台風、大雨の影響か頭が痛いです。。。

年齢的なものなのか、目を使い過ぎなのか、いろいろ思い当たる節だらけです。

いろんな文章を書いてみようとアメブロ以外にも小説を別サイトで書き始めました。

でも結局、大阪人っぽさが出てしまいます(笑)

 

 

今回はヤバ母ランキング1位のクリオネちゃん母登場回です真顔

 

スタースター毒親5️⃣スタースター

月曜は週の始めだからか、17時を過ぎてもオフィスでは得意先からの問い合わせ電話が鳴り響く。

「今どき電話で問い合わせって・・・。メールにしておけば履歴も残るし、相手の時間も無駄にしないのに。」

『営業部の失敗作』という不名誉なあだ名がついている入社5年目のイケメンだけが取り柄の五反田が隣で呟く。

栗尾は五反田の方を向いて同意するかのように少し笑う。

「そう思いますよね?電話って年寄りが好きな連絡ツールだなぁって僕は思いますよ。重い。LINEにしてくれたらこっちの都合のいい時に返すのに」

五反田がニヤついた表情で続けた。

 

「それは五反田くんが遊び人だからでしょ!途中から仕事じゃなくてプライベートな話になってない!?」

通りがかりに『いつでも無駄に明るい安村』というあだ名がついている営業事務の安村良子が笑顔で突っ込む。

「バレました?こっちの都合関係なく電話で一方的に詰めてくる女の子って正直重いし、冷めるっていうか・・・」

五反田が続けた時に、栗尾のバッグの中でスマホのバイブ音が響いた。

 

嫌な電話 イメージ画像 に対する画像結果

 

「個人のスマホ?でも良いと思いますよ、今出ても。長く鳴らしてるから、急用かもしれないし。」

心配そうに言う安村に会釈して、栗尾はスマホを持って廊下の窓際の人通りの少ないスペースに移動した。

着信は、やはり母だった。

出たくない・・・。頭がズーンと重くなったが、安村の言う通り急用かもしれない。

「もしもし。お母さん?」栗尾が電話に出るとスマホの向こうからため息が聞こえた。

 

「はぁー、やっとでたね!今どこ?」

「どこって・・会社だけど・・何かあった?」

「ええ?会社?まだ仕事しているの?東京なんかで働くからこき使われてるんだわ」

意地悪な口調にうんざりする・・・栗尾は

「でも、まだ定時になってないから・・普通・・こき使われているわけじゃないよ。普通・・」

と小さな声で答えた。

「そうか。そうですか。あなた生意気に言い返して来るわねぇ。やっぱり東京で働くとますます可愛げがなくなっていくというか。教えておくけど、女は可愛げってものが大事なのよ。寧々は『わたしは東大です』ってお高くとまってるところがあったから、東京で働いて世間を知るのが大事かと思って、大阪から離れて働くのを許してあげたけど・・・そんな言い方するようになってたら、これはダメだわ。結婚できないわよ、そんなんじゃ。ほんと、可愛げがないわー!」

 ハァーと舞台演技のように大袈裟にため息をつくのが聞こえる。

 

嫌な言い方・・・。東大受かるまでは、「お前は頭が悪い」とか散々言っておいて。受かったら勉強だけでは世の中では活躍できないと言い、就職したら可愛げがないから結婚できないって言うんだな・・・。

母の言葉に軽く傷つきながら、栗尾は高層ビルの窓から外を覗いた。ミニチュアみたいな車や人が見える。私の知らないたくさんの人が今この瞬間も頑張って生きてるんだなぁ・・と思った。

 

母の言葉は続く。

「もういいわ、こうしましょう、早く今の会社辞めて、大阪に帰ってらっしゃい。うんうん、それがいいわ。お父さんのツテでお見合い相手探すから。もう30で独身なんて恥ずかしいわ。ご近所に笑われるわよ?」

 

笑われる・・・?

栗尾は昨日の「教育虐待」経験者の集まりを思い出す。

SAPIX偏差値65もあるのに母親から責められ、髪の毛が抜けるまで引っ張られたと言っていた『はんこ』の悲しい笑顔。

いまだに母親からのしつこい連絡に辟易する『ブルーピリオド』の暗い表情。

そして・・自分も初対面の「仲間」に言ったんだった。

母がとても嫌いだ、と・・・。

 

母と話すと、いつも胸の中の傷口から血が溢れていくような感覚になる。

辛い・・。悲しい…。

電話の向こうでは母がまだギャンギャンと吠えている。

死にたい…。

 

 

「栗尾さん!」

後ろから呼ばれて振り返ると、水谷がいた。

「緊急の要件なんだ!電話中悪いけど、今すぐいいかな!?」

温厚な水谷らしくない廊下に響く大声に栗尾は驚く。

「えっ!は、はい!!」

慌てて栗尾が答えると、水谷は手を左右に振って何度も電話を指さすジェスチャーをした。

栗尾は意味を理解してスマホに叫んだ。

「ごめん、かなりの緊急事態が発生したようだから、切るね!!」

「え、緊急ってあなた・・」

何か言いかけている母からの呪いの電波を断ち切ることができた。

 

スマホを切って、栗尾は顔を上げて水谷の目をみた。

「ごめんね、緊急っていうのは嘘なんだ。・・なんか、辛そうな電話かなって思って、余計だったかな?」

水谷は優しく気遣う口調で言った。

「いえ、あの、助かりました。切るきっかけをくださったんですね・・?」

「僕はさぁ、得意先から怒られちゃうことが多くてさぁ、あ、僕の案件じゃなくても、やたらクレームが来るっていうか。そんな時、よく部長が今みたいにわざと大きな声で電話の向こうにも聞こえるように緊急事態発生!って言ってくれたんだよねぇ」

「そうなんですか・・」

辛い思いをした人は、人にも優しくできるのかな・・・と栗尾が思った時、安村が執務室のドアから出て来て、廊下の向こうで「おーい」と手を振った。

「電話、大丈夫だった?ご家族が急病かと思って心配したよぉ。あ、違う?良かった。みんなが栗尾さんを頼ってしまうね。水谷さんのホームパーティーの件だけど、奥さん、原宿の有名なお料理教室に通っていたこともあってなんでも作れるらしいですよ。栗尾さんのリクエストでご馳走を作ってくれるんだって!」女子高生のように明るいテンションで安村が小柄な体をぴょんぴょん跳ねて言った。

 

「パーティと言えるほどのものでもないけど・・でも、何かリクエストあったらって家内と娘が言ってるんだ。遠慮しないで栗尾さんの好きなもの言ってね。我が家は世田谷線の世田谷駅なんだけど、三茶まで車で迎えにいく段取りでいいかな?」

ニコニコしながら水谷も続ける。

「世田谷の一戸建てなんだって!あ!!水谷さんってもしかして実家太いんですか?地主とか?セレブですか?」

ズバズバとした無遠慮な安村の問いかけに、栗尾は思わず笑ってしまう。

 

窓の外では何時でもたくさん知らない人たちが生きている。

あの息詰まる自室から離れて・・たくさんの人たちの中で・・紛れたい・・。

栗尾は止血するようにそっと自分の手を握った。

 

 

クリオネちゃん母イメージ

 

続く🏙️