その7.③学校のウソ臭さ

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・みなかみ町の児童下半身検診事件

【群馬県みなかみ町】「いきなり下着をめくってヘアを確認」学校健診でやりたい

   放題事件…卑劣医師の見分け方   アサ芸プラス によるストーリー 2024.6.11

なぜ?小学校の健康診断で医師が女子児童の下半身をのぞく 群馬県みなかみ町 下半

 身触診も…「本当に必要なのか」保護者からは不安の声相次ぐ

 日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.6.7

健康診断で“下半身見られた” 教育委など謝罪「プライバシーや心情に配慮できず」

 日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.6.8

学校の健診で「下半身見られた」複数児童訴え 医師「成長みるため」

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.8

小学校の検診で下着めくって下腹部確認 医師「必要な対応だった」 群馬・みなかみ

 町 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.6.8

健康診断“下半身見られた” 男子児童「パンツごと引っ張られて…」 保護者会で謝罪

 は? 保護者「医師をやめてほしい」

 日テレNEWS NNN によるストーリー  2024.6.8

日医「診察は妥当だが事前説明必要」 児童健診問題で文科省と協議へ

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.19

 「診察は妥当」とする日本医師会の判断に驚きあきれるほかない。これは誰がどう見ても学校検診に名を借りた変態行為であり、医者という社会的地位を悪用した犯罪そのものである。事前説明の有無を問うことすらほとんど無意味だろう。高い社会的地位に胡坐をかいた一部の医師たちの傲慢さがうかがえる。

 仮に婦人科の検診であっても、病院側からの事前の説明や患者への了解なく、医師がいきなり下着を下ろしたとしたら、それはもちろん犯罪と見なすべきである。まして相手は小学校の高学年であり、自分の身体的変化に恥ずかしさを強くおぼえる、最も敏感なお年頃である。たとえどんな事前説明があったとしても児童全員を対象とする、子どもに拒否権の無い集団検診においては決して許される行為ではない。

 ベテランの医者という社会的地位に対しては大人でさえ気持ち的に逆らい難い、心理的劣位に置かれがちになる。小学生ならばなおさらだ。検診という名目で酷いことをされてもすぐには逆らえないのは当然である。たとえ個人的治療であっても児童に対しては大人以上の配慮が求められるのは言うまでもない。ましてこれは学校で行われる集団検診なのである。同室の教師や前後の同級生たちの気配を感じながら、児童がこの「検診」で何を思ったのか、想像するだけで切なくなる。

 個人のプライバシーを部分的に目にする特権を持つ専門家にはそれ相応の専門的知識や技術に加えて高い倫理性が要求される。だからこそ彼らは高い報酬を得られるのだ。そして当然のことながら、専門家集団には付与された特権に相応するだけの厳しい自浄能力が備わっている必要がある。そうした高い技術と倫理性を持つ集団の一員だと信じるからこそ、私たちは医者や弁護士などに自分のプライバシーの一部をさらけだすことができるのだ。今回の医師の行いは明らかな信用失墜行為であり、むしろ日本医師会自らこの医師に厳しい処分を科すべきケースなのだ。身内の庇い合いをするような、馴れ合いの集団は専門家の名に値しないだろう。

 精神的なショックから泣き出す児童まで出現させてしまった今回の卑劣な行為を診察として「妥当」とする日本医師会の専門家としての判断力、および組織の自浄能力の無さがまたもや露呈してしまったと見るがいかがか。やはりこの団体、精神科医療の闇を抱える、怪しい似非専門家集団、ただの政治的圧力団体に過ぎないらしい。この件で傷ついた児童の側に専門家としてきちんと寄り添えないようでは、彼らはもはや特権的専門家集団としての資格を完全に失っているというほかあるまい。

 だとすれば目の前で行われたこの医師の犯罪を制止できず、最後まで検診を続けさせて結果的に多くの児童を不快にさせ、傷つけてしまった学校側の責任も決して軽くはあるまい。保護者の信頼をも裏切ったからだ。教師もまた教育の専門家として児童を見守り、教育するという点で児童生徒や保護者のプライバシーの一部を目にする特権を付与された存在である。当然、教師たちにもそれ相応の高い判断力と倫理性が求められる。それがなければ学校が長時間、児童生徒を預かる資格はあるまい。

 この問題で問われているのはそれぞれの専門家としての能力と責任のあり方であるはずだ。私たちは今一度、専門職とはどうあるべきなのか、しっかりと考え直してみなければなるまい。

群馬の学校健診問題で注目 見落としがちな「思春期早発症」の怖さ

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.30

 驚くほどトンチンカンな記事である。どれほど「思春期早発症」が怖いものであっても、この医師の行為は変態そのものであり、大人のお医者さんごっこと見紛う低レベルのものだろう。泣き出した児童の出現時、直ちに下半身の検診を止められなかった医師及び臨席していた教師たちの判断力自体がまず厳しく問われなければなるまい。それに関する責任問題は思春期早発症の怖さとは完全に無関係であり、この行為自体を何一つ正当化するものではないだろう。

 繰り返すが、親から委託された100人近くの無防備な児童をこのような恐怖と恥辱に直面させてしまった教師たちの責任は決して軽くない。相手が医者といえどもその変態行為から児童を守れなかった大人の責任は決して「教育」や「検診」の名のもとに軽減されるものではないのだ。

 かつては気になった児童を個別に呼び出して丁寧に説明し、了解をとりつけてから行っていたと言われる下半身の検診を、そもそも件の医者が今回、なぜ説明も了解もなしに、しかも泣き出す児童がいたにもかかわらず、乱暴にも最後まで強行してしまったのか。その判断は一体どこからきているのか、校長や教育委員会は厳しく繰り返し問いただすべきなのである。

 次に教師たちはなぜ、泣き出す児童を放置して最後まで医師の下半身検診を黙認してしまったのか。その判断が一体どこからきているのか、やはり校長や教育委員会は再発防止のためにも厳しく問いただすべきだったのだ。

 最低でも以上の手続きがまずはとられなければ、保護者も児童も納得が出来ないだろう。とりわけ、在校時の児童を守る、という重大な任務を一時的にも放棄してしまった学校教師たちである。このままでは彼らが自ら一旦崩してしまった保護者、児童との信頼関係を再構築することは不可能ではないのか。

   ※参考記事

  〇「低学力」「だらしない」と生徒の特徴記した資料、札幌市立中学校で流出…市教委「配慮欠く

   表現」 読売新聞 によるストーリー 2024.6.21

   教育の専門家であるとされているからこそ、教師には児童生徒のプライバシーにかかわる情報の

   一部に接することが許されている。保護者もまた教師の専門的能力を多かれ少なかれ信じている

   からこそ子供たちを学校に長時間預けている。

    そしてこのことへの十分な自覚が教師たちに足りないからこそ学校はたびたび児童生徒のプラ

   イバシーや人権を踏みにじるような過失や犯罪を犯してしまうのではあるまいか。過去の膨大な

   数にのぼる学校での事故、事件を振り返るとやはり、大学での教員養成教育の不十分さを痛感せ

   ざるを得ない。

    日本の学校の現状を直視すれば、専門職としてふさわしい教育を教師たちは大学できちんと受

   けてきたのだろうか…目の前にいる人々が教育に関する深い知識と優れた技術を身につけている

   本当の教師たちなのかどうか、心底疑われてしまっても仕方ないのではあるまいか。

「健康診断で下半身を触られた」 児童18人が不快感 北九州市

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.12

 こうした事例は今後も発生するおそれがある。これはどう見てみても明らかな犯罪行為であり、今、毅然とした対応を取らなければ似たような事件が各学校で続発するに違いない。現在の学校現場はどこもかしこも悪質なイジメとイジメの隠蔽が野放しで横行してしまうほど、ある種の無政府状態、無法状態にあるからだ。

 ひとたびその場を「教育」という名の魔法のベールで覆うことが出来ればそこは警察がほとんど介入できない聖域と化し、あたかも法の埒外となるかのよう…学校という場で密かに働く、外部からは見えにくい特殊で強力な歪んだ力学の存在をこそ、公の場にさらけだす努力と工夫が今ほど必要となっている時代はあるまい。

 ※参考動画

      【学校の健康診断で上半身裸】国が『子供の気持ちに配慮を』と通知 医師は「着衣でも診察に

          問題ない」ただ、学校医にもつらい事情あり「胸を見せずに診察できる最新機器欲しいが予算

          が、、、」  カンテレNEWS 2024/02/16 9:47

         文科省からの通知が出ていたはずなのに、みなかみ町などではまったく通知が周知されていなか

   ったことが分かる。日本医師会の見解は文科省の通知を無視したものであり、耳を貸す必要はあ

   るまい。当然の事、みなかみ町の医師の検診は破廉恥行為として罰せられるべき物であろう。

  ◎小学校でパンツの中をのぞく“不適切検診” 教育委員会が謝罪 医師「ショックを受けると思っ

   ていなかった」【news23】|TBS NEWS DIG Powered by JNN  2024/06/08  2:14

  【上裸】なぜ服を脱ぐ?異変を見落とす?なぜ男性医師が多い?プライベートゾーンどう診る?

   学校検診を議論|アベプラ ABEMA Prime #アベプラ【公式】  2024/06/11  18:10

   徴兵検査を連想させる半強制的な検査方法の問題点は明らかであろう。日本医師会の見解は時代

   遅れのものであり、老害臭が漂ってくる。もっと児童生徒側の意見に寄り添う必要がある。

 

 授業で取り上げれば、似たような経験を口にする生徒が少なからず出てくるかもしれない。今回の件は経験上、氷山の一角に過ぎない、と感じている。ぜひ討論の題材にしてみてはいかがか。予想以上に活発な意見が飛び交う可能性はあるだろう。

 仮に内科医がこうした明らかな逸脱行為を自分の病院で繰り返し行っていたとしたら、事態はどう進展していたのだろう。おそらく憤慨した保護者の一部が直ちに警察へ通報し、医師は遅かれ早かれ逮捕されていたのではあるまいか。

 医師の意見の中には、そうした検診を30年ほど前まで行っていた、専門的な関心からの行為であり、性的な興味に基づくものではない、などとして内科医を擁護する、まさに仲間内の庇い合いのような醜い意見も散見される。が、検診対象が面と向かって抗議しにくい児童という弱い立場にある点や、予告もなしに下着を下げるという、明らかな違法行為を簡単に見逃して良いはずはない。元高級官僚で「上級国民」と揶揄された飯塚氏の事件(車を暴走させて母子を二人死亡させた)と同様、たとえ元大学教授の肩書を持つ性的成熟に関する内分泌の専門家であったとしても決して許せる行為ではあるまい。

 ならば学校側はなぜ、この明らかな逸脱行為、違法行為を直ちに制止できなかったのか、警察に通報しなかったのか…児童らの保護者が臨席できない現場で児童への違法行為が生じた場合、教師たちには保護者の代理人として大切な児童生徒の心身の安全を守るべく、被害が拡大する前にせめてその行為を制止する程度の義務はあったはずだ。しかしこの件が発覚したのは児童が保護者に訴え出てからである。児童が誰一人教師たちに訴えていなかったとは思えまい(もし訴えていなかったとしたらそれはそれで児童と教師との信頼関係に大きな問題があったことが疑われよう)。また医師や教師による内科検診時の盗撮事件が立て続けにあった事などで、近年はこうした検診に必ず養護教諭らが立ち会うようになってきている。今回は養護教師以外に女性教師も一人立ち会っていたというから驚きである。しかも泣き出した児童までいたのだから養護教諭や担当教師らが何も知らない、自分の責任ではない、で済むはずがない。

 ここで問われるのはこうした犯罪行為が、なぜ学校という場では衆人環視の場で白昼堂々と行われ、かつ見過ごされたり、対応が先送りされたりする傾向が見られるのか、という点である。おそらく件の医師は相手は小学生であり、しかも学校というブラックボックス化した場にあれば大抵のことは見過ごされるだろうとタカをくくり、大胆にもこうした逸脱行動に走ったに違いあるまい。

 「事前に了解を得るべきだった」と平気で述べる会見を見るとこの医師にまともな反省の念は微塵も見られず、そのふてぶてしさから多くの余罪があると見られてしまっても仕方ない。少なくとも近年のコンプライアンスの変化に対応できなくなった、いわゆる「老害」医師の一人に過ぎないことだけは間違いあるまい。仮に件の医師に認知症の疑いがあるのならば医療行為全般から直ちに手を引くべきであろう。繰り返しになるが、この件は現代の日本で誰がどう見ても事前の了解すら得られるはずのない、あくまでも常識はずれの変態行為に過ぎない。

 学校現場で相次ぐ性加害、イジメ、暴言暴行さらにはそうしたことの隠蔽が繰り返し行われてしまう要因の一つとして「学校」という場をあたかも治外法権の場であるかのように錯覚させてしまうほどに何か特殊で強力な、場の力のようなものを私たちは学校に想定したくなってくる。

 元教師としてはこの場の力を生み出す最たるものが「ほうれんそう」(「報告・連絡・相談」の略称)という言葉に象徴される官僚制にありがちな上意下達的、管理主義的システムだと考える。大きな問題が生じた場合、教師は個人で判断せず、まず同僚、上司、そして管理職に報告し、その対応に関する指示を待つ。深刻なケースと判断されれば管理職はさらに教育委員会に報告し、その対応に関する指示を待つ…といった具合。これでは肝心の問題解決はどんどん先送りされてしまうだろう。たとえ教師側に即断即決が求められる事態でも、学校の責任が強く問われるようなケースでは「ほうれんそう」が順守されるため、学校の判断がどうしても遅れがちになるのだ。

 今回の件は残念ながら子どもたちや保護者の間に学校に対する大きな不信感を残すだろう。仮に近くにいた教師がいち早く行動していたならば、間違いなく被害者の数は最小限の人数で済んでいたはずである。したがって教師たちの責任は極めて重大であり、なぜ素早く動こうとしなかったのか、厳しくその判断を問われるべきである。どうみても当事者としての責任は免れまい。しかし、他方で教師を取り巻く強烈な場の力、歪んだ管理主義の力学にもぜひ思いをはせていただきたい。これは明らかに教育行政のあり方の問題でもあるのだ。

 何と教育委員会は検診の内容を事前に知らせて学校医を替えるとのことだが、その程度の対応で納得できる人は極めて少ないだろう。当該教師への厳しい指導すら口にしない…変に教師たちをかばう、こうした教育委員会の気色悪い内向きの姿勢が教師たちの自主性、責任感、当事者意識を損なうだけでなく、児童生徒の人権への配慮の乏しさをも学校現場に蔓延させているのではあるまいか。

 私たちは「教育」という名の営為に覆われた玉虫色のベールの裏側で実際には何が行われているのか、しっかりと監視しなければならなかったのだ。「教育」という美名に接した刹那、私たちの目は誰もが完全な節穴となるか、少なくとも酷く曇らされがちになる…この点は心しておくべきだろう。

 

この社会はまるで「寄生虫」のよう…いつのまにか「わたし」に侵入して内側から

 変えてしまう「おぞましい実態」現代ビジネス 

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) の意見  2024.5.25

「一回いじめたら、止められない」「何か暴走してしまう」…意外と知らない「い

 じめの構造」現代ビジネス

 内藤 朝雄(明治大学准教授・いじめ問題研究) の意見 2024.5.25

 学校が果たしている社会的機能の一つ「社会化」のブラックな側面を寄主に対する寄生虫の不気味な影響力にたとえてみるのはイメージしやすくて効果的だろう。学校のどんなところが寄生虫の影響力と同じような不気味な感染力を持っているのか、生徒たちに問いかけてみたい。少なくとも学校とは「善」なるものと頭から決めつけて思考停止に陥っている生徒たちには刺激的な問いかけになるだろう。

<著者は語る>データの独裁許すな 『ヤバい統計 政府、政治家、世論はなぜ数字に

 騙(だま)されるのか』 統計学者 ジョージナ・スタージさん

 東京新聞 2024.4.28

 統計のウソを見抜くことは難しいが、常に疑ってかかる姿勢は保つべきだろう。特に政府、文科省の統計は怪しい限り。つまり「検定」なるものを通過した教科書や資料集ですら、全面的に信用するのは間違いだろう。授業では年度初めにこの記事を読ませ、統計資料の安易な利用に釘を刺しておきたい。

 とはいえ、政財界によるバイアスのあまりかからない、ごく基本的な統計資料(人口統計など)はきわめて有用なデータであり、こうしたデータをどれだけ授業に生かせていけるかが、教師の腕の見せ所でもあろう。

体罰を訴えた保護者アンケートを破棄して偽造 小学教諭を処分 岩手

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.6.17

 アンケート調査の危うさはこうしたデータの偽造が絡むと一層厄介である。教師の評価が絡む児童や保護者向けのアンケートを教師自身が分析するのはやはり、やめた方が良いだろう。分析は保護者会や生徒会で行った方がデータの信頼性は高まる。回答者が忖度なしの評価をできるような条件を十分に満たさないアンケートならば行わない方が良い。安易な設計のアンケートは危険なだけで、悪用されかねない。

無意識に行動を操られる「ダークパターン」の危険 「妨害」「こっそり」など知るべき7

 つの悪質手口 東洋経済オンライン 酒井 麻里子 の意見 2024.4

 この知識は児童生徒たちがネット詐欺の被害に遭わないために必要な知識になるだろう。加えてこれまで学校教育で行われてきた「教育」という美名に隠れたある種の「洗脳」を自覚する上で役立つ知識だと思うが、いかがか。

 かつて教育社会学では学校での制服や男女別名簿、教壇などが無意識的に児童生徒に及ぼす影響を検証する研究がP.ウッズ(イギリス)らによって盛んに行われていた。つまり児童生徒を無意識的に一定の方向へとコントロールするある種の政治的目論見、「ダークパターン」の研究があったのだ。

 これはフランスのM.フーコーらの監獄への考察にも通ずるもので、軍隊由来の校舎や制服、体育での整列や行進と軍隊、刑務所との類似性が指摘されていた。たとえば日本ではランドセル、セーラー服、詰襟の制服、「気を付け」の号令と「休め」の姿勢などはいずれも軍隊由来のものであった。明治期に掲げられた「国民皆学」と「国民皆兵」というスローガンは近代的国民国家の形成と「富国強兵」を急ぐ明治政府の民衆に対するある種の洗脳政策といっても過言では無かったはず。

 今、学校教育を通じてどのような「洗脳」が行われているのか、冷静に振り返る視点は教師だけでなく、実際に「洗脳」の被害を被っている児童生徒たちにも「解毒」のために必要となっていると私は考えている。

 

名古屋市教委の金品授受、総額1300万円超に…検証チーム「癒着と映らないか

   との視点が欠落」 読売新聞 によるストーリー 2024.3.30

 文科省の官僚だった寺脇氏が「…推薦名簿がまかり通っていたことも驚きだ」と指摘していることに驚く。文科省にいた人物が「推薦名簿」すら知らぬこと自体、恥ずかしい事だろう。学校現場の事を知ろうとしない人物が平気で官僚を務めている文科省というお役所のオワコンぶりに私はむしろ興冷めしてしまう。文科省がこんなテイタラクだから教育現場での不祥事が絶えないのではあるまいか。官僚たちの学校現場に対する無関心、無知、勉強不足こそが諸悪の根源なのかもしれない。

元校長らへの人事案「内覧」会合費にも支出 名古屋市教委の金品授受

   朝日新聞社 によるストーリー 2024.3.29

金品の授受に関しては公にされると良くない、との認識が関係者の間で共有されていたという。同様の話はかつて名古屋に限らず、全国的にあったはずで、教員に採用されるためには教育委員会の有力者に金品を送るのが必須だった県があるとも聞いている。しかし声高にコンプラが叫ばれている現在、この悪習はとっくの昔に無くなっているものと不覚にも私自身、思っていた。まさに「不適切にもほどがある」ということだ。

 とはいえ数々のイジメ事件隠蔽など、大きな不祥事を繰り返してきたこれまでの学校社会の異様さを思えば、この程度の事があったとしてもさほど驚くほどのことではあるまい。世界や時代の進展に背を向け、百年一日のごとく因循姑息な、馴れ合いだらけの村社会に安住してきた日本の学校教育である。おそらく同様の風習を続けてきた市町村が他にもあるに違いない。

 実は日本の学校社会全体が政治家の世界に負けず劣らず、とっくの昔に「不適切にもほどがある」状態であったはず。政治家の裏金問題は教育委員会の裏金問題とよく似た構造をはらんでいるのではあるまいか。

公教育のモデルつくるつもりが「法令違反」 奈教大付小教員の嘆き

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.5

「文科省の二枚舌」元次官も憤慨、奈良県の教員“総取り替え”騒動で注目「学習指

 導要領は憲法違反?」SmartFLASH によるストーリー 2024.4.4

 前川氏の意見に同感である。20年以上前のことだが、君が代の歌詞を授業で教えていたら県教委のメンバーからそこまで教えなくともよい、との指導を受けてガッカリさせられたことがある。君が代をどのように、どこまで教えるべきなのかといった判断が文科省から明確に示されることなく、たかが教員委員会のメンバー一人の主観で指導を受けたことにも強い反発を覚える。

 そもそも君が代の歌詞を高校の生徒たちがこれまで一人も知らなかったこと自体、本来ならば大問題なはず。学校で歌うことを強制している「国歌」の歌詞と意味を学校ではきちんと教えてはならない、というような、ありえないほどの珍妙な指導がまかり通る教育行政の不思議さに国民はもう少し気付くべきだろう。

 一方で確かに義務教育段階では多少の統制が必要であり、学校や教師の間で教える内容に大差があるのは問題。しかし今回の件では大綱にすぎない学習指導要領があたかも「神の言葉」と敬われた大日本帝国憲法であるかのような仰々しさで金科玉条のごとく奉られている印象を受ける。これは教育界に戦時中の超国家主義的な発想がいまだ生き残っている証拠ではないのか。しかも文科省がズカズカと一学校の校内人事に全面介入するほどの逸脱が本当にこの小学校に存在していたのだろうか…怪しい限りである。仮に大学や文科省の今回の判断が正しいとするならば、かつて私が教えていた高校生たちに小中学校時代、しっかりと君が代の歌詞を教えてこなかった千葉県の小中学校の教師たちの方こそ厳しく処罰されるべきであろう。

 きっと文科省の指導の背景には政府与党の強い指導があったに違いない。だとすれば教育における政治的中立性を守るべき文科省や国立大学がいとも容易に政治的圧力に屈し、教員の半数を転出させるという違法なレベルでの厳しい人事介入を行った…すなわち政治的中立性の順守を謳った憲法や教育基本法を厳守すべき文科省が自らそれに違反するような指導を行った、ないしは黙認したということではないのか。

 やはりこの役所の堕落ぶりは想像を絶している。

「不登校の原因はいじめ=0.2%」という文科省と学校を信用できないワケ

   JBpress 石井 志昂,湯浅 大輝 によるストーリー 2023.8.18

 現場に長くいた人間からすれば、この手の調査結果は全くと言って良いほど信用できないに決まっている。

公立小・中学でのいじめ認知件数 自治体間で最大30倍の格差

 毎日新聞 によるストーリー 2023.6.21

 学校によってはイジメ認知件数がゼロのところもあったという。もちろん現実的に見て「ゼロ」はありえない数字である。といっても別に驚くことはあるまい。市町村によっては学校からの報告に虚偽が含まれるのは当たり前であり、むしろ普通のことではないのか。管理職が自らを不利にするような報告をお上にあげるわけがない、と思うのが教育界の常識。

   全国学力テストの結果がほぼほぼ信用できないのと同様に、学校の上っ面をフワッとなでる程度の安易な手法による報告や調査で学校現場の実態がつかめる、と思う方が今やあまりにも能天気なのだ。

 いや、もとより調査を命じた側も「やってます」感を演出するためだけに嫌々、調査を行なわせているに過ぎないはず。でなければ神戸市のようにイジメ事件の隠蔽が学校や教育委員会の中で執拗に繰り返されるはずがないのである。

   逆に文科省が各教育委員会や学校の牢固な隠蔽体質を知らぬわけがあるまい。所詮は「同じ穴のむじな」、この調査自体が国民を欺くだけの、ただの茶番だと思うべきだろう。

 

   しかし、こうしたアリバイ作りを主な目的とする虚しいだけの仕事だからといって決して侮ってはいけない。学校のブラック化はお上から送り付けてくるアリバイ作りのためだけのような文書の山が生み出している側面もあるからだ。

   教員不足が問題視される以前から指摘されていたのが、学校における管理職希望者の減少であった。実際、傍から見ていても教頭や教務主任の仕事量は異常なほど多く多岐にわたってきている。

 管理職として必要とされる能力はもはや学校教育への深い理解や豊富な経験、授業の力などではなく、膨大な事務仕事を滞りなく表面的にスマートにこなす事務処理能力の高さに特化してきているという印象が強い。

 形骸化した事務仕事の削減は文科省以下、すべての部署に共通した切実な願いとなっているはずだ。そしてこの願いが実現するためには予算と人員の増大が必要不可欠であることは言うまでもなく、しかも予算増の可能性は現政権下、限りなくゼロに近い。こうしたことに由来する先の見えない絶望感こそが現今、多くの教師の心身を追い詰めている最大の元凶なのではあるまいか。

いじめで不登校、学校からの認知報告は卒業後 保護者は再調査求める

 朝日新聞社 によるストーリー 2024.4.4

 一体、いつになったらこの手の問題が無くなるのだろうか。この種の問題が執拗に繰り返されている現状こそ、被害者側が学校や教育委員会に期待しているうちは問題解決がほとんど不可能だということを物語ってはいまいか。教師だけではなく、保護者もまた教育行政への過剰な期待を捨てるべきなのではあるまいか。

 

イメージは「しんどそう」だけど…将来の夢を「先生」にしてね 兵庫県教委が高校

   に職員派遣、やりがい語る 

  神戸新聞NEXT/神戸新聞社 によるストーリー 2023.7.7

 学校のブラック化を主因とする教師不足が深刻化する中で若者の教職離れを食い止めようと各地の教育委員会が躍起になるあまり、恥も外聞もなく教員採用試験のハードルをひたすら下げてしまおうとしている。これは言ってみれば教職の大安売り、たたき売りを全国規模で展開しているようなものであろう。

 

   この状況がどんなに酷く、みっともない話なのか、極端な例だが、分かりやすいので医者で例えてみよう。仮に深刻な医師不足を理由に医師会の判断で医師の免許を持たない人が医師として病院に勤められるようになったとしたらどうだろう。さて、免許を持たない人が今、あなたの目の前で不安げにメスを握っていて、これから震える手であなたの心臓を手術する…患者の立場からすれば身震いするほどおぞましい光景ではないか。

   実際、地方によってはほとんど教師養成教育を受けておらず、免許すら持たない人まで教壇に立たせる動きが出ているのだ。医者ほどの高度な専門性を要求されない教職ではあるが、それでも児童生徒の命を預かり、将来の進路にまで深く関わってしまう仕事ではある。

 

   「国家百年の大計」を委ねられた教師が今や希望すれば誰でもなれてしまう…どう見ても正常な事態とは思えない。しかしうがった見方をすれば現在の教職価値の暴落は軍拡のために教育予算を削減すべく、教師の賃金を低く抑え、待遇をさらに悪化させる口実には利用できるだろう。案外、政府や文科省、県教委の狙いもそこにあるのかもしれない。

   ただし教師に将来を左右されかねない児童生徒の立場から見ればこの新規採用を巡る人事はまさに噴飯物となる。今、教育委員会に蔑ろにされ、心底馬鹿にされているのは現場の教師だけではない。むしろ児童生徒やその保護者側なのである。

 

   しかも教師間のイジメやイジメ自殺事件の隠蔽などの悪質な不祥事が繰り返されてきた兵庫県では「やりがい搾取」の実態を放置してきた張本人の県教委がついに自ら高校へ乗り込み、無反省にも教職の「やりがい」をエサにして生徒たちをブラック職場に勧誘するという詐欺まがいの行為を行っているらしい。

   おそらく彼らからすれば学校というブラック職場は悪意ある第三者が作り出す間違った「イメージ」、すなわちマスコミが作り出した幻想に過ぎないのだ。現在の教師不足は無責任なマスコミが垂れ流した風評のもたらした被害の一つであり、我々はその後始末に追われている可哀そうな被害者…

   しかしもういい加減、騙されてはなるまい。これは有為な青少年の将来を徒に毀損し、人生をブラック化させかねない、まさに教育の名をかたる詐欺的犯罪行為そのものと見るべきなのである。これまで学校というブラック職場で心身を破壊され、命まで奪われた数多くの教師や生徒たち、その遺族の痛みを、実際、彼らはこれまでずぅーっと世間から見えないよう、巧妙に隠蔽してきたのだから。

参考記事

校長、教頭、教職員計78人を懲戒 異例の大量処分…出張旅費の不正受給が横行、服務規程も守られず 

 東京新聞 2024.2.15

 まさに公教育のメルトダウン、末期的症状とはこのような現象をさすのかもしれない。おそらくこれでも今回表沙汰になったのは「氷山の一角」に過ぎないだろう。これは川崎市における市立学校の多くが校長以下、全職員規模で完全にコンプライアンス無視の暴走を常態化させてしまい、どうにも止まらなくなってしまった結果だと思われる。

 ほとんど土砂崩れ状態でいったん足元から地盤ごと滑り出してしまうと、多くの人は踏ん張りが効かず、ひたすら状況に流されるままとなる。ここまで来てしまうと土砂崩れ現場の人間ではもはやどうにもなるまい。

 漫然としているといずれ千葉県でもいくつかの学校がこのような事態を招くのではあるまいか。こうした事件の背景にあるのは全教師レベルに蔓延する打ちのめされそうなほどの無力感だろう。多くの職員に共有される極めて低い自己効力感、組織効力感がついには学校の隅々まで沈滞させ、どんよりとさせてしまっているのではあるまいか。

 一体、何が彼らをここまで駆り立ててしまったのか…教育行政の責任は重大である。末端の職員をどんなに処罰しても事態は悪化するだけかもしれない。そもそも上級責任者が自分の責任を棚に上げて下々を処罰するだけの醜い人事が横行するような組織に明るい未来が来るわけはない。

「傍聴ブロック」なき今、強制わいせつ罪に問われた元校長に判決 被害者の不信を強めた横浜市教委

   のやり方 東京新聞 2024.5.25

被害者側からの要請「明確な記録なし」 横浜市教委、傍聴動員問題で

 朝日新聞デジタル記事堅島敢太郎2024年5月22日 21時18分

 教員によるセクハラ等の事件を裁く裁判で大勢の教職員を法廷に送り込み、一般の人々の傍聴を阻止しようとした横浜市教委の件。教委側が保護者の要請によってこうした事態を招いてしまったという言い訳が実は自己保身のためのウソであったという可能性が出てきている。「明確な記録」が残されていないのに、被害者側の要請があった、とする往生際の悪さ…もしもウソという事になれば重大な責任問題に発展するだろうし、前教育長が法廷侮辱罪等で訴えられてもおかしくはあるまい。本来ならばこの時点で横浜市や神奈川県教委は前教育長及び関係職員への厳しい罰則を科すべきではなかろうか。

横浜市教委の「傍聴ブロック」、外部検証チームを立ち上げ 弁護士3人で6月中に対応へ 

   東京新聞 2024.5.27

   どうやら保護者の要請があったことは文書で確認できたそうだが、横浜市として弁護士を3人外部から招き、調査することになったらしい。詳しい調査結果が公表されるのを待ちたい。

○「監査を重く見ていただきたい」市教委に委員が指弾 横浜市裁判傍聴妨害めぐる監査請求 

 産経新聞 2024.7.5

 鹿児島県警と似たような、身内をかばうための隠蔽の可能性を感じる。

 

・鹿児島県警内部告発事件

 軍隊や警察と学校とは本質的に似た者同士と昔からよく言われてきた。この事件は学校でのイジメ隠ぺい事件が多発する中で軍隊や警察と学校とが実際に「同じ穴の狢」であることを確認できる格好の事例であろう。授業では学校と軍隊や警察が体質的に似通っている点を生徒たちに考えさせたい。まずこれらの組織が共通して引き起こしてきた隠蔽事件について様々な事例を生徒たちに挙げさせ、その背景にある恐ろしい非人権的な組織的体質を考えさせてはいかがか。

公益通報潰しに報道弾圧…前代未聞の「警察不祥事」、告発文書「返還」求めた鹿

 児島県警からの通話全容弁護士ドットコムニュース  2024.6.17

 …いくらなんでも鹿児島から札幌まで強制捜査に乗り込んでくることはあるまいと高を括っていたが、なにしろ相手は平気で報道機関を家宅捜索して取材の秘密をあっさり侵害してしまう組織。せめて問題の文書だけでも万が一の押収を回避したいと、札幌市内の弁護士に管理を委任することにしたのだった。もちろん、弁護士の名前は県警に伝えていない…という件に戦慄を覚える。鹿児島県警の隠蔽体質と人権軽視の強硬姿勢が露呈してしまっているからだ。

※参考動画

 〇容疑者コメント「本部長でなければ誰でもよかった」名指しの幹部を変えた理由 鹿児島県警情報

  漏えい事件 (24/06/10 19:20) 鹿児島ニュースKTS  2024/06/10 2:41

 ◎鹿児島県警元幹部「闇を暴いてください」元キャリアも指摘する異例さ【サタデーステーション】 

  ANNnewsCH  2024/06/08 10:31

 ◎文書受け取った記者『闇を暴いてください』と 県警本部長が議会で改めて「隠蔽」否定【報道ス

  テーション】(2024年6月11日) ANNnewsCH  2024/06/12 6:34

 ◎「証拠の返還を」鹿児島県警“情報漏えい”内部文書を受け取ったライターが証言 電話やりとりか

  ら浮かぶ捜査の一端【news23】TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/06/12  11:10 

  これが公益通報なのか、情報漏洩、守秘義務違反なのか、今のところ不透明ではあるが、いずれに

  せよ第三者機関がきっちりとした事実確認を行う必要はあるだろう。この件に関して県議会の及び

  腰がほぼ明らかなので議会による追及はまず期待できない。当然、県警の調査は信用できそうもな

  いので、検察が動けるのかどうか…今後の動向を注視したい。

 〇#656 【塩ちゃんねる】鹿児島県警の隠蔽がついに~長くかかりましたが、ようやく始まったばか

  り~ 塩ちゃんねる 2024/06/06 4:41

  国会議員も以前から注目してきた鹿児島県警の隠蔽体質、なかなか根深いものがありそうだ。