著「日本の教師文化」(稲垣忠彦氏との共編 東京大学出版会 1994)

 編著「希望をつむぐ学力」(田中孝彦氏との共編 明石書店 2005)

 編著「教師の専門性とアイデンティティ~教育改革時代の国際比較調査と国際シン

   ポジウムから~」(勁草書房 2008)

苅谷剛彦(1955~)氏

 「学校・職業・選抜の社会学~高卒就職の日本的メカニズム~」(東京大学出版会 

   1991)

 「大衆教育社会のゆくえ」(中公新書 1995)

 「学校って何だろう」(講談社 1998)

 「教育改革の幻想」(ちくま新書 2002)

 編著「学力の社会学~調査が示す学力の変化と学習の課題~」(志水宏吉氏との共

   編 岩波書店 2004)

 編著「教員評価」(諸田裕子、妹尾渉、金子真理子氏との共著 岩波ブックレット 

   2009)

 編著「教員評価の社会学」(金子真理子氏との共編 岩波書店 2010)

 「コロナ後の教育へ~オックスフォードからの提唱~」(中公新書ラクレ 2020)

 「コロナ後の教育へ・・・」で日本の教育行政に対し「…エセ演繹型思考と法治主義をセットにし

   たアプローチでは、設計段階での欠点や欠陥を見過ごし、思った成果を上げられるかどうかを不

   明にしたままでも制度改革が出来てしまう。さまざまな副作用についても思慮の外に置かれ

   (p.63)との指摘は実に鋭い。立て続けに断行されてきた教育改革の発想の根幹を揺さぶるもの

   であろう。また政治家や官僚側が常に自分達の謬見や過ちを棚に上げて学校を一方的に断罪し、

   改革と称する学校現場の破壊的政策をひたすら推進してきたこれまでの経緯の背景が見えてくる

   点で教師必読の書と考える。

門脇厚司(1940~)氏

 「現代学校論~生徒と教師の社会学~」(亜紀書房 1982)

 編著「高校教育の社会学~教育を蝕むみえざるメカニズムの解明~」(陣内靖彦氏

   との共編 東信堂 1992)

 編著「高等学校の社会史~新制高校の予期せぬ帰結~」(飯田浩之氏との共編 東

   信堂 1992)

 「子供と若者の異界」(東洋館出版 1992)

 「異界を生きる少年・少女」(東洋館出版 1995)

 「大人の条件~社会力を問う~」(佐高信氏との対談 岩波書店 2001)

 「学校の社会力~チカラのある子どもの育て方~」(朝日新聞社 2002)

 

 以上、挙げた本の題名からだけでも1990年代以降、日本の学校がお上からの息つく暇すら与えない「~改革」の洗礼を浴び続け、徐々に疲弊していった様が個人的には思い浮かぶ。学校教育の行き詰まりの原因を不適格教師の存在と決めつけて管理職による教員評価を強化し、免許更新制を導入して不適格者の排除を図る、官製研修を増やして現場の創意工夫を根絶やしにする傍らで「教師の質向上を図る…」とのご託宣。これらすべては教育行政の失敗を現場の教師へ一方的に転嫁する傍ら、肝心の改革(教師の仕事の精選、教科書検定制度の見直し、高校教師養成教育の見直し等)をサボり続けた行政側の欺瞞と怠慢の歴史の反映であると考えるがいかがだろう。

 なお私は他に藤田英典氏、天野郁夫氏、柴野昌山氏、竹内洋氏、今津孝次郎氏、岩見和彦氏、岩木英夫氏、志水宏吉氏、広田照幸氏、古賀正義氏、柳治男氏、油布佐和子氏、本田由紀氏、教育社会学者以外では中内敏夫氏、佐藤学氏、諸冨祥彦氏、小林正幸氏などの著作も読んでみている。

 外部からの発信という点ではジャーナリストの役割も大きい。林雅行(1953~)氏の「天皇を愛する子どもたち」(青木書店 1987)、鎌田慧(1938~)氏の「生きるための学校」(岩波書店同時代ライブラリー 1995)及び「「教育工場の子どもたち」(講談社文庫 1986)、吉岡忍(1948~)氏の「ルポ 学校の力」(朝日文庫 1992)、「ルポ 教師の休日」(朝日文庫 1992)、「街の夢 学校の力」(日本書籍 1981)、日垣隆(1958~)氏の「ルポ 高校って何だ」(岩波書店1992)、最近では朝比奈なを氏の「教員という仕事~なぜブラック化したのか~」(朝日新書 2020)など、いずれも大いに参考となった。

 

 現場からの発信に戻ろう。1980年代の後半以降、都内の定時制高校教師であった佐々木賢(1933~)氏の本を読むようになる。私は初任校や二校目の高校は中堅どころの進学校であったが、実は大学時代の恩師が教育困難校の調査をしていて神奈川県の高校調査にお供したことがあり、学校改革を論文のテーマとしたことから、困難校の実態には強い関心を抱いてきた。三校目の転勤先に敢えて困難校を希望したのも恩師や佐々木氏の影響が決定的に大きい。

 1980年代は山本哲士氏らの推奨でイヴァン・イリイチの脱学校化社会論がブームとなっていて私もその系列の本をそれなりに読んでいたが、佐々木氏もイリイチの影響を受けた言説を展開していた一人である。ただし山本氏の硬直した難解な言葉遣いとは違って佐々木氏は教師としての経験を踏まえた具体的で分かりやすい内容であり、その文章はたいへん魅力的であった。

 イリイチは学校や教師の機能の肥大化を警告し、それらの機能を縮小させて国家や学校から民衆の手に学びの主権を取り戻すことを主張していた。佐々木氏も同じ主張に属し、同時にこれまで賛美されてきた体育会系熱血教師像への批判をも試みたと考える。

 以下、私が所有する佐々木賢氏の著作を列挙しておこう。

 ・「学校はもうダメなのか~学校内格差と非行問題~」(三一書房 1981)

 ・「学校を疑う~学校化社会と生徒たち~」(三一書房 1984)

 ・「当節定時制高校事情」(有斐閣 1987)

 ・「怠学の研究~新資格社会と若者たち~」(三・一書房 1991)

 ・「商品化された教育~先生も生徒も困っている~」(青土社 2009)

 他に松田博公(1945~:ジャーナリスト)氏との共著で「教育という謎~消費社会の文化変容~」(北斗出版 1992)と「果てしない教育?~教育を超える対話~」(北斗出版 1986)の二冊がある。

 

 1980年代後半から佐々木氏とは異なる、やや保守的な立場から精力的に発言してきたのが「プロ教師の会」である。中心人物は埼玉県立高校の教師だった諏訪哲二(1941~)氏と埼玉県川越市立中学校教師だった河上亮一(1943~)氏。教職員組合が学校をダメにしてきたとして左派を攻撃し、学校経営の現実的観点から秩序回復のためには厳しい指導も有り、とする主張を展開した。主に別冊宝島で「プロ教師の会」の特集が相次いで組まれ、中曽根内閣の臨時教育審議会の方針に一部沿いつつ左派の平等主義が持つ欠陥を鋭く指摘していた。

 彼らに関して、立場によってはただの保守反動であると簡単に切り捨ててしまう向きがあるかもしれない。しかし彼らの多くは校内暴力が吹き荒れた、疾風怒濤の時代を学校現場の当事者として目の当たりにしてきた。その中で生徒集団の狂騒的な集団心理の恐ろしさ、御しがたさを痛感してきたはずである。一人の教師が40人を超える生徒達を狭い教室に閉じ込め、好きでもない勉強を長時間強いることの難しさを少しでも分かっている教師ならば、彼らの主張にはそれなりに共感できる側面があったはず。とりわけ心理的に不安定となりがちな思春期の中学生集団を相手にする難しさは時に想像を絶する瞬間があるものだ。

 観念的な理想論、教条主義的なイデオロギーに寄りかかった立場からのプロ教師の会批判はまったくの見当外れであると私は考える。40人以上の集団を相手にする場合、何らかの政治的権力が発生しないわけにはいくまい。経営論的観点も必要とされるに違いない。それらをリアルに感じて「管理」を武器に秩序回復を第一と定め、普通の教師と生徒達を校内暴力の嵐から力づくでも救い出そうとした試みこそがプロ教師の会の目指したものではなかったか、と思う。

 管理主義教育が悪い事など、今は誰でも分かる。しかし一クラス40人を優に超える途上国並みの学級編成の中での校内暴力の嵐がどれほど、当時の教師たちを追い詰めていたのか…上から目線ではなく、その辛さに対する共感的理解を抜きにして当時の学校を語るわけにはいくまい。

 実際、表では管理主義教育を批判して「金八先生」を気取っていても、実際には教科準備室にこもることで生徒指導の修羅場からひたすら逃げ続け、挙句の果てに学級を崩壊させてしまった教師たちを少なからず目撃してきた。そういう教師たちの多くは表向き、人権派、民主派を装いながら、その実、荒れた学級を放置し、大人しくて真面目な生徒たちを次々とイジメの被害者にして不登校や成績不振に追い込んでいたのではなかったか。そうした教師たちが口先だけでなく、本当に生徒たちの人権を重視しようとするならば、大人しい生徒たちの人権、授業を受ける権利をもしっかりと保障してあげるべきだったに違いないのだ。

 ※ちなみに諏訪哲二氏は教育社会学研究NO.50「教育社会学のパラダイム展開」(東洋館出版

  1992)の「転換期の教師モデル」(P.421~423)で報告者の一人として発表している。

 

 組合員であった私がプロ教師の会からの発信を数多く、重く受け止めようとしてきたのは困難校に努める立場に加えて以上のような理由からである。また彼らの多くは管理の必要性を主張してはいたが、行き過ぎた管理主義には基本的に反対していたという点も決して忘れてはなるまい。

 以下、私が所有する別冊宝島の特集、諏訪氏と河上氏の著作、及びプロ教師の会の喜入克氏の著作を列挙してみる。

別冊宝島の特集

 ・78号「ザ・中学教師~プロ教師へのステップ編~」(JICC出版局 1988)

 ・95号「ザ・中学教師~親を粉砕するやり方編~」(略 1989)

 ・108号「ザ・中学教師~ダメ教師殲滅作戦編~」(略 1990)

 ・129号「ザ・中学教師~子どもが変だ!~」(略 1991)

 ・プロ教師読本Vol.2「プロ教師の学校大論争!」(略 1993)

 ・プロ教師読本vol.3「プロ教師の教育改革総点検!」(略 1995)

  他に洋泉社MOOKプロ教師・読本Vol.4「プロ教師のしつけ論」(洋泉社 

  1997)

諏訪哲二氏の著作

 ・「反動的!~学校、この民主主義パラダイス~」(JICC出版局 1990)

 ・「日の丸」(JICC出版局 1991)

 ・「学校の終わり」(宝島社 1993)

 ・「平等主義が学校を殺した」(洋泉社 1997)

 ・「ただの教師に何ができるか」(洋泉社 1998)

 ・「なぜ勉強させるのか?~教育再生を根本から考える~」(光文社 2007)

河上亮一氏の著作

 ・「プロ教師の道~豊かな管理教育をつくるために~」(JICC出版局 1991)

 ・「プロ教師の生き方~学校バッシングに負けない極意と指針」(洋泉社 1996)

 ・「学校崩壊」(草思社 1999)

喜入克(1963~都立高校教師:)氏の著作

 ・「高校が崩壊する」(草思社 1999)

 ・「教師の仕事がブラック化する本当の理由」(草思社 2021)

 ※喜入氏の「教師の仕事…」には一部見当外れと思われる指摘があり、学校が変わるべき本質的課題

  を少しばかり見誤っているように思える。教育が商品化され教師が万能ロボットの「ドラえもん」

  と化している、官僚制が肥大化し、強権的となった教育行政が「スクラップアンドビルド」の原則

  から外れて際限なく「ビルドアンドビルド」を繰り返すようになり、学校現場を極度に疲弊させて

  いる…といった指摘には大いに共感するが、従来の「学校という枠」をアプリオリに前提とする傾

  向が見られるのは残念。今、学校側が見直すべきポイントの一つは旧態依然の「学校という枠」で

  あり、知識詰め込みと一斉講義形式に偏る授業方法であると思うが、いかがか。同じプロ教師の会

  では諏訪氏、河上氏の著作の方がより説得力があると私は感じている。

参考記事

 なぜ先生は学生を「怒れなく」なっているのか 教育現場を弱体化させている1つの

  「妄想」 東洋経済オンライン 鳥羽 和久,舟津 昌平 の意見 2024.7.16

 日本の教育を縛る「金八先生・泣き虫先生」モデル ーー教師のブラック環境が消

  えない「意外な難点」

  文春オンライン 永島 孝嗣 によるストーリー  2023.12.30

その3.沖縄の歴史と沖縄戦

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

 今回は沖縄の歴史を概観し、太平洋戦争で日本最大の地上戦となった沖縄戦を軸に当時の学校教育等も絡めて授業素材となる観点を提示していきます。

 

 

①沖縄の歩み

驚きの発見!「伊礼原遺跡」が語る7000年の歴史 北谷町立博物館

   takaren-so-tv  2025/01/27  9:51

 アメリカンビレッジで有名な北谷町にある縄文時代の遺跡から沖縄のルーツが垣間見えてくる貴重な動画。短時間で分かりやすく、沖縄の歴史をざっと概観する上で非常に便利であり、イチオシの動画。ただし基地問題や沖縄戦とも関わってくるので、授業で視聴する際、教師としてはその辺りの知識があらかじめ必要となる。

・中世:中継貿易(東南アジア、スペイン・ポルトガル、明、日本)の拠点として琉球王国繁栄(明と日本とに両属しながらも、基本的には独立的王国)

三山時代(北山・中山・南山)を経て1439年、尚巴志により三山統一=琉球王国成立。この辺りのことは「ももせ塾長【ばっちり歴史講座】」による以下の動画が詳しい。

【日本】尚巴志~琉球むかしばなし~2020/11/22 27:49・・【日本】尚真王~琉球全盛を築いた国王~ 2020/11/24【日本】尚巴志~われこそは中山王、首里城今昔物語~2020/11/23 17:55・ 29:16・【日本】尚真王~ドキッ!倭寇と琉球のアブナイ関係~2020/11/25 26:15

…第一・第二尚氏王朝の動き、特に三山を統一した尚巴志及び琉球王国の全盛期を築いた第二尚王朝の三代目尚円王(1465~1527)を詳しく知りたい人にオススメ。

※世界遺産:5つのグスク(首里城、中城城跡、座喜味城跡、勝連城跡、今帰仁城跡)とその関連遺産の4つの遺物(園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園、斎場御嶽)が2000年(平成12年)に世界遺産登録。 これらの公式名称は「琉球王国のグスク及び関連遺産群」

万国津梁 琉球王国の歴史【公式】おきなわ彩発見NEXT 

 2023/07/26 11:00

 短時間で沖縄の歴史と伝統のエッセンスを理解するのはこの動画がイチオシ。

教科書には載っていない琉球王国の真の姿|小名木善行

   むすび大学チャンネル  2021/10/19  21:26

 相変わらず間違いだらけの歴史観で沖縄を論じている小名木氏であるが、特に「唐大和上東征伝」を「とうやまとじょうとうせいでん」と派手に読み間違えた挙句に沖縄と大和との密接な関係を説く、というとんでもない珍説を披露してしまっているのは情けない限り。さすがにネトウヨもこれほど稚拙な論説に耳を傾ける人はいないだろう…と思いきや、この動画が15万回ほどの視聴回数を稼いでいるところをみると、この間違いだらけの珍説が右翼界隈ではそれなりの支持を得ているようである。

 まじめな右翼の立場からしてもこうした情けない状況を漫然と看過するわけにはいくまい。これは日本や沖縄の伝統文化、歴史を尊重する立場からすれば歴史への深刻な無知、無理解、誤解に基づく日本や沖縄への許せない冒とくに値する珍説であると考えるがいかがだろう。そもそも繰り返し基本的な歴史的な用語を読み間違えるレベルの論者をなぜ、数多くの視聴者がこうもありがたがって視聴しているのか、不思議でならない。

 沖縄をどの国の帰属に委ねるのか、それとも独立国家として歩むのか…その決定権は今後も沖縄の人々にあるのであり、「大きな和(輪)」→「おきなわ」という、既に手あかのついたダジャレで沖縄を「大きな和」→「大和」の配下に置くのは必然、などと決めつけるごとき、根拠薄弱な論理展開には唖然とするほかあるまい。

琉球王国のグスク及び関連遺跡群

 2016/06/03 OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ 6:29

JAL×沖縄CLIPムービー 【沖縄の世界遺産を巡る旅】

 2017/10/17 沖縄CLIP沖縄の観光情報サイト 16:16

3琉球歴史ロマン探訪~琉球の英雄とグスクの魅力を辿る~【VR】

 2020/01/22 沖縄県公式チャンネル 5:00

※一つ一つの詳しい動画は「その1」のオススメ動画を参照してください。また築城の技法や第一尚氏王

 朝の興亡について詳しく知るには、築城の天才と謳われた護佐丸(?~1458)の生涯を辿ったyo

 utube動画「護佐丸クロニクル」(2017~2018 第一話~第二十話 一話につき3分30秒)が

 オススメ。護佐丸は世界遺産に登録された五つのグスクの内、座喜味城と中城城の築城に関わり、尚

 巴志による三山統一に協力した人物。「歴史に翻弄された王女から見た15世紀の琉球王国『百十踏

 揚』【#22 琉球・沖縄本レビュー】 2020/11/04 阿波根あずさの沖縄観光チャンネル」も参考に

 なる。

世界自然遺産(2021):沖縄本島北部及び西表島・・・他に奄美大島、徳之島

・近世:薩摩藩に支配されつつ清にも仕える両属関係継続

Q.この絵は誰がいつ頃、何処を描いたのだろう?

 絵は「琉球八景」(1832年秋頃版行)の一つ「長虹秋霽(ちょうこうしゅうせい)」。明からの冊封使を迎える為、かつて三角州であった那覇と琉球島を結ぶために築かれた海中道路「長虹堤」を描いたもの。長虹堤は、1451年、琉球王国によって建設された全長約1キロメートルの堤防と橋からなる道路であり、崇元寺付近(那覇市泊)と伊辺嘉麻(いべがま、那覇市松山付近)を結んでいた。かつての那覇は浅い入り江とその入口をふさぐように横たわる浮島と呼ばれる島から成っていた。浮島は現在の久米および松山付近に相当する。中国王朝からの使者は浮島に上陸し浅い海を渡って首里へと向かうことになっており、琉球王府は使者を迎える際に国中の船を集めて舟橋としていた。1450年(景泰元年)に琉球国王に即位した尚金福王は1451年、翌年の明からの冊封使を迎えるにあたり浮島と首里とを結ぶ堤防と橋からなる道路の建設を決めた。工事には身分の高い者から低い者まで多くの人々が参加したという。那覇はその後、河川からの土砂堆積で陸繋島となった。

 絵を描いた葛飾北斎は実際に琉球を訪れた訳ではなく、1756年に来琉した冊封使・周煌が書いた琉球の見聞録『琉球国志略』に収録された絵図(「中山八景」)を元に描き、想像で着色したものとされている。そのため、描かれているのは実在した場所だが、幻想的な雰囲気の作品になっている。北斎の想像力で元絵にはない舟や人物も描き加えられており、中には琉球には無い雪や富士山(黄色い★印)と思しき山が描かれたものまである(「長虹秋霽」、「城嶽靈泉」)。

 1832年天保3年)10月から11月にかけて、第二尚氏王統第18代尚育王の襲封謝恩使として、豊見城王子を正使として江戸上りが行われ、久しぶりのお祭り気分も手伝って、この時、江戸を中心にちょっとした琉球ブームが訪れていた。このブームに便乗しようとして描かれたのが北斎の「琉球八景」であった。ちなみに北斎の代表作と言われる「冨嶽三十六景」は、1831-34年(天保2-5年)に刊行されており、琉球八景と制作時期が重なっている。江戸での富士講の隆盛にあてこんで大ヒットした「富嶽三十六景」にあやかるかのようにこの琉球八景にも富士山が遠景にちゃっかりと描き込まれている。さすが商売上手。「絵空事の天才」と言われるだけのことはある。

 琉球王国使節の江戸上りは、薩摩の琉球侵攻後の1634年から、幕末の1850年まで間に18回行われた。これらには、琉球国王即位の際に派遣される謝恩使と、幕府将軍襲職の際に派遣される慶賀使とがあった。その道中は「異国を支配する薩摩藩」および「異国からの使節の来訪を受ける幕府」を前面に出すことによって両者の権威高揚に利用されたと考えられる。

 

【沖縄観光】国際通りの裏側は面白い!王国時代の海中道路をぶらりご紹介! 

 2021/02/25 ふぁじちゃんねる、沖縄 16:18

【琉球サウダーヂ】橋巡り 第二話「美栄橋」

 2021/10/15 RBCチャンネル 【琉球放送】 2:30

 

幕末、薩摩藩の財政再建に利用され「黒糖地獄」

  蝦夷地で入手した俵物を清に輸出(抜け荷)し、巨利を得る⇒財政再建

  アメリカなどの接近(1853年、ペリー来航等)、琉球の帰属問題表面化

・近代:琉球処分:沖縄県設置、尚氏、東京に移住

 清との両属関係を清算し、日本の単独支配へ(領有の確立)

 北海道と同様、特殊な立場に置かれる(「旧慣温存策」=差別的待遇)

 ただし北海道は開拓使が置かれてアメリカ式の農業や牧畜が導入されるなど、近代化政策の恩恵を多少なりとも受けることができたが・・・

 ⇒近代化の遅れ(貧困問題の遠因の一つ)

残っていた明治古写真29枚 琉球処分後の時代生々しく

 2014/05/03 KyodoNews 1:37

 2019年に首里城正殿等が焼失し、現在、再建中の正殿前の龍柱が戦前はどの方角を向いていたか議論になった。古写真では正面を向いている時期があったことも分かっている。

Q.焼失した首里城正殿等は誰が所有する土地?

Q・正殿等の復興の主体は誰?

RBC NEWS「首里城謎めぐり(1)神秘の「京の内」」~(4)王族眠る「玉城」

 の不思議2020 【琉球放送】RBC NEWS 各7~8分

 首里城を詳しく知る上で役立つ。

首里真和志町の獅子頭 78年ぶりに帰った「守り神」(沖縄テレビ)2023/6/ 8 

 OTV沖縄テレビ 2023.6.9 9:22

見どころ満載!那覇市歴史博物館の常設展示~「駅から5分の国宝」は伊達じゃな

   い~ 沖縄歴史倶楽部  2023/10/14 25:58

 10.10空襲以前の市役所近辺のジオラマや尚家文書(近代)の展示などは非常に興味深い。

太平洋戦争末期に流出の文化財を沖縄に返還 FBI「戦争中に持ち去られた可能性

   高い」ANNnewsCH 2024/03/16 1:34

初めてわかった御後絵の色彩 琉球国王の肖像画 FBI捜査で見つかる  

   OTV沖縄テレビ  2024/04/30 3:46

那覇歴史博物館が国宝「王冠」を特別公開 (24/05/02 19:15)

 OTV沖縄テレビ 1:16

戦世から80年 沖縄の白黒写真カラー化で見えたもの(沖縄テレビ)

    2025/4/08 沖縄ニュースOTV 2025/04/09 7:33

 いきなり残酷なシーンから入ってしまうと沖縄戦の学習自体に嫌悪感を植え付けてしまいかねない。今の児童生徒たちに沖縄戦を少しでも自分事として捉えてもらうためには、地味ではあるが、こうした取り組みも極めて大きな意義があると感じる。ぜひ沖縄戦を扱う際、最初の授業で視聴したい。特に水を飲む少女、那覇の戦火を逃れる二人の子どもを背負った母親、ポーズをとる少女(1945.4.9撮影)の写真3枚は私たちに様々な想像力を強く刺激する傑作。

 写真撮影の前に一体、何があったのか、撮影後にどんなことが起きたのか…被写体となった人々のストーリーと写真を撮影した人物のストーリーを、年表を用い、時系列に沿って想像させてみると、より、沖縄戦への理解が深まるかもしれない。

カラーでよみがえる80年前の沖縄 米軍上陸の2日目に捕虜となった住民自ら切った

    首を治療する女性… 白黒をカラーにすることで分かることも 

    300枚の写真をAIと手動で補正〈カンテレNEWS〉

    カンテレNEWS  2025/03/29 10:48

    OTVと同じ取材源をカンテレがニュース映像として取り上げているため、内容は非常に類似している。しかし教師としてはこちらも視聴しておくと、OTVの内容を授業で補える場面があるので役立つであろう。

 参考記事

      「首里の町あたり一面に死体が広がっていた」沖縄戦、民間人の半数以上は第32軍司令部の無謀

         な作戦が原因で命を落とした   集英社オンライン 2024.8.14

      [社説]沖縄戦の「戦利品」 国の責任で調査収集を

   沖縄タイムス社 によるストーリー 2023.5.31

      琉球国王の肖像画、米で発見され返還 沖縄戦で不明、FBIに要請

          毎日新聞 によるストーリー  2024.3.15

   日本本土最大の地上戦がもたらした悲劇の一つが米兵による「戦利品」という名の違法な略奪行

         為であったことは知っておきたい。これまで実物の遺品が確認できなかった琉球国王の肖像画が

   二点、アメリカから返還されたことは琉球史、美術史の空白を埋める画期的な出来事。

【昔の沖縄】往時の那覇を巡る 大正・明治時代の風景と文化

 OKINAWA A LA CARTE   2022/09/12 11:24

 戦災に遭う前の那覇の姿を貴重な古写真を通じて確認できる。

 

※補足:沖縄戦学習の導入部で利用可能な二つの動画

沖縄戦、閲覧注意 鳥になった少女/山羊になった少女

 sanzoku san 2015/08/10 13:58

 「動画のなかで記したきっかけで、これは生まれました。インスピレーションから書いたもので、取材や、下調べをした物ではないので、フィクションとして理解してください。ただし、その後の調べで、現実から乖離した物ではない事も確認しました。自分は沖縄の人間ではありませんが、沖縄から沢山の物を貰った恩返しの気持ちも込めてUPさせて頂きました。UPのために、高校生の時からほっといたギターを取り出して練習しました。続編のBGMも自家製です。PS.内地人の自分は,ひめゆりと直接関係は無いと思っていたのですが、師を同じくする大先輩がひめゆりの美術教師をしていた事を知りました。また、ダイビングで偶然訪れた大渡海岸の崖下で戦時中の遺骨を回収する体験もしてしまいました。」と動画の解説欄にある。したがってこの作品は沖縄出身者ではない人が空想して作ったものであるらしい。

 しかし「なーんだフィクションなら、視聴するほどの価値は無い…」などと視聴する前から断じてしまって良いのだろうか?ここでは宮沢氏の「島唄」に対する一部のウチナーンチュからの反発も踏まえつつ、こうしたフィクションが果たすプラスの役割についても考えてみたい。

 なお、視聴する際にはBGMが邪魔になると感じられる箇所もあるかと思う。音は最初からカットしておいたほうが字幕に集中でき、より一層、想像力を刺激されるかもしれない。また場面の切り替わりが早すぎて字幕を読むのが間に合わない箇所がかなりある。設定をクリックして再生速度を「0.5」にしておくと良いだろう。標準の再生速度で「12分11秒」あたりで字幕は終了するのでそこで視聴を終わりにしても鑑賞上は何ら問題がない。個人的にはBGMや終わりの1分以上続く沖縄の風景をカットすればこの作品の文章、悪くはないし、多少なりとも迫真的な描写力を感じられるが、いかがか。18万回の視聴回数にはそれなりの理由がありそうである。

 なお過去の沖縄修学旅行などでの写真・動画の蓄積があり、パワーポイントの操作にある程度の経験がある教師ならば、こうした作品をいくつか生徒たちとともに制作して次年度の事前学習の利用に供したり、文化祭などで発表することは十分に可能である。また修学旅行で訪れた戦跡や観光地の解説動画を生徒たちに作成させても良いだろう。その際にはグーグルマップなどの機能を駆使して距離や想定される移動時間、ストリートビューのスクリーンショットなどを利用すればたとえ自分たちの写真素材の蓄積が少なくともそれなりに臨場感のあるパワポ資料が出来るはず。生徒たちにとって生涯の記念となる作品ができるかもしれない。

 もう一つ、以下に紹介する「ひめゆりの願い」はかなり情緒的な内容でいかにも紙芝居的ストーリーではあるが、フィクションとしての総合的な完成度は高い。ひめゆりの塔を訪れるならば、ぜひ、あらかじめ視聴しておきたい。

 リニューアルされた資料館入口付近に新たに飾られた「ひめゆり」たちの楽し気な通学風景こそが、もう一つの平和教育の原点かもしれない。もちろん、戦争の残酷で悲劇的な内容からも目を背けてはなるまいが、こうした残酷さを強調する、今までの平和教育にありがちな展開ばかりでは生徒たちも辟易してしまい、平和教育自体に嫌悪感を覚えてしまうといった逆効果が懸念されよう。まずは彼女たちの笑顔いっぱいだった学校生活を、絵や写真を通じて自分たちの実体験と重ね合わせて想像してみることで、彼女たちの最期の悲しさがかえって強く胸に迫ってくるのでは…

ひめゆりの願い -Our memories of lily- YutaroHanten 

 2010/05/21 9:15

 「姫百合の願いーOur memories of lily~」 

  作詞shiori 作曲祐太郎飯店 (歌 初音ミク)

 概要欄で紹介された歌詞は以下のものになる。

挿入歌歌詞

 動画からカッパの耳に聞こえてくる実際の歌詞は以下のようなものであり、動画概要欄の歌詞とは所々異なっている。おそらく祐太郎飯店氏が編曲や「初音ミク」の歌声を調整している内に歌詞を微妙に変えていったものと思われる。ここではカッパが何とか聞き得た、最終版(↓)と思しき歌詞を元にして設問を考えてみた。

 

 空よ 海よ 聞いておくれ

 深い悲しみと嘆きの声を

 風よ 雲よ 運んでおくれ

 汚れた大地の記憶のすべて

     ―間奏―

 儚く消えた私の希望

 砕け散った心と体

 友は静かに眠りて永遠(とは)の別れを告げ 旅立つ

 今はただ 宇宙の星になることが願い

 今はただ 大地の糧(かて)となることが救い

     ―間奏―

 私は祈る 友よ 安らかに眠れ

 私は願う 共に 生きてることを

 空よ 海よ 聞いておくれ

 今有る悲しみと嘆きの声を

     ―間奏―

 夜空を飾る星達よ 

 山を越え 海を渡り 空を流れ 

 伝えておくれ

 私の深い悲しみを ひめゆりの花の音を 聴いたら

 

Q1.「わたしたちはなぜ争ってしまうのだろうか?」

Q2.「ひめゆりの願い」とは一体どんな願いなのだろう?

Q3.なぜ、この動画は英語をメインにテロップが作られているのだろう?

Q4.6分頃からテロップが日本語中心に変わっているのはなぜだろう?

Q5.「運命を変えたその日」、すなわち沖縄本島で最初に空襲があったのは何時のこ

  とか?

Q6.東堂さんはアメリカ軍の司令官が敵であるはずの自分を殺さないどころか、謝罪

  したことになぜ疑問を感じたのだろう?

Q7.恵美への墓参が命日の6月2日ではなく、6月23日に行われているのはなぜ?

Q8.作者は二人とも沖縄の人ではないし、戦争体験者でもないのに、なぜ、この作品

  を創作したのだろう?

 人物の名前や髪型は今風のものだが、非常によく考えられ、工夫された動画であり、作詞作曲も悪くない。配信されてから10年以上経っても決して古びない確かなメッセージ性を秘めていると感じる。この動画作成に二人がどれだけの努力と工夫を要したかは以下に示した「祐太郎飯店の円卓」と称するブログによって推察できるが、ブログの記述内容の一部に多少の思想的違和感を感じるかもしれない。

※ブログ「祐太郎飯店の円卓」(2015.7.2「ひめゆり五周年感謝増刊」)

 http://taxi-adam30.at.webry.info/2015...

その1.参考となるyoutube動画

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

授業に使える沖縄関連のYouTube番組一覧

 

・ヲタカタ!

 開設されて間もないため、動画数はまだ少ない。基本的にはTVアニメ「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」を用いた、アニオタ系の動画。その中で「沖ツラで学ぶ沖縄文化」シリーズは Part.1 ~4はいずれも視聴時間が20分以内。アニメで沖縄の文化と言葉を楽しく、分かりやすく紹介してくれ、授業に利用しやすい点でもイチオシのシリーズ。またショート動画の「ためになる沖縄方言の規則性」もポイントを要領よくまとめており、特にオススメ。まずはこの動画から入ると沖縄に親近感を持ちやすくなるだろう。ただしいずれの動画も解説がやや物足りないため、教師による補足説明が必要となる箇所は少なくない。授業で利用する際は補足説明ができる程度の沖縄の言葉と文化に対する知識と理解が教師側に求められる。    

・沖縄生物倶楽部動画部

 沖縄の生き物、土壌や地質をより詳しく知りたい人向け。大学や博物館に勤める若手研究者たちによる動画。「琉球列島の生物の分布の特徴 in 沖縄こどもの国【沖縄生物倶楽部 第十五回】」 (2018/04/08 24:29  琉球列島の成り立ちと生物との関係を知ることが出来る極めて重要な回。特に中国揚子江や黄河と生物境界線との関係は興味深い)、「本部半島の岩石の話 基礎編【第三七回】」(2020/04/12 14:04)、「沖縄島北部の岩石の話 基礎編【第三四回】(2020/02/16 21:08)、「沖縄島中南部の岩石の話 基礎編 第十二回」(2018/02/28 26:05)「火山の恵み 砥石を探そう!使ってみよう!【第三三回】」(2020/02/11 12:23)「図鑑作家さんと身近な植物探訪【沖縄生物倶楽部 第五二回】」(2025/02/16 35:03)、「沖縄伝統家屋の作り シマぬジンブン③【沖縄生物倶楽部 第五三回】(2025/03/01 39:53)、比謝川の外来魚【沖縄生物倶楽部 第五六回】(2025/04/28 38:08)など、沖縄の自然地理、地学や生物、民俗・風習、環境問題、森の成り立ちや干潟、魚、昆虫、小動物、花や各市町村の博物館の見学、案内など多岐にわたっていて、大学生や教師向けの動画が多く、参考となる動画が多い。

 ※以下の動画も教師が手早く理解しておくには便利。

      ‣【1分解説】沖縄島の成り立ちには南北で大きな違いがあることを発見【産総研公式】

        産総研チャンネル 2019/09/24 2:00

   面白みには欠けるが、沖縄本島南部(島尻)の地質的特色を中部、北部との比較でごく短時間の

   うちに理解できる便利な動画。

      ‣【海の教室・社会】沖縄を代表する石 琉球石灰岩とは?(沖縄県)

        海と日本プロジェクト  2022/08/25  6:15

       沖縄の代表的な琉球石灰岩の石材としての利用の歴史等がまとめられている。     

・賀数仁然(かかずひとさ)の「さきがけ!歴男塾」YouTube

 面白おかしく早口で解説する沖縄史の専門家として沖縄のテレビ番組に幾度も登場してきた嘉数氏が開設したチャンネルらしく、情報量が膨大で興味深い話が多い。ただし嘉数氏のお話が中心であり、関連する場所などの動画が少ないため、授業で視聴するにはやや難がある。しかし教師にとっては授業の隠しネタ、とっておきの沖縄ネタを数多くゲットできる極めて貴重なチャンネルである。

 個人的にオススメの動画は南沙織のデビューと沖縄返還との関係、琉球五偉人の一人羽地朝秀の業績沖縄の墓が大きい理由…等。

 なお、一つの動画が10分以内に収まるよう意識的に短く編集されており、テーマによっては数回分を連続視聴する必要がある。

・ワラしがみ(せやろがいおじさん)

 彼は沖縄を拠点に活動する現役の芸人で普段は「リップサービス」というお笑いコンビのツッコミ担当。奈良県出身だが米軍ヘリ墜落事故で有名になった沖縄国際大学で相方と出会い、ウチナー芸人として沖縄を主な舞台に活動。時事問題をお笑いネタとして若者にも分かりやすく紹介し、注目される。YouTubeでは下半身に「赤ふん」を締めて最後の締めで「せやろがい!」の一言を残し、沖縄の海に飛び込む芸風で知られる。沖縄の問題に限らず、様々な時事問題をネタにしており、沖縄学習以外にも授業で多用できる貴重なチャンネル。

 沖縄の基地問題に限らず、日本の政治、社会問題の核心を要領よく突いて早口でまくし立てる「お笑い」ネタは決して飽きさせない。例え話も絶妙で分かりやすく、視聴時間的にも授業で使いやすい短さ。特に差別問題への言及が多く、差別問題を扱う授業では必要不可欠の動画であり、イチオシ。

軟弱地盤並に緩い政府の辺野古基地移設計画に一言 2020/06/19

方言強すぎ沖縄芸人「じゅん選手」※翻訳あり 2020/04/28 4:06

 沖縄方言を「アンパンマン」の紙芝居を通じて面白おかしく味わえる。

沖縄芸人と基地問題を語ろう【せやろがいおじさん】 たかまつななチャンネル 

 2020/03/13

阿波根あずさの沖縄観光チャンネル

 NHKやRBCなどの公的な放送を除くと史跡巡りでは最も役立つチャンネル。世界遺産関係では首里城中心に各地のグスクや嶽、拝所など、尚氏王朝の歴史を踏まえた情報量豊かな動画を数多く制作している。戦争関連はひめゆり部隊の歴史などは詳しいが、番組数として多いとは言えない。戦後に関しても「コザ暴動」や「沖縄と核」などを除くと基地問題を含めて番組数はやや少な目。

 ただし「しまくとぅば講座」を数多く配信しており、沖縄方言を知りたい方には非常に便利。2015年度のミス沖縄になる前は宮古テレビの元アナウンサーであったせいもあって、話がなめらかで解説はとても分かりやすい。沖縄観光の動画配信に加え、沖縄修学旅行の事前学習の講師としても沖縄県外の中学校や高校を舞台に活躍している。

 定期的に配信している月ごとの沖縄観光情報はその月の天候や見所などが分かるので、修学旅行関係必見の動画であり、見逃すことは出来ない。総合的に見れば修学旅行事前学習において最も役立つYouTube動画と言っても過言ではない。

   なお2024/01/28での動画配信で今後、「心を育てる沖縄観光」をテーマとして沖縄の問題点、課題をも積極的に配信していく方針を打ち出している。今後は必ずや授業に使える貴重な動画がさらに内容を充実させて配信されていくと信じている。

【#47 日常編】沖縄旅行中によく見かける沖縄の言葉(しまくとぅば)をしまくと

 ぅば講師養成講座上級取得者が解説します! 2021/07/24 21:12

「楽しく学べる沖縄方言Vol.1 2022/02/11 おきなわちゃんねる 9:05」

【#14 なんくるないさ】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座!「なんくるない

 さ」の正しい使い方を解説します! 2019/05/01 3:29

 この「なんくるないさ」という言い回しは多くのウチナーを楽天的だが無責任でいい加減な人達・・・といった変な印象、偏見を与えかねない言葉なので偏見を生み出さないためにも早めに視聴させたい。

9月18日は「しまくとぅばの日」やいびーん!「しまくとぅば」と「うちなーぐ

 ち」の違いについて詳しく解説します! 2021/09/18 11:08

【#2 母音】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座「ゆたしくうにげーさびら」

 2019/02/08 7:21

 沖縄独特の母音に関する法則性は注目される。「あいうえお」は「あいういう」、「かきくけこ」は「かきくきく」に近い発音になるのだそうだ。だから「しまことば」も「しまくとぅば」となる。

【#3 食事】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座「くゎっちーさびら」

「くゎっちーさびたん」 2019/02/15 5:54

 このセリフは旅行前に覚えておくべきだろう。

【#6 観光で使える!】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座 覚えたら思わず

 使いたくなる!観光に役立つしまくとぅば 2019/03/06 3:57

【#44 挨拶】「おはようございます」「おつかれさまです」「おやすみなさい」

 しまくとぅばで何と言う?【しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座】

 2020/11/03 6:29

【#9 朝の会話】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座 朝は、このしまくとぅ

 ばを使ってみよう! 2019/03/27 3:14

【#32 方角】北なのに「ニシ」!?その理由を解説!【しまくとぅば(琉球・沖縄

 の言葉)講座】 2019/09/11 6:39 

 現地のバスガイドさんがいずれ説明してくれるが、この程度のことは予め知っておいて損はない内容。

【#34 感情】感情表現するときにウチナーンチュがよく使うしまくとぅば【しまく

 とぅば(琉球・沖縄の言葉)講座】 2020/05/28 4:53

【#35 日常会話】「元気にしてる?」はしまくとぅばで何と言う?【しまくとぅば

 (琉球・沖縄の言葉)講座】 2020/06/06 4:43

【#10 自己紹介】しまくとぅば(琉球・沖縄の言葉)講座 全編しまくとぅばで

 自己紹介してみました! 2019/04/03 2:38

 島言葉の魅力満載。

那覇はもともと「ナーファ」と呼ばれていた!?『沖縄 地理・地名・地図の謎』

 【#7 琉球・沖縄本レビュー】 2019/08/05 5:21

【沖縄ダークツーリズム】沖縄戦の戦没者を追悼する日「慰霊の日」について解説

 します。阿波根あずさの沖縄観光チャンネル  2023/06/23  12:46

【沖縄ダークツーリズム】沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒隊の慰霊碑「ひめゆり

 の塔」を圧倒的な情報量でわかりやすく解説します!【沖縄観光/糸満】 

 2021/06/27 23:04

私の怒りの理由をお伝えします『ハクソー・リッジ』【#1 沖縄映画レビュー】

 2020/09/11

 沖縄戦と「浦添ようどれ」との関係を理解できる。

【浦添大公園①】英祖王・尚寧王の陵墓「浦添ようどれ」を圧倒的な情報量で紹介し

 てみた!【沖縄観光/浦添】【浦添大公園②】中山王の居城「浦添城跡」を圧倒的な

 情報量で紹介します! 2020/11/13 11:29

【浦添大公園②】中山王の居城「浦添城跡」を圧倒的な情報量で紹介します!【沖

 縄観光/浦添】 2020/11/13 18:54

日本復帰前の沖縄を写真で振り返ろう!話題の沖縄本『復帰前へようこそ』【#3

  琉球・沖縄本レビュー】 2019/07/08

 youtubeでのこの観点は貴重

【沖縄戦本島米軍上陸】沖縄屈指の人気サーフスポット!北谷「砂辺馬場公

 園」の近くの海岸に76年前、米軍が上陸しました。 2021/10/22 

【沖縄戦本島米軍上陸】米軍が沖縄本島に上陸して2日後にチビチリガマ(読谷

 村のガマ)で凄惨な出来事が起こりました。 

 2021/10/23 18:35

2019年10月31日、首里城焼失。この日を忘れない。2019/11/02 7:26

 首里城の火災が沖縄の人々に与えた衝撃の大きさを感じられる。

【首里城の基礎知識①】世界遺産「首里城」はいつ誰によって建てられたの?広さ

 はどれくらい?一から分かりやすく解説します! 2021/10/26

 ※首里城に関しては「◎RBC NEWS「首里城謎めぐり(1)神秘の「京の内」」、(2)龍樋の水、 

 (3)御嶽が語る王国の祈り 2020/09/23、9/30、10/7 【琉球放送】RBC NEWSも良い。

【首里城の基礎知識②】琉球王国成立後から薩摩侵攻琉球処分沖縄戦そして現在

 まで!首里城が歩んできた歴史を解説します! 2021/10/27

 首里城は日本軍の司令部が置かれた場所であったために戦災で徹底的に破壊されてしまった、という事実を想起する必要がある

首里城「守礼門」について首里城が大好きすぎるYouTuber阿波根あずさが徹底解

 説します! 2021/10/28

世界遺産「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」を徹底解説!観光で

 楽しむ時のポイントとは? 2021/10/29

【識名園①】世界遺産「識名園」を圧倒的な情報量で観光ガイド!識名園に生息す

 るあの生き物が生き証人?【沖縄観光/那覇】 2020/02/14 20:03

【識名園②】世界遺産「識名園」を圧倒的な情報量で観光ガイド!琉球人の巧みな

 外交戦略が見えてくる!【沖縄観光/那覇】 2020/02/15 15:49

琉球の宝!世界遺産「玉陵」を圧倒的な情報量で解説します!首里城から徒歩3分!

 【沖縄観光/那覇】 2020/01/29 19:49

  玉陵に関しては「◎RBC NEWS「首里城謎めぐり(4)王族眠る「玉陵」の不思議

   2020/10/14 【琉球放送】RBC NEWS 7:32」が良く整理されている。

伝説の窯に大興奮!那覇・やちむん通りを楽しもう♪【沖縄観光/那覇】

 2019/06/06 10:03

【沖縄美ら海水族館①】徹底取材!沖縄美ら海水族館を圧倒的な情報量でガイドし

 ます!ジンベエザメの飼育にも密着!!〈PR〉【沖縄観光/本部】

 2020/06/07 26:08

首里城正殿復元に使用する御材木を触ってみたらスゴかった!奥間の伝統芸能「国

 頭サバクイ」も上等やいびーんどー!  2022/11/19 8:19

 

・根間ういチャンネル「おきなわ部」

 沖縄バーチャル観光大使を目指す「根間(ねま)うい」というアニメキャラを使って「沖縄あるある」シリーズなどの沖縄雑学を若者目線で面白おかしく紹介。沖縄に多い名字、沖縄独特の言い回し、風習、生活習慣を楽しく分かりやすく学習できる。事前学習に利用可能な番組は多い。国際通りの入り口などでは大きく「根間うい」が映像や看板に使われていたりするので、国際通りをコースに入れている学校では一度は視聴させたい番組。

【絶景】沖縄の大自然を体感できる観光地やパワースポットを紹介!!【5選】

   根間ういちゃんねる【おきなわ部】 2024/06/18  7:37

【珍】沖縄の学校給食が衝撃的すぎるので紹介!!【3選】

   根間ういちゃんねる【おきなわ部】  2024/07/30  4:53

【沖縄方言講座】昔から伝わる『黄金言葉(くがにくとぅば)』をお教えします。

   根間ういちゃんねる【おきなわ部】  2023/07/18  5:33

 沖縄に伝わる名言、ことわざである「黄金言葉」を紹介する。少し物足りないかも

【必見】沖縄旅行で友達にドヤれる豆知識を紹介するよ!

 2021/12/14 7:03 ・・・国際通り入門

【沖縄の学生あるある】沖縄の高校生なら誰もがやったことがあるはずww

 根間ういちゃんねる【おきなわ部】  2023/03/07  5:06

沖縄の秘密、教えます。 2020/03/03 3:02

【絶対共感できない!?】独特すぎる沖縄の学校あるある!! 2021/07/06

【要注意】沖縄でやってはいけないこと10選! 2021/07/13 必見!

【要注意】沖縄でやってはいけないこと Part2! 2021/09/21

【鬼滅の刃】パワハラ会議を沖縄方言化したら理解不能になったww【沖縄

 方言】2021/10/12 3:31

【ちむどんどん】明日から使える沖縄の方言3選!【沖縄方言講座】

 2022/04/12 根間ういちゃんねる【おきなわ部】 4:57

【衝撃】沖縄あるある【カルチャーショック】 2019/06/18

【沖縄方言講座】ちむどんどんで登場した沖縄方言を紹介するさー!【うちなーぐ

 ち】 2022/07/19 5:09

【大好評!】沖縄あるある その2【セカンドインパクト】 2019/09/24

【スクープ!】沖縄あるある その3【チャレンジ・ザ・トリプル】 

 2021/03/16

【マンガ】都会に住んでいる人が初めて沖縄に行ってみたら…【漫画動画】

 2021/11/02

【観光客は要注意】思ってたのと違う!間違いやすい沖縄料理を紹介するよ!! 

 2021/11/09 5:28 

 食事が自由に出来る場合、必見。

【観光客必見!】沖縄料理店で観光客が知らない料理を紹介するよ!!

 2021/09/07 6:09

【観光客必見!】沖縄で種類豊富な豚料理を紹介!【美肌効果◎】

 2022/05/17 4:59

【沖縄観光】珍しい食材の宝庫!沖縄の市場を紹介するさー!

 2022/08/23 11:01

【沖縄あるある】沖縄の結婚披露宴は県外と全然違う!?【何個知ってる?】

 2021/11/30 根間ういちゃんねる【おきなわ部】 5:11

【マンガ】都会に住んでいる人が初めて沖縄に行ってみたら…【漫画動画】

 2021/11/02 根間ういちゃんねる【おきなわ部】 5:19

【マンガ】都会に住んでいた人が初めて沖縄に住んでみたら…【漫画動画】

 2022/03/29根間ういちゃんねる【おきなわ部】 4:21

【沖縄留学のススメ】修学&卒業旅行はここへ行くべし!【学生必見!】

 2022/01/25 7:16 

 情報不足は否めないが、「沖縄留学」は面白い観点。

【沖縄ってこうでしょ?】視聴者から集めた沖縄の偏見がヤバすぎるww

 2022/03/01 9:08

【浦添城跡】VTuber 根間ういが、アニメ「琉球タイムライン」の聖地を紹介! 

 2022/03/09 浦添市観光協会うらそえナビ 1:40

【伊祖城跡】VTuber 根間ういが、アニメ「琉球タイムライン」の聖地を紹介!

 2022/03/09 浦添市観光協会うらそえナビ 2:03

【沖縄ってこうでしょ?】視聴者から集めた沖縄の偏見がヤバすぎるww

 2022/03/01 9:08

沖縄って実は〇〇!?視聴者からの偏見・イメージに本音で答えます!

 2022/06/07 9:45

沖縄旅行&移住者必見!完全マニュアルVol.1【沖ツラに学べ】

 2022/06/14 5:03

沖縄旅行&移住者必見!完全マニュアルVol.2【沖ツラに学べ】

 2022/07/26 4:55

 

・街歩きokinawa

 名前は「おきなわさんぽ」と多少紛らわしいが、移動は基本的に車であり、長距離を歩く場面はほぼ無いと思った方が良い。ただし年配者のウチナー独特の視点が目立つ点で若いユーチューバーとは異なる貴重なユニークさがある。特に糸満の各地に残されている慰霊碑をどう捉えるのかを巡るヤマトンチュとウチナーとの認識の違いが指摘されている点や慰霊碑の四分類は貴重なご意見。

 ただし最近、食レポ的番組が多いのは残念。また音声やテロップの表記ミスも少な

くないので利用する際は要注意。学習面では総じて突っ込みが浅く、取材不足は否めない。かなり覚束ない足どりで階段を上り下りする時など息切れされているようなので相当ご高齢の方が撮影しているものと思われる。

【首里城さんぽ】誰も知らない歓会門の戦争遺構ちゅうこんひ・って何んだ!沖縄 

 市登川の忠魂碑を見に行く・沖縄戦。沖縄の歴史・ 2021/09/22 19:01

 忠魂碑と奉安殿の説明には少し不安を感じるが、沖縄における精神総動員体制を理解する上で非常に貴重な動画

【那覇・首里城】沖縄・もう一度・首里城・沖縄戦の地下壕さがし・円覚寺・山門

 復元工事・沖縄師範学校跡・沖縄旅行 2019/10/09

【沖縄の湧水】宜野湾市・喜友名泉・米軍基地に囲まれた樋川・普天間宮近くの湧 

 き水のご紹介 2021/02/03 街歩きokinawa 14:04

 桶川(ヒージャー)や井泉(ガー、カー)を訪ね歩くシリーズの一つ。沖縄では綺麗な水の湧く場所は飲み水や農業用水の水源、水浴び場、洗い場等に使えるため石垣が組まれて区画され、大切に管理されてきた。また村人が集う場でもあった。この近くでは貝塚が幾つか確認されており、相当古くから集落が形成されていたことが分かる。また普天間基地とキャンプフォスターに挟まれた細長いベルト地帯にあり、貝塚やヒージャーの多くが米軍基地内に包摂されているといった、いかにも現代の沖縄らしい光景も一見の価値あり。

【沖縄戦の激戦地】シュガーローフは何処?那覇市・安里高地とは、真嘉比の森・

 ホーシュートは、何処か、沖縄戦を探る・おもろまち駅周辺は昔・戦場だった&来

 週の配信報告 2021/03/13 7:58

【沖縄の慰霊塔】糸満市、真壁「萬華之塔」と「1000人壕」沖縄ソバ屋・真壁ちな

 ―の近くにある沖縄戦の慰霊塔・沖縄観光・沖縄旅行「まんかの塔」2020/09/16

【沖縄の慰霊塔】糸満市・真栄里「山形の塔」沖縄戦の慰霊塔と防空壕・山形之塔

 2020/09/23

【沖縄の慰霊塔】米軍バックナー中将の慰霊碑(慰霊塔)糸満市真栄里・沖縄戦の慰

 霊塔で唯一、敵の大将をたたえる慰霊塔 2020/09/02 11:39 

 ヤマトンチュが建てた慰霊塔へのウチナンチュの違和感が分かる。米軍による住民への虐殺や糸満、八重瀬といった島尻に沖縄戦における住民の犠牲者が集中する理由も見えてくる。

【沖縄の湧水】糸満市の水源探し・沖縄戦の慰霊塔「山雨の塔」と作戦本部「くら

 がー」の今・糸満・真栄平集落と宇江城集落の戦争碑 2020/06/24

【沖縄の慰霊塔】糸満市・真栄里・「白梅の塔」と国吉集落の「萬魂の塔」山形の

 塔の前の2つのガマ(自然壕) 2020/10/14

【沖縄の慰霊塔】糸満市/真栄平地区「南北の塔」沖縄戦の戦死者を祭った納骨

 堂・アバタガマに死者を集めたのが始まり・自然の壕・鍾乳洞が戦争時・住民避難

 の壕に利用された。 2020/08/26

【沖縄戦】糸満市「轟の豪」ひめゆりの塔・近くの沖縄戦の避難壕・数百人の命

 を救った鍾乳洞 2022/03/16 街歩きokinawa 15:16

【沖縄戦を歩く】伊原第一外科壕~第二外科壕(ひめゆりの塔)糸満南部「ひめゆ

 り部隊」の痕跡を追う・・南風原病院壕~糸数豪~伊原豪~荒磯海岸~

 2022/05/04 19:05

【沖縄の湧き水】宜野湾市・森川公園・森の川樋川と、戦争の慰霊塔「森川之塔」

 ~マヤ-アブ 2020/12/23 街歩きokinawa 12:03

【沖縄戦を歩く】糸満「梯梧之塔」那覇市泊にあった昭和高等女学校の生徒たちの

 慰霊塔「ひめゆりの塔」の隣ひっそりとたたずむ沖縄戦の慰霊塔

 2022/05/11 13:10

【沖縄戦を歩く】ひめゆり部隊の足跡・南城市・糸数壕「アブチラガマ」南風原陸

 軍 病院~糸満~伊原壕、2022/06/08 17:26

【沖縄戦】読谷村チビチリガマとサトウキビの歌碑~海から戦がやってきた~絶望

 の海 2022/06/15 街歩きokinawa 16:30

動画999本記念【沖縄の歴史】ジョン万次郎と翁長地区100年前の馬場が今も集落

 の人に大切にされているジョン万次郎と翁長村の馬場・豊見城市翁長地区 

 2022/08/31 13:07

 

・第39代ミス沖縄のおきなわ観光TV

 第39代ミス沖縄の3人は当初、2020年4月から翌年の3月までの任期1年で沖縄観光親善使節としての華々しい公務につくはずであった。しかしたちまちコロナ禍により公務の多くがキャンセルされるという苦境に立たされる。しかも第40代ミス沖縄の選出すら延期され、任期は倍の2年に延長されてしまった。その間、YouTubeを通じて沖縄の観光地や日常の風景、グルメ、アクティビティツアーなどを動画で案内する、ミス沖縄としての新企画に着手(2020年7月より)し、観光親善使節としての務めを一部、動画配信で代替するようになった。

 修学旅行の事前学習で利用できるものは配信数の多さの割りに決して多くないが、伝統芸能やガラス作りなどの体験コース、観光施設の案内などはコース選定の際、大いに参考となるだろう。沖縄について時間をかけてタップリ知りたい、という若い方には特にお薦めの動画となっている。

 なお2022年3月31日をもって第39代ミス沖縄の3人は卒業し、4月1日からは第40代が沖縄観光親善使節としての公務に就いている。

【ミス沖縄と巡る旧海軍司令部壕】沖縄戦当時の様子をいまに伝える場所

 2020/06/30 6:19

 館員の案内があるので分かりやすい。

【ミス沖縄と巡るひめゆり平和祈念資料館】沖縄戦を体験した10代のひめゆり学

 徒隊2021/06/04 14:35

 館内の撮影を特別に許可されており、貴重な動画。

見どころ満載!!『ネオパークオキナワ』の魅力をたっぷりご紹介します

 2021/10/28 11:36

※ネオパークに関しては「【沖縄観光】楽しすぎる、可愛すぎる。沖縄テーマパーク、ネオパーク沖縄

 2021/01/13 ふぁじちゃんねる、沖縄 19:18」でも詳しく解説されている。

【首里城公園】首里城火災から2年が経ちました。現在の首里城の様子をお届けいた

 します。【世界遺産】 2021/10/31 20:39

【沖縄マングローブ】やんばるの慶佐次川でマングローブカヤック体験!癒しの時

 間でした 2021/09/18 8:52

【琉球ガラス村】県内最大のガラス工房でガラス作り!!

 2021/11/16 13:54

【紅型染め体験】夏休みの工作にオススメ☆子どもから大人まで楽しめる♪むら咲

 むらの101の体験をご紹介します 2021/06/07 7:08

 ※「体験王国むら咲村」に関する動画は他に「体験王国むら咲むら [いいね!JAPAN ソーシャルア

  ワード] 2012/03/16 4:14」がある。

【300年の歴史】沖縄の伝統芸能「組踊」にチャレンジ!プロの演者さんから組踊

 の楽しみ方を教えてもらいました2021/11/06 9:08

【沖縄観光スポット】おきなわワールドの魅力をお届けいたします🎵【沖縄南部】

 2021/02/17 9:46・・・紙すき体験が見られる

【ナゴパイナップルパーク】子どもから大人まで楽しめる観光施設の魅力をご紹介

 します【沖縄北部】 2021/11/10 14:31

【おきなわのテーマパーク】おきなわワールドで絶対体験すべき【スーパーエイサ

 ー】【白ヘビと記念撮影】2022/01/09 ミス沖縄のおきなわ観光TV 12:24

生命の神秘を感じる【ガンガラーの谷】 2021/03/06 7:47

【琉球舞踊体験】沖縄の伝統芸能「かぎやで風」を踊ってみました♪

 2021/06/10 9:15

【沖縄伝統芸能】東南植物楽園!沖縄の伝統芸能をイルミネーションに囲まれて鑑

 賞!ひかりの散歩道の様子もお届けいたします🎵【沖縄中部】

 2021/03/14 11:32 

【沖縄観光スポット】琉球村で沖縄のおばぁのおもてなしを体験!【沖縄中部】

 2021/02/21 9:22

   ※琉球村の解説としては「【国頭郡/沖縄】沖縄の伝統を知れる観光スポット、琉球村に潜入!

    2021/01/24 ゴリ★オキナワ 8:59」が特にお薦め。

世界遺産】琉球王国最高の聖地「斎場御嶽」をご紹介致します♪

 2021/04/05 5:53

【うちーなーぐち】日常でも使えるうちなーぐちをご紹介します

 2021/11/07 6:45

【沖縄昔話】3姉妹のかなさ旅新しい旅の楽しみ方【沖縄方言Ver】【ウチナ

 ーグチ/しまくとぅば】 2021/10/01 ミス沖縄のおきなわ観光TV 4:53

【沖縄のことわざ】意外と知らない!!ウチナーンチュが伝える黄金言葉(くがに

 くとぅば) 2021/09/15 ミス沖縄のおきなわ観光TV 5:21

【インスタ調査】沖縄県民に「沖縄あるある」聞いたら共感しかなかった

 2021/04/30 ミス沖縄のおきなわ観光TV 9:35

【ミス沖縄ラジオ】6月1日は何の日!?かりゆしウェアの日

 2021/06/01 7:10 

 沖縄特有の衣裳として観光客のお土産にも定着してきた「かりゆし」の定義が分かる。外見はアロハシャツと似ているが、沖縄独自のデザインが使われていなければ「かりゆし」とは言えないらしい。「かりゆし」とは沖縄の方言で「めでたい、縁起が良い」と言う意味。したがって沖縄では式服としても利用されてきた。近年は「クールビズ」の流れもあり、官公庁中心にオフィスでも着用されるようになっている。またワンピースなど多様なデザインがあるため、ウチナーの間ではおしゃれ着、普段着としても普及している。観光客の中にはアロハシャツと間違えている方もいるので、とりあえずタグに「かりゆしウェア」と記してあるかどうか、確認してみた方が良いだろう。

【シーサー】意外と知らない?シーサーについて 2021/03/13 4:42 

【沖縄の日本遺産】おきなわ日本遺産ツアーのモニターに参加して来ました! 

 2021/03/12 10:06

   ※関連する本格的な動画として「琉球文化日本遺産プロモーションビデオ ストーリー編  

   (2021/03/31 琉球文化日本遺産魅力発信事業 8:53)がある。

【あのグルグル】沖縄本島北部でおすすめのスポット!【熱帯ドリームセンター】

 2022/01/28 ミス沖縄のおきなわ観光TV 16:32

【仲宗根黒糖】サトウキビ100%の黒糖つくり体験をしてきました

 2022/02/13 ミス沖縄のおきなわ観光TV 15:33

国際通りぶらり旅県庁前から安里三叉路まで街ブラして来ました!

 2022/02/25 ミス沖縄のおきなわ観光TV 14:18

 

・那覇バス・琉球バスch

 コロナ禍によって観光客が激減する中、バス会社も苦境に立たされた。特に「行ったつもり」シリーズの動画は沖縄に行きたくとも行けない人々へ向けて作られた動画であるが、引率教師の事前学習には大いに役立つ、充実した内容となっている。とりわけバスガイド「あっこ」さんの見事な案内ぶりに感嘆するばかり。他にも多くの動画があるが、ほとんどはミス沖縄のおきなわ観光TVと大差ない内容。

 生徒にはネタばれになってしまう部分が多く、本番の旅行時に新鮮さが削がれてしまってはマズイかも。どちらかと言えば授業で利用する事前学習用の動画ではなく、あくまで引率教師が参考とするための動画だと感じる。

【33】行ったつもり!沖縄観光 (那覇市内編 国際通り・首里城公園)

 2021/08/27 37:13

 国際通り、首里城に関する詳しい案内を聞くことが出来る。

【50】行ったつもり!沖縄観光(南部戦跡編 おきなわワールド・平和祈念公園・

 ひめゆりの塔)】 2021/12/24 40:14

 平和記念公園とひめゆりの塔に関する詳しい案内を聞くことが出来る。参考となる素晴らしい内容の解説。

【10】定期観光Bコース紹介 Regular tour bus Kouri Island Nakijin Castle  Churaumi course 2021/03/19 6:39 

 今帰仁城を詳しく知ることが出来る。

【26】世界遺産 座喜味城跡・バスガイドぶらり探訪 2021/06/25 11:33

 座喜味城を詳しく知ることが出来る。

「【沖縄観光】世界遺産・座喜味城跡を徹底紹介。無料で見れる沖縄の世界遺産2020/10/29 ふぁ

 じちゃんねる、沖縄 10:16」も役立つ。また中城城に関しては同チャンネル「【沖縄観光】沖縄

 の世界遺産を徹底紹介!世界遺産・中城城跡、世界遺産から見る絶景の海もオススメ。2020/10/19 

 ふぁじちゃんねる、沖縄 16:53」、今帰仁城に関しては【沖縄観光】世界遺産・今帰仁城跡を徹

 底紹介。沖縄の桜の名所。美ら海水族館、古宇利島からも近い!2020/10/29 ふぁじちゃんねる、

 沖縄 16:50」が参考となる。ただしこのチャンネルはこれらを除くと基本的に食レポ中心。

※なお9つの世界遺産を急ぎ足で見るなら「2琉球歴史ロマン探訪~9つの世界遺産めぐり~

 2020/01/22 沖縄県公式チャンネル 1:00がオススメ。もう少し時間をかけたい方は「JAL×

 沖縄CLIPムービー 「【沖縄の世界遺産を巡る旅】 2017/10/17 16:16」「琉球王国のグス

 ク及び関連遺跡群 2016/06/03 OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ 6:29」がオス

 スメ。

【46】世界遺産 勝連城跡・バスガイドぶらり探訪【4K】 2021/12/01 12:

 01   勝連城を詳しく知ることが出来る。

38】やんばるツアー研修(世界自然遺産登録記念) 2021/10/01 11:33

 辺戸岬、大石林山、ヤンバルクイナなど知ることが出来る。

【31】もうひとつの沖縄戦~学童疎開の真実~ (8.15終戦記念日特集)

 2021/08/15 15:09

【62】一日で沖縄満喫~贅沢コース!那覇バス定期観光Cコース新設🌺

 那覇バス・琉球バスch 2023/01/23

   ※那覇バスはコロナ禍の影響もあり、2022年4月1日から琉球バスに経営統合された。このチャンネ

      ルもいずれ琉球バスchとなり、「あっこさん」こと安里亜希子さんもいずれは琉球バスのガイド

      として再出発することになるだろう。

 

「琉球サウダーヂ」RBC 琉球放送

 沖縄を様々な角度から深く知りたい社会科教師にはイチオシの入門動画。何よりも沖縄を知り尽くしている沖縄ローカルテレビ局制作ならではの着眼点。普通の観光youtuberとは目の付け所がまったく違う、魅力的で独自のテーマが連なり、学習的要素が豊富に盛り込まれている。「共同店と集落第一話~五話」「心の拠り所 グスク第一話~第三話」「史跡と戦争第一話~第三話」「島々の神たち第一話~第四話」「迫りくる西洋第一話~第五話」「琉球の住まいと暮らし第一話~第四話」「布にまつわる物語第一話~第四話」「沖縄戦 海軍の足跡第一話~第四話」「橋巡り第一話~第四話」伊波普猷第一話~第四話」「移民の追憶第一話~第四話」「護佐丸第一話~第五話」「尚巴志第一話~第四話」「王国の遺宝 モノ語る琉球史第一話~第四話」「国学の誇り第一話~第五話「女子学徒たちの沖縄戦第一話~第四話」「琉球を巡る水第一話~第五話」「海洋博協奏曲第一話~第四話」「おもてなしの琉球料理第一話~第四話」「女子学徒たちの沖縄戦第一話~第四話」「時を奏でる楽器第一話~第四話」「沖縄戦のはじまり第一話~第四話」「伝統を受け継ぐ者第一話~第五話」「戦場に動員される学生達第一話~第四話」…この多彩なテーマ設定は沖縄初学者にとって嬉しい限りである。しかも美しい映像とやや迫力には欠けるが聞き心地の良い国仲涼子氏のナレーション。赤字のシリーズはCMを飛ばせば授業でも視聴させたい貴重な内容。

 大きな欠点としては2分30秒という短く切り刻まれた番組構成と途中で沖縄トヨタ自動車のCMが入る点。確かに授業では使いにくい。しかも一つの番組の放映時間が短いせいで幾分、それぞれ突っ込みが浅い感じも否めない。既に沖縄通を任じている人には物足りないだろう。とは言え沖縄への知識が余り無いと自覚している人なら是非とも一通り視聴してみることを薦める。どういう視点から沖縄への理解を深められるのか、手探り状態の人にとっては大いに参考となるはず。

 

OKINAWA A LA CARTE

 戦災に遭う前の沖縄の姿や戦場と化した沖縄、復帰前の街並みなどを主に絵画や貴重な古写真を通じて紹介する内容。沖縄の戦前、復帰前の風景や風俗を知るには格好の動画。余計な音声に煩わされないで済み、落ち着けるBGMを聴きながら失われてしまった沖縄の原風景を眺める…まさに大人趣味の番組なのでその多くは高校生向けの動画ではない点に留意。従ってもっぱら教師が修学旅行の事前指導の参考に役立てるための内容としてご紹介したい。ただしぜひ生徒たちにも視聴させたいいくつかの動画があり、プリント資料の材料に使える写真も少なくない。

【昔の沖縄】往時の那覇を巡る 大正・明治時代の風景と文化

 2022/09/12 11:24

【古の沖縄】失われた沖縄の懐かしい風景が鮮やかに甦る。

 2022/05/11 8:07

【昔の沖縄】往時の那覇を巡る 大正・明治時代の風景と文化

 2022/09/12 8:28

【懐かしの古き沖縄】古き沖縄の生活と文化をご紹介しています。

 2022/03/27  10:39

※生活と文化に関しては「戦前の沖縄【古くから外国人も認めた沖縄の美と人々の暮らし】沖縄シェア

 チューブ(ShareTube of Okinawa)  2022/08/07  10:37」も役立つ。

【昔の沖縄】昭和初期の沖縄:貧困、戦争、そして過酷な現実

 2023/03/08  11:00

【昔の沖縄】戦時遭難船:沖縄戦では、戦争を逃れて行く沖縄の人々が乗っていく

 疎開船がほとんど沈没しました。対馬丸だけではありません。その実情をお伝えし

 ます。2023/04/19  6:05

【昔の沖縄】第二次世界大戦で、鹿児島から沖縄へ向かう途中、奄美大島北方で米

 軍潜水艦の砲撃を受けて沈没した「嘉義丸」の乗船者の漂流記

  2023/04/20  5:24

【沖縄戦】衝撃の集団自決!奇跡の回避を果たしたリーダーの勇気と機転【真実を

 解明】  2023/05/20  9:11

【昔の沖縄】1010空襲、沖縄地上戦、そして終戦直後の混乱期の5年間、沖縄は

 どのような生活を強いられたか?沖縄の人は、それでも明るさを失わなかった。   2022/11/14 9:31

【昔の沖縄】忘れられない十•十空襲:沖縄戦争の悲劇的な始まり

  2023/05/04  3:17

【古の沖縄】戦時下の沖縄住民、1945年4月1日、米軍を主体とする連合軍は沖縄

 西海岸から上陸。その後の沖縄住民はどのような状況に置かれていたのかをご覧く

 ださい。 2022/05/04 8:54

【昔の沖縄】15年戦争と沖縄(補足版):沖縄住民試練の記録

  2023/04/29  9:25

【昔の沖縄】米軍はなぜ沖縄に上陸したか?

  2023/05/15  9:59

沖縄の今昔】ビフォー アフター、戦前・戦後の沖縄をご紹介します。

  2022/11/04 12:06

【古の沖縄】戦時下の沖縄住民、1945年4月1日、米軍を主体とする連合軍は沖縄

 西海岸から上陸。その後の沖縄住民はどのような状況に置かれていたのかをご覧く

 ださい。  2022/05/04 8:54

古の沖縄】涙が止まらない。沖縄戦の犠牲者となり、うら若き尊い命を絶っていっ

 た「ひめゆりの乙女たち」の物語です。2022/05/07  5:10

【昔の沖縄】戦争で全てが破壊された沖縄。これを見れば“ウクライナ”が見えてく 

 る。 2022/10/12 10:00

【古の沖縄】沖縄戦、収容所での生活

  2022/05/14 8:14

【古の沖縄】戦後 学校の立ち上がり:小学校、中学校、高校、琉球大学

  2022/07/19 4:46

【昔の沖縄】昭和20年にタイムスリップ。沖縄の子どもたちの戦後教育は青空教室

 から始まった。 2022/05/24 4:16

【昔の沖縄】米国施政下のもと、沖縄が戦災から復興していく様子をご紹介してい

 ます。 2022/03/29 8:50

【懐かしの古き沖縄】戦後まもない頃の暮らしの模様をお伝えします。

 2022/03/26  3:35

【昔の沖縄】沖縄復興真っ只中の暮らしの思い出アルバム

 2022/10/18 8:49

【古の沖縄】1960年代の那覇市:激動のアメリカ世の繁栄と変革

  2022/07/05 8:04

【古の沖縄】沖縄戦後からの復興胎動「ゼロからのスタート」

  2022/05/28 9:10

【昔の沖縄】昭和20年代、戦後の混乱期、沖縄住民は、どのようにして、自活への

 みちをあゆんだのか?  2022/10/16 11:44

【古の沖縄】沖縄の復興、終戦〜祖国復帰を写真で振り返る

  2022/04/13  14:53

【古の沖縄】驚異の変貌19景:沖縄戦後数十年の街並みの変遷

  2022/06/05 7:03

カラーで観る「復興の足跡 カラーで見る1950年代の沖縄」

  2022/07/15 8:19

【懐かしの古き沖縄】昭和34年、沖縄の日常風景にタイムスリップ!見逃せない貴

 重な映像  2022/04/06  5;25

【古の沖縄】ベトナム戦争時の基地「沖縄」 2022/06/19 5:25

【古の沖縄】沖縄の祖国復帰前後に起こった出来事。 2022/05/21 8:17

【懐かしの古き沖縄】那覇市編  2022/03/21  8:20

【沖縄観光】美ら海水族館で体感する沖縄の神秘的な海の世界。世界に誇る"巨大水

 族館"で泳ぐジンベエザメの勇姿とナンヨウマンタや可愛らしい魚の群れなどをごら

 んください。  2023/01/01 11:35

【沖縄首里城公園散策】首里城復興への取り組みが始まった。

  2022/11/11 8:32

【古の沖縄】琉球村:明治から昭和初期の沖縄にタイムスリップした雰囲気が味わ

   えます。 OKINAWA a la carte  2023/09/29  10:14

   珍しく動画形式で琉球村を紹介。

 

・地理ライダー

 バイクに乗って日本各地を巡り、観光地の紹介はほとんどスルーしつつ、地質、地形をマニアックに解説していくという異色の動画を配信している。沖縄の動画も挙げられており、特に沖縄本島の解説は非常に役立つだろう。離島も数多く訪れており、地理、地学関係の授業をする教師にとっては非常に有益。どの動画も視聴時間が長いため(40~50分)、授業で視聴させるには視聴個所をあらかじめチョイスしておく必要がある。

沖縄本島 中北部の地形 | 山だらけ!バイクで巡る やんばるの付加体って何? 

  2024/04/19 41:49

「付加体」という単語がキーワードになっている。本島の東側や南部はサンゴ礁が隆起して形成された琉球石灰岩や泥岩を中心とする島尻層群などからなる比較的新しい地層が表層を形成しているらしい。実際、首里城の石垣などはゴツゴツした琉球石灰岩が多く使用されている。

 本島中部以北、特に西側の海岸部の地層は比較的古く、アンモナイトの化石が見つかる本部半島の美ら海水族館付近では約2億年前まで遡れる地層が海岸部に露出しているという。また名護の嘉陽層には見事な褶曲が見られる。そこでは海底の堆積層が西に向かってプレートごと移動し、大陸側のプレートとぶつかる過程で表層部分が盛り上がる=付加体が形成される際に地層がグニャグニャと歪む現象がはっきり確認できるという。

沖縄・西表島 | 高さの揃った山がずらりなぜ? 2000万年前の固い礫岩層が作っ

 た島へ行ってみよう  2024/03/15 42:31

沖縄・与那国島 | 日本最西端の島は山だらけ? 1500万年の隆起の跡をバイクで巡

 る  2024/03/08 55:42

 冒頭で琉球諸島の形成の歴史が簡単に紹介されている。

沖縄・宮古島 | 中国大陸の川が運んだ分厚い泥? 島尻層群と石灰岩の島をバイクで

 まわります  2024/04/05 41:13

 断層だらけの宮古島の特色が分かる。

沖縄・伊良部島と下地島 | 石灰岩が溶けた地形がいっぱい! 地上と海中からる ド

 リーネと鍾乳洞 地理ライダー  2024/04/12 32:22

沖縄・波照間島 | 最南端の島は中央まで石灰岩ぎっしり! 地下の泥岩層と石灰岩を

 分ける200万年前に何があったのか? 2024/03/22 43:32

沖縄・石垣島 | 地下から浮き上がった?沖縄最高峰と、2億年の歴史をバイクで巡

 る  2024/03/29 45:31

 石垣島の複雑な成り立ちがよく分かる。

 

沖縄歴史倶楽部

 琉球史、沖縄史の若手研究者が発信しているため、専門性が高く、やや難解。しかし「ゆる沖縄近代史」①~⑤のシリーズなどはかなり参考になる。ただほとんどは高校生が授業で視聴するには適さず、あくまで教師が参考にするために視聴する動画だろう。

その3.お金から見た戦争・ひめゆり学徒隊

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・沖縄戦:紙幣及び硬貨から見た戦争

 左が戦時中に発行された紙幣でデザインも楠木正成像や八紘一宇、靖国神社といった戦時色の強いものが使われている。一方、右は戦後間もなく発行された紙幣で、平和のシンボルのハトや議会制民主主義のシンボル的存在である自由民権運動の指導者板垣退助、国会議事堂が使われている。いずれにせよ紙幣発行当時の政治情勢が露骨なほどにそのデザインに反映されている。また左右双方に共通する点としてどちらも低額紙幣であること。すなわち敗戦を挟んだ時期は戦争のために深刻な金属資源の不足に直面し、十分な量の硬貨が発行できなかったため、紙幣で不足分を補おうとしていたのである。

 戦況の悪化に伴い、物資の欠乏が表面化してくる。硬貨の素材も劣化を余儀なくされた。同じ1銭玉でも銅の含有量が減っていき、サイズも小さくなっていく。日の目は見なかったものの、敗戦間際、日本はかつてのドイツを真似て陶貨の試作を行っている。「欲しがりません 勝つまでは」と勝利を信じて耐え忍んできた国民は圧倒的な物量に物言わせたアメリカ軍の攻勢の前に大戦末期、ひたすら無防備な姿をさらけ出すことになる。

参考記事

約50万枚の1銭陶貨見つかる 京都市の会社倉庫から「幻の貨幣」

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.10.9

 第一次世界大戦中のドイツも末期は金属不足により陶磁器の貨幣を発行していた。かつて江戸時代には伊万里など、大量の陶磁器がヨーロッパに輸出されていた。皮肉にも第二次世界大戦末期、かのドイツをお手本にして日本でも陶貨の発行を試みようとしていた。この貨幣の歴史的資料価値は資源の勝る国を相手に無謀にも戦争を挑んでしまった国家の末路を知る、という貴重な教訓を教えてくれることにあるだろう。

 

ひめゆり学徒隊

参考記事

「軍隊は住民を守らない」沖縄・久米島の住民虐殺事件、戦後80年 歴史の事実に向

    き合う“日本軍が民間人にしたこと【報道特集】    TBS NEWS DIG 2025.6.28

 もちろん日本軍がすべてこのような虐殺を行ったわけではない。住民を守ろうとした日本兵もいたはずである。ただし、兵士個人ではなく軍隊という組織として見れば総じて沖縄の住民を十分に尊重していたとは思えない。この問題の核心は、軍事機密の保持を名目にして沖縄の人々をスパイと見なしがちな日本軍の体質があった、という点に潜んでいるだろう。

 とは言え、本土決戦が行われていれば、沖縄の人とほぼ同様のレベルで日本各地の人々が軍からスパイの嫌疑をかけられたと思うが、いかがか。

 皇軍が最優先に守るのは間違いなく臣民ではなく天皇であり、天皇制…すなわち「国体」であった。国体護持こそが大本営および皇軍の死命であり、それが敗色濃厚な状況下でも無謀な戦争を続けてしまった根本原因であった。したがって国体護持のためには最悪、天皇の臣民すべてが「一億玉砕」をも覚悟すべきであったのだ。

 問題の核心を掘り下げると、次の疑問に行きつくだろう。なぜ日本人の多くが、いつ、どのようにしてこのような考えに取りつかれてしまったのか…近代以降、徹底されていった「国民皆兵」「国民皆学」の下での軍隊と学校、そしてマスコミの果たした責任は、やはり極めて重大なのである。

 戦後80周年を期して放映されているNHKの朝ドラ「あんぱん」が執拗に描き出してきたのは決して主人公「のぶ」の教師としての戦争責任だけではあるまい。主人公が敗戦後、教職を辞して地方新聞の記者となった、というドラマの筋書きは多少のフィクションを交えてのものではあるが、それは敢えてNHKが学校とマスコミ双方の戦争責任を厳しく問い直すための設定でもあると考えるが、いかがか。

沖縄戦司令官の「辞世の句」は本当に「平和への願い」? 自衛隊が地元の反発を無

    視し、HP掲載を続ける理由は 東京新聞 2025.5.8

 このままでは沖縄の米軍基地を減らす代わりとして自衛隊基地を置き、中国の進出に対抗する動きは取れないままだろう。大多数の沖縄県民の理解が得られないからである。皇国史観に基づく旧日本軍の発想を未だに引き摺る自衛隊であるならば、決して沖縄県民の協力は期待できない。文民統制の理念にも違反しかねない辞世の句を自衛隊のHPに掲載し続ける自衛隊幹部の厚顔無恥さ、鈍感さに呆れるほかない。西田氏と同様の悪質さを感じるのは私だけではあるまい。

「ひめゆり発言」自民・西田参院議員 寄稿で「展示があったのは事実」と改めて主

    張 ABCTV NEWS 2025.6.1

 幹事長が党を代表してわざわざ謝罪を表明しているにもかかわらず、党の所属議員がそれを無視するかのようにふてぶてしくも問題発言を続ける。自民党はこのまま西田氏を放置していて良いのだろうか?

 西田氏が「事実」を主張したいのなら、その客観的な根拠を詳細に示すべきだろう。主観的であいまいな自分の記憶だけでひめゆりの展示を批判し続ける強弁を、自民党として許していいものなのか…党の規律が問われる。

「トラウマになっていることを痛切に感じた」自民・西田昌司議員“ひめゆり言”を

    謝罪「本当に耐え難い大きな苦しみの歴史」  FNNプライムオンライン  2025.5.9

 国会議員としての見識が根底から疑われるほどの勉強不足の人物が、いかにも得意げに根拠の疑わしい自説を展開し、批判されると開き直る…老害議員たちのレベルも地に堕ちたものだ。

 以下、6つの記事が西田発言を考える上で大いに参考となるだろう。

県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦から80年。ふたたび沖縄が要塞化”される

    今、「自分の街が戦場になる」とはどういうことか考える

    集英社オンライン 2025.06.04

米軍はなぜ沖縄をねらったのか…大本営に本土防衛の捨て石として利用された事実

    と米軍の作戦との乖離〈沖縄戦から80年〉 集英社オンライン 2025.06.19

「家畜を無断で食べる」「強盗」そして「強かん」…戦時中に一部の日本軍兵士たち

    が現地住民に犯した罪と罰〈沖縄戦から80年〉  集英社オンライン 2025.06.20

「アメリカが来たら手をあげなさいよ、そしたら助かるからね」と話した人が日本

    兵に殺された「一度米軍に捕まった者はスパイだ」と〈沖縄戦の住民虐殺〉

    集英社オンライン 2025.06.21

沖縄戦での日本軍の行動を美化しようとする政治家の発言の背景には「根拠がなく

    ても堂々と主張すれば騙せる」という“悪しきトレンド”がある

    集英社オンライン 2025.6.22

〈沖縄戦から80年〉国を守るとは? 沖縄戦では「天皇制国家」を守るために沖縄の

    人々と日本軍の兵士が、降伏することも捕虜になることも許されず死を強いられた

    という事実 集英社オンライン 2025.6.23

「国を守る」とは「国体・国の機構を守る」ことであって「国民を守る」ことではない…との指摘はこの問題を考える上で最も重要で本質的なポイントの一つだろう。

参考動画

【完全ノーカット映像】 “ひめゆり” は「歴史の書き換え」 自民党・西田昌司参院

    議員発言の真意は 【琉球放送】RBC NEWS 2025/05/09 42:08

    ただの切り抜きを元にした批判では説得力が無いので、教師としては一応、最後まで視聴しておくべきだろう。西田氏の論点はまず11月3日を現憲法の公布日としたのはアメリカの差し金である、という指摘が土台となっているが、これは本当だろうか。むしろ吉田茂らは公布日を敢えて明治節にすることで、まがりなりにも天皇制存続を実現したと国民にアピールしたかったのではあるまいか。こちらは西田氏の見方とは完全に真逆の結論を導くだろう。

    また教育勅語は日本の伝統の神髄であるかのように論じられているが、本当だろうか。たとえば9条改正に賛成であっても、「一旦、緩急あれば義勇、公に奉じ、以って天壌無窮の皇運に扶翼すべし」という文言を現代の学校教育にそのまま復活させることには抵抗感のある人が少なくないと思うがいかがだろう。

 さらに東京裁判がアメリカ主導で行われたものであることは明白だが、東條らが死刑となった一方で731部隊や天皇、岸信介、正力松太郎らは基本的に罪を問われなかった。これもまたこの裁判がきわめて片手落ちで偏向したものであったことを示している。特定の人々への免罪が日本の戦争に対する反省を不十分とした原因を創り出してしまったとも考えられるだろう。そうした視点からも、この裁判は厳しく批判されるべきである。

 皇統存続の危機は確かに皇室財産の削減と11の宮家を臣籍降下させたことにも起因するだろうが、そもそも明治期に膨れ上がった皇室の財産は、天皇の戦争責任が免除された分、相当程度まで削減されても仕方なかった…という論法は十分成り立つだろう。当時、国内外から天皇の戦争責任が厳しく追及されていた風潮を視野に入れて考えるべきである。

 マスコミや戦後教育、とりわけ沖縄があたかも共産主義に汚染されているかのような指摘もまたファクトチェックが必要だ。日本が共産主義化していたのならば、学校で「君が代」を国歌として存続させている側面を説明できない。確かに戦後の一時期、社会主義思想が隆盛となっていたのは事実である。しかし日本の戦後政治の実態はどちらかと言えば戦前、戦時中へのUターンが目立った。さもなくばA級戦犯容疑者であった岸信介や正力松太郎らが政治家として復帰し、戦後政治に重要な役割を果たせたわけがあるまい。安倍晋三政府の長期政権化も説明不可能な認識だ。

 ウクライナを悪者としてロシアを擁護する論点も絶望的にズレているだろう。ロシアはウクライナの前に日本への侵攻を計画していた可能性があるという報道もある。そもそもロシアの日本に対する領土的野心は対馬占領計画を含み、幕末まで遡る。また第二次世界大戦ではヤルタ秘密協定により、北方領土問題が生み出されている。当時、スターリンはカラフトや千島列島だけでなく、北海道や東北侵攻も視野に入れていたのではあるまいか。

 そもそもこれまでのプーチンの振る舞いを見ていたのならば、ロシアを擁護する論拠を見つけること自体、極めて難しいはずである。共産主義への脅威を大袈裟に取り上げて針小棒大に煽り、加害者でもあるはずのヤマトンチュがなぜか被害者面して沖縄での学校教育、とりわけ平和教育を「上から目線」でディスる…西田氏の論調はただの誹謗中傷であり、陰謀論そのものだろう。

独自・ノーカット】 "ひめゆり"は「歴史の書き換え」 自民党・西田昌司

    参院議員発言の真意は 琉球放送】RBC NEWS 2025/05/07 2:47

沖縄戦の女子学徒を慰霊するひめゆりの塔は「歴史の書き換え」 自民党・西田議員

    発言めぐり波紋 【琉球放送】RBC NEWS 2025/05/06 4:47

 討論のネタとしてはうってつけの動画。ぜひ、視聴させて議論に持っていきたい。

    もちろん西田氏が指摘するように、戦後日本におけるアメリカの悪しき影響力は学校教育などにも随所に見られた。それはたとえば、原爆に関するアメリカ軍が行った著作、報道への厳しい検定、監視など、歴史的事実の隠蔽や歪曲などとなって戦後まもなく表面化していた。

    戦後日本の新制高校がアメリカのハイスクールをモデルにして構想されていたように、日本の戦後改革は良くも悪くもアメリカの一方的な指導によるものが多かった。とりわけアメリカの占領下に置かれていた時代、憲法制定を中心に多くの政策にはアメリカの都合に合わせて強引に策定されていった側面があることは決して否めない。

    戦後80年、確かに日本はアメリカへの屈辱的な従属を見直すべきタイミングに来ているだろう。しかし、だからといってひめゆりの塔の資料館における展示がアメリカ側に寄り添う方向での「歴史の書き換え」と見なすのはいかがか。そこには沖縄の歴史と現状への認識に大きな欠落が感じられるがいかがだろう。

 とりわけ他の地域と違い、1972年までアメリカによって占領され続けた沖縄では、アメリカへの従属が長期期間に及んだため、当然のことながら生活・風俗の面にまでアメリカの強い影響が残存している。しかも現在、なお多くの米軍基地が沖縄に集中していることをも考え合わせると、沖縄におけるアメリカの影響力の強さを、あたかも沖縄県民の責任に帰するかのような西田氏の発言は、あまりにも皮相であり、決して許容できるものではあるまい。

 加えて薩摩による琉球侵攻や明治期の琉球処分など、いわゆるヤマトンチュによる弾圧と差別にさらされてきた沖縄の歴史をも考慮すれば、西田氏の発言は沖縄県民にとって許容できないレベルの暴言に過ぎない。しかも最近、リニューアルされたばかりのひめゆりの塔資料館を現地に居ながら訪れようともしていないほどに不勉強で不真面目な人物が、昔の訪問時の印象だけを元に「上から目線」の批判的な言動を弄した点も、軽率の誹りを免れまい。

 こうした言動はかえって多くの沖縄県民のヤマトンチュへの反感と不信を強めて日本の分断を招き、結果的に中国が付け入るスキを生み出し、習近平を利するだけではあるまいか。とても日本の国益を重視する右翼の立場とは思えない噴飯物の妄言であり、むしろ日本の国益を大いに損ねる言動、と評すべきだろう。

自民県連、西田昌司参院議員の発言に抗議へ

    沖縄タイムス公式動画チャンネル 2025/05/07 0:57

    当然のことながら、西田氏の発言に対して自民党沖縄県連もまた強く反発。

琉球新報と沖縄タイムスによる批判記事に反論する!歴史観の喪失は沖縄だけでな

    く日本全体の問題である!(西田昌司ビデオレター)

    西田昌司チャンネル 2025/05/07  19:36

    戦後、アメリカから押し付けられた側面を持っている現憲法を改正すべきなのは確かだろうが、どこをどのように改正すべきなのかは人によって相当異なるはずだ。現憲法に対する評価もまた一律ではない。

    西田氏はひたすら憲法の制定過程などを論拠に憲法改正を主張し、その文脈の中で戦後、沖縄における平和教育とひめゆりの塔の資料館の展示を批判しているようだ。しかし憲法改正の主張と沖縄の平和教育の在り方への批判とはいったん、切り分けて考えた方が良いだろう。どちらも相当根深くて複雑な経緯、問題を抱えている。

 双方の間に深い関連性があるのはもちろん事実である。しかし双方の問題をたかだか20年ほど前の資料館訪問時の個人的印象、主観を混ぜこぜにしていっしょくたに論じるのはあまりにも乱暴過ぎるのではないか。

 アメリカ軍は沖縄を日本軍の支配から解放し、沖縄に民主主義と平和をもたらした恩人である…といったような一面的過ぎる認識を沖縄県民の多くは持っていないだろう。むしろ沖縄を占領したアメリカ軍が「銃剣とブルドーザー」で強制的に住民から土地や家を奪い、基地を建設した事、アメリカ兵による住民への犯罪がやまない事…など、アメリカへの反発を持つ住民は少なくない。

 他方で日本軍によって避難先のガマから追い出されたり、スパイとして処刑されたり、集団死を迫られたり、鉄血勤皇隊やひめゆり部隊のように戦場へ動員されて犠牲となった住民も数多くいた。戦後は戦後で、出稼ぎに出た神戸や大阪、川崎などでナイチャーから差別されて嫌な思いをしたウチナーも少なくあるまい。

 沖縄県民からすればアメリカ、日本ともに醜悪な加害者としての同じような側面を隠しもっており、どちらに対しても県民は複雑微妙な感情を抱いているのだろう。少なくとも単純に日本軍を美化する、あるいは逆にアメリカ軍に感謝する、といった人々が沖縄県民の多数派だとは決して思えない。

 一方で西田氏は中国による尖閣などへの露骨な介入を断固、排除すべく、自衛隊基地を沖縄に増設したいとの考えをお持ちなのだろう。同時にひたすらアメリカに従属してきた戦後日本の現状を批判するあまり、旧日本軍や自衛隊を美化し過ぎてはいないだろうか。ヤマトンチュの視点からだけではなく、沖縄県民の立場から近代以降の日本の政治がどう見えていたのか…そうした沖縄に寄り添う視点を彼が十分に持てていたとは到底、思えないのだが。

 この動画も西田氏は醜い自己弁護と沖縄の報道機関への批判に終始しているが、彼の発言に沖縄県民の猛烈な反発を招いた部分があることは決して否定できまい。ただちに問題となった発言を撤回して沖縄県民に謝罪すべきである。

阿波根あずさの【沖縄ダークツーリズム】沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒隊の慰 

 霊碑「ひめゆりの塔」を圧倒的な情報量でわかりやすく解説します!

 沖縄観光/糸満2021/06/27 23:04

イラストに描かれた「ひめゆり」 あの戦争の臭い・湿気…届くか

 2021/05/13 毎日新聞 3:11

 リニューアルされた館内の様子が分かる貴重な動画。

【ミス沖縄と巡るひめゆり平和祈念資料館】沖縄戦を体験した10代のひめゆり学

 徒隊ミス沖縄のおきなわ観光TV 2021/06/04 14:35

 リニューアル後の展示を解説付で確認できる。

【沖縄戦】糸満・ふじ学徒隊と「ウッカーガマ」「糸洲第2病院壕」沖縄戦避難壕

 (ガマ)をまわる・・轟の壕の後編 2022/03/30 街歩きokinawa 15:07

 以下、ウィキペディアの記述などを要約

 ひめゆり学徒隊とは、1944年12月に沖縄県で日本軍が中心となって行った看護訓

練によって作られた女子学徒隊のうち、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の教師・生徒で構成されたものの名前。通称としてひめゆり部隊やひめゆり隊と呼ばれることもある。他に白梅学徒隊・なごらん学徒隊・瑞泉学徒隊・積徳学徒隊・悌梧学徒隊・宮古高女学徒隊・八重山高女学徒隊・八重農学徒隊の8つの学徒隊が存在。

 ヒマユリ学徒隊の母体となった沖縄県女子師範学校(女師/1943年4月に師範学校教育令の改正に伴って沖縄師範学校女子部へ改組)と沖縄県立第一高等女学校(一高女)は、設立当時の沖縄県の財政事情から併設校とされ、校長および一部の教師は兼任であった(西岡一義師範学校女子部長は一高校長)。そのため、校名は異なるものの、実質的には一つの学校に近いものであったという。

 名前の「ひめゆり」とは花の「ひめゆり」ではなく、沖縄県立第一高等女学校(一高女)の学校広報誌の名前「乙姫」と沖縄師範学校女子部の学校広報誌の名前「白百合」を併せて出来た「姫百合」という名称が由来である。元々は安里川にかかる粗末な橋から転落死した一高女生徒を悼み、昭和初期に安全な橋に掛け替えられた橋に「姫百合橋」と名付けられたことが起源で、1940年代には女師および一高女の学舎が「ひめゆり学舎」と呼ばれるなど、両校の通称として「姫百合」の名が定着していたようである。

 米軍の沖縄上陸を目前に控えた1945年3月23日、両校の女子生徒222人と引率教師18名の合計240名からなる学徒隊は、沖縄陸軍病院(通称・南風原陸軍病院)に看護要員として動員された。沖縄陸軍病院は沖縄守備軍(第32軍)の直轄で、本部、内科、外科、伝染病科に分かれており、40近くの横穴壕の土壁に2段ベッドを備え付けて患者を収容した。米軍が上陸して前線の負傷兵が増加するのに伴い、内科は第二外科に、伝染病科は第三外科に変更され、那覇近郊の一日橋、識名、知念半島近くの糸数に分室がおかれた。学徒隊は全員が分散配置された。

 しかし、敗色濃厚となった6月18日に突然解散命令が出され、翌日の6月19日をはじめとする約1週間の間に多数の犠牲を出した(死亡者のうち実に80%がこの間に集中している)。最終的には教師・学徒240人のうち136人が死亡。そのうちの10人(教師の平良松四郎と9名の生徒)は荒崎海岸で集団自決している(自決の強制性については論争あり)。また隣の洞窟でも米軍の銃乱射で3名が死亡、3名が重傷を負った。

 2004年現在、沖縄戦で亡くなった女師・一高女の人数の内訳は以下のとおりとされている。なお、<その他>は沖縄戦開始後に陸軍病院動員以外で亡くなった人(他の部隊に協力中、学徒隊への参加途上、家族と共に避難中など)を指す。

   理由         人数         累計

沖縄陸軍病院動員        136        136

対馬丸事件          1          137

弾薬輸送列車で爆死           2          139

その他                 80        219

対馬丸事件               1          220

その他                 6          226

 戦後、最大の犠牲を出した伊原第三外科壕跡に慰霊塔である「ひめゆりの塔」が建立された。これは、ひめゆり学徒隊を祀り、平和を願うものである。

沖縄戦、閲覧注意 鳥になった少女/山羊になった少女

 sanzoku san 2015/08/10 13:58

 「動画のなかで記したきっかけで、これは生まれました。インスピレーションから書いたもので、取材や、下調べをした物ではないので、フィクションとして理解してください。ただし、その後の調べで、現実から乖離した物ではない事も確認しました。自分は沖縄の人間ではありませんが、沖縄から沢山の物を貰った恩返しの気持ちも込めてUPさせて頂きました。UPのために、高校生の時からほっといたギターを取り出して練習しました。続編のBGMも自家製です。PS.内地人の自分は,ひめゆりと直接関係は無いと思っていたのですが、師を同じくする大先輩がひめゆりの美術教師をしていた事を知りました。また、ダイビングで偶然訪れた大渡海岸の崖下で戦時中の遺骨を回収する体験もしてしまいました。」と動画の解説欄にある。したがってこの作品は沖縄出身者ではない人が空想して作ったものであるらしい。

 しかし「なーんだフィクションなら、視聴するだけの価値は無い…」と作品を視聴する前からその価値を断じてしまって良いのだろうか?ここでは「島唄」に対する一部のウチナーンチュからの反発も踏まえつつ、こうしたフィクションが果たすプラスの役割についても考えてみたい。前半の悪臭漂うガマに潜伏する辛さに対する迫真の描写は臭いが記憶喚起力を刺激することも手伝って忘れがたい印象を残すだろう。

 なお、視聴する際にはBGMが邪魔になると感じられる箇所もあるかと思う。音は最初からカットしておいたほうが字幕に集中でき、より一層、想像力を刺激されるだろう。また場面の切り替わりが早すぎて字幕を読むのが間に合わない箇所がかなりある。設定をクリックして再生速度を「0.5」にしておくと良いだろう。標準の再生速度で「12分11秒」あたりで字幕は終了するのでそこで視聴を終わりにしても鑑賞上は何ら問題がない。個人的にはBGMや終わりの1分以上続く沖縄の風景をカットすればこの作品の文章、悪くはないし、多少なりとも迫真的な描写力を感じられるが、いかがか。18万回の視聴回数にはそれなりの理由がありそうである。

 ただし字幕には多少の間違いがあり、要注意。「ウグシク」は「グシク=グスク=

城」、「ユイグムイ」は「イユグムイ=魚の住む池=龍潭池」に訂正しておきたい。

 なお過去の沖縄修学旅行などでの写真・動画の蓄積があり、パワーポイントの操作にある程度の経験がある教師ならば、こうした作品をいくつか生徒たちとともに制作して次年度の事前学習の利用に供したり、文化祭などで発表することは十分に可能である。また修学旅行で訪れた戦跡や観光地の解説動画を生徒たちに作成させても良いだろう。その際にはグーグルマップなどの機能を駆使して距離や想定される移動時間、ストリートビューのスクリーンショットなどを利用すればたとえ自分たちの写真素材の蓄積が少なくともそれなりに臨場感のあるパワポ資料が出来るはず。生徒たちにとって生涯の記念となる作品ができるかもしれない。

 以下に紹介する「ひめゆりの願い」はかなり情緒的な内容でいかにも紙芝居的ストーリーではあるが、フィクションとしての総合的な完成度はそこそこ高く、曲自体は悪くない。人物の名前や髪型は今風のものだが、非常によく考えられ、工夫された動画であり、作詞作曲も悪くない。配信されてから10年以上経っても決して古びない確かなメッセージ性を秘めていると感じる。この動画作成に二人がどれだけの努力と工夫を要したかは以下に示した「祐太郎飯店の円卓」と称するブログによって推察できるが、ブログの記述内容の一部に多少の思想的違和感を感じるかもしれない。

※ブログ「祐太郎飯店の円卓」(2015.7.2「ひめゆり五周年感謝増刊」) 

 http://taxi-adam30.at.webry.info/2015...

ひめゆりの願い -Our memories of lily- YutaroHanten 

 2010/05/21 9:15

戦争からさらに遠くなった世代へ その記憶をつなぐために 「ひめゆり資料館」

 展示リニューアルの背景とは 2022/06/28 関西テレビNEWS 8:15

「ひめゆり看護隊/散華の海」糸満・荒崎海岸~魂魄の塔~ずいせんの塔~平和の

 創造の森公園~山城うりぐち・沖縄戦・ひめゆりの塔・ 2022/05/25 街歩き

 okinawa 21:59

沖縄戦を追体験…戦時中の「病院壕」の臭いを再現(NHK,QAB,RBC) 

 2015/01/23

 臭いの記憶喚起力を利用した興味深い試み。

戦世から80年 つなぐ記憶 「自分ごと」として継承に取り組む高校生

  (沖縄テレビ)2025/6/12 沖縄ニュースOTV 2025/06/13 8:20

    自分事として平和学習を成立させる上で必要なこととは何だろう。動画における首里高校の取り組みでイマイチ見えてこない側面がある。80年前の出来事に対して今の高校生が当事者としてどのように行動するのかを問うことは、確かに平和学習を自分事にする上で役立つ側面が少しはあるだろう。とは言え、この想定自体にリアリティが十分あるのか…しっかりと問い直してみたい。多くの場合、今の高校生に80年前の時代をリアルに想像できるほどの知識はまだ無いはずだ。

 この取り組みでイマイチ説得力に欠ける点は平和学習をあくまでも過去の出来事の学習に限定して捉えてしまう危険性にあるだろう。平和学習を高校生によりリアルな自分事として捉えてもらうには、過去の問題だけではなく、現在、沖縄が直面している問題をも同時に提起していく努力が欠かせないように思うのだが、いかがか。

 たとえば80年前の過去にタイムスリップさせ、アメリカ軍が本島に上陸してきた時に、「あなたならどうする?」と問うだけでは明らかに不十分だろう。続けて、仮に今、中国軍が台湾、尖閣諸島に侵攻してきた、さらには沖縄の各地に侵攻してきたとして、この事態を「あなたならどう受け止め、どう対処するか」をも問うべきではないのか。この二つの問いがセットとなって授業で提示された時に初めて高校生はリアルな自分事として沖縄の平和を考え始めることができるのではあるまいか。

[セリフ入りMAD] [cocoon~ある夏の少女たちより~] [W/X/Y]

    セナ 2025/05/16 4:33

【MAD】『 解 散 命 令 』「 cocoon~ある夏の少女たち~ 」×「 果たせぬ夢 」かた

    まゆ 2025/06/18  1:15

    上の二つの動画はジブリ出身のアニメーターが中心となって制作されており、様々な場面でジブリ風の描写が伺える。ひめゆり部隊を強く意識して制作されているが、残酷な場面は決してダイレクトに描かれておらず、象徴的な表現にとどめられている。あくまで視聴者の想像力に委ねる展開である。残酷な場面に抵抗感の強い生徒たちには比較的、受け入れやすい内容と手法であろう。解説が必要な箇所は多いので、教師側に知識がある程度は必要となるが、ぜひ授業で視聴させたい名作。

 ※参考記事

 少女たちがみた沖縄戦の地獄絵図……衝撃の戦争マンガ『cocoon』で描かれた“想像の繭というテ

  ーマ Real Sound ブック 2025.7.3

外国人さん「スタジオジブリ出身のアニメーターが作品を公開したぞ!」→なぜか

 大荒れしてしまう...【海外の反応】 ずんぴっく  2025/04/07  9:25

 動画視聴後、討論に持っていくなら、この動画が役立つかも。

 

 

㊹旭川市中学生凍死事件をめぐって

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・旭川イジメ事件

参考記事

旭川中2自殺、母親が市を提訴 いじめ対応巡り損害賠償請求

   共同通信 2025.2.16

   遺族として当然の提訴であるが、できれば第三者委員会での資料の漏洩も、プライバシー侵害などで刑事告発して欲しい。この件で資料漏洩が二度も起きていることは決して見過してはならない大問題。兵庫県知事に関わる件もまたプライバシー漏洩が生じており、今後、この問題を解決していく上で誰が漏洩したのか、はしっかりと司法の手で明らかにしてほしかった。また、現在、個人のプライバシーを漏洩した人物に対してどういう処罰を課すのか、司法側が一刻も早く明確な指針を示すべきタイミングであると思うが、いかがか。

人が人でなくなっていく教育現場:「旭川中2少女いじめ凍死事件」を生んだ現代

 の生徒指導の在り方と、教員の「働き方改革」の問題点

 集英社オンライン 2024.12.18

 …本来、生徒指導こそが教育者としての専門性が生かされる領域だろう。日々ともに過ごす生徒のニーズを最もよく知る現場教員ならではの、それぞれの状況に応じた判断があるはずだ。

 ゼロトレランスでのマニュアル化や、警察へのアウトソーシングは、教員が自分の専門性を放棄することを意味するのではないだろうか。…

 という鈴木氏の指摘をどう捉えたらよいだろう。日本の教師の最も専門性が発揮できるのは本当に生徒指導において、であろうか。仮にそうだとするならば、大学において教員免許取得に必要な講座の多くが生徒指導関係で占められていなければなるまい。また教員となってからの研修の多くも生徒指導関係であるべきだ。しかし、現状は全く異なるはずである。

 ある程度、大学でカウンセリングなどの講座を受けてきた私でも、高校での教育相談に当たれるほどの知識と経験は明らかに無かった。たかが数年、大学で学んだとしてもその能力は決して身につけられるものではあるまい。もちろん貧困家庭や虐待されて育った生徒たちへの対応はカウンセリングだけで済ませられるわけもなく、ソーシャルケースワーカーでなければ対応できない事例だって少なくないのだ。鈴木氏は現実の教師が実際に持つ専門性をあまりにも過大評価しているとしか思えない。

 実際には「日々ともに過ごす生徒のニーズを最もよく知る現場教員」など、ほとんど存在していない。大勢居る、と言い張る教員がいたとすればその人物はまさしく大風呂敷を広げた、ただの大ぼら吹きに過ぎないだろう。教師のほとんどが生徒指導に関して高度な専門知識などは持ちあわせていないし、生徒指導をするための前提となる基本的知識であるはずの子どもの権利条約すら、ほとんど知らないのが日本の教師の現状である。

 そんな教師たちに児童生徒の自己開示性が低いのは当たり前なのであり、生徒の本当のニーズを知る教員など、ほぼほぼ居るわけがない、と心得るべきなのだ。

 …ゼロトレランスでのマニュアル化や、警察へのアウトソーシングは、教員が自分の専門性を放棄することを意味するのではないだろうか。…という指摘のナンセンスさには呆れるしかない。毎年、何人もの生徒たちが逮捕され、鑑別所等に送られているような高校を「警察へのアウトソーシング」だと批判する資格が鈴木氏にあるとは到底、思えない。まさか鈴木氏に自殺未遂を繰り返す生徒をカウンセラーや精神科に送ることが教師の専門性を放棄する無責任な行為だ、などと難癖をつけるつもりまではないだろうが…

 実際に学校現場で数々の難しい問題に直面したことの無い人に限って、教職を聖職と見なして「スーパーマン」としての過大な専門性を普通の教師たちに期待しがちであるように思えるのだが、いかがか。鈴木氏は子どもたちが「心から「先生」と思える人との信頼関係を失うこと」を最も恐れているらしいが、これまでだって私たちが心から「先生」と思える教師は極めて少数だったはずである。公教育は何も今、滅び始めているわけではなく、とっくの昔に破綻しつつあった。その原因は決して教師たちが専門性を放棄したからではなく、もともと不十分だった専門性の上にさらなる膨大な業務と新規の専門性を教師たちがひたすら背負わされ続けてきた、過去の教育行政による非道で不当な歴史的経緯に求められるはずだ。

 たかだか6年余りの教職経験だけで教育の専門家と称する人がこれ以上、無責任なウソとホラをつき続けてもらわないで欲しい、というのが、この記事を読んだ率直な感想であり、鈴木氏のように、教師への過大な期待を持たせる一部の言論界の風潮こそが、膨大な仕事と背負いきれない責任を一方的に教師たちに課してきた元凶なのだと考えるが、いかがだろう。

旭川女子中学生凍死は「イジメではなく、性犯罪」…脅迫、強制わいせつ、殺人未

 遂など、小川泰平氏が罪名を想定 

 2021.8/21(土) YAHOO!ニュース16:32配信

旭川の女子中学生イジメ凍死事件、元校長の被害者への信じられない反応とは?小

 川泰平氏が直撃 2021.8/20(金) YAHOO!ニュース 20:30配信

加害・生徒と「親しい」と認識、いじめと認めず 中2死亡で旭川市教委

 朝日新聞社 2022/04/22 08:13

【速報】「子どもたちの"勇気ある声"無視した」旭川中学生いじめ 死亡の広瀬さん

 に校内でもいじめ疑い 6/21(火) 10:17配信 北海道ニュースUHB

「正直何も思ってなかった」自慰行為強要、わいせつ画像拡散のイジメ加害生徒ら

 を直撃【旭川14歳女子凍死】《遺族が手記を公開》

 2021年8月19日 11時0分 文春オンライン

加害者「学校立ち入り制限」でいじめは根絶できるか 危惧される教師の隠蔽体質

 とネット空間 日刊ゲンダイDIGITAL 2022.5.19

旭川中2女子凍死事件、ようやく「いじめ」認定「組織の隠ぺい体質に特効薬な

 し」 弁護士ドットコム 2022.04.27

旭川中2凍死 「市長直属で再調査」表明 市教委調査では不十分

 毎日新聞 2022.9.20

 今の今となってもいじめと死亡の因果関係については「いじめ事件がどの程度の割合で関与していたかまでは不明」として責任を回避しようとする旭川市教育委員会の頑なな姿勢にはもはや絶望的なものしか感じられない。そもそも黒蕨氏ら重い責任を負うべき人々がいまだに学校教育の世界に止まっていること自体、異常というほかあるまい。自浄能力の欠片すら感じられない。

 なお、2022.9.24、黒蕨氏はようやく本件の責任を感じて教育長を辞職することとなった。凍死事件から1年半も経ってからの辞職であった。この異常なまでの無恥厚顔さ、鈍感さ・・・今後は旭川市における学校や教育委員会側の硬直化しきった無責任極まる体制が一体何によって成立してきたのかを厳しく問うべきだろう。

「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思

 います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃《被害者母が悲痛告白》

 「文春オンライン」特集班 2022/09/24 18:33

《旭川14歳少女凍死》「ゆがんだ性知識を持つ生徒が野放しに」「彼女には希

 死念慮があった」ようやく開いた保護者会で学校と市教委が見せた当事者意識ゼ

 ロ”【音声データ入手】 「文春オンライン」特集班 2022.11.20

 廣瀬さんの自殺から1年半をとっくに過ぎた段階でようやくこの事件に関する2度目の説明会としての保護者会が当該中学校で開かれた。しかし教育委員会や学校側は第三者委員会の報告を楯にして自殺の原因とイジメとの関係性を不明とし、いまだに責任逃れを続けている。黒蕨氏一人が教育長を辞したものの、その隠蔽体質と無責任体質に変化はまったく見られない。

 実際、説明の仕方や内容には学校側の厚顔無恥な姿勢ばかりが突出していて誠実さや反省の色の欠片も見られないのだ。資料棒読みの国会答弁と同じで、これでは説明責任をまっとうに果たしたとは言えまい。自己保身の程度にも限度があろう。ほとんど呆れてものが言えない、というのが素直な感想である。

旭川いじめ 「加害生徒にも未来」発言教頭が否定

 テレ朝news -2022.11.22

池袋暴走事故遺族、殺害予告の女子中学生への「被害届」取り下げず 「私なりの

   唯一出来る愛の形」思いつづる J-CASTニュース 2024.12.8

   …松永さんが過去に公開した実際に送られたメールのスクリーンショットでは、女子生徒は松永さんに対し「完全に金目当てで草笑」「そんなに辛いなら私が変わりに殺してあげよっか?笑」などとしていた。

   松永さんは6日にXで、女子生徒の書類送検の報道について「『中学生相手に厳しすぎるのではないか』というご批判もいただきました」という。

   厳しい判断を下した理由について、「少年事件は大人の裁判や刑罰とは異なり、『少年の健全な成長』が目的とされます。今回の件も、彼女の精神的成長や救済につながる可能性が高い。そのため被害届は取り下げませんでした」と説明。

   その上で、「彼女がネット上でのトラブルを起こした事は今回の殺害予告だけではないそうです」と明かした。…

 悪質なネットによる誹謗中傷に対して被害者側はどのような対応をとるべきなのか、ぜひ議論を重ねたい記事。とりわけ加害者が中学生であった場合、その対応は一定の「教育的配慮」が要求されるため、様々な意見が出てくるだろう。結果的に書類送検となったことも考慮して意見を募りたい。

 特に旭川での女子中学生凍死事件における加害者側への対応と比較させてみると良いだろう。旭川の場合、最初に事件が表面化した女子生徒の入水事件の際に警察がイジメの存在をしっかりと確認したにも関わらず、多くは証拠不十分と見なして加害者の一人を厳重注意処分としただけであった。学校もまた加害者側への指導が極めて不十分であり、それがイジメの継続につながったと考えられている。

 ならば「教育的配慮」と呼ばれる対応が真の意味で教育的なのか、「教育的」とはどういうことなのか、旭川の件と併せて生徒たちに問い続けていきたい。

 …「私への殺害予告ならび、妻と娘へ向けた言葉は私の心からは消えません。だから取り下げません」と説明。その上で、こうメッセージを寄せた。

 「辛いこともあると思いますが、あなた以外の人たちも、画面の向こうにいる誰かも、みんな心と命がある人間です。適切な支援に繋がり、気づきを経て、あなたの人生がより良いものになるよう祈っています」…

 授業では以上の箇所を議論の後半で紹介すると、さらにその後の議論は深まるだろう。また旭川の事件への対応が本来はどうあるべきであったのかについても考えが深まるに違いない。

 

参考動画

ドキュメンタリー「告白~旭川中2女子いじめ問題~」(43分)2022年3月26日

 放送 2022/03/28 HBCニュース 北海道放送 44:15

徹底検証・旭川いじめ①学校はなぜ?【報道特集】

 TBS NEWS 2021/12/05 31:09

 旭川いじめ事件の全体像が見えてくる。

徹底検証・旭川いじめ②広がる衝撃【報道特集】

 TBS NEWS 2021/12/05 12:20

 ・・・繰り返されるイジメと隠蔽

【全音声3】「あのおぞましいものを見て涙が出た」「児童ポルノだ」Y中学校は保

 護者の声に本当に向き合ったのか?《旭川14歳少女イジメ凍死》

 文春オンライン2021/05/21

【旭川女子中学生いじめ凍死事件】ー文春も報じない旭川市立北星中学校 教職員

 の腐敗についてーYASU先生の学び場 2021/08/21

旭川中2女子凍死 市教委が緊急会見 真相解明どこまで?  

 HBCニュース 2021/08/30

旭川市の女子中学生いじめ疑いで遺族が「名誉棄損」を訴え SNS投稿を開示

 請求 HBCニュース 2021/09/16

旭川中2女子凍死 爽彩さん“肉声”が語るいじめの苦悩 2021年10月1日放送 

 HBCニュース 2021/10/01

旭川中2凍死 市長が“異例”言及「いじめと認識」(2021年10月29日)

 ANNnewsCH 2021/10/29

旭川・凍死の女子中学生 学校に「死にたい」と電話(2021年11月5日)

 ANNnewsCH 2021/11/05

川で見た娘の姿…母が語る胸中 旭川中2"いじめ疑い" 「何されたら」認められるの

 か 進まぬ調査に疑問 (21/11/05 19:45) 北海道ニュースUHB2021/11/05

【教育】いじめ防止法はなぜ機能不全に?隠ぺい&責任逃れの学校や教育委員会の

 課題は?子どもたちを守るために今必要なことを考える【EXIT】【いじめ探偵】|

 #アベプラ 2021/05/08

 

参考動画

【特集】旭川中2凍死 母親語る「何があったのか知りたい」

  2021年11月12日HBCニュース 11:09 

 ・・・これまでの経緯がまとめられている

旭川中2凍死 調査対象生徒と〝接触〟第三者委メンバー2人調査から除外(もう

 ひとホリ)2021年11月26日 HBC放送 2021/11/26 9:32

旭川いじめ凍死問題/学校教育委員会の隠蔽 事件の再調査求め100万人署名活動も

 妨害され…街録chあなたの人生、教えて下さい2021/11/28 36:20

旭川中2女子凍死…調査10か月 第三者委員会「いじめ」を認める (もうひとホ

 リ)2022年3月28日放送 HBCニュース 北海道放送 8:13

ドキュメンタリー「告白~旭川中2女子いじめ問題~」(43分)2022年3月26日

 放送 2022/03/28 HBCニュース 北海道放送 44:15

ギャラクシー賞受賞『空白~旭川いじめ問題 問われる社会~』2022年4月30日放

 送 2022/05/01 HBCニュース 北海道放送 47:03

旭川中2女子凍死 学校内でもいじめか アンケート調査に複数の生徒が回答 遺族

 側が市教委に説明求める 2022/06/21 HTB北海道ニュース 0:31 

【いじめ】田村淳「どう解決したかを評価基準に」なぜ隠ぺい体質?子どもの責任

 は親に?学校に?2022/08/17 ABEMA 変わる報道番組【公式】16:51

【旭川いじめ問題】SOSはなぜ届かなったのか 最終報告書を公表 自殺の背景

 は不明 STVニュース北海道 2022/09/20 11:44

 学校内でのイジメが認定されなかった点は大問題であろう。これこそが自殺とイジメとの因果関係を特定できなかった最大のポイントである。つまりこの結論は中学校側が校内でのイジメを見逃してきた事に加え、隠蔽してきたことの問題を第三者委員会が十分に追求できなかったという事だろう。

 そもそもこの事件が世論を賑わすまでに多くの時間が経過していた。しかも警察の

ような強制的捜査権のない委員会が調べられる事には最初から限界があったはず。裏を返すと闇の奥まで知っている学校内部の職員の情報提供がこれまでほとんど無かったということであり、強力な同調圧力を用いた組織ぐるみの隠蔽工作が行われていた可能性が高い。この地域の学校組織が持つ異様なまでの閉鎖性がうかがわれよう。

なぜ防げなかった?旭川いじめ問題…再三の訴えを放置 上司と部下の関係、そん

 たく、隠蔽は? HBCニュース 北海道放送 2022/10/05 9:09

 六稜会(北海道教育大学旭川分校の卒業生からなる団体で旭川市内の小中学校教師の多くが所属している)のメンバー同士による忖度、なれ合いといった旭川独特の教育村の風土が隠蔽体質の背景にあるようだ。しかしこうした特定大学卒業生からなる団体が教員人事をこれまで一定程度左右してきたことは多かれ少なかれ全国各地で見られた現象である。それだけでは旭川特有というほどのものではないだろうが、わずか一つの大学が教員の供給をほぼ独占しているという過激な状態は確かに珍しいケースかもしれない。

 いずれにせよ大学における教員養成や教育委員会による教員採用の在り方においては旭川に限らず大きな問題があるといえよう。なお、第三者委員会の報告書に不十分さを感じた旭川市長が新たな第三者委員会の設置を決めている。中心となるのは大津

のイジメ事件でも活躍した「尾木ママ」こと尾木直樹氏とされるようで、今回はかなり期待できそうだ。

参考記事

旭川いじめ加害者扱い、投稿者に賠償命令

 共同通信社 によるストーリー 2023.6.7

 ネット上での公開処刑のような投稿が相次いでしまった原因の一つに当該中学校と旭川市教育委員会の隠蔽、対応の遅さ等の問題があったと考えられる。それが無関係な生徒への被害拡大を招いたとするならば、中学校側と教育委員会の責任が厳しく問われるべきだろう。

旭川いじめ防止条例を可決 中2凍死巡り、即日施行へ

 共同通信社 によるストーリー 2023.6.30

“女子中学生凍死”を受け 旭川市がいじめ相談ダイヤルを開設 いじめ防止条例案も公

 表 HTB北海道ニュース によるストーリー 2023.6.9

 学校側の隠蔽を明確に禁止し、隠蔽への罰則規定を設ける条文は条例案の中にあるのだろうか。いつものように表面的な対症療法に終始し、きれいごとの努力義務ばかりが並んでいるとしたら効果は期待薄。そもそもあれだけ全国に衝撃を与えた大津イジメ事件の反省すら周知されず、せっかく制定されたいじめ防止対策推進法などをまったく指導に生かすことが出来なかった日本の学校現場の深刻なゆがみ、本質的問題点をあまりにも甘く見過ぎてはいないか。その暗部の多くを見逃してはいないか。

 本質的な問題は上意下達に走る教育行政や教育委員会の在り方、学校管理職の人事や資質、ブラック化した職場、旧態依然の学校風土、穴だらけの教員養成と無駄だらけの教員研修などに求められるはず。それらの改革を棚上げしておいて、このような形で行政府による教育への政治介入ばかりが強まってしまえば今後、取り返しのつかない事態をも招きかねないだろう。

 本来、改革の主体はあくまでも教育行政でなければなるまい。しかし残念ながら肝心の教育行政本体が機能不全に陥っており、自浄能力までも失ってきている。従って徹底的に攻め込むべき本丸は現状維持ばかりを目指す日本の教育行政、教育法制全体である。これは政府と国会が責任を負うべき国政レベルの課題。地方行政で何とかなるレベルの問題ではない。もちろん旭川の取り組みは地方行政レベルでできる努力として旭川市民の立場からは一定程度、評価すべきであるが、国民としては真の敵を見失うことがあってはならない。

旭川中2自殺は「いじめが主原因の可能性高い」 市の再調査委員会

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.30

旭川の中2、自殺直前まで「こわい」「死」投稿4000件…市再調査委が解

 析 読売新聞 によるストーリー 2024.7.1

旭川いじめ再調査 自殺との関係認定 異例の公表、背景に黒塗り流出

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.1

 ようやくまともな報告書が出てきそうである。一体、ここまで来るのにどのくらいの歳月を費やしてしまったのか、考えるだけでも辛くなる。第三者委員会の報告書等の二度に及ぶ流出など、さんざん事態をこじらせ、隠蔽と責任逃れを目論んできた教育委員会や教師たちへの厳しい対応が待たれる。

 注目すべきは中学校1年生の段階でのクラスにおけるイジメがしっかりと確認されたことだろう。その結果としてクラスに居辛くなった廣瀬さんが、居場所を求めて他のクラスや他校の生徒たちとつながるようになり、その新たな人間関係の中でさらに激しいイジメを受けるようになったという経緯が確認されたことは大きい。すなわち廣瀬さんへのイジメに対する認識をまったく欠いていた当時のクラス担任、学年主任、教頭、校長、市教委の責任の重さが明確となったわけである。

 報告書等の流出が相次ぐという異常事態を受けて再調査委員会が報告書を旭川市に提出することをためらった点も大いに注目すべきだろう。かつての第三者委員会の資料が二度も流出するという、ありえないレベルの歴史的大失態を演じ続けた旭川市および市教委への信頼はもはや完全に地に堕ちてしまった。再調査委員会の今回の措置はむしろ歴史的「英断」と評すべきだろう。

 記者会見で尾木委員長がこうした事案を詳細に調べれば調べるほど、同様の事態がいつどこで発生してもおかしくはない、と述べていた事も強く印象に残る。この件に関しても日本の学校教育のあり方が根本的に問われていると見て良い。なお会見での尾木氏の発言に関して不満があるとすれば、学校や教育行政のあり方への批判がイマイチ鋭さに欠けていた点であろうか。一般教師たちの委縮を恐れるあまり、やや当時の教師たちを庇い過ぎている傾向を感じたのは私だけではあるまい。

 今に始まったことではないが、日本の学校ではそもそも教師間でイジメが横行し、管理職によるパワハラ、セクハラも決して珍しい事ではない。ある学校では発達障害を持つ特定の教師を集団でイジメていたし、管理職もイジメ行為に絡んでいた。このような無様な状況が蔓延している多くの学校では生徒たちのイジメ問題に対して有効な対応は到底、期待できないであろう。尾木氏はどうやら近年の学校が置かれている悲惨な状況への理解がイマイチ不足しているように感じられたが、いかがだろう。

 事件の再発を防ぐために取り組むべき対策が広く検討され、報告書の最後に詳述されているらしい。早く報告書の全体を確認したい。また旭川市、市教委側の情報漏洩に対するしっかりとした対策が今度こそ、間違いなく施されるのを期待したい。どう見ても三度目の失態は決して許されない。

 ※参考記事

  “任意”のいじめ調査には限界も。学校関係者も含まれる「調査委員会」の問題点と事実認定の3

   原則を元調査委員が解説 FNNプライムオンライン によるストーリー  2023.10.26

   刑事事件として警察が捜査に乗り出した場合にはその捜査には強制力が働き、ある程度までは証

   言や証拠を集める事が出来る。しかし「イジメ」の重大事態として調査委員会(教育関係者が加

   わる可能性あり)や第三者委員会が調査に乗り出したとしてもその調査に協力するか否かはあく

   までも任意とされる。このため証言や証拠を提出することを拒否されてしまうケースでは調査が

   先に進まなくなることも起こりうる。

    こうした場合には被害者側が刑事・民事事件として警察及び裁判所に訴え出ないと埒が明かな

   い。加害者の特定やイジメの事実確認自体が困難なケースは少なくあるまい。「教育的配慮」の

   名のもとに加害者側の人権だけが守られ、被害者側が泣き寝入りする印象がこの問題には常にま

   といつく。しかしその背景に教師や教育委員会の調査がどうしても不十分になってしまう、法的

   な限界があることは予め知っておかねばなるまい。

旭川いじめ 「やっと答えがでた」再調査委の結果受け母が思い語る

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.2

 ようやく遺族の気持ちとしては一段落したようだが、事件としては決して終わっていない。イジメ問題に対してまともな対応ができずに廣瀬さんをみすみす死なせてしまった当時の校長や教頭、担任、教育長たちへの処分はこれからである。また第三委員会の報告書を流出させた張本人が特定できていない。こちらは明らかに刑事罰の対象であり、犯人を特定して裁く必要がある。

 本件は大津のイジメ事件とほぼ同じレベルで世間を震撼させた大事件であり、大津の事件が新しい法律を生み出したように、旭川の事件もまたSNSや性加害、秘密漏洩への対応を巡る新しい制度や規制を生み出すはずである。イジメ問題対策を一層、充実させるための新しい工夫、改革が全国的に必要とされている今、今回の教訓を教育行政がどのように生かしていけるのか、期待薄ながら注目していきたい。

 

・報告書流出問題

旭川いじめ「黒塗りない報告書」流出疑惑 小川泰平氏が懸念「指紋など証拠の採取

 は行っているのか?」 デイリースポーツ によるストーリー 2023.10.13

 この件に関しては早くから繰り返し発言してきた小川氏が指摘するように故人への尊厳を踏みにじるような、極めて悪質な人権侵害が事件後も旭川で続発してきた流れの中で捉えるべき事案であろう。特に今回の漏洩事件は断じて許されないレベルの悪質さを感じるとともにこの事件の底知れぬ闇の深さを痛感させるものとなっている。

 この犯罪的行為が実行できるのは被害者の関係者以外では、政府、北海道教育委員会、旧第三者委員会、旭川市教育委員会しか考えられないという。被害者の関係者が黒塗りしていないプライベートにかかわる極秘資料を自ら旭川市議宅に投函する可能性は極めて低いだろう。肝心の動機が見当たらない。政府や北海道教育委員会もわざわざそんなことをする動機はほぼ無いと見てよい。そもそも守秘義務違反にあたる危険な行為を敢えて行う動機がこれらの関係者にあるとはどうしても思えない。

 したがってこれまでのこの事件の極めて残念な経緯からすればこれは尾木直樹氏が主導する再調査委員会の報告が出る前に、事件の責任者たちへの追及をかく乱し、イメージ操作しようと画策した旭川市内の者の犯罪的行為と必然的に推理されるだろう。すなわち旧第三者委員会か旭川教育委員会に属する者の犯行の可能性が極めて高いということだ。これらの組織はこれまでも事件の誤魔化し、隠蔽に深く関わってきた張本人たちと深いつながりのある人たちが含まれているとハナから疑ってかかった方が正しいだろう。つまりこの一連の行為は被害者遺族への脅迫的意図を持って行われている可能性があると推察する。

 さらに特定の旭川市議宅に投函した動機が疑われる。この市議がさらなる資料の漏洩に関わっていないか、捜査する必要も当然、あるだろう。市議に何を期待して投函したかが疑われるからである。

 以上のようなことから小川氏は今回の犯人を探し出す上で欠かせない証拠となる流出書類の指紋採取を行ったかどうか、警察に確認すべきだと指摘されているのだと思われる。

旭川いじめ、報告書流出か 遺族側要望で市教委調査

 共同通信社 によるストーリー 2023.10.6

 第三者委員会の資料が流出したものと思われる。驚愕の人権侵害が放置されてきたこの事件の闇は深い。

旭川いじめ、告発見送り 報告書流出、証拠得られず

 共同通信社 によるストーリー  2023.11.24

 事件の隠蔽に加担してきた市教委が報告書の流出に関して証拠が発見できず、告発を取りやめるらしい。常識的に考えれば限りなく犯人に近い市教委から自らの犯罪を証明するような物証が快く提出されるわけはあるまい。

 この組織がいつから信頼されるに足る組織として再生したのか、ほとんど知る由もない市民はこの報道に対して一体、どのような反応ができるというのか。私たちはまず、公教育の闇の深さを知るべきなのである。

旭川市教育委員会「いじめなし」 市長にずさんな報告

   共同通信 によるストーリー 2024.2.11

 学校と市教委がグルになって事件を隠蔽しようとしていたことがこれで一層明白になった。イジメグループ以上に厳罰に処すべき人々は隠蔽に関与したすべての教師たちであることも明白だろう。

旭川いじめ 中2女子死亡 黒塗りなし最終報告書がネット上に流出か

 日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.6.26

 いよいよ旭川市の学校教育界の闇深さが露呈してきている。旧第三者委員会がまとめた最終報告書とみられる文書がインターネット上に流出し、黒塗りされていたはずの部分が閲覧できる状態になっている件である。この事態に対してサイトの運営者は、公開の目的について「「爽彩さんが、何に悲しみ、苦しんでいたのかを、社会に、正しく理解して貰(もら)うため」…「黒塗りだらけの報告書によって、謂(いわ)れのない誹謗(ひぼう)中傷(いじめ)を受け続けている方々(主に教師たち)の汚名を少しでも晴らすこと」などと主張しているらしい。

 どういう内容の文書がネット上にさらされてしまったのかは私自身、確認できていない。しかし教育委員会が結成させた第三者委員会がかつてイジメと自殺との因果関係を確定できないとの結論を出しているように、かなり怪しいメンバーから構成されていたことは既に明らかである。このためもう一度、まったく新しいメンバーで市長が中心となって再調査委員会が編成され、尾木直樹氏を中心に再び調査が行われるに至った経緯を考えると、「晒し」サイトの運営者がどういう立場の人物なのか、おおよその察しはつくだろう。

 黒塗りの箇所を世間に公開し、イジメ被害者とその遺族のプライバシーを違法にも晒すことでもっぱら傷つくのは明らかに遺族の側であり、「謂れのない誹謗中傷を受け続けている方々」=名指しで批判された当時のクラス担任、教頭、校長、旭川市の教育長、教育委員会ではあるまい。これらの皆様方は報告書の「晒し」が自己保身と名誉回復にはつながるものの、一切、自分たちが傷つくことは無い内容なのだとあらかじめ分かっていたに違いあるまい。

 そもそも旧第三者員会のメンバーはそういう立場の方々であり、その報告書もそうした方向性を持って作成されていたのだろう。そして亡くなってしまった被害者の尊厳はこの「晒し」行為によってもはや回復不能なほどまで深く傷つけられたと推察できる。まさに「死人に口無し」であり、今回の晒しは「死者に鞭打つ」行為であり、決して許せるレベルのものではあるまい。

 私としてはこれまでの経緯から再調査委員会の報告書が提出される前に、世論を自分たちの都合の良い方向に誘導すべく、今回の「晒し」が行われたものと推測するが、いかがか。しかし仮にそうだとしたらこの行為はおそらくヤバイほどの墓穴を掘ってしまっている。黒塗りされていない報告書を持つ者は限られているからであり、犯人の特定はさほど難しくあるまい。かつて同様の報告書が市会議員に流出した件があった。そのあたりからも今回は犯人を特定できる可能性がある。

 「謂れの無い誹謗中傷を受けている方々の汚名を晴らす」という大義名分を掲げていかにも公益通報を装った今回の晒し行為は、明らかに守秘義務違反であり、プライバシーの深刻な侵害でもある。遺族及びその支援者側は犯人の逮捕のためにぜひ、立ち上がってほしい。旭川警察もまた二度に及ぶ悪質な情報漏洩とプライバシーの侵害に対してさらに真剣に向き合うべきだろう。誰がどう見てもこんなことが繰り返されるような町で、治安がまともに守れるとは思えまい。

旭川いじめ ネット上の「調査報告書」はたたき台か、流出元調査へ

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.26

 どうやら流出元は旧第三者委員会のメンバーが疑わしいようだ。実際にネットに晒したのはイジメ撲滅を謳う、ある「市民」団体だという。流出元に遺族を疑う、とする妙にうがった見方もあるというから実に驚きだ。

 遺族の意向で非公表とされた内容なのに、敢えて遺族がネット上に自らのプライバシーを公開すると考える側の神経こそ、きわめて疑わしくも嘆かわしい。またイジメ撲滅を謳う「市民」団体が遺族をさらに苦しめるはずのネットでのこうした「晒し」行為を行う…一体、旭川「市民」はどこまで錯乱しているのだろう。

 いまだに当時の中学校関係者からは公益通報としての内部告発がまったく見られない一方で、公益通報を騙るネット上の晒し行為が平然と行われてしまう旭川市という町の現状に慄然とする。「市民」ではない外部の人間からすれば旭川市の学校教育はもはや「完全に終わってしまっている」ように見えるのだが、いかがだろう。こんなテイタラクでは一度失われてしまった教育行政への「市民」の信頼回復は限りなく不可能に近いと言って良いのではあるまいか。

旭川いじめ 黒塗りない「報告書」流出、市教委が刑事訴追に向け調整

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.7.3

 ネット上での晒し行為などで被害者や遺族のプライバシーがこれほど酷く、かつ執拗に脅かされ続けたイジメ事件は過去、一度も無かったと思うが、いかがだろう。

 もちろん今回も加害者とされた生徒たちのプライバシーが他方で暴かれてはいる。しかしそちらは大津イジメ事件での加害者たちへのネット民による晒し行為と同じく、匿名性が高くて私的リンチに近い点で報告書流出問題とは全く性質が異なる案件である。

 一方、報告書の流出は第三者委員会のメンバーか、報告書の管理に当たっていた教育委員会、もしくは旭川市役所の人間の関与が明らかに濃厚であり、ふてぶてしいほどにその匿名性は低い。つまり、こちらは明白に組織的で計画的である。結果的にではあるかもしれないが二人の市議までが関わる、公的な権力、影響力を悪用した、遺族に対するあからさまな脅迫行為というほかあるまい。つまり前代未聞の、悪質で卑劣極まる犯罪行為そのものだと捉えられる。

 したがって元来、信用できそうもない市教委が刑事訴追の主体となるのは、あまり好ましくはないだろう。これまでの経緯から見て流出の犯人が教育長以下、市教委のメンバーであることも十分考えられるからだ。ここはもう市や教育委員会に一切忖度せずに遺族が主体となって裁判に持っていく方が、事件の全容解明により近づけるのではあるまいか。

『聲の形』は不快になるのが前提の映画? 拒否反応が出た理由と作中の回答とは

 マグミクス ヒナタカ の意見 2024.8.16

 「イジメ」をめぐる深い考察は大いに参考となるだろう。特に「鏡の孤城」との対比は鋭い。イジメ加害者側にも寄り添う観点はどうしてもこの手の事件では欠失しがちになる。加害者である彼らを永久に許さない…という硬直した正義感はやはり社会全体にイジメの連鎖を生み出しかねない恐ろしさを持っているだろう。

旭川中2自殺 遺族「いじめはどこでも起きる」 再調査報告書公表

 毎日新聞 によるストーリー 2024.9.13

 残念ながら市長は再調査報告書の公表をもってこの闇深い事件に極めて大きな闇を残したまま姑息にも終止符を打とうとしているようだ。なぜならば報告書の流出という重大な事件についての言及が市長や新聞等の記事に、一切、見られないからである。報告書の流出は明らかに被害者側のプライバシーに対する深刻な侵害であり、この重大な犯罪に関わったと推察されるのは、当時の状況からすれば報告書を管理していた市役所の人間か、教育委員会、第三者委員会のメンバーにほぼ限定される。

 これだけの重大事件に対して明らかな落ち度と責任のある市や教育委員会側が、警察とも緊密に連携してイジメ事件の実態解明とは別個にあらためて報告書流出事件の真相解明を進める。これは市民からの信頼を回復する上でも当然の責務だろう。

 しかし市長及びマスコミすらそのことに言及しないのはまず報告書流出の真相解明に対する市長の意欲が極めて低く、加えてマスコミがただの「マスゴミ」だからだ、としか言いようがあるまい。裏側には事件隠蔽に向けて教育委員会側の市長への強力な働きかけがあったのかもしれない。少なくともそう勘繰りたくなるほどに一刻も早く事件の幕引きを図ろうとする意志が市長のコメントからは漂ってくる。

 この事件に対する市民の動きの鈍さにも知事のパワハラ問題で揺れる兵庫県と同様に不信感が募る。もしかすると民主主義の土台たる国民主権が長い間おざなりにされてきた、その結果として民主主義が機能する上で欠かせないはずの主権者としての当事者意識がついに日本国民から少しづつ失われてきている、ということなのかもしれない。

 だとすれば長年かけて国政への当事者意識を国民から奪うことに専念してきた日本の学校教育の在り方にこうした事態を招いた責任の過半はあると考えられる。とりわけ暗記中心の正解主義、一斉講義形式の授業を続け、児童生徒をひたすら受け身に終始させてきた社会科教育の責任は極めて重いに違いない。生徒たちの主体性の回復につながる授業のあり方としてアンケートを多用する討論型の授業機会を拡充するような授業改革が急がれるだろう。

旭川市がいじめ再発防止策 精神科医活用や性教育推進

   共同通信 2024.12.6

   この事件はただ単に表面的なイジメ再発防止策を打ち出せればアッサリと終止符を打てるような、軽く受け流せる程度の案件ではなかったはず。兵庫県の内部通報をめぐる騒動でも見られた個人のプライベート情報の流出自体が、個人のプライベートを覗く特権を悪用するという極めて陰質なパワハラ、イジメであり、重大で凶悪な犯罪そのものであるだろう。今後、同様の事件を防止する上で、この件は決して看過してはならないないと考えるが、いかがか。

 旭川市は門外不出のプライベート資料を二度も流出させてしまったという深刻な問題の解明をこそ急ぐべきだろう。そもそもこれができていないような段階で、旭川でのイジメ再発防止など決して謳ってはならないし、今後ともイジメ防止など一切期待できないのだ。個人情報流出こそがこの事件における核心であり、事件の質の悪さ、闇深さを物語る、被害者側への最悪の社会的イジメであったからであり、生徒の自殺もまた性的画像等の流出が大きな要因であったことは誰もが否定できないはず。

 旭川の場合、旧第三者委員会のメンバー、ないしはその保管にあたった人物が情報流出の片棒を担いだと容易に推察できる。なぜこれまでの長期間、情報流出に関わった人物をいまだに特定できないままなのか、なぜ、旭川は情報流出の解明抜きでこうもやすやすとイジメ再発防止を謳うことが出来るのか、その理由を明らかにしない限り、私たちはまたもや旭川市による悪質な隠蔽を疑うのみである。

 したがってこの件に関しては、情報流出の件のみをターゲットとした、教育委員会のみならず、市からも独立する、完全な第三者からなる調査機関の新たな設置が待たれる。場合によっては政府が直接、旭川に乗り込むことも有り、ではないのか。この問題の深刻さ、重大さを考えればその程度の意気込みが国にあっても良いと思うが…

 

参考動画

「旭川女子中学生いじめ凍死」問題 調査報告書の非公表部分がネットに流出か 

 サイト運営者が取材に答える HTB北海道ニュース  2024/06/26  4:51

旭川中2女子凍死 「いじめ被害なければ自殺起きなかった」再調査委が因果関係認

 める FNNプライムオンライン 2024/06/30 1:34

旭川いじめ凍死 黒塗りなしで文書公開した問題 遺族側が流出元の団体と代表者

 を刑事告訴するよう求める HTB北海道ニュース  2024/06/28  0:52

 いよいよ事態は急転し始めた。旭川市教委は神奈川のサイト運営者を刑事告発するかもしれない。さらにこのサイトに黒塗りしていない報告書を送った人物も、分かり次第、刑事告発すべきだろう。ただし、例の通り、市教委が必ずしも信用できるとは限らない。むしろ告発する、という大義名分のもと、改ざん、隠蔽すべき資料を探し出し、証拠隠滅を図る可能性の方がはるかに高いのではあるまいか。

 いざとなったら遺族、および支援者が主体となって彼らを刑事告発、さらに民事訴訟に訴える事態も予想される。報告書の流出という前代未聞の不祥事を引き起こした旧第三者委員会の組織としてのあり方、報告書の所在の確認、保管状況に不備が無かったのかも、改めて厳しく検証されるべきであろう。

 ここまで事態をこじらせてしまった当時の学校の管理職、教育委員会の責任もまた極めて重大であり、追って何らかの重い処罰が課されるべきだと考える。

その1.この世界はイリュージョン?

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

  

   今回の記事はこれまでに私が試みてきた中で最も反響が大きかった、それなりに実

績のあるネタになります。通常は「現代社会」や「倫理」の最初の授業で使ってきたとっておきのネタです。特に女生徒の受けは抜群。「こんな社会科の授業、受けたことがなかった!」「どんな展開になるのかワクワクした」などと授業後、興奮しながらワザワザ私の所まで感想を言いに来る生徒達もいました。導入の仕方にもよりますが、上手くいった時にはまるで手品でも見るかのように目を丸くして生徒達は錯視画像などに見入ることになります。難しい理屈は後に回し、まずはパワーポイントなどを使って錯覚体験させてください。ただし最初の口上は当然、重要です。どのような口上にするのかは置かれている状況によってかなり異なるでしょう。実は私も一度だけうっかり口上をサボってしまい、授業全体が惨めな空振りに終わってしまった経験が一、二度あります。注意すべきは「社会科」であるにも関わらず、「理科」的な教材を扱う点。社会科の授業で錯覚を生徒に体験してもらうには、それなりの理由を予め簡単に説明できなければなりません。どんな口上が良いのか、是非、皆さんも考えてみてください。

 錯覚体験の目的は大雑把に言って以下のように整理できると考えております。

 

錯覚体験の意義とは?

・視覚における不思議体験を通じて脳の巧妙な働きに気付いていく

・物事の認識の土台となる感覚、知覚、認知の仕組みのメカニズムを知る

・知覚、認知のバイアスを知り、自分の判断の誤り、偏りに気付く

・ヒトの心、意識の働きを知る=ヒトの行動や学習に関する基礎知識を得る特に無意識的に働く脳のメカニズムを知ることでヒトの心の身体性に注目させる

→認知行動療法やマインドフルネスの理解へ、さらにはVR技術やAIとロボットの問題などにつなげていくことも視野に入れる

 

 以上で記した錯覚体験の意義は、これ以降ご紹介していきますいくつかの心理ネタを通じて最終的に理解できるように展開を組立ててきました。したがってこのネタを最後まできちんと展開しようとするならば合わせて授業時数で10時間程度は必要となるはずです。ただしほとんどの場合、そこまでやる必要は無いでしょう。あくまで導入として4月当初の2~3時間ほど当てることができれば十分だと思います。その場合にはこの理系ネタを社会科の授業で扱う理由として以下の二点を生徒に説明できれば宜しいかと考えます。

 

・今や教科や学問の狭い枠を超えた技術や知識が広く要求される時代

 →コンバージェンス(融合)の時代:「2030年すべてが加速する世界に備え 

  よ」(P.ディアマンディス、S.コトラー 2020年 ニューズピッックス)より

・心理学は文系と理系をつなぐ領域をカバーする学際的学問の一つ

 →すべての人が学んでも損はしない・・・行動経済学の発展とノーベル賞

 

 授業の導入として最初に以下の3つの実験をやってみます。

1.ブラインドスポット(盲点)…この世界、実は穴が開いています

 ①視覚障がい者の有無を事前に確認(色覚障害も)

 ②右目で行う場合は右手の親指に円形の色付きシール(色は目立つ色が好ましい。

  直径5~8mm程度のものを事前に配布)を親指の爪の真ん中に貼らせる。丸い

  色付きシールは百均、文具店などで大量かつ安価に購入可能。

  以下、右目で行う手順で説明(左目で行う人は左右の指示を逆に)。

 ③左目を左手でふさぐ。

 ④親指を立てさせ(「Good!」のポーズ)、右手を水平の高さでまっすぐ前方

  に伸ばす。左目は実験の最後までふさいだまま

 ⑤右目をまっすぐ前方に向けたまま、右腕を右方向、水平にゆっくりと動かしてい

  く。手の動きを目が追わないよう、右手の高さが上下しないよう繰り返し注意

  る。右に10cmを越えたくらい…親指に貼ったシールが視野から消えたところで

  一旦、腕の動きを止まらせる。そこからまたゆっくりとシールが再確認できる位

  置まで右腕を右方向に動かしていく。

 ⑥右目をまっすぐ前方に向けたまま、右手を下におろし、シールが消えた視野の領

  域に果たして「穴」が開いて見えるのか、しっかり確認させる。

 ⑦腕を下した時、視野に欠損があることを私たちはなぜ視認できないのか、その理

  由について考えてみる。

 

 目は外界から入ってくる様々な光刺激を網膜内の沢山の視細胞が各々分担(明暗、色、形状など)しつつ受け取り、それを電気刺激に変換して脳の視覚中枢などへ送り届けている。網膜は眼球の奥にあたかも曲面上のスクリーンとして張り巡らされ、外界を写し取っているが、実はスクリーンの一か所、光刺激を感受できない小さな「穴」(視神経乳頭)が網膜の中央近くに開いている。そのスポットでは光刺激を受け取った視細胞たちが情報を脳に送るため、一本一本は極細の、いわば「電線」のような組織が網膜の表面に集結し、大きな束を形成して網膜内の「穴」を通じて脳に向かう形で「配線」「送電」されているのだ。このため「穴」自体には配線の束しか存在しておらず、光刺激を感受できないので当然ながら視野にも相応の「穴」が開いていることになる。しかし不思議なことに私たちは片目で見ていても視野に「穴」が開いていることを認識できない。本来あるはずの視界の「穴」は視野の欠損を嫌う脳がいつの間にかブラインドスポットの周囲の色素材を使って瞬時に「穴埋め」「補填」をしてしまっているようなのだ。この実験の最大のポイントは脳が瞬時に、かつ自動的に視野の穴を補填してしまうこと、しかも私たちはそれすらまったく自覚することができない…という事実に気付かせる点にある。もしかしたら私たちが見ている世界はその多くが私たちの創り出した世界、仮想現実そのものなのかもしれない

 意識できないほどの爆速で働き続ける、深遠なる脳の機能を知るための巧妙な工夫の一つがこのブラインドスポット実験。

 

2.「薬指のクーデター」実験…身体感覚の錯覚

 実験を体験したい人を男女別で各2人ないしは4人募り、男女別にそれぞれ二人一組のグループに分ける。体験したい人が多い場合でもとりあえず男女各2組までに制限する。体験できなかった人は授業中でなくとも休憩時間など、後で短時間かつ簡単にできるので授業中はしっかりと実験を観察して手順を覚えてもらい、自分たちだけで休み時間にやってみるように指示する。

①   体験しない生徒たちは自席から立ってなるべく観察できる場所に移動し、立った

 まま、特に実験手順に注目しながら観察を続ける。

②   体験生徒が決まれば教室の前に集合させ、各グループ、ジャンケンで実験者と体

 験者(被験者)の二手にわかれる。

③   分けたらグループごとに机の角、黒板に向かって左側前方の角を挟んでイスを置

 き、実験者と体験者とが直角に隣り合うようにして座らせる。なお、実験者は黒板

 に向かって机の左手側、体験者は机の黒板側に座る(体験者は教室の後方を向いて

 座ることになる)。

④   二人とも左手を机上にてのひらを伏せた形で置き、お互いの薬指の先端が触れる

 直前まで左手どうしを接近させる。

⑤   実験者は右手を膝の上に置く。体験者は右手を机上にあげ、人差し指の先、指の

 腹部分を自分の左手薬指の第一関節付近、そして中指、薬指、小指の先の腹部分を

 実験者の左手薬指の第一関節~第二関節付近に押し付ける。

⑥   体験者は目を閉じて、指を押し付けた相手の指と自分の指の第一関節付近を同時

 にグリグリと回転させるよう、繰り返し、繰り返し動かしてみる(あたかも鉛筆や

 ペンでも転がすようなイメージで指の腹をしっかりと押し付けながら右手全体を前

 後に細かく一定のリズムで動かす要領)。

⑦   体験者は目を閉じたまま、右手の人差し指と中指、薬指、小指を引き続きグリグ

 リさせつつ、机に置き、グリグリされている自分の左手の内、一番長い指はどれな

 のか、自問自答してみる(目を閉じたままの状態で、特に左手の中指と薬指の長さ

 のズレに関する感じ具合を頭の中で想像)。

⑧   この実験の結果(薬指が一番長く感じたか否か)と感想を体験者に確認後、実験

 者と体験者を交替させて同じ手順でもう一度、実験を繰り返す。

⑨   最後にこの実験を経験したくなった見学者数を挙手させて確認。

 

 本来は中指が一番長いはずなのだが、グリグリしている内にやがて自分の薬指と実験者の薬指が一体化し、一本につながったように感じてきたら錯覚体験は成功。ただし3割前後の人はこの錯覚を体験できない可能性があることを授業の終わりで必ず指摘しておきたい。

 この実験は「からだの錯覚~脳と感覚が作り出す不思議な世界~」(小鷹研理

講談社ブルーバックス 2023)に紹介されているもの。本書では他にも驚愕の体験が味わえる実験がたくさん紹介されています。ぜひ、ご一読下さい。

 

3.直観的判断と数学的真実との乖離

 本来、数学としてはそれほど難しくないはずの問題が、ある条件下では難解な印象を覚えてしまい、途端に正答率が下がってしまうケースを二つ、紹介する。二つの課題チャレンジを通じて時折、私たちの直観的認識、判断がいかに危うい推論、間違った思い込みで成り立っているのか、体験してみたい。

①   ギャンブラーの誤謬

 カジノでルーレットをしているギャンブラーの立場になってみよう。次のケースでは当たる確率をどう判断し、どの色に賭けるべきなのか?

 ※ルーレットとは回転する円形の盤の端に玉を落として数字の記された枠の内、半分は赤枠、残り半

  分は黒枠。どちらの枠内に玉が入るかを予想させる比較的単純な遊び。

1ゲーム目は黒枠、2ゲーム目も黒枠、3ゲーム目も黒枠、4ゲーム目も黒枠、何と5ゲーム目も黒枠であった場合、6ゲーム目はどの色に賭ける?

 問1.「6回連続で黒枠に入る確率は?」

   正解:2の6乗分の1=0.015625=1.5625%

 問2.「6回目に黒枠に入る確率は?」

   ア.  黒枠の方が高い。

   イ.  赤枠の方が圧倒的に高い。

   ウ.  どちらも同じ確率。

   …正解:5どちらも同じ50%の確率なので答えは「ウ」。

 「もうそろそろ赤枠に入るだろう」というありがちな読みは完全な間違い

 

②   モンティ・ホール問題

 A~Cまでの3枚の扉があり、3枚の扉の内、一つだけ扉の向こうに賞品が置いてある。ある回答者がAの扉を選んだ時、答えを知っている出題者がその回答者に大きなヒントをあげるべく、Bの扉を開けてみせた。もちろんBには賞品が置いてなかった。その後、出題者は改めてAかCのどちらかをもう一度選び直しても良いと回答者に提案した。

 さて回答者はA、Cのどちらを選ぶべきか?次から選び、記号で答えよ。

.  二者択一の問題となったのだから、それぞれ賞品が置かれている可能性は50%で

 同じであり、A、Cどちらでも構わない。

.Aの方が賞品の置かれている可能性は高いのでAを選択すべき。

.Cの方が賞品の置かれている可能性は高いのでCを選択すべき。

  …正解:Aが当たりの確率は3分の1、Cは3分の2なので「ウ」

 これは普通の人の直観では特に理解しがたい「難問」として有名なもの。どれほど言葉で論理的に「ウ」が正解であると説明されても、直観的にはなかなか納得できない。しかしAを選ぶのか、A以外のB、Cのグループを選ぶのか、で考えると理解しやすくなるという。B,Cのグループの場合、全体で3分の2の確率で当たり。そしてBは外れであることが確定したのでCがグループとしての正解確率3分の2を単独で背負うことになる…さて、納得できた?

 納得できない方は以下の動画をご覧ください。

  ○数学史上最も議論を巻き起こした問題(モンティ・ホール問題)

   予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」  2021/10/02 10:30

     ◎【ゆっくり解説】モンティホール問題は本当に正しい?数学で実験してみた

         ナゾトキラボ【IQ & 謎解きチャンネル】 2023/01/19  11:29

   一番わかりやすいのはこちらの動画でしょうか。

 

(1)錯視!驚きのワンダーランド

 以下、私が現代社会の授業用に作成したパワーポイントの画面を時折、使いながら10年以上鉄板ネタとして利用してきた錯視授業での教材例をご紹介いたしましょう。

 なぜこの錯視という現象を「心理学」の最初に取り上げるのかの説明も必要となります。そこで10年余り前に千葉県立東葛飾高校のリベラルアーツという特別仕立ての授業で使った講演資料の冒頭部分を以下、ご紹介いたします。

 

はじめに

 ・・・「錯視」という言葉から皆さんは何を連想されるでしょう?

 錯視現象には様々な種類があるので必ずしも一概には言えないのですが、少なくとも錯視を「視知覚の誤作動」とばかり捉えるのは一面的過ぎるようです。錯視は単なる視知覚の誤りではなく、「脳が限られた時間と情報を元にして外界をできる限り正確かつ瞬時に認識するために進化の過程で発達させた知覚システムの副産物」といったように捉えるのが一般的なのです。不思議と驚きに満ちた錯視体験はそうした脳の機能と知覚システムの素晴らしさを楽しく体感でき、理解させてくれる、格好の素材の一つでしょう。また錯視の理解を通じて脳の情報処理におけるある種のクセを知ることはついつい陥りがちな私達の認識の偏りや過ちを見直すうえでも少なからぬヒントを与えてくれるはずです。さらには錯視の解明から見えてくる脳のメカニズムは人の「心」の成り立ちや「自由意思」についても哲学的に深く考えさせてくれる大きなきっかけになります。錯視を突破口にして開けてくる世界は予想外に奥深く、幅広いのです。

 錯視研究は近年、急速に進展してきています。脳の研究の最先端とも関わりが深く、脳の解明に伴って錯視のメカニズムもまた解明が進んできているのです。とはいえまだまだ解明されていない錯視現象が数多く残されているようです。逆に視覚機能を含めた脳の仕組みは錯視の謎を一つ一つ丁寧に解いていくことで今後新たに解明される部分が多いに違いありません。

 驚異的な成果を挙げつつある、近年の大脳生理学、医学、薬学、心理学等の先端知識は私達、門外漢でも十分、興味深い内容であり、面白くかつ役立つ知識だと思います。そこで今回はそうした最先端の研究成果を分かりやすく紹介して下さっている心理学の北岡明佳氏、下條信輔氏や薬学の池谷裕二氏らの著書を参考に、錯視を突破口にして見えてくる科学の最先端の魅惑的で知的興奮に満ちた世界を少しだけ垣間見ていきたいと思います。ただし今回の道案内人はかなり頼りない人間ですので悪しからず。むしろそこがドキドキハラハラ…かえってすごい冒険になるかもしれません。ひとまずは…乞うご期待!

 では、以下、主に立命館大学の北岡明佳先生の錯視作品を「北岡明佳の錯視のページ」というホームページから幾つかピックアップしてご紹介いたします。

 論より証拠、まずは体験してみましょう。ほとんどは立命館大学の北岡明佳先生が作った錯視図形です。左は格子模様ですが、やけにクネクネしているように見えるでしょう。でも定規を当てると正方形の組み合わせなので、本来は四角が直線的に並んでいるはず。右はクレーンの鉄骨のような骨組みが平行に並んでいるのですがどれもが傾いて見えてしまう錯視です。

 私たちの視覚は無意識のうちに人類の都合に合わせ、一定の法則に従って物事を歪めて見てしまうよう出来ているのです。それが錯視現象の大きな原因の一つと考えられています。

 静止画像なのに動いて見えてしまう錯視図形を紹介しましょう。上は「ヘビの回転」という題で世界的に有名になった錯視図形。一つの模様を見つめると周囲の模様がグルグル回転し始めます。見つめた部分だけが静止します。いわゆる「周辺視」で生じる錯覚です。もちろんこれは動画ではありません。

 動いて見えてしまう錯視はけっこうインパクトがあるのでもう一つ。左の錯視では色の濃さ、明度の違いを計算して配色すると一定方向の動きが視覚の中で生まれます。右は円内の格子模様が陽炎の如く揺らめいて見えます。

   中央の球体が背景から浮き出たように立体的に見えると同時に背景や球体が少しずつ揺れて見えます。

   これらも立命館大学の北岡先生の作品です。左は斜めの直線がクネクネと曲がって見えてしまいます。右は格子の白い交差点のところが白黒にせわしなく点滅(シンチレーション)します。

   これも先ほどの錯視と同じですが、非常に強力な錯覚をもたらします。北岡先生の作品ではないのですがご紹介いたしましょう。AとBとは中央部を除くと完全に同じ色で同じ明るさなのですが、まったくそうは見えないでしょう。

 でも疑うのならAとBの中央部、地平線の部分に太めのバーをあててみてください。驚きの結果です。まず脳はBの部分を日陰となっていると見なします。そして瞬時に日陰の割には黒くない(暗くない)ので相当、白い(明るい)面なのだと判断し、そのように色や明るさを補正してしまうのです。明るさの恒常性とも関わる錯視と言えるでしょう。私たちが今見ている世界は100%完全な真実などではなく、どこかが必ず「歪んでいる世界」なのです。

   恒常性には「大きさの恒常性」、「位置の恒常性」(手ぶれ補正のような効果)「色の恒常性」など、多くの種類があります。脳は急激な変化をともなう特定の知覚対象を同一のものとして認識し続けるために感覚情報の処理過程の中で様々な補正を加えてしまうと考えられているのです。すなわち種々の知覚の恒常性のおかげで瞬時に補正されることによって、たとえば激しい動きの中においても私たちの視界はある程度までは安定し、とりわけターゲットを見失わずに済ませようとしているのです。私たちのこのような認識が可能となっている背景には各種の恒常性機能が縁の下の力持ちとしてオートマティックに働き続けている…という無意識的な脳の働きがあることを忘れてはなりません。

 北岡先生の作品に戻ります。藍藻(らんそう)錯視とよばれるもので強烈な錯視効果があります。左は四つの同心円、右は二つの同心円なのですが、どう見ても何度見てもそのようには見えません。私たちの視覚ではこれらの図が同心円であることに合点がいかないでしょう。

 私たちは世界を歪めて見ているのに、脳は頑なにそれを認めようとはしないのです。人類が抱えてきた根深い偏見、一向に減らない差別は案外、こんなところ(感覚や知覚レベル)から派生しているのかもしれません。

※北岡先生の錯視の作品は「錯視図形」で検索すると上位に出てくる「北岡明佳の錯視のページ」で沢

  山の種類が豊富に紹介されています。ぜひ、ご覧になってください。

 

   リバースパースペクティブと呼ばれる面白い錯視があります。自然界では顔がへこんでしまうという現象は滅多に起きません。従って顔と認識できるならばたとえへこんでいても膨らんだように見えてしまうのです(ホロウマスク効果)。クレーター錯視などと違って影の付き方とはまったく無関係に起きる錯視です。この錯視は肉眼よりも携帯、スマホで動画撮影した方がより効果的です。トラさんが切なげな瞳であなたを追いかけるように見つめてきます。

※リバースパースペクチィブは片目で見た方が効果的である。その理由は片目のために両眼視差による

 凹凸感や立体感が得られにくい分、脳が必死に片目によって平面的に見える画像を立体的に見えるよ

 う働いてしまうからだと考えられている。実際、両眼ではトラの顔の立体感が怪しげにみえるが、片

 眼では一つのレンズで撮影された動画と同程度に、錯覚を感じることができるだろう。生徒たちには

 動画を見せた後に実際のトラを片目で見させ、片目で錯覚が生じやすい理由を推理させると、理解が

 深まるはず。

        なお立体錯視の分野では明治大学の杉原厚吉先生が世界的に有名。下は「立体錯視の作成」で検索

   するといくつかの作品をダウンロードできるなかのの一つを私が作ってみたもの。本来は鏡に映して不

 思議さを感じてもらうものだが、下の画像のように、正面からと、背後から撮影した画像でも錯覚は

 確認できる。これも簡単に自作できるのでぜひ、授業で体感させてみたい。

  ここで注目すべき点の一つとしてニワトリの向きがある。本来の鏡映像ではニワトリの向きが同じ

 であるが、下の画像では左右逆向きとなっている。この点は鏡映像の理解を深める上でポイントとな

 るだろう。これもその理由を生徒たちに考えさてみせたい。

 

 

 首が回るように見えるというのも錯覚です。目がこちらを見続けるということは顔が向きを変え続けるからだと脳が解釈することで生じる錯視です。視覚情報が曖昧な時には、脳は幾つかの可能性の中から「現実世界で最も起こりうる解釈」をいつの間にか選びとるのです。

※トラの錯視は「イリュージョンフォーラム」でネット検索すると動画で視聴できます。またここから

   張り子のトラをダウンロードして自分で作成することも可能です。この錯視は見る角度によってはハ

   ッキリと確認できません。人によっては肉眼ではハッキリ見えないので、私は自分で12匹の張り子

   のトラを作成し、自分が動きながらスマホで動画撮影してパワーポイントに取り込んでから生徒に見

   せまし た(上の写真)。ただし動画の視聴よりも生徒に生の体験をさせた方がより効果的ですので、

   面倒ではありますが、トラの張り子をダウンロードして打ち出し、手順に示されたとおりに作成して

   みてはいかがでしょう。教室に展示して生徒自身のスマホで動きながら撮影してもらうと最大の効果

   を期待できますし、繰り返し体験させることが可能となります。

 

   人には他人を「見た目」で無意識的に判断してしまう傾向のあることが認知心理学で指摘されています。そしてそれがいわゆる認知バイアスとなって人間の適正な判断を妨げてしまうことがあると言われます。またこの安直な判断は外見による偏見や差別を助長する心理的メカニズムともなるでしょう。

   とは言え、ジックリと相手を観察する余裕が無い場合にはこうした手抜きの判断の迅速さが役立つことも無いわけではありません。つまり認知機能の節約と即断即決という、プラス面も認知バイアスにはあるのです。だからこそ認知バイアスははびこってきたのであり、頭では間違いかもしれないと分かっていてもバイアスを意識的に取り除くのは至難の業となってしまうのでしょう。

   これと同様に薄暗い森の中を俊敏な動きで樹上を移動していたサル達から受け継いだ人の視覚機能は様々な視覚情報を元に瞬時に判断する(=知覚する)能力を備えているようです。ですから「クレーター錯視」(これもネットで検索してみてください)のように影という僅かな手がかりから瞬時に凹凸や位置関係を決めつけてしまうのではないでしょうか。つまり視覚情報のすべてを総合的に判断しているとその処理に多くの時間がとられてしまい、サルはなかなか向こうの枝までとび移ることが出来ない事になってしまうのです。

 

 

   池谷裕二氏はヒトの脳の基本設計が「いかに時間をかけずに少ない情報から即断できるか」を課題としてなされてきたため、情報が多いと却って情報を上手に利用できなくなる傾向があると指摘しています(「寝る脳は風邪をひかない」P.16~17)。

 

 もう一つ、視覚に関する面白い実験をご紹介いたしましょう。次の逆さメガネの実験は、今、私達が見ている世界が客観的な物理的世界だけに止まらず、主観的な記憶を加味した映像作品、VR(仮想現実)的世界でもあることを窺わせる発見です。この実験では逆さメガネをかけることで目に映っていた逆さまの世界が、3週間ほどのトレーニングによっていつの間にか正立し、人によってはついに逆さメガネをかけたまま自転車に乗ることまでを可能にしたという驚きの結果をもたらしました。

   実験では外界が逆さに映る眼鏡をかけさせて大学生に生活させたところ、最初の頃は上下逆さまの世界に適応できずに多くの学生は立ち往生してしまったといいます。日常の些細なことにも支障をきたし、しばらくは混乱状態が続きましたがそれでも一週間、二週間と逆さ眼鏡で生活させてみるとついには自転車をこげるほどに「逆さの世界」に適応してしまうのだそうです。逆さ眼鏡をかけていた人は最初の内は上下逆さまの世界に見えていた外界が試行錯誤を続けるなかでいつの間にか逆さまではなく、正立した通常の風景に見えるようになったといいます。しかし体の動きを厳しく制限された別のグループはいつまでたっても逆さの世界に適応できず、立ち往生するばかりだったようです。

   「逆さメガネ」の実験から分かるように「正しい」という感覚を生みだすのは「どれだけその世界に長くいたか」ということ。網膜上で逆さになった世界を「正立」していると認識するのは、その世界に長く住んできたからであって、そういう経験の記憶が正しさを決めているのです。つまり記憶の中身次第では「正しさ」の基準がひっくり返ることだってある…ということです。

   生まれたときから目が見えなくて成人してから開眼手術をうけたばかりの人が外界をどのように「見る」のか、興味深い事例がいくつか報告されていますが、いずれも生まれつきの晴眼者とは違って最初は外界が「光と色の混ざった、わけのわからない、理解不能なもの」としか目に映らないようです。人が視覚でとらえたものをそれと認識し、その情報に基いて適切に行動するには探索的な活動の積み重ねによって蓄積されてきた様々な知覚、経験の記憶体が備わっていなければならない…と最近では考えられてきています。

   「あ」を書かせる課題は「30秒以内で三つ、書けたら後でジュースを驕るから誰かチャレンジしてみたい人、いる?」・・・などとチャレンジをそそのかして黒板に大きく書かせてみます。大抵は運動部の陽気な男子などが喜んで名乗りをあげるのですが、ほとんどが30秒以内で出来ずに頭をかいて俯いてしまいます。私は慣れていますので10秒前後で書けてしまいますが、もしも両手を使えれば数秒で書けてしまうでしょう。オーケストラの指揮者がそうであるように両手は同時になら左右対称に動くことを得意とするのです。

   一見、簡単そうに見える課題ですが、コツを知らないと誰でもかなり苦戦します。中には一分経っても「左右逆さま」までしか書けずに諦めてしまう生徒が少なからずいます。上下左右逆さまの図がなかなか思い浮かばない生徒は予想以上に多いのです。なぜこんな簡単な課題をすぐに出来ないのか、おそらく多くの生徒は不思議がるでしょう。

   人の視覚は逆さメガネの実験でも明らかにされたように逆さの世界に適応するにはかなりの時間を要するのです。ですから逆さ文字だけでなく、逆さで目の前の人物の似顔絵を描くことも相当、難易度が高いはず。

   心理学の実験では「鏡映描写」と呼ばれる意地悪な課題があります。手元には普通の紙が置かれていて紙に印刷された☆印の輪郭を鉛筆でなぞるように指示されます。ただしなぞる際には必ず正面の鏡に映された自分の手と☆印を見て描くよう、指示されます。もちろん目を閉じて描くのはルール違反になります。たかだか☆印をなぞるだけの課題が無茶苦茶難易度の高いものに感じるでしょう。おそらく手はジグザグしてしまい、幾度も輪郭をおおきく外れそうになるのでなかなか先に進めなくなります。

   なおドイツ製の逆さメガネはネット(アマゾン)で購入できますがパワポの写真のものは12万円近くしますので私は購入を諦めました。この「あ」を書かせる課題は逆さメガネ実験のちょっとした代用として私が考えついたものです。少なくとも逆さの世界の難しさをお手軽に体感できる実験としては役立つでしょう。「あ」を書かせる課題では二次元平面世界での逆さが3種類あることに気付きます。しかし鏡映描写の実験では三次元立体空間での逆さ、すなわち手の動きの中で前後の逆さも加わるのでかなり厄介。「逆さメガネ」の実験とほぼ同様の極めて難易度の高い課題になるのです。

   自分の見えている世界と実際の世界とが逆さまの関係であるとき、人の脳はしばらくの間混乱を余儀なくされます。しかし2~3週間、逆さの世界で生活すると、不思議なことにそれまで逆さに見えていた世界が正立して見えてしまう。つまりその時に見えている世界は脳の働きによって創り出された映像作品であり、必ずしも単純な物理的世界の反映ではないことが分かるのです。

 

   この授業は次の「見える・・・という事とは?」を締めの言葉とし、ひとまず一区切りとしてきました。

 

   何はともあれ私達は外界を決してありのままには見ていないようです。「見る」とは単純に「目に何かが映る」といった受身の現象などではなく、もっと能動的、創造的な営みなのであり、脳の働きを通していろいろな情報操作が無意識のうちに行われてしまっている、きわめて複雑で高度な現象だと考えるようになってきています。

 網膜に入ってくる光刺激は視覚を生み出す情報の2~3割程度に過ぎないといいます。残りの7~8割は外の視覚世界とは無関係な脳の内部情報が決め手となっているようなのです。人間の視覚野は大脳皮質全体の三分の一も占めているのもうなづけますね。

   確かに視覚の情報処理には的確さだけでなく、かなりのスピードが要求されます。次から次へと休み無く大量に飛び込んでくる視覚情報を瞬時に取捨選択して分類し、ある程度までの類型化を施してしまうような、自動的な情報処理システムが私達の脳の中で長い時間をかけて発達してきたに違いありません。

 我々の先祖であるサルが木から木へと次々に跳び移れるのは複雑な視覚情報の高速処理システムの発達抜きには考えられません(なおサルの視覚野は大脳皮質の半分近くを占めるようです)。

 「錯視」とはサルから進化した人類のこうした類型化を伴うスピーディーな視覚情報処理システムの特性(=一種のクセ)から生じてしまうものと考えられるのです。

従って仮にVR技術、メタバース技術の進展の中でより人間の主観、実感に寄り添ったリアルな視空間を再現したいのであるならば、ある程度までは物理的な正確性を犠牲にして平均的な「錯視」量をケースバイケースで加減しつつメタバース空間に反映させていくことが必要となります。実際、スカイツリーを浅草の雷門近くで仰ぎ見た時の主観的大きさ、迫力は、物理的には正確なデジカメではどうしても掬い取ることが出来ない…海のかなたに沈む夕日に人間が感じ取る大きさ、迫力、色味は通常のカメラ仕様ではなかなか再現できない…すなわち単純な幾何学的遠近法で描かれたメタバース空間には主観的なリアリティーが欠如し、あまりにも人工的過ぎる印象が避けられないのです。

   そして視覚のみならず、触覚、聴覚、味覚、嗅覚などの五感までもリアルに感じ取りたいのであるならば、それらの感覚同士の複雑な関係性を踏まえた各種の錯覚をも仮想現実に反映させる必要が出てくるに違いありません。より一層リアルなVR体験を追求するためには今後とも錯視をはじめとする錯覚の研究の積み重ねが必要不可欠となるでしょう。

※なお、実際の授業ではかつてこれ以外に「心理学ネタ編その6」で取り上げている「目は口ほどにもの

   を言い」も扱ってきました。時間的に余裕がある状況ならば錯視のところで触れてみると良いでしょ

   う。また錯視現象を明確に感じてもらうためにはパワーポイントのアニメーション機能を使った方が

   より効果的な場合があります。たとえば北岡先生の代表作とも言える「ヘビの回転」はアニメーショ

   ン機能を用いて右下の円の中心部に赤い円をゆっくりと入れていくと見ている人の視線がそこに誘導

   されることでその部分の回転錯視が消えていき、静止画像に見えていきます。同時にそれ以外の場所

   が周辺視になることによって回転するように見えてきます。これを体験してもらうことでこの錯視現

   象が「周辺錯視」(視野の中心部ではなく、周辺部で生じる錯視のこと)に属することが分かっても

   らえるでしょう。強烈で頑固な「藍藻錯視」も同心円の一番内側の円に緑の円をアニメーション機能

   でゆっくりと入れていくと、この図が同心円であることを納得できるようになるはずです。よく紹介

   されるミューラー・リヤーの錯視なども色の付いた線を用いれば分かりやすくなります。

      是非、皆さんでパワーポイントによる錯視図形の呈示の仕方をいろいろ工夫してみてください。

 

 

 

参考動画

学びに10倍の差!猫のゴンドラ実験から分かる体験の本質【池谷裕二 | 脳研究者】

 【KIDSNA Academy】KIDSNA STYLE チャンネル【公式】 2022/08/16  3:45

【錯覚の謎】なぜ脳はだまされるのか?「錯覚」から見える脳の戦略 | ガリレオX

  第51回 ガリレオ Ch 2021/11/15  25:47 (2013年4月放送作品)

【心を世界に投射する!】プロジェクション・サイエンス  見えないものを見、存

   在しないものを感じる知性の不思議 | ガリレオX第185回

   ガリレオ Ch  2023/01/16 25:47

【あなたは見える?】小学生でもわかる・現実には存在しない不可能な色

    ぶーぶーざっくり解説【小学生でもわかる科学】 2024/07/12  22:15

   色覚の仕組みがよく分かる。動画に取り上げられた実験にチャレンジさせても良い。

【右脳と左脳を切断】小学生でもわかる・分離脳とは何か?

   ぶーぶーざっくり解説【小学生でもわかる科学】 2024/02/22  17:08

 右脳、左脳の機能分担と視覚との奇妙で興味深い関係が面白く、分かりやすく説明されていてオススメの動画。

参考記事

あなたには、この12個の点が見えますか? 世界中が首をひねる【目の錯覚】

   ハフポスト日本版 の意見 2024.2.16

 ここで紹介されている錯視図形も非常に興味深い。ぜひ、生徒たちに紹介して欲しい。見えないはずの何かが見えてしまう錯視(きらめき格子…)とは逆に見えるはずのものが見えなくなってしまう錯視で、いずれも周辺視で生じていると思われます。

「失明しそうな人」だけに現れる不思議な症状【眼科医が解説】

   幻冬舎GOLD ONLINE 平松 類  2021.9.30

   失明間近の人には稀にその場所にあるはずのないものが見える、という不思議な症状が現れることがあるといいます。気味悪く思ってしまい、患者の多くは家族にも言えずに黙ってしまうため、正確な統計がないのが現状で発見者の名を取って「シャルル・ボネ症候群」と言われているとのこと。

   見えるのはそこにあるはずのない物だったり、人だったり。「見える時間もまちまちで、ほんのちょっとの間だけ見えたという人もいれば、数日間にわたって見えていたというように時間が長いこともある」ようです。原因は正確には分かっていないようですが、視覚処理のために働く脳内の電気信号の仕業だと考えられているとのこと。つまり目が見えなくなった分、眼球から電気信号が送られなくなった代わりに脳が勝手に記憶している画像を脳の視覚野に送り出している、ということでしょうか。また「夢」で見る映像も眼球を介さない点でよく似た現象と言えるでしょう。

 

補足:「からだの錯覚~脳と感覚が作り出す不思議な世界~」

      (小鷹研理 講談社ブルーバックス 2023)より

   視覚ではなく、身体感覚や自己イメージに関わる錯覚ですので視覚に絞ったテーマとは多少ズレてしまいますが、実際に体験するとその余りの不思議さ、不気味さに誰もが大きな驚きを覚えるはずの錯覚です。授業で実験すれば生徒たちの反応が爆発的に盛り上がること間違いなしのオススメ体験ですのでこの分野の補足としてここでごく簡単にご紹介いたしましょう。多くは二人一組で行い、短時間かつ素朴な道具立てできるお手軽な実験。「指が長く伸びていく」「手の甲の皮膚がグニョーンと伸びていく」「ゴム手袋が自分の手のように感じてくる」「他人の指や手が自分の指や手のように感じてくる」「自分の手、指が勝手に動いているように感じる」「自分の指が自分の指ではなく、半ばソーセージのような物体に感じてくる」といった、驚愕の不思議体験の数々を味わうことが可能となります。しかもこれらの体験は深遠なテーマである「意識」や「自我同一性」などへの興味関心をかき立て、人間への理解をきっとより深めていくことにつながるはず。ゴム手袋や鏡などの道具が必要となる実験もありますが、多くは100均で入手できる道具で、準備にさほどお金と労力はかかりません。生徒の興味関心が強い「金縛り」や「幽体離脱」現象、今後の発展が大いに期待されるVR(仮想現実)やメタバース技術、ゲーム技術などとも深く関わる分野ですので、一部の生徒たちの進路にも参考となるでしょう。ぜひ、授業を通じて生徒たちに体験させてあげたい実験です。

※参考記事

「金縛り」はその予兆だった…「幽体離脱」を引き起こす「2つの原因」

    現代ビジネス 小鷹 研理 の意見 2023.4.30

なんと手術中に「麻酔」が解けた女性…「壮絶な痛み」のなか「限界状況」で彼女

   に起こったまさかの「幽体離脱」現代ビジネス 小鷹 研理 の意見 2023.4.30

友達の手が自分の手のように感じる? ちょっと不気味な「からだの錯覚」の世界

   BOOKウォッチ の意見 2023.5.8

自分の足なのに「痒い」けれど「痒いところ」がわからない…「視覚」と「触覚」

   の一致が「自分のからだ」と認識させていた!

   現代ビジネス小鷹 研理 の意見 2023.5.29

   「金縛り」や「幽体離脱」と呼ばれる身体感覚や自己イメージにおける錯覚のメカニズムを「世界と

   自己の消失を回避しようとする意識の働き」として説明しようとする興味深い考察。特に余りにも強

 過ぎる痛みや恐怖から自己を守るために一定の肉体的感覚を鈍麻させて肉体と自意識とを少しだけ乖

 離させ、言わば強烈な痛みにさらされて危機に陥った自意識のシェルターを作り出そうとするメカニ

 ズムこそが「幽体離脱」として捉えられてきたのではないか、とする見方。これは解離性同一性障害

 (多重人格)の発生メカニズムを説明しようとする仮説の一つと重なるようで非常に興味深い。

  小鷹氏が紹介する「トントンスワップ」実験は二人組で実験可能なので、ぜひ、生徒たちに体感さ

 せてみたい。社会科の授業でこうした実験を取り入れると理系文系や教科の枠を超える事の重要性や

 楽しさをも体感させることが出来るはず。有名な「ラバーハンド錯覚」の実験(100均のゴム手袋と

 綿、仕切り板などを用意する)や「インビジブルハンド実験」(仕切り板用意)、「ボディジェクト

 の指」実験(四角い鏡用意)、「スライムハンド実験(鏡とスライム用意。最も衝撃的な体験ができ

 るといわれている)などは生徒からの反響がとりわけ大きいことが予想され、授業で体験させたいイ

 チオシの実験。

  一人で出来る実験としては「薬指のクーデター」実験もお手軽でオススメ。実験の詳細は「からだ

 の錯覚~脳と感覚が作り出す不思議な世界~」(小鷹研理 講談社ブルーバックス 2023)を参照の

 こと。また身体感覚をめぐる錯覚はこのブログの「その2:VRの科学と水槽の脳」とも深く関連する

 内容なのでそちらもぜひ参照してみてください。

子どもの発達障害で多い“五感の感覚過敏”、理解したい「世界の感じ方の違い」

 ダイヤモンド・オンライン 岩瀬利郎 の意見 2023.4.29

音が痛い、文字が見えない…「ギフテッド」ゆえの感覚過敏で「もうがんばりたく

 ない」と話す10歳少年の苦しみ AERA dot. オピニオン 2023.5.28

「同じ世界に生きているけど全然違う世界を見ている」 IQ130「ギフテッド」の息

 子に母が言った「がんばらなくていいんだよ」の言葉 

 AERA dot. オピニオン 2023.5.27

じつに、わかりやすい…!結局「正義や世の中の常識」は、身体的性質や生物学的

 構造に依存していた「衝撃の事実」 現代ビジネス 池谷 裕二 の意見 2024.4

 

 この分野の授業をする際に、特に教師が注意すべきは誰にでも同等に錯覚が感じられるものではなく、しかも少なからぬ人が錯視やその他の錯覚を体験できないという事実。とりわけギフテッドの子や発達障害者の場合、視覚だけではなく五感に独特の感じ方が生じてしまう場合が見られる点には十分留意すべき。上で紹介した身体的感覚に関わる錯覚も小鷹氏によれば健常者であっても1~3割の人が錯覚を体験できないらしい。ただし「スライムハンド実験」の場合、錯覚が体験できない人は数%にとどまり、その錯覚体験の衝撃度は突出しているという。ならば準備に大した手間がかからず、手続きも単純で容易に実験できる「スライムハンド実験」は今後、中学や高校の授業を一気に活性化するためのイチオシの授業素材となると予想している。

 

参考文献一覧

「錯覚の心理学」椎名 健 講談社現代新書 1995

「視覚の謎」本田仁視 福村出版 1998

「逆さメガネの心理学」太城 敬良 KAWADE夢新書 2000

「だまされる脳」日本VR学会等 講談社ブルーバックス 2006

「見るとはどういうことか」藤田一郎 DOJIN選書 2007

「だまされる視覚」北岡明佳 DOJIN選書 2007

「進化しすぎた脳」池谷裕二 講談社ブルーバックス 2007

「脳はなぜだまされるか? 錯視完全図解」ニュートン別冊 2007

「人はなぜ錯視にだまされるのか?トリック・アイズ・メカニズム」

  北岡明佳 カンゼン 2008

「サブリミナル・インパクト」下條信輔 ちくま新書 2008

「単純な脳、複雑な『私』」池谷裕二 朝日新聞社 2009

「錯視入門」北岡明佳 朝倉書店 2010

「和解する脳」池谷裕二・鈴木仁志 講談社 2010

「まさか?のへんな立体」杉原厚吉 誠文堂新光社 2010

「知覚の正体」古賀一男 河出ブックス 2011

「錯覚する脳」前野隆司 ちくま文庫 2011

「知覚の正体~どこまでが知覚でどこからが創造か~」

  古賀一男 河出ブックス032 2011

「錯覚学~知覚の謎を解く~」一川誠 集英社新書 2012

「錯視図鑑~脳がだまされる錯覚の世界~」杉原厚吉 誠文堂新光社 2012

「脳には妙なクセがある」池谷裕二 扶桑社新書154 2013

「心の多様性~脳は世界をいかに捉えているか~」

  中村哲之他 大学出版部協会 2014

「錯視の不思議~人の目はなぜだまされるのか?~」

  ロバート・オズボーン 創元社 2015

「脳がつくる3D世界」~立体視のなぞとしくみ~」

  藤田一郎 Dojin選書064 2015

Newton別冊「ゼロからわかる心理学 錯覚の心理編」

  Newton Press 2021

別冊日経サイエンス「新版 意識と感覚の脳科学」鈴木光太郎編 2022

「からだの錯覚~脳と感覚が作り出す不思議な世界~」

  小鷹研理 講談社ブルーバックス 2023

Newton別冊「バイアスの心理学~認知のメカニズムと心のクセに迫る~」

  Newton Press 2023

「夢を叶えるために脳はある」池谷裕二 講談社 2024

 

 これらの本の中ではずば抜けて池谷裕二氏の本が分かりやすく、面白いと思いました。私の心理学ネタ授業の構想は池谷氏の著作がなければおそらくほとんど思いつかなかったほどに、彼の著作からは決定的な影響を受けています。とりわけ錯視の話から巧妙に脳の仕組みや機能へと話を進めていく池谷氏の論理展開は「目からウロコ」でした。それまでの私にとっては錯視と脳の働きとの関係こそが大きなミッシングリングとなっていたため、錯視体験とその後の授業との繋がりがイマイチ曖昧だったのです。また視覚の錯覚としての錯視現象から、認知の誤りに話を発展させていく展開も池谷氏の著作に基づいています。これらを「渡りに船」とばかりに授業に取り入れたことを今でもアリアリと覚えています。私のその後の心理ネタ授業を可能にしてくれた最大の恩人こそ、池谷氏であったのです。もちろん、心理ネタを始める最初のきっかけを与えてくれたのは北岡明佳氏であり、北岡氏の素晴らしい錯視作品にはいつも驚きと興奮を覚えました。

 改めてこの場を借り、池谷氏と北岡氏には深甚の感謝を申し上げます。

 有り難うございました。

 なお北岡明佳先生の作られた錯視図形はカッパのブログでの利用に関して北岡先生から事前に許可をいただいてここに掲載しております。北岡先生作成の錯視図形はレディー・ガガのアルバムにもデザインとして利用されたことがあり、著作やネット上に掲載するためには芸術作品と同様、著作権上の配慮が必要となります。ただし「北岡明佳の錯視のページ」というホームページの中でご自分の錯視図形を学校での対面授業で教育目的のために使う事は基本的に自由だとされていらっしゃいます。先生方も是非、まずは北岡先生のホームページを参照してみてください。

 参考文献に太字で紹介したNewton別冊「バイアスの心理学…」は錯視の授業から始まり、差別、偏見の心理、さらには合理的な判断に導く道筋を示す授業への展開を考える上で大変、参考になる文献です。「倫理」などの科目で理科的な授業から社会科的な授業へと展開していくには不可欠な資料となるでしょう。こちらもイチオシ、必読の雑誌です。

 また「夢を叶えるために脳はある」は池谷氏が高校生の読者を念頭に置いて書かれた三部作(「進化しすぎた脳」「単純な脳、複雑な私」…)の最後を飾る力作です。600ページを超える大作ですが、かなりの進学校でしかも理系の生徒たちを対象とした本なので文系にはやや難解な内容です。しかし授業に取り入れると多くの高校生の興味をひくだろう話題が数多く紹介されていますので、以下、参考のために錯視に関わる授業で取り上げたい面白エピソードを少しだけ列挙しておきます。

視覚の仕組みに関して…

・サルの頭部を生後間もなくから固定し、動けなくして育てると、そのサルは固定から解放された後でも世界を認識することができない。また「ネコのゴンドラ実験」ではたとえ猫が動いていても、自分の意志で動いていない猫はやはり世界を認識できないという。つまり私たちは生後間もなくから長い時間をかけて自分の身体を自発的に動かす経験が豊富に蓄積されていなければ、二次元の網膜から伝えられる電気信号を三次元の世界に再構築できないのである(→逆さ眼鏡の実験)。

ゲシュタルト崩壊に関して…

 「若」「多」「借」「今」といった漢字を一つ、30秒ほど凝視させる。すると突然、「この漢字、何て意味だったっけ?」などと奇妙な思いにとらわれたりする。よく知っている漢字なのになじみの薄い、違和感が発生してしまうのだ。これをゲシュタルト崩壊と呼ぶ。鏡の前に立って「おまえは誰だ?」と問いかけると、やはり鏡の中に映る自分が自分らしさを失って見えてくる。

 ゲシュタルト崩壊が慢性的に発生し、現実感を失ってくる症状を離人症(解離性障害)というが、MRIで調べると離人症の患者は島皮質の活動が低下していることが分かっている。島皮質は他の大脳皮質の様々な箇所とつながっている脳内ネットワークのハブとしての役割があるらしい。特に感覚の経路である視床や感情をつかさどる扁桃体ともつながっており、島皮質の活動低下が現実感の喪失に大きく影響していると考えられる。

 島皮質は自意識、自己認識、メタ認知とも深く関わり、「生きている」という実感をもたらす点でヒトの知性の発達と「生きがい」感に大きく関わっているようだ。

 ※マインドフルネスが様々な技法を通じて現在の生き生きとした感覚に集中させることでウツ状態か

  らの回復を図ろうとすることと通底する要素がありそうだ。つまり島皮質の活動を活性化できれば

  ウツ状態の改善にも効果が期待できそうな予感がする。

記憶と映像に関して…

・ネズミの実験でシナプス結合を強くして記憶力抜群のネズミを造ると、記憶力が良すぎるためにネズミは時間の流れが認識できなくなり、過去と現在を混同してしまう。結果的にはせっかく覚えたエサの隠し場所にまっすぐ行けなくなってしまう。

 …脳の記憶が脆いものだったからこそ、時間の流れが、心のなかで生じたんだ。…

つまり、記憶によってまとめあげたこの世界の眺めが、その後、徐々に褪せていく様子のことを、僕らは「時間の流れ」と呼んでいるにほかならない…

・同調圧力によって見える色まで変化してしまう実験:色の残像はその色の補色となる。緑ならば赤、青ならばオレンジがそれぞれの補色である。青みの強い緑と青の中間色を見せて大多数が「これは緑だ」と答えさせると多くの人は同調圧力に逆らえずに「緑」と答えてしまう。次に青みの強い緑と青の中間色を30秒ほど見つめさせてパッと白い画面を見せると本来ならばオレンジがかった色に見えるはずの残像が赤に見えてしまう。

 

95.五井大宮神社の概要

 

 

五井大宮神社「参拝のしおり」より

祭神:「国常立命(クニトコタチノミコト)」「天照大神」「大己貴命(オオナムチノミコト)=大黒様」

・由緒:社伝によれば日本武尊が東征の折に創建。1180には源頼朝が奉幣祈願。

 天文年間(16世紀中頃)、小田原北条氏が里見氏との戦いのなかで必勝を祈願し太刀一振りを奉納。江戸時代には近隣28か村の総鎮守となったが、享保頃(18世紀前半)から各村がそれぞれ氏神様を祀るようになると本社は五井の鎮守となった。大正5年には村社に列せられている。

 ※日本武尊と源頼朝は房総の湾岸部にある神社の由緒、社伝に頻出する。

・社殿:本殿は三間社流れ造りで当初は茅葺であったが昭和33年、銅板葺に改修された。寛政5年(1793)の棟札がある。記録では天正8年(1580)、享保3年(1718)、享保17年(1732)と造営・改修されてきたようである。拝殿は昭和39年に再建、平成8年の改修で翼廊が増築された。

 


鳥居:嘉永6年(癸丑:1853=ペリー来航の年)御影石製

 

お百度石:素足で社殿とこの石の間を行き来し、手を触れては参拝の回数を数えたもの。特に戦時中は出征した息子や夫の無事を祈った。昭和13年(1938)日中戦争が始まって間もない時期のもの。市原市内ではここでしか確認できていない。

 

末社の大杉神社「あんばさま」:神社のある地名からアンバサマ(阿波様)とも言われ、常陸国稲敷郡桜川阿波(あば)に本社がある。千葉、茨城、福島、宮城、岩手などの太平洋岸の漁村などで不漁続きの時に祀られた。また悪疫除けの神でもある。

 

末社:六柱が祀られている

 

    左:庚申塔(寛文9年=1669)        右:二十三夜塔(元禄13年=1700)

※庚申塔は明治23年に中瀬墓地から移されたらしい。黒みがかった石であり、御影石かもしれない。

富士塚:山包講によるもので富士山の溶岩が塚の表面にコーティングされた本格的なもの

 

山包講関係の石造物:右は「参明藤開山」碑

 

扶桑教(明治初年、富士講の一部が新興宗教として扶桑教を名乗るようになった)が建てたもので市原では西南戦争の忠魂碑は極めて珍しい。

 

手水鉢:宝暦9年(1759)のもので五井の町が発展し始めて間もない時期のもの。願主江坂屋半兵衛と側面にある。

 

※柴田等(1899~1974):宮崎県出身の農林官僚(京都大学卒)。1947年、旧知の間柄であった川

 口為之助が千葉県知事となると農業再建を掲げた川口に招かれ、副知事となる。1950年、川口の辞

 任に伴う選挙で知事に当選。以後三期務める。農業再生とともに川崎製鉄の誘致を実現させ、京葉工

 業地域の基礎を築く。後に知事となる友納武人を副知事に招く。やがて工業化を急ぐ川島正二郎、水

 田三喜男らが農林官僚出身の柴田を農業派と断じて批判し、対立を深める。柴田が漁民の生活を案じ

 て東京湾埋め立ての推進にブレーキをかけると川島らは強く反発。このため1962年、柴田は自由民

 主党から除名され、次の知事選には公認されなかった。川島らは上総一宮藩の最後の藩主の子加納久

 朗を推し、知事に当選させた。しかし加納は1963年2月、任期110日にして急死する。

五井漁業組合解散:昭和28年には船橋市から五井町にかけての漁業組合の代表者らが千葉市の水産会館に集まって県の京葉工業地帯造成と海岸の埋め立て計画に反対する方針を固めていたが、県などの圧力と説得によって補償金を受け取って漁業権を放棄する漁協組合が続出し、昭和30年から五井海岸の埋め立ても始まっていた。昭和32年から33年にかけて君塚、八幡、五所、五井の各漁協と県との間で漁業補償が妥結し、昭和34年には旭硝子、36年には古河電工、富士重機、碑の建てられた37年には三井造船、東電五井火力、昭和電工、38年には丸善石油、40年に不二サッシ等、企業の進出が相次いでいる。池田勇人内閣の重化学工業重視の政策を背景にかつては海苔をそこかしこで干していた東京湾の海辺の風景も急速に変化していったのである。

 ちなみに市原浦の名物であった海苔の養殖は意外と歴史が浅く、明治33年(1900)に富津青堀の渡邊忠次氏による指導のもと青柳村で着手された。本来、延宝年間(1670年代)に江戸前で始まった海苔養殖は浅草海苔商人だった近江屋甚兵衛が房総の地に文政年間(1820年代)にもたらしたものである。ただこのときには五井村は近江屋の申し出を断り、申し出を受け容れた小糸川河口の人見村(現在君津市)で房総最初の養殖が始まった。次第に君津、富津、袖ヶ浦で発達、普及した海苔養殖は江戸湾沿岸の村々に貴重な現金収入をもたらし、明治になってようやく市原にも普及するようになった。市原では青柳に続いて五井村が1909年、君塚村と今津朝山村が1912年、八幡五所村が1914年、松ヶ島村が1915年、椎津村が1925年、姉崎が1926年と相次いで海苔の養殖が普及。特に松ヶ島の漁業組合長だった斎藤久雄は養殖の技術改良に専心し、1950年、全国水産功労者として大日本水産会の表彰を受けている(松ヶ島養老神社境内に「斎藤海苔翁之碑」が1955年に建てられた)。こうした努力もあって1947年には千葉県の海苔生産が全国一位となり、昭和30年代まで八幡宿から姉崎にかけては11月上旬になるとあちらこちらで海苔を干す光景が見られた。しかし京葉工業地帯の造成により、昭和37年(1962)、松ヶ島を最後に市原の海苔養殖は幕を閉じることになった。

 

 

 

※逆修塔:生前に自分の供養塔を建てておく風習(=逆修)があった。大宮神社の別当寺は龍善院だっ

 たので西源法師は龍善院の住僧だったのかもしれない。

※海岸部では二十三夜塔は数が少ない。

三山塚

 

補足:上総国の「昇亭北寿」について

 初代(?)の北寿は葛飾北斎の初期における弟子として1789年頃から1818頃まで江戸を中心に作品を残しており、ボストン美術館の解説では生没年が1763年~1824年となっている。師匠北斎が身に付けた西洋画の技法を発展的に引き継ぎ、伝統的な浮世絵とは印象が異なる、洋風の風景画を描いているのが特色の一つと言えるだろう。1760年生まれの北斎とは3歳ほど年下だが、長命の北斎よりも25年ほど早く亡くなっているようだ。

市原市牛久三島神社伊勢参詣奉納絵馬:安政4年(1857) 現在、南総公民館に保管

市原市牛久三島神社伊勢参詣奉納絵馬:嘉永7年(1854) 現在、南総公民館に保管

 

 驚くべきことに上総国にも昇亭北寿がいた。ただし江戸の北寿が姿を消してから20年以上、時を隔てた1848年、再び上総の地で北寿の名が登場したのだ。以降、彼は1864年までの間、上総の地にいくつかの作品を残した。ただし、なぜか作品は浮世絵ではなく、絵馬だけに限られている。

 絵馬は雨風に晒されることが多く、多くの場合、保存状態が良くない。そのため江戸の北寿と上総の北寿との作風を比べることは、絵馬と浮世絵の違いが加味されることも手伝ってかなり困難である。したがって上総の北寿が江戸の北寿の弟子筋なのかどうかは分からない。ただし寺社参詣、合戦や武将の問答などの画題を考慮すると、絵師としての知識が相当必要とされる絵であり、画家としての力量は相当あったのだろう。絵馬の数からみても上総においての評判は上々のものだったと見受けられる。

 とは言え、少なくとも上総の北寿には葛飾北斎の系統にふさわしい凝った構図や西洋的画風がほぼ感じられないことも確かである。もちろん神仏に奉納される絵馬としての、定型的な作風の枠内での作品なので、もとより浮世絵のような大胆な構図や鮮やかな色使い、西洋風の技術を絵馬でふんだんに用いることは難しいだろうが…

 絵師としての名が同名なのだから両者には何らかのつながりがあるに違いない。実は江戸の北寿も同じ房総で九十九里の地引網漁や銚子での鰹釣り船を絵にしている。が、残念ながら他はもっぱら江戸を題材にしたものばかり。やはり同名であるにもかかわらず、両者の接点が余りにも少ない点は不可解である。上総の北寿が作品の所在地から見て上総に集中しており、極めてローカルな活動範囲である点、さらに作品も絵馬に限られる点から見ると一層、両者の関係性が見えにくくなる。上総の北寿が果たして江戸の北寿の系列に属する門弟なのか、二代目あるいは三代目なのか…現状では判断の根拠となる史料が余りにも少な過ぎるだろう。両者の関係は今後の解明に待つほかあるまい。

 以下、主に南総公民館の解説を元にして上総の北寿が描いた市原の絵馬をとりあえず古い順に列挙してみよう。

・牛久三島神社「伊勢神宮参詣記念」絵馬:嘉永7年(1854)

・嶋穴神社寺社「源義家と安倍貞任問答図」絵馬:嘉永7年(1854)

・牛久三島神社「伊勢神宮参詣記念」絵馬:安政4年(1857)

・五井大宮神社「源義家と安倍貞任問答図」絵馬:文久元年(1861)

・五井大宮神社「伊勢神宮参詣図」絵馬:文久2年(1862)

・北青柳若宮八幡「寺社参詣図」絵馬:年代不明

・八幡飯香岡八幡「吉野合戦図」絵馬:年代不明

他の地域、千葉市緑区東光院「川中島合戦図」絵馬(元治元年=1864)や笠森観音(詳細不明)にも彼の絵馬が残るという。

§8.カッパの授業プリント例

9.特集「音楽は世界を変えられるか?」 NO.2

 

 以下は政治経済の特別授業計画の後半部分。

①喜劇王チャップリンの願い

・「チャップリンの独裁者」(1940)での床屋の演説

  チャップリンvs.ヒトラー

  great dictator speech charlie chaplin

  miyahoo  2006/06/04 604

・「スマイル」

   1936年のチャールズ・チャップリン(1889~1977)の映画『モダン・タイムス』で使用されたテーマ曲で、チャップリンが作曲した名曲。マイケル・ジャクソンなど多くのアーティストにカバーされている。1954年にジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞とタイトルを加えた。

 なおチャップリンは「テリーのテーマ」(エターナリー)や「This is My Song」の作曲も手掛けている。

 André Rieu & Jermaine Jackson - Smile

   André Rieu  2014/06/25 446

 マイケルの兄ジャーメインがマイケルの死後、歌った動画を視聴。

 エターナリー (映画ライムライト/チャップリン) --森山良子

   takeo toriyama  2020/06/04 2:11

   おそらくチャップリンは喜劇映画を通じて愛と平和とスマイルに満ちた世界の実現を夢見ていたのだろう。もちろんそれは夢みる乙女の描く空想、「エターナリー」の歌い上げる世界とさほど大差ない、現実離れした営みではある。そもそもがチャップリン自体、かなりの浮気者であったようだ。「エターナリー」は決して現実そのものではない。

   飢餓や戦争、自殺や犯罪の多発、憎しみと悲しみの尽きない過酷な現実が世界には存在している。しかし、それでもなお幸福な世界を夢見る、夢を見続ける事の大切さをチャップリンは説いているのではあるまいか。そしてただ単に夢見るだけではなく、その世界に向かって前進するためには敢えて戦うことも辞さない勇気と行動力をも彼は私たちに求めているのではないか。

 喜劇王チャップリンの持つ愛と勇気の両側面を私たちは忘れてはなるまい。

②忌野清志郎の「イマジン」(1989)9:09

 プリント穴埋め

③ボブ・ディラン「風に吹かれて」(1963)2:48

 ちなみにこの曲も忌野はカバーしている。

 プリント穴埋め

   

※他に反戦平和を訴えた曲としては「花はどこへ行った」(1955:ピート・シーガー)も有名。キング

 ストントリオが1961年、ピーター・ポール&マリーが1962年に相次いでカバーし大ヒット。

ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界

 グッドモーニング,ベトナム, What a Wonderful World シーン, 4K 高画質 

 音質 日本語 字幕 CC イエナオーディオ  2022/12/20  235

 プリント穴埋め

 

 映画は1987年、ロビン・ウィリアムズ主演。映画の主題歌とされたのがこの「素晴らしき世界」。ベトナム戦争を正面から批判したアメリカの傑作映画。

「Mr.Children「タガタメ」from Stadium Tour 2015 未完 Mr.Children   Official Channel  2016/03/08 7:09」

 最後に、この曲を視聴後、ガザ地区で行われている惨劇について世界は、私たちは何ができるのか、問いたい。

 「子供らを被害者に 加害者にもせずにこの街で暮らすため まず何をすべきだろう?」と歌詞にあるように自分たちが被害者になる可能性だけではなく、加害者側にもなりうることを前提にする必要が説かれている。すなわちここからは自分たちは被害者だから加害者への復讐を正当化できる、といったような復讐の論理をあらかじめ排除する、といった思考が見て取れる。

 この論理をガザ地区での出来事に当てはめてみれば、イスラエルはハマスへの過剰な武力報復を行うべきではないという結論になろうか。

 復讐は復讐を呼び、際限のない暴力を引き起こす。従って暴力の連鎖を断つにはまず武力的「復讐」、報復自体の全面否定をどうしても出発点としなければならない、と桜井氏は考えているようだ。これは専守防衛を旨とする日本国憲法の、当初の精神に近いだろう。

 とは言え、ウクライナでの戦争のように、独裁国家による一方的な侵略に対してはさすがに無抵抗でもいられまい。チャップリンが説いたように、毅然たる姿勢で独裁国家には臨むべきである。つまり侵略に対する抵抗は復讐とは違うものとして考えるべきなのだ。

 ところでヒトをはじめとする社会的生活を営む動物には集団の階層の上位に立とうとする激しい競争意識が本能的に埋め込まれているように思えるが、いかがだろう。またヒトともなれば群の連帯を強めるため、他の群との対抗意識や敵対意識を強める力が強く働くのではあるまいか。と同時に、群内の序列を確立し、集団の和を乱すものへの厳しい制裁を加える傾向が出てしまいがちになるのは社会的動物としてむしろ自然なことなのかもしれない。確かにスポーツに熱狂する人々が少なくないのはヒトが持つ闘争本能のなせる業だと思えなくもないのだ。

 ただ、そうした傾向が行き過ぎると集団内での不和、イジメが横行し、大きな集団間では戦争に発展してしまう…そのように考えればイジメや戦争自体がヒトという動物には必然的に生じがちな出来事と捉えられなくもないだろう。

 人類すべてが愛と平和と笑顔を保てるなら、どんなに幸福なことか…しかし生まれついて序列意識と闘争本能の盛んな人類にとって愛と平和と笑顔に満ちた社会を実現することは残念ながら生物学的観点からも至難の業というほかないような気がする。その難しさを踏まえたうえで、いかにしてイジメを減らし、戦争を減らしていくのか、有効で現実的な、ヒト社会にふさわしい方策こそが法制度や文化面で求められているのだろう。

 音楽はあくまでもそうした方策の一部として愛と平和と笑顔を求める動機付けに貢献するだけであり、当然のことであるが、音楽だけでイジメや戦争を減らしていくには不可能というほかあるまい。今、私たちが何をすべきなのかを戦略的に指し示すのはやはり音楽ではなく、知的戦略の側である。

 しかし音楽のテコ入れ抜きでヒトは動けるであろうか、動き続けられるであろうか。どんなに知的で合理的な戦略であってもヒトは本質的に感情的な生き物である。理屈だけ正しくともヒトの意欲はかき立てられまい。あるいは逆に「智に働けば角が立つ」結果をもたらすかもしれない。

 音楽は理性よりも情動に働きかけることでヒトを意欲的に動かす動力の一つにはなりうると考えられよう。音楽はとりあえず世界を変えるための数多い動力の一つにはなりうるのだ。

 ノーベル賞史上初めてミュージシャンが文学賞を受賞した背景に、もしかすると理屈や理想通りには動かない、情動的な人々の世界への、一つの有力なアプローチ手段として大衆的な音楽の役割が注目され始めた…のかもしれない。

 

 

 以下はプリントの原稿

 

・「床屋の演説」:チャールズ・チャップリン(1889~1977)の「独裁者」より

 ドタバタ喜劇の役者として知られたチャップリンはドイツやイタリア、日本のファシズムの動きを懸念し、喜劇映画の監督としてまた喜劇役者として全世界に向けて一世一代の舞台を設けた。1940年のことである。彼が監督・脚本し主演したこの映画のラストシーン6分間は「床屋の演説」として有名になったもの。演説の途中から彼が笑いを取ろうとする喜劇役者ではなくなり、笑い抜きの真剣な素の自分に戻っていく表情の変化が見て取れよう。

 ラストにいたるあらすじを紹介しておこう。舞台はヨーロッパの大国トメニア(ドイツのこと)。その独裁者アデノイド・ヒンケル(ヒトラーのこと)はユダヤ人排斥を旗印に世界制覇をもくろんでいた。一方、ユダヤ人ゲットーの床屋チャーリーはヒンケルと偶然にも瓜二つのそっくりさん。ふとしたことがきっかけでこの二人が入れ替わってしまう。そして床屋のチャーリーは大観衆の前で独裁者ヒンケルとして演説しなければならなくなる。

  

 申し訳ないが私は皇帝になどなりたくはない。支配も征服もしたくない。むしろできれば援助したい。ユダヤ人も黒人も白人も。人類は互いに助け合うべきである。他人の幸せを願うべきであり、互いに憎みあったりしてはならない。世界には全人類を養うに足る富がある。大地は豊かで恵み深い。人生は自由で楽しいはずなのに、貪欲が人類を毒し、憎悪をもたらし、悲劇と流血を招いた。人類にゆとりを与えてくれるはずの機械は貧富の格差を広げてしまった。知恵は人類を冷たく、薄情にした。

 賢さよりも優しさや思いやりが必要なのである。思いやりがなくなると暴力がはびこる。航空機とラジオは我々の間に横たわっていた距離を縮めた。それらは人類の良心に呼びかけて世界を一つにする力がある。私の声は全世界に伝わり、何百万もの失意の人々にも届いている。これらの人々は罪無くして苦しんでいる。人々は失望してはならない。

 貪欲はやがて姿を消し、恐怖もやがて消え去り、独裁者は死に絶える。大衆は再び権力を取り戻し、自由は決して失われぬ。

 兵士諸君、犠牲にはなるな。独裁者の奴隷になってはいけない。彼らは諸君を欺き、犠牲を強いて家畜のように追い回している。彼らは人間ではない。心も頭も機械に等しい。

 諸君は機械ではない。人間だ。心に愛を抱いている。愛を知らぬものだけが憎みあうのだ。独裁を排し、自由のために戦え。神の王国は人間の中にある。すべての人間の中に、諸君の中に。諸君は幸福を生み出す力を持っている。

 人生は美しく自由であり、すばらしいものだ。諸君の力を民主主義のために集結しよう。よき世界のために戦おう。若者に希望を与え、老人に保障を与えよう。

独裁者も同じ約束をした。だが彼らは約束を守らない。彼らの野心を満たし、大衆を奴隷にした。戦おう、約束を果たすために。世界に自由をもたらし、国境を取り除き、貪欲と憎悪を追放しよう。良識のために戦おう。文化の進歩が全人類を幸福に導くように。

 兵士諸君、民主主義のために団結しよう。

 

.忌野清志郎(1951~2009)の「イマジン」(9:09)

 忌野は1968年にRCサクセションというロックバンドを率いてミュージシャンへの道を歩みだした。1991年にバンドを解散後、ソロとして様々な活動に飛び込んでいく。過激な歌詞(原子力は要らねえ!電力は余ってる!etc)や君が代の編曲などで何度も放送禁止や発売中止の憂き目にあった。2006年、喉頭がんとなるが摘出手術は行わず、2008年に歌手活動を再開するもガンが転移し、翌2009年5月死去。「ロック葬」には43000人もの弔問者が集まったという。なおこの翌月にはマイケル・ジャクソンも亡くなっている。

 ここでは彼が尊敬してやまないレノンのイマジンを、まったく自己流の翻訳で歌い上げている映像を見てみよう。一見デタラメのようでいて見事に歌の核心を突いた素晴らしい意訳であると思う。最後までヤンチャで子供の魂を失わなかった忌野の「イマジン」。

 

 天国は無い ただ空があるだけ

 国境も無い ただ地球があるだけ

 みんながそう想えば簡単なこと さあ

 社会主義も 資本主義も 偉い人も 貧しい人も

 みんなが同じならば 簡単なこと さあ

 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 仲間がいるのさ

 誰かを憎んでも 派閥を作っても 頭の上には ただ空があるだけ

 みんながそう想うさ 簡単なこと

 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 仲間がいるのさ

 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 夢かもしれない でも君一人じゃない 一人ぼっちじゃない

 違う 仲間がいるのさ 

 夢かもしれない かもしれない かもしれない かもしれない

 夢じゃないかもしれない 君は一人じゃない

 違う 一人ぼっちじゃない

 ・・・以下略

 

4.ボブ・ディラン(1941~)の一曲「風に吹かれて」

 彼は1962年にレコードデビューして以降、常に若者のカリスマ的存在として注目されてきた。これまでにグラミー賞やアカデミー賞、ピューリッツァー賞特別賞など数々の賞を受賞し、「ロックの殿堂」入りも果たしている。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のソングライター」部門では第1位。ブルース・スプリングスティーンやジミ・ヘンドリックス、ルー・リード、日本の桑田佳祐ら数多くのミュージシャンに影響を与えてきた。

 「風に吹かれて」は1963年にリリース。ピーター・ポール&マリーのカバーで大ヒットとなり、作詞作曲したディランの名も一躍有名となった記念碑的一曲である。 

 1963年は8月にキング牧師の演説「I have a dream」の行われたワシントン大行進で公民権運動が最も高揚した時期にあたり、この歌は公民権運動の賛歌と呼ばれた。他方で11月には公民権運動をバックアップしてきたケネディ大統領が暗殺され、アメリカの行く末に暗雲が垂れこむ。以後、泥沼化していくベトナム戦争への反対運動の賛歌ともなり、P.P.M.以外にも数多くのアーティストがカバーして歌い継がれてきた。

 

 人はどれくらいの道を歩めば人として認められるのだろう?

 白い鳩はどれくらい海を越えれば砂浜で安らぐことができるのだろう?

 一体 どれほどの銃弾が飛び交えば殺戮は終わるのだろう?

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない。

 

 山が崩れて海となるまでに一体、どれほどの時が流れるのだろう?

 人は自由になるまでに一体、どれほどの時を必要とするのだろう?

 真実から目をそらさなくなるまでに

 人は一体、どれほど顔をそむけるのだろう。

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない。

 

 どれほど人は見上げなければならないのだろう?

  本当の空を見るために

 どれほど多くの耳を持たねばならないのだろう?

  他者の叫びが聞こえるようになるために

 どれほどの犠牲者を出さなければならないのだろう?

  その死が無益だと知るために

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない

 

5.ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」:プロテストしない「闘い」

 ルイ・アームストロング(1901~1971)はルイジアナ州で貧しい居住区に生まれた。子供のころ、ふざけてピストルを発射し少年院に入れられた。そこで彼はジャズの世界と出会う。1923年に楽団の一員となってミュージシャンの道に入るが、公演先では白人と一緒のホテルに泊まれず、劇場の入り口も別々という差別を体験。しかしトランペッターとしての技量に加え、持ち前のサービス精神、愛嬌のある笑顔と独特のハスキーボイスで人気者になり、「サッチモ」の愛称で親しまれた。

 「この素晴らしき世界」は1967年に発表されている。彼の晩年の代表作である。この当時、次第にベトナム戦争が泥沼化し、翌年にはキング牧師が暗殺された。黒人たちにとって新たな辛い時代の始まりに位置する。白人からも人気のあったアームストロングはそれまで政治的な立場を鮮明にしてこなかったこともあり、過激化していった公民権運動の側からは白人に媚びる「裏切り者」という見方もされていたという。しかしテレビ放映された1967年の彼を見たとき、彼なりの壮絶な「闘い」が密かにあったことが伝わってくる。ディランとはまったく異なる、一切プロテストしない静かで、しかも過酷な「闘い」。

 彼が後続の世代に託した思いとは何だろう?

 

 緑の木々が見える。赤いバラも咲いている。私とあなたのために。

 そして私は思う。なんてすばらしい世界なんだろう。

 青い空に白い雲。明るくうららかな日。暗く厳かな夜。

 そして私はひとり思う。なんてすばらしい世界なんだろう。

 虹の色は空に映えて行きかう人の顔を照らす。

 友人たちが手を振って挨拶してくれる。

 本当は「あなたが大好き」って言ってるんだ。

 赤ちゃんが泣いている。彼らの成長を見守ろう。

 きっと彼らは私なんかよりずっとたくさんのことを学ぶんだ。

 そして私はしみじみ思う。なんて素晴らしい世界なんだろう。

 

 以下は実際のプリント資料

 

特集 続 音楽は世界を変えられるか? NO.2

  )組(  )番(          

 

・「床屋の演説」:        (1889~1977)の「独裁者」より

 ドタバタ喜劇の役者として知られたチャップリンは(     )やイタリア、日本の(       )の動きを懸念し、喜劇映画の監督としてまた喜劇役者として全世界に向けて一世一代の舞台を設けた。(     )年のことである。彼が監督・脚本し主演したこの映画のラストシーン6分間は「床屋の演説」として有名になったもの。演説の途中から彼が笑いを取ろうとする喜劇役者ではなくなり、笑い抜きの真剣な素の自分に戻っていく表情の変化が見て取れよう。

 ※チャップリンは大の親日家であったため、身の回りの世話をするのはすべて日本人にしていたほ

  ど。彼は(    )年5月14日に来日している。翌日、(      )首相と懇談するスケジ

  ュールも組んでいた。実はチャップリンはアメリカ資本主義の手先として海軍皇道派の暗殺対象で

  あったという。つまり彼の日程に合わせて(     )事件は発生したという説がある。幸い、

  チャップリンは首相との懇談を直前にキャンセルして歌舞伎鑑賞へ出かけたため、殺されずに済ん

  だらしい。彼のこうした経験もこの映画に生かされているのだろう。

 

 ラストにいたるあらすじを紹介しておこう。舞台はヨーロッパの大国トメニア(ドイツのこと)。その独裁者アデノイド・ヒンケル(      のこと)は

     )人排斥を旗印に世界制覇をもくろんでいた。一方、ユダヤ人ゲットーの床屋チャーリーはヒンケルと偶然にも瓜二つのそっくりさん。ふとしたことがきっかけでこの二人が入れ替わってしまう。そして床屋のチャーリーは大観衆の前で独裁者ヒンケルとして演説しなければならなくなる。

  

 申し訳ないが私は皇帝になどなりたくはない。支配も征服もしたくない。むしろできれば援助したい。ユダヤ人も黒人も白人も。人類は互いに助け合うべきである。他人の幸せを願うべきであり、互いに憎みあったりしてはならない。

 世界には全人類を養うに足る富がある。大地は豊かで恵み深い。人生は自由で楽しいはずなのに、(    )が人類を毒し、憎悪をもたらし、悲劇と流血を招いた。人類にゆとりを与えてくれるはずの(    )は貧富の格差を広げてしまった。

    )は人類を冷たく、薄情にした。

 賢さよりも(     )や思いやりが必要なのである。思いやりがなくなると暴力がはびこる。航空機とラジオは我々の間に横たわっていた距離を縮めた。それらは人類の良心に呼びかけて(        )にする力がある。私の声は全世界に伝わり、何百万もの失意の人々にも届いている。これらの人々は罪無くして苦しんでいる。でも失望してはならない。

 貪欲はやがて姿を消し、恐怖もやがて消え去り、独裁者は死に絶える。大衆は再び権力を取り戻し、(    )は決して失われはしない。

 兵士諸君、犠牲にはなるな。独裁者の奴隷になってはいけない。彼らは諸君を欺き、犠牲を強いて家畜のように追い回している。彼らは人間ではない。心も頭も機械に等しい。

 諸君は機械ではない。人間だ。心に(   )を抱いている。愛を知らぬものだけが憎みあうのだ。独裁を排し、自由のために戦え。神の王国は人間の中にある。すべての人間の中に、諸君の中に。諸君は幸福を生み出す力を持っている。

 人生は美しく自由であり、すばらしいものだ。諸君の力を民主主義のために集結しよう。よき世界のために戦おう。若者に希望を与え、老人に保障を与えよう。

 独裁者も同じ約束をした。だが彼らは約束を守らない。彼らの(    )を満たし、大衆を奴隷にした。戦おう、約束を果たすために。世界に自由をもたらし、

    )を取り除き、貪欲と(    )を追放しよう。良識のために戦おう。文化の進歩が全人類を幸福に導くように。

 兵士諸君、(       )のために団結しよう。

 

・忌野清志郎(1951~2009)の「イマジン」

 忌野は1968年にRCサクセションというロックバンドを率いてミュージシャンへの道を歩みだした。1991年にバンドを解散後、ソロとして様々な活動に飛び込んでいく。過激な歌詞(     は要らねえ!電力は余ってる!etc)や      の編曲などで何度も放送禁止や発売中止の憂き目にあった。

 2006年、喉頭がんとなるが摘出手術は行わず、2008年に歌手活動を再開するもガンが転移し、翌2009年5月死去。「ロック葬」には43000人もの弔問者が集まったという。なおこの翌月にはマイケル・ジャクソンも亡くなっている。

 ここでは彼が尊敬してやまないジョン・レノンのイマジンを、まったく自己流の翻訳で歌い上げている映像を見てみよう。一見デタラメのようでいて見事に歌の核心を突いた素晴らしい意訳。決してただのカバーでは終わらない、終わらせない、最後までヤンチャで子供の魂を失わなかった忌野の「イマジン」。

 

 天国は無い ただ空があるだけ

 国境も無い ただ(    )があるだけ

 みんながそう想えば簡単なこと さあ

 社会主義も (    )主義も (    )人も 貧しい人も

 (        )ならば 簡単なこと さあ

 (   )かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 (         

 誰かを憎んでも 派閥を作っても 頭の上には ただ空があるだけ

 みんながそう想うさ 簡単なこと

 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 仲間がいるのさ

 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない

 夢かもしれない でも君一人じゃない 一人ぼっちじゃない

 違う 仲間がいるのさ 

 夢かもしれない かもしれない かもしれない かもしれない

 夢じゃないかもしれない 君は一人じゃない

 違う 一人ぼっちじゃない

 ・・・以下略

 

4.ボブ・ディラン(1941~)の一曲「風に吹かれて」

 ディランは1962年にデビューして以降、常に(           )的存在として注目されてきた。これまでにグラミー賞やアカデミー賞、ピューリッツァー賞特別賞など数々の賞を受賞し、「ロックの殿堂」入りも果たしている。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のソングライター」部門では第1位。ブルース・スプリングスティーンやジミ・ヘンドリックス、ルー・リード、日本の桑田佳祐ら数多くのミュージシャンに影響を与えてきたといわれる。

 「風に吹かれて」は1963年にリリース。ピーター・ポール&マリーのカバーで大ヒットとなり、作詞作曲したディランの名も一躍有名となった記念碑的一曲である。1963年は8月に(     )牧師の演説「I have a dream」の行われた(       )大行進で(     )運動が最も高揚した時期にあたり、この歌は公民権運動の賛歌と呼ばれた。他方で11月には公民権運動をバックアップしてきた(      )大統領が暗殺され、アメリカの行く末に暗雲が垂れこむ。以後、泥沼化した(      )戦争への反対運動の賛歌ともなり、P.P.M.以外にも数多くのアーティストがカバーして歌い継がれてきた。

 

 人はどれくらいの道を歩めば人として認められるのだろう?

 白い鳩はどれくらい海を越えれば砂浜で安らぐことができるのだろう?

 一体 どれほどの(    )が飛び交えば殺戮は終わるのだろう?

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない。

 

 山が崩れて海となるまでに一体、どれほどの時が流れるのだろう?

 人は自由になるまでに一体、どれほどの時を必要とするのだろう?

 真実から目をそらさなくなるまでに

 人は一体、どれほど顔をそむけるのだろう。

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない。

 

 どれほど人は見上げなければならないのだろう?

  本当の空を見るために

 どれほど多くの耳を持たねばならないのだろう?

  (        )が聞こえるようになるために

 どれほどの犠牲者を出さなければならないのだろう?

  その死が無益だと知るために

 その答えは風に吹かれて誰にもつかめない

 

5.ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」:プロテストしない「闘い」

 ルイ・アームストロング(1901~1971)はアメリカのルイジアナ州で貧しい居住区に生まれた。子供のころ、ふざけてピストルを発射し少年院に入れられ、そこで彼はジャズの世界と出会う。

 1923年に楽団の一員となってミュージシャンの道に入るが、公演先では白人と一緒のホテルに泊まれず、劇場の入り口も別々という(      )を体験。しかしトランペッターとしての卓越した技量に加え、持ち前のサービス精神、愛嬌のある笑顔と独特のハスキーボイスで人気者になり、「サッチモ」の愛称で親しまれた。

 「この素晴らしき世界」は1967年に発表されている。彼の晩年の代表作である。当時、次第にベトナム戦争が泥沼化し、翌年には(    )牧師が暗殺された。黒人たちにとって新たな辛い時代の始まりに位置する。白人からも人気のあったアームストロングはそれまで政治的な立場を鮮明にしてこなかったこともあり、過激化していった(     )運動の側からは白人に媚びる「裏切り者」という見方もされていたという。

 若くてクールに見えるマイルス・デイビスに対して陽気なアームストロングは卑屈に見えてしまったようである。しかしテレビ放映された1967年の彼を見たとき、彼なりの壮絶な「闘い」が密かにあったことが伝わってくる。ディランとはまったく異なる、一切(       )しない、静かで過酷な「闘い」…

 彼が後続の世代に託した思いとは何だったのだろう?

 

 緑の木々が見える。赤いバラも咲いている。私とあなたのために。

 そして私は思う。なんてすばらしい世界なんだって。

 青い空に白い雲。明るくうららかな日。暗く厳かな夜。

 そして私はひとり思う。なんてすばらしい世界なんだって。

 虹の色は空に映えて行きかう人の顔を照らす。

 友人たちが手を振って挨拶してくれる。

 本当は「あなたが大好き」って言ってるんだ。

 赤ちゃんが泣いている。彼らの成長を見守ろう。

 きっと彼らは私なんかよりずっとたくさんのことを学ぶんだ。

 そして私はしみじみ思う。なんて素晴らしい世界なんだろう。