教育界では、成績や受験の結果に「遺伝」の影響があることに何故か大きな拒否反応があるようです。僕は過去に以下のような記事を書いています。
ですが、足が速い、身長が高い、ルックス(お父さんとそっくり、など)のことなどについて、「遺伝の影響などない」という方はいないはずで、当然知能にも大なり小なり、遺伝の影響があることは予想がつきます。
ここ数年、僕個人としても遺伝の影響が、こと成績や学歴、受験結果にどれくらい影響があるのかを追い求めています。その急先鋒が、最近話題の行動遺伝学であり、安藤寿康さんや橘玲さんの本です。
不思議なのは、両親が高学歴でもご子息が受験でそんなに高い学歴がとれない例が意外と多いことです。また、うちのように父母両方の家系の一族、誰も大学すら出ていなくても、僕ら兄弟は6大学に行っている例もあります。
もちろん、両親の時は中学受験にしても大学受験にしてもそんなに競争は激しくなかったのだ、時代(という環境)が違うという要因はあると思います。また、不自由な時代では遺伝の影響は少なかった、というのは真実です。
一方で、佐藤ママが流行ったのも、
・両親が自分の限界まで徹底して子供をサポートすれば、遺伝的には大したことなくても、東大理3にでもいけるのではないか
という幻想を親側が抱いてしまうことに起因するようです。「親がもっとサポートしていれば……」などは、よく聞く話です。本当にそうでしょうか、という疑問を持つことは価値的なことに思います。
ただ、明らかに運動神経がない、身体が弱い、など遺伝的特質が向いてない子に、つきっきりで指導してプロ野球選手にしようとする方は少ないはずです。夢描くのはよいのですが、人生の限られた時間や財産を、全く遺伝的に向いてなさそうな方面に費やすのは、子供側が可哀想な気もします。
とはいえ、やってみないと才能があるかどうかもわかりません。
そのカギは、「その分野が好きかどうか」で決めればよいと思います。
これまでの経験上、言いにくいことですが、受験にも似たような面は厳然としてあります。
ただ、東大生にならなくとも、ある程度勉強をすることで十分によいポジションには行けるし、そこらはプロ野球選手とはずいぶん勝手が違います。
教育の意義を安藤先生も上記の本でかなり強調しておられます。
が、僕が上記のような本や生物学的知見から達しつつある結論は、おそらく皆さんのそれとは少し違うような気がしています。単純な運命論とは違うし、根性論とも違います。
頭のいい親の子は頭いい、というのは自明であるようで、真理ではありません。そんな単純なものではない、と感じます。
ということで、本日より、気分が向いたときに断続的に「受験と遺伝」シリーズをブログに書きつつ、最後にYouTubeチャンネルにてまとめ配信をして、
・正しく健康的な遺伝及び人生への考え方
を皆さんと考えてみたいと思います。
遺伝を勉強すればするほど、才能ないから勉強をしても無駄、というようには絶対になりません。むしろ逆です。そのあたりを考えていただければ幸いです。
遺伝やその形質と向き合うことは、生き様や哲学の問題に繋がります。これからの正しい教育や子育ての在り方には、必要事項となることでしょう。
<まず、頭が良い、という遺伝型はない>
僕は受験業を通して、毎年、各塾の模試などを何百人単位で見ています。当然、同じ模試を何度もみます。
三人目くらいからは同じ模試の問題なら大体答えや展開を覚えていて、解答用紙をみれば、各子供ごとの特性や大コケポイントがわかります。これを年に10数度以上するのが、最近の僕の生活です。
すると、失点するにもいくつかのパターンがあり、その組み合わせで各人の立ち位置が決まっていることに気づきます。まったく同じ模試を、地域も環境も才覚も違ういろんな子が解いていて、それを精緻に見ていくので、その違いなどが僕からの視点では見えやすいのです。
漢字や語句を軽視している子もいれば、汚い字のあまり答えの写し間違いや手順ミスを連発する子もいます。また、欠点と改善点を指摘したとき、一度または数度言ってすぐに直る子もいれば、何度言っても直らない子もいます。
こういうことにも、遺伝は関係しています。
というより、人間が起こすこと、またはその人工的環境、それへのリアクション、生き様、等々で「遺伝の影響を全く受けないものなどあり得ない」というのが、行動遺伝学の立場のようです。
これは真理を突いている面はあると思います。
問題は、
・この遺伝型が良ければ頭がいい
という簡単・単純な遺伝子はない、ということです。
知能はポリジェニックといって、複数の遺伝子発現の組み合わせで成り立っています。つまり、視覚野がつよくて映像なら覚えられたり、言語力が発達していて論理から入った方が伸びたり、など、各人でそのバランスが違うわけです。
以前、僕がこのブログですすめていた「GRIT(やりぬく力)」や「非認知能力」などの学習する上でのいくつかの大きな能力も、遺伝的形質の一つ、と考えるべきかもしれません。
問題は、いろいろなパターンの失点の仕方がサピックスオープンなどであるとして、
・各人が自分の遺伝型から、甘くなりやすい方向性や欠点を意識して
・トレーニングすること
これで、少なくとも受験くらいはなんとかなってしまう、ということです。
<いわゆる直接的な知能以外の遺伝的形質も大事>
その複雑なバランスと環境という要因が絡まって、現在の能力となります。
また、直接的な記憶力や知能以外の遺伝型も極めて重要です。
ただ知能が高くても嫌な奴だったり、他人の気持ちが分からなかったりすると、学校や塾でも愛情や支援を受けることができなかったり、敵視されて勉強を妨害されることもあり得ます。
兄弟間でも、やはり素直でいい子だったりすれば、一方の兄弟より愛情を受けやすくなったりもして、こういう所でも後の知能の伸びなどに影響がある、と考えるべきのようです。
学級崩壊に巻き込まれたりすれば、学力は数段落ちてしまうのですが、これも、引き起こしやすい子、巻き込まれやすい子、助長しやすい子、などがある程度遺伝的見地からアプローチすればわかる時代が来るような気もします。
遺伝的な形質をあらかじめ把握したうえで、クラスのメンバーを決めていく、というようなことも大事かもしれません。
これに、プラスして環境の影響があります。これが各分野ごとに影響率の違いがわかっています。一卵性双生児の双子研究からの追跡実験などで現在も知見がたまっているのです。(環境の話は次回以降の記事に回します)
とにかく、単純な記憶力や論理力では劣っていても、友達を大事にしたり、努力を継続したり、実能力以外の分野の開拓で意外に受験くらいなら有利になることはあり得る、ということを覚えておいてください。
と同時に、数値上の能力は低くても、全部の能力が平均以下ということはないはずで、自分の武器、を自分の能力や環境、非認知能力に至るまで、探していくことは大事そうです。
<子供がやりたがること=才能の発露、遺伝的に「何か」あると思うべき>
安藤寿康さんの本を読んでなるほど、と思ったことの一つが、才能のあり方です。これも遺伝的見地からみると、パラダイムシフトがありそうです。
ざっくりと解説しますと、
・脳は予測器である
・だから、脳の予測とのズレが小さな分野は快適に感じる
・そのズレが少ない分野=才能がある分野、でありそうだ
ということが言えます。
ここから、勉強に対しても大事な見解が導きだせます。
・脳は予測するし、予測できる範囲内のことが快適
・ということは、初めてやる時に、「ちょっとできる」状態を作ると、予測の範囲内で快適にできる→得意に感じる、好きになりやすい
ということが言えそうです。
これは僕の私見に過ぎませんが、勉強が得意だったり抵抗がない子というのは、
・勉強の初期段階に十分に簡単なものを与えられ
・すらすらできる、予測範囲内でできる→楽しい
・いい気になっている、得意だと勘違いかもしれないが思っている
・その分野が好きになる
という傾向が見られます。
幼児教育の意味があるとしたら、この1点は大きいだろうな、と思うのです。
つまり、例えば、算数が得意・好き、ということは、人生の初期段階なら「作れる」のです。最初は平易なものをさせて、どんどん褒めて、快適さを本人に味合わせてあげれば、その分野は「好き」で残り、後の人生にも影響するのです。
間違っても、最初から受験勉強のような難しいことをさせてはいけません。これは塾通いの最初にも同じことが言えそうです。
もちろん、算数より国語(本)などの方が最初からできる率が高くなることもあるだろうし、それが遺伝の影響だとすればそうでしょう。
ここからわかることは
・子供の「好き」が最重要
・人間の「なんとなく」の判断は遺伝的形質を反映している可能性
これがあります。ゲームにせよ、音楽にせよ、子供が好き、という時点で、その分野にはなんらかの才能があるかもしれないのです。
もちろん、音楽が好き、と一言でいっても、クラシックのバイオリンが好きなのと、メタルのドラムが好きなのでは、ずいぶん趣きが違います。聴覚が鋭くて細かな部分が好きな子もいれば、アドレナリン活性が低くて、興奮しやすい音楽を好む、などはあるでしょう。
ゲームでも、アクションゲームが好きなのと、RPGが好きなのでは、ずいぶん方向性は違います。
どんな「好き」も分野も、ポリジェニック(複合的な遺伝形質)な遺伝的影響で決まるのであり、才能の向きにもいろいろある、と考えた方がよさそうです。
とにかく、子供の好き、を見極めることがその子の才能の開拓そのものである、ということが言えます。
ここから、最もダメな教育の方針が見えると思います。
・受験的な勉強だけを限りなくさせること
・最初から難しいことをさせること
これが最もおろかかつ、皆が不幸になるパターンがあります。
ちゃんとみれば、受験勉強にもいろいろな要素が含まれており、その全部が嫌い、ということにはならないことでしょう。しかし、世の熱心というより盲目的な親御さんは、「役に立つ」という一面だけで受験的な勉強ばかりをさせがちです。
それが何故か、数学的能力や英語ばかりに向きがちなのを感じます。
最初に与えるものが計算や漢字、人によっては英語ばかりになりがちです。悪くはないのですが、それだけでは、子供への刺激の多様性が低くなってしまい、子供の「好き」に気づきにくくなってしまいます。
理科や社会の中には楽しいと感じるものもあるかもしれません。
いわゆる名家と言われるような御家庭ほど、子供の人生の最初期には、いろんな体験をさせていることと思います。そうすることで、子供の好きなジャンルや分野が見つかりやすくなります。
それをある程度追究させてあげれば、いわゆる自己肯定感も上がりやすくなることでしょう。自己肯定感が高い人間は、現代では最強(適応度が高い)です。
後の人生で受験勉強をしなければならないにしても、それが支えになって、受験もクリアしていく、ということがあり得そうです。
まあ、ゲームや犯罪的なことばかりに興味が行ってしまうと心配ではあるのですが、「それのどこが好きなのか」くらいは親も一緒になって考えてあげることが、良いのかもしれません。
いつも読んで下さってありがとうございます。
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